本居宣長のことば遊び和歌一覧
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(3) いていた。筆者はその一端をいくつかの論考で明らかにしてき. 本居宣長は生涯にわたってことば遊びに並々ならぬ関心を抱. 歌Lは他には分類しがたい雑多なものを含んでいる。. だ例もあり、﹁物名﹂との境界を判然と付けることは杜しい。﹁狂. とは言いがたい。﹁狂歌﹂と分類した中には、事物を詠み込ん. 以下ことば遊びの方法によって分類したが、分類基準は厳密. 本居宣長のことば遊び和歌一覧. た。宣長はまた、数多くの和歌を実作している。その中には言. 吉. 語遊戯性の強い歌も少なからずある。この小稿は宣長の詠んだ. 同一分類の中では制作年次に従って配した。複数の資料に見. は﹁石上稿﹂﹁鈴屋集﹂を先に掲げ、次に宣長の他の著作、続. られる歌は、その歌を掲載する資料すべてを引用した。その際. 和歌のうちから、ことば遊びの色濃いものをすべて抜き出した ものである。筑摩招房版﹃本居宣長全集h ︵以下﹃全集﹄︶ を対. 引用は ﹃全集﹄ の表㍊そのままを心がけたが、論旨に影響が. いて門人の著作の順とした。. 象としたので、帯簡や門人の著作から採ったものもある。 ここに﹁ことば遊び和歌﹂としたのは、﹁沓冠﹂﹁析旬﹂﹁物名﹂. なければ、印刷の便を図って、以下のように処理した。. 1 漢字は常用漢字の字体に改めた。. るか、いずれかに該当する歌である。漏れが出ることをおそれ、. 等形式自体に遊戯性が認められるか、内容に遊び心が認められ やや基準をゆるめにあてはめたつもりである。前者の形式上の. 2 ミセケチの部分、挿入の印、漢字に付された濁点等は省. 3 文字は追い込みとし、適宜改行を / で示した。. いた。. 遊戯性は、宣長が遊びとして詠んだか否かとは直接的には無関. 引用の末尾に楽科名と﹃全集L中の所在を記した。所在の漢. 係である。例えば﹁沓冠歌﹂ の1∼6番は、十九歳の時に父の しろ真面目といえるだろう。また﹁頭字﹂のように、単独の歌. 数字は巻数、アラビア数字はページを示す。例えば、︵﹁石上稿﹂. 忌日に追福のために詠んだものであり、詠歌の姿勢としてはむ だけでは技巧性を看取できない例もある。. 117. 沌.
(4) 十五−181︶ は、資料名﹁石上稿﹂、﹃全集﹄第十五巻181. 雨降れば井堰を越ゆる水分けて易く諸人下り立ち柏ゑし群苗. Ⅱ 大小の月の歌. 宣長のいろは歌として知られる。. その稲よ真秀に栄えぬ. 引用後、当該歌を歴史的仮名遣いで通常の漢字仮名交じりに. ページにあることを示す。 改め、必要ならば最小限の説明を加えた。全面的な考察は別途. 1・2 〓七六三年︶. 用意したい。 分類内で歌に番号を施した。. 2小笹原西に向かへる山本のくまぐまに尚残る朝霜. 1大空は睦月と見えていつしかも花無き畳も小鳥しば鳴く. 0正l 今年大小/大そらはむつきとみえていつしかもはななきさとも 十十一〇二姻. 分類と収録歌数は以下の通りである。. ことりしはなく/小さゝはらにしにむかへるやまもとのくま ト ︵﹁石上稿﹂十五272︶ ′1になをのこる朝箭. 3首. 2首. 四十七文字の歌 1首 回文. Ⅲ 回文. ︵﹁石上稿﹂十五−329︶. 君やとる此軒あさく咲花はくさ︿秋の残るとや見き. 1中通る岡も野も萩繁く咲く景色は物も薫る程かな ︵なかとほ. 2楕こそは真屋軒先るれこの本も残れる秋の山はそことや ︵や. るをかものもはきしけくさくけしきはものもかをるほとかな︶. とや︶. とこそはまやのきあるれこのもとものこれるあきのやまはそこ. 3君宿るこの軒浅く咲く花はくさぐさ秋の残るとや見き ︵きみ. -1188. 大小の月の歌 3首. 1∼3 〓七七〇年︶. 語源俗解. 廻文歌/中とほる間も野も萩しけく咲けしきは物もかをる程哉. 3首 4首. オノマトペ. 7首. ︵﹁鈴屋集﹂十五−91︶. /宿こそはまや軒あるれこの本も残れる秋の山はそことや/. 文字分析. 67首. 9首 12首. 者冠歌 頭字. 40首. 祈句 狂歌. 物名歌. 四十七文字の歌. のいねよ まほにさかえぬ. 同しもしなき凶十七もしの歌/あめふれは ゐせきをこゆる みつわけて やすくもろひと おりたち うゑしむらなへ そ. Ⅰ 刃[プ(二Ⅸ Ⅷ Ⅶ Ⅵ Ⅴ Ⅳ Ⅲ □Ⅰ.
(5) やとるこののきあさくさくはなはくさくさあきののこるとやみ き︶. Ⅳ 語源俗解 1 〓七九〇年︶. 00000 ︵﹁石上満﹂十五−464︶. 竹のもとに虎をかきたるゑに/よにたけくはやき獣のふしとゆ ゑ竹林とはいふにや有らん. Ⅴ オノマトペ 1 〓七九一年︶. るの子のちよ︿と鳴千代やいくちよ︵﹁石上稿﹂十五−467︶. 鶴のすにひなのあまたゐたる絵に/よひかはし数もあまたのつ. 鶴の巣にひなのあまたゐたるゑに/よひかはし数もあまたの鶴. 2 ︵一七九四年︶. 呼び交はし数も数多の鶴の子のちよちよと鳴く千代や幾千代. 0000. の子のちよ︿と鳴ちよやいくちよ︵﹁自撰歌﹂十八−262︶. るらん. やちよとや紀の川千鳥月に鳴らん. 十月廿九日小浦宅会兼題/月前千鳥/影見てもくもらぬ御世を. 世に猛︵たけ︶ く速 ︵はや︶ き獣の臥所故竹林とは言ふにや有. 2 ︵一七九八年︶. 000. Ⅵ 文字分析. ︵﹁石上稿﹂十五−486︶. 呉竹に千代をかけろの声立てて馴るる契りも長嶋きの鳥. の鳥. 竹に鶏のゑに/呉竹にちよをかけろの声たててなる、契も長嶋. 3 〓七九七年︶. ﹁小浦﹂は門人、和歌山藩士小浦朝通。. 影見ても曇らぬ御世を八千代とや紀ノ川千鳥月に鳴くらん. 00. ︵﹁木路の口ずさび﹂別一582︶. 枯木の枝に烏のゐたるかたとひゆくもあり/あたら木をゆきか へりつゝゐからしぬからすとふ名はうへ負にけり ︵﹁石上稿﹂十五492︶ 枯木の枝にあまた鳥のゐたるかたとひゆくもあり/あたら木を もひに. ︵﹁自撰歌﹂十八279︶. ゆきかへりつゝゐからしぬからすとふ名はうへもおひけり 000. あたら木を行き帰りつつ居枯らしぬ烏とふ名はうべ負ひにけり ︵うべも負ひけり︶. 3 〓七九九年︶. 1 〓七九〇年︶. 和歌浦のかたに/来て見れはたれもめてつゝよむゆゑに和歌の. 水仙といふ花かきたる絵に人の歌こひけれは/梅よりも猶さき. ︵﹁自撰歌﹂十八−283︶ 00. 来て見れば誰も愛でつつ詠む故に和歌の浦とは言ふにぞ有るら. ︵﹁石上稿﹂十五464︶. たちて山人と名におふ花や花のこのかみ. うらとはいふにそ有らん ん. -1199.
(6) 心を/南によりもたゝ有難し本願をふかく頼みて浅く思ふ南/. 無始よりも達し罪のこと︿く消るは弥陀の平成ら無/阿さか. ︵﹁自撰歌﹂十人260︶. 名におふ花や花のこのかみ. 水仙といふ花をかきたる絵に/梅よりもなほさきたちて山人と. ちもはかりなく苦みなくて楽めるの弥/陀い慈悲のふかき願ひ. らぬ罪は有共たすかると思て病め探き誓を/弥陀仏の国はいの. も成就して今は西方正覚の弥陀/仏法のをしへはあまた多けれ. 00. 2 〓七九四年︶. 梅よりもなほ先立ちて山人と名に負ふ花や花のこのかみ はりまの国林田宮/はふりらかいはふ白木綿千世かけて栄ゆく. 通常沓冠は7番歌のような技巧をいう。ここでは歌の首尾が. ︵﹁石上稿﹂十五√181︶. とたくひはあらし南無阿弥陀仏. ワ0. 木々の林田の宮. 1何︵なに︶ よりもただ有難し本願を沫く頼みて浅く思ふな. ︵﹁白撰歌﹂十八1268︶. はふり等が祝ふ白木綿千世かけて栄行く木々の林田の官. 2無始 ︵むし︶ よりも作りし罪の悉く消ゆるは弥陀の筈ひなる. を. 3浅 ︵あさ︶ からぬ罪は有りとも助かると思ひて頼め深き誓ひ. らむ. 同じ仮名︵6番歌は同じ漢字︶ になることを指している。. かしらの八を. 000. ﹁八十八﹂の頭の﹁八﹂を襟がけにすれば﹁又﹂字となる。. ︵﹁石上稿﹂十五−519︶. これは正確には沓冠歌になっていない。. 4弥陀仏の国は命も重り無く苦しみ解くて楽しめるのみ. 00. 香に匂ふ梢の雪はまだ咲かず木毎の梅の花は積もれど 常用漢字未の字体でも解けるが、本来は旧字体﹁毎﹂﹁梅﹂ で解すべきである。. Ⅶ 沓冠歌 1∼6 ︵一七四八年︶. 父走利の忌日に追福のため南無阿弥陀仏を沓冠にをきて釈敦の. ●0. 6仏法の教へは数多多けれど環は有らじ南無阿弥陀仏 7 〓七五九年︶. てはるをまつ﹂。. ●口. 句頭の○を順に読み、次に句末の●を順に読めば﹁としのは. 年のうちは暫しぞ凍るのどかにを春立たば今手に汲まん水. ︵﹁石上稿﹂十五−251︶. のとかにをはるた、はいまてにくまんみつ. ●0. としのはてはるをまつ 沓冠折句/としの内はしはしそこほる. O. G. 5大 ︵だい︶ 慈悲の深き願ひも成就して今は西方正覚の弥陀. 0. 酒飲めば又十八の心かな上の八の字を樺に掛けて. 0. の雪はまたさかす木毎の梅の花はつもれと. O. ︵﹁石上稿し十五−499︶. 八十人翁の酒のみ居る像にたはふれて/さけのめは又十八の. 0. こ、ろかな上の八の字をたすきにかけて. 3 ︵一八〇〇年︶. O. 0. C. C. O. 120. 0. 雪中に梅をたつぬといふこゝろをかきたる絵に/香ににほふ梢. 4 〓八〇一年︶. 0. ○.
(7) 0 6梅 ︵むめ︶ の花見に来し人は立ちやらで日も紅の庭のこの本 0. 7井に映る花の鏡の影までも紅深き庭の梅が枝 8 〓七六三年︶. Ⅶ 頭字 1∼4 〓七五五年︶. はのこる. 同当座 なむあみたふを頭にをきて各よめるに み/御法にも ひて. 十月廿四日夜藤重民にてきのえねまちといふことを頭にをきて. 心かよははかのくにのしをりともなれ敷嶋の道. 御法︵みのり︶ にも心通ひて ︵通はば︶ かの国の枝折りは残る. ︵﹁石上稿﹂十五−277︶. ﹂ハ首の歌よみ侍けるにちとねをとり侍てよめる ︻某夜甲子日に ほのうみこほる汀に速さかる也/契ありてかはらぬ中もにほの. なんありける︼/ち蔚 湖辺水鳥/近かりしにほのうきねもに. 9 ︵一七九二年︶. ︵枝折りともなれ︶ 敷島の道. はもしをはしめにおきて子日の歌人のこひけるに/はる︿と. 海や氷にうときおしのひとりね/ね頭 野径寒帯/根にかへる む春を待つ、も分行野への霜の下草︵﹁石上稲﹂十五−224︶. 花野の秋のおもかけも分行霜にのこる冬くさ/ねのひしに出な. 子日ののへの小松原ひかても千世の数は見えけり. 5∼7 〓七五九年︶. 3根に返る花野の秋の面影も分け行く霜に残る冬草 0 4子の目しに出でなむ春を待ちつつも分け行く野辺の箱の下草. のさまやみすらん/これは此たひ先生芸侯のともしてのほり給. 折旬 ふかみくさ/故郷のかみの同ふの道しるへくもりなき世. 1 〓七五四年︶. Ⅸ 折句. はるばると子の日の野辺の小松原引かでも千代の数は見えけり. ︵﹁石上稿﹂十五−470︶. C l近 ︵ちか︶ かりし鳩の浮き寝も鳩の湖凍る汀に遠ざかるなり 0. 2契 ︵ちぎ︶ りありて変はらぬ仲も鳩の湖や氷に疎き鴛の独り. る折しも軒端ちかき紅梅さかりなりけれはそれを題にて此院の. 名をわかちてかしらにをきてをの︿よみける む /むかし. けるゆへにかくはよめるなり. し給ふ串をおもひてよめる也其うへ人々いはひの心をといへり. ひけるか祇閲よりはしめ東山ところ︿侯のまふて給ふあない. ︵﹁石上稿﹂十五−218︶. たれ心をそめてうへぬらんくれなゐふかき魔の梅かえ/. 2 〓七五八年︶. 梅の花見にこし人は立やらて日もくれなゐの庭のこの本/. 0. 故郷の神の圃生の道標=︰⋮一人りなき世の様や見すらん. O. 同し時人にかはりて ゐ/井にうつる花の鏡の影まてもくれな. O. 人の家のかへに菊の花させりけるを題にてすなはち此五文字を. O. 12]. 0. 三月十一日月次の会にて嶺松院へこれかれあつまりて歌よみけ. 寝 0. 0. ︵﹁石上稿﹂十五244︶ ゐふかき庭の梅かえ 5苦 ︵むかし︶ 誰心を染めて梓ゑぬらん紅探き庭の梅が枝. 0.
(8) 句ことのかしらにすへて十月比 研句 きくのはな/君かやと. 7 〓七六三年︶. 00 達観︵れんげ、つ︶ の昔︵むかし︶聞こえぬ木の名こそ大和言葉 0. ︵﹁石上礪﹂十五−271︶. 折旬 れんぎやう/達観のむかし聞えぬ木の名こそやまとこと. ︵﹁石上塙﹂十五−249︶. はにうつしかたけれ. にくれぬる秋をのこしをきてはてしもしらすなをやめつらん 0. ︵﹁石上稀﹂十互−241︶. 00. 君︵きみ︶が宿に某︵く︶れぬる秋を残︵のこ︶しおきて果︵は︶. てしも知らずなほや変づらん 3 〓七五九年︶ みたれてきゆるはつ秋. うるふつき折句 初秋/うきは世にるいなき比かふく風に露の. ︵やまとことば︶ に移︵うつ︶ し難けれ. ﹁連勉﹂ の歴史的仮名遣いは﹁れんげう﹂である。この次の 8 〓七六三年︶. 歌がⅩ物名歌23であるが、そこでは﹁れんげう﹂とする。. ︵﹁石上稿﹂十五−271︶. 折旬 ふきのとう/ふりつもるきのふの雪はのこれともときし る草のうつもれもせす. 吹き積もる昨日 ︵きのふ︶ の雪は残 ︵のこ︶ れども時︵とき︶ 知る草の埋 ︵うづ︶ もれもせず. へんせうし 物名/へたてゆくむかひの山に閲す. 9・10 〓七六五年︶ 同当 [座]. 0. 憂きは世に類なき頃か吹く風に詰の乱れて消ゆる初秋 4 〓七六〇年︶ 夏の比骨相寺にて和歌会しける時むかひに見ゆる山里をいつこ そととへは駅部田となんいふ此里の名を句の上にすへて蚊道火 0000. の個の立を見てよめる/まつ陰の宿のかやり火野をとをみへた ︵﹁石上稿L十五−255︶. O. 5 〓七六一年︶. はのうすき契としらぬ心は. 折句。. ﹁へんせうし﹂は﹁遍照寺㌔﹁物名﹂とあるが、この二首は. 000 9 隅 ︵へだ︶ て行く向かひの山に関 ︵せき︶ 据ゑて憂き別れ ○. ︵﹁石上稲﹂十五−290︶. へてうき別路をしはしとめはや/へたてなく結ひける哉せみの. 同し日ふちのはなといふことを句の上にをきて四季恋雑の歌を 0 00 の︿よめるに秋/ふみしたきちらしやすらん野も山もはきの ︵﹁石上稿﹂十五−260︶. 路を暫 ︵しば︶ し止めばや. 0 さかりになく鹿?﹂ゑ. 0. む. 10隔︵へだ︶ てなく結︵むす︶ びけるかな蝉︵せみ︶ の羽の薄. o. 踏みしだき散らしやすらん野も山も萩の盛りに鳴く魔の声 0. O. ほととぎす時過ぎぬとも常永久に来つつ訪はなん杉の庵を. いせの川上茶といふをやるとて。つ、みたる紙に。/ちぎりあ. 11 〓七七二年︶. ︵うす︶ き契りと知らぬ心は. O. 0. つる雲にたちまかふ也. O. O. 松贋の宿の蚊遇火野を速み隔つる雲に立ち紛ふなり. O. 0. 6 〓七六一年︶ O. 122. ロ. O. 0. 折旬 ほとゝきす/ほと、きすとき過ぬともとことはにきつ、 ﹁ ︵﹁石上稿﹂十五260︶ とはなん杉の庵を. D. 0. O. 0. 0. ロ. O.
(9) チャ朋旬 れや山路分乗てすぎがての木の下陰にしばしあひしも。茶すこ キキ しとは。聞しりなんや。 ︵﹁菅笠‖記﹂十八−349︶. ふかすみの江の岸/さみたれ/水をあさみたれみなかみを渡り. 物名ゆふかすみ/よる浪は神のみまへにわたつみのかくしらゆ. けむ今山川の末の濁れる/たなはた/よしやよしこよひ又名は. 3∼6 〓七五四年︶. 0000 契︵ちぎ︶り有れや山路︵やまぢ︶分け来て過ぎがての木︵こ︶ 0 の下陰に暫 ︵しば︶ し会ひしも. の草葉露きえて月にさへうき嵐也けり. たちぬ共今一たひはあふにかへてむ/はつゆき/影やとる野原. の岸 0000. 3寄る波は神の御前に海神のかく白木綿 ︵しらゆふ︶ が住之江. 00000. ︵﹁鈴局百首歌﹂十人−119︶. 12 〓七七四年︶. 0. 三月の十日頃阿坂の景徳寺にまうてけるにさくらのこ、かしこ 0 散のこりたるを見て寺の名を句のかしらにおきてよめる/けふ 000. まてもいろかかはらてとまれるはくる人有としりてまちけん ︵﹁石上稿﹂十五−362︶. 4水を浅 ︵あさ︶ み誰水上を渡りけむ今山川の末の濁れる 0︵︶ロ▲U. 、し﹁ヽ1\﹁、. 今日までも色香変はらでとまれるは来る人有りと知りて待ちけ. 5よしやよし今宵また名は立ちぬとも今一度は逢ふに変へてむ. 6影宿る野原の草葉露消えて月にさへ憂き嵐なりけり. /船よせしむかしの跡の小浜さひろかいのをとも今はきこえす. /同とき物名 さくら やなき ふち/洞川ふかさくらへん物. 123. ん. 7 〓七五八年︶. 四季にちなむ四百である。. 1 〓七五三年︶. Ⅹ 物名歌. 或人の扇子の絵に霞紅葉松葉かきたるに此三くさをかくして恋. くわ﹂である。. ﹁さゝむくは﹂は﹁山茶花﹂。歴史的仮名遣いでは ﹁さざん 8・9 〓七五九年︶. ま. 000〇 一夜とて如何に明かさん旅枕霜撞く野辺の小笹︵をささ︶寒く. ︵﹁石上稿﹂十五−241︶. 物名 さ、むくは/一よとていかにあかさん旅まくら霜をくの 000. へのをさ、さむくは. 000. の歌よみてとこひけれはよみてかける/今はしかすみあらして 000. もみち経ね中をたのみにまつはくるしき. ︵﹁石上橘﹂十五−214︶. 2 〓七五四年︶. 四月十一日嶺松院にて人︿の名をかくしてよめる/まさひろ. 000. ほたんをかくして時の心を読る/たひのいほたむけもいくよか ︵﹁石上稲﹂十五218︶ 旅の魔手向けも幾夜重なりて今日は郡の神や祭らん. 正門. さなりてけふはみやこのかみやまつらん. 今はしか住み荒らしても道絶えね中を頼みに待つは苦しき. 0.
(10) 8船寄せし昔の跡の小浜︵をばま︶ さび櫓橘の音も今は聞こえ. やなきたえすおちそふち、の思ひは︵﹁石上稲﹂十五245︶. 影のやとらて明す袖のうへかは/たつ み むま ひつし/あ. てよのまも夙にうつろひやせむ/ひとりねのよとこはうしや月. 当座/ね うし とら う/みねの花うしろめたしやおりとら. 14∼20 〓七五九年︶. 000け. ず. 00. の思ひを/さる とり いぬ ゐ/涼しさもまさるこかけはと. も/たつねこはほさてや見せんまつよひにたもとぬれひつした. らしたつみ山はなににそめつらんまつうつろひつしくれせぬ木. ﹁正啓﹂は小津正啓。﹁授業門人姓名緑Jの筆頭に名が載り、 嶺松院の歌会の会員。 000000. り︿にくみてそいぬる山の井の水/かへさる、わか玉つさを. 9洞川深さ比べん物や無き絶えず落ち涜ふちぢの思ひは 10 〓七五九年︶. 00. 00. ︵﹁石上稿﹂十五250︶. りにやとりせんいぬるはおしき井出の山吹. 手にとりていぬるつかひをうとみてそゐる/色まさる花のあた. 同当座 物名 しやくやく/くむしほにしほるゝ須磨のあま乙 ︵﹁石上稿﹂ト五245︶ 000、し0. 汲む潮にしほるる須磨の海女乙女袖干し焼くや苦 ︵くる︶ し. 女袖ほしやくやくるしかるらん. かるらん 0. 14峰 ︵みね︶ の花後︵うし︶ ろめたしや折り取・りで夜の間も風 ︻恒nTカ﹂. 11・12 〓七五九年︶. 00. 15独り寝の夜床は憂しや月影の宿 ︵やど︶ らで明かす袖の上. に移 ︵うつ︶ ろひやせむ 00. 同家の菊を見にまかりて当座にみな人当座にその菊の銘をわか. 00. 00. 00. ちてそれをたちいれてよめるに伽藍神といへるを/菊花いとゝ. 00. ︵うへ︶ かほ. 000. 16嵐立つ深山 ︵みやま︶ は何に染めつらんまづ移ろひつ時雨 00. ︵しぐれ︶ せぬ木も. 00. 00. 0D. 17訪 ︵たづ︶ ね来ば干させてや見せん待つ宵に秩濡れ漬つ下 ︵した︶ の思ひを. 18涼しさも俺 ︵まさ︶ る木陰はとりどりに汲みてぞ在ぬる山の. 00. 13 〓七五九年︶. 000q. 00. 20色勝︵まさ︶ る花の辺りに宿︵やど︶りせん往ぬるは惜しき. 00. 井の水. ︵﹁石上稿﹂十五−250︶. 雪ふりける日山里へまかりけるにそはきりといふものくはせけ ゆる冬の白雪. 井出の山吹. 124. O. 盛やなかゝらんしむる心のいろかふかめて/淵となる千世の契 やふか、らんしむる垣根の菊の雫も ︵﹁石上稿﹂十五−249︶ 00. 00︵†00. 000. 日菊の花いとど盛りや永からん染︵し︶ むる心の色香深めて. O. o. 00O 19返さるる拭が玉章を手に取りて往ぬる便ひを疎みてぞ居る. 12淵となる千代の契りや深からん澄むる垣根の菊の雫は ︵も︶. 0. C. れはそれをかくして/山のそは芹たちこめし秋過てあらはに見 ロ0︹0. 山の岨霧立ち込めし秋過ぎて顕はに見ゆる冬の白雪. 0. 0.
(11) 00. 00000. 25海人の焼く塩釜 ︵しほがま︶ 近く乱れしや掻き集めたる藻屑. 0000. 21 〓七六〇年︶. 00. 26島の根も逢ふ夜は聞きて泣く涙 ︵なみだ︶ 今朝 ︵けさ︶ 憂し. 00. なるらん. 0000. 同し時西瓜をふきの黄にもりていたしたるをくひてよめる狂歌. とてぞ袖濡らしける 27 〓七六三年︶. ︵﹁石上稿﹂十五−256︶. 物名 かきもち くさもち/心なくさもちきりける人はこてま. ︵﹁石上稿﹂十五273︶. 22 〓七五一∼一七六一年︶. か︶ く鶉鳴くなり. 心無くさも契︵ちぎ︶ りける人は来で間垣 ︵まがき︶ も近 ︵ち. 000. 涼しやと飽かず幾葉も盛り替へて食ふ気味良さに夏も忘れぬ. ︵﹁石上集﹂十八74︶. かきもちかくうつら鳴也. COOO. 28∼48 〓七六三年︶. きりつ細谷川の梢わたすとて/はゝき、/時雨する音にまかひ. 源氏物語巻名かくし題/きりつほ/かた岸にたてる松の木はや. ︵﹁石上稿﹂十五−271︶. 23 〓七六三年︶. き花のすかたならぬに. て木枯のさそふ木葉は聞もわかれす/うつせみ/河水の岸根の. の日長きいとゆふかほのかに見えて空にあそふは/わかむらさ. 柳影うつせみとりの色のふかさくらへに/ゆふかほ/梓弓はる. る/もみちのか/秋の野にさける小萩の露をおもみ地のかくる. .ソム. つむはな/蔵の内に稲ははこばで其形を写す絵棉は何にかはす. カタ. き/夏もふる雪は我付さきつゝく卯花周を人もとへかし/すゑ. ほくちりてみゆるは/同 薬師 弥陀 釈迦/あまのやくしほ. は猶やわけ見む/はなのえん/わひぬれは名の得む歩もわすら. 更の野の苦かき分てたつねいれとも/はなちるさと/猿九をさ. 故二カクノコトシ/あふひ さかき/たまさかにあふ人もなし. れてた、あひみむと思ふはかりそ/ユニトヨム事ヲ人ユルサス. 迄なひきふすなり/はてしなく行末とをき武蔵野も道のかきり. 00000. ︵﹁石上稿﹂十五−272︶. かまちかく乱れしやかきあつめたるもくつなるらん/同 御嶽. 物名 法華経/此きしのいはほくえきやうへし田にかたわれお. 24∼26 〓七六三年︶. んぎやうLとする。. この歌の直前歌のⅨ折旬7では、﹁達観﹂ の仮名遣いを﹁れ. いかでかは大和言葉に漏らされんけうとき花の姿ならぬに. 000D. 物名 れんげう/いかてかはやまとことはにもらされんけうと. 雪消えてよいほの森の下草も若葉摘むまで春めきにけり. にけり. はつむま物名/雪消てよいほの森の下草もわかはつむ迄春めき. れぬ. /すゝしやとあかすいくはももりかへてくふきみよさに夏も忘. O. かさまにしてとりはなちるさとまろとは名とも聞こえす/. 125. O. 精進/畠のねもあふよはきゝてなくなみたけさうしとてそ袖ぬ らしける. ﹁植う﹂をハ行に活用させるのは、Ⅷ頭字5の歌にも見える。. 散りて見ゆるは. 24この岸の巌 ︵いはほ︶ 崩 ︵く︶ えきや植ゑし田に片割れ多く. O.
(12) すま あかし/木枯のふきちらす迄やとりして見る共あかし峯 で靡き伏すなり. 35果てしなく行く末遠き武蔵野も道の限 ︵かぎ︶ りは尚や分け. 0000. 見む. Ⅹ物名歌50番参照。. 紫さしてやこき出ぬらん/よもきふ/神もしれ耐のふるよも貿. 00000 36わびぬれば名の得むことも忘られてただ相見むと思ふばかり. のもみち葉/みをつくし/難波舟なみちはるけきわたつ海を筑. さゝはらかりのこせ来やとる人の又もこそあれ/ゑあはせ/白. 布欄川しほれてわたる心ふかさを/せきや/旅ねする野への. 37たまさかに遭ふ人 ︵ひと︶も無し夏の野の草︵くさ︶ かき分. ぞ. 000. 玉と見えて披たつ川の末砲せきとむるしからみもかな/まつか. 00. せ/旅ねしてきけは衣をうつのやまあらしも来し我に先かせ/. 000︵︺0. 000. 40難波舟波路遠けきわだつ海 ︵うみ︶ を筑紫さしてや漕ぎ出で. 葉. 39木枯らしの吹き散らすまで得りして見るとも飽かじ峯の紅葉. 00. ﹁猿丸﹂は﹁さるまろ﹂と読んでいることがわかる。. 000000. 38猿丸をさかさまにして取り放ちるさとろまとは名とも聞こえ. けて訪ね入れども. ︵﹁石上稿﹂十五−278︶. ず. うすくも/度しろう透も寒けし玉たれのたれこめて見る雪の朝. 可詠之 ウ. ODOO. ぬらん 0000. すとて. 41神も知れ雨の降る夜も貿布欄川しほれて渡る心探さを. OCCO. ﹁、、﹁、﹁.. 45庭白う透くも寒けし玉垂れの垂れ舐めて見る雪の朝明け. あはせ﹂とは合わない。. 歴史的仮名遣いからいえば、﹁泡﹂は﹁あわ﹂であり、﹁ゑあ. がな. 43白玉と見えて波立つ川の末 ︵すゑ︶ 泡せき止むるしがらみも. 0000. 00. 29時雨する昔に紛ひて木枯らしの誘ふ木の葉は聞きも分かれず. 42旅寝する野辺の笹原刈り残せ来宿 ︵きやど︶ る人のまたもこ. O. 30河水の岸根の柳影映せ緑 ︵みどり︶ の色の探さ比べに. そあれ. 33蔵の内に稲は運ばでその形を写す絵積むは何 ︵なに︶ にかは. 0つ000. 32夏も降る雪は我が村咲き続く卯の花垣を人も訪へかし. 000000. ともされるが、文献上は ﹁いとゆふ﹂が多い。. ﹁糸ゆう﹂の歴史的仮名遣いは﹁いという﹂とも﹁いとゆふ﹂. ︵UO▲UO. OCe. 31梓弓春の日長き糸ゆふがほのかに見えて空に遊ぶは. 28片岸に立てる松の木早切りつ細谷川 ︵ほそたにがは︶ の橋渡. 000. とてうらみても狛良き秋の夜/以上廿二帖歌数廿一首此次来年. く海人のすみかは/たまかつら/あけやらぬ閏の板聞かつらし. かほる也/をとめ/朝夕にき、やなれぬる波の昔めかりしほや. 明/あさかほ/菖蒲ふく軒端をちかみ五月にはかりほす庭の麻. 0. 44旅寝して開けば衣を乍都の山嵐も零し我にまづ貸せ. 00、0. O. 126. O. 誕秋の野に咲ける小萩の露を垂 ︵おも︶ み地の隠 ︵かく︶ るま. 0. する. 0.
(13) J、・. 0000. 歴史的仮名遣いからいえば、﹁薫る﹂は﹁かをる﹂であり、﹁あ. 46菖蒲葺く軒端を近み皐月には刈り干す庭の麻かほるなり. さかほ﹂とは合わない。. 47朝夕に聞きや慣れぬる彼の昔和布刈︵めかり︶塩焼く海人の 住処は. ん. 0000. 果ても無き行く末遠き武蔵野も遺の限 ︵かぎ︶ りは尚や分け見. Ⅹ物名歌28∼48と同時の作か。 51 ︵一七七一年︶. 追記 夏の夜夕聞の比ある人の許へまかりけるにをりしも/あ. るしの帯よみてゐたるを何そととひけれは続世継といふ物也と. なんこたへけれはその名をかくして/庭の面の木陰をくらき霹. 歴史的仮名遣いからいえば、﹁音﹂は﹁おと﹂ であり、﹁をと め﹂とは合わない。. 52 〓七七一年︶. かの寺に葡萄菊梅花の三幅対のかけ絵あるを題にて/箱のふた. 0000. ︵﹁石上稲﹂十五−338︶. 0 0. 庭の面の木陰小暗き露の上に光り急︵いそ︶ぐよ月待ちかねつ. 00000. のうへに光いそくよ月まちかねつ ︵﹁石上稲﹂十五−337︶. 00000. 48明けやらぬ閏の横間 ︵いたま︶ か草しとて恨みても尚長き秋 ﹁此次来年可詠之﹂とあるが、これに続く和歌は確認できな. の夜. ヽ 0. しま. 00. うら嶋のこかあけにきときくいにしへはいくはくの世そ. 合拗音を﹁くは﹂とするのはⅩ物名歌42同様。 53 〓七七二年︶. をりしも鷲のなきけるをきゝて。/族衣たもととほりてうくひ. ︵﹁菅笠口記﹂十八−335︶. 花の﹂づくにそほぢつ︰つくひずとのみ鳥のなくらん︼. ずとわれこそなかめ春繭のそら。︻古今物名うぐひすJ射が. 0000. 旅衣快適りて牽く干ずと我こそ泣かめ春雨の空. ﹃古今和歌集﹄巻十﹁物名﹂冒頭の四二二番歌を受けての作。 54 二七七六年︶. 中里常樹名を常国とかへけるを聞て/寓代のよはひもへなん頼. 127. 0. 箱の藍浦島の子が開けにきと聞くいにしへはいくぼくの世ぞ. O. し 49 ︵一七六四年︶. 梅花といふ焼物を人の許へをくるとてつ、みかみにかきつけけ る 直窮/恩ひやれ花の匂ひはうすく共たをりてをくる心深さ 0000. ︵﹁石上稿﹂十五−285︶. を/同当 ︹座︺ かへし 舜庵/おる花の深き匂ひはいくはるも 心にしめて忘れしもせし. 折る花の探き匂ひは幾赤も心に染めて忘れしもせじ ﹁梅花 ︵ばいくわ︶﹂ の物名。合拗音を﹁くは﹂と帯く慣用 に従っている。﹁直窮﹂は門人、須賀直見。当時は﹁直窮Lを 名とする。﹁舜庵﹂は宣長。. 50 〓七六二∼一七六六年︶ 源氏物語の巻々の名をかくしてよみける歌の中にもみちの賀を. ︵﹁石上集﹂十八−100︶. /はてもなく行末とをき武蔵野も道のかきりは猶や分見ん. 0. ハ,.
(14) 000. みつゝねくにうけひく神の恵に ︵﹁石上稿﹂十五−385︶. 萬代の酌も練なん析みつつ祈ぐに承け引く神の恵みに 55 〓七八九年︶ クルマノ. 廿九日の夜栗間里に市見直樹か家にやとれるこよひは必かへり きて一よ犀とらむとくたるをりに契りおきしを夜半過るほとに. 58 〓七九三年︶. に西川のあゆとある弔を思ひいてて 大平/花もなきころしも. 川へなる茶屋にて物くひけるに鮎を出しけれはふるき物語なと. OO. 尋ねきにしかは山にそはつるあせあゆる迄/かへし 宣長/年 COOO. 0000. ︵﹁結びすてたる枕の草柴﹂十八−388︶. 00. ことにしかはあれ共夏山をあゆひかためて猶そわけ見る. 年毎にしかはあれども夏山を足結固めて尚ぞ分け見る. 物名 たんさく箱/山高み雲かと見えてをちかたにさくは. からうして物したりけるをまちわひぬるよしあるしのいへるに ︵﹁石上礪﹂十五455︶. 59 〓七九四年︶. を. /わすれめやさよふくる迄里の名のくるまおそしと待しなさけ. こゝろにか、る桜か. ︵﹁鈴屋集﹂十五−50︶. ︵﹁石上稿﹂十五−524︶. あるしの待わひるよしいひしに/翁/わすれめやさ夜ふくるま. 物名 たむさくはこ/山たかみ貫かと見えてをちかたにさくは. 000り0. 山高み雲かと見えて遠方︵をちかた︶ に咲くは心 ︵こころ︶ に. にか 心ゝ るさくらか. て里の名のくる問おそしと待しなさけを/こ、は白子の内にて ︵﹁藤のとも花﹂別三−26︶ DCO. ていそけ里の子ころは過にき. ︵﹁鈴屋集﹂十五−52︶. ものの名 小忌 日蔭 心葉/田を兄すやはやかりはこひか. 0¢ウ. 00CO. ︵﹁妃見のめぐみ﹂十八411︶. けほしていそけ里の子ころは過にき 00. 田を見ずや早刈り運び陰干して急げ里の子頃は過ぎにき 61 〓七九四年︶. ものの名 まつはしのうへのきぬ/しくれする川への紅葉いて 0 0. 0 0 0 0 0 0 0 0 0. てまつ ︹はし︺ のうへの木ぬれつ、そ見る. 128. 粟問といふ所になん有ける 000. かかる桜か. 忘れめや小夜更くるまで里の名の来る間遅しと待ちし情けを 56 〓七九〇年︶ しるノヽすt. 60 〓七九四年︶. 0000. ︵﹁自撰歌﹂十八−259︶. 0. 物名 小忌 日蔭 心草/田を見すやはやかりはこひかけほし. 九月十三夜/池水の玉汚の中のみかくれもあらはに見ゆる長月 の影. 池水の玉藻の中の水隠れも若くそ ︵顕はに︶ 見ゆる長月の影 ﹁中の三日﹂を詠み込んでいる。 57 〓七九一年︶. ある人禁中の左近桜の木の枝もて作れりといふ茶しやくといふ 0000. ︵﹁石上稿﹂十五−467︶. 物に歌こひけれは/大うちやさくらはあまた咲中に分て御階の 花の一枝. 大内や桜は数多咲く中に分きて御階の花の一枝 開拗音﹁しや﹂を直甘に伐っている。. ド′.
(15) ︵﹁紀見のめぐみ﹂十人−412︶. 時雨する川辺の紅葉出でて待つ橋の上の木濡れつつぞ見る. 65 〓七九八年︶. 難波人のもとよりむかしの長柄橋のはし柱の木也とてえさせた. ヽヽヽ. 木のはしはしらねとも昔なからの物はたふとし. るにその名をいれてよみてかへりことにつかはす/何そとも此 ヽヽヽヽヽ. 62 〓七九四年︶. ︵﹁石上稿﹂十五−477︶. も なよしさかな/うこきなく千代にわたらん岩橋の稽の名よしの D00. ︵﹁木路の□すさび﹂別一−597︶. 66 〓七九八年︶. 何ぞともこの木の橋は知らねども昔ながらの物は尊し. けふのみさかな 動き無く千代に渡らん岩橋の楕も名良しの今日の御者 00. た、ひとり忍ひ妻をやまつのこかくれ︵﹁石上稿﹂十五−492︶. 猿の一つ松のえたにゐたるかたに/やよいかに友にましらて. 63 〓七九五年︶ 000. 猿のこのみを持たる絵に/うまけれとくはぬそくふにまさるへ ︵﹁石上塙﹂十五−526︶. ︵﹁自撰歌﹂十人−280︶. 猿の一つ松の枝にゐたるかた/やよいかに友にましらてた、ひ. きこのみてくへは腹ふくれけり 000. さるの木実をもちたるかたに/うまけれとくはぬそくふにま 00. とり忍ひ妻をやまつのこかくれ. ﹁石上稿﹂﹁自撰歌﹂とも物名とは断っていないが、﹁ましら﹂. 000. さるへきこのみてくへははらふくる也︵﹁鈴屋集﹂十五−64︶. やよ如何に友に交じらでただ独り忍び委をや松の木隠れ. ︵﹁自撰歌﹂十八271︶. の物名であろう。 67 〓七九八年︶. 129. 猿のこのみを持たる絵に/うまけれとくはぬそくふにまさるへ. きこのみてくへは腹ふくれけり. き000. 竹のもとに岩のあるうへに亀のゐたる絵に/あひにあふ千世の. ︵﹁石上稿﹂十五−492︶. ためしにともにこそならへてひかめ竹もいはほも. にともにこそならへてひかめ竹も巌も︵﹁鈴屋集﹂十五−155 ︶. 竹のもとに岩あるうへに亀のゐたる/あひにあふ千代のためし. 会ひに会ふ千代の例に共にこそ並べて引かめ竹も巌も. ︵﹁白撰歌﹂十人−280︶ 00. ためしにともにこそならへてひかめ竹もいはほも. 竹のもとに岩のあるうへに亀のゐたるゑに/あひにあふ千世の. 64 〓七九七年︶. ︵﹁石上稿﹂十五−531︶. 00. ︵﹁自撰歌﹂十八−276︶. 顔はしもよに赤けれど子を思ふ心の閤は照らさざるらし. のやみはてらささるらし. 猿の子をいたきたるゑに/かほはしもよに赤けれと子を思ふ心. のやみはてらささるらし. 猿の子をいたきたるゑに/かほはしもよに赤けれと子を思ふ心. くれけり ︵ふくるなり︶. 美味けれど食はぬぞ食ふに優︵まさ︶ るべき好みて食へば腹ふ. ︵﹁膏簡集﹂十七−293︶. ︹は︺ くふにまさるべ ︹し︺ このみてくへははらふくれけり. 00. 猿のこのみを持て口にくはんとする絵の賛/うまけれとくはぬ. そ.
(16) これを載せる三資料とも物名とは断っていないが、﹁かめ﹂ を読み込んでいるのであろう。. この頃の雨に洗ひて珍しく今日は干したる布引の山 5 〓七七二年︶. におこせたる。かのさだすぎ人のなるべし。けふの花のおもし. そのよさり。かのをはり人の宿より。うたふたつかきて。見せ. ろかりしよしありければ。かへし。/よしの山ひる見し花のお. 氾 狂歌 1 〓七五五年︶. しの名。霞月とありければぞかし。. もかげもにほひをそへてかすむ月影。かくよめるは。かの歌ぬ カゲソ. のよにもおほく侍る物かなととかめけれは/あやなきといふあ. もこそはねぎこときかぬ神ならめ耳なし山にやしろさだめて。. 此みゝなし山。今は天神山ともいひて。その社ありとぞ。/さ. 6 〓七七二年︶. 吉野山昼見し花の面影も匂ひを添へて霞む月影. ︵﹁菅笠日記﹂十人−349︶. やつかれか此ころよめる歌共を見てある人のあやなきといふ詞 やなきはあやなきにあやなしと見る人そあやなき ︵﹁石上稿﹂十五−225︶. 2 ︵一七六一年︶. かの竪児が身なげけん。耳成の弛も。此わたりにや有けん。今. ミワ. 、・、一ご√ナシ. びはえものせで、三輪にまうでてかへらむとてゆくに、耳無山. こ∴二. ︹け︺ 山は︼ とほめけむもげにさる畢なりかし/鴬のつくるも. きかぬみ、なしの山よ春とはいがてしりけむ、. 130. 文築きと言ふ文無きは文簸きに文無しと見る人ぞ文無き. て/かきつめてけふに暮ぬる戟年も大和言葉のもしのかす︿. 什一になりける年の幕に月ころよめる歌ともものにかきつくと. も道のべに地はあれど。/いにしへのそれかあらぬか耳なしの. いにしへのそれかあらぬか耳なしの池は訪ふとも知らじとぞ思. 池はとふともしらじとぞ思ふ。 ︵﹁菅笠日記﹂十八−374︶. ︵﹁石上集﹂十八79︶ 3 〓七六三年︶. 7 〓七七二年︶ 奈良. ならのかたへはこゝより当麻、立田をへて行といヘビ、このた. タイマタック. 告きつめて今日に暮れぬる我が年も大和言葉の文字の数々 三月十三日阿射加山にてよめる此山を袖岡山といふよしなり/ 名のみして風もふせかぬ袖をかの山のさくらはちりはてにけり ︵﹁石上橘﹂十五−272︶. 左のかたに小とちかし、みどりのいろふかく木のめも春のけし. 名のみして風も防がぬ袖岡の山の桜は散り果てにけり 4 〓七七二年︶. き漑、育す︹げ︺山︻万〓藤原御井の長歌 みゝなしのあをす. ﹁列引−カ. やう︿空はれて。布引の山も。こし方はるかにかへり見らる。 ︵﹁菅笠日記﹂十八336︶. /此ごろの両にあらひてめづらしくけふはほしたる布引の山。. カ.
(17) ︵﹁ゑふくろの日記﹂別三−11︶ えむ. ︵﹁鈴屋集﹂十五−61︶. は/竹の子の子の子の子まておひそひて千尋の陰は千世にさか. 村田橋彦母の九十賀に寄竹祝その人やしは子まてもたりときけ. 鷺の告ぐるも聞かぬ耳無しの山よ春とはいかで知りけむ 8 〓七八一年︶. む. は/竹の子の子の子の子まておひそひて千尋の陰は千世に栄え. いてなれは翁をもいさなひ物して花なと見せんと思ひまうけつ. としころ古きゝ山といふ処に庵をしめおきける、此たひよきつ. 12 〓七八九年︶. 筍の子の子の子まで生ひ添ひて千尋の陰は千代に栄えむ. ︵﹁自撰歌﹂十八−255︶. 御世の名天明とあらたまりける串をうけ給はりて/岩戸明し光 ︵﹁石上稿﹂十五1418︶. もさらにおもほえてあめ明らけき御世のたふとさ 00. 9 〓七八二年︶. るを、ほとなき旅居なれはさることもえせて、口をしう思ふよ. 岩戸開けし光も更に思ほえで天明らけし御世の尊さ のもし十ある歌/秋のののしのの小笹の青紫のみ霜ののちまて. しいひてそこなりける桜ををらせてそへたりける. 00. ︵﹁石上稿﹂十五−425︶. 00. 0 のこる冬枯. め/かへし 翁/きのふまて音にも聞ぬおとき、の山の桜を見. 高門/音きゝの山のふもとの桜花手をりまつるはわかうしのた. 00000. 秋の野の篠の小笹の青葉のみ霜の後まで残る冬枯れ 10 〓七八九年︶ ンンモクジ. 廿七日なこ屋をたちてかへるに甚目寺といふ所まて人々おくり. ︵﹁藤のとも花﹂別三−22︶. らくしよしも/. 岩崎某正月に清水寺の滝のもとにてかしらおろして名も春水と. 13 〓七九一年︶. 来たるか別るとて皆人も歌よみけるに/いかにせむなこ屋はな. ︵﹁石上稿﹂十五−455︶. 昨日まで音にも聞かぬ晋聞きの山の桜を見らくしよしも. とそいふ. れてはため寺はなはた惜しきけふの別を/甚目寺ははためてら ○ 如何にせむ名古屋離れて甚目寺甚だ惜しき今日の別れを. ︵﹁自撰歌﹂十人−263︶. ないさきよき影. つきたるによみておくる/うきよ出て見し初春の水鏡心もさそ. る。. 14 ︵一七九一年︶. 憂き世出で見し初春の水鏡心もさぞな潔き影. 寺の名にちなんで和歌では用いない ﹁はなはだ﹂を使ってい 11 〓七八九年︶. ︵﹁白撰歌﹂十人1264︶. 来ても見よ床は錦の花の露涙も色にうつら鳴く野を. 露涙もいろにうつらなく野を. 秋の野の花の中に鶉をかきたるゑに/きても見よ床は錦の花の. 00. 村田橋彦母九十賀寄竹祝 その人やしは子まてもたりときけは /竹の子の子の子の子まて生そひて千尋の陰は干世に栄えむ ︵﹁石上稿L十五−456︶ 村田橋彦母の八十賀に寄竹祝その人ヤしは子まてもたりときけ. 131.
(18) る、卦﹂㌣レまみちまもるてふ神なれはかへる浦わのあしはやま. 猶舟より物し給ふこそよからめといへは、たはふれてよみ給へ. にまうて給ひしをり、足のけおこりてくるしうしたまひぬれは、. 15・16 〓七九四年︶. めやとある、をかしうて/かへるさの道あなかちにくるしまて. ﹁映る﹂と﹁鵜﹂の掛詞。. 円引といふ所にて/はるかにもおもほゆるかなたゝ一日旅来て. 入江のあしのうらやすくこそ︵﹁なぐさの浜つと﹂別三−61︶. ﹁. にいたらんとけふは七日の市道もきぬ/とうかと十日とは仮字. もはやふる郷のそら/七日市にやとりて/三日行てとうかの国. 17川中にかかる巌は世に類少彦名の神や作りし. たびきといふ所にて/はるかにもおもほゆるかなた、一目旅来. まつ姫神社いたけその神社大屋渾姫神社なとにまうてけるいた. 閏霜月廿三日若山を立て国にかへるさまにかま山神神岡御陵つ. 19 〓七九四年︶. 18玉津島道守るてふ神なれば帰る浦わの足は病まめや. てもはやふるさとの空/七日市にやとりて/≡日行てとうかの. ︵﹁紀見のめぐみ﹂十八405︶. 凹にいたらんとけふは七日の市まてもきぬ/十日ととうかとは. けその神社の御前なる他のそり橋のいたくそこなはれ朽ちたる. にいたるへき道也. たかへれと中昔の歌に例もあれはよみつ いま三日行て和歌山. かなたかへれと中音の歌に例もあれはよみつ. ︵﹁紀見のめぐみ﹂十人−413︶. 21 〓七九五年︶. 132. を見て/木の国の神の御はしはくちにけり作りかふへき木はな き世かも. ︵﹁木路の口すさび﹂別一−579︶ eOO. 15遥かにも恩ほゆるかなただ一日旅来ても早故郷の空. 生ひ茂る松は高師の名のみして浜の真砂を払ふ下枝. みして浜のまさこをはらふ下枝︵﹁紀見のめぐみ﹂十八413︶. 此はまの松みな枝ひきくたりたり/生しける松はたかしの名の. 20 〓七九四年︶. 木の国の神の御橋は朽ちにけり作り変ふべき木は無き世かも. 宣長の言う通り歴史的仮名遣いでは﹁十日﹂は﹁とをか﹂ で. 16三日行きて疾うかの国に至らんと今日は七日の市までも来ぬ. ﹁疾う﹂とは合わない。 17・18 〓七九四年︶. 川中にいと︿大きなる岩のあやしくおもしろきかよこほれる. 西王母といふ物の絵に人の歌こひけれはよみて苦る此もの金母. 高師の浜で詠んだ歌である。. てしをりもあしの気おこりぬる事をいとひてなほ船よりこそは. くりし/かへるさはかちより物せんといへは一日目前官にまう. ともいふとあれは/今そ見る名のみこかねのはゝき、のありと. を見て/河中にか、るいはほは世にたくひすくな彦名の神やつ. と大平かいへりけれはたはふれに/玉津島遵守るてふ神なれは. 今ぞ見る名のみ金の帯木 ︵ははきぎ︶ のありとはよそに聞きし. はよそに聞し婁を. ︵﹁自拭歌﹂十人−271︶. かへる浦わのあしはやまめや︵﹁紀見のめぐみ﹂十人−406︶. 00. 翁の、けふはかへさは歩より物せんとのたまへと、かの日前官. O.
(19) しや. お月さん御前は今年十三かいえ十 ︵じふ︶ 五夜になりましたわ. 000. 22 〓七九六年︶. 姿を. みちのくのけふの細布とておくりける人に/けふそ見るけふの. ﹁お月さまいくつ、十三七つ、まだ年や若いな﹂ のわらべ歌. 今日ぞ見るけふの細布昨日まで名にのみ聞きしけふの細布. すとなとかいさめぬ. もちるを見て/名にしおはは神のいかきのさくら花ちるへから. 三月廿日からすの花見に物しけるに大かたちりすきたりける今. 26・27 〓七九七年︶. は一七世紀には確認できる。. 23・24 〓七九﹂ハ年︶. 宣長/ ︵略︶ 森の間にさくらの花のいさゝか見えけれは/浦の. ︵﹁自撰歌﹂十人−273︶. ほそ布昨日まて名に ︹音︺ のみ間しけふの細布. 先日は長寿之作ノ火打贈賜り悦申候、めつらしき草二御座候、. 名のからすにはあらてさくら花松のこのまに篤かとそ見る︵略︶. なとかいさめぬ/大ひら/手をりゆく人なけれはや神垣は枝高. /たはふれ/名にしおはは神の御垣のさくら花ちるへからすと. ︵﹁鈴屋集﹂十五151︶. 二相認御目二掛申候/ ︵略︶ ○昨日津ノ入レ歯師参り、人レ歯. 火打之御歌も見申候、おもしろく候、我等も狂歌よみ申候、末 致シ申候、殊外宜キ細工物二而、存し之外口中心持わろくもな ヒヤクソト. き物こ御座候、此歌よみ申候/火打師の狂歌/百の外へおの. からす花のさくらむ. ︵﹁香良洲の花見﹂別三−70︶ ロ00. がよはひを打出Lて石よりかたき火打うりかな/四月のころ入. 26名にし負はば神の斎垣の桜花散るべからずとなどか諌めぬ. 火. 歯といふ物をして又物よくかまるゝ事をよろこひて/思ひきや. ︵﹁石上塙﹂十五486︶. かま. 煮ゆる湯の昔に聞こゆる釜やこれ ︵鼎かも︶ 良しや悪しやは我. へかもよしやあしやは我はしらねと︵﹁石上稿﹂十五戸487︶. やこれ. あしやかまといふ物のかた寄るに/にゆる湯の音に聞ゆるかな. 29 〓七九七年︶. ﹁かみ﹂ に﹁紙﹂を掛ける。. 色衣世々重ねきて変はらずよ妹背の神の厚き契りは. せの神の厚き契りは. 紙雛といふ物をかきたるに/色衣よゝ重ねきてかはらすよいも. 28 〓七九七年︶. 27浦の名の烏にはあらで桜花松の木の間に驚かとぞ見る. ︵﹁吾簡集﹂十七317︶. 老のくち木に春過てかゝるわか葉の又おひんとは 23百の外へ己が齢を打ち出して石より硬き火打ち売かな ﹁齢 ︵よはひ︶﹂ に﹁火﹂を掛ける。. ﹁若紫﹂に﹁歯﹂を掛ける。 000. 24思ひきや老いの朽木に春過ぎてかかる若葉のまた生ひんとは. 25 ︵一七九六年︶. きやう歌/お月さんおまへはことし十三かいゑ十五夜になりま. ︵﹁書簡集﹂十七−334︶. したわしや/かいゑじといふ畢をかくし申候. 133. 0.
(20) は知らねど. 朝かほの花の絵に/われはまた鏡も見ぬをいつのまにつくろひ. ︵﹁自撰歌﹂十人−283︶. ぬらん花のあさかほ. ︵﹁自撰歌﹂十人−283︶. のねを馬ならぬうしの耳にはき、やしるらむ. 草刈童の牛にのりたるか笛を吹たるかたに/風ならてふくふえ. 35 ︵一七九九年︶. 30 〓七九七年︶. ︵﹁自撰歌﹂十人−276︶. 我はまだ鏡も見ぬをいつの間に繕ひぬらん花の朝顔. 心も清浄ならめ. 遅々といふもののゑに/衣さへ身さへ要さへあかけれはさこそ. ﹁赤心﹂を踏まえて﹁清浄﹂に﹁狸狸Lを詠み込む。. 衣さへ身さへ髪さへ赤ければさこそ心も清浄ならめ. 31 〓七九九年︶. の家をたてし茶せんの利休居士これ︵﹁鈴屋集﹂十五−155︶. 千利休といふ人の像にたはふれ歌/ちやをたてて法式たててそ. ヤせん. 狂歌/絵の上へこしをれ歌をかきそへて又はぢをさへかくそヘ. 36 ︵一八〇一年︶. ﹁馬耳東風﹂を踏まえる。. 風ならで吹く笛の音を馬ならぬ牛の耳には聞きや知るらむ. 茶を立てて法式立ててその家を立てし茶先の利休居士これ. 37 〓八〇一年︶. 絵の上へ腰折れ歌を古き添へてまた恥をさへかく添ヘヤせん. その家をたてし茶せんの利休居士これ︵﹁石上稿﹂十五−497︶. 千利休といふものの像にたはふれ歌/ちやをたてて法式たてて. 32 ︵一七九九年︶. ︵﹁石上稿﹂十五−519︶. 背の山をこゆとて/来て見れはきの川のへのいもせ山妹らは見. 双林寺の長諾庵に人々つとひて歌よみける時によめる/宣長/ ︵﹁自撰歌﹂十八−281︶. えす山の名ならし. 花もみちなつの梢も外に似すならふ林のふる寺の庭. ︵﹁京みやげ﹂別三−100︶. 来て見れば紀の川の辺の妹背山妹らは見えず山の名ならし. 花紅葉貨の梢も他に似ず双ぶ林の古寺の庭. 00. 38・39 〓八〇一年︶. 33 ︵一七九九年︶. さぬきの国なる西行ほうしの住ける跡の寺のほうしのすゝめけ. 植松ぬしの、まさこの数見ゆるまてとよみ給へる、鴨川のむか. /此外人々たはふれによめる歌共あれとわすれたり、今ひとつ. 呂/敬しまの歌はかりではふそく也のばす鼻毛をよむ人もかな. のはす鼻毛の数も見えけり/師の御歌にこたへ奉る狂歌 龍麻. ひを見渡してたはふれに狂歌 宣長/水清み二条新地の田舎客. る久の松玉の井といふ題の中の玉の井/玉の井はさきくてあれ ︵﹁自撰歌﹂十八−283︶. と西に行し人は又来てくむといはなくに 00. 玉の井は辛くてあれと西に行きし人はまた来て汲むと言はなく 34 〓七九九年︶. 134.
(21) 思ひ出てしるす/おなし時たはふれうた 宣長/そろふたり園 のかへさに池洲にて山と川とを打なかめつゝ. ︵﹁京みやげ﹂別三ユ05・106︶ 38水清み二条新地の田舎客伸ばす鼻毛の数も見えけり ﹁植松ぬしの、まさこの散見ゆるまて﹂とは植松有信の﹁行 39 揃うたり閲の帰さに池洲にて山と川とをうち眺めつつ. 水のなかれそ清き鴨川やそこのまさこの数見ゆるまて﹂。 40 〓八〇一年︶. おなL時、植松ぬしいとたかくもりたるいひを残りなくくひつ くし給ひけれは、か、るをは俗に富士の山のことしといふなる 物をいとよくこそなと人々のいひけれはよめる、ころは五月の もちはかりになん狂歌 豊秋/いつしかと恩ひしふしの白雪も ふらん五月のもちにきゆる白雪/かくよみけれは大人もたはふ. 消て跡なきけふの夕くれ/龍麻呂/富士の根の神もあやしと思 れ給ひて/六月のもちてはなうてふしのねの五月のめしもきゆ る也けり/此三ツの歌の返し 有信/もちの夜にふるてふふし. ︵﹁京みやげ﹂別三−113︶. の雪よりも消にし雪につもることのは/人々わらひあへり. ﹁富士の嶺に降り置く雪は水無月の望に消ぬればその夜降り. 六月の望ではなうて富士の嶺の皐月の飯も消ゆるなりけり. けり﹂ ︵﹃万葉♯﹄三二〇番︶を踏まえる。. 注 本居宣長のことば遊びに関する筆者の論考は以下の通り。. ・鈴屋門の言語遊戯−¶本居宣長全集﹄ の所収の﹁なぞなぞ﹂. の基礎的研究−︵﹃鈴屋学会報﹄第十八号 二〇〇二年二月︶ 十号 二〇〇二年三月︶. ・﹃本居宣長全集﹄中の﹁なぞなぞ﹂略解 ︵還川学文学﹄第四. 第七号 二〇〇二年六月︶. ・本居宣長﹃萬覚﹄中の二種の﹁なぞづくし﹂︵﹃札幌同語研究﹄. ・1本居宣長全集﹄ の﹁なぞなぞ﹂再論﹁呉雪﹂・成立・評. 語− ︵﹃鈴屋学会報﹄第二十二号 二〇C五年一月︶. 135.
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