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第25回日本骨軟部放射線研究会.indd

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-第 25 回日本骨軟部放射線研究会

会期・会場のご案内

会   期 : 2014 年 1 月 24 日 (金) 12 : 55 - 18 : 20

1 月 25 日 (土)

9 : 00 - 14 : 40

会   場 : ステーションコンファレンス東京 6F 「605」

東京都千代田区丸の内 1-7-12 サピアタワー 6F

03-6888-8080 (代表)

会場案内図

Access

● JR 新幹線東京駅日本橋口-徒歩 1 分 東京駅八重洲北口-徒歩 3 分 ● 東京メトロ 東西線大手町駅-直結 丸の内線東京駅 千代田線大手町駅 半蔵門線大手町駅 半蔵門線三越前駅 銀座線日本橋駅 銀座線三越前駅

サピアタワー周辺図

サピアタワーへのご案内

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-運 営 事 項

1. 研究会参加者へのご案内

1) 研究会受付は、 会場にて 2014 年 1 月 24 日 (金) 11 : 30 より行います。 2) 研究会参加者は参加費として \10,000 を会場受付でお支払い下さい。 引き替えに、 名札 ・ 領収書、 抄録集及び研究会出席証明書をお渡しします。 3) 本研究会での演者は日本医学放射線学会会員であることを要します。 但し、 医学生および初期臨床研修医の場合はその限りではない。

2. 演者 ・ 座長の先生方へのご案内

1) 演者の先生方へ a) 一般演題の口演時間は 7 分、 討論時間は 3 分です。 b) ご自身のノート型パソコンをご持参ください。 出力端子が MiniDsub-15 ピンでない場合、 変換ケーブルもご持参下さい。 ご発表の 30 分前までに、 PC 受付にお越し下さい。 演台にはモニタ、 マウス、 キーボードをご用意いたしますのでご自身にて操作をお願いいたします。 2) 座長へのお願い 各セッションの進行は座長におまかせしますが、 時間厳守でお願いします。

3.

フィルムリーディングの症例は、 研究会開催の 1 週間前にホームページに掲載いたします。 また、 研究会当日も会場の閲覧用モニタでご覧いただけます。 解答と解説は研究会終了後 (週明け) にホームページでも確認することができます。

4. 世話人会

日時 : 2014 年 1 月 24 日 (金) 11 : 30 - 12 : 30 会場 : 研究会会場にて 事務局 : 〒 105-8461 東京都港区西新橋 3-25-8 東京慈恵会医科大学 放射線医学講座内 E-mail : nihon-kotsunanbu@jikei.ac.jp 電話 : 03-3433-1111 (内線 3360) FAX : 03-3431-1775

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- 3 -第 25 回日本骨軟部放射線研究会 プログラム

第 1 日目 2014 年 1 月 24 日(金)

12 : 55 - 13 : 00 開会の挨拶

13 : 00 - 14 : 00 第 1 セッション 外傷 座長 常陸 真 (東北大学) 1. 大腿骨頸部骨折における pseudopathologic fracture の 1 例 岩手医科大学 放射線医学 中山 学 他 2. けいれんにより発症したと思われる両側中心性股関節脱臼骨折の一例 田主丸中央病院 放射線科 野見山 圭太 他 3. Sinding-Larsen-Johansson 症候群と鑑別を要した両側膝蓋骨 sleeve fracture 岡山済生会総合病院 放射線科 稲井 良太 他

4. bell-hammer サイン : 「術前の Cyclops 病変」 - ACL 断裂の一所見-

埼玉医科大学 放射線科 柳田 ひさみ 他 5. 足底腱膜断裂の一例 徳島大学 放射線科 河野 奈緒子 他 6. 骨膜下血腫の2例 東京歯科大学市川総合病院 放射線科 荻原 翔 他 14 : 00 - 14 : 50 第 2 セッション 良性軟部腫瘍 座長 高尾 正一郎 (徳島大学) 7. 類表皮嚢胞 (epidermoid cyst) の画像所見の検討 聖路加国際病院 放射線科 佐藤 嘉尚 他 8. Spindle cell lipoma 3 例の MRI 所見 長崎大学病院 放射線科 山口 哲治  他 9. 頸椎の腱鞘巨細胞腫の一例 大阪府立成人病センター 放射線診断科 田中 義和 他 10. 広範な骨化をきたした脂肪芽腫の一例 慶應義塾大学 放射線診断科 御須 学 他 11. Superficial Acralfibromyxoma の一例 聖路加国際病院 放射線科 赤池 源介 他 14 : 50 - 15 : 10 コーヒーブレイク 15 : 10 - 16 : 10 第 3 セッション 悪性軟部腫瘍 座長 青木 隆敏 (産業医科大学) 12. 右手の骨 ・ 皮下組織に多発した血管肉腫の 1 例 聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 放射線科 山田 隆之 他

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- 4 -13. Myxoinflammatory fibroblastic sarcoma の 2 例 札幌医科大学 放射線診断学 玉川 光春 他 14. 4 か月女児の大腿に発生した乳児型線維肉腫の 1 例 山口大学大学院 放射線医学分野 山本 真一 他 15. 右大伏在静脈より発生した平滑筋肉腫の1例 東邦大学佐倉病院 放射線科 相羽 陽介 他 16. Extraskeletal mesenchymal chondrosarcoma の 1 例 札幌医科大学 放射線診断学 河合 有里子 他 17. 骨外に形成された間葉系軟骨肉腫の一例 神戸大学病院 放射線科 後藤 一 他 16 : 10 - 17 : 10 第 4 セッション 全身性疾患 ・ その他 座長 小山 雅司 (岡崎市民病院) 18. 神経鞘腫症 (schwannomatosis) と考えられる一例 沼津市立病院 放射線科 藤本 肇 他 19. 骨髄壊死で発症した急性リンパ球性白血病の 1 例 山形大学 放射線科 大木 望 他 20. 診断に苦慮した Erdheim Chester disease の 1 例 東京歯科大学市川総合病院 放射線科 小橋 由紋子 他 21. 当初 Osteopoikilosis が疑われた乳癌のびまん性骨硬化性転移の一例 聖マリアンナ医科大学病院 放射線医学 藤川 あつ子 他 22. FDG PET-CT における肩小円筋への FDG 集積についての検討 あおもり PET 画像診断センター 佐々木 泰輔 他 23. 皮下腫瘤で発見された BCG 骨髄炎の一例 東京歯科大学市川総合病院 放射線科 藤田 将太 他 17 : 10 - 17 : 20 休憩

17 : 20 - 18 : 20 片山記念講演

座長 : 南 学 (筑波大学)

軟部腫瘍の細胞遺伝学的異常の最近の知見と診断への応用

がん ・ 感染症センター都立駒込病院 病理科 医長

元井 亨 先生

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- 5 -第 2 日目 2014 年 1 月 25 日(土)

9 : 00 - 9 : 15 話題提供 ① MRI に よる骨格筋の新解析手法 筑波大学 放射線科 岡本 嘉一 9 : 15 - 9 : 30 話題提供 ② diffusion-weighted MR neurography の臨床応用 筑波大学 放射線科 増本 智彦 9 : 30 - 11 : 00 第 5 セッション 骨腫瘍 座長 藤本 良太 (京都市立病院) 24. 尺骨骨内神経鞘腫の一例 信州大学病院 放射線科 塚原 嘉典 他 25. 骨盤骨に発生した骨内神経鞘腫の 1 例 岐阜大学 放射線科 加藤 博基 他 26. 骨発生が疑われた神経原性腫瘍の 2 例 兵庫県立西宮病院 放射線科 岩間 祐基 他 27. 典型的な画像所見を呈した orbital intraosseous hemangioma の一例 防衛医科大学校 放射線医学講座 寺村 易予 他 28. 類骨骨腫と鑑別が必要であった大腿骨頚部線維性骨異形成の 1 例 岡山大学 放射線科 郷原 英夫 他 29. 興味ある経過を示した上腕骨骨肉腫の一例 東京大学病院 放射線科 國松 聡 他 30. 診断に難渋した肩甲骨原発の悪性リンパ腫の一例 東北大学病院 放射線診断科 越智 純子 他 31. 仙骨血管内皮腫の1例 四国がんセンター 放射線診断科 梶原 誠 他 32. Denosumab による治療が奏功した巨細胞腫の画像所見について がん研究会有明病院 画像診断部 植野 映子 他 11 : 00 - 11 : 20 休憩 11 : 20 - 12 : 20 第 6 セッション 関節疾患 ・ その他 座長 杉本 英治 (自治医科大学) 33. 顎関節に発生したピロリン酸カルシウム結晶沈着症の一例 産業医科大学 放射線科 寺澤 岳 他 34. 人工肘関節置換後 metallosis の1例 北海道大学大学院 医用生体理工学分野 神島 保 他

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- 6 -35. 乾癬患者における Dactylitis の MRI 島根大学 放射線科 福庭 栄治 他 36. 抗 TNF- α抗体製剤で治療を行った乾癬症性関節炎患者 4 例の MRI を用いた治療効果判定 東京慈恵会医科大学 放射線医学講座 東條 慎次郎 他 37. 変形性股関節症における股関節痛と滑膜炎との関連について : 造影 MRI と股関節鏡所見による検討 東京慈恵会医科大学 放射線医学講座 川上 玲奈 他 38. 大腿直筋に生じた石灰性腱炎の 9 例 聖路加国際病院 放射線科 堀内 沙矢 他 12 : 20 - 12 : 30 休憩 ・ 弁当配布 12 : 30 - 12 : 40 事務局報告 事務局  福田 国彦 12 : 40 - 12 : 50 フェローシップ報告 東京歯科大学市川総合病院 小橋 由紋子 12 : 50 - 14 : 40 フィルムリーディングセッション 司会  南 学 (筑波大学)

14 : 40 閉会の挨拶

当番世話人  南 学 (筑波大学)

病理コメンテータ 蛭田 啓之 (東邦大学医療センター佐倉病院) 元井 亨  (がん ・ 感染症センター都立駒込病院) 山口 岳彦 (自治医科大学)

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抄 録 集

第1日目

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- 7 -1 月 24 日 (金)

13 : 00 - 14 : 00 第 1 セッション 外傷

座長 常陸 真 (東北大学)

1. 大腿骨頸部骨折における pseudopathologic fracture の 1 例

〇 中山 学1) 加藤 健一1) 名嘉山 哲雄1) 中里 龍彦1) 江原 茂1) 田島 育郎2) 青木 裕2) 無江 良晴3) 佐藤 孝3) 1) 岩手医科大学 放射線医学 2) 同 整形外科 3) 同 病理学 症例は 50 歳代、 女性。 自転車乗車時にバランスを崩して転倒し左股関節痛を生じた。 近医を救急受診、 単 純 X 線写真にて Garden Ⅳの左大腿骨頸部骨折と診断された。 手術目的に当院整形外科紹介となったが、 入 院時の単純 X 線写真で左大腿骨頭外上方に骨吸収を認め病的骨折が疑われた。 CT、 MRI でも骨折部に骨 吸収が明らかであった。 X 線透視下に経皮的針生検が施行されたが悪性像を認めなかった。 また悪性腫瘍の 全身検索でも明らかな病変を認めなかった。 大腿骨頭置換術が施行され、 手術、 病理所見ともに悪性病変が ないことを確認した。 このような pseudopathologic fracture は骨折時に回旋した骨頭が臼蓋と大腿骨により圧潰 することが原因とされている。 画像所見の特徴は骨折の評価に重要である。

2. けいれんにより発症したと思われる両側中心性股関節脱臼骨折の一例

〇 野見山 圭太1) 鬼塚 英雄1) 橋詰 隆弘2) 松本 佳久3) 1) 田主丸中央病院 放射線科 2) 同 整形外科 3) 同 脳神経外科  けいれんに伴う筋の強い収縮によって、 稀に骨折をきたす事が報告されている。 今回、 けいれん後に見られ た両側の中心性股関節脱臼骨折の1例を経験したので、 画像所見に文献的考察を加え報告する。  症例は 70 歳代、 男性。 受診前日の昼間は普段通り生活していた。 その日の深夜、 何度も家族に電話か け、 訳の分からない話を繰り返していた。 翌朝、 家族が訪れると、 前記症状に加え、 動けないほどの強い腰 背部痛があった。 家族が救急車を要請し、 当院に搬送され入院した。 搬送中に痙攣発作が 30 秒ほど見られ た。 異常な言動はせん妄によるものと判断し、 内服治療で 4 日ほどで改善した。 腰背部痛に関しては MRI に て Th7 椎体に新鮮な圧迫骨折が見られた。 骨盤部の痛みも強く、 単純 X 線を施行したところ、 両側臼蓋部に 骨折が見られた。 骨盤部周囲や両下肢に明らかな外傷はなく、 骨盤骨折は外傷ではなく、 けいれんに伴う骨 折と考えられた。

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- 8 -3. Sinding-Larsen-Johansson 症候群と鑑別を要した両側膝蓋骨 sleeve fracture の 1 例

〇 稲井 良太1) 戸上 泉1) 桐田 由季子2) 林 正典2) 1) 岡山済生会総合病院 放射線科 2) 同 整形外科 症例は 13 歳の男性。 ハードル跳躍時に両膝関節痛を自覚し、 整形外科を受診。 単純写真では両側に膝蓋 骨高位を呈し、 膝蓋骨下極近傍に淡い高濃度を認め、 CT も同部位に線状高吸収構造を認めた。 MRI では膝 蓋骨下極周囲に脂肪抑制 T2WI にて高信号域を呈した。 両側膝蓋骨 sleeve fracture の診断で手術施行。 両側膝蓋骨は下極では骨折し、 前面では大腿四頭筋腱から 剥離し、 完全に遊離していた。

両 側 発 生 と い う 稀 な 発 症 形 式 を 呈 し た 膝 蓋 骨 sleeve fracture の 1 例 を 経 験 し た の で、 Sinding-Larsen-Johansson 症候群との相違もふまえ、 文献的考察を加えて報告する。

4. bell-hammer サイン : 「術前の Cyclops 病変」 - ACL 断裂の一所見-

〇 柳田 ひさみ1) 坂口 勝信2) 後藤 建2) 立花 陽明2) 池田 耕太郎3) 新津 守1) 1) 埼玉医科大学 放射線科 2) 同 整形外科 3) いちはら病院 整形外科 Cyclops 病変は前十字靭帯 ACL 再建術後の脛骨骨孔直上に生じる線維性膨隆として有名であるが、 術前に も同様の所見が生じうる。 これは ACL 断裂の、 おもに anteromedial bundle の部分断裂例に生じ、 断裂して めくれ上がった線維組織が塊状となり、 内視鏡でも MRI でも Cyclops 病変のように見られることがある。 bell-hammer サインと命名され、 頻度は ACL 断裂例の数%と言われる1) 。 当院の最近 3 年間および演者の関連す る病院の最近 1 年間に、 MRI レポートでの診断名 「ACL 断裂」 をキーワードに検索したところ、 278 例 (内視 鏡未実施症例含む) が検索された。 bell-hammer サインを探索、 13 例が合致した (4.7% 13-49 歳、 男 8 例 女 5 例)。 いずれも矢状断で残存 ACL の直上に数 mm-1cm 弱の塊状の低信号域が見られ、 冠状断、 横断像 でも確認された。 鑑別としては antrior plica (ligamentum mucosa) や増生滑膜と考えられた。 1. Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc 2013 DOI 10.1007/s00167-013-2511-2

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-5. 足底腱膜断裂の一例

〇 河野 奈緒子1) 原田 雅史1) 高尾 正一郎2) 上野 淳二2) 西良 浩一3) 鈴江 直人4) 1) 徳島大学 放射線科 2) 同 保健学科 3) 同 運動機能外科 4) 徳島大学病院 整形外科  症例は20歳代後半の男性。 約1年前より左足底腱膜炎と診断され、 ステロイド局注を含む治療を受けていた。 サッカー練習中にバックステップからの切り返し動作で左踵に弾けた感じとともに激痛を自覚。 踵骨内側結節か ら足底腱膜に圧痛を認めた。 受傷2日後の MRI 脂肪抑制併用 PDWI にて足底腱膜の踵骨付着部および付着 部から約 10mm 遠位にかけて不連続、 腫張および信号上昇を認め、 断裂と診断。 足底板や PRP (多血小板 血漿注入) 療法などの治療やリハビリを行い、 受傷後約 4 か月で跳躍開始にまで改善した。 本症例に対し脂 肪抑制併用 PDWI や T2WI を中心に経過観察を行い、 足底腱膜の腫張や信号上昇が次第に軽快する様子が 観察された。 足底腱膜断裂はステロイド注射を受けた患者にしばしば遭遇する疾患である。 本疾患について受 傷前、 受傷直後およびその経過について複数回の画像的な経過観察が行えたので、 身体所見の経過とも併 せて報告する。

6. 骨膜下血腫の2例

〇 荻原 翔、 小橋 由紋子、 最上 拓児、 山添 真治、 馬場 亮、 藤田 将太、 青柳 裕 東京歯科大学市川総合病院 放射線科 スポーツにより生じた外傷性骨膜下血腫の 2 症例を提示する。 1 例目は13歳女児、 器械体操の着地時に膝を過伸展し受傷。 膝関節の屈曲 ・ 伸展ともに困難になった。 膝 関節単純 X 線写真では明らかな骨傷は見られなかった。 膝関節 MR では大腿骨遠位骨幹端より骨幹へ向かう 骨膜の剥離および骨膜下血腫を認めた。 2 例目は 16 歳男性、 野球のスライディング後、 足関節の疼痛を自覚し歩行困難になった。 足関節単純 X 線 写真では異常を認めず、 足関節 MR で脛骨および腓骨遠位骨幹端より骨幹へ向かう骨膜の剥離と骨膜下血腫 を認めた。 骨膜下血腫は文献上眼窩内骨折に伴う症例報告が多くみられるが、 長管骨に発生する報告は少ない。 本症例 は骨端線閉鎖前の小児に発生しており、 骨端線近傍に付着している筋肉の牽引力によって骨膜が剥離したも のと考えられる。 また骨端線損傷の合併の可能性もあり、 合わせて注意が必要と思われる。

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- 10 -1 月 24 日 (金)

14 : 00 - 14 : 50 第 2 セッション 良性軟部腫瘍

座長 高尾 正一郎 (徳島大学)

7. 類表皮嚢胞 (epidermoid cyst) の画像所見 の検討

〇 佐藤 嘉尚1) 野崎 太希2) 松迫 正樹1) 堀内 沙矢1) 赤池 源介1) 衛藤 光3) 松井 瑞子4) 大竹 尚之4) 鈴木 髙裕5) 齋田 幸久1) 1) 聖路加国際病院 放射線科 2)Department of Radiological Sciences, University of California, Irvine 3) 聖路加国際病院 皮膚科 4) 同 形成外科 5) 同 病理診断科

 Epidermoid cyst (以下 EC) は良性の表在軟部腫瘤である。 多くの症例は臨床診断のもと手術が行われ、 画像の報告は少ない。 今回、 当院で手術された症例の画像所見を後方視的に検討したので報告する。  対象は 2008 年1月から 2012 年 12 月に当院で手術され、 術前に超音波、 MRI 検査が実施された 45 例 (男 : 女 =33:12, 年齢 9-75 歳 平均 47 歳)。 超音波検査は 35 例、 MRI 検査は 17 例で施行されていた。 放射線科 医 2 名が腫瘤の内部エコー輝度、後方エコー増強の有無、辺縁性状、内部信号、拡散制限の有無等を検討した。  内部は 20% が高エコー、 43%が等エコー、 37% が低エコーであった。 86%の症例で後方エコーの増強が認 められた。 78% は内部エコーが不均一、 89% で境界は明瞭であった。 脂肪抑制併用 T2 強調画像では 82% が 高信号を呈し、 T1 強調画像では信号は様々だった。 拡散強調画像が撮影された 10 例中 7 例で拡散制限が 見られた。  後方エコーの増強、 T2 強調画像での高信号、 拡散制限は EC の診断に有用な所見と考えられる。

8. Spindle cell lipoma 3 例の MRI 所見

〇 山口 哲治1) 小池 玄文1) 上谷 雅孝1) 富田 雅人2) 尾崎 誠2) 木下 直江3) 林 徳真吉3) 福岡 順也3) 1) 長崎大学病院 放射線科 2) 同 整形外科 3) 同 病理部  症例 1: 70 代男性。 左頚部から外方に突出する巨大な軟部腫瘤にて受診。 MRI では索状構造を伴う脂肪成 分が主体の腫瘤として描出された。 脂肪肉腫が疑われ切除術が施行された。  症例 2: 60 代男性。 左上腕の軟部腫瘤にて受診。 T2 強調像で粘液成分を示唆する著明な高信号を示し、 低信号の隔壁状構造を伴っていた。 脂肪成分はわずかに認められた。 粘液型脂肪肉腫が疑われ切除術が施 行された。  症例 3: 60 代男性。 変形性頸椎症にて撮像した MRI で後頚部に軟部腫瘤が指摘された。 T2 強調像で粘液 成分を示唆する著明な高信号を示し、脂肪成分は認められなかった。 粘液腫などが疑われ切除術が施行された。  3 例の病理所見との対比では、 脂肪組織や線維性組織、 粘液腫状基質などの多寡を反映して様々な MRI 所見を呈すると推察された。 粘液型を含む脂肪肉腫、 粘液腫などとの鑑別が必要な腫瘍と思われ、 その MRI 所見を中心に報告する。

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-9. 頸椎の腱鞘巨細胞腫の一例

〇 田中 義和1) 中西 克之1) 大島 和也2) 荒木 信人2) 1) 大阪府立成人病センター 放射線診断科 2) 同 整形外科 症例は 60 歳代女性、 特記すべき既往歴、 家族歴なし。 全身検診で PET-CT 施行されたところ椎体 C 2後方 に SUVmax=10.1 の異常集積を示す腫瘤があり、 精査加療の目的で当院の整形外科を受診された。 CT では C 2棘状突起部に長径 25mm の分葉状の軽度造影される腫瘤をみとめた。 MRI では C 2棘状突起上方に黄色 靭帯と連続するように分葉状の T1WI で筋と同程度の信号、 T2WI で低信号の均一な造影効果をしめす腫瘤を 認めた。 鑑別診断の第一にデスモイド腫瘍を疑った。 その後、 頸部腫瘍切除術施行された。 術中、 腫瘍は黄 色靭帯に強固に癒着していることが認められた。 病理検査で腫瘍は、 組織球様単核細胞、 泡沫細胞、 多核 巨細胞の混在とわずかな巨細胞からなり、 腱鞘巨細胞腫と診断された。 腱鞘滑膜の増殖性疾患である腱鞘巨細胞腫は手指の指節間関節周囲の腱鞘に隣接して発生する例が多く、 頸椎の腱鞘巨細胞腫は非常に稀である。 今回以上の症例を経験したので報告する。

10. 広範な骨化をきたした脂肪芽腫の一例

〇 御須 学1) 松本 俊亮1) 南 康大1) 小黒 草太1) 杉浦 弘明1) 大杉 圭2) 白神 伸之3) 森岡 秀夫4) 佐々木 文5) 栗林 幸夫1) 1) 慶應義塾大学 放射線診断科 2) 公立福生病院 放射線科 3) 東邦大学医療センター大森病院 放射線科 4) 慶應義塾大学 整形外科 5) 慶應義塾大学病院 病理診断部 症例は 11 歳男児。 右大腿背側の腫瘤に気付き近医受診した。 触診では同部に可動性の無い硬い腫瘤を触 知し, X 線写真では大腿骨背側に境界明瞭, 辺縁分葉状の骨性の腫瘤を認めた。 MRI では大腿二頭筋を中 心に径 72 × 48mm 大の腫瘤を認め, 腫瘤の辺縁は T1 強調像、 T2 強調像ともに石灰化、 骨化を思わせる低 信号を示し、 内部は共に高信号を示し, 脂肪抑制像で信号の抑制がみられ, 脂肪性腫瘍が示唆された。 腫 瘍摘出術が施行され, 肉眼的には被膜を有し, 辺縁中心に骨化した黄色調で分葉状の脂肪性腫瘍で, 顕微 鏡的には類骨や骨梁の間に浮腫状間質を伴う未熟な間葉系細胞や成熟脂肪組織が充満していた。 増生する 間葉形細胞は紡錘形, 星芒状で組織異型及び核分裂像は認められなかった。 これらから脂肪腫への成熟及 び骨化を伴う脂肪芽腫と診断された。 脂肪芽腫に広範な骨化をきたすことは稀な所見と考えられ, 文献的考察 を加えて報告する。

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-11. Superficial Acralfibromyxoma の一例

〇 赤池 源介1) 野崎 太希2) 松迫 正樹1) ド ・ ケルコフ麻衣子3) 松井 瑞子3) 大竹 尚之3) 鈴木 高祐4) 齋田 幸久1) 1) 聖路加国際病院 放射線科 2) カリフォルニア大学アーバイン校 放射線科 3) 聖路加国際病院 形成外科 4) 聖路加国際病院 病理診断科 Superficial Acralfibromyxoma は成人の四肢末端に発生し、 緩徐に成長する稀な良性軟部腫瘍である。 病理 学的には CD34 陽性の紡錘形や星芒形の細胞の増殖が特徴である。 症例は 50 歳代男性、 約5年前に他 院にて右第 5 趾先端部の皮膚腫瘍に対する部分切除術を受けるも残存病変が徐々に増大し当院受診となっ た。 単純 X 線では右第5趾先端部に末節骨の erosion を伴う 20 × 15mm 大の比較的明瞭な腫瘤性病変を認 め、 MRI では T2WI で不均一な高信号、 T1WI では均一な低信号を呈し、 比較的均一かつ強い増強効果を 認めた。 Glomus 腫瘍や血管周皮腫等の血管原生腫瘍を鑑別の上位に挙げた。 術後病理検査にて Superficial Acralfibromyxoma と確定診断した。 画像所見に関する報告はほとんどなく、 術前に造影 MRI が撮像された貴 重な一例と考えられ報告する。

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- 13 -1 月 24 日 (金)

15 : 10 - 16 : 10 第 3 セッション 悪性軟部腫瘍

座長 青木 隆敏 (産業医科大学)

12. 右手の骨 ・ 皮下組織に多発した血管肉腫の 1 例

〇 山田 隆之1) 丸山 泰貴1) 冨田 隼人1) 村上 健司1) 橋本 一樹1) 田澤 陽子1) 熊野 玲子1) 笹 益雄2) 相田 芳夫3) 竹山 昌伸4) 1) 聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 放射線科 2) 同 整形外科 3) 同 病院病理部 4) 神奈川県立がんセンター 骨軟部腫瘍外科 40 歳代、 男性。 7 ヶ月前から右小指から手掌に軟部腫瘤を自覚していた。 右手小指の MP 関節の疼痛と腫瘤 の出現を自覚した。 腫瘤は徐々に増大し、 2 ヶ月後近医を受診し、 当院に紹介された。 単純撮影では、 第 5 中手骨頭に膨隆性の溶骨性病変を認めた。 骨皮質は erosion を示し消失している部分もあるが、 破壊は明らか とは言えなかった。 CT では、 他に第 2,4 中手骨頭、 第 2,3 中手骨底、 豆状骨に境界明瞭な骨透瞭性病変を 認め、 一部 sclerotic rim を呈していた。 MRI では、 上記病変が T1WI にて低信号、 T2WI にて中等度から高 信号を示していた。 さらに、 皮下組織にも似たような信号を示す結節病変を複数認めた。 腫瘍性病変が疑わ れたものの、組織診断の推定には至れず、他院に紹介生検となった。 組織学的には著明な血管増生が見られ、 血管周囲には大型細胞が増殖し、 核異型がやや目立った。 腫瘍細胞は、 CD31,CD34 陽性、 S100,SMA が一 部陽性。 Ki-67 index が 20% 以上と高値で血管肉腫と診断され、 後日切断術が施行された。

13. Myxoinflammatory fibroblastic sarcoma の 2 例

〇 玉川 光春、 河合 有里子、 山 直也、 庄内 孝春、 佐藤 大志、 荒谷 和紀、 小野寺 麻希、 浅井 真友美、 畠中 正光 札幌医科大学 放射線診断学 【症例 1】 10 歳代 男性。 【主訴】 右第 3 趾腫脹 【現病歴】 平成 11 年 7 月頃右足背部に 1cm 大の腫瘤を自 覚。 切除後再発し、 第 2 趾から第 4 趾まで広がる足背の腫瘤となった。 圧痛があった。 【画像所見】 CT では 石灰化を伴わない軟部腫瘤で、 MRI では境界がやや不明瞭。 T1 強調画像では筋と等信号、 T2 強調画像で はやや不均一な高信号であり、良好に造影された。 【症例 2】 40 歳代 女性。 【主訴】 右大腿部腫瘤 【現病歴】 平成 24 年 10 月右大腿部の腫瘤を自覚し、 某医受診後、 当院整形外科を紹介された。 右大腿近位外側皮下 に 1.5cm 大の腫瘤を触知した。 【画像所見】 MRI では境界明瞭な腫瘤で、 T1 強調画像で筋よりやや高信号、 T2 強調画像で不均一な中等度信号を示し、良好に造影された。 わずかに筋膜に沿った染まりがみられた。 【病 理診断】 症例 1,2 とも Myxoinflammatory fibroblastic sarcoma であった。

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- 14 -14. 4 か月女児の大腿に発生した乳児型線維肉腫の 1 例

〇 山本 真一1) 原田 祐子1) 徳田 修1) 河野 裕夫2) 池田 栄二2) 下村 麻衣子3) 村松 慶一4) 松永 尚文1) 1) 山口大学大学院医学系研究科 放射線医学分野 2) 同 病理形態学分野 3) 同 小児科学分野 4) 同 整形外科学分野 乳児型線維肉腫は、 乳幼児の四肢あるいは体幹に好発し、 成人型線維肉腫と比べて予後が良好な稀な腫瘍 である。 今回、 我々は、 4 か月の女児の左大腿部に発生した乳児型線維肉腫を経験したので、 若干の文献的 考察を加えて報告する。 患者は左大腿部腫瘤を主訴に当院小児科を受診したが、単純 X 線写真では明らかな石灰化は見られなかった。 MRI にて左大腿内側に 28 × 37 × 42mm 大の境界明瞭な腫瘤を指摘された。 内部は複数のコンパートメント から成り、 T2 強調像で低~強い高信号が混在する不均一な信号、 T1 強調像でも一部高信号がみられ、 出血 が示唆された。 脂肪抑制造影 T1 強調像では充実性腫瘍を思わせる不均一な造影効果があり、 内部には嚢胞 成分と思われる非造影域が認められた。 生検にて乳児型線維肉腫と診断され、 化学療法後に広汎全摘術が行 われた。 摘出腫瘍では一部線維化を伴って紡錘形腫瘍細胞が密に増生し、 さらに偽嚢胞状の腔、 腫瘍内出 血が認められた。 染色体転座 t(12;15) (p13;q26) が証明され、 乳児型線維肉腫として矛盾しない所見であった。

15. 右大伏在静脈より発生した平滑筋肉腫の1例

〇 相羽 陽介、 稲岡 努、 戸塚 華子、 古橋 春佳、 赤木 孝暢、 北村 範子、 小田島 正幸、 粕谷 秀輔、 中塚 智也、 笠井 ルミ子、 工藤 秀康、 徳山 宣* 、 蛭田 啓之* 、 磯部 公一、 寺田 一志 東邦大学佐倉病院 放射線科、 * 病理部 【症例】 70 代、 女性 【主訴】 右大腿部の無痛性腫瘤 【現病歴】 半年ほど前に主訴に気づき、 増大傾向を認 めた 【画像所見】 右大腿部皮下脂肪織内に 35 × 40mm 大の境界明瞭な腫瘤を認め、 T2WI で不均一な高 信号、 T1WI で均一な中等度信号、 造影 T1WI で辺縁部に造影増強効果、 近位側に血管と思われる索状構 造が連続していた。 超音波検査で右大伏在静脈が拡大し、 連続を有す低輝度の分葉状腫瘤であった。 静脈 浸潤を示す悪性軟部腫瘍が疑われ、広範腫瘍切除術を施行 【病理所見】 大伏在静脈発生の平滑筋肉腫 【結 語】 血管発生の平滑筋肉腫は稀で、 大伏在静脈発生の画像報告は散見されるのみである。 本症例は右大伏 在静脈との関係が明瞭に描出され、 貴重な症例と考えられるため文献的考察を加えて報告する。

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- 15 -16. Extraskeletal mesenchymal chondrosarcoma の 1 例

〇 河合 有里子、 玉川 光春、 山 直也、 庄内 孝春、 佐藤 大志、 荒谷 和紀、 小野寺 麻希、 浅井 真友美、 畠中 正光 札幌医科大学 放射線診断学 【症例】 40 歳代、 女性。 【主訴】 右下腿部痛。 【現病歴】 約一年前に右下腿腫瘤に気付くも放置。 最近右下 腿部痛が出現し、 某整形外科受診。 MRI で、 右下腿腫瘤を指摘され、 当院整形外科受診。 【画像所見】 右 下腿単純 X 線写真の側面像で網状結節状の石灰化を認めた。 MRI ではヒラメ筋内に境界明瞭な 3.8 × 3.9 × 15.0cm の腫瘤を認めた。 細かな結節の集合のような形態で、 T1 強調画像では筋とほぼ同様で小さな高信号 域を含み、 T2 強調画像では中等度信号の多数の結節からなり、 周囲に高信号の被膜状構造を認めた。 造影 により良好に増強された。 拡張した血管と、 周囲の筋の浮腫が認められた。 膝窩静脈内進展が認められ、 胸 部 CT で転移が疑われた。 【経過と病理所見】 化学療法施行の後、 下腿腫瘍、 肺腫瘍とも切除が行われ、 Extraskeletal mesenchymal chondrosarcoma と診断された。

17. 骨外に形成された間葉系軟骨肉腫の一例

〇 後藤 一1) 前田 隆樹1) 岩間 祐基2) 藤井 正彦3) 杉村 和朗1) 1) 神戸大学医学部附属病院 放射線科 2) 兵庫県立西宮病院 放射線科 3) 神戸低侵襲がん治療センター 症例は 72 歳 女性。 既往症は癲癇。 抗癲癇薬を常用。 10 歳ごろより右臀部の、 無痛性の腫瘤を自覚していた。 約 60 歳代前半から、 臀部腫瘤の緩徐な増大を自覚。 増大に従い、 自発痛も出現、 増悪していた。 70 歳時、腫瘤の疼痛が強くなり、近医受診。 MRI にて臀部腫瘤を指摘され、精査加療目的で当院に紹介となった。 当院の画像診断では、 単純写真で腫瘍の中心部に広範囲のやや淡い石灰化が見られた。 MRI 画像では、 T1 強調像で右臀部内に、 筋と同程度の低信号、 T2 強調像で中程度の信号、 造影 T1 強調像で、 辺縁優位に 強い増強効果が見られた。 周囲の正常組織には、 軽度の浮腫性変化があり、 周囲栄養血管の経度の拡張が 見られた。 また、 そのほかの全身検索で臀部の原発巣の他、 後腹膜内、 腹腔内、 肺、 脳に多発性転移を指 摘された。 術前の画像診断では、 軟骨系腫瘍の他、 平滑筋肉腫、 変性した神経原生腫瘍などが考えられた。 臀部原発巣の切開生検では、 骨外性間葉性軟骨肉腫と診断された。 脳転移にはγナイフと化学療法を施行後、 IFM (イフォスファミド) 治療を施行、 現在も闘病中である。 骨外性間葉性軟骨肉腫は、軟骨系肉腫の中でも極めて稀とされ、非常に悪性度が高いとされている。 本症例は、 稀な骨外原発の悪性軟骨系腫瘍で、 経過からは、 幼少期より存在していた良性軟骨系腫瘍から生じた可能性 を考えた。 若干の文献的考察を加え、 報告する。

(18)

- 16 -1 月 24 日 (金)

16 : 10 - 17 : 10 第 4 セッション 全身性疾患 ・ その他

座長 小山 雅司 (岡崎市民病院)

18. 神経鞘腫症 (schwannomatosis) と考えられる一例

〇 藤本 肇1) 西山 晃1) 小山 忠昭2) 望月 眞人2) 江口 正信3) 1) 沼津市立病院 放射線科 2) 同 整形外科 3) 同 病理  症例は 30 歳台男性。 既往歴 ・ 家族歴に特記すべきことなし。 28 歳のとき、 右下腿の腫瘤を自覚。 MRI に て神経鞘腫が示唆され、 生検された後、 経過観察となる。 その 5 年後に両下肢しびれと背部痛が出現。 脊柱 管内に多発腫瘤を認め、 摘出術を受け、 神経鞘腫の診断。 このとき MRI で頭蓋内を検索され、 右三叉神経 に造影される小腫瘤を認めたが、 聴神経には異常を認めなかった。 さらに半年後、 右下腿の病変が増大し、 摘出術が行われ、 神経鞘腫と確診された。 さらに 3 年後、 頸部の違和感が増悪し耳鼻科受診。 MRI で舌尖 および頸部に多発腫瘤を認め、 いずれも神経鞘腫と考えられた。  神経鞘腫症 (schwannomatosis) は、 神経線維腫症2型 (NF-2) の亜型とする考え方もあるが、 最近では別 個の疾患単位として位置づけられている。 本症例は、 NF-2 の診断基準を満たさず、 かつ、 “30 歳以上で2個 以上の神経鞘腫を有し、 うち1個以上が病理学的に確認されている” という診断基準に合致すると考えられる。

19. 骨髄壊死で発症した急性リンパ球性白血病の 1 例

〇 大木 望1) 菅井 幸雄1) 細矢 貴亮1) 大竹 浩也2) 上谷 雅孝3) 1) 山形大学 放射線科 2) 同 病理診断科 3) 長崎大学 放射線科  6 歳女児。 転倒を契機とした左上腕痛あり。 MRI で左上腕骨骨幹から近位骨端にかけて STIR 高信号, 中心 非造影域と周囲から骨外に及ぶ造影増強を認めた。 同部の生検で骨髄炎と診断されたが, その後, 発熱 ・ 他 の複数部位の骨痛の増強と改善を繰り返した。 左脛骨に出現した病変から骨髄穿刺が施行され, 急性リンパ 球性白血病と診断された。 その後病理を再検討し骨髄壊死と診断された。 骨髄壊死は造血系悪性腫瘍に合併 する事が多い。 骨髄壊死の MRI 所見は, 境界明瞭な種々の異常信号域や, 中心の非造影領域と造影良好 な peripheral rim を呈するといわれているが, 長幹骨の骨髄壊死の画像所見の報告は少ない。 この症例の他, 骨髄壊死が疑われる白血病の 2 症例と併せ画像所見を中心に考察する。

(19)

- 17 -20. 診断に苦慮した Erdheim Chester disease の 1 例

〇 小橋 由紋子1) 荻原 翔1) 馬場 亮1) 山添 真治1) 最上 拓児1) 田中 陽一2) 1) 東京歯科大学市川総合病院 放射線科 2) 同 臨床検査科 症例は 47 歳男性。 2009 年 3 月ごろよりめまいを自覚、 5 月にはふらつき、 複視も出現し当院受診した。 頭部 MR では両側小脳 ・ 橋 ・ 中脳に境界不明瞭な高信号域があり、 造影ではこれらの領域の一部と両側大脳皮質 下に結節状の増強効果を示した。 臨床的に多発性硬化症と診断され、年余にわたるステロイド治療を行ったが、 症状の改善は全く見られなかった。 2012 年 10 月に脳幹部生検を施行したが確定診断に至らなかった。 2013 年 9 月に他施設で PET を施行し両側下腿骨に異常集積が認められた。 2013 年 10 月に左脛骨より骨生検が 施行され Erdheim Chester disease と診断された。 Erdheim Chester disease はきわめてまれな組織球増殖性疾 患で、 主に長管骨の骨幹から骨幹端を対照的に浸潤する。 骨の症状はあっても軽度の疼痛のみであり、 骨病 変に気付かない場合も多い。 本症例も Erdheim Chester disease に特徴的な不整な骨硬化像と骨透亮像の混 在を認めたが、 頭蓋内病変との関連づけが困難であった。

21. 当初 Osteopoikilosis が疑われた乳癌のびまん性骨硬化性転移の一例

〇 藤川 あつ子1) 橘川 薫2) 倉本 賢明3) 中島 康雄1) 1) 聖マリアンナ医科大学病院 放射線医学 2) 藤沢湘南台病院 放射線科 3) 高津中央クリニック

 多発性骨硬化性転移病巣が骨シンチグラフィで異常所見を呈さなかった乳腺 invasive lobular carcinoma の症 例を経験したため提示する。

 症例は 50 歳代女性、 検診の胸部単純写真にてびまん性骨硬化性病変の出現を指摘された。 血清 ALP 値 の軽度上昇があり骨転移を念頭に精査が行われたが、 CT や骨シンチグラフィで有意な異常所見は指摘できな かった。 また軽度の副甲状腺機能亢進が見られたが骨病変を説明する程のものではなかった。 無症状であっ たことや斑状の硬化巣が散見されていたことから osteopoikilosis の可能性も考慮され一旦経過観察となったが、 その後両側乳腺の invasive lobular carcinoma が証明された。 病理的証明はされていないが経過から骨転移病 巣を見ていたものと判断された。 文献的には乳癌の硬化性転移で骨シンチグラフィ陰性の症例が幾つか報告さ れており骨病変は osteopoikilosis 様であるなど本症例に良く類似していた。 文献的考察を含め報告する。

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- 18 -22. FDG PET-CT における肩小円筋への FDG 集積についての検討

〇 佐々木 泰輔1) 笹 美奈子1) 石田 水里2) 板橋 陽子1) 赤平 秀昭1) 松尾 国弘3) 淀野 啓3) 1) あおもり PET 画像診断センター 2) 鳴海病院 リハビリテーション部 3) 同 放射線科 【目的】 PET-CT における肩小円筋への FDG 集積の頻度、 原因について検討する。 【対象・方法】 2013 年 1 月、2 月に施行された PET-CT 542 件を対象とし、小円筋への集積の有無と集積側 (左 右) ならびに SUVmax を検討した。  小円筋の集積の有無と以下の6項目について統計学的検討を加えた。 1) FDG 注射施行側、 2) FDG 注射 部位、 3) 注射時の肢位、 4) 注射後の肢位、 5) 年齢、 6) 性別  また、 集積例では注射施行側 (右、 左) と集積側 (右、 左) との関連についても統計学的に検討した 【結果】 542 件中、137 件 (25.3%) に小円筋集積を認めた。 集積の有無と1) から6) の項目には関連性はなかっ た。 注射施行側 (右、 左) と集積側 (右、 左) には有意な関連を認めた。 【結論】 肩小円筋への FDG 集積は 25%にみられた。 注射前あるいは注射後の小円筋の over-use が集積の 原因かもしれない。

23. 皮下腫瘤で発見された BCG 骨髄炎の一例

〇 藤田 将太1) 小橋 由紋子1) 荻原 翔1) 馬場 亮1) 最上 拓児1) 宮内 潤2) 1) 東京歯科大学市川総合病院 放射線科 2) 同 臨床検査科  症例は 2 歳男児。 両親が右上腕部の腫瘤に気づき当院受診となった。 腫瘤は 3cm 大の弾性軟、 可動性軽 度であり疼痛は認めなかった。 上腕骨単純 X 線写真で上腕骨近位骨幹端を中心に円形の透亮像を認めた。 MRI では上腕骨内より皮下組織へ連続する T1WI 低信号、 T2WI 高信号を呈し、 周囲の造影効果を呈する腫 瘤を認めた。これより上腕骨骨髄炎および膿瘍形成と診断した。穿刺排膿を施行し、PCR にて結核菌陽性であっ た。 患児は 18 ヵ月前に BCG 接種しており、 BCG 骨髄炎による膿瘍形成の臨床診断となった。  BCG 骨髄炎は BCG 接種後 9 ヵ月ないし 1 年半頃までに発症する。 一般的に疼痛の出現を契機に発見され ることが多い。 単発で長幹骨に多く、 X 線画像上、 骨融解像と膿瘍形成が見られるが, 確定診断には病巣か らの BCG 菌の検出、 同定が必要である。 BCG 接種後の骨髄炎は 10 万件に対して 0.2 例と極めて稀な疾患 であり、 今回腫瘤の出現から発見された 1 例を経験したので報告する。

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抄 録 集

第 2 日目

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-1 月 25 日 (土)

9 : 30 - 11 : 00 第 5 セッション 骨腫瘍

座長 藤本 良太 (京都市立病院)

24. 尺骨骨内神経鞘腫の一例

○ 塚原 嘉典1) 三井 高之1) 伊奈 廣信1) 岡島 幸紀1) 深松 史聡1) 角谷 眞澄1) 吉村 康夫2) 鬼頭 宗久2) 佐野 健司3) 1) 信州大学医学部附属病院 放射線科 2) 同 整形外科 3) 同 臨床検査部 症例は 20 歳代女性。 4 ヶ月前から特に誘因なく左肘痛を自覚するようになり受診した近医にて、 左尺骨近位 に骨病変を疑われた。 精査加療目的にて当院整形外科を受診した。 X 線単純写真にて左尺骨近位骨幹に膨 隆性で地図状の溶骨性変化を認めた。 腫瘤内部には明らかな石灰化は認めなかった。 MRI では、 筋と比較し て T1 強調像で等〜淡い高信号、 T2 強調像で淡い高信号を呈していた。 分葉状の形態で、 内側部分は骨皮 質が欠損し、 骨外腫瘤を形成していた。 造影では、 早期より濃染し、 遷延性に増強効果を認めた。 悪性腫瘍 が疑われ、 切開生検が施行された。 組織所見では、 楕円形の核と好酸性胞体を有する異型に乏しい紡錘形 細胞が索状に配列しており、 免疫染色にて S-100 が陽性であったことから、 骨内神経鞘腫と診断された。 その 後、 腫瘍切除 ・ 人工骨移植を施行された。 骨内神経鞘腫は極めて稀な原発性骨腫瘍であり、 若干の文献的 考察を加えて報告する。

25. 骨盤骨に発生した骨内神経鞘腫の 1 例

〇 加藤 博基1) 兼松 雅之1) 星 博昭2) 1) 岐阜大学 放射線科 2) 同 放射線医学 症例は 27 歳の男性。 尿膜管遺残による急性腹症の際に施行された CT で骨盤骨腫瘍を指摘された。 CT で 右股関節臼蓋に硬化縁を伴う境界明瞭な溶骨像を認め, 骨皮質が一部で欠損していた (40 × 35 × 55mm)。 T2 強調像で不均一な高信号を示し, 骨盤腔側の骨皮質を超えて軽度膨隆していた。 中心部にスリット状の造 影されない領域を認めたが,その他はびまん性に増強された。 病理組織標本で紡錘形細胞の束状配列を認め, vimentin/S-100 陽性, SAM 一部陽性, desmin/CD34/ ALK1 陰性, MIB-1 は 0 ~ 1%であり, 神経鞘腫と診 断された。 骨内に存在する神経鞘腫は骨中心性発生, 骨内の神経管発生, 軟部腫瘍の骨浸潤に分類される。 骨内神経鞘腫の報告は下顎骨が最多で, 長管骨, 椎体, 中手骨が続き, 骨盤骨は極めて少ない。 我々は稀 な骨盤骨から発生した神経鞘腫の 1 例を経験したので, 若干の文献的考察を加えて報告する。

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- 20 -26. 骨発生が疑われた神経原性腫瘍の 2 例

○ 岩間 祐基1) 後藤 一2) 大野 良治2) 杉村 和朗2) 藤井 正彦3) 1) 兵庫県立西宮病院 放射線科 2) 神戸大学 放射線科 3) 神戸低侵襲がん医療センター 症例 1 は 30 歳代、女性。 腰痛にて近医受診したところ、腰椎腫瘤を指摘され、紹介受診となる。 CT、MRI にて、 第一腰椎のほぼ全体に浸透性に浸潤し、 一部骨外にも広がる腫瘤を認めた。 腫瘍摘出術が施行され、 病理 組織所見にて神経鞘腫と診断された。 症例 2 は 70 歳代、 男性。 右第 5 趾の発赤と腫脹を認めていたが、 疼 痛や出血なども出現したため、紹介受診となる。 MRI にて、末節骨全体に浸潤し、皮下にも広がる腫瘤を認めた。 腫瘍摘出術が施行され、 病理組織所見にて MPNST と診断された。 骨発生の神経原性腫瘍は、 非常に稀である。 顎骨に好発するが、 近年は様々な部位で報告されている。 今 回の症例はいずれも、 骨全体へびまん性に浸潤しており、 神経原性腫瘍としては興味深い画像所見を呈した ため、 文献的考察を加え報告する。

27. 典型的な画像所見を呈した orbital intraosseous hemangioma の一例

〇 寺村 易予、 新本 弘、 加地 辰美 防衛医科大学校 放射線医学講座  症例は 40 歳代女性。 3 ~ 4 年前から目のかすみを自覚しており、 最近は右側の頭と頬、 目の奥が同時に痛 くなることがあった。 近医での頭部 MRI で異常を指摘され当院紹介となった。 身体所見上、 右眼球突出、 上 方障害 ・ 軽度外転障害を認めた。  CT で右眼窩上壁に 36 × 30 ㎜大の境界明瞭なすりガラス状の溶骨性病変を認め、 肥厚した骨梁と思われる sunburst 様の所見を呈していた。 MRI では T2WI で類洞を反映する高い信号域の内部に、 骨梁を示唆する線 状低信号を認め、 反応性の硬膜肥厚を伴っていた。 血管造影では外頸動脈系からの供給を認めた。 手術が 施行され、 cavenous hemangioma と診断された。

 Intraosseous hemangioma は骨腫瘍全体の 1%以下であり、 その中でも眼窩周囲の骨に発生するものはさらに 稀とされる。 典型的な画像所見を呈した一例として文献的考察を加えて報告する。

(25)

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-28. 類骨骨腫と鑑別が必要であった大腿骨頚部線維性骨異形成の 1 例

○ 郷原 英夫1) 平木 隆夫1) 藤原 寛康1) 生口 俊浩1) 松井 裕輔1) 柳井 広之2) 和田 敏明1) 淀谷 光子1) 丸川 洋平1) 小河 七子1) 内海 暢子1) 坂本 拓海1) 金澤 右1) 1) 岡山大学 放射線科 2) 岡山大学病院 病理部 症例は 19 歳男性。 2013 年 3 月扁桃腺炎にて高熱が続き、 1 週間経過したころ頚部痛と右股関節痛が出現し た。 4 月になって症状が再燃。 発熱、頚部痛は軽快するも股関節痛が持続するため近医整形外科に紹介となっ た。 類骨骨腫、 骨髄炎などを疑われ、 精査目的で骨掻爬を提案されるがラジオ波治療目的で当院に紹介され た。 X-P、 CT で右大腿骨頚部に 13mm 大の骨透亮像を認め、 周囲に骨硬化はなく皮質の一部が途絶してい た。 MRI の T2 強調像では比較的均一な高信号を呈し、 周囲に浮腫性変化を伴っていた。 骨シンチでも同部 に一致した強い集積を認めた。 類骨骨腫として一期的に治療するには非典型例であり、骨生検を行うことになっ た。 組織は形状不整な細い骨梁の間に異型のない紡錘形細胞の増生があり線維性骨異形成の診断であった。 大腿骨近位は線維性骨異形成、 類骨骨腫の好発部位であるが、 若干の文献的考察を加えて報告する。

29. 興味ある経過を示した上腕骨骨肉腫の一例

○ 國松 聡1) 森 墾1) 渡谷 岳行1) 河野 博隆2) 前田 大地3) 吉田 朗彦4) 津田 祐輔2) 篠田 裕介2) 牛久 哲男3) 大友 邦1) 1) 東京大学医学部附属病院 放射線科 2) 同 整形外科 ・ 脊椎外科 3) 同 病理部 4) 国立がん研究センター中央病院 病理科 症例は 20 歳台男性。 スポーツ中に右上腕骨骨折を受傷し, 近医にて骨折の他に上腕骨近位骨幹部に比較 的境界明瞭な骨透瞭像を指摘されたが, 良性骨病変が疑われたために保存的加療が行われた。 骨折治癒後 も上記の骨透瞭像には緩徐な拡大傾向を認めていたが, 3 年後に疼痛を自覚, 別の近医を受診し当院紹介と なった。 当院受診時の骨 X 線写真 /CT では右上腕骨近位骨幹端〜骨幹部に溶骨性および硬化性変化の双 方を示す骨破壊性腫瘤を認め, また同病変は MRI T2 強調像にて高~低信号の混在する多房性腫瘤として認 められた。 手術にて高悪性度骨肉腫と診断されたが,経過から低悪性度骨内型骨肉腫からの脱分化が疑われ, MDM2, CDK4 の共発現を確認し最終的にその診断に至った。 低悪性度骨肉腫は脱分化を経て高悪性度骨肉 腫を生じることがあるが一連の画像の報告はほとんどない。 今回我々はその一例を経験したので若干の文献的 考察を加えて報告する。

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-30. 診断に難渋した肩甲骨原発の悪性リンパ腫の一例

○ 越智 純子1) 常陸 真1) 高橋 昭喜1) 綿貫 宗利2) 保坂 正美2) 渡辺 みか3) 1) 東北大学病院 放射線診断科 2) 同 整形外科 3) 同 病理部 症例は 39 歳男性。 主訴は 2、 3 年前から徐々に増悪する左肩の痛み。 CT で左肩甲骨に不均一な骨硬化性 変化を認めた。 MRI では T1WI、 T2WI 不均一低信号を示し、 骨外にも T2WI で軽度高信号を示す病変が進 展していた。 PET-CT では SUV max 5.6 の集積を認めた。 悪性リンパ腫を疑い生検したが、 炎症細胞浸潤と 線維化のみであった。 2 ヵ月後に左恥骨にも疼痛が出現し、 左肩甲骨と同様の画像所見を認めた。 臨床経過 も合わせ SAPHO 症候群を考えた。 その後経過観察の MRI で病変の一部に縮小を認めていたが、 約 2 年後 に左腋窩リンパ節の腫大傾向を指摘され、 再度生検し diffuse large B-cell lymphoma の診断に至った。 悪性リンパ腫の中には非常に緩慢な経過をとるものがあり、 他の慢性炎症性疾患等との鑑別に難渋することが ある。 本症例も SAPHO 症候群との鑑別が問題となった一例であった。

31. 仙骨血管内皮腫の1例

○ 梶原 誠1) 菅原 敬文1) 高橋 忠章1) 酒井 伸也1) 清水 輝彦1) 細川 浩平1) 杉原 進介2) 高畑 浩之3) 1) 独立行政法人国立病院機構 四国がんセンター 放射線診断科 2) 同 整形外科 3) 同 病理科 40 歳代後半男性。 特記すべき症状、 既往なし。 仙骨左優位に長径 68mm の腫瘤を認めた。 CT にて腫瘍は分葉状で境界やや不明瞭。 硬化縁は認めず、 腫 瘍に圧排された骨皮質は菲薄化し、 一部の連続性は消失していた。 腫瘍内に明らかな石灰化は認めなかった。 MRI では T1 強調画像では筋と等信号、 T2 強調画像で軽度高信号な部位を主体に、 点状や線状の低 / 無信 号な点状索状構造が混在していた。 造影検査は施行されていない。 FDG-PET では集積が軽度であり、 一部 に中等度集積 (SUVmax=4.0) をみとめたが、 生検後の変化と区別がつかなかった。 切開生検による組織では、 紡錘形細胞の増生を認め、 免疫染色は、 CD31(+)、 CD34(weak+)、 MIB-1 標識率 10% 未満であった。一部に嚢状の拡張血管を認め、ヘモジデリンの沈着や炎症細胞浸潤、部分的に硝子化やフィ ブリン沈着を伴っていた。 以上より血管内皮腫と診断した。

(27)

- 23 -32. Denosumab による治療が奏功した巨細胞腫の画像所見について

○ 植野 映子1) 松本 誠一2) 神田 浩明3) 河野 敦1) 松枝 清1) 1) がん研究会有明病院 画像診断部 2) 同 整形外科 3) 同 病理部 再発および切除不能骨巨細胞腫に対し、抗 RANKL 抗体である Denosumab 治療の有効性が報告されているが、 治療に伴う画像の変化、 および画像と病理組織像との関連に注目した報告はない。 当院ではこれまでに切除不能例および切除困難症例に縮小を期待した術前治療として、 2 例に Denosumab 治 療が導入された。 治療前、 治療後に画像所見を比較したところ、 2 例に共通した所見として、 CT にて辺縁の 硬化の進行および MRI T2 強調画像における信号の低下が確認された。 このうち、 切除困難とされた症例は、 Denosumab 治療後に掻爬術が施行された。 組織には巨細胞腫に相当する病変が認められず、 著しい骨、 類 骨形成と紡錘形細胞の密な増生が確認された。 以上の症例につき病理および画像の関連を軸に若干の文献的考察を加えて報告する。

(28)

- 24 -1 月 25 日 (土)

11 : 20 - 12 : 20 第 6 セッション 関節疾患 ・ その他

座長 杉本 英治 (自治医科大学)

33. 顎関節に発生したピロリン酸カルシウム結晶沈着症の一例

○ 寺澤 岳1) 青木 隆敏1) 木下 俊輔1) 大木 穂高1) 林田 佳子1) 大成 宣弘1) 興梠 征典1) 於保 耕太郎2) 大矢 亮一2) 島尻 正平3) 1) 産業医科大学 放射線科 2) 同 歯科口腔外科 3) 同 第二病理 症例は 60 代女性。 3 年前から右顎関節に疼痛があり、 1 ヶ月前から増悪したため来院した。 CT では右側 頭下窩から咀嚼筋間隙に 5cm 大の腫瘤状石灰化がみられ、 周囲骨には圧排性骨吸収像や変形を認めた。 MRIT2 強調像で病変は低信号を主体とし、 造影ダイナミックでは不均一な漸増型の造影効果を呈した。 確定 診断目的の組織生検で、 軟骨化生を伴い間質に石灰化を示す結晶構造が認められ、 偏光顕微鏡にてピロリン 酸カルシウム (CPPD) 結晶を証明した。 CPPD 結晶沈着症は関節軟骨や周囲関節組織に CPPD が沈着する良 性疾患で、 高齢者に好発する。 顎関節に沈着する症例は腫瘤状石灰化を呈しやすいが、 本例はこれまでの 報告の中で最大である。 顎関節発症の CPPD 結晶沈着症について画像所見を中心に文献的考察を加えて報 告する。

34. 人工肘関節置換後 metallosis の1例

○ 神島 保1) 船越 忠直2) 畑中 佳奈子3) 松野 吉宏3) 岩崎 倫政2) 1) 北海道大学大学院保健科学研究院 医用生体理工学分野 2) 北海道大学病院 整形外科 3) 同 病理部 症例は 66 才男性。 40 年ほど前に関節リウマチを発症、 平成 14 年に右肘人工関節置換、 翌年再置換された。 その後問題なく経過していたが、 平成 24 年 6 月に右肘関節周囲腫脹あり、 近医で人工関節の緩みと水腫を 指摘され、 平成 24 年 9 月に再々置換が施行された。 術前の単純写真で上腕骨側に人工関節の緩みがあり、 CT では関節内に遊離体の形成が認められた。 MRI では T1 及び T2 強調画像で関節内は低信号であり、 関 節滑膜に造影効果は乏しかった。 摘出された検体の病理肉眼像は黒色物の付着した滑膜であり、 線維性結合 組織に黒色物が付着、 金属摩耗粉と考えられた。 周囲には組織球などの炎症細胞浸潤を伴っていた。 以上よ り metallosis と診断された。 metallosis は比較的稀な人工関節置換術後障害であり、 その他の非感染性人工関 節置換術後障害との画像上の対比を交えながら報告する。

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- 25 -35. 乾癬患者における Dactylitis の MRI

○ 福庭 栄治1) N. Halliday2) A. L. Tan2) D. McGonagle2) 1) 島根大学 放射線科 2) リーズ大学 12 例の dactylitis を呈した乾癬患者を対象に enthesitis の有無、 部位、 頻度を調べた (男9女3, 手指 4 足趾 8、 平均 43.9 歳)。 microscopy coil を用いて患部の MRI を取得し、 側副靱帯、 伸 ・ 屈筋腱、 pulley/fibrous sheath 等の解剖学的 ・ 機能的付着部の形態 ・ 信号変化を記録した。 9/12 例の側副靱帯と 6/12 例の伸筋 腱の付着部に enthesitis を認めた。 5/12 例で伸筋腱が骨性隆起と接する機能的付着部に信号上昇を認め、 6/12 例で pulley/fibrous sheath の形態 ・ 信号異常を認めた。 乾癬による dactylitis は polyenthesitis とも呼べ る病態を呈する。

36. 抗 TNF- α抗体製剤で治療を行った乾癬症性関節炎患者 4 例の MRI を用いた治療効果判定

○ 東條 慎次郎1) 佐伯 秀久2) 伊藤 寿啓2) 中川 秀己2) 川上 玲奈1) 貞岡 亜加里1) 米永 健徳1) 福田 国彦1) 1) 東京慈恵会医科大学 放射線医学講座 2) 同 皮膚科学講座 乾癬症性関節炎 4 症例について、 生物学的製剤 (インフリキシマブあるいはアダリムマブ) による治療後、 臨 床所見および MRI による治療効果判定を行った。 治療後は、 いずれも自覚症状の改善が得られ、 関節腫脹、 骨髄浮腫、 滑膜炎、 腱鞘炎が軽減した。

2 症 例 に つ い て は Psoriasis area and severity index (PASI) ス コ ア、 disease activity score 28-C reactive protein (DAS28-CRP)、 および CRP による評価も行い、 著明な改善が確認された。

MRI は Outcome Measure in Rheumatology Clinical Trial (OMERACT) が作成した PsA MRI scoring system for hands (PsAMRIS-H) を用いたスコアリングを行い、 全例で改善が見られた。

(30)

- 26 -37. 変形性股関節症における股関節痛と滑膜炎との関連について :

造影 MRI と股関節鏡所見による検討

○ 川上 玲奈1) 福田 国彦1) 羽山 哲生2) 杉山 肇3) 1) 東京慈恵会医科大学附属病院 放射線医学講座 2) 同 整形外科学講座 3) 神奈川リハビリテーション病院 整形外科 目的 : 変形性股関節症における疼痛が何に由来するかは不明である。 本研究の目的は、 股関節痛と滑膜炎の関係 について、 造影 MRI 所見と股関節鏡所見から検討を行うことである。 方法 : 対象は、 股関節痛を訴えて来院した患者のうち股関節痛の臨床評価、 造影 MRI 検査および股関節鏡検査を 施行した 20 症例である。 股関節痛は、 日整会股関節機能判定基準 (JOA) を用いて評価した。 疼痛と股関 節鏡所見および造影 MRI 所見との関係について検討を行った。 結果 : 造影 MRI による滑膜肥厚は股関節鏡による滑膜炎の所見を良く反映していた。 股関節鏡検査による滑膜炎所 見は、 寛骨臼縁腹側と背側において、 JOA の総合的な股関節機能と股関節痛と関連がみられた。 これは腹側 でより強い関連性を示した。 造影 MRI による滑膜炎所見は、 寛骨臼縁と寛骨臼窩において、 JOA の総合的な 股関節機能と股関節痛と関連がみられた。

38. 大腿直筋に生じた石灰性腱炎の 9 例

○ 堀内 沙矢1) 野崎 太希1) 2) 松迫 正樹1) 赤池 源介1) 佐藤 嘉尚1) 齋田 幸久1) 1) 聖路加国際病院 放射線科 2) カリフォルニア大学アーバイン校 放射線科 石灰性腱炎は hydroxyapatite 等の結晶沈着を伴って急性の疼痛 ・ 炎症を生じる疾患とされる。 多くは自然寛 解するが不明な点も多い。 全身の様々な腱に発症するが、 肩関節が好発部位で股関節は少なく報告は限られ る。 今回我々は大腿直筋腱に生じた石灰性腱炎を 9 例 (27―41 歳、平均年齢 34.2 歳、男性 5 例、女性 4 例 ) 経験したので、 画像所見や経過について検討し文献的考察を加え報告する。 全例において発症から一週間 以内に受診し、 7 例において血液検査で炎症反応上昇を認めた。 全例において単純写真で大腿直筋近位付 着部に X 線高吸収な結節性病変を認め、 MRI が撮影された 6 例で周囲の浮腫性変化を認めた。 初療ではほ とんどの例で異なるアセスメントをされ放射線科の指摘により診断が変更された。 本疾患は救急疾患として遭遇 する事が多いものの広く周知されていないと考えられ、 放射線科医が正確に診断する事が治療方針を決定する 上で重要と考えられる。

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