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感覚系における人工臓器 ─人工網膜

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Academic year: 2021

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●人工臓器 ─最近の進歩 ■ 著者連絡先 大阪大学大学院医学系研究科感覚機能形成学教室 (〒565-0871 大阪府吹田市山田丘2-2) E-mail. kanda@sensory.med.osaka-u.ac.jp

1. はじめに

本稿では感覚系人工臓器の一つである人工網膜の研究動 向について紹介する。これは網膜の疾患で失明した患者に 対して人工的に視覚を再建することを目的とした未来の医 療機器である。

2. 視覚のなり立ち

まず眼球の構造と機能について簡単に説明する。眼球 (図1)はほぼ球状の形をしており,外側は強膜という弾力 性のある繊維組織で形成されている。眼球の前部には角膜 という透明な組織があり,レンズの作用をしている。角膜 の後ろには虹彩という膜状の組織があり,これが円周状に 取り巻いて瞳孔を形成している。その奥には後ろに透明で 弾性のある水晶体があり,レンズの役割をなす。眼球の後 ろ側で内側に張っている薄い膜が網膜で,我々はここで光 を感じる。この網膜と強膜の間には血管の豊富な脈絡膜が あって,主に網膜の外層の神経細胞に酸素と栄養を供給し ている。光は最初に角膜で屈折され,瞳孔を通って光量が 調節され,水晶体でさらに屈折されて,網膜に結像する。 網膜は組織学的には10層からなる微細構造をなす。各 層の詳細な説明は割愛するが,網膜に到達した光は視細胞 で電気信号に変換され,双極細胞,網膜神経節細胞へと順 に情報が伝えられる。さらに網膜神経節細胞の軸索は,視 神経を介して脳内へ伸び,外側膝状体の中継細胞とシナプ スを形成する。このようにして光情報が視覚中枢へと伝達 される。 これらすべてが正常に機能することで正常な視覚が得ら れる。もし,どこか1か所でも機能不全を起こせば視覚障 害が生じる。

3. 視覚障害

人間の感覚には視覚,聴覚,触覚など様々あるが,その 中でも視覚は日常生活を営む上で重要な位置を占めてお り,失明による生活の質(Quality of Life:QOL)の低下は, 他の感覚器障害よりも大きい。実際,全聾の場合は身体障 害者福祉法に定める障害程度等級表では2級に分類される のに対し,全盲の場合は1級に分類されている(級が小さ いほど大きい障害とみなされる)。さらに,現代社会にお けるスマートフォンの普及や公共施設(駅や売店など)で のタッチパネルの普及など,情報化した社会で生活する上 で視覚障害は大きなハンディキャップとなっている。 現在,我が国における第1級視覚障害者(全盲)の数は約 12万人(平成18年身体障害児・者実態調査結果)に上る。 社会の高齢化が進むことでその数は増加すると予測される ことから,失明治療法の開発は社会的急務であるといえよ う。 失明原因疾患は様々である。現在,我が国における失明 原因疾患は1位が緑内障(25.5%),2位が糖尿病網膜症 (21.0 %),3位 が 網 膜 色 素 変 性(8.8 %)と 推 定 さ れ て い る1)。世界では白内障が失明原因疾患の1位(51%)であ る(New estimates of visual impairment and blindness: 2010, WHO)。疾患の種類によって機能不全を生じる部位が異な ることから,失われた機能を人工臓器で代償するには疾患 毎に異なるアプローチをとる必要がある。例えば,白内障 により水晶体が混濁すると網膜へ像が結像しなくなり視力 低下をきたすことから水晶体に代わる人工臓器が,網膜色 素変性では視細胞が変性することで視力低下や視野欠損を

感覚系における人工臓器 ─人工網膜

大阪大学大学院医学系研究科感覚機能形成学教室

神田 寛行,不二門 尚

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生じるため視細胞に代わる人工臓器が必要となる。

4. 視覚系における人工臓器

視覚系における人工臓器には眼内レンズ(Intraocular Lens:IOL)や人工視覚システム(Visual Prosthesis)など がある。 眼内レンズはすで実用化されており,感覚器において最 も成功した人工臓器の一つである。これは白内障で濁った 水晶体の代わりとなる人工のレンズで,眼内に埋植するこ とで,再び明瞭な像を網膜に結像することが可能となる。 眼内レンズの登場により,我が国では白内障を原因とする 失明患者数は大きく減少した。 一方,人工視覚システムは,体内に電子デバイスを埋植 し,視覚神経系へ電気刺激を行うことで視覚機能を再建す る人工臓器である。1日でも早い実用化を目指して,各国 の研究グループが研究開発を進めている。人工視覚システ ム は 視 覚 伝 導 路 へ の 電 気 刺 激 で 生 じ る 疑 似 的 な 光 覚 (phosphene)を利用して失われた視覚を再建する。電気刺 激には複数の微小な刺激電極で構成された「多極電極」が 用いられる。多極電極の埋植部位によって,皮質刺激型2) 外側膝状体刺激型3),視神経刺激型4),網膜刺激型5)∼14) 4つの方式に分類される。このうち網膜刺激型人工視覚シ ステムは人工網膜(Retinal Prosthesis)とも呼ばれている。 人工網膜は,安全性の面で他の方式よりも有利であること から,4つの方式の中で最も盛んに研究が行われている。

5. 人工網膜

人工網膜は,①人工的な方法で光を受光し,②光エネル ギーを電気エネルギーに変換し,③電気信号を網膜内の視 細胞以外の神経細胞に伝達して光感覚を生みだす装置と定 義されている5) 日本のグループが開発を進めるシステムを例に,その構 成と動作原理を説明する。人工網膜は体外装置と体内装置 の二つの装置から構成される(図2)。体外装置にはビデオ カメラ,処理回路,一次コイルが搭載される。また体内装 置には,二次コイル,刺激回路,多極電極が搭載される。 外界の映像は体外装置のビデオカメラで撮影され,得られ た画像データを基に処理回路で最適な刺激パターンが計算 される。このデータはコイルにより体内装置へ電波を使っ て無線で転送される。その際,体内装置の回路を駆動させ るのに必要な電力も無線伝送される。受信したデータを基 に刺激回路で刺激電流パルスが生成され,網膜近傍に埋植 された多極電極から網膜へ電気刺激が伝えられる。これに より,網膜神経細胞に活動電位が生まれ,視神経を経由し て視覚中枢に伝わり,phospheneが生まれる。 人工網膜に用いられる多極電極の基板の大きさは一辺 5∼7 mm程度で,搭載される刺激の大きさは直径数十∼数 百μmである(図3)。多極電極の中の複数の刺激電極を使っ て,パターン状に電気刺激を行うことで,ちょうど電光掲 示板のように,光の点の集合体としてphospheneが知覚さ れる。 人工網膜では網膜から中枢への情報伝達に網膜神経節細 図1 眼球および網膜の構造

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胞を用いるため,この細胞が正常に機能することが人工網 膜適応の必須条件となる。 この条件を満たす主な眼疾患に網膜色素変性が挙げられ る。これは,加齢に伴い視細胞が変性して徐々に視野が失 われる疾患で,最終的には失明に至る。しかし,病態が進 行した場合でも比較的網膜神経節細胞が残存するため15) 人工網膜による視覚再建が可能である。網膜色素変性で失 明に至った場合,現在の医療では視力回復につながる有効 な治療法が存在しないことから,多くの患者が人工網膜の 実用化を待ち望んでいる。

6. 人工網膜の研究動向

人工網膜の研究が本格的に始まったのは1990年代に 入ってからである。当初は主にアメリカやドイツのグルー プが研究を進めていたが,2000年代に入り,日本をはじめ オーストラリアや韓国も参入するようになった。以下に, 主なグループの研究開発状況について紹介する。 1) 南カリフォルニア大学 ─ Second Sight 社 グループ ア メ リ カ の 南 カ リ フ ォ ル ニ ア 大 学 のHumayunら は Second Sight社と共同で人工網膜の開発を進めている。数 ある人工網膜研究グループの中で,最も実用化に近い段階 にある。彼らが開発を進める人工網膜には網膜上刺激方式 (Epi-retinal Stimulation)(図4A)が採用されている。これ は網膜タックを使って網膜上(網膜と硝子体の境界)に多 極電極を固定する方式で,網膜神経節細胞に近いところで 刺激が行うことができるため,刺激効率が良い。一方で, 多極電極を網膜へ安定に固定することが難しい点が課題で ある。 彼らは様々な基礎研究を経て,2002年に世界に先駆けて 網膜色素変性に人工網膜システムの慢性埋植手術を実施し た。この時のシステム(Argus®Ⅰ, Second Sight社製)は人 工内耳を改造したもので,16極型の多極電極を搭載する。 計6名の患者に手術が行われ,最長6年間にわたる経過観 察によって,安全性や有効性の評価が行われた6)

この研究で得られた知見を基に,改良版の人工網膜 (Argus®Ⅱ,Second Sight社製)が開発された。Argus® には60極型の多極電極が搭載されている。2006年より Argus®Ⅱに対する多施設臨床試験がアメリカおよびヨー ロッパで行われている。これまでに30名の網膜色素変性 の患者に対して埋植手術が実施され,6ヵ月∼2.7年にわた る 経 過 観 察 が 行 わ れ た7)。 主 な 視 機 能 評 価 と し て, phospheneの有無,縞視力,動的視標の認識,文字認識,歩 行テストなどが行われた。システムオンとシステムオフで 視機能評価の結果を比較すると,システムオンの時の成績 が有意に高いことが確認された。得られる視力には個人差 があったが,最も良い成績の被検者で0.016の視力が得ら れた。さらに,床に描いた15 cm幅の白線を手がかりに歩 行を行うことや,3 m先のドアまで歩いて到達することな どができた。またQOLの評価としてFLORA(Functional Low-vision Obser ver Rated Assessment)というインタ ビュー中心の評価を実施したところ,人工網膜装着により 66.7%の患者にpositive effectが認められた8) 一方,有害事象として結膜の裂傷(30例中3例),眼内炎 (30例中3例),低眼圧(30例中3例)などが報告されてい る7)。昨年HumayunらはCEマークを取得し,EU圏内にお けるArgus®Ⅱの市販が可能となった。 図2 人工網膜の全体システム 図3 人工網膜用の多極電極 この多極電極では,直径0.5 mmの刺激電極が基板上に49個配列されている。 スケールバーは3 mm 。

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2) チュービンゲン大学 ─ Retina Implant 社グループ ドイツのチュービンゲン大学のZrennerらはRetina Implant社と共同で人工網膜の開発を進めている。彼らの 人工網膜には網膜下刺激方式(Sub-retinal Stimulation,図 4B)が採用されている。これは多極電極を網膜下(網膜と 脈絡膜の間)に埋植し網膜を刺激する方式で,多極電極の 基盤上に受光素子を組み込むことができる。そのため,眼 球運動に応じた画像情報を得ることが可能である。また体 外装置にビデオカメラを必要としない。一方,埋植手術の 際に網膜剥離を作る必要があり,網膜への侵襲性が高いと いう課題がある。 開発当初は,体外装置を用いずに,眼内入射光のエネル ギーのみで体内装置を駆動させる完全埋植型のシステムを 目指していた。しかし,研究が進むにつれ眼内入射光だけ では神経細胞を興奮させるのに必要な電力をまかなうのが 困難であることが明らかになり,体外装置からコイルによ る電力供給を行うシステムを新たに開発するようになっ た。このシステムにはAlpha IMS chip(Retinal Implant社 製)と呼ばれる独自の大規模集積回路(LSI)が搭載されて いる。Alpha IMS chipには1500極型の多極電極と撮像素 子が組み込まれている9) 2005年より同システムの長期臨床試験がチュービンゲ ン大学で行われている。これまでに合計18名の網膜色素 変性患者に対して人工網膜システムの埋植手術が行われ た。得られた視力は被検者によってもばらつきがあったが, 最も成績の良かった患者で0.036の視力が得られた。また 4∼5 cmの大きさのアルファベット認識ができた。今後, 彼らはAlpha IMS chipの多施設臨床試験をドイツ,イギリ ス,香港で予定している。 3) 日本グループ 日本独自の人工網膜を開発することを目的に,大阪大学 の故田野保雄教授(当時)をグループリーダとして大阪大 学,奈良先端科学大学院大学,(株)ニデックなど複数の研 究機関が参加して,2001年度より人工網膜の開発プロジェ クトが始まった。プロジェクト開始当初は海外のグループ が採用している網膜上刺激方式や網膜下刺激方式の人工網 膜の研究を行っていたが,多極電極を眼に埋植する際の網 膜侵襲性が高いことから方針転換を行い,独自の刺激方式 「脈絡膜上経網膜刺激方式(Suprachoroidal-transretinal Stimulation:STS)」 (図4C)を考案するに至った。STS方 式は多極電極を「強膜半層切除した部位」または「脈絡膜と 強膜の間」に設置し,帰還電極を硝子体内に設置して両電 極間で網膜を貫通するように刺激電流を流す10)∼14)。STS 方式は網膜への侵襲が少ないだけでなく,広い視野を確保 できるという利点を持つ。 様々な基礎実験を経て,2004∼2008年にわたり,合計4 名の網膜色素変性のボランティアに対して急性臨床試験 (手術室にて実施)が行われた13)。その結果,進行した網 膜色素変性症例に対してもSTS方式でphospheneが得られ ることや,2点弁別が可能であることを確認した。この試 験で得られた知見を基に,9極の多極電極を搭載した人工 網膜の試作機(ニデック社製)が開発された。 その後,2010年に大阪大学医学部倫理委員会の承認を得 て,網膜色素変性に対する慢性臨床試験が2名の網膜色素 変性患者に対して実施された14)。電気刺激に応じて phospheneが生じることや,眼前に提示した太さの異なる 二つの棒を識別できることを確認した。埋植手術および摘 出手術に伴う有害事象は発生しなかった。 現在,得られた知見を基に,装置の改良が進められてい る。新しい人工網膜のシステムでは,49極の刺激電極を有 する多極電極が搭載され,さらに体内装置のサイズが従来 よりも小型化される予定である。

7. おわりに

従来は実現困難と考えられてきた人工網膜であるが,近 年の急速な電子技術の進歩や医療材料の進歩により実用化 への道が開けてきた。2011年にはヨーロッパでSecond Sight社の人工網膜の販売が認可された。さらにアメリカ 食品医薬品局(FDA)や日本の厚生労働省でも人工網膜の 医療機器承認に向けた評価指針の検討が始まっている。人 工網膜が失明治療として用いられる日もそう遠くないと思 われる。 図4 人工網膜の3つの方式

(A)網膜上刺激方式(Epi-retinal Stimulation),(B)網膜下刺激方式(Sub-retinal Stimulation),(C)脈絡膜上経網膜刺激方式(Suprachoroidal-transretinal Stimulation:STS)。

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文  献

1) 中江公裕,増田寛次郎,妹尾 正,他:厚生労働省難治 性疾患克服研究事業 網脈絡膜・視神経萎縮症に関する研 究 平成17年度研究報告書.わが国における視覚障害の現 状.2006, 263-7 

2) Dobelle WH: Artificial vision for the blind by connecting a television camera to the visual cortex. ASAIO J 46: 3-9, 2000

3) Pezaris JS, Reid RC: Simulations of electrode placement for a thalamic visual prosthesis. IEEE Trans Biomed Eng 56: 172-8, 2009

4) Veraar t C, Raftopoulos C, Mor timer JT, et al: Visual sensations produced by optic nerve stimulation using an implanted self-sizing spiral cuff electrode. Brain Res 813: 181-6, 1998

5) Weiland JD, Cho AK, Humayun MS: Retinal prostheses: current clinical results and future needs. Ophthalmology

118: 2227-37, 2011

6) Humayun MS, Weiland JD, Fujii GY, et al: Visual perception in a blind subject with a chronic microelectronic retinal prosthesis. Vision Res 43: 2573-81, 2003

7) Humayun MS, Dorn JD, da Cruz L, et al: Interim results from the inter national trial of Second Sight’s visual prosthesis. Ophthalmology 119: 779-88, 2012

8) Dorn JD, Geruschat D, Dagnelie G, et al: Functional vision and quality of life of Argus (R) II Retinal Prosthesis System users as measured by the Functional Low-vision Observer Rated Assessment (FLORA). Invest Ophthalmol Vis Sci 53:

E-Abstract 5511, 2012

9) Zrenner E, Bartz-Schmidt KU, Benav H, et al: Subretinal electronic chips allow blind patients to read letters and combine them to words. Proc Biol Sci 278: 1489-97, 2011 10) Kanda H, Morimoto T, Fujikado T, et al: Electrophysiological

studies of the feasibility of suprachoroidal-transretinal stimulation for artificial vision in normal and RCS rats. Invest Ophthalmol Vis Sci 45: 560-6, 2004

11) Sakaguchi H, Fujikado T, Fang X, et al: Transretinal electrical stimulation with a suprachoroidal multichannel electrode in rabbit eyes. Jpn J Ophthalmol 48: 256-61, 2004 12) Nakauchi K, Fujikado T, Kanda H, et al: Transretinal

electrical stimulation by an intrascleral multichannel electrode array in rabbit eyes. Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 243: 169-74, 2005

13) Fujikado T, Morimoto T, Kanda H, et al: Evaluation of phosphenes elicited by extraocular stimulation in normals and by suprachoroidal-transretinal stimulation in patients with retinitis pigmentosa. Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 245: 1411-9, 2007

14) Fujikado T, Kamei M, Sakaguchi H, et al: Testing of semichr onically implanted r etinal pr osthesis by suprachoroidal-transretinal stimulation in patients with retinitis pigmentosa. Invest Ophthalmol Vis Sci 52: 4726-33, 2011

15) Santos A, Humayun MS, de Juan E Jr, et al: Preservation of the inner retina in retinitis pigmentosa. A morphometric analysis. Arch Ophthalmol 115: 511-5, 1997

参照

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