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( 本稿のポイント ) 関西の実質輸出は スマホ市場や新興国経済の減速を背景に このところ横ばい圏内の動きとなっているが そうした中でも 食料品及び直接消費財や非耐久消費財は大幅に増加しているほか 耐久消費財も堅調に推移している 消費財の実質輸出が伸びている背景としては 海外の個人消費が相対的に堅調

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Academic year: 2021

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2 0 1 6 年 6 月 日 本 銀 行 大 阪 支 店 本稿は、大阪支店営業課調査グループ谷本智祐、坂田康子が執筆しました。ホームページ (http://www3.boj.or.jp/osaka/)からもご覧いただけます。本稿で示された意見は執筆者に属 し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。本稿の内容について、商用目的で転 載・複製を行う場合は、予め日本銀行大阪支店までご相談ください。転載・複製を行う場合は、 出所を明記してください。 【照会先】 日本銀行大阪支店営業課調査グループ 小野、谷本(TEL:(06)6206-7751)

関西の消費財輸出が増加している背景

~「メイド・イン・ジャパン」の躍進~

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1 (本稿のポイント) ■ 関西の実質輸出は、スマホ市場や新興国経済の減速を背景に、このところ 横ばい圏内の動きとなっているが、そうした中でも、食料品及び直接消費財 や非耐久消費財は大幅に増加しているほか、耐久消費財も堅調に推移してい る。 ■ 消費財の実質輸出が伸びている背景としては、①海外の個人消費が相対的 に堅調であり、消費財の実質輸出が伸びやすい地合いにあること、②アジア 地域を中心に、所得増加に伴い購買力が上昇していることが挙げられる。 ■ このほか、アジアを中心とする海外において、安心、安全で高品質な「メ イド・イン・ジャパン」製品が高く評価されている点も、消費財の実質輸出 の増加に寄与しているものとみられる。 ■ こうした増加品目の多くは、訪日客が日本滞在中に購入して最も満足した 商品と一致しており、インバウンド消費と「メイド・イン・ジャパン」消費 財の輸出は相乗的に増加している可能性がある。 ■ 関西は、アジアからの訪日客が日本で最も多く、「メイド・イン・ジャパン」 をアピールしやすい環境にある。海外における「メイド・イン・ジャパン」 の認知度を高めることが、消費財の実質輸出の更なる増加に繋がっていくも のと考えられる。 1.はじめに 関西の実質輸出1は、中国のスマホ市場の拡大に伴い、14 年半ば以降、スマホ 向け電子部品等を中心に高い伸びが続いていたが、足もとでは、スマホ市場や 新興国経済の減速を背景に横ばい圏内の動きとなっている(図表1(1))。 こうした中、関西の実質輸出を財別にみると、工作機械等の資本財や、鉄鋼 や化学製品等の工業用原料が横ばい圏内の動きとなっている一方、食料品及び 直接消費財や非耐久消費財は大幅に増加しているほか、耐久消費財も堅調に推 移している(図表1(2))。これらの財が名目輸出全体に占めるウェイトはま だ小さいが、この5年間で明確に上昇しており、15 年の関西の実質輸出に対す る前年比寄与度は合計で+1%ポイントに上るなど、存在感も徐々に増しつつ ある(図表2(1)、(2))。本稿では、消費財の実質輸出が伸びている背景に ついて分析する。 2.消費財の実質輸出が伸びている背景 まず、消費財の実質輸出が伸びている背景の一つとして、海外の個人消費が 1 本稿は、16/3 月までの実質輸出のデータを基に作成している。

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2 堅調であり、そもそも消費財の実質輸出が伸びやすい地合いにあることが挙げ られる。例えば、関西の輸出に占めるウェイトが高い中国や米国では、生産は 前年を下回って推移しているものの、小売売上高は高めの伸びを維持している (図表3(1))。 次に、アジア地域を中心とする所得増加に伴う購買力の上昇も、消費財の実 質輸出の増加の追い風となっているものとみられる。一人あたりの名目GDP をみると、アジア地域が大幅に増加している。特に、ここ数年は中国やベトナ ムの所得増加が目立っており、先行きも他のアジア諸国を含め、増加が続くと 見込まれている(図表3(2))。さらに、こうした地域は人口規模が大きく、 成長率も相対的に高いため、市場規模は益々拡大するとみられる。 3.「メイド・イン・ジャパン」効果 いずれの消費財もアジア向けが大きく増加しているが、それぞれについて仔 細にみると、①食料品及び直接消費財では、酒類や調味料、菓子類など幅広い 品目が増加しており、②非耐久消費財では、化粧品や歯ブラシ、文房具といっ た日用品、③耐久消費財では家電製品を中心に増加している2(図表4) こうした増加品目の多くは、訪日外国人客が日本滞在中に購入して最も満足 した商品と一致している(図表5(1))。また、訪日外国人客がこれらの商品 に満足した理由をみると、「品質が良いから」、「美味しいから」、「日本製だから」 といった回答が目立っている(図表5(2))。このように、特定の財の実質輸 出が大幅に増えている背景には、訪日外国人客が増加し、「メイド・イン・ジャ パン」製品に接する機会が増える中で、安心、安全で高品質な同製品に対する 評価が高まっていることも影響していると考えられる。すなわち、訪日外国人 客によるインバウンド消費と「メイド・イン・ジャパン」消費財の輸出は相乗 的に増加している可能性がある。 4.今後の展望 関西の輸出に占めるウェイトが高いアジア地域は、先述のとおり、中長期的 にも所得の増加により購買力の大幅な上昇が見込まれるほか、「メイド・イン・ ジャパン」志向が強いという特徴を有している(図表5(3))。こうした中、 関西は、アジアからの訪日客数が日本で最も多く、「メイド・イン・ジャパン」 製品をアピールしやすい環境にある。アジア地域を中心とする海外に対して、 安心、安全で高品質な「メイド・イン・ジャパン」製品を積極的にアピールし、 2 各財の実質輸出(関西、2015 年)を 2010 年と比較すると、酒類は2倍、調味料は 1.4 倍、 菓子類は 1.6 倍、化粧品は 1.7 倍、歯ブラシは3倍、文房具(中国向け)は 2.4 倍、炊飯 器は 2.2 倍、理美容家電は 1.5 倍、冷蔵庫は 3.5 倍となっている。

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3 認知度を高めていくことが、消費財の実質輸出の更なる増加に繋がっていくも のと考えられる。 また、外国人向けの消費財を生産・販売する企業にとっては、①訪日外国人 客によるインバウンド消費、②日本製品の輸出(越境ECなどのネット販売を 含む)、③海外における現地生産・販売、は補完的な関係にある。企業は、イン バウンド需要の動向や「メイド・イン・ジャパン」製品への嗜好の強さなどを 国籍別に捉えるとともに、これらの変化にも着目しつつ、最適な生産・販売体 制で対応することが重要である。例えば、製品の差別化などを通じて「メイド・ イン・ジャパン」消費財への需要を喚起することは、①、②の増加を通じて国 内生産・売上の増加に寄与するほか、現地生産品よりも高い価格設定が可能と なることで、収益性の向上に繋がる可能性もある。 以 上

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(図表1) (1)関西の実質輸出の水準 (2)関西の財別実質輸出 <全世界向け> <アジア向け[67.0]> <米国向け[13.7]> <EU向け[9.9]> (資料)財務省「貿易統計」、大阪税関「近畿圏貿易統計」、日本銀行「企業物価指数」 90 95 100 105 110 1 0 年 1 1 1 2 1 3 1 4 1 5 16 近畿 全国 (季調済、2010年=100) (注 1)非耐久消費財には、「その他」に分類される財のうち第 96 類の雑品を加えている。 (注 2)[]は、2015 年の関西の名目輸出額に占めるウェイト。 60 80 100 120 140 160 180 1 0年 1 1 1 2 1 3 1 4 1 5 16 食料品及び直接消費財 非耐久消費財 耐久消費財 工業用原料 資本財 (季調済、2010年=100) 50 100 150 200 250 1 0年 1 1 1 2 1 3 1 4 1 5 16 食料品及び直接消費財 非耐久消費財 耐久消費財 工業用原料 資本財 (季調済、2010年=100) 50 100 150 200 250 1 0年 1 1 1 2 1 3 1 4 1 5 16 食料品及び直接消費財 非耐久消費財 耐久消費財 工業用原料 資本財 (季調済、2010年=100) 60 80 100 120 140 160 180 1 0年 1 1 1 2 1 3 1 4 1 5 16 食料品及び直接消費財 非耐久消費財 耐久消費財 工業用原料 資本財 (季調済、2010年=100)

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(図表2) (1)関西の名目輸出額に占める各財のウェイトの変化 (2)関西の財別実質輸出の前年比寄与度 (注)財毎に実質化しているため、内訳と合計は一致しない。 -5 -4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 5 11 12 13 14 15 その他 資本財 工業用原料 耐久消費財 非耐久消費財 食料品及び直接消費財 全体 (前年比、寄与度、%) 年 (%) 2010年 2015年 ① ② ②-① 資本財 59.4 58.8 ▲ 0.7 工業用原料 30.0 28.4 ▲ 1.6 耐久消費財 5.1 5.2 0.1 非耐久消費財 1.1 1.7 0.6 食料品及び直接消費財 0.7 0.9 0.2 (資料)財務省「貿易統計」、大阪税関「近畿圏貿易統計」、日本銀行「企業物価指数」

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(図表3)

(1)小売売上高と生産

<中国> <米国>

(2)一人あたり名目GDP(ドルベース)

(資料)中国国家統計局、FRB、米国商務省、IMF「World Economic Outlook(April 2016)」 (注 1)直近のデータは 16/3 月。 (注 2)中国については、春節要因を取り除くため、1、2 月は等速と仮定。 0 50 100 150 200 250 300 00 02 04 06 08 10 12 14 16 18 20 全世界 東アジア 北米 欧州 (2010年=100) 年 IMFの 見通し 0 50 100 150 200 250 300 00 02 04 06 08 10 12 14 16 18 20 中国 ベトナム フィリピン マレーシア インドネシア タイ (2010年=100) 年 IMFの 見通し 0 5 10 15 20 25 10 年 1 1 1 2 1 3 1 4 1 5 16 消費財小売売上高 工業生産 (前年比、%) -4 0 4 8 12 10 年 1 1 1 2 1 3 1 4 1 5 16 小売・サービス売上高 鉱工業生産 (前年比、%)

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(図表4) (1)食料品及び直接消費財の実質輸出(関西) (2)非耐久消費財の実質輸出(関西) (3)耐久消費財の実質輸出(関西) (資料)財務省「貿易統計」、日本銀行「企業物価指数」 <地域別の名目輸出額> <地域別の名目輸出額> 0 100 200 300 400 500 600 50 100 150 200 250 1 0 年 1 1 1 2 1 3 1 4 1 5 16 非耐久消費財 うち化粧品 うち文房具(中国向け、右目盛) うち歯ブラシ(右目盛) (季調済、2010年=100) (季調済、2010年=100) 50 100 150 200 250 300 1 0 年 1 1 1 2 1 3 1 4 1 5 16 食料品及び直接消費財 うち酒類(ウイスキー、清酒等) うち調味料(ソース等) うち菓子類(キャンデー、ビスケット等) (季調済、2010年=100) <地域別の名目輸出額> 0 100 200 300 400 500 50 100 150 200 250 1 0 年 1 1 1 2 1 3 1 4 1 5 16 耐久消費財 うち炊飯器 うち理美容家電 うち冷蔵庫(右目盛) (季調済、2010年=100) (季調済、2010年=100) (億円) 2010年 2015年 ① ② ②-① 978 1,470 492 アジア 653 1,013 360 米国 180 267 88 EU 48 72 24 合 計 (億円) ②-① 1,575 2,658 1,084 アジア 1,294 2,139 845 米国 81 177 97 EU 87 156 69 2010年 ① 2015年 ② 合 計 (億円) ②-① 7,353 8,379 1,026 アジア 3,403 4,328 925 米国 1,293 1,295 2 EU 1,391 1,364 ▲27 合 計 2010年 ① 2015年 ②

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(図表5) (1)訪日外国人が日本滞在中に購入した商品のうち最も満足した商品 (2)最も満足した商品についてその理由 (3)上記(2)の一番の理由として、「日本製だから」と回答した者の割合 (資料)観光庁「訪日外国人の消費動向 平成 27 年 年次報告書」 (注)回答サンプル数が 100 を超えている国籍のみ記載。 (%) 商品区分 回答割合 服・かばん・靴 20.2 化粧品・香水 13.0 医薬品・健康グッズ・トイレタリー 11.5 電気製品 10.6 菓子類 9.3 マンガ・アニメ・キャラクター関連商品 6.0 和服・民芸品 5.0 時計 4.3 カメラ・ビデオカメラ 2.9 その他食料品・飲料 2.8 酒 2.2 書籍・絵葉書・CD・DVD 1.3 たばこ 0.4 その他商品 9.4 その他 1.1 0 5 10 15 20 中国 台湾 香港 タイ マレーシア カナダ イタリア フィリピン インドネシア 米国 フランス オーストラリア 韓国 英国 (%) 全体 (%) アジアからの訪日客は日本製を好む傾向。 (回答割合、%) 菓子類 酒 化粧品・香水 電気製品 品質が良いから 0.8 2.3 39.2 33.1 美味しいから 53.7 56.9 0.0 0.0 日本製だから 0.6 0.8 12.7 23.2 伝統的・日本独特なものだから 2.3 4.2 0.1 0.1 デザインが良い・かわいい・きれい 3.0 1.2 1.1 3.2 好きなブランド・商品だから 5.2 2.3 6.0 3.3 自国での入手が難しいから 4.0 6.2 2.8 3.8 お土産にいいから・頼まれたから 21.9 11.9 4.4 1.7 価格が手頃・自国より安いから 6.9 12.1 31.8 26.6 便利だから 0.1 0.2 0.0 1.9 その他 1.5 1.9 1.7 3.2

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