研究ノート
神 原 理
*1中 間 大 維
*2生活者の消費意識と社会意識に関する調査結果
―Web アンケートにもとづく分析―
1.はじめに 本稿の目的は,生活者の消費意識と社会意識(社会 貢献意識)について,Web アンケートの分析結果か ら,その特徴や傾向を明らかにすることにある。調査 概要は以下のとおりである。 ・調査主体:株式会社ヤラカス舘 SoooooS. カンパ ニー(調査設計) ・委託先:楽天リサーチ ・調査期間:2014 年 2 月 28 日~3 月 2 日 ・調査対象:全国 20~60 代の生活者 500 人(男性 250 人,女性 250 人) ・調査方法:web アンケート ・主な調査内容:①消費意識(購買行動)と生活意 識について,②社会的課題への関心や行動につい て,③企業の社会的活動や「社会性のある商品」 に対する評価(認知度)について なお,本調査でいう「社会性のある商品」とは, フェアトレード商品やオーガニック商品,環境配慮型 商品,寄付つき商品,地域や伝統に根ざした商品な ど,社会的課題の解決につながる商品をいう。 2.単純集計の結果 2-1.回答者のプロフィール 回答者のおもな特徴は図表 1~6 のとおりである。 年齢や性別による偏りをなくすため,回答者は各年齢 層と性別から均等に(各年齢層から男女各 50 人ずつ) 抽出している。回答者の過半数は既婚者で,子供が 1 人以上いる。職業は正社員が半数で,大学・大学院卒 *1 専修大学商学部教授 *2 (株)ヤラカス舘 SoooooS. カンパニー 図表 1 年齢 60代 20% 50代 20% 20代 20% 30代 20% 40代 20% 図表 2 性別 女性 50% 男性50%が約半数となっている。 2-2.消費意識(購買行動)や生活意識について 回答者が考える「望ましい購買行動」について尋ね たところ,「低価格志向」「品質志向」「こだわり志向」 「必要最低限の消費志向」が過半数を超えている(図 表 7,「非常にそう思う」と「ややそう思う」の合 計)。「将来の買い物」については,「低価格志向」「品 質志向」「必要最低限の消費志向」が過半数を超えて いることから,これらの価値観にもとづく消費志向は 底堅いものと推測できる(図表 8)。 生活意識については,対になる表現を用いて尋ねた ところ,「良いものを長く使いたい」「日々充実してい る」「自分の判断を大切にする」「善い行いは堂々と行 うべき」「企業や商品の環境配慮は当たり前」「商品の 背景やストーリーまで含めて商品の価値である」「欲 図表 3 既婚/未婚 未婚 32% 離・死別 8% 既婚 60% 図表 4 子供の数 なし 45% 1人 16% 2人 27% 3人以上 12% 図表 5 職業 正社員 50% その他 19% パート・ アルバイト 13% 専業主婦・主夫 18% 図表 6 最終学歴 中・高卒 25% その他 1% 無回答 3% 専門・短大・高専卒 24% 大学・大学院卒 47% 図表 7 望ましい購買行動(%) 非常にそう思う 0 10 30.8 48.0 42.0 16.0 20.2 24.2 26.8 12.6 5.6 3.2 2.0 4.2 5.6 31.6 52.8 52.8 46.2 36.4 13.0 1.2 5.4 1.4 2.2 4.4 13.2 45.6 40.8 18.8 10.2 31.6 47.4 27.4 4.0 1.8 19.4 5.2 19.4 6.2 24.0 20 30 40 50 60 70 80 90 100 Q1-1. 低価格志向 Q1-2. 新商品志向 Q1-3. ブランド志向 Q1-4. 品質志向 Q1-5. こだわり志向 Q1-6. 社会・環境志向 Q1-7. 必要最低限 Q1-8. 独自性・希少性 ややそう思う どちらともいえない あまりそう思わない まったくそう思わない 28.0 21.2
しいものはたくさんある」「夢がある」「世界は悪い方 向に向かっている」「環境問題は自分の問題でもある」 「買い物が社会貢献につながるのはうれしい」といっ た回答が過半数を占めている(図表 9,「A に近い」 と「やや A に近い」の合計)。 2-3.社会的課題への関心や行動について 社会的課題への関心については,「環境問題」「生 活・コミュニティの問題」「教育・文化の問題」「医 療・福祉問題」「災害問題」に対して過半数の回答者 が関心を示しており,「貧困問題」については過半数 をやや下回る数値になっている(図表 10,「非常に関 心がある」と「やや関心がある」の合計)。社会的課 題への関心の変化については,「環境問題」「生活・コ ミュニティの問題」「医療・福祉問題」「災害問題」に 対して 40%前後の回答者が「以前より関心が高い」 と答えている(図表 11,「以前よりかなり高い」と 「以前よりやや高い」の合計)。ただし,すべての項目 で「どちらともいえない」とする回答が半数近くから 過半数を占めていることから,社会的課題について 図表 8 将来の買い物(%) 0 50.4 62.6 35.0 7.0 7.4 20.0 10.2 8.6 0.8 54.6 10 20 30 40 50 60 70 Q2-1.低価格志向 Q2-2.新商品志向 Q2-3.ブランド志向 Q2-4.品質志向 Q2-5.こだわり志向 Q2-6.社会・環境志向 Q2-7.必要最低限 Q2-8.独自性・希少性 Q2-9.面白いキャンペーンなど Q2-10.その他 Aに近い Q3-1.良いものを長く/新しいもの Q3-2.充実している/物足りない Q3-3.自分の判断重視/人の意見 Q3-4.善い行いは堂々と/こっそり行う Q3-5.企業の環境配慮は当然/特別に評価 Q3-6.背景も商品価値/商品が重要 Q3-7.欲しいものはない/たくさん Q3-8.夢がある/ない Q3-9.世界は悪い方向/いい方向 Q3-10.環境問題は自分にも/そうではない Q3-11.買い物で社会貢献/安い買い物 0 20 43.8 46.0 46.0 61.4 55.4 53.0 49.2 33.6 33.6 42.4 57.2 65.4 27.8 8.8 16.2 2.4 2.2 25.8 28.4 6.8 8.0 22.2 48.2 36.4 29.8 13.0 20.4 20.6 2.0 3.6 0.8 7.8 2.4 8.2 16.0 23.6 20.6 25.6 9.2 7.8 22.4 14.8 16.0 15.2 40 60 80 100 ややAに近い ややBに近い Bに近い 図表 9 生活意識:A/B の比較(%)
以前よりかなり高い Q5-1.環境問題 Q5-2.生活・コミュニティ問題 Q5-3.貧困問題 Q5-4.教育・文化の問題 Q5-5.医療・福祉の問題 Q5-6.災害問題 以前よりやや高い どちらともいえない 以前よりやや低い 以前よりかなり低い 0 5.7 35.9 34.4 21.6 23.3 30.0 33.1 5.5 3.1 4.4 8.4 13.0 10 20 30 40 52.3 5.3 0.8 0.6 0.8 1.0 0.6 0.8 5.5 5.6 5.8 3.9 4.9 53.9 68.9 65.5 57.1 48.2 50 60 70 80 90 100 図表11 社会的課題への関心の変化(%) 図表12 社会的取り組みへの考え(%) 非常にそう思う ややそう思う 2.4 2.6 14.2 5.0 7.8 3.0 5.4 26.0 31.2 36.2 44.2 48.2 44.8 37.4 17.0 12.4 7.6 45.6 9.8 3.2 3.0 5.8 6.2 55.0 24.2 3.6 3.0 19.8 26.6 42.4 41.8 20.4 8.6 24.8 10.6 どちらともいえない あまりそう思わない まったくそう思わない 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 Q6-1.ボランティア参加したい Q6-2.募金や寄付をしたい Q6-3.日常生活でできる範囲 Q6-4.社会につながることを優先 Q6-5.社会や地球にやさしい商品選択 Q6-6.社会性のある商品を勧めたい Q6-7.企業の社会的取り組みに関心 非常に関心がある Q4-1.環境問題 Q4-2.生活・コミュニティの問題 Q4-3.貧困問題 Q4-4.教育・文化の問題 Q4-5.医療・福祉の問題 Q4-6.災害問題 やや関心がある どちらともいえない あまり関心がない 全く関心がない 0 10.8 53.2 25 8.6 2.4 2.4 3 2 3.8 1.6 7.6 12.8 10.4 6.6 7.2 27.6 37.4 35.6 30.8 27 50.8 38 39.6 46.6 48.8 11.6 8.8 10.6 14 15.4 20 10 30 40 50 60 70 80 90 100 図表10 社会的課題への関心(%)
は,以前と変わらない関心をもつ層と,関心が高まっ ている層とが存在しているようである。 社会的取り組みに対する考えとしては,「日常生活 でできる範囲のことをしたい」という回答者が過半数 を占めている(69.2%,図表 12,「非常にそう思う」 と「ややそう思う」の合計)。つまり,自らの日常生 活(購買力)のなかで「無理なく気軽にできる社会的 な活動を行っていきたい」と考える生活者が一定数い ると考えられる。その他の項目については,「社会や 地球にやさしい商品を選びたい」とする回答が過半数 を占めている(図表 12,「非常にそう思う」と「やや そう思う」の合計)。他方,「どちらともいえない」と いう回答が 40%以上を占めている。 社会的な活動について,「過去に行ったこと」「現在 行っていること」「将来行っていきたいこと」を尋ね たところ,図表 13,14,15 のような結果が出た。こ れによると,「寄付・募金」「物品の寄付・寄贈」「ボ ランティア活動」「NPO・NGO に入会」「フェアト レード商品の購入」「寄付つき商品の購入」は,過去 から現在までは減少傾向にあるが,将来に向けては増 0 10 20 21.2 26.2 10.0 21.6 26.2 10.0 17.2 35.0 22.0 21.0 36.6 30 40 50 60 70 80 (過去):寄付・募金 (現在):寄付・募金 (将来):寄付・募金 (過去):物品の寄付・寄贈 (現在):物品の寄付・寄贈 (将来):物品の寄付・寄贈 (過去):ボランティア活動 (現在):ボランティア活動 (将来):ボランティア活動 (過去):廃品・不用品などの回収 (現在):廃品・不用品などの回収 (将来):廃品・不用品などの回収 68.6 図表13 社会的行動:過去・現在・将来(%) 0 4.0 2.2 18.0 46.2 67.4 47.0 10.0 31.6 18.2 29.0 17.8 7.2 10 20 30 40 50 60 70 80 (過去):NPO・NGO に入会 (現在):NPO・NGO に入会 (将来):NPO・NGO に入会 (過去):節電 (現在):節電 (将来):節電 (過去):フェアトレード商品の購入 (現在):フェアトレード商品の購入 (将来):フェアトレード商品の購入 (過去):オーガニック商品の購入 (現在):オーガニック商品の購入 (将来):オーガニック商品の購入 図表14 社会的行動:過去・現在・未来(%)
加傾向にある。「廃品・不用品などの回収への参加」 と「節電」は将来に向けて減少傾向にある一方で, 「オーガニック商品の購入」「エコ商品の購入」「地域 や伝統に根ざした商品の購入」は将来に向けて増加傾 向にある。 それぞれの項目について,回答の時系列変化(過 去・現在・将来の変化)を検討するために反復測定の 分散分析を行ったところ,すべての回答に有意な差が みられた。多重比較(Sidak 法,5%水準)について もすべての時系列の間で有意差がみられた。「寄付・ 募金」への意向に関する時系列変化は F(2, 998)= 213.07, p<.001,「物品の寄付・寄贈」では F(2, 998)= 60.976, p<.001,「ボランティア活動」では F(2, 998)= 60.976, p<.001,「廃品・不用品などの回収への参加」 では F(2, 998)=22.509, p<.001,「NPO・NGO に入会」 では F(2, 998)=56.122, p<.001,「節電」では F(2, 998)=54.483, p<.001,「フェアトレード商品の購入」 では F(2, 998)=82.248, p<.001,「オーガニック商品の 購入」では F(2, 998)=16.429, p<.001,「エコ商品の購 入」では F(2, 998)=7.696, p<.001,「寄付つき商品の 購入」では F(2, 998)=31.550, p<.001,「地域や伝統に 根ざした商品の購入」では F(2, 998)=35.876, p<.001 となった。 積極的な情報 発信 67% 積極的に発信 すべきでない 7% 第三者からの 情報発信 26% 図表16 企業の社会的取り組み 情報発信のあり方 本業のなかで 行った方が よい 75% 本業とは別で 行った方が よい 25% 図表17 企業の社会的取り組み 本来業務との関係 低価格化だけで なく社会的取り 組みも行う 71% 社会的取り組みより も価格引き下げ 29% 図表18 企業の社会的取り組み 商品価格のあり方 (過去):エコ商品の購入 (現在):エコ商品の購入 (将来):エコ商品の購入 (過去):寄付つき商品の購入 (現在):寄付つき商品の購入 (将来):寄付つき商品の購入 (過去):地域や伝統に根ざした商品の購入 (現在):地域や伝統に根ざした商品の購入 (将来):地域や伝統に根ざした商品の購入 0 5 10 15 20 21.0 27.3 29.2 13.2 24.2 12.0 15.0 28.6 25 30 35 図表15 社会的行動:過去・現在・未来(%)
2-4.企業の社会的活動や社会性のある商品について 以下に示しているのは,企業の社会的な活動や社会 性のある商品について尋ねた結果である。企業の社会 的な取り組みに対しては,「積極的な情報発信」を望 む 意 見 が 多 く ( 67% ),「 第 三 者 か ら の 情 報 発 信 (26%)」を含めると回答者の 93%が情報発信を求め ている。日本の社会では「善い行いは人知れず行う」 という「陰徳」の考えが歴史的に継承されてはいる が,図表 9 の Q3-4. でも明らかになっているとおり, 回答者はむしろ積極的な情報開示を望んでいるようで ある。企業の社会的な取り組みと本来業務との関係に ついては,「本業のなかで行った方がよい」とする意 見が大半(75%)を占めていることから,回答者は本 業をとおした社会的な取り組みを望んでいると考えら れる。企業の社会的取り組みと商品価格(低価格戦 略)との関係については,「低価格化だけでなく社会 的取り組みも行うべき」とする意見が多いことから (71%),単なる低価格戦略だけでは支持されないよう である。 フェアトレード商品やオーガニック商品など,社会 性のある商品についての認知度を尋ねたところ,図表 19 のような結果となった。これによると,「フェアト レード商品」については約半数の認知度(「知ってい る」と「聞いたことはある」の合計)で,「寄付つき 商品」「地域や伝統に根ざした商品」については 70% ほどの認知度,「オーガニック商品」「エコ商品」につ いては 90%以上の認知度となっている。「オーガニッ ク商品」と「エコ商品」については,半数以上の回答 者が「知っている」と答えていることから,これらの 商品についてはある程度の世間的な認知が得られてい ると考えられる。 企業の社会的取り組みやその情報が購買行動に及ぼ す影響について尋ねたところ,約半数(50.8%)が 「購入検討につながる」と答えている(図表 20)。他 には,「購入につながる(14.6%)」「企業のファン増 やイメージアップにつながる(20.4%)」という積極 0 10 24.6 53.4 57.2 37.6 30.8 13.6 4.6 5.2 28.6 37 23.4 27.2 42 81.8 66.2 39 5.8 38.4 8.2 25.2 50.2 20 30 40 50 60 70 80 90 100 Q8-1. フェアトレード商品 Q8-2. オーガニック商品 Q8-3. エコ商品(環境配慮型商品) Q8-4. 寄付つき商品 Q8-5. 地域や伝統に根ざした商品 Q8-6. エシカルな商品 Q8-7. ソーシャルプロダクツ 知っている 聞いたことはある 知らない・聞いたこともない 図表19 社会性のある商品の認知度(%) Q9-1. 購入につながる Q9-2. 購入検討につながる Q9-3. ファン増やイメージアップにつながる Q9-4. いずれにもつながらない 0 14.6 50.8 20.4 27 10 20 30 40 50 60 図表20 企業の社会的取り組みやその情報の影響(%)
的な回答もみられた。したがって,企業の社会的な取 り組みとその情報発信は,一定層の生活者には企業へ のロイヤルティ形成や購買促進につながる可能性があ ると考えられる。 反面,「いずれにもつながらない(27%)」という回 答者もいる。こうした層にとっては,企業の社会的な 取り組みやその情報発信は,必ずしも購買行動や企業 へのロイヤルティ形成につながる訳ではないと考えら れる。彼らにとっては,企業の社会的な取り組みへの 評価と,商品そのもの(品質や価格,ブランドなど) への評価とは別次元で理解されているのではないかと 思われる。 オーガニック食品とそうではない食品との差につい ては,「どちらも差がない」と答える回答者が過半数 (58%)であった(図表 21)。こうした点を鑑みる と,オーガニック食品は風味の差だけで購入されてい る訳ではなく,安心感や環境意識などからも評価され ているのではないかと推測される。 社会性のある商品へのイメージとしては,「価格が 高い(42%)」「社会問題のために好ましい(39.6%)」 「時代の流れである(32.2%)」「機会があれば買いた い(30.4%)」「品質がよい(25.2%)」といった意見が 多くなっており,価格以外の面に関しては概ね肯定的 なイメージを抱いていると考えられる。 3.消費意識と社会意識(社会貢献意識)に関す る多変量解析 3-1.因子分析の結果 回答者の消費意識や社会意識に関する 34 の項目に ついて,SPSS22.0 を用いて主因子法・プロマックス 回転による因子分析を行った(図表 23)。対象とした のは以下の設問項目である。 Q1. 自分が「よい買い物だ」と思う購買行動につい て(低価格志向,品質志向など) Q4. 社会的課題への関心度(環境問題や社会的弱者 の支援等) Q5. この 1 年での社会的課題への関心の変化 Q6. 社会的取り組みについての考え(寄付やボラン 0 5 25.2 42 39.6 1.4 2.6 16.4 32.2 30.4 1.6 15.6 3.8 10 15 20 25 30 35 40 45 Q11-1.品質がよい Q11-2.品質が悪い Q11-3.価格が安い Q11-4.価格が高い Q11-5.社会問題のために好ましい Q11-6.社会問題への配慮は当然 Q11-7.善意を使った販売 Q11-8.時代の流れである Q11-9.機会があれば買いたい Q11-10.その他 Q11-11.関心がない 図表22 社会性のある商品へのイメージ(%) オーガニックの 方が美味しい 32% どちらも 差がない 58% オーガニックで ない方が美味しい 10% 図表21 オーガニック食品と そうでない食品との風味の差
図表23 因子分析の結果 因子 1:社会的活動への意欲・関心 2:社会問題への関心の高まり 3:社会的商品への認知度 4:消費性向 Q6-1. ボランティアへの意欲 .782 -.144 -.107 -.068 Q6-2. 募金・寄付への意欲 .754 -.110 -.081 -.055 Q6-7. 企業の社会的活動への関心 .738 -.049 -.057 .036 Q6-5. 社会・環境志向型商品の購入意欲 .722 .015 -.018 .020 Q6-4. 社会的利得への優先意欲 .665 -.027 .026 .013 Q6-6. 社会的な商品の推薦意欲 .642 -.053 -.154 .166 Q4-1. 環境問題への関心度 .603 .101 .180 -.104 Q4-2. 生活・コミュニティへの関心度 .574 .129 .144 -.037 Q4-3. 貧困問題への関心度 .572 .150 .003 -.027 Q4-6. 災害問題への関心度 .484 .297 .080 -.047 Q4-5. 医療・福祉問題への関心度 .470 .215 .078 .014 Q4-4. 教育・文化問題への関心度 .461 .229 .021 .020 Q1-6. 社会・環境志向 .453 -.126 .025 .361 Q5-3. 貧困問題への関心の高まり -.090 .840 -.126 .020 Q5-4. 教育・文化問題への関心の高まり -.110 .833 -.077 .017 Q5-5. 医療・福祉問題への関心の高まり -.023 .723 -.002 .043 Q5-2. 生活・コミュニティ問題への関心の高まり .019 .705 -.032 .034 Q5-1. 環境問題への関心の高まり .089 .660 -.018 -.055 Q5-6. 災害問題への関心の高まり .090 .650 .035 -.075 Q8-3. エコ商品への認知度 -.090 .011 .809 .001 Q8-2. オーガニック商品への認知度 -.048 .000 .769 .016 Q8-4. 寄付つき商品への認知度 .000 -.079 .720 -.014 Q8-5. 地域・伝統的商品への認知度 .055 -.083 .677 -.049 Q8-1. フェアトレード商品への認知度 -.064 -.084 .519 .020 Q1-2. 新発売志向 .033 -.115 .022 .678 Q1-3. ブランド志向 -.075 -.043 -.064 .672 Q1-8. 個性派志向 .041 .038 -.141 .636 Q1-5. こだわり志向 -.004 .101 .097 .625 Q1-4. 品質志向 -.078 .177 .241 .492 因子間相関 1. 社会的活動への意欲・関心 - .647 .428 .299 2. 社会問題への関心の高まり - .406 .170 3. 社会的商品への認知度 - .233 4. 消費性向 - 因子抽出法:主因子法,回転法 : Kaiser の正規化を伴うプロマックス法
ティアへの意向など) Q8. 社会性の高い商品への認知度(フェアトレード 商品や寄付つき商品など) 第 1 因子は,ボランティア活動や募金・寄付への意 欲,環境問題や生活・コミュニティへの関心度など, 上記の Q4 と Q6 を中心とする項目が高い正の負荷量 を示していたため「社会的活動への意欲・関心」とし た。第 2 因子は,貧困問題や教育・文化問題への関心 の高まりといった上記 Q5 の設問項目が高い正の負荷 量を示していたため「社会的課題への関心の高まり」 とした。第 3 因子は,Q8 の設問項目が高い正の負荷 量を示していたことから「社会的商品への認知度」と した。第 4 因子は Q1 の購買行動に関する設問項目が 高い正の負荷量を示していたことから「消費性向」と し た 。 各 因 子 の ク ロ ン バ ッ ク 係 数 は 因 子 1 で α =.928,因子 2 でα=.867,因子 3 でα=.797,因子 4 でα=.765 であることから内的整合性は確保されてい る。 上記 4 因子(下位尺度)について各項目の平均値を 算出したところ,「1. 社会的活動への意欲・関心」の 下位尺度得点(M=3.33, SD=0.66),「2. 社会問題へ の関心の高まり」の下位尺度得点(M=3.38, SD= 0.54),「3. 社会的商品への認知度」の下位尺度得点 (M=1.81, SD=0.45),「4. 消費性向」の下位尺度得点 (M=3.34, SD=0.68)となり,各因子の関係は互いに 有意な正の相関となった(図表 24)。 3-2. 男女差の検討 4 因子に関する男女差を検討するために t 検定を 行った結果,「1. 社会的活動への意欲・関心」(t= -2.67, df=498, p < .01)と,「3. 社会的商品への認知 度」(t=-2.77, df=490.14, p < .01),「4. 消費性向」(t =-3.14, df=498, p<.01)について,男性よりも女性 の方が有意に高い得点を示しており,「2. 社会問題へ の関心の高まり」については男女の得点差は有意では なかった(t=-1.28, df=475, n.s. )。 男女別で 4 因子の相関分析をすると,男性の場合, 「社会的活動への意欲・関心」「社会問題への関心の高 まり」「社会的商品への認知度」「消費性向」のどれも が互いに相関を示しているのに対して,女性の場合 は,社会的商品への認知度と消費性向との相関はみら れなかった(図表 25)。 図表24 下位尺度間の相関 1. 社会的活動への意 欲・関心 2. 社会問題への関心 の高まり 3. 社会的商品への認 知度 4. 消費性向 1. 社会的活動への意欲・関心 1 .588** .285** .296** 2. 社会問題への関心の高まり 1 .239** .149** 3. 社会的商品への認知度 1 .206** 4. 消費性向 1 **. 相関係数は 1% 水準で有意 (両側) 男女別の平均値と SD および t 検定の結果 男性 女性 M SD M SD t 値 1. 社会的活動への意欲・関心 3.249 0.682 3.406 0.628 -2.67** 2. 社会問題への関心の高まり 3.340 0.530 3.404 0.555 -1.28 3. 社会的商品への認知度 1.759 0.474 1.870 0.417 -2.77** 4. 消費性向 3.250 0.724 3.440 0.628 -3.14** **. 相関係数は 1%水準で有意(両側)
3-3.生活充実度でみた差の検討 4 因子に関して,生活意識の「Q3-2. 充実している /物足りない」の回答者間での差を検討するために, 「Q3-2. 充実している(A)/物足りない(B)」への回 答を「充実派」(図表 9「A に近い」と「やや A に近 い」の合計)と「非充実派」(図表 9「B に近い」と 「やや B に近い」の合計)に分け,t 検定を行った。 結果,「1. 社会的活動への意欲・関心」(t=-4.175, df =498, p<.001),「2. 社会問題への関心の高まり」(t= -2.329, df=475, p<.05)については,「充実派」の方 が有意に高い得点を示しており,「3. 社会的商品への 認知度」(t=-1.324, df=498, n.s.),「4. 消費性向」(t =-0.123, df=498, n.s. )については有意な得点差は みられなかった(図表 26)。したがって,生活充実度 と社会的な活動への意欲や関心の高まりとは一定の相 関があると考えられる。 生活意識の充実度と 4 因子の相関分析をすると, 「充実派」「非充実派」ともに,「社会的活動への意 欲・関心」は,「社会問題への関心の高まり」「社会的 商品への認知度」「消費性向」といった他の 3 要因と 高い相関関係にあること,そして「社会的商品への認 知度」と「消費性向」とは有意な相関がみられないこ とが明らかになった。「充実派」の場合,「社会問題へ の関心の高まり」は「社会的商品への認知度」や「消 費性向」と有意な相関がみられるのに対して,「非充 実派」では「社会的商品への認知度」との相関だけが みられた(図表 27)。 3-4.クラスタ分析の結果 因子分析の結果をもとに非階層クラスタ分析を行っ たところ,4 つのクラスタを得た(図表 28)。第 1 ク ラスタは 231 名,第 2 クラスタは 49 名,第 3 クラス タは 103 名,第 4 クラスタは 94 名である。人数比の 偏りを検討するために x 二乗検定を行ったところ,x2 =153.67,df=3,p<.000 と有意な人数比率の偏りが みられた。第 1 クラスタは,「社会的活動への意欲・ 図表25 男女別にみた 4 因子との相関係数 1. 社会的活動への 意欲・関心 2. 社会問題への関 心の高まり 3. 社会的商品への 認知度 4. 消費性向 1. 社会的活動への意欲・関心 男性 1 .602** .305** .304** 女性 1 .572** .237** .259** 2. 社会問題への関心の高まり 男性 1 .329** .140* 女性 .135* .147* 3. 社会的商品への認知度 男性 1 .252** 女性 1 .114 4. 消費性向 男性 1 女性 1 **. 相関係数は 1% 水準で有意 (両側) *. 相関係数は 5% 水準で有意(両側) 図表26 生活充実度別の平均値と SD および t 検定の結果 充実派 非充実派 M SD M SD t 値 1. 社会的活動への意欲・関心 3.422 0.639 3.173 0.665 -4.175** 2. 社会問題への関心の高まり 3.417 0.544 3.298 0.536 -2.329* 3. 社会的商品への認知度 1.836 0.452 1.781 0.444 -1.324 4. 消費性向 3.348 0.684 3.340 0.685 -0.123 **. 相関係数は 1% 水準で有意 (両側) *. 相関係数は 5% 水準で有意 (両側)
関心」と「社会問題への関心の高まり」「社会的商品 への認知度」が 4 クラスタ内で最も低く,「消費性向」 が中程度であったことから,「低意識・中消費層(低 い社会意識と中程度の消費性向)」とした。第 2 クラ スタは,「社会的活動への意欲・関心」と「社会問題 への関心の高まり」が高く,「社会的商品への認知度」 は 4 クラスタ内で最も高く,「消費性向」が最も低い ことから「高意識・低消費層(高い社会意識と低い消 費性向)」とした。第 3 クラスタは,「社会的活動への 意欲・関心」と「社会問題への関心の高まり」が最も 高く,「社会的商品への認知度」と「消費性向」が 2 番目に高いことから,「高意識・高消費層(高い社会 意識と高い消費性向)」とした。第 4 クラスタは,「社 会的活動への意欲・関心」はやや高いが,「社会問題 への関心の高まり」が低く,「社会的商品への認知度」 と「消費性向」が最も高いことから,「中意識・高消 費層(中程度の社会意識・高い消費性向)」とした。 各クラスタ間の平均値の差は図表 29 のとおりである。 4 クラスタ間で,年齢,性別,既婚/未婚,子供の 数,職業,最終学歴の平均の差異を検討したところ, 年齢(p<.01)と子供の数(p<.05)においてのみ有意 な差がみられた。クラスタ 1 の「低意識・中消費層」 は,他のクラスタに比べると平均年齢は比較的若く (30 代後半),子供の数は比較的少ない(1 人程度)。 クラスタ 2 の「高意識・低消費層」は,最も平均年齢 が高く(40 代後半),子供の数は最も多い(1~2 人)。クラスタ 3 の「高意識・高消費層」は,平均年 齢が中間(40 歳)で,子供の数は比較的少ない。ク ラスタ 4 の「中意識・高消費層」は,クラスタ 1 と同 様に比較的平均年齢が若く,子供の数は最も少ない (1 人未満)。 4.まとめ 本稿では,web アンケートにもとづいて,生活者 の消費意識と社会意識について明らかにしていった。 単純集計の結果からは次の点が明らかになった。 「将来の買い物」については,「低価格志向」「品質志 図表28 4 クラスタの特徴 1. 社会的活動への意 欲・関心 2. 社会問題への関心 3. 社会的商品への認 知度 4. 消費性向 第 1 クラスタ:低意識・中消費層 低 低 低 中 第 2 クラスタ:高意識・低消費層 高 高 高 低 第 3 クラスタ:高意識・高消費層 高 高 高 高 第 4 クラスタ:中意識・高消費層 高 低 高 高 図表27 生活充実度でみた 4 因子との相関係数 1. 社会的活動への 意欲・関心 2. 社会問題への関 心の高まり 3. 社会的商品への 認知度 4. 消費性向 1. 社会的活動への意欲・関心 非充実派 1 .598** .206** .287** 充実派 1 .572** .326** .308** 2. 社会問題への関心の高まり 非充実派 1 .252** .131 充実派 .222* .160* 3. 社会的商品への認知度 非充実派 1 .120 充実派 1 .258 4. 消費性向 非充実派 1 充実派 1 **. 相関係数は 1% 水準で有意 (両側) *. 相関係数は 5% 水準で有意 (両側)
向」「必要最低限の消費志向」が今後も続くと考えら れる。生活意識については,「良いものを長く使いた い」「自分の判断を大切にする」といった自己の価値 観にもとづく倹約的な志向が垣間見られた。企業の社 会的取り組みやその情報が購買行動に及ぼす影響につ いては,「購入検討につながる」という回答が半数を 占めていることから,生活者の購買には一定の効果が あると考えられる。反面,一部の生活者層では,企業 の社会的な活動への評価と商品そのものへの評価とは 別次元で理解されているように推測される部分も見受 けられる。社会性のある商品の認知度では,オーガ ニック商品とエコ商品の認知度が高く,その他につい ても一定の認知度があると考えられる。社会性のある 商品へのイメージとしては,価格以外では概ね肯定的 なイメージが抱かれているようである。 社会的課題への関心については,「環境問題」「生 活・コミュニティの問題」「教育・文化の問題」「医 療・福祉問題」「災害問題」に対して過半数の回答者 が関心を示している。ただし,こうした課題に対して 関心が高まっている層と,あまり変わらない(どちら でもない)層が存在しているようである。社会的取り 組みに対する考えとしては,「日常生活でできる範囲 のことをしたい」「社会や地球にやさしい商品を選び たい」とする回答が多数を占めていた。企業の社会的 取り組みについては,本業を通した活動と積極的な情 報発信を望んでいるようである。ボランティアや寄付 といった社会的な活動に関する時系列的な変化につい ては,「寄付・募金」「物品の寄付・寄贈」「ボラン ティア活動」「NPO・NGO に入会」「フェアトレード 商品の購入」「寄付つき商品の購入」は,過去から現 在までは減少傾向にあるが,将来に向けては増加傾向 にある。「廃品・不用品などの回収への参加」と「節 電」は将来に向けて減少傾向にある一方で,「オーガ ニック商品の購入」「エコ商品の購入」「地域や伝統に 4.00 3.80 3.60 3.40 3.20 3.00 社会意識クラスタ 1 2 3 4 社会意識クラスタ 1 2 3 4 4.20 4.00 3.80 3.60 3.40 3.20 3.00 平均値 F01 : 社会的活動 へ の 意欲 ・ 関心 の の 平均値 F02 : 社会問題 へ の 関心 の 高 ま り 2.20 2.10 2.00 1.90 1.80 1.70 1.60 4.20 3.75 3.50 3.25 3.00 2.75 社会意識クラスタ 1 2 3 4 社会意識クラスタ 1 2 3 4 F03 : 社会的商品 へ の 認知度 の 平均値 F04 : 消費性向 の 平均値 図表29 4 クラスタの平均値の差
根ざした商品の購入」は将来に向けて増加傾向にあ る。 因子分析の結果からは,「1. 社会的活動への意欲・ 関心」「2. 社会問題への関心の高まり」「3. 社会的商 品への認知度」「4. 消費性向」の 4 因子を抽出するこ とができた。男女別で 4 因子の相関分析をすると,男 性の場合は 4 因子のどれもが互いに相関を示している のに対して,女性の場合は,「社会的商品への認知度」 と「消費性向」との相関はみられなかった。生活充実 度別で 4 因子の相関をみると,生活充実度と社会的な 活動への意欲や関心の高まりとの間には一定の相関が みられた。クラスタ分析の結果,社会的な活動への意 欲や関心の高さと消費性向によって,回答者を 4 つの 層に分けることができた。また各クラスタは,年齢と 子供の数によって差異があることも明らかになった。 今後の研究課題としては,社会的・倫理的消費に関 する先行研究との比較から本研究の妥当性を検討する とともに,調査項目等の精査を図りながら継続的な調 査を行い,実践的な課題への指針を見出す必要がある と考えている。