746 臨 床
長崎県内で確認 された肺犬糸状虫症の2例
長 崎 大学 医 学 部第2内 科1),同 第1外 科2),熱 帯 医学 研 究所 病 理3) 佐 世保 市 立 総 合病 院 内科4),泉 川病 院5) 川 村 純 生1)安 岡 千 枝1)古 賀 宏 延1)田 代 隆 良1) 江 藤 秀 顕3)芦 田 倫 子4)荒 木 潤4)浅 井 貞 宏4) 泉 川 欣 一5)綾 部 公 懿2)河 野 茂1) (平成8年3月7日 受 付) (平成8年4月11日 受 理)Key words: zoonoses, Dirofilaria irnrnitis, pulmonary dirofilariasis
序 文 近 年,動 物 寄 生 の フ ィ ラ リア が 人 へ 感 染 し て発 症 す る人 畜 共 通 感 染 症 と して の 犬 糸 状 虫 症 が 注 目 さ れ て い る.犬 糸状 虫 は,蚊 を中 間 宿 主 とし て人 体 内 に侵 入 し,肺 や 皮 下 に 寄 生 す る こ とが 知 られ て い る. 我 々 は,術 前 に肺 癌 を疑 わ れ て 開 胸 肺 生 検,手 術 が 施 行 され,肺 犬 糸 状 虫 症 と診 断 さ れ た2症 例 を経 験 した の で報 告 す る. 症 例1 患 者:43歳,男 性,農 業 従 事 者. 主 訴:胸 部 異 常 陰 影 の精 査. 家 族 歴:特 記 す べ き こ とな し. 既 往 歴:20年 前 に左 母 指 切 断. 現 病 歴:平 成5年10月,胸 部X線 の検 診 に て右 下 肺 野 に結 節 影 を認 め,平 成6年1月5日 に外 来 を受 診 し,精 査 目的 の た め 入 院 とな っ た.自 覚 症 状 な し.気 管 支 鏡 検 査 を行 い,右B8aよ り擦 過 細 胞 診 お よ び洗 浄 を施 行 した が,有 意 な所 見 が 得 ら れ な か った た め,一 旦 退 院 とな っ た.そ の 後,定 期 的 に外 来 で経 過 を追 っ て い た と ころ,3月 の胸 部CTで 結 節 影 の増 大 を認 め た た め肺 癌 を疑 い, 開 胸 肺 生 検 の 目的 で 長 崎 大 学 第1外 科 へ 転 院 と な っ た.喫 煙 は1日30本 を約20年,飲 酒 は1日3 合,ペ ッ ト歴 は特 に な く,自 宅 周 囲 に野 良 犬 が 多 か っ た. 入 院 時 現 症:身 長155cm,体 重53kg,体 温 36.7℃,脈 拍84/分,整,血 圧140/86mmHg.黄 疸, 貧 血 な し.表 在 リンパ 節 を触 知 せ ず.呼 吸 音 は 清. 心 音 は純.腹 部 は軟,肝 脾 腫 な し.浮 腫 な し.神 経 学 的 反 射 に異 常 な し. 入 院 時 の検 査 所 見:生 化 学 検 査 で 肝,胆 道 系 の 酵 素 の上 昇 を認 め た.血 液 像 で は 異 常 な く,好 酸 球 も正 常 で あ った.ツ ベ ル ク リ ン 反 応 は 陽 性 で あ っ た が,喀 痰 の塗 抹 は陰 性 で あ った. 入 院 時 の 胸 部x線 写 真(Fig.1):正 面 写 真 で は肋 骨 に 重 な り不 明 瞭 で あ る が,右 側 面 写 真 で は, 右 下 葉 に直 径1×0.8cmの 結 節 影 を 認 めた. 経 過:平 成5年3月 の 胸 部X線 写 真 で は,入 院 時 と比 べ て 陰 影 の大 き さが 増 大 して い た.ま た, 入 院 時 の胸 部CT(Fig.2A)で はS8に 孤 立 結 節 影 を認 め,3月 のCT(Fig.2B)で は ス ラ イ ス さ れ て い る部 分 が 若 干 ず れ て い た が,陰 影 が増 大 して い る こ とが 判 明 した.し か し,結 節 影 は胸 膜 直 下 に位 置 して お り,陥 入 像 や 空 洞 お よ び散 布 性 陰 影 は み られ な か っ た.血 清 フ ィ ラ リア 抗 体 は陰 性 で あ り,腫 瘍 マ ー カ ー は正 常 で あ っ た が,悪 性 腫 瘍 の 可 能 性 も考 え られ た た め,開 胸 肺 生 検 が施 行 さ れ た.病 巣 は胸 膜 直 下 にや や 白 い 腫 瘤 と して み ら 別刷 請 求 先:(〒852)長 崎 市 坂 本1丁 目7番1号 長 崎 大 学 医学 部 附 属病 院 第2内 科 川村 純 生 感染症学雑誌 第70巻 第7号
Fig. 1 Chest X-ray film on admission shows a coin lesion in the right lower lobe.
Fig. 2 (A) Chest CT on January 5, 1994, shows a coin lesion in the right S8. Fig. 2 (B) Chest CT on March 7, 1994, shows a coin lesion is larger than the one
on January 5, 1994. (A) (B) れ,肉 眼 所 見 で は腫 瘤 は被 包 化 され て お り,内 部 に は黄 白色 の 充 実 性 物 質 を含 有 して い た.右 下 葉 部 分 切 除 後 の 病 理 組 織 で は,周 囲 に壊 死 を伴 う異 物 に よ る血 管 内 塞 栓 が認 め られ,壊 死 巣 内 の血 管 に は フ ィ ラ リ ア と思 わ れ る 虫 体 が み ら れ た が,内 部 構 造 は 変 性 し て い た(Fig.3).以 上 の こ と か ら, 肺 犬 糸 状 虫 症 と診 断 した.
748 川村 純生 他
Fig. 3 (A) Microscopic view of the resected right lower lobe shows a foreign body surrounded by the necrotic tissues.
Fig. 3 (B) There is a Dirofilaria immitis in the vessels surrounded by the necrotic tissues.
症 例2 患 者:64歳,女 性,無 職. 主 訴:胸 部 異 常 陰影 の精 査. 家 族 歴:特 記 事 項 な し. 既 往 歴:卵 巣 腫 瘍(平 成 元 年 に右 卵 巣 摘 出). 現 病 歴:平 成5年10月,胸 部X線 の検 診 に て 右 中 肺 野 に 結 節 影 を指 摘 され,精 査加 療 の 目 的 で11 月18日 に 入 院 とな っ た.自 覚 症 状 は なか っ た.ま た,喫 煙 歴 は なか っ た. 入 院 時 現 症:身 長149.5cm,体 重58.5kg,脈 拍 72/分,整,血 圧120/84mmHg:貧 血,浮 腫 な し. 心 音 は 純.呼 吸 音 は清.腹 部 に 異 常 な く,神 経 学 的 に も異 常 な し. 入 院 時 の検 査 所 見:Hbの 軽 度 低 下 を 認 め る 以 外 は異 常 な く,生 化 学 所 見 も正 常 で あ り,腫瘍 マ ー
Fig. 4 (A) Chest X-ray film on admission shows a coin lesion in the right upper lobe.
Fig. 4 (B) Tomograhy on admission shows two coin lesions like a dumbbell in the right upper lobe. カ ー も正 常 範 囲 内 で あ っ た. 入 院 時 の胸 部x線 写 真(Fig-4A):右 中肺 野 外 側 に直 径 約1cmの 境 界 明 瞭 な結 節 影 を認 め た.胸 部 正 面 断層 写 真(Fig.4B)で は,濃 度 が 高 く内 部 が 均 一 な2つ の 小 結 節 影 が み られ,2つ は ア レ イ 状 に連 結 し,腫 瘤 に向 か う血 管 影 が認 め られ た. 胸 部CT(Fig.5)で は,2つ の 小 結 節 影 とそ れ ら に 向 か う血 管A2bが 見 られ た.リ ンパ 節 腫 脹 な ど
Fig. 5 Chest CT on November 18, 1994, shows two coin lesions like a dumbbell in the right S2.
は認 め な か った. 経 過:気 管 支 鏡 を施 行 し,右B2bよ り生 検 を 行 った と こ ろ,異 型 扁 平 上 皮 巣 を認 め,扁 平 上 皮 癌 の 可 能 性 が 疑 わ れ た.他 臓 器 に は病 変 を認 め な か った た め,多 発 性 また は肺 内転 移 を お こ した 原 発 性 肺 癌 を疑 い,外 科 的 切 除 の適 応 と考 え,12月 22日 に右 上 葉 切 除 術 と縦 隔 リ ンパ 節 は軽 度 腫 脹 し て い た た め,縦 隔 リンパ 節 郭 清 を行 っ た.開 胸 時, 洗 浄 胸 水 の術 中 細 胞 診 はclass IIIBで,術 前 の 細 胞 診 の 結 果 を加 味 して試 切 標 本 の術 中 迅 速 病 理 診 断 は行 わ れ な か っ た.病 変 部 は黄 褐 色 の充 実性 結 節 で,中 心部 はや や 黄色 調 を呈 して い た.割 面 で は直 径1-6×1.4clnと0-8×1-1cmの2つ の 小 結 節 が 見 られ た.弱 拡 大 で は,結 節 は線 維 性 結 合 織 で 囲 まれ,中 心 の 大 部 分 は壊 死 を 伴 う硝 子 化 お よ び線 維 化 を認 め た:強 拡 大 で は,動 脈 内 に血 栓 と 共 に虫 体 を認 め た.H-E染 色(Fig-6)で は,フ ィ ブ リ ン様 物 質 内 に変 性 し た 虫 体 を 認 め,10∼15 μmの 厚 い3層 構 造 を示 す 角 皮 お よび 筋 細 胞 様 構 造 が み られ た こ とか ら,犬 糸 状 虫 の 幼 成 虫 の感 染 と診 断 さ れ た.な お,病 理 学 的 な検 索 で は,悪 性 所 見 は認 め られ なか っ た.
Fig. 6 Microscopic view of the resected right upper lobe. There is a Dirofilaria immitis which induced embolism in the vessels.
考 察 動 物 寄 生 の フ ィ ラ リア が人 へ 感 染 して 発 症 す る 人 畜 共 通 感 染 症(Zoonoses)が,近 年 増 加 傾 向 に あ り注 目 さ れ て い る.犬 糸状 虫 は本 来,イ ヌ科 を 中 心 と した 哺 乳 動 物 の右 心室,肺 動 脈 に成 虫 が 寄 生 す る糸 状 虫 科 の 線 虫 で あ る1).Faustに よ り1952 年 に世 界 で初 め て 報 告 さ れ2),ま た,日 本 で の 最 初 の 報 告 は1969年 吉 村 に よ りな さ れ た3).わ が 国 で は イ エ カ,ヤ ブ カ,シ マ カ が 中 間 宿 主 で あ り,吸 血 性 の 強 い点 で 重 要 な の は ア カ イエ カ と ヒ トス ジ シマ カ で あ る1).感 染 犬 の 末 梢 血 か ら取 り込 ま れ た フ ィ ラ リア型 幼 虫 が 蚊 の体 内 で 発 育 して 感 染 型 幼 虫 とな り,こ の 幼 虫 を持 っ た 蚊 が 無 感 染 犬 を 吸 血 す る際 に幼 虫 が 犬 の 体 内 に侵 入 し,成 熟 して 心 臓 に寄 生 す る と考 え られ て い る.無 感 染 犬 と同 様 に ヒ ト も蚊 に刺 され,幼 虫 が 人 体 内 に 注 入 され る と肺 犬 糸 状 虫 症 が 起 こる.ま た,皮 下 組 織 へ 侵 入 した り,幼 虫 が体 内 を移 行 して 肺 外 犬 糸状 虫 症 が 起 こ る こ と もあ る4).主 とし て,肺 で は感 染 幼 虫 に よ る肺 血 管 内塞 栓 に続 発 す る 肺 梗 塞 病 変 を形 成 し,胸 部X線 写 真 上,孤 立 結 節 影 を呈 す る もの が 多 い:多 発 結 節 陰 影 を呈 し順 次 消 失 した 報 告 のや 今 回 報 告 し た症 例2の よ うに ア レ イ状 を呈 した 例 もみ られ る.肺 犬 糸 状 虫 症 の 画 像 上 の特 徴 と し て は,辺 縁 が平 滑 で,直 径3cmま で の 孤 立 結 節 影 で 胸 膜 直 下 に 位 置 す る も の が 多 い と報 告 さ れ て い る6).し た が っ て,肺 悪 性 腫 瘍 や結 核 腫 との 鑑別 が
750 川村 純生 他 重 要 な 問題 とな っ て い る.臨 床 症 状 と して は無 症 状 の もの が 大 部 分 で あ り,検 診 な ど で偶 然 に発 見 さ れ る こ とが 多 く,稀 に咳 嗽,血 痰,胸 痛 を認 め る こ と も あ る.血 液 検 査 値 の 異 常 と して は特 徴 的 な もの は な く,末 梢 血 中 の 好 酸 球 も平 均 で6.5%で 診 断 的 価 値 は少 な い とす る報 告 も あ り7),IgEの 上 昇 も特 に認 め られ な い症 例 が 多 い.術 前 診 断 と し て は 免 疫 学 的検 査 が あ り,わ が 国 で は 皮 内 反 応, 寒 天 ゲ ル 沈 降反 応(Ouchterlony法),免 疫 電 気 泳 動 法,ELISA,ラ テ ツ ク ス凝 集 反 応,混 合 受 身 赤 血 球 凝 集 反 応 な どが 用 い られ て お り,そ の 有 用 性 に つ い て の報 告 も見 られ て い るが8)9),補 助 診 断 法 に 留 ま っ て い るの が 現 状 で,こ の分 野 の さ らな る 発 展 が 待 た れ る. 病 理 組 織 学 的 に は,人 体 組 織 内 か ら見 い 出 され る虫 体 は種 々 の 変 性,死 滅 過 程 に あ り,虫 種 ・成 熟 度 に よ り特 徴 は様 々 で 一 概 に示 す こ とは 困難 で あ るが,角 皮 最 内層 に お い て,側 索 の 基 底 部 に相 当 し て 微 少 な 突 起 が 深 く突 入 し て い る 所 見 を internal longitudinal ridegesと 呼 び,こ れ が 犬 糸 状 虫 の特 徴 的 な所 見 と報 告 さ れ て い る10). 今 回,我 々 が 経 験 した2症 例 で は術 前 に悪 性 腫 瘍 を強 く疑 い,外 科 的 に切 除 した と こ ろ,病 理 学 的 に肺 犬 糸状 虫 症 と診 断 され た.症 例1で は,術 前 に血 清 中 の フ ィラ リア 抗 体 が検 査 され た が,陰 性 を示 して い た.こ れ は虫 体 の発 育 や 変 性 の程 度 に よ り ヒ トの 抗 体 産 生 が 影 響 さ れ るた め,虫 体 が 証 明 さ れ て も,抗 体 は陰 性 で あ っ た も の と考 え ら れ る7). 治 療 法 と し て,内 科 的 に診 断 が 確 定 で きた 場 合, mebendazoleが 投 与 さ れ るが5),経 過 観 察 で 予 後 良 好 の疾 患 と もい わ れ て お り,犬 糸 状 虫 症 の そ の ほ とん どが 画 像 で は確 定 診 断 が つ か な い た め に, 外 科 的 に切 除 さ れ,病 理 組 織 学 的 に虫 体 を確 認 し て 始 め て診 断 さ れ て い る.切 除後 に投 薬,治 療 さ れ た 報 告 は検 索 した 限 りで は み られ て い な い. 我 々 が 今 回 報 告 した2症 例 は長 崎 県 内 で ほ ぼ 同 じ時 期 に診 断 さ れ て お り,地 域 と して は,長 崎 県 の 南 東 部(南 高 来 郡)と 北 部(佐 世 保 市)に 位 置 して お り,長 崎 市 内 の 犬 の 糸 状 虫 の 感 染 率 は35% 程 度 で あ る11).犬が感 染 し た場 合,約 半 年 で成 虫 と な る とい わ れ て い るが,ヒ トで は不 明 で あ る.感 染 率 は徐 々 に低 下 傾 向 に あ り,こ れ は第 一 に長 崎 市 内 の公 共 下 水 道 の普 及 率 の上 昇 に よ る こ と11), 第 二 に 犬 に対 して副 作 用 の軽 い 抗 フ ィ ラ リア 薬 が 投 与 さ れ て い る た め で あ る.今 回 の症 例 は地 域 的 に長 崎 市 内 とは 多 少状 況 が 異 な っ て い るが,下 水 道 の普 及 率 は長 崎 市 で58%(平 成6年 度 末)で あ る. 今 後 は環 境 を含 めた 対 策 が 必 要 に な る と考 え ら れ,胸 部X線 写 真 で 孤 立 結 節 影 を 認 め た 場 合 に は,犬 糸 状 虫 症 も鑑 別 疾 患 と し て十 分 考 え て お か な け れ ぼ な らな い. 文 献 1) 真 喜 屋 清: 犬 糸 状 虫 症. Medico 1990; 21: 9221-9223.
2) Faust EC, Agosin M, Laverde AG et al.: Unusual findings of filarial infections in man. Am J Trop Med Hyg 1952; 239.
3) 吉 村 裕 之, 横 川 宗 雄, 門 馬 良 吉, 大 和 一 夫, 武 川 昭 男: 肺 梗 塞 を 起 こ し た 肺 犬 糸 状 虫 症. 日 本 医 事 新 報1969; 2344: 26-29. 4) 吉 村 裕 之: 日本 に お け る フ ィ ラ リ ア (糸 状 虫) 症 の 現 状 と ヒ トイ ヌ 糸 状 虫 症 の 増 加. 最 新 医 学1989; 44: 815-826. 5) 明 石 光 伸, 田 代 隆 良, 後 藤 純, 他: 興 味 あ るX 線 経 過 を 示 し た 肺 犬 糸 状 虫 症 の1例. 日 胸 疾 会 誌 1983; 21: 1228-1232. 6) 秋 元 学: 肺 犬 糸 状 虫 症 の 画 像 診 断. 画 像 診 断 1988; 1: 75-81. 7) 吉 村 裕 之: イ ヌ 糸 状 虫 感 染 症. 呼 吸1989; 8: 149-155. 8) 吉 村 裕 之: 人 イ ヌ 糸 状 虫 症 と そ の 免 疫 診 断. 臨 床 外 科1988; 11: 1675-1679. 9) 山 城 敏 行: 肺 犬 糸 状 虫 症 の1例-特 に 免 疫 学 的 検 査 の 有 用 性 に つ い て-. 日 胸 疾 会 誌1989; 6: 747-753. 10) 吉 村 裕 之, 赤 尾 信 明: 人 体 犬 糸 状 虫 症 の 臨 床 病 理 と組 織 診 断. 臨 床 と病 理1982; 37: 959-964.
11) Oda T, Suenaga O, Zaitsu M et al.: Studies on annual changes in microfilarial prevalence of Dirofilaria imrnitis among house dogs for 27 years in Nagasaki City, Japan. Jpn J Trop Med Hyg 1995; 23: 133-137.
Two Cases of Pulmonary Dirofilariasis in Nagasaki Prefecture
Sumio KAWAMURA1), Chie YASUOKA1), Hironobu KOGA1), Takayoshi TASHIROI', Hideaki ETOH3), Michiko ASHIDA3), Jun ARAKI4), Sadahiro ASAP14),
Kin-ichi IZUMIKAWA5), Hiroyoshi AYABE2) & Shigeru KOHNO1) "The Second Department of Internal Medicine , Nagasaki University School of Medicine
2)The first Department of Surgery , Nagasaki University School of Medicine 3)Department of Pathology , Institute of Tropical Medicine,
Nagasaki University School of Medicine
4)Department of Internal Medicine , Sasebo General Hospital 5lzumikawa Hospital
We reported two cases of pulmonary dirofilariasis in Nagasaki Prefecture. Each case was admitted to our hospitals for evaluation of an abnormal shadow on chest X-ray film taken for examination. We strongly suspected lung cancer before operation. It was resected in order to confirm the pathological diagnosis. There was a Dirofilaria immitis in the vessels surrounded by the necrotic tissues. The case of pulmonary dirofilariasis tends to increase in Japan, but the positive rate of dogs with Dirofilaria immitis tends to decrease, because of decreasing breeding places of mosquitoes by the spread of the public sewage system in Nagasaki City.
