架空艦になった男
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あ
ら
すじ
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マ ル 4 計 画 に よ っ て 起 工 し た が 、 結 局 す ぐ 解 体 さ れ て 完 成 し な か っ た 第 1 1 1 号 戦 艦。 そ れ になってしまった男と 、 その周 り の 架 空 艦娘 のお 話。 架 空 艦を 主 人 公にした 艦 こ れ の物 語 です 。 勿論、 普 通 の 艦娘も いく ら かは 出 す 予定 です 。 艦艇 の イメージ は 、 蒼 き 鋼 の アルペジオ の 様 に 、 艦艇+人 ︵艦娘︶ という 感 じで 想定 してお り、ステータスを書 いた り してはいますが 、 正 直 あてにしないでください 。 そ れ か ら、非 常に ダラダラ書 きます 。温かい 目 で 見守 って 下 さい 。
目
次
│ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ 1話 1 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ 2話 6 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ 3話 15 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ 4話 22 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ 5話 30 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ 6話 37 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ 7話 45 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ 8話 53 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ 9話 61 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ 番 外編 70 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ 10話 81
1話
突 然の 事 で申し 訳 ない 。 非 常 に 叫 び 出 し た い 気 分 な ん だ が 、 そ れ が 出 来 な い の で 俺 の 回 想 に 付 き 合 っ て 欲 し い 。 まず 、俺 の 名 前が 思 い 出 せない ん だ 。 元 々、俺 は 人間 だった よ うな ん だが 、気 づけば 艦艇 の 上 で 目 が 覚め た 。 そこで 小 さな 人 ⋮⋮ 妖精 ︵自称︶ が ペチャクチャ と 口早 に 説明を して 、﹁ まぁと り あえ ず 動 かして み て よ。 ﹂ と 、 そう 言 ってきたので 視 界の 端 にあ る 大きな主砲 を頭 の中で 旋回 させて みる。 す る と 、イメージ通り に 動 いた 。 どう やら 本当に 俺 は 艦娘 の男 バージョンら しい 。 胸 は無いし 、アレも ついて る。気 のせいでは無い 。 第 二 次大戦中の 軍艦を 中 心 とした 、艦艇 の 姿を 模して 、 その制 御を す る人々。 元 々 は 船霊 ⋮⋮つま り、 当時の 艦艇 に 宿 った 魂 が大本になっていてそ れ が "艦娘 "に な る とさ れる。 1 1話何故 艦 "娘 "なのか 。 そ れ には 諸説 あ るら しいが 、 艦艇 に 付 けた 名や艦艇自 体に 対 す るイメージ が女性 的 で あった 為 ってのが主流 ら しい 。 だか ら か 、 例 として 、 ドイツ の 艦娘 は男性の 名 がついていて も 女性 型 が 多 い ら しく 、 日 本に 於 いては女性 型 しか居ない 。 男性 型 がほぼいない⋮⋮だか ら艦娘ら しい 。 な ん で 俺 が 艦娘 になったのか 、 どうして男性 型 の 艦娘 なのか 、 そ も そ も 何の 艦艇 なの か⋮⋮ 。 わ か ら ない 事 だ ら けで 泣 けてく る。 更 に 泣 きたい 事 に 、今俺 は命の危 険 に晒さ れ てい る。 目 の前に居 る 白 髪 ?銀髪 ?の 少 女が乗っていた 艦艇 が砲 を こち ら に 向 けてい るん だ 。 問 題 は 、 その 少 女は 俺 に 抱 きついて クンカクンカスーハースーハー して る訳 だ 。 普 通、喜 ぶだ ろ う ? 砲が 向 いてい る以上 そ れ ができない 。 多分動 けば 撃 た れ て死ぬ 。 先ほどまでこの 艦艇 に乗っていた 少 女 も、艦娘 なのだ ろ うか 。 仮 に 艦娘 であって も、 何で 俺 の も とへ や ってきて 、 クンカクンカスーハースーハー し てい る のか 。 2
気 にな る は 気 にな る が 、 下 手に 動 けない 以上、 あ る程度受 け答え を考 え る必要 があ る。 しっと り した 冷や 汗 を静 かに流しなが らシュミレーション す る。 Q:貴方 の 名 前は ? A:わ か らん。 あ れ ?終 わ った 。 所属 不明 正体 不明 の男の 話を どう や ってし ろ って ん だ 。 しか も そ れ が 自分 な ん だぜ 。泣 け る。 ﹁ ⋮⋮どうしたの ?﹂ 少 女が 顔を こち ら に 向 け る。 俺より5cm程度 低い 身長 の 少 女 。俺 がそ ん なに 身長 は大きくないか ら、 155 く ら いだ ろ う 。 ﹁ い や、 どうしたのって 言われ て も俺 がどうしたのって 感 じだ よ ⋮⋮ 。 ﹂ つい 、 た め 息が 出る。 す る と 少 女は 再 び 抱 きついてく る。 身長 の割に 豊 かな 胸 が⋮⋮じ ゃ なくて 。 会話 だ 、 そう 会話 だ 。俺 たちに 必要 なのは 会話 だった ん だ 。 ﹁ と り あ え ず 、離 れ て く れ。俺 は 今 理 解 が 色 々 と 追 い 付 い て な い ん だ 。状 況 整 理 も し た 3 1話
いし 、会話を してく れ。 ﹂ ﹁ ⋮⋮ わ かった 。 ﹂ 少 女は 不承不承俺 か ら離れ て 、ペタリ と甲 板 の 上 に 座 った 。 ﹁ え ー と だ 、 ま ず 、俺 は 自 分 の 名 前 が わ か っ て な い か ら お 前 の 名 前 か ら 聞 い て も い い か ?﹂ 少 女は コクリ と 頷 くと 、話始め た 。 ﹁ ⋮⋮ 私も名 前は わ か ら ない 。 だけど 、H42 っていう 計 画番 号 なのは 覚 えて る。 ﹂ H42 ⋮⋮そう 聞 くと 、俺 の 頭 に 情 報が流 れ込ん できた 。 第 二 次 世 界大戦中に 計 画さ れ た 、 ドイツ の 軍艦建造計 画で ビスマルク級を踏襲、 大幅 に強 化 した戦 艦 の 計 画だ 。 ﹁ ふ ー ん ⋮⋮ そ の H 4 2 が 、 ど う し て こ っ ち に 来 て 俺 に 抱 き つ い て ク ン カ ク ン カ ス ー ハースーハー してた ん だ ?﹂ ﹁ ⋮⋮ 同 じ サ イ ズ の 主 砲 だ っ た か ら 仲 間 か と 思 っ て 。 ⋮⋮ で も そ し た ら 格 好 い い の が い たか ら。 ⋮⋮ち ょ っと 嗅 ぎたくなった 。 ﹂ そいつはまた 希有 な性癖だこと 。 同 じ サイズ の主砲⋮⋮この 、 さっき 動 かした主砲だ ろ うか 。 ﹁ この主砲⋮⋮か ?﹂ 4
指差 すと 、少 女は 頷 く 。 ﹁ ⋮⋮ "改 19inch三連装 砲 "、50口径長48.26cm の大 型 主砲 。 ﹂ ﹁ そいつは大 和もビックリ だな 。 ﹂ 確 か大 和 砲は 、45口径46cm 砲だったはず 。 一人苦笑 してい る と 、少 女が 言 った 。 ﹁ ⋮⋮ 貴方 は 、 大 和 の 弟 じ ゃ ないの ?﹂ ⋮⋮⋮⋮は ? 5 1話
2話
大 和 の 弟 じ ゃ ないの ? そう 聞 か れ て 、俺 は 驚愕 した 。 大 和 ⋮⋮戦 艦 大 和 に 弟 ? ﹁ 大 和﹂ の 姉妹艦 は ﹁ 武 蔵﹂ の み のはずだ 。 ⋮⋮まて よ ?何か居なかったか ? そこでまた 俺 の 頭 に 情 報が入ってきた 。 大戦末 期 に 、 日 本では マル4計 画という も のがあった 。 まぁ所 謂軍備拡 大 計 画なのだ が 、 そこに "第 110号 戦 艦 "と "第 111号 戦 艦 "という も のが 計 画に組 み込 ま れ て いたのだ 。 そ れ ぞ れ、 大 和型 の 3 番 艦 と 4 番 艦 にな る予定 で 建造 さ れ始め たのだが 、 悲 しき 事 に 計 画 変更 が 為 さ れ たのだ 。 と 言 うの も、 当時 、 洋上艦 は 航 空機に よる 攻 撃 に 不 利だった 事 が 二隻 の 建造途 中に 露 呈 。現 存 艦艇 の 対 空戦の弱さ や 空 母 の 少 なさ も あ り、 計 画 変更 せざ るを得 なかったとい う 訳 だ 。 6110号 の 方を 戦 艦 か ら 空 母 に改 造 し 直 す 事 で 、 ﹁信濃﹂ が 完成 した 。 も っと も、信濃 は 配備 か ら10日程度 で潜水 艦 に 沈められ てしまったのだが 。 そして 、 も う片 方 の 111号 は 計 画 変更 時に 2 割 程 しか 建造 さ れ てなく 、 今更 なので 解 体 。 そ れ に より 余った 資 材は 残 存 勢力 の 対 空戦強 化 に 使 ったとかな ん とか 。 こうして 、 第 111号 戦 艦 という も のは 日 の 目を見る事 なく幕 を閉 じたのでした 。 おしまい 。 ﹁ ⋮⋮じ ゃ あ 、貴方 は大 和 の 弟 なの ?﹂ ﹁ こ の 艦 の 横 っ 腹 に "B B │ 1 1 1 "っ て 書 い て あ っ た ん だ ろ ?じ ゃ あ そ う な ん だ ろ う よ。 ﹂ 俺 は 少 女⋮⋮ H42を艦 橋の中に 招 いて 話 していた 。 彼女 をソファー に 座ら せ 、 お 茶を出 した 後 に 、俺 は 資料を漁る。 徐々 にだが 、俺 のこの 艦艇 について わ かってきた 気 がす る。 全 長303.2m、 全幅 42.1m、吃 水 16.1m、基準排 水 量81800t。 大 和 の 姉妹艦 ︵弟艦 ?︶ であ り なが ら、 全 長 は 約30m、 排 水 量も約2万トンを上回 る巨 大な戦 艦 であった 。 主 力 兵 装 は改 19inch三連装 砲 2基、 改 17inch三連装 砲 2基。 7 2話
そ の 他 の 兵 装 と し て は 改 7 i n c h 三 連 装 副 砲 2 基、 改 5 i n c h 連 装 高 角 砲 4 基、 改 1inch三連装対 空機 銃 が 10基。 加 えて 、カタパルト が 2基 に 艦 尾 方面 に 飛行 甲 板 がついてい る。 現 在 、 特 殊 攻 撃 機であ り、 大戦時に 試 作さ れ た "橘 花 "の改 良型 が 20 あった 。 更 に 23inch艦首魚雷 発 射管 が 6門。 その 他、 装備 用とおぼしき 設計図 がいっぱ い 。 明ら かに 、 大 和を越 えた戦 艦 ⋮⋮い や、航 空戦 艦 か ? まぁ 、 第 111号 と 書 いてあ る な ら、姉妹艦 で も な ん で も良 かった 。 ﹁ ⋮⋮⋮⋮ 。 ﹂ 言葉も なく 、 こち らを じっと 見 つ める 彼女の 目 に 俺 は ドキリ とした 。 可愛 い 。一言 で 言 えばそうだが 、実際美少 女なのか も し れ ない 。 スラリ と伸びた細 め の手 足 に 童顔 ぽさは 残る が整った 顔立 ち 、 巨 乳という 程 ではなく て も身長 の割に 膨らん だ 胸、 そして白さ を 帯びて煌 め く 長め の 銀髪、 妖艶 な光 を 放つ 紅 い 目。 ⋮⋮こ れ は 、ヤバ いです よ ? だが 俺 は 俺自身 の エンジンを かけ る ことなく 理 性に よ って 鎮 圧させ る。 洒落 にな ら ない 事 はす るも のじ ゃ ない 。 8
首を 振って火照った 顔 の 熱を 払って る と彼女は 言 った 。 ﹁ ⋮⋮子作 り したい 。 ﹂ 俺 は 盛 大にずっこけた 。 疑 問じ ゃ ない 、適 当 も しくは 意志 だった 。 まぁこうな る と 冷静 に 成れるわ けで⋮⋮ 。 ﹁ な ん でそうな ん だ よ っ !?﹂ ﹁ ⋮⋮ ?﹂ 俺 が ツッコミを い れる と彼女は 不思議 そうな 顔を す る。 ﹁ ⋮⋮だって 、 格好いいって 言 った 。 ﹂ ﹁言 ったな 、 そ れ についてはお 世辞 だと 思 ってあ り がたく 受 け 取 っとく よ。 ﹂ ﹁ ⋮⋮本当に 、 格好いい よ ?﹂ キョトン とした 顔 で 言 った 後、 優しく 微笑み なが ら 彼女は 続 け る。 ﹁ ⋮⋮ 一目惚れ した 。 ⋮⋮だか ら、エッチ な 事 して子作 り したい 。 ﹂ どうしてこう 一直線 な ん だ ろ うか 。 ﹁ あ の な ぁ ⋮⋮ 最 近 の 人 間 ?艦 娘 ?は 知 ら な い け れ ど も 出 会 っ て 直 ぐ に そ う い う の を す るも のじ ゃ ない ん だ 。 そ れ か ら、 一目惚れ して も 性格とか器 量 とかぐ ら い 見 なさい ?変 な男 掴 まさ れ て 逃 げ られ て も馬鹿ら しいでし ょ ?﹂ 9 2話
諭 す よ うに 、丁寧 に 俺 が 言 うと彼女は 不満 そうな 顔を していた 。 ﹁ ⋮⋮ 変 な男はそう や って 注意 しない 。 ⋮⋮そ れ に 私 の 直感 は本物 。 ﹂ 数 秒、静 かにな る。 ﹁ ⋮⋮ わ かった 。 ⋮⋮まずは 友達 か ら。 ﹂ ﹁わ かって もら えて何 より だ 。 ﹂ ﹁ ⋮⋮そうしないと恥ずかしいの ?﹂ 彼女は ニヤリ と 笑 って 俺 に 近寄 ってきた 。わ かってなかった 。 ﹁ ⋮⋮な ん でそうな る。 ﹂ 俺 は 資料集め に戻 る。 彼女は 背 中に 引 っ 付 き ベタベタ と 甘 えてく る。 ⋮⋮ 集 中できない 。 ﹁座 っててく れ ⋮⋮ 頼む か ら ⋮⋮ 。 ﹂ ﹁ ⋮⋮そういえば 。 ﹂ 彼女が 言 った 。 ﹁ ⋮⋮ 名 前 。 ⋮⋮ 見 つかってないの ?﹂ 第 111号 戦 艦 には 明確 な 名 前がなかった 。 紀伊、 尾張 、 三河 と 言 った 、 旧国名 か ら とった 候補 はあって も、 決ま ら なかったのだ 10
か ら し ょ うがない 。 ﹁ ⋮⋮どうす る の ?﹂ ﹁ う ーん ⋮⋮どうすっか 。 ﹂ 3 つのど れ かにして も良 いのだか 、797号 ・ 798号 ・ 799号 戦 艦 といった 、 " 改 ︵超︶ 大 和型 戦 艦 "が来た場 合 に 被 って も 申し 訳 ない 。 な ん せ 、 未 完成 の 俺 と 計 画の み の H42 が 今 ここにい るん だ 。 あ り得 なくない 。 そうだな⋮⋮第 二 次大戦中に居なかった 、被ら なそうな 名 前 を ば 。 そう 思 ってい る と彼女は 。 ﹁ ⋮⋮ フリードリヒ=ヴィルヘルム は ?﹂ ﹁ な ん で 日 本の 艦艇 なのに ドイツ人 の 名 前な ん だ よ ⋮⋮ 。 ﹂ 流 石ドイツ艦 だ 。ドイツ の 名 前って格好いい 人多 い よ な 。 ﹁ ⋮⋮じ ゃ あ 、嘉 永は ?﹂ ﹁ 年 号 と 天 皇 名 は 避 け た 方 が い い 。 死 ん だ あ と に 明 治 天 皇 に 怒 ら れ る か も し れ な い 。 大 和型 の流 れを 汲 ん で 日 本の 旧国名 が 良 いか も知れ ないな 。 ﹂ と 言 うか 、 な ん でこいつ スラスラ出 てく るん だ よ。不思議 だ わ。 ﹁ ⋮⋮じ ゃ あ 、 周 防。 ﹂ 周 防 ⋮⋮山 口県 の 旧国名 で 、 周 防 は第 二 次大戦中の 艦艇 には居なかったはずだ 11 2話
﹁スオウ ⋮⋮周 防 か 、良 いか も な 。 そ れ にす る か 。 ﹂ 俺 がそう 言 い 、 彼女が 微笑ん だ時に 、艦 が光った 。 光は数 秒 で 消 え 、妖精 たちが ワラワラ出 てきた 。 ﹁スオウ !キマッタヨ !﹂ ﹁ナマエキマッタ !﹂ ﹁ナマエカイテオイタヨー !﹂ ﹁ヤッタネーヨカッタネー !﹂ 口々 に 、 そ ん な 事を言 う 。 艦艇 は 脇 に 名 前が 書 いてあ る ことがあ る。 さっきまで BB│111 と 書 いてあっただ ろ うその 文 字には 、 "周 防 "が 書 き 加 え ら れ ていた 。 その 様 子 を 彼女の 艦 の甲 板 か ら 眺 める。 ﹁ 本当だ 。名 前が 書 いて ら。 ﹂ 俺 は 少 し 嬉 しくなってい る と 、少 女に 肩をツンツン とつつか れ た 。 ﹁ ⋮⋮ 私 の も 決 め てほしい 。 ﹂ ち ょ っと 、む く れ ていた 。可愛 い 。 ﹁ あ ー、H42 だし⋮⋮ H か ら始 ま る 地 名 で 取ろ う 。ハイデルベルク とかどうだ ?﹂ 12
﹁ ⋮⋮ わ かった 。 ⋮⋮ ファーストネーム が欲しい 。 ﹂ 注文 の 多 い 娘 だ 。ドイツ人 の女の子の 名 前とか わ か ん ないしなぁ⋮⋮ 。 ﹁ あ ー ⋮⋮う ーん ⋮⋮ 。 ﹂ 数 秒考 えて 、 決 め た 。 ﹁ミュリエル ⋮⋮とかどうだ ?﹂ ﹁ ⋮⋮ わ かった 。 ﹂ 彼女は 笑 った 。 彼女の 艦 が光 る 中 、 彼女は 俺 に 抱 きついて キスを した 。 ﹁ ⋮⋮ 私 は 貴方 か ら名 前 をもら った 。 ⋮⋮こ れ で 私 は 貴方 と 一緒。 ⋮⋮絶 対離 さない 。 ﹂ 光が止 む と 、 彼女はにこ や かに 微笑ん で 、 俺 の 首 筋 を撫 でなが ら 繰 り返 し呟いていた 。 ﹁ ⋮⋮ 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防 周 防。 ﹂ ゾッ とした 。 13 2話
可愛ら しい 娘 が 可愛ら しい 声 で 病的 に 俺 の 名 前 を ずっと呟いてい る この 現実 にだ 。 俺 は ど う に か こ の 現 実 か ら 逃 れ ら れ な い か 考 え て い る と 、俺 の 艦 の 方 の 妖 精 が 叫 ん だ 。 ﹁テキシュー !スオウモドッテ !テキシュー !﹂ 14
3話
敵 襲 ⋮⋮その 言葉を聞 き 緊 張が 走る。 俺 は 彼 女 の 艦 艇 "ミ ュ リ エ ル・ハ イ デ ル ベ ル ク "か ら 自 分 の 艦 艇 "周 防 "に 飛 び 乗 る。 どう やら ︵ 男性 型 の 俺 含 め て ︶ 艦娘 と 言 う も のは 、 人間以上 にはあ る程度 の 身 体 能力 を有 す るら しい 。 易々 と 艦 か ら艦 へ 。 俺 は ミュリエル に 向 かって 叫 ぶ 。 ﹁ 敵 襲 だ !と り あえず先にそっちだ !﹂ そしてそのまま 俺 は 艦 橋へと 駆 けた 。 ﹁状況 は ?﹂ そう 投 げかけ る と 妖精 の 一人︵一 匹 ?︶ が タブレット端 末 的 な も の を寄越 した 。 距離 は本 艦 か ら一 時 方向 で 50000、 すな わ ち 艦首を0度 として 30度 の 50km 先にい る とのこと 。 敵 編成 は戦 艦1、軽巡1、駆逐2、 そ れ か ら輸送艦 が 2ら しい 。 15 3話幸いして 艦載 機 持 ちは居ないが 、 こち ら に 進行 中であ るら しい 。 ﹁ 機 関始動 して 19inch 砲に 通 常弾 、 17inch 砲に 三式 弾 、 副砲と 高角 砲 も通 常 弾 だ 。 機 銃 は 後 回 し で い い 。 橘 花 は 8 機 随 時 発 進。艦 首 魚 雷 は 1 ∼ 4 番 に 装 填 し 注 水 準備、頼ん だ !﹂ 指 示 を す る と 、妖精 は 皆 敬礼した 後 に わ た わ たと 動 き 出 す 。 ゴゥン ⋮⋮と 、鈍 い 音 が 立 ち 、艦内装置 のあ れ こ れ が 起動 す る。 す る と 通信 が入 る。 ﹁ ⋮⋮周 防。 こっちは火器 も 発 進も 全 部 でき る。 ﹂ ﹁ こっち も な ん とかな り そうだ 。 ﹂ ﹁ ⋮⋮ 通信 が繋が る まで 40秒。 ⋮⋮ 遅 かったね 。 ﹂ ﹁遅 い も 何 も今初め て 触 って るん だっつの 。勘弁 してく れ。 ﹂ そうこうして る間 に敵はぐ ん ぐ ん近 づいて る。 深 呼吸した 後 に 俺 は 言 い放つ 。 ﹁意見 具申いいか ?﹂ ﹁ ⋮⋮どうぞ 。 ﹂ ﹁ ま ず 近 づ き 、距 離 2 6 0 0 0 で 停 戦 交 渉 を 持 ち か け た い 。 そ れ に は ウ チ の 艦 載 機 を 飛 ばして もら って る。 ﹂ 16
﹁ ⋮⋮ 話通 じ る の ?﹂ ﹁わ か らん が やる しかない 。甘 いと 言われよ うと 、 兵器であ る か ら と 言 って も、 暴力を罪 と 思わ ないのはただの アホ か 狂 った アホ のどっちかだ 。 と り あえずそ れ が先だ 。 ﹂ ﹁ ⋮⋮ わ かった 。 ⋮⋮打て るよ うにはしておく 。 ﹂ ﹁了解。 ﹂ 近 くにいた 連 絡 要員 の 妖精 が 色々受 け答えした 後 に 言 う 。 ﹁オッケーダヨー !﹂ ﹁わ かった 。 戦 艦 周 防、出征 す る。 ﹂ ﹁ ⋮⋮ ミュリエル・ハイデルベルク。 ⋮⋮ 続 いて 出撃 します 。 ﹂ 進み なが ら、艦内設備を見る。 必 ずし も昔 の物というのではなく 、 レーダーや通信設備、 生 活 備品 な ん かは 若 干 現代 的 な も のが 多 い 。 この タブレット は正 直凄 い 。 戦 況把握 に データベース、 通信ログ な ん か も あ り非 常に 便 利 。 ﹁ 敵は水 上 偵 察 機 を計8 機 射出、 速度 で 負 け る事 は無く 、 爆 弾搭 載も為 さ れ て無いが機 銃 があ る た め警戒 す る に 越 したことはない 、 か 。 橘 花 で 落 とせなくは無いが 、 不 用に 落 と す 事も 無い よ な 。注意 して 、 まだ攻 撃 しないでく れ。係 は停戦 交渉を持 ちかけてく れ。 ﹂ 17 3話
﹁リョーカイ !﹂ その タブレット か ら得 た 情 報で 指 示 を出 す 。 ﹁ ⋮⋮ も うそ ろ そ ろ26000。 ﹂ ﹁了解。 作戦 行動 ⋮⋮って 言 え る のか わ か らん けど 、 そ れ に 移る ぞ 。 ﹂ 戦 艦 に 、 女性が乗ってい る。 ﹁ル キ ュ ー サ ン ! テ キ カ ン サ イ キ カ ラ ニ ュ ウ デ ン !"ワ レ テ イ セ ン コ ウ シ ョ ウ ヲ モトム " ダソウデス !﹂ ﹁ ⋮⋮ ソウカ。 ﹂ 妖精 に ル級 と呼ば れ たその女性に 、 別の 通信 が入 る。 ﹁ 停戦 交渉ッテ言ッテマスガドウシマス ?﹂ ル級 は 、ニヤリ と 笑みを 浮かべ 、 いい放つ 。 ﹁ 無 論、沈メテヤル。 ﹂ ﹁ ⋮⋮な ん か 、艦載 機攻 撃 さ れ て るよ ?﹂ ﹁テキカンサイキヨリヘンデン ! "シズメ " ダソウデス !﹂ ﹁駄目 なのか よ !?﹂ ﹁ ⋮⋮こ れ で 殺 せ る口実 ができた 。 ⋮⋮さっさと 殺 そ ?﹂ ﹁ お前 も 大 概 物 騒 だ よ !﹂ 18
艦載 機 同士 に よる航 空戦が 始 ま り、ミュリエル は主砲 旋回・仰角調 整 を済 ます 。 ﹁ あ ー糞 味噌 野郎 が⋮⋮ 適度 に 叩 いて 黙ら せ る しかないってのか⋮⋮ 。 ﹂ どうに も 乗 り気 にな ら ないが 、俺も 主砲 旋回・仰角指 示 を出 す 。 す る と 気 づいた 。 ﹁駆逐 が 1足り ない 。 どこいったか 探 してく れ。 橘 花を下 が ら せて索敵に 回 していい 。 ﹂ 妖精 に 指 示 を出 し 、俺 は別に 宣言 す る。 ﹁ 橘 花 が 離脱 し次第 、 17inch 砲 を射撃 す る。タイミング任 せた 。続 いて副砲 、 高角 砲 を旋回・仰角調 整してく れ。 ﹂ 橘 花 が 下 がった数 秒後17inch 砲が 射撃 さ れ た 。 ⋮⋮だが 。 ﹁ ⋮⋮⋮⋮ 。 ﹂ ﹁1キゲキツイ !﹂ ﹁ さ 、三式 弾な ん だ よ な ?﹂ 三式 弾の命中 精度 に 驚 かさ れ た 。 そこに ミュリエル が入 る。 ﹁ ⋮⋮打っていい ?﹂ ﹁ あ 、頼ん だ ミュリエル。 ﹂ 19 3話
﹁ ⋮⋮死ね 。 ﹂ 物 騒 な 事を言 いなが ら 彼女の 19inch 砲が 射撃 さ れる。 その砲弾は単縦 陣 の先 頭 にいた戦 艦を越 え 、軽巡 の前に着水し よ うとす る。 す る と 、 その砲弾は水 面下ギリギリ の位 置を直進 し 、軽巡 の 艦首 に命中した 。 ﹁ 水中弾⋮⋮か ?とな る と 徹 甲弾か ?﹂ ﹁ ⋮⋮当た り。 ﹂ 彼女の 嬉 しそうな 声 が 伝わ って る その眼前では 、 その 軽巡 が 砕 けひし ゃ げた 艦首 か ら 浸水してその 艦 尾 を 大きく 挙 げてい る。 ⋮⋮本当に物 騒 な 娘 だ 。 ﹁ まぁ 、 置 いとこう⋮⋮ 高角 砲 射撃、 艦載 機 を落 とすか牽制してく れ。続 いて 19inc h 砲 仰角調 整 、 副砲 を後方 の 駆逐 に 向 けて 射撃、 17inch 砲は 通 常弾で 装 填急げ 。 ﹂ ﹁ホウコク ! ワレ テキクチク ハッケンセリ ! ﹂ 送られ て来た データ は⋮⋮周 防 の 220度方向、距離16000。 ﹁ な ん だって⋮⋮どうして⋮⋮ 。 ﹂ そこで 気 づいた 。左舷方向 には 島 があった 。 そ れを回 ってきたのだ ろ う 。 ﹁ 機 銃及 び 800kg爆 弾 使 用 許可を出 す 。 敵 駆逐 に攻 撃、足 止 めを してく れ。 ﹂ ﹁リョーカイ !﹂ 20
﹁ ⋮⋮周 防 !﹂ 俺 はそこで よ う や く 、 敵の攻 撃 が着弾したのだと 知 った 。 21 3話
4話
ル級 は 、自身 の 16inch 砲が当たった 事 にえ も言われ ぬ 喜 び を感 じていた 。 ﹁イクラ 戦 艦トハ言エ、 大 口径 主砲 ニハ苦 戦 スル。 敵 モソレハ同ジダ。 ﹂ しかし 、 その 笑み は数 秒 す る と 凍り ついた 。 爆 煙の中か ら 副砲 を射撃 しなが ら こち ら へと 向 かう 、 無 傷 の敵 艦 の 姿 であ る。 ﹁ ⋮⋮周 防 !﹂ ﹁ ええい⋮⋮ 聞 こえて る っての⋮⋮ 。損害 報告と 同 時に副砲 を 前 方 の敵 駆逐 に発 射 !﹂ ドゥンッ !という 音 が 二回鳴る。 副砲は問 題 ない よ うだ 。 艦 橋の 司令室内 で キリモミ にな り、 数 回バウンド した周 防 は 痛む頭を 振 り 払いなが ら 立 ち 上 がった 。 ﹁ホ ン カ ン カ ン キ ョ ウ オ ヨ ビ ダ イ イ チ カ ラ ダ イ ヨ ン ホ ウ ト ウ フ ク メ ソ ン ガ イ ナ シ !﹂ ﹁6 ハ ツ チ ュ ウ ニ ハ ツ テ キ ニ メ イ チ ュ ウ ! テ キ ク チ ク ハ タ イ ハ ! シ ン ス イ シハジメテイマス !﹂ ﹁ 主砲 仰角調 整できたか ?﹂ 22﹁カンリョウシテマス !﹂ ﹁よ し 、 打てっ !﹂ 一際 先 程よりも 大きい 音 が 鳴り響 き 、 敵戦 艦 へとその 猛威を 振 る う 。 戦 艦ル級 はその 艦 体に大きな 被害を受 けなが ら、左舷 へと 傾 いた 。 そこに 、更 に砲 撃 が 加わる。 ミュリエル が主砲 をウチ 放ち 、 その 舷 の 装 甲 を突 き破 る。 ﹁悪 く 思 うな⋮⋮ 1∼2 番 注 水 、 機 関最 大 、 前 進 せ よ !﹂ 距離を 縮 め て 、艦首魚雷を 打ち放つ 。 1 発は大きく 外れ たが 、も う 1 発は戦 艦ル級 の 艦首 へと着弾した 。 お お き な 水 柱 が 立 ち 上 が り ル 級 の 機 関 が 爆 発 す る。 そ し て 艦 首 か ら ゆ っ く り 沈 ん で 逝 った⋮⋮ 。 ﹁ 橘 花 はどうだ !?﹂ ﹁ホウコク ! ワレテキクチクヲゴウチンセリ !﹂ ﹁ お 、 おう 了解。 戻ってきてく れ。 ﹂ さ らり と 倒 してきたことに 内心驚 いた 。 橘 花 の 妖精ら との 通信を 終え る と 、ミュリエル が 通信を 入 れ てきた 。 ﹁ ⋮⋮大 丈 夫 、 なの ?﹂ 23 4話
﹁ あぁ 。艦 に問 題 は無いし 、俺自 体 も 平 気 だ 。 ﹂ ﹁ ⋮⋮主砲だった ん だ よ ね ?﹂ ﹁ だ ろ うな 。 ただ 、 大 和型 は 46cm 砲 を想定 の 装 甲 を していたって 説 があ る し 、 その発 展であ れ ばこその 装 甲の 厚 さな ん だ ろ うな 。 無 傷 はすげぇ よ な 。 ﹂ ﹁ ⋮⋮な る ほど 。 ﹂ ミュリエル は 続 けた 。 ﹁ ⋮⋮ 輸送艦 は 叩 いておいた 。 ﹂ ﹁ まじかい 。 おいおい⋮⋮物 質 が散乱して る な⋮⋮ 。 まぁ 回収 でき る だけ 回収 す る か 。 ﹂ 物 資 の 多 くは 油を 積 ん だ ドラム缶 だった 。 妖精ら と共に物 資 の 回収を してい る とき 、 す る とそこで海 面 が 薄 く光ってい る ではな いか 。 ﹁ な 、 な ん だ ?﹂ その光は 一際 大きく 輝 くと 、グレー の 小 さな 艦艇を 浮かび 上 が ら せた 。 小 さな 、 と 言 って も 周 防 か ら見れ ばという 話 だ 。 そ れ な り な大きさは 持 ってい る。 周 防 の 頭 に 情 報が流 れ込ん だ 。 艦娘 の 魂、 十 分 な 資 材 、 そして 妖精。 この 三要 素がそ ろ った 状況 で 、 あ る 条 件 が 揃 えば 新 しく 艦艇 が 生 ま れる事 があ る。 24
条 件 の 一 つは 建造。 こ れ は ドック に 於 いて 、 所属の 妖精 が 新 しく 艦を 組 み、 必要 な 妖 精 と 艦娘 の 魂を宿 す 事 で 艦娘 が 誕生 す る。 そして も う 一 つは 、 ドロップ と呼ば れる、 戦 闘勝 利時にその戦 果 が 高 いと 艦娘 と 艦艇 が 自 然発 生 す る という も のだ 。 三要 素は 、 敵であ る艦艇 の 妖精 と 資 材でな ん とかな る。 艦娘 の 魂 については 、 どうして 召還 さ れる のかは わ かっていない 。 ただ 、 この 事 か ら 敵と味 方 ⋮⋮ 艦娘 の 魂 は 、 根元が 同 じ 船霊 なのではないかと 言 う 推 測 も さ れ てい る。 因み に 、人類 にとっての敵の 艦艇 ⋮⋮こ れを "深 海 棲艦 "と呼 ん でい るら しい 。 深 海 棲艦 と 艦娘 ⋮⋮その存在は 謎 に 満 ちてい るよ うだ 。 そ ん な 、 得 た 情 報 を咀嚼 し 、 一言 そ れ っぽい 事を付 け 加 えてい る と 、 その 艦艇 の甲 板 に 艦娘 が 出 てきた 。 ﹁ ⋮⋮ ?﹂ ぽけ ー っとした 、 眠そうな 目を擦る と 、 こち らを視認 し 、 敬礼 を して 言 った 。 ﹁ペレスヴェート級 戦 艦、ポベーダ です !﹂ ﹁ ﹁ ⋮⋮ 。 ﹂ ﹂ こうして 俺 たちは 、初め ての戦 闘後 に 初め ての ドロップを確認 したのだった 。 25 4話
物 資を回収 し終 わり、 周 防 の甲 板 に ポベーダを招 いて挨 拶を交わ すと 、 彼女はいきな り怒り出 した 。 ﹁ な ん で !?﹂ ﹁ え ?逆 にな ん でだ よ ?﹂ ﹁ な ん で "周 防 "って 名 乗って る の !?﹂ 125cm く ら いしかない 金髪碧 眼の 少 女⋮⋮と 言 う より 幼女の 言 い 分 はこうだ 。 ポベーダ は ロシア帝国 海 軍 の 艦艇 で 日露 戦 争 時に着 底。 日露 戦 争後 に 日 本 軍 に よ って 鹵 獲さ れ て改 修を受 け る。 "周 防 "として 日 本 軍 に 編 入 、 就役した 。 そしてその 後ワシントン 条 約 で 除 籍さ れ た 。 つま り、日 本の 軍艦 にとっての周 防 は 自分 しかあ り得 ないと 。 謝罪 し改 名 してほしいとの 要 求だった 。 ﹁ ま ぁ ⋮⋮ 確 か に 現 状 艦 娘 が 第 二 次 大 戦 中 の 艦 艇 だ け だ っ た か ら っ て 安 直 に 決 め た ん だ けどさ⋮⋮ 。 ﹂ まず 、 俺 が イレギュラー なのだ 、 ミュリエル以外 に もイレギュラー に 遭遇 す る確率 は あ る のだ 。 例 えば⋮⋮ 今み たいに 。 26
で も だけどしかしけ れ ど 、率直 に 言わ せて 貰 おう 。 ﹁ で も、 お前さ 、ロシア の 艦 じ ゃん。 ﹂ ﹁ ⋮⋮ う ん。 え ?い い い い や そ そ そ そ そ う だ け ど !日 本 の 為 に 頑 張 っ た ん だ よ !?日 本 の "周 防 "な ん だ よ !﹂ ﹁日 本 の 為 "に も "だ ろ ?元 来 ロ シ ア 帝 国 海 軍 の 艦 な ん だ し ポ ベ ー ダ っ て 名 前 が あ る ん だ ろ ?そ れ に "周 防 "っての も旧国名 でしかない 。 周 防 って 名 前の本流はそっちだ 。 ﹂ ﹁ あううう⋮⋮そうだけどさぁ⋮⋮ 。 ﹂ ﹁ そ れ にだ 、 こっちには 名 前が無かった ん だ 。 片 方、 日 本 名 の 方貸 してく れ たっていいだ ろ ?﹂ 第 一 次前か ら 第 二 次まで 広 く 見れ ば 、名 前の 被る艦艇 な ん て山ほどあ る。 せ め て 名 前 を く れ て も いいだ ろ う ?と 少 女に問いかけ る。 正 直俺 はどうで も いいのだが 、 妖精 たちが無 茶苦茶悲 しそうな 顔 でこち らを見 てい る のと 後ろ の ミュリエル か ら信 じ られ ない レベル の 殺気 がしたので 、 彼女の 要 求 を飲む事 ができなかった 。 ご めんよポベーダ。 ﹁ うぅ⋮⋮ わ かった よ ぉ⋮⋮ 。 ﹂ ﹁ あ り がとうな ポベーダ。詫 びと 言 ってはな ん だがお や つで も食 べ る といい 。 ﹂ 27 4話
﹁ 本当 !?﹂ ポベーダ の 顔 が 輝 く 。 この 笑顔 ⋮⋮ 120$。 艦 橋へと 駆 けていく ポベーダを追 おうとす る と 、 ミュリエル が物 凄 い 、 おお よ そ女子 とは 思 えない 力 で 肩を掴ん できた 。 まぁ 力 に 関 しては 艦娘 だか ら 強いのだが 、 そ れ と 同 時に 殺気 が や ばいのでそう 感 じた のだ ろ う 。 ﹁ ⋮⋮周 防 は 私 の も の 。 ﹂ ﹁わ かったか ら落 ち着け ?﹂ ﹁ ⋮⋮ 周 防 は 私 の 周 防 は 私 の 周 防 は 私 の 周 防 は 私 の 周 防 は 私 の 周 防 は 私 の 周 防 は 私 の 周 防 は 私 の 周 防 は 私 の 周 防 は 私 の 周 防 は 私 の 周 防 は 私 の 周 防 は 私 の 周 防 は 私 の 周 防 は 私 の 周 防 は 私 の 周 防 は 私 の 周 防 は 私 の 周 防 は 私 の 周 防 は 私 の 周 防 は 私 の 周 防 は 私 の 周 防 は 私 の周 防 だ よ ね ?﹂ ﹁ 当 分婿 入 り す る気 は無いと 言 っておこう 。 ﹂ あま り の恐 怖 に 後ろを 振 り返ら ないで 俺 は 言 った 。 ﹁ ⋮⋮周 防、 好き 。 ﹂ ﹁ ⋮⋮ わ かった 、 あ り がとう 。 ﹂ 淡 白に礼 を言 い 、逃 げ るよ うに 艦 橋に 向 かう 。 28
﹁ ⋮⋮周 防。 ﹂ ﹁ 子 供 に 対抗 してどうす る。俺 が ロリコン だとで も思 ってい る のか ?﹂ ﹁ ⋮⋮ 信 用す る。 ﹂ 数 秒考 えた彼女はそう答え 、殺気を引 っ 込め た 。 と り あえず嵐は 去 った 。 ﹁ そ れ に 、友達 か ら じ ゃ なかったのか ?﹂ ﹁ ⋮⋮ 我 慢は 苦 手 。 ﹂ ﹁笑 うに 笑 えねぇなそ りゃ ⋮⋮ 。 ﹂ 向 き 直る と 、俺 は彼女の 頭を 優しく 撫 で る。 ﹁必要 な 我 慢ぐ ら いはしてく れ。 ﹂ ﹁ ⋮⋮ 必要 かどうかは前 向 きに 検討 しておく 。 ﹂ 俺 は 苦笑 す る と 、ミュリエルを連れ て ポベーダ の も とへ 向 かった 。 29 4話
5話
﹁ ⋮⋮ 。 ﹂ ミュリエル が 恨 め しそうに こち らを 睨 ん でい る。 仲間 に できそうですか ? ▽ はい いいえ ↑ そうじ ゃ なくて 。 ミュリエル が睨 む要因 はただ 一 つ 。 ﹁ ご めん ね周 防 ⋮⋮ 。 ﹂ ﹁ い や、 大 丈 夫だ 。 ﹂ 俺 たちが彼女 よりも遅 いと 言 うことだ 。 H42 改 めミュリエル・ハイデルベルク=32.2ノット 111号 改 め 周 防=27ノット ポベーダ=16ノット あ ん ま り に 遅 いので ミュリエル は呆 れ ていたのだが 、 そこで 俺 が彼女 を曳航 す る事 に 30した 。 お 陰 で 相対的 に彼女は 速 く 、俺 は余 計遅 くな り ⋮⋮ 。 ﹁ ⋮⋮ 曳航羨 ましい 。 ﹂ 速 さだけが問 題 じ ゃ ない よ うだった 。 ﹁ ち ょー良 い よ。 ﹂ 満 面 の 笑 み で 返 す ポ ベ ー ダ。 歯 ぎ し り の 様 な 音 が し て ミ ュ リ エ ル は 悔 し が っ て い る ⋮⋮ 。 この 娘怖 い わ ぁ⋮⋮ 。 と も かく 、 どこへ 向 かってい る かと 言 うと 、西 に 向 かっていた 。 先の戦 闘 で敵 艦 には 日 本 語 が 通 じ る事 が わ かった 。 なので 、日 本か らも 大して 遠 くないだ ろ うと 言 う 安直 な 考 えであ る。 とこ ろ で 、日も く れ て 夜 になった 。 一度 停まって 補 給してい る 時だ 。 ﹁ネンリョータリナイヨー﹂ し ょ ぼく れ た 顔 の整 備士的 な 妖精 がそう 言 った 。 曰 く 、燃料 が 三人分 無いとのこと 。 そ れも そのはず 、巨 大戦 艦 が 二隻 なのだ 、 さっき奪った 燃料 で 足りる訳 がなく⋮⋮ 。 31 5話
﹁困 っ た な ⋮⋮ 備 蓄 資 材 庫 の 燃 料 も 使 っ て い い か ら ミ ュ リ エ ル に 回 し て や っ て 欲 し い 。 そ れ か ら曳航 用の ワイヤー は 俺 か らミュリエル に繋ぎ 直 してく れ。 ﹂ ﹁リョーカイ﹂ 妖精 は パタパタ と作業に戻った 。 ﹁ ⋮⋮ ?﹂ ミュリエル が 不思議 そうにこち らを見 てい る ので 説明 す る。 ﹁ 正 直、ミ ュ リ エ ル の 方 が 速 度 も 出 る し 航 続 距 離 も 長 い 。 だ っ た ら こ れ を 曳 航 す る の も お前の 方 がいいだ ろ ?﹂ ポベーダ が ﹁コレ って 言 うな ー !﹂ と 叩 いてく る が 気 にせずに 続 け る。 ﹁ と り あえず 燃料 はお前に優先 、 次いで 俺 で 日 本 を目指 そう 。 ﹂ ﹁ ⋮⋮か弱い女の子に 不 当な 労働。 ⋮⋮ 認められ ない 。 ﹂ ﹁25万馬力オーバー の奴が何 言 って ん だ 。 ﹂ そう 返 す 15万馬力相 当の 俺。 ポベーダ ?聞 いて 驚 け 、俺 の十 分 の 一 だ 。 ﹁ ⋮⋮ わ かった 。 ﹂ 不承不承、引 き 受 け るミュリエル。 ﹁ミュリエル あ り がと ー。 ﹂ 32
﹁ ⋮⋮ ん。 ﹂ ポベーダ の 頭を撫 でてあげ るミュリエル。 言 うほど 嫌 って 訳 では無さそうだ 。 その時 、一瞬 だけ ミュリエル は 僅 かに 口 元 を吊り上 が る の を見逃 さなかった 。 元の 顔 に戻 る と 、諭 す よ うに 言 う 。 ﹁ ⋮⋮ 私 の 事。 ⋮⋮ ママ って呼 ん で 良 い よ ?﹂ ﹁わ かった 。 じ ゃ あ周 防 は パパ だね ?﹂ ﹁ しまった コイツ外堀を埋める気 か !?﹂ 任 せたのは 間違 いだっただ ろ うか⋮⋮ 。 一方 そのこ ろ。 どこかの 鎮守府 で⋮⋮ 。 ﹁ 本当な ん でち !島 が 動 いてた ん でち !﹂ ﹁見間違 いじ ゃ ない わ !本当な ん だか ら !﹂ ﹁ ⋮⋮だ 、 そうですけど 。 どうなさいます ?提 督 。 ﹂ ﹁ う ーん ⋮⋮ 。 に わ かには 信 じ られ ないなぁ⋮⋮ 。 ﹂ 幌筵 泊 地の中のとあ る一 つの 鎮守府 で 提 督は 悩ん でいた 。 秘書艦 の 龍鳳 が 、 出撃 していた 部隊 の 伊58 と 阿賀野 か ら "島 が 移動 してい る "と 言 33 5話
う報告 を受 けたので 、 その 聴取を していた 。 動 く 島 などあ り えない 。 ﹁ ど れ く ら いの 距離 ?﹂ ﹁ ど れ く ら いでちか ?﹂ ﹁ そ れ な り には 遠 かったと 思 うけど ?﹂ ⋮⋮ 生憎、今日 は天 候不順 だ 。 な ん かの 船団 で も見間違 えたのだ ろ う 。 提 督はこ れ か ら 来 る 嵐 を、 楽 観視 していた⋮⋮ 。 所戻って周 防 たち 。 ﹁ ⋮⋮子 育 てって大 変 ね ?﹂ ﹁ソウダナー。 ﹂ ポベーダを曳航 して 再 び 進み始め た 三隻︵実質二隻︶ 。 ポベーダ はその 速 さにご機 嫌 で 。 ミュリエル は夫婦の よ うに絡 ん できて 。 周 防一人、や っぱ り 失敗だったかと 考 え る のであ る。 ﹁ ⋮⋮あなた ?﹂ ﹁パパ ?﹂ ﹁ えぇい !パパ とかあなたとか呼ぶ ん じ ゃ ない !﹂ 34
お父さ ん認め ないか ら ねっ ! またまたその 頃。 ﹁ と りゃ !﹂ 艦載 機 を飛 ばす 、巨艦 の 姿 がそこにあった 。 放た れる艦載 機は 他 の 艦 の 艦載 機 軽々 と 抜 き 、 下部 か らミサイルを射出。 次 々 に敵 艦 に 叩 き 込ん で 行 く 。 その圧 倒的 な性 能 の機体の前に 、立 ちふさが るも のは居なかった⋮⋮のだが 。 ﹁ な ん で コイツ な ん だ ろ うなぁ⋮⋮結局作 られ なかったじ ゃん。 ﹂ 巨艦 の 上 の 少 女は 不満 そうだった 。 も っと も、叩 き 込 ま れ た敵は堪った も のではなく 。 反撃も そこそこにど ん ど ん退 却していった⋮⋮ 。 夜も明 け 、 東の空が白 ん できた時⋮⋮ 。 周 防 たちが 引 き 続 き 進ん でい る と 、レーダー に報告があった 。 ﹁ え ー と ?270度距離20000 の海中に 艦 あ り、 こち ら へと 進路を とった ?﹂ 妖精 が 羅針盤を回 すので 、 手 動 で 真西 へと 向 かっていた ら ⋮⋮潜水 艦 か 。 ﹁ 潜水 艦 かぁ⋮⋮でき りゃ 戦いたくねぇ よ な⋮⋮ 。 ﹂ 対 潜値が無い わ けではない 。 35 5話
仰角マイナス にした り雷撃 だった り で攻 撃 は 出 来 る。 だが 有効 な機 雷 の無い 以上心許 なく 、 戦 闘 は 避 けたい 。 も っと も ⋮⋮敵が 深 海 棲艦 とは決まってないのだが 。 ﹁ あ ん ま り近 づく よ うな ら 橘 花を出 して 交渉を持 ちかけてく れ。 ﹂ ﹁リョーカイ !﹂ ﹁ ⋮⋮敵 ?﹂ ﹁わ か らん。 潜水 艦 の 類 いだそうだ 。 ﹂ 前 方 には 、曇 天が 広 がっていて 今 に も雨 が 降り そうだ⋮⋮ 。 せ め て も、悪 い 事 にはな ら ないで欲しいと祈 る 周 防 だった 。 36
6話
周 防 は 見 つけた潜水 艦 へと橘 花 改 二を 数機ほど 飛 ばした 。 その橘 花 数機が潜水 艦 へと到 達 す る頃、 潜水 艦 の 方 では⋮⋮ 。 ﹁ゴーヤ と 阿賀野 の 言 うとお り、 おっきいのが 動 いて る のね !﹂ 先ほど 提 督が "島 が 動 いてい る "と報告 を受 けた 鎮守府 の潜水 艦、伊19 が居た 。 遠征 の帰 り に 通信 で 58 の 話を聞 いて 、見 に来たのであ る。 ﹁提 督 、 で も島 じ ゃ なくて 船 なの 。 ﹂ ﹁島 じ ゃ なかったでち⋮⋮ 残念 でち⋮⋮ 。 ﹂ ﹁ え ー と 、 ど ん な 船 だ ?﹂ 通信 ごしに 、二人 の 声 が 聞 こえ る。 58 は単 純 に 落胆 してい るよ うだ 。 ﹁ おおきな戦 艦 が 2、 ちっち ゃ いな ん かが 1、親 子 み たいなの !﹂ ﹁ 戦 艦 が 2 か⋮⋮ 。 刺 激 しない よ うに 交信 して み てく れ ないか ?﹂ ﹁りょー かいなのね !﹂ 提 督は 考 え る。 37 6話普 通 に別 鎮守府 の 艦 の 可能 性 も あ る が⋮⋮ 。 も う 一 つの 可能 性であ る、 自 然に ドロップ した 艦 ⋮⋮所 謂 はぐ れ艦娘 がさ 迷 ってい る ことは 、珍 しいが無い わ けではない 。 そして 近 くの 鎮守府 に 保護、 そのまま所属す る事 とな る のが大半だ 。 小 さな 艦 な ら と も かく 、 戦 艦 が 二隻も固 まって 移動 していて 、 尚見 つかってない も の だとした ら生 ま れ て 間も ないと 言 う 事 にな る。 仲間 が 増 え る のは 良 いことだ 。 ﹁ しかし戦 艦 か⋮⋮ 。 ﹂ 提 督は 、艦隊 に所属してい る 戦 艦を 数え る。 金 剛 型 に山 城、長門、 そ れ か ら 大 和。 欲 を言 えば 陸 奥 や 扶桑な ん かが 嬉 しいのだが⋮⋮ 。 皮算 用していた 提 督はあ る こと を聞 くの を忘れ ていたのに 気 づいた 。 ﹁イク、深 海 棲艦 じ ゃ ない ん だ よ な ?﹂ ﹁深 海 棲 艦 な ら パ ー ツ や 色 が 歪 だ し 、 ま ず あ の ど す 黒 い オ ー ラ が 無 い の ね 。間 違 い な く 艦娘 なの 。 ﹂ ﹁ おっけ ー、交信 の 状況 はどうだ ?﹂ ﹁向 こ う の 艦 載 機 妖 精 が イ ク の 子 た ち と 話 し て る の ね 。 ⋮⋮ "ワ レ、 戦 ウ ツ モ リ ナ シ。 38
話ガシタイ。 "だって !﹂ ﹁ ほほう 、向 こう も 何かあ る のか 。 ﹂ な ん だ別の所属か 、 と 内心凹み つつ も返信内容を指 示す る。 ﹁ "了解。艦隊を 組 み、 そち ら に 向 かう 。暫 し 待 た れよ。 "﹂ ﹁りょー かいなのね 。 ﹂ 返信を指 示す る19 の 声を聞 きなが ら、考 えていた 。 話 とはな ん だ ろ うか⋮⋮ 。 最近、 横 須賀 ・ 呉 ・ 舞鶴 の 連合艦隊 がどう やら世話 しなく 動 いてい るよ うだが 、 そ れ 関連 の 人員要 求だ ろ うか 。 ウチ は 艦隊規 模はそう大きくはないし 、 幌筵か ら 何 隻 とかだったとして も他を あたっ てく れ た ら なぁ⋮⋮ 。 な ん て 考 えてい る と 、19 が 叫ん だ 。 ﹁向 こうか ら 入 電 !"ワレ、他ノ艦トノ 戦 闘ニ 入 ル。 救 援 求 ム。 "だって !﹂ ﹁ 何⋮⋮ ?﹂ 周 防 の 方 では 。 ﹁ そうかそうか 、近 くの 鎮守府 の 艦 か 。 ﹂ ほっと 一 息ついて 、返信を考 え る。 39 6話
﹁ 物 資 く れ ⋮⋮ は 直 接 だ な 。 救 援 求 む ⋮⋮ っ て の も 大 袈 裟 だ よ な 。 所 属 が 無 い ⋮⋮ 言 っ てどうす るん だ 。 ﹂ 怪しさ MAX な 事を言 って も意 味が無いけ れ ど も、色々 と 話 すべき 事 はあ るん だ 。 ﹁ こ れ はこ れ で怪しいけど 、 "話 がしたい "でいいかな ?頼ん だ 。 ﹂ 妖精 に 通信 して 、返信を待 つ 。 ﹁艦隊を 組 ん で 向 かうか ら待 て 、 か 。ミュリエル、ポベーダ、速度を落 とそう 。 ﹂ ﹁ ⋮⋮ わ かった 。 ﹂ ゆ っく り と 速度を落 とし 始める。 す る と ポベーダ が 叫ん だ 。 ﹁ ねぇねぇ !ユーフォー だ !﹂ ﹁ まっさかそ ん な 訳 ⋮⋮ 。 ﹂ ポベーダ が ﹁ あっちあっち !﹂ と 指を差 す 。 その 方を向 くと 、 曇 った空の中で 微 かに 見 え る、移動 す る 中かがあった 。 ﹁ ⋮⋮まじで ?﹂ よ く よ く 目を凝ら す 。 その 動 く何かはこち ら へと 向 かってく る。 銀色 の機体 を持 つ 、疾風 のごとき⋮⋮い やも っと 速 くこち ら へと何か を 打ち 出 した 。 そ れ は 、緩や かにこち ら へと 向 かって来て⋮⋮ 。 40
﹁緊 急 回避 だ !速 くし r﹂ 周 防 へと 直撃 した 。 ﹁サンバンホウトウタイハ ! シヨウデキマセン !﹂ ﹁ かぁ ∼ ⋮⋮ 。 ﹂ 衝撃 と 、17inch 砲が大破したことに より、激痛 が 走る。 ﹁ 潜 水 艦 に "戦 闘 に 入 る、 救 援 求 む "と 伝 え て く れ !主 砲 旋 回 !仰 角 調 整 !高 角 砲 も 機 銃も だ !﹂ 銀色 の何かは 、 橘 花よりも速 く 逃 げて 行 った 。 逃 げて 行 った先か ら、同 じ 銀色 のが 20近 く や ってく る。 ﹁ げっ !?﹂ ﹁ユーフォー 大 群 だぁ !﹂ ﹁笑 っ て る 場 合 じ ゃ ね ぇ !ミ ュ リ エ ル は ポ ベ ー ダ 連 れ て 離 れ ろ !こ っ ち が 引 き 付 け る !﹂ ﹁ ⋮⋮ わ かった 。 ⋮⋮無 理 しないで ?﹂ 返事 す る 余 裕も なく 、 砲 を 発 射 しなが ら銀色 のそ れ の 方 へと 近 づく 。 しかし 連装高角 砲 も 機 銃も ほと ん ど当た ら ない 。 かすって も お 構 い無しに 爆 弾の よ うな も の を 打ち 出 しては 逃 げて 行 く 。 41 6話
副砲が やられ、 機 銃 が やられ、出 していた橘 花も 戻 る事 なく 撃墜 さ れる。 ﹁飛行 甲 板 だか 盾 だか わ か ん ねぇな⋮⋮ !﹂ 装 甲が 厚 いのが 効を 奏してい る のか 、 持 ちこたえ る が 、 そ れ で も 圧 倒的劣勢 なのは 変 わら なかった 。 しかし 、 ついに 銀色 のそ れを離 着 陸 してい る母艦を見 つけた 。 ﹁ お前かぁぁぁぁぁぁぁぁぁ !!﹂ ここしかない チャンス に 、生 きて る 砲火 力、雷撃を 全て 撃 ち放つ 。 母艦 は横にずずっと 移動 す る が 、 そ れも 稼 働 までが 遅 く 、 19inch 砲が 二 発 、 高 角 砲が 1 発命中す る。 ﹁ き ゃ あ !?何す るん ですか !﹂ 向 こ う の 艦 か ら 声 が す る。 な ん と か 甲 板 付 近 の 銀 色 の 機 体 と 右 舷 艦 首 の 一 部 を 壊 し た 。 ﹁ お前こそどうして攻 撃 した !﹂ ﹁暇 だか ら に決まってます !﹂ ﹁バカ かお前 !こちと ら 死にそうだ わ !﹂ ﹁私 の 為 に死 ん で 下 さい !大 人 しく !﹂ ﹁ まっぴ ら ご めん だ !﹂ 42
相 手か ら円柱状 の よ うな も のが何本 も飛ん でく る。 そ れを食ら った 俺 は 左舷 がひし ゃ げ穴が 開 き 、 浸水し 始め た 。 ﹁クソ野郎 ぉぉ !﹂ 注 水 ・排 水 指 示 を しなが ら、 主砲 を再 び 撃 つ 。 相 手 は ま た も 避 け る が 全 部 を 避 け き る こ と は 出 来 な い の か 、 甲 板 と 艦 舷、艦 橋 に ダ メージを 入 れ ていく 。 相 手機か ら の 爆 弾 、 艦 か ら の 円柱状爆 弾 を食ら い 、 更 に 被害を拡 大させなが らも雷撃、 再 び砲 撃 す る。 だが 、相 手の火 力 が 高 すぎ る。 や は り、限 界が や ってく る。 ここまでかと 思 った時だった 。 ﹁ ⋮⋮ 沈め。 ﹂ 後方 か ら、ミュリエル が 射撃を した 。 そこでついに 、相 手の甲 板を 歪 め、壊 した 。 全 部 では無いにし ろ、被害甚 大ではあった よ うで⋮⋮ 。 ﹁ 卑怯です よ !二対一 な ん て !﹂ ﹁ ⋮⋮奇 襲も 十 分 ず る い 。 ﹂ ﹁ ⋮⋮味 方も 呼 ん だ ん ですね 、わ か り ました 退 きまし ょ う 。 ﹂ 43 6話
銀色 の機体 を回収 しなが ら相 手は 離れ て 行 く 。 最後 にこう 言 った 。 ﹁私 の 艦名 は ジェラルド・R・フォード です 。貴方 の 名 前は ?覚 えておきます 。 ﹂ ﹁ 第 111号 戦 艦、 周 防 だ 。 ﹂ ﹁今 まで 殺 った 人より は 骨 があ り ました よ。 ではまた 暇 が 出 来次第 殺 しに来ます 。 ﹂ ﹁二度 と 顔見 せ ん じ ゃ ねぇ⋮⋮ 。 ﹂ ⋮⋮ ジェラルド が 去 って 行 き 、 俺 は ミュリエル に牽 引 さ れ なが ら 先ほどの場所まで戻 る。 そこに 、 潜水 艦 と 、 別に 向 かって来ただ ろ う六 隻 の 艦隊 が到着していた 。 その中の 一艦 ⋮⋮ 旗艦 であ る だ ろ う女性が敬礼して 言 った 。 ﹁ 幌筵 泊 地 0180 番 鎮守府 所属 、 第 一艦隊旗艦、 大 和 です 。 ﹂ 44
7話
大 和 が敬礼 を しなが ら 挨 拶 したの を見 て 、内心驚 きつつ 俺 は 返事を す る。 ﹁ え ー と ⋮⋮ 所 属 は 無 い 。艦 艇 の 名 も さ っ き 決 め た も の な ん だ が ⋮⋮ 。 第 1 1 1 号 戦 艦 の 、 周 防 だ 。 ﹂ そ れを聞 き 、 というか 、声を聞 いて大 和を 含 め た全 員 が 驚 いた 。 ﹁ お 、 男 ?﹂ ざ わめ く 艦隊 の 面 子に 向 かって 、俺 は 宣言 す る。 ﹁艦娘 が女性ばか り なのは 重々承知 してい る。 で も俺 は正 真 正 銘 の男だ 。 ﹂ ﹁ え ー っ と ⋮⋮ ま ぁ 、 そ れ に つ い て は 置 い て お き ま し ょ う 。他 の 方 の 名 前 を 伺 っ て よ ろ しいですか ?﹂ ﹁ ⋮⋮ H42 改 め て 、ミュリエル・ハイデルベルク。 ﹂ ﹁ペレスヴェート級 の ポベーダ です !﹂ ﹁ あ 、 そち ら の 方々 は女性な ん ですね 。 ﹂ ち ょ っと 安 堵した 感 じの 声を あげ る 大 和。 ﹁ え ー と 、 敵と 交 戦していたとの 事 ですが⋮⋮ 。 ﹂ 45 7話﹁コ テ ン パ ン に や ら れ た 。 ち ょ う ど お 前 ら が 来 た か ら、 数 で は 勝 て な い と 考 え た の か 敵 は 逃 げて 行 った よ。 ﹂ ﹁ そ 、 そうですか⋮⋮ 。 ﹂ 少々驚 いた 感 じの大 和。 ﹁ ⋮⋮あの 。 ﹂ ﹁ん ?どうした 。 ﹂ 大 和 の 後ろ にいた 、航 空戦 艦 とおぼしき女性が 声を かけ る。 ﹁ 大 和よりも巨 大な 貴方 が 、 そう簡単に 負 け るも のなの ?﹂ ﹁事実負 けた ん だか ら 敵はそ れ だけ強かった ん だ よ。 たぶ ん。 ﹂ ﹁ ふ ーん ⋮⋮ 。 ﹂ 釈 然としない 、 といった 様 子の女性 。 ﹁ そうい や お前は ?﹂ ﹁ あぁ 、私 は山 城。よろ しく 。 ﹂ 山 城 が 名 乗 る の を皮切り に 、 大 和以外 の 艦も名 乗 る。 大 和 に山 城、比叡、 瑞 鳳、 大 鳳、蒼龍、 そ れ か ら伊19。 ﹁随分 なお 出迎 えで⋮⋮ 。 ﹂ 俺 が ビックリ してい る と 、逆 に大 和 がた め 息 を吐 く 。 46
﹁巨艦二隻 が "救 援 求 む "って 言 ってた ら そ れ な り に 覚悟 してきます よ。 ﹂ ﹁ あ ー、 そいつは 心配 かけたな 。 大 丈 夫だ 。 ﹂ そう 言 うと 、 大 和 は "何 言 って ん だこいつ "と 、言 いたげな 感 じでこち らを向 いた 。 ﹁ そ ん な 大 破 さ せ ら れ て 大 丈 夫 な 訳 無 い で し ょ う ?提 督 か ら、 こ ち ら へ ご 招 待 す る よ う 仰 せつかっています 。ウチ で ドック 入 り してください 。 ﹂ ﹁ お 、 おう 。 ﹂ な ん となく 、凄みを感 じさせ る 大 和 の物 言 いに圧 倒 さ れる。 ﹁ ⋮⋮是 非甘 え る べき 。 ﹂ ミュリエルも、 その 考 えに乗った よ うだった 。 ﹁ じ ゃ あ 、 すま ん が よろ しく 頼む。 ﹂ ミュリエル は ポベーダ に 付 き 、俺 は大 和 と 比叡 に 曳航 さ れ ていた 。 ﹁航行不能 じ ゃ ねぇか ら一人 でいい ん だが⋮⋮ 。 ﹂ ﹁ 何 言 って るん ですか !曳 きます よ !﹂ ぶつくさ 言 う大 和を 横 目 に 、比叡 が 言 ってきた 。 ﹁ 周 防 さ ん、 大 和 さ ん に 気 に入 られ た み たいですね 。 ﹂ ﹁ そうなのか ?﹂ ﹁ 全く⋮⋮手の焼け る弟 ができた み たいです⋮⋮ 。 ﹂ 47 7話
大 和 が強ち 間違 って無い 事を 呟く 。 ﹁ "手の焼け る "は余 計 だ 。誰 だって戦えば 傷 つくだ ろ。 ﹂ ﹁弟 で 良 い ん ですか⋮⋮ 。 ﹂ 比叡 が ツッコむ。 す る と 、比叡 が 思 い 出 した よ うに 。 ﹁ 周 防 さ ん。予め言 っておきますが 、金 剛お 姉様 に手 を出 した ら容赦 なく 撃 ちます !﹂ ﹁ 手 を出 す 気 は無いが 、 まぁ わ かった 。 ﹂ ﹁妹 の 榛名 と 霧島 な ら 別に 良 いです 。 ﹂ ﹁妹を売る な よ !﹂ ミュリエル と山 城も そこに 加わる。 ﹁ まだ居ませ ん けど 、 扶桑お 姉様 に手 を出 せば 撃 つ わよ。 ﹂ ﹁ 手 を出 さないと 言 って ん だ ろ !?﹂ ﹁ ⋮⋮ 私以外 に手 を出 せば 殺 す 。 ﹂ ﹁ お前 ガチ っぽいか らマジ で止 めろ。 ﹂ ﹁ ⋮⋮ 私 だった ら。 ﹂ ﹁ いきな りモジモジ す ん な !手は 出 さないって 言 って r﹂ ﹁ ⋮⋮ 私 に手 を出 さなけ れ ば死ぬ 。 ﹂ ﹁ 何そ れ俺 が ?そ れ と も お前が ?も しかして両 方 ?﹂ 48
﹁ ⋮⋮ 痛 いのは 一瞬。 ﹂ ﹁怖 っ !コイツ怖 っ !﹂ 物 騒 な 話を しなが ら、俺 は 鎮守府 へと 向 かっていった⋮⋮ 。 幌筵第 0180鎮守府。 まず 艦艇を 入渠させてか ら、 大 和 に案 内 さ れ て 司令室 へ 向 かう 。 ﹁ 失礼します !大 和 帰 還 しました !そ れ か ら お 客様を お 連れ しました 。 ﹂ ノック して 、 先に大 和 が入 る。 俺 は入っていい も のなのか わ か ら なかったがと り あえず入 る事 にした 。 ﹁ 失 礼 す る。今 回 は 助 け て く れ て 本 当 に あ り が と う 。 あ と 、鎮 守 府 の 方 で 修 理 を 請 け 負 ってく れ て申し 訳 ない 。 ﹂ ﹁ ⋮⋮お 、 おう 。君 が周 防君 だね ?﹂ 若 い 、黒髪 の 青 年 提 督が 俺を見 て 驚 きなが ら言 った 。 ﹁ あぁ 、マル4計 画の第 111号艦 だ 。名 前はさっきつけた 。 ﹂ ﹁僕 はこの 鎮守府 の 司令官、 瀬 川暢︵ せが わ とお る︶ だ 。暢 で 構わ ない よ。 ﹂ ﹁ い や、提 督な ん だし 提 督と呼ぶ よ。俺 は周 防 で 構わ ない 。 ﹂ ﹁ そう 堅 いこと 言 うな よ。ん で 、 そっちの 二人 が⋮⋮ 。 ﹂ ﹁ペレスヴェート級 の ポベーダ です !﹂ 49 7話
﹁ ⋮⋮ H型42号艦 の ミュリエル・ハイデルベルク。 ⋮⋮周 防 の 嫁 です 。 ﹂ ﹁ポベーダ ち ゃん に周 防 のお 嫁 さ ん ね 。 はい わ かった 。 ﹂ ﹁わ か るん じ ゃ ない 提 督 !こいつの 言 う 事 は半 分嘘 だ !﹂ ﹁ え 、 じ ゃ あ戦 艦 じ ゃ ないのかい ?﹂ ﹁ どうしてそっち を取 った !言 え !﹂ ﹁ い やー冗談 だって 。 ﹂ カラカラ と 笑 う 提 督 。 ﹁ ⋮⋮こういうのは第 一 印 象 が大 切。 ﹂ ﹁変 な 風評被害を 作 ん な 。 ﹂ ﹁ ⋮⋮こ ん なに 可愛 いのに 。 ﹂ ﹁自分 で 言 うかそ れ。 ﹂ ﹁ ⋮⋮ 娘 が 。 ﹂ ﹁パパー。 ﹂ ﹁ その ネタも ういい よ !ポベーダも 乗 ら なくていいか ら !﹂ この 様 子 を見 ていた 提 督はまた カラカラ と 笑 う 。 自分被害 なのは 納得 できないが 、雰囲気 が 和ん で何 より だ 。 とこ ろ で 、 と 提 督が 切り出 す 。 50
﹁君ら ⋮⋮本当に 艦娘 なのかい ?﹂ ﹁ そ れ に つ い て は 何 と も わ か ら ん な 。俺 と ミ ュ リ エ ル は 未 完 成 艦 だ し 、ポ ベ ー ダ は 日 露 戦 争 時の 艦艇ら しい 。 ﹂ ﹁ 未 完成 ?﹂ 大 和 が 口を挟む と 、提 督が 注釈を 入 れる。 ﹁H 4 2 は 、ド イ ツ の H 型 戦 艦 構 想 で 計 画 さ れ た 艦 艇。 作 ら れ て は な い ん だ 。 そ し て マ ル4計 画の第 111号艦 ⋮⋮ 。 こ れ は 、計 画 変更 に よ って 完成 しなかった ん だ よ。 ﹂ ﹁ へぇ⋮⋮ 。詳 しい ん だな 。 ﹂ ﹁一応少 しはね 。 というか大 和、 マル4計 画の 110号 と 111号 と 言 えば 、 君 の 姉妹 に なったか も し れ ない 艦 な ん だ よ ?﹂ その 言葉を聞 いて大 和 は 固 まった 。 ﹁ ⋮⋮え ?﹂ ﹁ だか ら、姉妹。 大 和 の 、 武 蔵以外 の 姉妹 になったか も し れ ない 艦。 ﹂ ﹁ まぁ 、110号艦 は 信濃 って空 母 になったしな 。知ら なくて も仕方 ないか 。 ﹂ ﹁信濃 はまだ発 見 さ れ てないけどね 。 ﹂ あ 、 そうな ん だと 思 っていた ら 大 和 が ツカツカ とこち ら へ来て 俺 の 肩を掴ん だ 。 そうして 俯 いた 顔を上 げ る と 、非 常に キラキラ した 目。 51 7話
﹁ お 姉 ち ゃん って呼 ん で み て !﹂ ﹁ ⋮⋮ 姉貴 ?﹂ 何 言 って ん だとは 思 ったが 、 呼 ん で み た 。 す る と 、 大 和 は 豹変 した 。 ﹁ う っ ふ ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ 武 蔵 は "大 和 "っ て 呼 ぶ し こ の 鎮 守 府 に ま ず ま だ 武 蔵 い な い し お 姉 ち ゃん って呼 ん で もら いたかったの よや っふぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ !!﹂ ⋮⋮大 和 であ る。 紛れも なく 、 大 和 であ る。 ﹁ ね ぇ ね ぇ !お 姉 ち ゃ ん じ ゃ な い よ ね ?お 姉 ち ゃ ん っ て 呼 ん で な い よ ね ?姉 貴 じ ゃ な く てお 姉 ち ゃん って !さぁ !﹂ ﹁ ⋮⋮ 。 ﹂ こ れ が 、 この 後俺 の "姉貴 "とな る、残念 な大 和 であ る。 52
8話
﹁ とこ ろ で 。 ﹂ 提 督が 切り出 した 。 ﹁ 周 防 たちは 目的 とかってあ る ?無け れ ばここに所属してく れる と 嬉 しい ん だけど 。 ﹂ ﹁ あ ー ⋮⋮ 今 は 目的 は無い ん だ よ なぁ⋮⋮ 。 ﹂ 俺 は 少 し 考 えて決 め た 。 ﹁ じ ゃ あ 是 非 そ う さ せ て く れ な い か ?修 理 費 用 や 補 給 資 材 を 返 そ う に も 働 く 場 所 が 必 要 だか ら な 。耳を揃 えて 借り は 返 す 。 ﹂ ﹁借 り と か 言 う な よ。 こ れ も 何 か の 縁 だ 。よ ろ し く 頼 む よ。 命 令 は あ る も の の そ の 他 は 大体 自 由だし 、 好きにしていい よ。 ﹂ そう 言 って数 枚 の 書類を 渡す 提 督 。俺 はそ れを きち ん と 見 てか ら署名 した 。 脇 か らミュリエル と ポベーダも覗 き 、 提 督に 書類を請 求す る。 どう やら、 こいつ らも ここにす るよ うだ 。 全 員 が 提出 す る と 、秘書艦 ⋮⋮ 龍鳳 が 言 った 。 ﹁ では大 和 さ ん、皆 さ ん に 鎮守府 の案 内を して 頂 けますか ?﹂ 53 8話﹁了解 しました 。 では 皆 さ ん、行 きまし ょ う 。 ﹂ 提 督に 一 礼し 、司令室を出る。 ⋮⋮と 、 ここまでは普 通 だったのだが 。 先 程 の 如 く大 和 が 飛 びついてきた 。 ﹁ 周 防 ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ク ン カ ク ン カ ス ー ハ ー ス ー ハ ー 弟 っ て こ ん な 匂 い が す る ん だね周 防 ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ !﹂ はっき り言 うべきだ ろ うか 。 うざ 暑苦 しいと 。 そして 既視感 がす る。 廊下 の温 度 が数 度下 がって 気 づく 。 "感 "じ ゃ なくて 既視 だった 。 背後 か ら殺気を 放つ ミュリエル が大 和を ひっぺがして 俺 に 引 っ 付 く 。 ﹁ ⋮⋮周 防 は 私 の 。 ﹂ ﹁ な ん ですか !?折角 の 姉弟 の 団欒を邪魔 す る だな ん て !﹂ ﹁ ⋮⋮周 防 の 嫁 です 。 ⋮⋮お 姉 さま 。 ﹂ バチバチ と 、二人 の 間 で火 花 が散 る。 そしてその 隅 で怯え るポベーダ。 ご めんよ ⋮⋮な ん か 。 ﹁ と り あえず 、 だ 。邪魔 だ 二人 と も。 ﹂ 54
﹁ ﹁ ﹁ ⋮⋮ 。 ﹂ ﹂ ﹂ ジト目 の ミュリエル、 し ょん ぼ り した大 和、 助 けが来たと 羨望 の眼 差 しで 見るポベー ダ。 ﹁ まずは案 内を真面目 にしてく れ ⋮⋮ 。 その 後 は 基 本 的 に 自 由な ん だ ろ ?﹂ こうして 、 問 題を 先 送り にす る俺。 だが 、 二人 に好きなだけ 痴話喧 嘩 ︵ じ ゃれ あい ?︶ させとけば大 人 しくな る だ ろ う 。 ﹁ ⋮⋮ わ かった 。 ﹂ ﹁ し ょ うがないです 。今 は先に案 内を しまし ょ う 。 ﹂ 不承不承、二人も頷 く 。 ﹁ まずここが 、艦娘 の 寮 です 。 ﹂ 司令室 か ら 渡 り廊下を 渡ってそこそこ大き め の 建 物に着く 。 ﹁ と り あえず戦 艦 の 皆 さ ん の所か ら 案 内 しますね 。 ﹂ 歩 みを進め て 、ドアを開 け る と ラウンジ の よ うな所に来た 。 ﹁ あ 、 来ました よ お 姉 さま 。 ﹂ ﹁ヘーイ 周 防 !﹂ す る と 、巫 女の よ うな 服を 着た 2人 がいた 。 ﹁ え ー と 、 さっきの 比叡 ⋮⋮と 金 剛と やら か ?﹂ 55 8話
﹁ そう デス。英国生 ま れ の 金 剛 デース !ヨロシクオネガイシマース !﹂ ﹁ え ー と 、 戦 艦 周 防 だ 。よろ しく 。 ﹂ 二人握 手す る。 す る と 、金 剛が 言 った 。 ﹁艦 は大 和よりもビッグ なのに 身長 は スモール です ネーHAHAHA !﹂ ﹁ ⋮⋮ 言 っとけ 。 ﹂ 金 剛は 165 ⋮⋮ひ ょ っとした ら170 あ る か も し れ ない 。 癇に 障る が 、事実 なので何 も言 えない 。 ﹁ソ ー リ ー ソ ー リ ー。今 度 テ ィ ー タ イ ム で も し ま シ ョ ウ。 こ れ か ら フ ラ ン ク に 接 し て く ださい ネー !﹂ ﹁ はい よ。 ﹂ ﹁ そっちの ガールズも今日 来た 娘ネ ?﹂ ﹁ ⋮⋮ ミュリエル。 ﹂ ﹁ポベーダ です !﹂ ﹁オーケー !ヨロシクオネガイシマース !﹂ ﹁ そうい や金 剛 、他 の戦 艦 たちはどこだ ?﹂ ﹁ 山 城 は 長 門 と 霧 島 と 一 緒 に ト レ ー ニ ン グ ネ ー。榛 名 は ⋮⋮ マ ァ、 あ の 娘 に も 色 々 あ る んデスヨー。 ﹂ 56
﹁ じ ゃ あ 、 こ れ で全 部 か ?﹂ ﹁イ ェ ス !ワ タ シ た ち は テ ィ ー タ イ ム し て る の で 暇 な 時 に マ タ 声 か け て ク ダ サ ー イ ! シーユー !﹂ ﹁ はい よ。 またな 。 ﹂ ﹁ この 階 が 、巡洋艦クラス になっています 。 ﹂ 三階 まで 上 が る と 、 別の 雰囲気 のす る 空 間 となっていた 。 ﹁ あ れ ?大 和 じ ゃん。 ﹂ ﹁ あ ら鈴谷 さ ん に 青葉 さ ん。 ﹂ ﹁ウィース。 ﹂ ﹁ ど も 恐縮です !青葉 ですぅ !一言よろ しいですか ?﹂ その 青葉 とか 言 う ポニテ の 少 女は大 和 じ ゃ なくて 、俺 に来た 。 ﹁俺 か ?﹂ ﹁ そうそう !じ ゃー いきます よ ぉ !﹂ 青葉 が メモ と レコーダー の よ うな も の を取り出 す 。 その 脇 で 鈴谷 は大 和 に 話 しかけていた 。 ﹁ この 人誰 ?大 和 のな ん か ?﹂ ﹁実 は⋮⋮ 。 ﹂ 57 8話
頬を赤らめる 大 和。 そ れを見 て ビックリ した 鈴谷 まで 俺 の 方 に来 る。 ﹁ ち ょ っと ー 大 和 のな ん な ん だ よー ?見 せつけてさぁこのこの !﹂ ベシベシ と 叩 いてく る鈴谷。 ﹁ では 質 問です !貴方 は 誰 ですか !?﹂ 青葉 が 差 し 出 した レコーダーを避 けつつ 、俺 は 返 す 。 ﹁ 戦 艦 周 防。計 画としては大 和 の 弟 に当た る。 ﹂ 二人 は 一瞬固 まったあと 、 "まさか "と 言 う 顔を したが 、 数 秒後 に 、 "マジ で ?"と 言 う 顔 にな る。 ﹁マジ だ 。 ﹂ ﹁ えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ !?か 、艦 ⋮⋮ 娘 ?﹂ ﹁艦 ⋮⋮息子 ?﹂ その 表現 は 合 って る のか 間違 って る のか 。 ﹁ じ 、 じ ゃ あ次の 質 問です 。艤装 はどうさ れ た ん ですか ?﹂ ﹁ ⋮⋮な ん じ ゃ そ りゃ。 ﹂ 艤装 ⋮⋮ 艦娘 が 装 着す る装備。 基 本 的 な ダメージ は 艦艇 の 方 が 受 け る が 、 艦を自 在に 動 かすに 際 に 感覚 が繋がってお り、 入ってく る肉 体 的ダメージを軽減 す るも のとしての役割 を果 たす 。 58
また 、 水 上を艤装 に よ って 航行 できた り、 護身 用 ・ 提 督 警護 用の武器として も使 え る。 艦艇 が 轟沈 して も、 艤装を背負 った 艦娘 が 生還 す る ことがあ るら しい 。 が 、 逆 に 艦艇 だけでなく 艤装をも 失うと 、 艦娘 は 人 としての存在 を保 てなくな り、 船霊 となって 消 え てしまう 。 こ れを、艦娘 の ロスト と 言 う 。 因み に 、 近代化 改 修 時の素材 や艦艇解 体時にな る と 、 艤装も 特別な 処置を施 して 解 体 さ れる。 この時 艦娘 は 船霊 として 消滅 す る か 、人間 にな る か 選 べ るら しい 。 ﹁ はぁ ん ⋮⋮ 艤装 か 。 ﹂ 頭 に入って来た 情 報 を 整 理 しなが ら背後を見る。 艤装 は⋮⋮ 出 て来ない 。ミュリエルもポベーダも どち らもキョトン としてい る。 逆 に大 和 は 一瞬 にして 艤装を背負 った り外 した り していた 。 どう やら 普 通 の 艦娘 には 艤装 があ るら しい 。 ﹁ あ ー、俺ら はち ょ っと 変わ って る艦娘 なのか も な 、 だか ら艤装 が無い ん だ ろ う 。 ﹂ 釈 然としない 鈴谷 に 俺 は 言 った 。 ﹁ まぁ 、艦艇 はち ゃん とあ る か ら安心 し ろ。 いま入渠 ドック にあ る。 ﹂ ﹁ 怪 我 さ れ た ん ですか ?﹂ 青葉 が 聞 いてく る。 59 8話