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(1)

第 19 章

結婚満足度

結婚満足度

結婚満足度

結婚満足度

鈴木 富美子・田岡 紅実子

1. 分析の目的と先行研究の整理

分析の目的と先行研究の整理

分析の目的と先行研究の整理

分析の目的と先行研究の整理

本稿の目的は、吹田市民において、どのような要因が結婚満足度に影響を及ぼしているの

かを検討することである。

米国の家族社会学では夫婦関係に関する実証研究が中心的な位置を占め、毎年、相当数の

研究成果が報告されているのに対し、日本では夫婦関係の満足度に影響を与える要因につい

ての実証研究は少なく、家族研究の中では最も調査研究が遅れた領域のひとつとされている

[神原、5]。ここでは、先行研究の動向をみたのち、その問題点を指摘し、本稿での分析視覚

について述べることとする。

まず、結婚満足度に関する研究が盛んに行われているとされる米国の状況を簡単に押さえ

ておく。神原 [3] は、1980 年代の米国における夫婦関係に関する実証研究を中心にレビュー

を行い、夫婦関係満足度に影響を及ぼす諸要因についての最近の知見を、①親になること、

②夫と妻の役割関係、③コミュニケーションの 3 点にまとめている。具体的には、①子ども

の誕生によって満足度は幾分低下する傾向があり、しかも妻は夫以上にストレスを経験しや

すい。②役割分担の仕方ばかりでなく、役割分担の満足が結婚満足度に影響するのではない

かという問題意識が発生、共働きか片働きかにかかわらず、夫でも妻でも役割分担に満足で

きることが結婚満足度を高めることに作用する。③夫婦間のコミュニケーション、インタラ

クション、ディスカッションが多いほど満足度は高く、また満足度が高いほど夫婦間の相互

行為は増大する、などの知見を紹介している。

次に日本における先行研究をみておく。神原 [2] [4] [5] は、関西家族社会学研究会が 1990

年に神戸市で実施した家族のライフステージに関するアンケート調査データを使って、684

組の夫婦関係に関する実証研究を行った

1)

。その結果、夫婦関係に対する不満の有無は、夫

婦ともに、意識や評価などの意識変数と有意な関連があることを見出している。具体的には、

相互行為チャンスの評価、パートナーに対する期待度、レディネス度(応諾の主観的・客観

的な準備態勢)

、パートナーに対する期待の充実度、パートナーとの一体化意識である。夫婦

関係への不満は、これら以外にも家庭内役割分担と満足度、自分自身の生き方についての不

満の有無、暮らしの経済面についての不満の有無とも高い関連があった。一方、ライフステ

ージ、本人と配偶者の職業と収入、本人の学歴といった基本的諸属性と、夫婦関係に対する

不満との間には、夫婦ともに関連が見出されなかった。

1)調査対象者は妻の年齢が 25 歳以上 55 歳未満、未婚の同居子のいる核家族夫婦を2段階 無作為抽出法により 1020 組抽出。郵送自記式。回収率 67.1%。

(2)

長津・細江・岡村 [7] も夫婦関係について 1970 年から 1993 年半ば頃までに出された実証

研究をレビューし、情緒統合欲求、伴侶意識、一体化意識など態度次元の伴侶性の高い方が、

また会話時間や一緒にすごす時間が多いなど行動次元の伴侶性の高い方が、夫婦間の満足度

が高く、夫の家事時間(特に常勤の妻)や育児参加の高さや自分の生き方への納得も満足度

と関連がある、としている。さらに長津らは、夫婦関係に関する最近の研究動向とし

て、役 割関係研究における変化を指摘している。それは、これまでの

誰が何を分担するのかという問題

意識から、役割分担関係に影響する要因の解明、さらには分担のあり方と夫婦の情緒関係(満

足度)との関連の解明への変化である。

この流れに沿った実証研究として、末盛 [9] をあげることができる。末盛は、夫の家事遂

行および情緒的サポートが妻の夫婦関係満足度にどのような影響を与えるのかを検討してい

る。具体的には、①従来、従属変数として扱われてきた家事分担を独立変数として設定し、

妻の夫婦関係満足度への影響をみる。②「感情労働」の発見を理論的背景として、妻の満足

度に対する影響要因に、これまであまり扱われてこなかった夫の情緒的サポートを取り上げ

ている。データは家族社会学会の企画する全国家族調査 NFR 予備調査「家族と夫婦関係に関

する調査」を用い、東京 23 区内の夫と同居する有配偶女性 122 人を対象に分析をした。結果

は、夫の家事遂行より情緒的サポートのほうが妻の夫婦関係満足度と関連すること、その傾

向は伝統的な性別役割意識をもつ妻において強いことを明らかにしている。

この他にも、全国家族調査 NFR 予備調査のデータを用いた土倉 [10] や百瀬 [6] などの結

婚満足度に関する報告もみられるなど、立ち遅れてきたとされる結婚満足度の分野の研究も

除々に進みつつある。

しかし、長津・細江・岡村 [7] も指摘しているように、①結婚満足度に関する研究は結婚

幸福感、配偶者満足度、夫婦関係満足度などの様々な概念を用いて研究されてきたこと、②

結婚満足度といっても、それが配偶者に対する満足度か、結婚の結果もたらされた子どもや

経済生活に対する満足度かはっきりしない、などの問題点は依然として残されたままである。

例えば、神原 [2] と末盛 [9] は、従属変数として「夫婦関係満足度」を用いているが、それ

を測る尺度として、神原が「夫婦関係に不満を感じる」という質問項目を用いているのに対

し、末盛は「配偶者の職業への取り組み方や姿勢について」

「家計の分配や管理・運営につい

て」

「親や親族との関わりについて」

「配偶者との性生活について」の4項目の合計得点で示

すなど、説明すべき変数は同じでも、測定尺度は異なっている。さらに両者とも、別項目で

暮らしの経済面での満足度も聞いていることから、

「夫婦関係満足度」は結婚生活における経

済的側面ではなく、夫婦の関係性に主眼がおかれていることが前提となっているようにも思

える。実際、神原の研究では本人と配偶者の職業や収入、学歴などの基本的諸属性と夫婦関

係満足度との間に関連はなかったし、末盛の研究では基本的属性との関連はそもそも検討さ

れていない。

そこで本稿では、吹田調査が「あなたは結婚生活に満足していますか」という漠然とした

質問を行った利点を生かし、夫婦の関係性だけに特化されない、結婚生活全般への満足度を

規定する要因を探っていくことにする。具体的には、男女別の度数分布により回答傾向を確

認する。次に、年齢、学歴、収入などの基本的属性の影響と、先行研究において結婚満足度

(3)

との関連性が認められているライフステージや子ども数、役割関係(家事分担)

、行動次元の

伴侶性(会話頻度、夕食を共にする頻度、休日を一緒にすごす)といった基本的属性以外の

変数との関連についても検討する。そして、最後に、結婚満足度に対する経済的要因の規定

力に焦点を当てて分析を行う。

2. 結婚満足度の回答傾向

結婚満足度の回答傾向

結婚満足度の回答傾向

結婚満足度の回答傾向

吹田調査では、結婚満足度について「あなたは結婚生活に満足していますか。それとも不

満ですか。

」と問い、回答を「1.満足している」

「2.どちらかといえば満足している」

「3.

どちらともいえない」

「4.どちらかといえば不満である」

「5.不満である」の5件法で得

ている。

まず、結婚満足度の男女別および全体の度数分布と平均を示し、全体的な回答傾向をみて

おく(表1)

。男性では「1.満足している」が 49.0%と対象者の約半数を占める。これに「2.

どちらかといえば満足している」をあわせると全体の9割を占め、結婚満足度が非常に高い

傾向にあることがうかがわれる。これに対し、女性は「1.満足している」

(33.5%)

「2.

どちらかといえば満足している」

(40.4%)となっており、両者あわせて対象者の 8 割は超え

るものの男性には及ばない。平均値でみても、男性が 1.66 なのに対して女性は 2.06 と高い。

数値が高いほうが結婚満足度が低いことを示すため、男性に比べて女性のほうが結婚満足度

が低いことがわかる。

表 表表 表 1 結婚満足度の男女別回答(%と平均) 男性 女性 合計 1.満足 49.0 33.5 40.4 2.どちらかといえば満足 39.5 40.4 40.4 3.どちらともいえない 9.0 16.9 13.4 4.どちらかといえば不満 1.4 5.0 3.4 5.不満 1.0 4.2 2.8 合計 100.0 100.0 100.0 (人数) (210) (260) (470) 平均 1.66 2.06 1.88 (標準偏差) (0.78) (1.04) (0.95) F 値 21.77 (df=1)、P<0.001、決定係数 0.04

3. 基本的属性およびその他の変数と結婚満足度

基本的属性およびその他の変数と結婚満足度

基本的属性およびその他の変数と結婚満足度

基本的属性およびその他の変数と結婚満足度

(1)基本的属性との関連

(1)基本的属性との関連

(1)基本的属性との関連

(1)基本的属性との関連

次に結婚満足度と年齢、学歴、収入、就業形態などの基本的属性との関連をみる。前項に

おいて、性別は結婚満足度に有意な効果を示すことが判明したので、以下の分析はすべて男

女別に行う。また、結婚満足度についての回答は、調査表と同じく「1.満足している」

「2.

どちらかといえば満足している」

「3.どちらともいえない」

「4.どちらかといえば不満で

ある」

「5.不満である」の5件法を用いて分析する。

まず、属性変数ごとの男女別結婚満足度の度数分布によって全体の傾向を確認し、次に、

属性変数を独立変数、結婚満足度を従属変数にした 1 元配置の分散分析を実施して、結婚満

(4)

足度に対して有意な効果をもつ属性変数を同定する。

なお、吹田調査では、結婚満足度について回答対象者が全体で 470 人、男女別にみると、

男性 210 人、女性 260 人である。しかも、以下の属性変数との関連を見る際には、さらに対

象者が減少する可能性があり、統計的な分析を行うにはサンプル数が少なく、統計的に有意

な関連がでにくい。このため、有意水準を 10%水準に緩めて検定を行う。

①年齢(表2)

最初に年齢と結婚満足度の関連についてみた。年齢は、

「39 才以下」

「40 代」

「50 代」

「60

代」の4つに分類した。

男性・女性ともに年齢と結婚満足度との間に有意な関連はみられなかった。

表 表 表 表 2 年齢と結婚満足度 (%と平均) 39 才以下 40 代 50 代 60 代 合計 <男性> 1.満足 60.5 49.1 35.9 56.5 49.1 2.どちらかといえば満足 27.9 40.4 50.0 34.8 39.5 3.どちらともいえない 9.3 7.0 10.9 8.7 9.1 4.どちらかといえば不満 0.0 1.8 3.1 0.0 1.4 5.不満 2.3 1.8 0.0 0.0 1.0 合計 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 (人数) ( 43) ( 57) ( 64) ( 46) (210) 平均 1.56 1.67 1.81 1.52 1.66 (標準偏差) (0.85) (0.84) (0.75) (0.66) (0.78) F 値 1.55(df=3)、P>0.1、決定係数 0.02 <女性> 1.満足 38.6 29.3 36.9 22.6 33.5 2.どちらかといえば満足 40.0 36.0 40.5 51.6 40.4 3.どちらともいえない 12.9 18.7 16.7 22.6 16.9 4.どちらかといえば不満 7.1 6.7 2.4 3.2 5.0 5.不満 1.4 9.3 3.6 0.0 4.2 合計 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 (人数) ( 70) ( 75) ( 84) ( 31) (260) 平均 1.93 2.31 1.95 2.06 2.06 (標準偏差) (0.97) (1.23) (0.98) (0.77) (1.04) F 値 2.10(df=3)、P>0.1、決定係数 0.02

②学歴(表3)

学歴は最終学歴(中退や現在在学中も含む)の「1.中学校」を“初等”

「2.高等学校」

を“中等”

「3.短大」

「4.高専」

「5.大学」

「6.大学院」をあわせて“高等”とした。

男性では両者に関連する傾向がみられた。

「初等」

「中等」

「高等」と学歴が高くなるにつれ

て結婚満足度の平均が低くなること、また、

「満足」

「どちらかといえば満足」をあわせた“満

足層”が増えるなど、学歴が高いほど結婚満足度も高くなっていた。

女性では両者に有意な関連はみられなかったが、傾向としては、男性と同様に学歴が高い

ほど結婚満足度が高くなっていた。

(5)

表 表 表 表 3 学歴と結婚満足度(%と平均) 初等 中等 高等 合計 <男性> 1.満足 53.9 42.4 54.1 49.3 2.どちらかといえば満足 30.8 42.4 37.6 39.1 3.どちらともいえない 0.0 11.8 8.3 9.2 4.どちらかといえば不満 0.0 3.5 0.0 1.5 5.不満 15.4 0.0 0.0 1.0 合計 100.0 100.0 100.0 100.0 (人数) ( 13) ( 85) (109) (207) 平均 1.92 1.76 1.54 1.66 (標準偏差) (1.44) (0.80) (0.65) (0.78) F 値 2.78(df=2)、P<0.1、決定係数 0.03 <女性> 1.満足 22.6 32.6 39.1 33.7 2.どちらかといえば満足 45.2 39.3 40.2 40.3 3.どちらともいえない 19.4 19.3 12.0 16.7 4.どちらかといえば不満 0.0 5.9 5.4 5.0 5.不満 12.9 3.0 3.3 4.3 合計 100.0 100.0 100.0 100.0 (人数) ( 31) (135) ( 92) (258) 平均 2.35 2.07 1.93 2.06 (標準偏差) (1.23) (1.01) (1.01) (1.04) F 値 1.92(df=2)、P>0.1、決定係数 0.01 初等学歴=中学校; 中等学歴=高等学校; 高等学歴=短大・高専・大学・大学院。

③世帯年収(表4)

世帯年収は、

「400 万円未満」

「400∼600 万円未満」

「600∼800 万円未満」

「800 万円以上」

の4つに分類した。男性・女性ともに、結婚満足度と世帯年収の間には関連がみられた。

男性では、世帯年収「400 万円未満」で最も平均が高く、結婚満足度が低いようすがうか

がわれた。また、

「400∼600 万円未満」と「800 万円以上」の層では9割を超える人が、

「満

足」

「どちらかといえば満足」

をあわせた

“満足層”

に該当する一方、

「400 万円未満」

で 25.0%、

「600∼800 万円未満」で 19.6%の人がそれ以外の“満足とはいえない層”

(「どちらともいえ

ない」

「どちらかといえば不満」

「不満」

)に属するなど、世帯収入と結婚満足度との間には線

形ではない関連がみられた。

女性も、世帯収入「400 万円未満」において最も平均が高いうえに、他の3つのカテゴリ

ーに比べ「満足」とする人が少ない、過半数が“満足層”ではないなど、結婚満足度の低さ

が目立った。また、

「400∼600 万円未満」と「600∼800 万円未満」を比べると、収入の低い

「400∼600 万円未満」

のほうが結婚満足度の平均が低くなっており

(=結婚の満足度が高い)

男性と同様、世帯収入と結婚満足度の間に線形でない関係がみられた。

(6)

表 表表 表 4 世帯年収 (万円) と結婚満足度(%と平均) <男性> –400 400–600 600–800 800 以上 合計 1.満足 29.2 67.7 37.0 53.9 49.5 2.どちらかといえば満足 45.8 26.5 43.5 40.2 39.2 3.どちらともいえない 16.7 3.0 17.4 4.9 8.7 4.どちらかといえば不満 4.2 0.0 2.2 1.0 1.5 5.不満 4.2 3.0 0.0 0.0 1.0 合計 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 (人数) ( 24) ( 34) ( 46) (102) (206) 平均 2.08 1.44 1.85 1.53 1.66 (標準偏差) (1.02) (0.82) (0.79) (0.64) (0.78) F 値 5.4(df=3)、P<0.01、決定係数 0.07 <女性> 1.満足 13.8 35.6 33.3 37.7 33.6 2.どちらかといえば満足 34.5 44.1 37.8 40.4 40.1 3.どちらともいえない 34.5 11.9 15.6 15.8 17.0 4.どちらかといえば不満 6.9 3.4 13.3 1.8 4.9 5.不満 10.3 5.1 0.0 4.4 4.5 合計 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 (人数) ( 29) ( 59) ( 45) (114) (247) 平均 2.66 1.98 2.09 1.95 2.06 (標準偏差) (1.14) (1.04) (1.02) (1.00) (1.04) F 値 3.79(df=3)、P<0.05、決定係数 0.04 表 表表 表 5 本人収入 (万円) と結婚満足度(%と平均) <男性> –400 400–600 600–800 800 以上 合計 1.満足 38.6 54.8 39.6 59.4 49.0 2.どちらかといえば満足 43.2 38.1 43.4 34.8 39.4 3.どちらともいえない 13.6 2.4 15.1 5.8 9.1 4.どちらかといえば不満 2.3 2.4 1.9 0.0 1.4 5.不満 2.3 2.4 0.0 0.0 1.0 合計 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 (人数) ( 44) ( 42) ( 53) ( 69) (208) 平均 1.86 1.60 1.79 1.46 1.66 (標準偏差) (0.90) (0.86) (0.77) (0.61) (0.78) F 値 3.14(df=3)、P<0.05、決定係数 0.04 <女性> なし –100 万円 100 万以上 合計 1.満足 37.9 27.6 35.2 33.9 2.どちらかといえば満足 40.2 39.5 40.9 40.2 3.どちらともいえない 14.9 22.4 12.5 16.3 4.どちらかといえば不満 2.3 7.9 5.7 5.2 5.不満 4.6 2.6 5.7 4.4 合計 100.0 100.0 100.0 100.0 (人数) ( 87) ( 76) ( 88) (251) 平均 1.95 2.18 2.06 2.06 (標準偏差) (1.02) (1.02) (1.11) (1.04) F 値 0.97(df=2)、P>0.1、決定係数 0.01

(7)

⑤本人年収(表5)

結婚満足度と本人年収の関連を男女別にみた。男性の本人年収は、世帯年収と同じ分類を

用いた。女性の本人年収は「収入なし」

「100 万円未満」

「100 万円以上」の3分類を用いた

男性では、本人年収と結婚満足度との間に有意な関連がみられた。関連の傾向は、世帯年

収と同様に「400 万円未満」で最も平均が高く、結婚満足度が低かった。また、

「400 万円未

満」

(18.2%)と「600∼800 万円未満」

(17.0%)で「どちらともいえない」

「どちらかといえ

ば不満」

「不満」をあわせた“満足ではない層”が目立つなど、本人年収と結婚満足度の間に

線形ではない関連がみられた。

女性では両者に関連はみられなかった。

⑥配偶者年収(表6)

結婚満足度と配偶者年収の関連を男女別にみた。男性では、配偶者(妻)の年収の分類は

女性本人年収と同じ「収入なし」

「100 万円未満」

「100 万円以上」の3分類を用いた。女性で

は、配偶者(夫)の年収の分類は世帯年収と同じ4分類を用いた。

表 表 表 表 6 配偶者年収 (万円) と結婚満足度(%と平均) <男性> (妻の年収) なし –100 万円 100 万以上 合計 1.満足 51.8 33.9 60.0 49.3 2.どちらかといえば満足 34.1 51.8 38.4 40.3 3.どちらともいえない 12.9 8.9 1.7 8.5 4.どちらかといえば不満 0.0 3.6 0.0 1.0 5.不満 1.2 1.8 0.0 1.0 合計 100.0 100.0 100.0 100.0 (人数) ( 85) ( 56) ( 60) (201) 平均 1.65 1.88 1.42 1.66 (標準偏差) (0.80) (0.85) (0.53) (0.78) F 値 5.47(df=2)、P<0.01、決定係数 0.05 <女性> (夫の年収) –400 400–600 600–800 800 以上 合計 1.満足 24.6 31.8 37.5 39.0 33.5 2.どちらかといえば満足 35.1 46.0 41.7 41.6 41.2 3.どちらともいえない 24.6 11.1 12.5 16.9 16.3 4.どちらかといえば不満 7.0 7.9 6.3 0.0 4.9 5.不満 8.8 3.2 2.1 2.6 4.1 合計 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 (人数) ( 57) ( 63) ( 48) ( 77) (245) 平均 2.40 2.05 1.94 1.86 2.06 (標準偏差) (1.19) (1.02) (0.98) (0.88) (1.04) F 値 3.14(df=3)、P<0.05、決定係数 0.04

男性では、配偶者年収と結婚満足度との間に関連がみられた。関連の傾向をみると、最も

結婚満足度が高いのは妻の年収が「100 万円以上」

、次が「収入なし」で、

「100 万円未満」の

ときに最も結婚満足度が低かった。また、

「収入なし」と「100 万円未満」の層を比べると、

「満足」

「やや満足」を合わせた“満足層”の割合はほぼ同じだが、

「満足」の割合だけを比

(8)

較すると「収入なし」では過半数の 51.8%を占めるのに対し、

「100 万円未満」では 33.9%に

留まるなど、

「満足」の比率に違いがみられた。

女性も両者に有意な関連がみられた。関連の傾向としては、夫の年収が高くなるにつれて

平均が下がることから、女性の場合には夫の収入が高くなるほど結婚満足度が高くなる様子

がみられた。また、最も結婚満足度の低い「400 万円未満」のカテゴリーでは、

“満足でない

層”が4割を占めるなど、他の3つの収入カテゴリーではどれも2割前後なのに比べて結婚

生活に満足していない人の割合の高さが目立った。

⑦本人および配偶者の就業形態(表7、表8)

結婚満足度と本人および配偶者の就業形態の関連を男女別にみた。就業形態は、男性本人

および配偶者(夫)の就業形態は、

「0.仕事をしていない」を「無職」

「1.臨時雇用、パート、

アルバイト、契約社員」と「3.派遣社員」と「4.内職」をあわせて「パート」

「2.常時雇用さ

れている一般従業者」を「正社員」

「5.自営業主・自由業者」と「6.家族従業者」をあわせて

「自営」

「7.経営者、重役、役員」を「経営」の5つに分類した。女性本人および配偶者(妻)

の場合には、

「5.自営業主・自由業者」と「6.家族従業者」と「7.経営者、重役、役員」をあ

わせて「自営・経営」とし、就業形態を4つに分類した。

本人の就業形態も配偶者の就業形態も、男性・女性ともに結婚満足度との間に関連がみら

れなかった。

表 表 表 表 7 本人就業形態別・結婚満足度の男女別回答(%と平均) <男性> 無職 パート* 正社員 自営** 経営 合計 1.満足 33.3 61.5 46.2 61.9 56.5 48.8 2.どちらかといえば満足 50.0 30.8 41.7 28.6 34.8 39.6 3.どちらともいえない 16.7 0.0 9.1 9.5 8.7 9.2 4.どちらかといえば不満 0.0 0.0 2.3 0.0 0.0 1.5 5.不満 0.0 7.8 0.8 0.0 0.0 1.0 合計 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 (人数) ( 18) ( 13) (132) ( 21) ( 23) (207) 平均 1.83 1.62 1.70 1.48 1.52 1.66 (標準偏差) (0.71) (1.12) (0.79) (0.68) (0.67) (0.78) F 値 0.77(df=4)、P>0.1、決定係数 0.02 <女性> 無職 パート* 正社員 自営・経営† 合計 1.満足 35.8 28.4 39.5 29.2 33.6 2.どちらかといえば満足 40.0 40.5 44.7 37.5 40.6 3.どちらともいえない 16.7 18.9 7.9 20.8 16.4 4.どちらかといえば不満 4.2 6.8 5.3 4.2 5.1 5.不満 3.3 5.4 2.6 8.3 4.3 合計 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 (人数) (120) ( 74) ( 38) ( 24) (256) 平均 1.99 2.20 1.87 2.25 2.06 (標準偏差) (1.00) (1.10) (0.96) (1.19) (1.04) F 値 1.33(df=3)、P>0.1、決定係数 0.02 *: 臨時雇用・パート・アルバイト、派遣社員、内職 **: 自営業者・自由業者、家族従業者 †: 自営業者・自由業者、家族従業者、経営者・重役・役員

(9)

表 表表 表 8 配偶者就業形態と結婚満足度(%と平均) <男性> (妻の就業形態) 無職 パート 正社員 自営・経営 合計 1.満足 48.2 43.6 46,7 81.3 49.3 2.どちらかといえば満足 35.2 49.1 50.0 12.5 39.2 3.どちらともいえない 14.8 3.6 0.0 6.3 9.1 4.どちらかといえば不満 1.0 1.8 3.3 0.0 1.4 5.不満 1.0 1.8 0.0 0.0 1.0 合計 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 (人数) (108) ( 55) ( 30) ( 16) (209) 平均 1.71 1.69 1.60 1.25 1.66 (標準偏差) (0.82) (0.79) (0.67) (0.58) (0.78) F 値 1.73(df=3)、P>0.1、決定係数 0.02 <女性> (夫の就業形態) 無職 パート 正社員 自営 経営 合計 1.満足 32.1 41.2 32.7 36.8 26.3 33.3 2.どちらかといえば満足 46.4 23.5 40.4 36.8 57.9 40.7 3.どちらともいえない 10.7 23.5 18.0 15.8 10.5 16.7 4.どちらかといえば不満 7.1 0.0 5.8 2.6 5.3 5.0 5.不満 3.6 11.8 3.2 7.9 0.0 4.3 合計 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 (人数) ( 28) ( 17) (156) ( 38) ( 19) (258) 平均 2.04 2.18 2.06 2.08 1.95 2.06 (標準偏差) (1.04) (1.33) (1.01) (1.17) (0.78) (1.04) F 値 0.11(df=4)、P>0.1、決定係数 0.00 就業形態の分類は表 7 参照。

(2)その他の変数との関連

(2)その他の変数との関連

(2)その他の変数との関連

(2)その他の変数との関連

次に、ライフステージ、子ども数、女性本人の男女平等意識と配偶者(夫)の家事分担度、

行動次元の伴侶性などの変数と結婚満足度との関連を分散分析を使って検討していく。分析

に使用した独立変数とカテゴリー区分は表9のとおりである。

表 表 表 表 9 独立変数の一覧表 変数名 カテゴリー ライフステージ (問 12-2、12-3) 子ども数 (問 12-1) 男女平等意識 (問 16b) 夫の掃除分担度 (問 24c) 家族との会話頻度 (問 9-1) 休日のすごしかた (問 9) 家族と夕食を共にする頻度 (問 15-1) 子どもなし、末子 0∼6才、末子小学校、 末子中学校、末子高校以上在学中、末子学卒 0人、1 人、2 人、3人以上 高い (そう思う−どちらかといえばそう思う)、 低い(どちらかもいえない−そう思わない) 分担あり(11∼100%)、分担なし(0∼10%) 頻度:よくある、ときどきある、たまにある、ない 内容:クラシック音楽、美術、カラオケ、 スポーツ新聞や女性週刊誌の記事 家族や親戚とすごす、それ以外 ほぼ毎日、週に5∼6回、週に3∼4回、 週に1∼2回、家族がそろうことはほとんどない

①ライフステージと結婚満足度との関連

男性ではライフステージと結婚満足度との間に関連はみられなかったが、女性では関連が

みられた。ライフステージ別の平均値をみると、

「子どもなし」

(25 人)が 1.96、

「末子 0∼6

(10)

才」

(17 人)が 2.12、

「末子小学校」

(27 人)が 2.0、

「末子中学校」

(8人)が 3.38 人、

「末子

高校以上在学中」

(41 人)が 2.10、

「末子学卒」で 1.85 である。数値が低いほうが結婚満足度

が高いことを示すことから、女性の場合、子どもがいない、あるいは在学中の子どもがいな

くなった時期に満足度が高くなるのに対し、子育ての責任を負っている時期は結婚満足度が

低くなる傾向がみられた(表 10)

表 表 表 表 10 ライフステージと結婚満足度 表表表表 11 子ども数と結婚満足度 分散分析 df F P 決定係数 分散分析 df F P 決定係数 <男性> 5 0.98 >0.1 0.03 <女性> 5 3.37 <0.01 0.08 <男性> 3 0.98 >0.1 0.01 <女性> 3 0.35 >0.1 0.00

②子ども数と結婚満足度との関連

男性・女性ともに、子ども数と結婚満足度との間に関連はみられなかった(表 11)

③女性本人の男女平等意識および配偶者(夫)の家事分担度と結婚満足度との関連

ここでの分析の目的は、夫の家事分担度ばかりでなく、それに対する妻の評価(満

足度)が結婚満足度にどのように影響を及ぼすのか、を検討することにある。本来は妻の役

割関係についての満足度と夫の家事分担度を独立変数、結婚満足度を従属変数とした2配置

の分散分析を実施したいところであるが、吹田調査では役割関係に関する満足度を聞いてい

ない。このため、役割関係についての満足度を、妻本人の性別役割分業意識の高低によって

代用させることにする。ここでは問 16(b)「職業上の実力には、性別によって差はない」とい

う質問に対し、

「そう思う」

「どちらかといえばそう思う」と回答した人を男女平等意識が「高

い」

「どちらともいえない」

「どちらかといえばそう思わない」

「そう思わない」と回答した

人を男女平等意識が「低い」とした。家事分担については、料理、食器洗い、洗濯、掃除の

4 項目について聞いたが、夫の家事分担度はどれも非常に低かったため、比較的夫の分担度

が高かった掃除の分担度を取り上げることとする。

分析は、女性本人の男女平等意識と夫の掃除分担度を独立変数、結婚満足度を従属変数に

した 2 元配置の分散分析を行ったが、それぞれの変数の主効果、交互作用効果ともにみられ

なかった(表 12)

表 表 表 表 12 男女平等意識・家事分担と結婚満足度に関する 2 元配置分散分析 効果 df F P 妻の男女平等意識(問 16b) 1 0.96 >0.1 夫の掃除分担度 (問 24 d2) 1 0.00 >0.1 問 16b × 問 24 d2 1 2.03 >0.1 TYPE II 平方和による。決定係数=0.01, F= ★ (df=3), P>★。

④ 行動次元の伴侶性と結婚満足度との関連

ここでは、家族との会話頻度、休日のすごしかた、家族と夕食をともにする頻度、

などの行動次元の伴侶性の高さが結婚満足度に影響を及ぼすかどうかを検討する。

会話頻度は、家族との間の話題について、

「クラシック音楽についての話題」

「美術につい

(11)

ての話題」

「カラオケについての話題」

「スポーツ新聞や女性週刊誌の記事の話題」の4つに

ついて、それぞれ「よくある」

「ときどきある」

「たまにある」

「ない」の 4 件法で尋ねたもの

を用い、話題の内容を問わず、最も頻度の高い回答を会話頻度の指標として用いた。家族と

夕食を共にする頻度は、

「ほぼ毎日」

「週に5∼6日」

「週に3∼4日」

「週に1∼2日」「家

族がそろうことはほとんどない」の5件法で聞いた。休日のすごしかたは、いちばん最近の

休日を「家族や親戚」とすごしたかどうかを指標とした。

これらの3つの変数を独立変数に、結婚満足度を従属変数にして 1 元配置の分散分析を行

なった。結果は次のとおりである(表 13)

表 表表 表 13 行動次元の伴侶性と結婚満足度に関する 1 元配置分散分析 独立変数 df F P 決定係数 <男性> 家族との会話頻度 (問6-1) 3 1.68 >0.1 0.02 休日のすごしかた (問9-1) 1 0.18 >0.1 0.00 家族と夕食を共にする頻度(問 15-1) 4 1.58 >0.1 0.03 <女性> 家族との会話頻度 (問6-1) 3 2.10 >0.1 0.02 休日のすごしかた (問9-1) 1 1.14 >0.1 0.00 家族と夕食を共にする頻度(問 15-1) 4 0.25 >0.1 0.00

男性では行動次元の伴侶性を示す3項目のいずれも、結婚満足度との間に関連はみられなか

った。

女性では休日のすごしかたと夕食を共にする頻度については、結婚満足度との間に有意な

関連はみられなかった。家族との会話頻度については、サンプル数が少ないことを考慮して

有意水準を緩めれば、結婚満足度に影響をあたえていると考えることもできる (

p=0.1002

)。

会話頻度別の結婚満足度の平均をみると、

「よくある」

(81 人)が 1.95.

「ときどきある」

(93

人)が 1.96、

「たまにある」

(70 人)が 2.21、

「ない」

(15 人)が 2.53 となり、会話頻度が低

くなるほど結婚満足度も低くなる傾向がみられた。

4. 経済的側面からみた結婚満足度

経済的側面からみた結婚満足度

経済的側面からみた結婚満足度

経済的側面からみた結婚満足度

最後に、結婚満足度に対する経済的要因の影響をみるが、その際、対象者の年齢に注意す

る必要がある。例えば、男性の場合、

「年収 400 万円未満」には 51 人の該当者がいるが、そ

のうちの約半数(28 人)は 60 才以上である。一方、先に表 2 で確認したように、60 才以上

の年齢層の男性では、それまで年齢とともに低下する傾向にあった結婚満足度が再び上昇す

る傾向がある。このことを考慮して、結婚満足度に対する収入の効果をより鮮明にみるため

に、対象を 59 才以下の男性に絞って分析を行う。

59 才以下の男性を対象に、本人年収(問 29)と配偶者年収(問 30)を独立変数、結婚満

足度を従属変数とした 2 元配置分散分析を行った。本人年収は「600 万円未満」

「600∼800 万

円未満」

「800 万円以上」

、配偶者年収は「収入なし」

「100 万円未満」

「100 万円以上」の各3

カテゴリーに分類した。その結果、本人年収、配偶者年収ともに主効果がみられ、交互作用

(12)

効果も認められた(表 14)

表 表 表 表 14 本人・配偶者年収と結婚満足度の 2 元配置分散分析(59 才以下の男性) 効果 df F P 本人年収(問 29) 2 3.35 <0.05 配偶者年収(問 30) 2 5.95 <0.01 問 29×問 30 4 2.13 <0.1 TYPE II 平方和による。決定係数=0.15, F= ★ (df=3), P>★。図 1 参照。 表 14 参照。 図 図 図 図 1 本人および配偶者年収別の結婚満足度の平均値(男性)

また、男性本人年収と配偶者(妻)年収の組み合わせによってできる9パターンについて、

それぞれの結婚満足度の平均を示した(図 1)

ここでそれぞれのパターンの特徴をみると、まず、男性本人年収が「800 万円以上」のと

きには妻の年収にかかわらず結婚満足度が高くなる。また、本人年収が「600 万円未満」で

も、配偶者(妻)の年収が「100 万円以上」のときには結婚満足度が高い。逆に、本人年収

が「600 万円未満」か「800 万円未満」で妻年収が「収入なし」か「100 万円未満」のときに

結婚満足度が低くなる傾向がみられ、特に本人年収「600 万円未満」

・妻年収が「100 万円未

満」のとき、結婚満足度は最も低くなっていた。このように、男性本人年収が比較的年収の

低い層では、妻の収入の多寡によって結婚満足度に大きな違いが出ていたことから、年収が

比較的低い男性は妻の収入が低いことによって結婚生活に不満をもつ傾向が高いことが読み

取れる。その中で、唯一の例外は本人年収「600 万円未満」

・妻年収「収入なし」のときであ

った。この組み合わせは、男性の年収がそれほど高くなく、妻も就労していないにもかかわ

らず、結婚満足度が低い他の 3 つの組み合わせ(本人年収「600 万円未満」

・妻年収「100 万

円未満」

、本人年収「600∼800 万円未満」

・妻「収入なし」あるいは妻年収「100 万円未満」

に比べると、結婚満足度は低くはなかった。

収入なし 100万未満 100万以上 1 2 3 4 5 妻年収 (円) 600万未満 600-800万 800万以上 1.66 2.46 1.38 1.90 1.93 1.50 1.48 1.52 1.42 本人年収 (円) 不満 ↑ ↓ 満足 1.66 1.48

(13)

この本人年収「600∼800 万円未満」

・妻年収「収入なし」というグループの特徴をみると、

男性本人の平均年齢は 34.2 才、平均子ども数は 1.6 人であることから、子どもがまだ小さい

ために妻は専業主婦でいるものと思われる。これに対し、男性本人の年収では同じ層に属し

ながら結婚満足度が最も低かった本人年収「600 万円未満」

・妻年収「100 万円未満」の特徴

をみると、平均年齢が 45.2 才と先のグループよりも 10 才以上も高く、子ども数も 2.3 人と多

い。おそらく、子どもが学齢期で教育費などがかさむうえ、男性本人の収入はそれほど高く

ないため妻がパート就労に出ているといったパターンであろう。さらに、9パターンの中で

最も結婚満足度が高かったのも本人年収が「600 万円未満」の層であったが、その際、妻の

年収は「100 万円以上」であった。このパターンでは、平均年齢が 40.9 才、子ども数が 1.3

人であり、妻はフルタイム的な働き方をしていた。

次に、男性と同様の傾向が女性にもみられるのかどうかを検討した。女性の結婚満足度に

対する経済的側面の影響をみるにあたり、条件を男性対象者と同じにするため、配偶者(夫)

の年齢が 59 才以下である女性に対象を限定した。女性本人年収(問 29)と配偶者年収(問

30)を独立変数、結婚満足度を従属変数にして、2 元配置の分散分析を実施した(表 15)。そ

の結果、主効果がみられたのは配偶者(夫)年収のみであり、交互作用効果もみられなかっ

た。

表 表 表 表 15 本人・配偶者年収と結婚満足度の 2 元配置分散分析(夫が 59 才以下の女性) 効果 df F P 本人年収(問 29) 2 0.01 >0.1 配偶者年収(問 30) 2 3.89 <0.05 問 29×問 30 4 1.09 >0.1 TYPE II 平方和による。決定係数=0.06, F=1.55 (df=8), P>0.1。図 2 参照。 表 15 参照。 図 図 図 図 2 本人および配偶者年収別の結婚満足度の平均値(女性) 600万未満 600-800万 800万以上 1 2 3 4 5 夫年収 (円) 収入なし 100万未満 100万以上 2.17 1.90 1.96 2.19 2.11 1.94 2.54 1.87 1.57 不満 ↑ ↓ 満足 本人年収 (円)

(14)

つまり女性の場合、夫の年収が高いほど結婚満足度は高いのであり、経済的側面からみる

と、結婚満足度にとって重要なのは夫の経済力だけで、自分自身に経済力があるかどうかは

意味をもたないことになる。それどころか、男性で最も結婚満足度が高い傾向がみられた夫

年収「600 万円未満」

・妻年収「100 万円以上」のパターンにおいて、女性では結婚満足度が

最も低い傾向さえみられるのである(図 2)

。しかし、女性の場合、本人年収と夫年収を独立

変数にしたモデル全体も有意ではなかったため、このような傾向がみられたことに触れるだ

けにとどめておく。

5. 結論および考察

結論および考察

結論および考察

結論および考察

以上、基本的属性や先行研究において結婚満足度との関連性が認められているライフステ

ージや子ども数、役割関係(家事分担)

、行動次元の伴侶性(会話頻度、夕食を共にする頻度、

休日を一緒にすごす)といった基本的属性以外の変数、さらには本人年収と配偶者年収の組

み合わせと結婚満足度の関連について分析した。その結果、男性では学歴、世帯年収、本人

年収、配偶者(妻)収入の4変数、女性では世帯年収、配偶者(夫)年収、ライフステージ、

会話頻度の4変数が結婚満足度と有意な結果を示すなど、結婚満足度に対する基本的属性、

特に経済的要因の影響がうかがわれた。

結婚満足度に関するこれまでの研究では、夫婦の態度次元や行動次元の伴侶性や意識など

との関連性に主眼がおかれ、世帯、本人、配偶者の収入といった基本的属性との関連はみい

だされない、もしくは深く分析されないなど、あまり重要視されてこなかった傾向がある。

しかし、今回の結果をみるかぎり、女性ではライフステージの影響、また、会話頻度もかろ

うじて影響力が認められたが、男性では、会話頻度や夕食頻度、あるいは休日を一緒にすご

すかどうかといった行動次元の伴侶性は結婚満足度に関連せず、ほとんど経済的要因のみが

結婚満足度に対する規定力をもっていた。このことから、改めて結婚満足度に対する経済的

要因の影響力は無視できないことが明らかとなった。特に女性の場合、自分の収入は結婚満

足度と有意な関連を示さなかったのに対し、男性では配偶者(妻)の収入が有意な関連を示

したことは興味深い結果であった。しかし、これは、妻の収入が結婚満足度に直接影響を及

ぼしているのか、あるいは男性本人収入と妻収入の組み合わせによるパターン別の特徴にあ

らわれていたように、妻の経済的寄与に代表される生活スタイルが男性の結婚満足度に影響

を及ぼしているのかは、今回、明らかにすることはできなかった。これについては今後も検

討を続けていきたい。

最後に、結婚満足度に関する研究における今後の課題を指摘しておく。最初に述べたよう

に、結婚生活の満足度についての研究では、結婚満足度、夫婦関係満足度、結婚幸福感など

のさまざまな概念が用いられているが、それらの用語が何を意味しているのかを定義し、そ

れをどのように測るのかといった尺度を明確にする必要性を改めて痛感した。そのためには、

概念や尺度を統一化するという方法もあるが、説明すべき対象とそれを測る尺度が研究によ

って異なることを自覚しつつ研究を積み重ねていくことによって、結婚生活の満足を測る尺

度を浮き彫りにしていくというやり方もあるように思う。その際、生活ストレス論の視点か

らストレッサーやディストレスという概念を用いて、妻(夫)のストレスや精神状態を把握

(15)

しようとした稲葉 [1] の試みは、測定すべき概念がはっきりしているという点で参考にすべ

きものが多いように思った。また、結婚満足度を個人的属性や家庭内の関係・状況だけで検

討するのではなく、夫婦関係と外部体系についての研究の必要性も指摘されている [長津+

細江+岡村、7]。夫の情緒的サポートと家族外からのサポートを競合的とみるか両立的とみ

るかといった議論[野沢、8]もみられるように、家族を個人のネットワークとみなし、パーソ

ナル・ネットワークというより大きな「個人が取り結ぶ親密で援助的な個人の絆(紐帯)

」[野

沢、8: 239 ページ]の中で夫婦関係を考えていく視点も今後は必要となろう。

文献

文献

文献

文献

[1] 稲葉 昭英、1999「有配偶女性のディストレスの構造」編= 石原 邦雄『妻たちの生活ストレスとサ ポート関係』東京都立大学都市研究所。 [2] 神原 文子、1991「夫婦関係と家族内役割関係」編= 野々山 久也『高度情報化社会における家族の ライフスタイルに関する総合研究』平成元年度・2年度文部省科学研実費補助金研究成果報告書。 [3] 神原 文子、1991「夫婦関係満足度をめぐる諸要因に関するレビュー: 合衆国における実証研究を 中心に」『愛知県立大学文学部論集』40。 [4] 神原 文子、1992「夫および妻の夫婦関係満足度を規定するもの」『愛知県立大学文学部論集』41。 [5] 神原 文子、1997「夫婦関係の緊張と挑戦」編= 野々山 久也 + 袖井 孝子 + 篠崎 正美『いま家 族に何が起こっているのか』ミネルヴァ書房。 [6] 百瀬 靖子、1998「両性の結婚満足感の視座」日本家族社会学会全国家族調査(NFR)研究会『夫 婦・親子関係の測定と方法』。 [7] 長津 美代子 + 細江 蓉子 + 岡村 清子、1997、「夫婦関係研究のレビューと課題: 1970 年以降 の実証研究を中心に」編= 野々山 久也 + 袖井 孝子 + 篠崎 正美『いま家族に何が起こってい るのか』ミネルヴァ書房。 [8] 野沢 慎司、1999「夫の援助とネットワークの援助は競合するか?」編=石原邦雄『妻たちの生活ス トレスとサポート関係』東京都立大学都市研究所。 [9] 末盛 慶、1998「夫の家事遂行と情緒的サポートと妻の夫婦関係満足度」日本家族社会学会全国家 族調査(NFR)研究会『夫婦・親子関係の測定と方法』。 [10] 土倉 玲子、1998「結婚満足度に影響を与える諸要因に関する男女差」日本家族社会学会全国家族 調査(NFR)研究会『夫婦・親子関係の測定と方法』。

参照

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