はじめに
2000 年に入って放送・通信の融合が一層深 まる中,韓国では行政管轄上の範囲をめぐり, 放送分野を管轄する放送委員会1)と通信分野 を管轄する情報通信部などの間で主導権争い が繰り広げられてきた。しかし,2008 年2月に イ・ミョンバク(李明博)政権が発足し,直後 に「放送通信委員会の設置および運営に関す る法律」(以下,放通委法)が施行されたこと で,放送と通信の規制監督機関が一元化され た。放通委法に基づいて設立されたのは,大 統領直属のKCC(Korea Communications Commission,放送通信委員会)で,法律 上は政府機関であるが国務総理の指揮・監 督は受けない。放通委法はまた,利用者など からの求めに応じて放送や通信の内容につい て審議する機関を定めており,KCCとは別に KCSC(Korea Communications Standards Commission,放送通信審議委員会)が設立 された。 本稿では,これら2つの機関について整理 し,政治からの独立といった観点で検討する。 執筆にあたっては,韓永學論文2),尹成玉論 文3),黃懃論文4)を中心とした先行研究5)から 多くの教示を得るとともに,KCCおよび KCSC の資料により,新たな情報を得ることができた。 なお,全体構成は以下の通りである。 1. 設立の経緯 2. KCC(放送通信委員会) 2-1. 組織と業務内容 2-2. 青瓦台・国会との関係 2-3. 予算規模 3. KCSC(放送通信審議委員会) 3-1. 組織と業務内容 3-2. 主な制裁事例 4. 考察 ─政治からの「独立性」の観点から─1. 設立の経緯
放 送の規制監 督機能について韓国では, 1987年の民主化以降も,基本的には政府機関 が担ってきた。しかし,キム・デジュン(金大中) 政権下の2000 年に,合議制独立行政機関とし て放送委員会が発足し,放送行政を引き継ぐこ とになった。ところが,放送と通信の融合が新 たな問題を顕在化させた。放送と通信の両方に またがるサービスが登場するたびに,放送委員 会と情報通信部が管轄権をめぐって対立し,さ らには文化観光部までが加わるなどして,政策【シリーズ】 国際比較研究:放送・通信分野の独立規制機関
第 2 回
韓国 KCC(放送通信委員会)と
KCSC(放送通信審議委員会)
~政治からの「独立性」は保てるか~
メディア研究部(海外メディア研究)田中則広
その後,大統領選挙(2007年12月)でハン ナラ党のイ・ミョンバク候補が当選し,韓国の 政権は10 年間続いた革新系から保守系に交代 することになる。新政権発足前の2008 年1月, ハンナラ党(当時,野党)は,放送通信委員 会を大統領直属の合議制機関とする法案を国 会に提出するが,これについて大統合民主新 党(当時,与党)は,政治的中立性が欠如す るとして反対した10)。しかし,新政権発足の直 前に与野党は,KCCを大統領直属とし,委員 5人のうち大統領 2人,国会3人の比率で委員 の推薦権を持つことで合意した11)。こうした与 野党の動きに対して,放送界や市民は,大統 領直属機関ではなく無所属の独立機関にすべ きだと主張して反対した12)。しかし,2008 年 2月のイ・ミョンバク政権発足後,放通委法が 施行されたことにより,大統領直属のKCC, それに,法律上独立機関として定められた KCSCが発足した。
2. KCC(放送通信委員会)
第2 章では,KCCの組織体制を概観した上 で,他の行政機関,特に青瓦台(大統領府) および国会との関係をみる。また,2010 年度 の予算規模についてもふれる。 2-1. 組織と業務内容 放 通委法に依 拠して設 立されたKCCは, 「放送の自由と公共性および公益性の向上」, 「放送・通信の国際競争力強化」,「KCCの独 立的運営を保障することによって国民の権益保 護と公共福利の増進に貢献すること」などを設 立目的としている(第1条)13)。 放通委法は,全 5 章 29 条からなり,第1章 決定に遅れが生じるようになったのである。こ うした状況を打開すべく,次のノ・ムヒョン(盧 武鉉)政権下では放送・通信融合に向けた立 法化準備が本格化した。2006 年7月28日,政 府,放送業界,通信業界,市民団体によって 構成された国務総理所属の諮問機関,放送通 信融合推進委員会(以下,融推委)が設置され た6)。融推委では,放送委員会,情報通信部, 文化観光部がそれぞれ提示した機構改編方案 について検討を重ね,同年10月に3つの案を示 した。このうち,①「放送委員会案」は,統合 委員会にするという案で,政策,振興,規制の 各機能を大統領直属(職務上は独立)または 独立委員会にするという内容,②「情報通信部 案」は,政策,振興と規制を分離するという案 で,政策,振興は政府部署に,規制は大統領 (総理)直属の委員会(職務上は独立)で担当 するという内容,③「文化観光部案」は,規制 と振興を分離するという案で,規制(政策,執 行)機能は大統領または国務総理直属の委員 会(職務の独立性保障)に,振興(政策,執行) 機能は政府部署に,それぞれ統合するという 内容であった7)。融推委では検討の結果,「独 立性保障の側面」からは合議制,「振興的側面」 からは独任制(※合議制に対する概念で,大臣 や知事など,行政庁が 1人の者により構成され ている場合をいう)的性格が必要であるとして 「大統領所属合議制行政機関」を設置するが, 「独任制的性格を含まなければならない」とし た案を支持し,この案が多数案であるとした意 見書を国務総理に提出した8)。そして,2007年 1月には,この多数案を土台とする法案を国会 に提出したが,結果的に,大統領の独断的な 委員の任命方式や委員会の独任制的な性格等 が批判されて頓挫した9)。「総則」(第1条,第2条),第2 章「放送通信委 員会の設置など」(第3 条~第10 条),第3 章「委 員会の所管事務」(第11条,第12条),第 4章 「委員会の運営」(第13 条~第17条),第5 章「放 送通信審議委員会」(第18 条~第29 条)によっ て構成されている。KCCに関して規定した,第 1章から第 4章までの条文に沿ってKCCの組織 と業務内容を概観する。 委員会は委員長1人,副委員長1人を含む5 人で構成されており(第 4 条第1項),委員長およ び委員は放送および情報通信分野の専門性を 考慮して大統領が任命する(第5 条第1項)。委 員5人のうち,大統領が委員長を含む2人を指 名し,国会が 3人を推薦する。国会は委員の推 薦にあたり,大統領が所属あるいは所属してい た政党の交渉団体(会派)から1人を,その他 の交渉団体から2人を推薦する(第5 条第2 項)。 2010 年 4月末時点で委員は4人(欠員1人) である。委員長には,東亜日報政治部部長, 韓国ギャラップ調査研究所会長などを歴任した チェ・シジュン(崔時仲)氏が就いている。チェ 氏はKCC 初代委員長で,2007年に行われた大 統領選挙の際にはイ・ミョンバク候補の選挙対 策委員会顧問として現政権の誕生に関わった人 物である。チェ委員長ともう1人,大統領が指 名した委員は,前情報通信部通信委員会常任 委員のヒョン・テグン(邢泰根)氏である。また, 国会が推薦した委員は,与党が前 SBS 社長の ソン・ドギュン(宋道均)氏,野党がキョンヒ(慶 煕)大学副総長のイ・ギョンジャ(李京子)氏 である。なお,イ・ギョンジャ氏はKCC副委員 長でもある。なお,野党推薦のイ・ビョンギ(李 秉基)ソウル大学教授は,2010 年2月,およそ 1年の任期を残して辞任した。よって,委員の 図 1 KCC 組織図 (2010 年 4月時点) 委員長 副委員長 常任委員 スポークスパーソン 企画調整室 放送通信融合政策室 放送政策局 通信政策局 利用者保護局 国際協力官 電波企画官 運営支援課 電波研究所 中央電波管理所 ネットワーク政策局 政策企画官 融合政策官 ・放送政策企画課・地上放送政策課 ・ニューメディア政策課 ・放送チャンネル政策課 ・企画財政担当官 ・行政管理担当官 ・規制改革法務担当官 ・議案調整チーム ・情報戦略チーム ・国際協力担当官 ・国際機構担当官 ・電波政策企画課 ・電波放送管理課 ・周波数政策課 非常計画担当官 放送振興企画官 ・放送運営総括課 ・デジタル放送政策課 ・編成評価政策課 監査担当官 ・通信政策企画課 ・通信競争政策課 ・通信利用制度課 ・通信資源政策課 ・調査企画総括課 ・市場調査課 ・利用者保護課 ・視聴者権益増進課 (C/Sセンター) ・ネットワーク企画保護課 ・個人情報保護倫理課 ・インターネット政策課 ・政策総括課 ・融合政策課 ・放送通信振興政策課 ・放送通信緑色技術チーム (KCCのホームページより)
構成は,ジャーナリスト出身2人,アカデミズム 出身1人,官僚出身1人となっている。 事務組織は,2 室(企画調整室,放送通信 融合政策室)4局(放送政策局,通信政策局, 利用者保護局,ネットワーク政策局)などから なり(図1),傘下に電波研究所と中央電波管理 所を持つ。定員数は,本部 491人,電波研究 所184人,中央電波管理所 937人の計1,612人 であり,本部職員の大半は放送委員会および情 報通信部からの移籍組である。 KCCの所管事務は,「放送に関する事項」, 「通信に関する事項」,「電波研究および管理に 関する事項」などであり(第11条第1項),所 管事務のうち,審議・議決事項を第12条第1 項で以下のように定めている。 ① 放送・通信基本計画に関する事項 ② 放送事業者の許可・再許可・承認・登録・ 取り消しなどに関する事項 ③ 電気通信事業者の許可・取り消しなどに関す る事項 ④ 周波数の効率的使用に関する事項 ⑤ 放送・通信関連技術政策の樹立に関する事項 ⑥ 放送番組の流通上の公正取引秩序の確立 に関する事項 ⑦ 放送・通信サービスの高度化および普遍的 サービスに関する事項 ⑧ 放送・通信事業者相互間の共同事業や紛争 の調停または事業者と利用者間の紛争の調停 ⑨ 電気通信設備の提供・共同利用・相互接続 または共同使用などや情報提供に関する協 定の認可などに関する事項 ⑩ 放送事業者・通信事業者の禁止行為に対す る措置および課徴金賦課に関する事項 ⑪ 放送番組および放送広告の運用・編成に関 する事項 ⑫ 放送・通信に関する研究・調査および支援 に関する事項 ⑬ 視聴者苦情処理および放送・情報通信利用 者保護・福祉に関する事項 ⑭ 放送・通信関連基金の助成および管理・運 用に関する事項 ⑮ 放送・通信関連の国際協力および通商に関 する事項 ⑯ 放送・通信関連の南北交流・協力に関する 事項 ⑰ KCC の予算編成および執行に関する事項 ⑱ 所管法令および KCC 規則の制・改定およ び廃止に関する事項 ⑲ この法または他の法律によりKCC の審議・ 議決事項に定めた事項 KCCの法律上の位置付けは「中央行政機関」 であるが,所管事務の審議・議決事項のうち, 放送事業者の許認可や番組の編成などを定めた 事項については,国務総理の指揮・監督が適用 されないことが定められている(第3条第2 項)。 2-2. 青瓦台・国会との関係 KCCの政治からの独立を考える上で,他の 行政機関との関係把握は欠かせない。そのた め,ここでは特に青瓦台や国会との関係につい て言及する。 KCCは大統領直属の合議制機関であるた め,当然ながら青瓦台とのつながりは深い。前 記の通り,青瓦台が 5人の委員について任命し, このうち,2人は大統領が指名した人物,残り 3人のうちの1人は大統領が所属あるいは所属 していた政党の交渉団体が推薦した人物である ため,「大統領側」の委員が過半数を占めるシ ステムになっている。5人の委員のうち,大統領
が任命する委員長については,国会の「人事聴 聞会」を経なければならない。人事聴聞会とは, 公選によらない任命職の公職者を大統領が任 命する前に,国会においてその候補者に対す る検証を行うもので,候補者の専門性,業務 遂行能力,財産形成過程,学歴と経歴,人格 や周囲の評判などを中心に質疑が行われる14)。 チェ委員長のケースでは,2008 年3月18日に人 事聴聞会が開かれ,野党は「不適格」として, 人事聴聞会の結果報告書の採択を拒んだが, 韓国の国会法では,結果報告書の採択如何に かかわらず,大統領が任命できるため,同年3 月26日,KCCのチェ新体制がスタートした 15)。 KCC委員長は,所管業務に関して国会で発 言する権利を持つ一方,国会の要求がある場 合には,報告や答弁を行う義務を負う。このほ か,KCCは毎年,業務遂行に関する報告書を 国会に提出する義務を負っている。 2-3. 予算規模 予算は,一般政府予算および放送関連事 業促進のために設けられた放送発展基金(最 大の財源は地上テレビ局の広告収入の法定負 担金)によって賄われている。2010 年度の歳 出予算規 模は総 額 5,983 億ウォン( 約500 億 円:2010 年 4月末 時点 ) で,2009 年 度 に 比 べ て147億 ウォン (2.5%)の増加に なっている(表1)。 内 訳 は 政 府 予 算 3,321億ウォン(一 般 会 計 3 , 2 5 6 億 ウォン,革新都市 建 設 特 別 会 計 65 億ウォン),放送発 展基金 2,662 億ウォンである16)。 2010 年度予算の特徴についてKCCは3点を 挙げている。第1に,韓国政府が国政上の重 要課題と位置付けている事案に対する重点投 資である。高度化,組織化するサイバー攻撃な どへの対応をはじめとする情報保全の強化や, 2012 年末のアナログテレビ放送終了にともなう 混乱を防ぐとともに,デジタル放送転換のため の財源獲得が困難な放送事業者への支援実施 などである。第2に,将来的に成長が見込まれ る事業を発掘するための投資である。放送コン テンツ産業の振興支援強化の一環として,デジ タル放送コンテンツの支援センター設立,放送 コンテンツの投資組合に対する出資,それに, 3DTVの実験放送支援といった新規事業の予 算を計上している。第3に,これまでに実施し た事業の構造調整である。継続事業が段階的 に仕上がることで1,425 億ウォンを減額(前年度 比 322 億ウォン減),また,類似事業の統合や 事業の完了などにより510 億ウォンの予算削減 を見込んでいる17)。
3. KCSC(放送通信審議委員会)
放送・通信関連の機能全般をKCCが統括す る一方,内容審議については,KCCとは別組 表 1 KCC 歳出予算(2010 年度) 区分 2009 年度 2010 年度 増減 本予算 補正予算 % 総計 5,836 6,113 5,983 147 2.5 財源別 政府予算 2,923 3,200 3,321 398 13.6 一般会計 2,912 3,189 3,256 344 ─ 革新都市 建設特別会計 11 11 65 54 ─ 放送発展基金 2,913 2,913 2,662 △ 251 △ 8.6 (単位:億ウォン) (KCC「2010 年度予算および基金運用計画概要」を基に作成)織のKCSCが行っている。第3 章では,放通委 法第5 章「放送通信審議委員会」(第18 条~第 29 条)に依拠して設立されたKCSCの組織体 制を概観するとともに,2009 年の法的制裁の具 体事例について言及する。 3-1. 組織と業務内容 組織の設置に関しては,放送内容の公共性 および公正性の保障,情報通信における健全 な文化の発達と適切な利用環境を作り上げるた めに,独立的に事務を遂行するKCSCを置くこ とが定められている(第18 条第1項)。2008 年 5月14日にスタートしたKCSCは,前出の放送 通信融合推進委員会と2007年1月に編成され た国会の放送通信特別委員会における論議の 結果を反映させて,放送委員会と,情報通信 部傘下の情報通信倫理委員会に分かれていた 内容審議の機能を統合した機関である18)。 KCSCは9人の委員で構成され,委員長1人, 副委員長1人を含む3人の委員が常任となる(第 18 条第2 項)。委員は大統領が委嘱するが,こ の場合,3人は国会議長が国会各交渉団体代 表議員と協議して推薦した者に委嘱し,3人は 国会所管常任委員会が推薦した者に委嘱する (第18 条第3 項)。また,常任委員の3人は互 選で(第18 条第 4 項),KCSC委員の任期は3 年となっている(第18 条第5 項)。 2010 年 4月時点での委員構成は,委員長が 2009 年 8月に就任した前大韓弁護士協会会長 のイ・ジンガン(李鎭江)氏,副委員長にチョ ン・ヨンジン(全容禛)前情報通信研究振興院 知的財産権センターセンター長,常任委員にオ ム・ジュウン(嚴柱雄)前韓国デジタル衛星放送 (Sky Life)放送本部長が就いている。このほ か,6人の非常任委員を含めたKCSC委員の構 成については表2の通りである。 次に,事務組織についてであるが,放通委 法はKCSCの事務処理に必要な組織の設置を 定めている(第26 条第1項)。組織図は図2の 通りで,企画調整室,放送審議室,通信審議 室など4 室 2局18チームおよび 5つの地域事務 所(釜山,光州,大邱,大田,江原)から構 成されている。 KCSCにおいて,放送・通信の内容審議を 表 2 KCSC 委員一覧 (2010 年 4月時点) 氏名 職位 経歴 大統領推薦 イ・ジンガン(李鎭江) 委員長(常任) 前大韓弁護士協会 会長 チョン・ヨンジン(全容禛) 副委員長(常任) 前情報通信研究振興院知的財産権センター センター長 キム・ユジョン(金姷廷) 委員(非常任) 水原大学言論情報学科 教授 国会議長推薦 オム・ジュウン(嚴柱雄) 委員(常任) 前韓国デジタル衛星放送 放送本部長 ソン・テギュ(孫太圭) 委員(非常任) 檀国大学言論映像学部 教授 クォン・オチャン(權五昶) 委員(非常任) 弁護士 国会所管 常任委員会推薦 イ・ユンドク(李潤德)ペク・ミスク(白美淑) 委員(非常任) 大邱大学情報通信工学部 教授委員(非常任) ソウル大学基礎教育院 研究教授 イ・ジェジン(李在鎭) 委員(非常任) 漢陽大学新聞放送学科 教授
行っているのが放送審議室と通信審議室であ る。放送審議室の場合,審議対象となる放送 サービス別にチームが分かれている。 放送審議企画チーム 放送審議の基本計画などを担当 地上放送審議チーム 地上放送事業者の放送内容審議を担当 有料放送審議チーム 総合有線放送事業者・衛星放送事業者・イン ターネットマルチメディア放送事業者・放送チャ ンネル使用事業者の放送内容審議を担当 広告審議チーム 商品紹介と販売専門放送,いわゆるショッピ ングチャンネルの放送内容や放送広告の審議 を担当 放送内容の審議にあたってKCSCでは,韓 国国内の地上放送,ケーブルテレビチャンネル, ラジオチャンネル240チャンネルを24 時間収録 し,放送終了後 2か月間保存する体制を取って いる。 審議は,KCSCが定めた放送審議の基準に 沿っており,この基準は,「放送法」第33 条第 2 項に依拠している。同条項は審議内容に関し, 以下の事項を挙げている。 ① 憲法の民主的基本秩序の維持と人権尊重に 関する事項 ② 健全な家庭生活保護に関する事項 ③ 児童および青少年の保護と健全な人格形成 に関する事項 ④ 公衆道徳と社会倫理に関する事項 ⑤ 両性平等に関する事項 ⑥ 国際的友好の増進に関する事項 ⑦ 障害者など放送から疎外された階層の権益 増進に関する事項 ⑧ 民族文化の発展と民族の主体性育成に関す る事項 ⑨ 報道・論評の公正性・公共性に関する事項 ⑩ 言語醇化に関する事項 ⑪ 自然環境保護に関する事項 ⑫ 健全な消費生活および視聴者の権益保護に 関する事項 ⑬ 法令により放送広告が禁止される品目や内 図 2 KCSC 組織図 事務総長 監査室 企画調整室 戦 略 企 画 チ ー ム 対 外 協 力 チ ー ム 広 報 チ ー ム 研 究 分 析 チ ー ム 放送審議室 通信審議室 権益保護局 運営支援局 放 送 審 議 企 画 チ ー ム 地 上 放 送 審 議 チ ー ム 有 料 放 送 審 議 チ ー ム 広 告 審 議 チ ー ム 通 信 審 議 企 画 チ ー ム 不 法 情 報 審 議 チ ー ム 有 害 情 報 審 議 チ ー ム 権 利 侵 害 情 報 審 議 チ ー ム 名 誉 毀 損 紛 争 調 整 チ ー ム 利 用 者 支 援 チ ー ム 有 害 環 境 改 善 チ ー ム 総 務 チ ー ム 運 営 管 理 チ ー ム 情 報 電 算 チ ー ム 地 域 事 務 所︵ 5 ︶ (KCSCのホームページより) (2010 年 4月時点)
容に関する事項 ⑭ 放送広告内容の公正性・公益性に関する事項 ⑮ その他この法の規定による KCSC の審議業 務に関する事項 審議は図3の手順で行われている。 ❶ KCSC には,番組内容に問題があるなどと する一般視聴者や団体からの審議要請・問 い合わせが,インターネット,手紙,電話 などを通じて寄せられる。これと並行して, 毎週,KCSC が委託したモニター要員により, 担当者宛にモニタリング日誌が提出される。 ❷ 問題点などを指摘された番組は,地上放送, ケーブルテレビ・衛星放送など,ショッピング チャンネル・放送広告など,の 3 つに区分され, それぞれの担当チームが審議する。 ❸ 担当チームによる解決が難しい場合には,小 委員会で判断する。小委員会は KCSC の委 員により構成されており,常任委員会,放送 審議小委員会,通信審議小委員会,広告 審議小委員会の 4 委員会がある。このうち, 放送に関しては,放送審議小委員会および 広告審議小委員会(それぞれ KCSC 委員 5 人以内で構成)が担当する。行政指導(勧告) 措置の場合には,この段階で KCSC が直接, 放送事業者に対して措置を取り(公文書の送 付)完了する。 ❹ 小委員会は必要に応じて,外部の専門家によ り構成された特別委員会に意見を求める。特 別委員会は放送の場合,報道 ・ 教養,芸能 ・ 娯楽,広告の 3 つがある。 ❺ 行政指導より厳しい法的制裁措置について は,全体会議(KCSC 委員全員で構成)に おいて検討される。全体会議で法的制裁が 決定した場合,KCC に対して処分要請を行 うことになる。 ❻ KCC は,基本的には KCSC の決定に沿って, 該当する放送事業者に制裁措置を科す。 ❼ 制裁措置を受け入れた放送事業者は,実施 後,KCC に対して報告を行う。 なお,KCSCの運営経費については,放通 委法第28 条に,放送発展基金,情報通信振 興基金のほか,大統領令に定める基金からの 支給が明記されているが,2010 年度の予算は 全額,放送発展基金からの支援によるもので, 総額は247億ウォン(約20 億円)である。 3-2. 主な制裁事例 制裁措置は放送法第100 条に依拠しており, 「視聴者に対する謝罪」を筆頭に,「該当する 放送番組または該当する放送広告の訂正・修正 または中止」や「放送編成責任者・該当する放 送番組または該当する放送広告の関係者に対す る懲戒」が処分としては重く,その次に「警告」, 「注意」が続く。2009 年(1月1日~ 12月31日) 図 3 放送内容審議の手順 視聴者からの 審議要請・問い合わせ 担当チーム 審議研究委員 放送分科特別委員会 事務組織で検討 諮問要請 諮問意見 勧告以下最終議決 法的制裁ー KCC に処分要請 放送事業者へ通報 制裁措置実施後に KCC へ報告 モニタリング ❶ ❷ ❸ ❺ ❻ ❼ ❹ 放送 / 広告 審議小委員会 KCSC 全体会議 KCC 放送事業者
に放送全体に対して取られた法的制裁は389 件 で,内訳は「視聴者に対する謝罪」34件,「該 当する放送番組の中止」4件(4件とも有料放 送),「該当する放送番組の関係者に対する懲 戒」2件(2件とも地上放送),「並行制裁」 19)2 件,「警告」120 件,「注意」227件であった。 (1)ドラマの非倫理・扇情・暴力性 MBCドラマ『飯をくれ』(放送日:2009 年 6月 24日他)は,夫婦間の性暴力の暗示や不倫女 性に対する集団暴行や悪口など,刺激的な素材 を午後 8 時という時間帯に放送し,「注意」措 置に続き,「視聴者に対する謝罪」措置が下さ れた。また,SBSドラマ『妻の誘惑』(2009 年1 月9日他)は,放送当初の「勧告」措置にもか かわらず,非倫理的で不道徳な男女関係,過度 の大声,悪口などといった内容を持続的に放送 したため,「警告」措置が下された。 こうしたドラマについてKCSCは,ハッピーエ ンド,勧善懲悪,家族の結合などの結果を迎え るにしても,不倫,不法,非人間的行為など, 家族の基本的な倫理的価値をないがしろにする ような内容が続くため,地上放送の家族視聴時 間帯に長期間放送する内容にしては不適切であ るとしている。 (2)人権侵害 「背の低い男はloser(敗者)」という表現を放 送して,社会的物議をかもしたKBS2『美女たち のおしゃべり』(2009 年11月9日)には,「該当す る放送番組の関係者に対する懲戒」措置が下 された。同番組は,一般女子大生の発言を通し て「背の低い男は敗者だと思います」,「万国共 通で背の低い男が笑いものになるようだ」といっ た内容とともに,「背の低い男は... loser!」など と字幕を流すなど,身体的な差異を冷やかしの 対象,劣った対象として描写し,放送した。 (3)公正性および客観性 2008 年末に「メディア関連法」をめぐる論議 が起き,一部の報道に対して市民団体などか ら公正性および客観性に関する提議があった。 放送内容を審議した結果,MBC『ニュースフー』 (2008 年12月20日他)に「視聴者に対する謝 罪」措置,MBC『ニュースデスク』(2008 年12 月25日他)に「警告」措置が下された。『ニュー スフー』は放送法改正案による財閥とマスコミ の癒着の危険性に関する報道など,『ニュース デスク』は,放送法改正案に対する反対表明 などが審議の対象となった20)。放送内容を審 議した結果,KCSCは,社会的争点や利害関 係が鋭く対立している事柄を扱っているにもか かわらず,公正性と均衡性が維持できていない と指摘した。これに対して,MBC側は『ニュー スデスク』の警告措置について行政訴訟事件 の裁判を専門に行う裁判所「行政法院」に「制 裁措置処分取り消し訴訟」を起こしたものの, 行政法院はこれを棄却する決定を下した。 表 3 制裁種類別状況(2009 年) 種類 件数 視聴者に対する謝罪 34 該当する放送番組の中止 4 該当する放送番組の関係者に 対する懲戒 2 並行制裁 2 警告 120 注意 227 法的制裁小計 389 勧告 413 総計 802
(4)商品 ・ サービス等の広報 この分野の制裁措置は主にドラマに集中 している。ドラマなどに商品を登場させて間 接的に広告を行うプロダクト・プレースメント (Product Placement)は韓国で禁止されてお り,これに違反したとして,KBS2ドラマ『妻 と女』(2008 年11月28日他),SBSドラマ『嫁 と嫁様』(2008 年11月24日他),『ガラスの城』 (2009 年1月18日他),『スタイル』(2009 年 8月 1日他)に「視聴者に対する謝罪」措置が下さ れた。また,MBCドラマ『内助の女王』(2009 年 3月23日他),SBSドラマ『華麗なる遺産』 (2009 年 5月3日),SBSドラマ『シティホール』 (2009 年 4月29日他),MBCドラマ『シンデレ ラマン』(2009 年 4月16日他)には「注意」措 置が下された。 (5)その他 SBS『驚くべき大会スターキング』(2009 年7 月18日)は,一般視聴者が出演し,朝の出 勤準備を3分で全て終えるという「3分出勤法」 を放送したが,これが日本の放送番組の盗作 であったことが判明した。また,担当ディレク ターが出演者に動画を渡して,事前練習までさ せていたことも明らかになり,さらなる波紋を 呼んだ。この番組に対しては「該当する放送番 組の関係者に対する懲戒」措置が下された。 以上が,地上放送に対する制裁事例である。 地上放送の法的制裁件数は63件と,全体の 16.1%を占めている。これに対して,有料放送 の法的制裁件数は233件,59.8%を占めており, 以下のような制裁事例がある。 日本文化専門チャンネルのチャンネルJの場 合,「ホステス」,「組織暴力団」,「人身売買」 などを扱った日本のドラマ『女帝』(2009 年5月 31日)を「青少年視聴保護時間帯」 21)に放送し, 女性を強姦する場面,酒場の女性従業員が客 と性関係を持つ場面などを流したとして,「視聴 者に対する謝罪」措置が下された。また,音楽 中心の娯楽チャンネルm.netの場合,サバイバ ル形式のモデル育成番組『I AM A MODEL 4』(2008 年12月27日他)で,女子中学生の挑 戦者に,男性モデルとセミヌードを撮影するよ う命令し,抵抗を感じながらも挑戦者が男性モ デルと体をくっつけて撮影する様子などを放送 したため,「注意」措置が下された。 これらの制裁措置は,KCSCの決定に沿っ て政府機関であるKCCが行う。その結果は, KCCが毎年放送事業者を対象に実施する放 送評価に反映される。地上放送の場合,合計 900点(配点:内容,編成,運営それぞれ 300点) として,内容300点のうち100点分を占める「放 送審議関連制規定遵守」から減点される。減 点数は,注意1点,警告2点,視聴者に対す る謝罪,該当する放送番組の訂正・修正または 中止,放送編成責任者・該当する放送番組の 関係者に対する懲戒各 4点,併科の場合 6点な どとなっている。そして,放送評価の結果は, 3 年ごとに行われる放送免許の再許可審査の 結果を左右する。
4. 考察─政治からの「独立性」の観点から─
放送と通信の融合が進み,IPTVをはじめ, 各種サービスが登場する中で,世界各国では経 済の活性化を図りつつ,一方で,メディアの独 立性,多様性,公益性などをいかに維持してい くのかについて試行錯誤が続いている。この点 に関しては韓国も同様である。韓国は,アメリカの連邦通信委員会(Federal Communications Commission)をモデルとしながらも,大統領 直属という独自のスタンスをとっており,また, 政治からの独立といった観点からは,必ずしも 十分とはいえないことが,これまでの研究でも 指摘されてきた22)。 また,内容審議についてであるが,これまで 放送内容の審議は,合議制独立行政機関とは いえ放送行政を担う組織(放送委員会)の内部 で行っており,通信内容の審議は,情報通信 部傘下の情報通信倫理委員会が行っていた。こ うした点を鑑みると,KCCとは別にKCSCを設 立し,内容審議を担わせることにした点は大い に評価できる。とはいえ,表現の自由を何より 大切に扱わなければならないKCSCの決定が 政治状況に左右される可能性についての懸念も 出ている23)。 現政権発足後,放送・通信分野において大 きな権力を持つKCC委員長のポストに大統領 の最側近が就任し,主要な放送局のトップにも 大統領に近いといわれる人物が就任してきた。 報道専門チャンネルYTNのケースでは,2007 年の大統領選挙の際に,イ・ミョンバク陣営で 活動した人物が新社長に就任することになった のを契機として労働組合と経営が対立,2008 年10月には経営が労働組合の委員長などを解 雇したことから,処分に抗議する意味で,アン カーや記者たちが喪服を連想させる黒い衣装 やネクタイを着用したまま放送を行うといった事 態も起きている。いわゆる「ブラック闘争」で ある。これに対してKCSCは,「放送の公的責 任」,「公正性」に違反したとして,YTNのニュー ス番組に対し,「視聴者に対する謝罪」措置を 下した。 KCSCによる制裁措置をめぐっては,現実問 題として倫理上問題のある番組が数多く放送さ れており,こうした観点からは内容を審議する 機関の存在は意義があると思われる。しかし, YTNのケースを含む公正性に関する事案につ いては一考の余地があろう。この点については, 今後より一層の国民的論議が期待されるところ である。 (たなか のりひろ) 注: 1)ただし,放送のハードウェア政策については情 報通信部が,放送のソフトウェア政策について は文化観光部がそれぞれ担当していた。また, 放送法で定められた放送事業者の許認可につい ても,免許の推薦は行うものの,交付は情報通 信部が行っていた。 2)韓永學「放送・通信規制機関の再編に関する一 考察 ―韓国の放送通信委員会の設立と日本へ の示唆―」『情報通信学会誌』第 90 号,第 27 巻第 1 号,情報通信学会,2009 年 5 月 25 日, 11-23 頁。 3)尹成玉「방송통신심의위원회의 평가와 개선방 향(放送通信審議委員会の評価と改善方向)」 『여의도저널(汝矣島ジャーナル)』通巻第 15 号,2009 年 春 号, 여 의 도 클 럽( 汝 矣 島 ク ラ ブ),ソウル,2009 年 3 月 30 日,22-41 頁,お よび,金鎬碩ほか 「 한국방송협회 연구보고서 2008-01 방송통신융합과 미디어 법제 연구 (韓国放送協会研究報告書 2008-01 放送通信融 合とメディア法制研究)」韓国放送協会,ソウル, 2008 年 9 月,57-71 頁。尹成玉氏は,放送規制 機関と審議機関を扱った第 4 章部分(57-71 頁) を担当。 4)黃懃「방송통신위원회의 구조와 역할에 대한 평가 연구(放送通信委員会の構造と役割に対 する評価研究)」『미디어경제와 문화(メディ ア経済と文化)』第 6-3 号,2008 年夏,커뮤니 케이션북스(コミュニケーションブックス), ソウル,2008 年 8 月 25 日,169-209 頁。 5)韓国のメディア規制組織に関してはすでに多く の研究があるが,韓論文,尹論文,黃論文の他 にも代表的なものとして,金榮珠「방송 • 통신 의 융합과 규제기구의 일원화(放送・通信の融
合と規制機構の一元化)」『國會圖書館報』第 45 巻第 4 号通巻第 347 号(国会図書館,ソウル, 2008 年 5 月 31 日,6-17 頁),高旼秀「방송통 신위원회 설립과 운영 그리고 문제점(放送通 信委員会設立と運営そして問題点)」『여의도저 널(汝矣島ジャーナル)』通巻第 15 号,2009 年春号,여의도클럽(汝矣島クラブ),ソウル, 2009 年 3 月 30 日,5-21 頁,桂京汶「방송통신 위원회의 법적 지위와 권한(放送通信委員会の 法的地位と権限)」『외법논집(外法論集)』第 33 巻第 2 号,한국외국어대학교 전문분야연구 센터 법학연구소(韓国外国語大学校専門分野 研究センター法学研究所),ソウル,2009 年 5 月 29 日,347-378 頁,などがある。 6)国務調整室/放送通信融合推進委員会編『放送 通信融合推進白書』国務調整室/放送通信融合 推進委員会,ソウル,2008 年 1 月,21 頁。 7)国務調整室/放送通信融合推進委員会編,前掲 書,72 頁。 8)国務調整室/放送通信融合推進委員会編,前掲 書,80-83 頁。 9)韓,前掲論文,13-14 頁。 10)『東亜日報』2008 年 1 月 29 日,朝刊,A18 面。 11)『京郷新聞』2008 年 2 月 21 日,朝刊,1 面。 12)金東俊「방송독립성 보장하는 심의위원 구성 필요(放送独立性保障する審議委員構成必要)」 『放送文化』第 319 号,韓国放送協会,ソウル, 2008 年 3 月 15 日,10 頁。 13)放通委法第 1 条の条文は「この法は放送と通信 の融合環境に能動的に対応して放送の自由と公 共性および公益性を高めて放送・通信の国際競 争力を強化して放送通信委員会の独立的運営を 保障することによって国民の権益保護と公共福 利の増進に貢献することを目的とする」と規定 しているが,この条文は曖昧であるとの指摘が ある。黃(前掲論文,174 頁)によれば,論理 的には放送通信委員会の独立的運営を保障する ことによって放送の自由と公共性と公益性を高 めて,放送・通信の競争力強化を通して究極的 に国民の権益保護と公共福利を増進させるとい う目的を含んでいるのであるが,「放送の自由, 公共性,公益性保障と放送通信の競争力強化」 という手段と「放送通信委員会の独立的運営保 障」という手段が並列的に提示されており,放 送通信委員会を完全な総括機関として規定した と見るのは難しいという。 14)白井京「韓国 : 人事聴聞会法」『外国の立法』217 号, 国立国会図書館調査及び立法考査局,2003 年 8月, 155 頁。 15)『京郷新聞』2008 年 3 月 27 日,朝刊,2 面参照。 16)放送通信委員会編「2010 년도 예산 및 기금운 용계획 개요(2010 年度予算および基金運用計 画概要)」放送通信委員会,ソウル,2010 年 1 月, 6 頁。なお,政府予算のうち,革新都市建設特 別会計とは,電波研究所の地方移転にともなう 経費である。 17)放送通信委員会編,前掲報告書,8 頁および 17-37 頁参照。 18)放送通信審議委員会編『2009 放送通信審議年鑑』 放送通信審議委員会,ソウル,2010 年 4 月,18 頁。 19)単一事案に対して「視聴者に対する謝罪」,「該 当する放送番組または該当する放送広告の訂 正・修正または中止」,「放送編成責任者・該当 する放送番組または該当する放送広告の関係者 に対する懲戒」などの制裁措置を同時に 2 つ以 上科したケース。 20)『京郷新聞』2009 年 3 月 5 日,朝刊,12 面。 21)平 日 午 後 1 時 か ら 午 後 10 時 ま で。 し か し, 2010 年 10 月 1 日以降は拡大され,平日午前 7 時から午前 9 時まで,土曜日,公休日などの午 前 7 時から午後 10 時までの時間帯も含まれる ことになる。 22)黃は,放通委法には KCC の独立性を保障する 条項が入っており,法律の条項を見た限り,あ る程度独立性を保障しており,また,形式上 大統領の影響力を受けるようになってはいる が,実質的に委員会形態で運営される場合,大 統領の直接的な影響力行使は簡単ではない。し かし一方で,KCC が委員構成を通して政治的 独立性,あるいは中立性問題を政治上の派閥の 間の均衡問題として解決しようとしていること は,KCC の政治的独立性を図る上でのアキレ ス腱にもなると主張する(前掲論文,187 頁)。 KCC については韓も,人事や予算などの面で, 政治権力からの実質的な独立に限界があり,放 送 ・ 通信の政策 ・ 規制の独立性,民主制,合理 性の確保に一定の打撃を受けざるを得ず,とり わけ,放送の場合には,国家による隷属を強い られた過去への回帰の危険性さえあるとの見解 を示している(前掲論文,17 頁)。 23)前掲,韓国放送協会研究報告書,69 頁。