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デロイト
トーマツ チャイナ ニュース
中国の投資・会計・税務情報
Vol.194 June 2019
Contents
税務情報 複数の増値税減税措置の公布 デロイト中国 Tax Analysis より ... 2 中国における減税および費用引き下げの推進動向 ―増値税減税政策に加えて実施される重要政策― ... 7 中国業務に関する主なお問合せ先 ... 10 本ニュースに基づいて、財務上の問題やビジネスの問題に影響があるような意思決定や行動をとられる場合は、以 下の点を考慮した上で必ず当法人の専門家にご相談ください。 1. 本ニュースは、一般的な情報を提供するものであって、各利用者の具体的な事情に即した会計情報を提供する もの、或いは会計、税務、 法律、投資、コンサルティングその他の助言やサービスを提供するものではありませ ん。 2. 本ニュースに含まれている情報は、利用者の参考のためのみに供されるものです。 3. 本ニュースは、その作成後の状況変化等により時機に即していない可能性があります。 翻訳部分の表現については十分吟味をしていますが、日本語では本来の意味を表現できていない箇所のある可能 性がありますので、ご利用に際しては原文をご確認くださいますようお願い致します。2
税務情報
複数の増値税減税措置の公布
デロイト中国 Tax Analysis より
※本ニュースレターは、デロイト中国が発行したニュースレターの再掲です。 日本語訳と原文(中文)に差異が生じた場合には、原文が優先されます。 中国の李克強首相は、2019 年 3 月 5 日開幕の全国人民代表大会にて政府活動報告を行い、「2019 年における増 値税に係る税負担の更なる軽減」という方針を掲げた。2019 年 3 月 20 日の国務院常務会議にて増値税の減税措 置が明確化され、続いて3 月 21 日には、財政部・国家税務総局・税関総署から「増値税改革の深化に関する政策に ついての公告」(財政部・税務総局・税関総署公告2019 年第 39 号:以下「39 号公告」1)が公布された。また、同日 に国家税務総局から「増値税改革の深化に関する事項についての公告」(国家税務総局公告2019 年第 14 号:以 下「14 号公告」2)を含む複数の政策ガイドラインが公布された。上述の公告による増値税率の引下げ及び仕入税額 控除の適用範囲拡大等を含む一連の増値税減税措置は2019 年 4 月 1 日より施行される。本ニュースレターでは、 関連政策の要点に関する考察を行う。 増値税率の引下げ 2019 年 4 月 1 日より、増値税一般納税者(以下「納税者」)に生じる増値税課税販売行為、又は輸入貨物に対する 増値税率の改正が行われる。現行の16%税率は13%に、現行の10%税率は9%に改正され、6%税率に改正は ない。詳細は下表のとおりである。 課税行為 適用税率 改正前 改正後 一般物品の販売又は輸入/加工・修理補修役務の提供/有形動産リー スサービスの提供 16% 13% 特定物品の販売又は輸入/交通運輸・郵便・基礎電信業務・建築・不動産 リースサービスの提供/不動産の販売/土地使用権の譲渡 10% 9% 付加価値電信業務・金融サービス・現代サービス・生活サービスの提供/ 土地使用権以外の無形資産の譲渡 6% 6% 課税取引及び関連の発票発行と増値税率の改正前と改正後に事後調整が発生した場合の取扱いについて、14 号 公告では以下のとおり規定されている。 納税者が 2019 年 4 月 1 日以前に改正前の 16%税率又は 10%税率で発行した発票について、2019 年 4 月 1 日以降にリベート・取引中止・返品等の発生により赤字発票を発行することになった場合には、改正前の税率に 基づき赤字発票を発行する。また、発票の誤りにより再発行をする場合には、改正前の税率に基づいた赤字発票 を発行後、訂正後の発票を発行する 2019 年 4 月 1 日以前に生じた増値税発票未発行の課税販売行為について、2019 年 4 月 1 日以降にその増値 税発票を発行する場合には、納税者は、改正前の税率に基づき発票を発行する 【デロイト中国のコメントとアドバイス】 租税公課の軽減は、近年における中国の財政・税務政策の主要方針である。今回の増値税率の引下げにより、 商品とサービスに係る国内の税負担を更に引き下げることで、企業と消費者の負担を軽減し、実体経済の発展へ の後押しが期待される。中国の近隣諸国における間接税率は概ね12%を下回っていることから、税率の引下げ 1 39 号公告全文(中国国家税務総局ウェブサイト(中国語)) 2 14 号公告全文(中国国家税務総局ウェブサイト(中国語))3 は、中国と近隣諸国間との間接税率の格差減少、及び中国の増値税システムの国際的競争力の向上に寄与する と考えられる。 今年の政府活動報告では、増値税改革の方針として、今後更なる税率構造(3 段階から 2 段階へ)及び税制の簡 素化が推進されることが発表された。将来において、6%・9%・13%の 3 段階税率が更に簡素化される余地があ ることについて、企業は引き続き注目することが推奨される。 今回の一連の税率改正に関する具体的な政策の公布から施行までは約10 日間という非常に限られた準備期間 の中で、関連企業の実務においては、ビジネス運営やコンプライアンス管理等の様々な面から、政策施行に備え るため以下のような準備作業を直ちに開始する必要がある。 税率の引下げによる業務への影響を検討し、ビジネス上の実行可能性を前提とした対応措置を講じること。実 務において、増値税率の引下げにより、取引のタイミング又は取引価格の調整に関する交渉を要する事態は 往々にして発生する。その一例として、税率の改正による税込価格の変更がない場合において、売手側はより 低い税率を適用するために、取引の延期を要求する傾向がある一方で、買手側はより多額の仕入税額控除を 得るために、取引の前倒しを要求する傾向があることが挙げられる。したがって、企業は商品価格の競争力の 維持、低税率優遇政策の享受等を含む複数のビジネス上における目標のバランスを取るために、取引アレン ジを調整する必要性と実行可能性について検討する必要がある 新税率に基づいた社内システムの設定を調整し、発票管理と増値税計算等に関する業務の調整を充分に準 備することで、仕入から販売、受注・発票発行から会計処理といった全てのプロセスにおける税率の改正への 対応を可能にすること。また、発票の発行に関する問題が発生した場合に、速やかに所轄税務当局及び発票 発行機サプライヤーに相談し、その解決策を講じる必要がある 仕入税額控除の適用範囲拡大 (1) 旅客輸送サービスの仕入税額控除適用 39 号公告において「旅客輸送サービス」は、従来の仕入税額控除不適用項目から除外された。すなわち、2019 年 4 月1 日より、納税者は国内の旅客輸送サービスの購入に係る仕入税額を売上税額から控除することが認められる。 納税者が、旅客輸送サービスの購入に関する増値税専用発票又は増値税電子普通発票を取得した場合には、発票 に明記された税額に基づいて仕入税額控除を行うことができる。ただし、発票以外の証憑で、仕入税額控除の適用 のために使用できるものは、旅客の身分情報が明記された飛行機の電子チケット、鉄道チケット、バス・船チケット等 に限られる。その場合の控除対象となる仕入増値税額は、チケットの税込金額と税率(徴収率)に基づき算出される。 (2) 不動産仕入税額分割控除の廃止 改正前の規定では、納税者が2016 年 5 月 1 日以降に取得した「会計上、固定資産として扱う不動産」、又は 2016 年5 月 1 日以降に発生した不動産の建設仮勘定に係る仕入税額は、2 年間に分割して(1 年目の控除割合:60%、 2 年目の控除割合:40%)売上税額から控除されていた。 上述の規定は4 月 1 日から施行が廃止され、39 号公告において、関連の仕入税額は、全額一括で売上税額から控 除する旨が規定された。改正前の規定に基づく分割控除によって生じた未控除分の仕入税額は、2019 年 4 月に発 生した税額の帰属する納税期間の売上税額から控除できる。 (3) 仕入税額の 10%追加控除 2019 年 4 月 1 日から 2021 年 12 月 31 日までの期間において、生産・生活関連サービス業の納税者に係る当期の 売上税額から控除可能な仕入税額の控除に加えて、その10%を増値税納付税額から更に控除する、いわゆる「追 加控除」が認められる。 1) 適用対象 追加控除政策の適用対象である「生産・生活関連サービス業の納税者」とは、郵政サービス、電信サービス、現代サ ービス、生活サービスを提供する納税者のうち、上述の各種サービスの提供に関する売上高が売上総額の50%以 上を占める者のことをいう。適用対象となる納税者は、追加控除政策の初回適用に際して、税務当局に「追加控除政 策の適用に関する声明」を提出する必要がある。なお、追加控除の適格判定は、下記のルールに従って行う。
4 2019 年 3 月 31 日以前に設立された納税者は、2018 年 4 月から 2019 年 3 月までの期間における売上高(経営 期間が12 カ月未満の場合、実際の経営期間における売上高に基づく)が上述の適用対象の条件に合致する場合 に、2019 年 4 月 1 日から追加控除政策を適用する。 2019 年 4 月 1 日以降に設立された納税者は、設立日から起算して 3 カ月間の売上高が上述の適用対象の条件に 合致する場合に、一般納税者として登記した日から追加控除政策を適用する。 納税者において追加控除政策の適用が確定した後、その年度に不適用という再判定がされることはない。将来の年 度における適用の可否は、その前年度の売上高に基づき判定した上で確定する。 2) 計算方法 納税者は以下の計算式に基づき追加控除税額を算出し、かつ追加控除税額の計上、控除・減算調整・残高等の変 動状況を単独で計算しなければならない。 当期に計上する追加控除税額=当期の控除可能な仕入税額×10% 当期に控除可能な追加控除税額=前期末の追加控除税額の残高+当期に計上する追加控除税額-当期に減算 調整した追加控除税額 仕入税額のうち、以下のものは、追加控除税額として計上することができない。 現行の規定において、売上税額から控除できない仕入税額。なお、追加控除税額を計上したが、その後、規定に 基づく仕入税額の振替処理を行った場合における振替処理分については、当期においてその振替処理分に係る 追加控除税額の減算調整を行う必要がある。 貨物・役務の輸出、クロスボーダー課税行為に係る仕入税額。納税者が貨物・役務の輸出を兼営する場合、又 はクロスボーダー課税行為を行った場合は、追加控除税額を計上できない部分の仕入税額を、実際の発生額に 基づき区分するか、売上高の比率に基づき按分計算しなければならない。 3) 施行期限 追加控除政策は2021 年 12 年 31 日まで施行され、それ以降、追加控除税額の計上及び、追加控除税額の繰越残 高の納付税額からの控除は、廃止される。 【デロイト中国のコメントとアドバイス】 税率引下げに加えて、今回打ち出された仕入税額の控除範囲拡大に関する複数の措置は、企業における増値税 の税負担を更に軽減することが期待される。多くのサービス企業においては、サービス業の適用税率のみ改定が ないこと、控除可能な仕入税額項目が少ないこと、及びサプライチェーンの川上に属する供給業者の適用税率が 引き下げられた一方で、税込仕入価格に変更がない場合の仕入税額控除に用いられる増値税仕入税額が減少 すること、これらに起因する税抜きコストの上昇という事態が想定される。この事態に対して、仕入税額控除の拡大 による「全業界における税負担の軽減」をいかに確保するかという懸念がある中、追加控除政策はその独創性に より、「両会」(全国人民代表大会と中国人民政治協商会議)での発表当初から注目を集めている。今回打ち出さ れた複数の措置によれば、税率改定に加えて、仕入税額控除に関する措置も今後の政府における施策手段の一 選択肢として位置づけられていると考えられる。 仕入税額の追加控除政策の適用対象企業は生産・生活サービス業に従事する企業に限られる。そのため関連企 業グループは、グループ内に分散して配置されているサービス業務を統合することで、グループ内の一部の企業 が適用要件を満たし、仕入税額の追加控除政策が享受可能となるよう検討することが推奨される。 仕入税額の追加控除政策の適用を検討している企業は、財務会計やコンプライアンス管理面の要件に留意し、内 部統制措置を適時に更新・整備するとともに、仕入税額の虚偽計上による追加控除税額の水増しに関する法的リ スクを回避する必要がある。留意すべき点として、仕入税額の追加控除政策は一時的な措置であり、期限到来に 伴い、施行停止となることが挙げられる。したがって、政策の期限到来時に追加控除税額の未使用残高が残って しまうような事態を回避するために、ビジネス上の実行可能性を前提に、適切な取引アレンジを検討することが推 奨される。 未控除仕入税額期末残高の還付制度の試行 2019 年 4 月 1 日より、未控除仕入税額期末残高の還付制度の試行が行われる。適格の納税者は、未控除仕入税 額期末残高の当期増加分について、税額の還付が受けられるようになる。
5 1) 適用対象 以下の条件を全て満たした納税者は、未控除仕入税額期末残高の当期増加分について、所轄税務当局に税額の還 付を申請することができる。 2019 年 4 月の税額が属する納税期間から 6 カ月連続(四半期ごとに納税する場合:2 四半期連続)で、未控除 仕入税額期末残高の当期増加分がゼロ以上であり、かつ6 カ月目の未控除仕入税額期末残高の当期増加分が 50 万元以上であること。なお、「未控除仕入税額期末残高の当期増加分」とは、2019 年 3 月末の残高と比較し た場合の当期増加分のことをいう 納税信用等級が A 又は B であること 税額還付を申請する前の 36 カ月間において、未控除仕入税額期末残高の還付税額や輸出還付税額のだまし 取り、又は増値税専用発票の虚偽発行を行っていないこと 税額還付を申請する前の 36 カ月間において、脱税で税務当局より 2 回以上(2 回を含む)処罰されていないこと 2019 年 4 月 1 日以降、「即時徴収・即時還付、先に徴収・後で還付」政策を享受していないこと 2) 還付税額の計算方法 未控除仕入税額期末残高の当期増加分のうち、還付が認められる部分=未控除仕入税額期末残高の当期増加分 × 仕入税額の構成比率 × 60% そのうち、「仕入税額の構成比率」とは、2019 年 4 月から「還付申請があった納税期間の直前の納税期間」までの間 における「仕入税額控除済みの増値税専用発票(自動車販売統一発票を含む)・税関輸入増値税専用納付書・納付 税額完納証明書に明記された増値税納付税額」が「同期における全ての控除済み仕入税額」に占める割合を指す。 3) 税額還付の管理 納税者は増値税の納税申告期間内に、所轄税務当局に未控除仕入税額期末残高の還付を申請する必要がある。 納税者は税額の還付を受けた後、対応する未控除仕入税額当期残高の減算調整を行う必要がある。当期において 再度、未控除仕入税額残高還付の申請条件を満たした場合には、引き続き還付を申請することができる。 貨物・役務の輸出に係る増値税の「免除・控除・還付」規定を適用し、増値税の「免除・控除・還付」手続の完了後にお いてもなお、還付規定の適用要件を満たしている納税者は、未控除仕入税額期末残高の還付を申請することができ る。増値税の「免除・還付」規定を適用する場合における関連の仕入税額は、未控除仕入税額期末残高の還付を受 けることはできない。 【デロイト中国のコメントとアドバイス】 中国の増値税税制と他国の付加価値税税制との間の差異の一つに、未控除仕入税額の期末残高の取扱い方法 が挙げられる。中国では、未控除仕入税額が発生した場合に、還付ではなく、翌期への繰り越し控除を適用してい た。このような背景の下で、当期発生の仕入税額が、当期発生の売上税額を上回る場合に、増値税に関するキャ ッシュフローの問題が生じやすい点が従来より問題視されてきた。近年、中国政府は未控除仕入税額の還付に関 する制度改革の模索を続けている。その結果として、昨年には、設備製造等の先進製造業、研究開発等の現代サ ービス業、及び送配電企業を対象とした全国範囲での期末未控除仕入税額の一括還付が実施された。そして、今 回打ち出された未控除仕入税額の期末残高の還付政策は、全業種へとその適用範囲が拡大された。その結果、 中国における増値税税制の整備、及び一定の企業(例:投資規模が大きい企業・建設所要期間が長期的である企 業・成果への転化が遅い企業等)の大きな負担となる未控除仕入税額による資金占用問題の解消に寄与すると 考えられる。 上述の還付政策の享受を検討している企業は、早期的に下記の準備作業を進めることが推奨される。 速やかに当該企業の状況(所属業種・納税信用等級等)を把握すること。また、期末未控除仕入税額の有無 及び金額算出の正確性を確認する際に、税額還付の適用対象であるか否かを判断し、想定される還付税額の 算出を行うこと。企業グループにおいては、各関連会社に対して実施を行うこと システムの内部統制を整備し、仕入税額とその未控除期末残高について正確に算出することで、増値税関連 業務の各段階における管理上のコンプライアンスを確保すること。またコンプライアンス違反による還付政策の 適用資格喪失やその他のリスクを回避すること 適格の企業は、税務当局と密接なコミュニケーションを取り、還付政策の適用ルールと申請手続を把握した上 で、適時に申請すること
6 輸出税額還付率など割合の調整 増値税率の引下げと同時に、39 号公告では輸出税額還付率を含む関連割合に対して相応の調整が行われている。 1) 輸出税額還付率 4 月 1 日から、改正前の 16%税率と 16%還付率が適用される輸出貨物・役務につき、輸出税額還付率は 13%に 調整される。改正前の10%税率と 10%還付率が適用される輸出貨物及びクロスボーダー課税行為は、輸出税額還 付率が9%に調整される。 過去の輸出税額還付率の調整に際して講じられた措置と同じ趣旨の下、2019 年 6 月 30 日以前の輸出取引(注)を 対象に、下記の経過措置が規定されている。 増値税の「免除・還付」規定を適用し(例:対外貿易企業等)、貨物の購入について16%又は 10%税率に基づき増値 税を納付した場合には、改正前の輸出税額還付率が適用される。貨物の購入について13%又は 9%税率に基づき 増値税を納付した場合には、13%又は 9%の輸出税額還付率が適用される。 増値税の「免除・控除・還付」規定を適用する場合(例:製造企業等)は、改正前の輸出税額還付率(16%又は 10%) が適用される。「免税・控除・還付」税額を算出する際に、適用税率が輸出還付率より低い場合は、適用税率と輸出 還付率の差をゼロとみなして、「免除・控除・還付」税額の算出を行う。 注:通関手続を通じて輸出した貨物・役務(保税区及び保税区経由の輸出を除く)は、税関輸出通関申告書に明記された輸出日に 基づき取り扱われ、通関手続を通さずに輸出した貨物・役務、及びクロスボーダー課税行為は、輸出発票又は普通発票の発行 日に基づいて取り扱われる。保税区及び保税区経由の輸出貨物は、貨物の出国時に税関が発行する輸出貨物届出リストに明 記された輸出日に基づき取り扱われる。 【デロイト中国のコメント】 対外貿易企業にとって、高税率で貨物を購入し、低税率で輸出税額還付を受けることは、出来る限り回避すべきで ある。したがって、適用税率が16%又は 10%である貨物を購入する場合、可能な限り 6 月 30 日までに通関手続 を完了する必要がある。経過措置の適用期間の終了までに通関手続完了の見込みがない場合は、可能な限り4 月1 日以降に関連貨物を購入する必要がある。製造企業は、より高い輸出還付率の適用を受けるために、可能 な限り6 月 30 日までに関連貨物の通関手続を完了する必要がある。 2) 農産品の仕入税額の算出に用いられる控除率 4 月 1 日から、納税者が農産品を購入し、改正前 10%の控除率に基づき仕入税額を算出した場合には、控除率を 9%に調整する。納税者が適用税率が 13%である貨物の生産又は委託加工に用いる農産品を購入する場合には、 10%の控除率に基づき仕入税額を算出する。 3) 国外旅行者購入品出国時の還付率 4 月 1 日から、適用税率が 13%であり、出国時に税額還付の対象となる国外旅行者の購入品は、還付率を 11%と する。適用税率が9%であり、出国時に税額還付の対象となる国外旅行者の購入品は、還付率を 8%とする。 2019 年 6 月 30 日以前に、改正前の税率に基づき増値税を徴収する場合は、改正前の還付率が適用される。改正 後の税率に基づき増値税を徴収する場合は、改正後の還付率が適用される。対象物品の増値税普通発票の発行日 に基づいて、その帰属日を判定する。 まとめ 今回、増値税改革の深化を目的として打ち出された一連の措置は、李克強首相が「両会」で行った政府活動報告で 掲げた施策方針に応えたものであり、増値税の税負担の軽減に有効であると考えられる。これらの措置の実施にお いては、「全業界における税負担の軽減」という目標の実現に向けた堅実な基盤を作ることが期待される。4 月 1 日 における政策施行が差し迫る中、関連の納税者は、新政策の実施に対して速やかな準備作業を進め、システム面と 内部統制面での早期対応を確立する必要がある。また、仕入増値税の算出等のコンプライアンス管理の効率を向上 させると同時に、ビジネス面での影響を評価・整理し、適切な対応策を講じることが推奨される。 今後も各地で、財政・税務関係の政府機関から新政策の実施に関するガイドラインが公布されることが想定される。 企業は政策と実務の動向に留意し、所轄税務当局とのコミュニケーションを維持すると同時に、必要に応じて専門機 構に協力を求めることが推奨される。
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税務情報
中国における減税および費用引き下げの推進動向
―増値税減税政策に加えて実施される重要政策―
執筆:日系企業サービスグループ 北京税務チーム 2018 年年末に中国中央経済工作会議にて、更なる大規模な減税と費用引下げを実施する方針が定められた。国家 税務総局のウェブサイトの公開情報3によると、その結果、2019 年増値税改革深化の実行後の初月(2019 年 4 月) における、減税額は1,113 億人民元に達している。増値税の減税政策に加えて、2019 年 4 月と 5 月には、減税と費 用引き下げに関する一連の政策が引き続き公布されている。 本稿では以下の重要な政策について概要を解説する。 固定資産加速償却にかかる優遇政策の適用範囲の拡大 企業の社会保険料負担の低減 失業保険料の還付政策 ソフトウェア及び電子回路産業の企業所得税優遇政策 保険会社の手数料及びコミッションの損金算入上限額の引き上げ 1. 固定資産加速償却にかかる優遇政策の適用範囲の拡大 2019 年 4 月 23 日、財政部と国家税務総局は共同で『固定資産加速償却優遇政策適用範囲の拡大についての公 告』(財政部 国家税務総局公告 2019 年第 66 号、以下「66 号公告」)を公布した。 66 号公告は 2019 年 1 月 1 日より、『財政部 国家税務総局が固定資産の加速減価償却に係る企業所得税政策に 関する通知』(財税[2014]75 号、以下「75 号文」)及び『財政部国家税務総局が更に固定資産の加速減価償却に係 る企業所得税政策を完全にすることに関する通知』(財税[2015]106 号、以下「106 号文」)に基づく加速減価償却に かかる優遇の適用対象となる業種を、全製造業に拡大することとし、企業は自社の実状に基づき、加速償却政策を 選択することが可能であると規定している。 66 号文により優遇政策が拡大される前は、上記 75 号文と 106 号文の基づき、特定業種に該当する企業にのみ固 定資産の償却優遇政策を適用が認められていた。 対象企業(業種) 対象資産 政策* 生物薬品製造業、専用設備製造業、 鉄道・船舶・航空航天及び他の輸送 設備製造業、計算機・通信及び他の 電子設備製造業、器械計器製造業、 情報伝達・ソフトウェア及び情報技術 サービス業(特定 6 業種)に属する企 業 2014 年 1 月 1 日以降新たに購入し た固定資産 償却期間の短縮あるいは加速減価 償却が認められる 特定 6 業種に属する小規模企業 2014 年 1 月 1 日以降新購入し、研 究及び生産経営の両方に兼用する 設備 単価が 100 万元を超ない場合、一括 損金算入できる 軽工業、紡績、機械、自動車の四つ の分野における重点業種(特定 4 業 種)に属する企業 2015 年 1 月 1 日以降新たに購入し た固定資産 償却期間の短縮あるいは加速減価 償却が認められる 特定 4 業種に属する小規模企業 2015 年 1 月 1 日以降新たに購入し、 研究及び生産経営の両方に兼用す る設備 単価が 100 万元を超えない場合、一 括損金算入できる 66 号文の施行により、上記の優遇政策が以下の通り拡大適用された。 3 www.chinatax.gov.cn/n810219/n810724/c4392447/content.html8 対象企業(業種) 対象資産 政策* 全製造業の企業 2019 年 1 月 1 日以降新たに購入した固 定資産 償却期間の短縮あるいは加速減価償却 が認められる 全製造業の小規模企業 2019 年 1 月 1 日以降新たに購入し、研 究及び生産経営の両方に兼用する設 備 単価が 100 万元を超えない場合、一括損 金算入できる *「償却期間の短縮」とは、当該固定資産の償却期間を、企業所得税実施条例に定める期間の 60%を上限に償却 期間の短縮を認めることを指す。 「加速減価償却」とは、200%定率法あるいは級数法のいずれかを採用し当該固定資産の償却を行うことを指す。 上記固定資産の加速償却政策を適用するにあたっては従来の届出手続きは不要となり、企業は、将来の税務調査 に備えて関連書類を保存すればよいと規定されている。関連書類には、当該企業が製造業に該当することを証明で きる資料、固定資産のインボイス、会計処理に関する証憑、当該固定資産に係る会計上及び税務上の減価償却金 額などを記録する明細台帳などが含まれ、詳細には「企業所得税優遇事項管理目録」(2017 年版)の第 68 項に記載 されている。 また、当該優遇措置は企業所得税の予定納税をする際にも適用される。一方で、適用対象年度の企業所得税確定 申告を行う際にも、優遇措置が適用されるため、申告書の《資産償却及び納税調整明細表》(表 A105080)に関連の 記載を行う必要がある。 企業は、当年度の利益や繰延欠損金などの状況に基づき、加速償却政策を選択するか否か及び適用開始のタイミ ングを検討するのが望ましい。なお、一度加速償却を適用すると、減価償却の完了まで毎年に渡り、会計上の償却 額と税務上償却額との差額を調整する必要があることに留意が必要である。 2. 社会保険料負担の低減 2019 年 4 月 4 日に国務院弁公庁より 『社会保険料率の引下げの総合的な方案に関する通知』(国弁発[2019]13 号、 以下「通知」)が公布されている。通知には下記の通り規定されている。 2019 年 5 月 1 日より、養老保険の企業負担分の料率が 16%を超える地域では料率を 16%まで引き下げる。 当該料率が 16%を下回る省においては経過措置が検討する。 2019 年 5 月 1 日より、1%の失業保険料率を実施している省は、引き続き 1%の低料率実施期間を 2020 年 4 月 30 日まで延長する。 2019 年 5 月 1 日より、段階的な労災保険料率の引下げ期間を 2020 年 4 月 30 日まで延長する。労災保険基 金の累計残高の支給可能月数が 18~23 か月間分である場合、現行の料率から更に 20%引き下げ、累計残 高の支給可能月数が 24 か月を超える場合、現行の料率から更に 50%引き下げを行う。 上記通知の実務上の対応について北京市や上海市などの地域においては、2019 年 4 月月末にそれぞれ関連通知 を公布した。そのうち、上海市と北京市は、2019 年 5 月 1 日より以下の通り、関連する社会保険料の引下げを実施す ることを明確にした。 養老保険の企業負担分の料率を従来の 20%から 16%まで引き下げる 2020 年 4 月 30 日まで 1%の失業保険料率を継続実施する 3. 失業保険料の還付政策 国務院が2018 年 12 月 5 日に公布した「現段階及び今後一定期間の就労促進工作に関する若干意見」によると、リ ストラを行わないか、リストラ規模の小さい企業は、前年度実際に納付した失業保険料の50%について還付を受け ることができる。 同意見については、実務上、一部の地域において相次いで関連措置が打ち出されており、条件を満たす企業が還付 を申請することができるとされている。例えば、北京市では、2019 年 4 月 30 日に北京市人力資源・社会保険局、財 政局などの部門が共同で『失業保険安定就労に係る問題の通知』(京人社就発 [2019] 68 号)を公布し、その適用対 象、適用条件、申請期限、手当標準、リストラ率の計算方法、申請プロセス及び監督措置などの内容を明確にしてい る。
9 4. ソフトウェア及び電子回路産業の企業所得税優遇政策 2019 年 5 月 17 日、財政部と国家税務総局は共同で、『集成回路設計及びソフトウェア産業の企業所得税政策に係 る公告』(財政部 国家税務総局公告2019 年第 68 号 以下、「68 号文」)を公布した。 同公告においては、『財政部 国家税務総局のソフトウェア及び電子回路産業の更なる発展促進のための企業所得 税政策に係る通知』(財税[2012]27 号)及び『財政部 国家税務総局 発展改革委 工業と信息化部のソフトウェア 及び電子回路産業の企業所得税優遇政策に係る関連問題の通知』(財税[2016]49 号)に定められる条件を満た し、且つ関連法規に基づき設立された電子回路設計企業及びソフトウェア企業は、2018 年 12 月 31 日以前の利益 計上年度より優遇期間を起算し、第1 年度と第 2 年度について企業所得税の免除、第 3 年度から第 5 年度までは 25%の法定税率に基づく企業所得税の半減という税制優遇を享受できると規定されている。 ソフトウェア生産企業を対象とする同優遇政策は2008 年より実施されており、従来の適用期限は 2017 年 12 月 31 日とされていた。この68 号文の公布により期限が 1 年間延長され、2018 年 12 月 31 日とされた。2019 年以降の 動向はまだ明確になっていないものの、減税及び費用引き下げの背景を受け、更に延長される可能性もある。 5. 保険会社の手数料及びコミッションの損金算入上限額の意引き上げ 2019 年 5 月 28 日、財政部と国家税務総局が共同で『保険会社の手数料及びコミッションの損金算入政策について の公告』(財政部 国家税務総局公告 2019 年第 72 号、以下、「72 号公告」)を公布した。 72 号公告においては、保険会社において発生した経営活動に係る手数料及びコミッションは、年度保険料売上から 解約返戻金などを控除した残高の18%を超えない部分が損金算入でき、超過分は以降年度に繰り越すことができる とされた。 また、同公告においては、2019 年 1 月 1 日より施行されること、そして保険会社の 2018 年度の企業所得税確定申 告において72 号公告に従って関連処理を行うことができる旨が明確に規定された。 従前の『財政部国家税務総局保険企業の手数料及びコミッションの損金算入政策に関する通知』(財税[2009]29 号、 以下「29 号文」)では、損害保険会社と生命保険会社において発生した手数料及びコミッションの損金算入上限額は、 それぞれ年度保険料売上から解約返戻金などを控除した残高の15%と 10%であり、且つ超過分を翌年以降に繰り 越すことは認められていなかった。この度、72 号公告の公布に伴い、控除上限額の引き上げに加え、超過分の翌年 以降への繰り越しも認められるようになったため、保険会社の企業所得税負担の低減につながるとみられる。 なお、保険会社以外の一般企業において発生した手数料及びコミッションについては、29 号文により、その控除上限 額は仲介機構あるいは個人と締結した取引契約に基づき計上する収入金額の 5%とされている。かかる比率につい ては、同72 号公告では言及されていないものの、今後の引き上げが期待される。
10 執筆:有限責任監査法人トーマツ 鈴木 健夫 デロイト中国 川島 智之、日系企業サービス北京税務チームほか 監修:デロイト トーマツ合同会社 三浦 智志 DT弁護士法人 鄭 林根
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11 デロイト トーマツ グループは日本におけるデロイト アジア パシフィック リミテッドおよびデロイトネットワークのメンバーであるデロイト トーマツ合同会社お よびそのグループ法人(有限責任監査法人トーマツ、デロイト トーマツ コンサルティング合同会社、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同 会社、デロイト トーマツ税理士法人、DT 弁護士法人およびデロイト トーマツ コーポレート ソリューション合同会社を含む)の総称です。デロイト トーマツ グループは日本で最大級のビジネスプロフェッショナルグループのひとつであり、各法人がそれぞれの適用法令に従い、監査・保証業務、リスクアドバイ ザリー、コンサルティング、ファイナンシャルアドバイザリー、税務、法務等を提供しています。また、国内約40 都市に約 1 万名以上の専門家を擁し、多 国籍企業や主要な日本企業をクライアントとしています。詳細はデロイト トーマツ グループ Web サイト(www.deloitte.com/jp)をご覧ください。 Deloitte(デロイト)は、監査・保証業務、コンサルティング、ファイナンシャルアドバイザリー、リスクアドバイザリー、税務およびこれらに関連する第一級の サービスを全世界で行っています。150 を超える国・地域のメンバーファームのネットワークを通じ Fortune Global 500® の 8 割の企業に対してサービ ス提供をしています。“Making an impact that matters”を自らの使命とするデロイトの約 286,000 名の専門家については、(www.deloitte.com)をご覧 ください。 Deloitte(デロイト)とは、デロイト トウシュ トーマツ リミテッド(“DTTL”)ならびにそのグローバルネットワーク組織を構成するメンバーファームおよびそれ らの提携法人のひとつまたは複数を指します。DTTL(または“Deloitte Global”)および各メンバーファーム並びにそれらの関係法人はそれぞれ法的に 独立した別個の組織体です。DTTL はクライアントへのサービス提供を行いません。詳細は www.deloitte.com/jp/about をご覧ください。 デロイト アジア パシフィック リミテッドは DTTL のメンバーファームであり、保証有限責任会社です。デロイト アジア パシフィック リミテッドのメンバーおよ びそれらの提携法人は、オーストラリア、ブルネイ、カンボジア、東ティモール、ミクロネシア連邦、グアム、インドネシア、日本、ラオス、マレーシア、モンゴ ル、ミャンマー、ニュージーランド、パラオ、パブアニューギニア、シンガポール、タイ、マーシャル諸島、北マリアナ諸島、中国(香港およびマカオを含む)、 フィリピンおよびベトナムでサービスを提供しており、これらの各国および地域における運営はそれぞれ法的に独立した別個の組織体により行われてい ます。 本資料は皆様への情報提供として一般的な情報を掲載するのみであり、その性質上、特定の個人や事業体に具体的に適用される個別の事情に対応す るものではありません。また、本資料の作成または発行後に、関連する制度その他の適用の前提となる状況について、変動を生じる可能性もあります。 個別の事案に適用するためには、当該時点で有効とされる内容により結論等を異にする可能性があることをご留意いただき、本資料の記載のみに依拠 して意思決定・行動をされることなく、適用に関する具体的事案をもとに適切な専門家にご相談ください。 Member of
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