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硫安による出穂10日後の窒素施用が小麦‘ふくはるか’の手延べ素麺加工適性に及ぼす影響

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Academic year: 2021

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2018 年 2 月 6 日受理 連絡責任者:森下星子(morishita-seiko@offi ce.pref.nara.lg.jp)

硫安による出穂 10 日後の窒素施用が

小麦 ふくはるか の手延べ素麺加工適性に及ぼす影響

森下星子

1)

・ 章宏

2)

・杉山高世

1)

・池田利秀

3) 1)奈良県農業研究開発センター(〒 633-0046 奈良県桜井市池之内 130-1) 2)奈良県北部農林振興事務所(〒 639-1041 奈良県大和郡山市満願寺町 60-1) 3)株式会社池利(〒 633-0033 奈良県桜井市茅原 419) 要旨:奈良県では「三輪素麺」と呼ばれる手延べ素麺が製造されている.手延べ素麺の加工適性には生地の伸展 性や弾性といった小麦粉の生地物性が重要である.奈良県では日本麺用小麦品種 ふくはるか を奨励品種として いるが, ふくはるか は県内で手延べ素麺原料に使用されている通常の小麦原料と比べて生地物性が弱いため, 作業性が劣る.今回, ふくはるか のみを小麦原料として手延べ素麺を試作した結果,通常の原料と同程度の作 業性を確保するためには,小麦粉のタンパク質含有率は 10 % 以上必要であると考えられた.また, ふくはるか において硫安による出穂 10 日後の窒素施用量と子実タンパク質含有率に高い正の相関があること,タンパク質含 有率の向上によって SDS 沈降量で示される生地物性が強くなることが明らかになった.したがって ふくはるか の子実タンパク質含有率は出穂後窒素施用量によって調整することができ,小麦粉タンパク質含有率を 10 % 以上 とすることで生地物性が改善され,手延べ素麺加工適性の向上が可能と考えられた.また, ふくはるか のみを 小麦原料とした手延べ素麺は一般的な三輪素麺と比べて粘りの強い特徴的な食感であった. キーワード:小麦,手延べ素麺,生地物性,タンパク質含有率

緒言

手延べ素麺は小麦を主原料とした加工食品であり,奈良 県では手延べ素麺の製造が伝統的な産業となっている.奈 良県で製造される手延べ素麺は従来「三輪素麺」という名 称で広く知られ,現在は地理的表示保護制度上の規格に適 合した手延べ素麺のみが「三輪素麺」として市販されてい る.手延べ素麺は小麦粉,食塩,水および植物油を原料と し,混捏してひも状に成形した生地を 2 本の棒に巻き付け た後,棒を上下に 2m 程度引き離して生地を細く伸ばすこ とで製造される(農林水産省地理的表示保護制度登録番号 第 12 号).そのため,手延べ素麺の製造において良好な作 業性を確保するためには製造中の生地物性が重要であり, 生地を細く伸ばすための伸展性および細く成形した生地を 一定の形状に維持するための弾性が必要である.そのため, 奈良県内の手延べ素麺製造においては生地物性が強い外国 産小麦等をブレンドした強力粉や準強力粉が主要な小麦原 料として使用されている.また,強力粉や準強力粉より作 業性は劣るものの,国産小麦原料として中力粉の北海道産 きたほなみ が使用されている . 伸展性や弾性といった小麦生地に特徴的な物性は,製麺 性や製パン性を左右する重要な特性であるが,これらは生 地中に形成されるグルテンによって生じる.グルテンは小麦 の種子貯蔵タンパク質であるグルテニンおよびグリアジン から構成されるポリマータンパク質であり,グルテンの強さ 等の性質やタンパク質含有率は生地物性,そして加工適性 に 影 響 す る(Finney and Barmore 1948,Tipples and Kilbon 1974,Payne ら 1987,Branlard and Dardevet 1985,Gupta and Shepherd 1990).奈良県では日本麺用小麦品種 ふくはるか を県の奨励品種としており,県内生産のほぼ全量を占めて いる. ふくはるか の小麦粉は中力粉に分類され,うどん の加工適性が優れている(上田ら 2012).また ふくはるか は日本麺用小麦品種の遺伝特性として中庸な性質のグルテ ンを有するが,グルテニンサブユニット GluA1a を持つため, 農林 61 号 や きぬいろは といった従来の日本麺用品種 と比べて生地物性が強く,手延べ素麺に加工することも可 能である(谷中ら 2013).そのため奈良県では県産 ふくは るか のみを小麦原料とした手延べ素麺の商品化が期待され てきた.しかし,奈良県産 ふくはるか は通常の原料であ る強力粉,準強力粉および中力粉の北海道産 きたほなみ と比較して生地物性が弱く作業性が劣るため, ふくはるか のみを小麦原料とした素麺は市販されていない. 小麦粉の生地物性はタンパク質含有率の増加によって強 くなり(Finney and Barmore 1948,Tipples and Kilbon 1974), 小麦子実のタンパク質含有率は出穂後の窒素施用の影響を 受けることが知られている(江口ら 1969,高山ら 2004). ふ くはるか においても,窒素施用量 0 ∼ 6 kg/10a の範囲にお いて, 子実タンパク質含有率は出穂 10 日後窒素施用量と正 の相関があることが示されている( ら 2014).しかし,出 穂後窒素施用による生地物性の向上程度には品種間差があ り(岩淵ら 2007),タンパク質含有率の増加に対する生地物 性の向上程度は品種間で異なることも報告されている(谷

論 文

(2)

中ら 2011).そのため,中庸な性質のグルテンを有する ふ くはるか において,タンパク質含有率の増加がどの程度生 地物性の向上に寄与するかは不明であり,タンパク質含有 率および生地物性の向上が手延べ素麺加工適性に及ぼす影 響についても不明である.さらに,小麦の栽培方法,タンパ ク質含有率および生地物性が手延べ素麺の加工適性に及ぼ す影響についての報告はない.本研究では ふくはるか を 供試品種とし,窒素施用量 0 ∼ 12 kg/10a の範囲において出 穂 10 日後窒素施肥量とタンパク質含有率の関係を明らかに するとともに,生地物性および素麺加工適性に及ぼす影響 を調査した.そして, ふくはるか の素麺加工適性を向上 させる施肥技術について検討し, ふくはるか のみを小麦 原料とした素麺の食味の特徴を明らかにしたので報告する.

材料と方法

栽培試験および子実タンパク質含有率と生地物性の測定 奈良県農業研究開発センターの試験圃場(橿原市四条町) において,2013 ∼ 2016 年収穫年度(以降,年度は収穫年 度で記載)に ふくはるか を供試品種として栽培試験を 行った.播種方法は条間 30 cm の条播とした.基肥として 播種日に窒素,リン酸,カリウムをそれぞれ 10 a あたり 8.0 kg,5.7 kg,7.4 kg 施用し,分げつ肥として 2 月 10 日に窒素, カリウムをそれぞれ 10 a あたり 3.0 kg,3.8 kg 施用した. 2013 ∼ 2014 年は出穂 10 日後に窒素を 10 a あたり 0,2,4, 6,8 kg の 5 水 準,2015 ∼ 2016 年 は 0,4,8,12 kg の 4 水準で施用した.反復数は 2 もしくは 3 とした.なお,栽 培圃場は壌土の水田転換畑であり,基肥にはくみあい高度 化成 403,分げつ肥にはくみあい窒素加里化成 C12 号,出 穂後追肥には硫安を用いた.坪刈りによる子実サンプルは 網目幅 2.0 mm のテスト粒選別機(TSWB, 株式会社サタケ) で調製し,収量調査を実施した(第 1 表). 第 1 表 各試験年度における耕種概要 ヨ㦂ᖺ ㌿᥮ ᖺᩘ ๓స ᧛✀㔞 㻔㼗㼓㻛㻝㻜㼍㻕 ୍༊䛒䛯䜚 㠃✚ 䠄䟝䠅 ᆤส䜚 㠃✚ 䠄䟝䠅 㻞㻜㻝㻟 㻞 ኱㇋ 㻝㻝㻚㻞㻜 㻤 㻠㻚㻝㻠 㻠㻚㻤 㻝㻚㻞 㻞㻜㻝㻠 㻝 Ỉ✄ 㻝㻝㻚㻞㻞 㻤 㻠㻚㻝㻣 㻠㻚㻤 㻝㻚㻡 㻞㻜㻝㻡 㻞 ᑠ㯏㻝㻕 㻝㻝㻚㻞㻝 㻤 㻠㻚㻝㻠 㻥㻚㻢 㻠㻚㻤 㻞㻜㻝㻢 㻞 ᑠ㯏 㻝㻞㻚㻌㻝 㻝㻜 㻠㻚㻌㻥 㻥㻚㻢 㻠㻚㻤 㻝㻕䚷๓సᑠ㯏ᅡሙ䛷䛿䚸ኟᮇ䛿ఇ⪔䛸䛧䛯䠊 ᧛✀᪥ 䠄᭶䠊᪥䠅 ฟ✑᪥ 䠄᭶䠊᪥䠅 子実のタンパク質含有率は,子実を粉砕して全粒粉とし, 元素分析装置(JM10,J-SCIENCE LAB 社)で測定した全粒 粉の窒素含有率に 5.70 を乗じたものを用い,水分含有率 13.5 % に換算した.60 % 粉の SDS 沈降量および生地混捏 中の生地物性(吸水率,生地形成時間,安定度および弱化 度)は西日本農業研究センターで測定した.2013 ∼ 2014 年 の 子 実 サ ン プ ル は 小 型 試 験 用 製 粉 機(Quadrumat Jr.,Brabender 社),2015 ∼ 2016 年の子実サンプルはビュー ラーテストミル(MLU-202,Buhler 社)で製粉し,60 % 粉を調整した.SDS 沈降量は Takata ら(1999)の方法に より測定し,生地混捏中の生地物性は doughLAB (Perten 社)により測定した.標準品とした小麦粉 三輪ブレンド は株式会社池利において「三輪素麺」の原料として使用さ れている外国産小麦等のブレンド粉, きたほなみ は 2014 年北海道産であり,ともに株式会社池利より提供を 受けた.60 % 粉のタンパク質含有率は近赤外分析装置 Infratec 1241(FOSS 社)による窒素含有率に 5.70 を乗じ たものを用い,水分含有率 13.5 % に換算した . 手延べ素麺の試作 奈良県農業研究開発センター試験圃場(橿原市四条町) において,2014 ∼ 2016 年に ふくはるか を栽培し,収 穫した子実を江別製粉株式会社の小型製粉プラント F-ship により製粉した.出穂後の窒素施用量を変えることにより, 小麦粉のタンパク質含有率は 8.0,8.9,10.2,10.6,10.9 % の 5 水準とした(第 2 表).これらの小麦粉のみを小麦 原料とし,2014 ∼ 2017 年に株式会社池利の素麺工場にお いて手延べ素麺を試作した.製造方法は工場の慣行に従い, 生地の状態やタンパク質含有率,試作時の気温等に応じて 食塩添加量を調整した(第 3 表).製造工程を 8 工程に分け, 北海道産 きたほなみ を標準品として各工程における作 業性を 5 段階,小分けおよび門干し工程における落麺(生 地の切れ)の発生程度を 3 段階で評価した.作業性の評価 は試作を担当した熟練工のコメントをもとにした. 第 2 表 手延べ素麺試作に用いた ふくはるか 小麦粉 の概要 ฟ✑ᚋ ❅⣲ ᪋⫧㔞 䠄㼗㼓㻛㻝㻜㼍䠅 ⅊ศ ྵ᭷ ⋡ 䠄㻑䠅 䐟 㻞㻜㻝㻠 㻞㻜㻝㻠㻚㻌㻥㻚㻌㻡 㻜䡚㻠㻝㻕 㻌㻤㻚㻡㻠㻕 㻌㻤㻚㻜 㻜㻚㻠㻞 䐠 㻞㻜㻝㻠 㻞㻜㻝㻠㻚㻌㻥㻚㻌㻡 㻠䡚㻤㻞㻕 㻝㻜㻚㻝 㻌㻤㻚㻥 㻜㻚㻠㻟 䐡 㻞㻜㻝㻡 㻞㻜㻝㻡㻚㻌㻤㻚㻞㻤 㻤 㻝㻝㻚㻤 㻝㻜㻚㻞 㻜㻚㻠㻟 䐢 㻞㻜㻝㻡 㻞㻜㻝㻡㻚㻌㻤㻚㻞㻤 㻝㻜 㻝㻟㻚㻞 㻝㻜㻚㻥 㻜㻚㻠㻡 䐣 㻞㻜㻝㻢 㻞㻜㻝㻢㻚㻝㻝㻚㻌㻤 㻤䡚㻝㻜㻟㻕 㻝㻞㻚㻣 㻝㻜㻚㻢 㻜㻚㻠㻤 㻝㻕䚷㻜㻘㻌㻞㻘㻌㻠㼗㼓㻛㻝㻜㼍䛾ΰྜ䠊 㻞㻕䚷㻠㻘㻌㻢㻘㻌㻤㼗㼓㻛㻝㻜㼍䛾ΰྜ䠊㻌 㻟㻕䚷㻤㻘㻌㻝㻜㼗㼓㻛㻝㻜㼍ྠ㔞䛪䛴䛾ΰྜ䠊 㻠㻕㻌ྛᡂศྵ᭷⋡䛿Ỉศ㻝㻟㻚㻡䠂᥮⟬䠊 ཰✭ᖺ 〇⢊᪥ 䠄ᖺ㻚᭶㻚᪥䠅 ཎᩱᑠ㯏Ꮚᐇ ᑠ㯏⢊ 䝍䞁䝟䜽 ㉁ྵ᭷ ⋡ 䠄㻑䠅 䝍䞁䝟䜽 ㉁ྵ᭷ ⋡ 䠄㻑䠅 第 3 表 手延べ素麺試作の概要 ᑠ㯏⢊ 䠄㼗㼓䠅 㣗ሷ 䠄㼓㻛ᑠ㯏 ⢊㻝㼗㼓䠅 㻭 䐟 㻤㻚㻜 㻞㻜㻝㻠㻚㻝㻜㻚㻞㻝 㻌㻞㻡 㻣㻜㻚㻜 㻮 䐠 㻤㻚㻥 㻞㻜㻝㻠㻚㻝㻜㻚㻞㻝 㻌㻞㻡 㻣㻜㻚㻜 㻯 䐡 㻝㻜㻚㻞 㻞㻜㻝㻡㻚㻌㻥㻚㻝㻠 㻌㻞㻡 㻣㻝㻚㻞 㻰 䐡㻗䐢 㻝㻜㻚㻢 㻞㻜㻝㻢㻚㻌㻝㻚㻌㻡 㻞㻡㻜 㻢㻣㻚㻞 㻱 䐣 㻝㻜㻚㻢 㻞㻜㻝㻣㻚㻌㻝㻚㻝㻜 㻌㻞㻡 㻢㻥㻚㻢 㻲 䐢 㻝㻜㻚㻥 㻞㻜㻝㻡㻚㻌㻥㻚㻝㻝 㻌㻞㻡 㻡㻤㻚㻠 䠍䠅౑⏝䛧䛯ᑠ㯏⢊䛾␒ྕ䛿➨㻞⾲䛻♧䛩␒ྕ䛻┦ᙜ䛩䜛䠊 ཎᩱ౑⏝㔞 ౑⏝䛧䛯 ᑠ㯏⢊㻝㻕 ᑠ㯏⢊ 䝍䞁䝟䜽㉁ ྵ᭷⋡䠄㻑䠅 ヨస᪥ 䠄ᖺ㻚᭶㻚᪥䠅 手延べ素麺の食味評価 2015 年産 ふくはるか を原料として 2015 年 10 月 14

(3)

日に株式会社池利素麺工場で試作した手延べ素麺(第 3 表 中 C)および北海道産 きたほなみ を原料とした手延べ 素麺について,2016 年 12 月 21 日に奈良県農業研究開発 センターで食味評価試験を行った.標準品には,外国産小 麦等のブレンド粉(準強力粉)を原料とした一般的な 三 輪素麺 を用いた.なお, きたほなみ の手延べ素麺およ び 三輪素麺 はともに 2015 年に株式会社池利素麺工場で 製造された市販品「国内産小麦使用三輪素麺」および「池 利の三輪素麺」を用いた.以上の素麺は沸騰した水で茹で た後,冷水で 1 分間洗ったものを評価サンプルとした.茹 で時間は ふくはるか は 1 分 30 秒, きたほなみ および 三輪素麺 は 2 分とした.被験者はセンター職員 34 名とし, 素麺を冷水に浸して試食させた.評価項目は粘り,コシ(弾 力),滑らかさ,塩味および風味の 5 項目とし,各評価項 目における選択肢は,標準品と比べて「強い(+ 1 点)」,「同 程度(0 点)」および「弱い(-0 点)」の 3 択とした.

結果

ふくはるか の出穂後窒素施用が子実タンパク質含有率および生 地物性に及ぼす影響 4 ヶ年の栽培試験で得られた ふくはるか 子実サンプ ル計 47 点において,出穂 10 日後窒素施用量(x:kg/10a) と子実タンパク質含有率(y:%)に高い正の相関が認め られ,回帰式 y = 0.50 x + 8.12(R = 0.91,p < 0.01)を得た(第 1 図). 2013 年および 2016 年の試験結果より,遅れ穂は窒素施 用量の増加に伴って増加したが,2013 年,2014 年および 2016 年は稈長,穂長および有効穂数への影響が確認され なかった.2015 年および 2016 年の試験結果から,成熟期 は施用量が多い程遅れる傾向があった.また,窒素施用を 行うことで,行わない場合と比べて千粒重および容積重が 増加する傾向があったが,2016 年においては施用量の増 加に伴って角張った粒が増加し,外観品質が低下した(第 4 表). また, ふくはるか 60 % 粉の SDS 沈降量は小麦粉タン パク質含有率と高い正の相関が認められた(p < 0.01). 2013 年および 2014 年の試験用小型製粉機による 60 % 粉 の SDS 沈降量は 2015 年および 2016 年のビューラーテス トミルと比べて小さい傾向があった(第 2 図). 次に, ふくはるか 60 % 粉の生地混捏中の吸水率はタ ンパク質含有率の増加に伴って有意に高くなり(p < 0.01), 生地形成時間は有意ではないものの長くなる傾向があっ た.しかし,過剰混捏時の生地の安定性を示す安定度はタ ンパク質含有率の増加に伴って有意に低くなり(p < 0.05), 過剰混捏による生地の弱化程度を示す弱化度は有意に高く なった(p < 0.01).また,全測定項目において ふくはるか は きたほなみ と同水準の測定値であったが, 三輪ブレ ンド より生地形成時間が短い,安定度が低い,弱化度が 大きい,という特徴があった(第 3 図). 第 1 図  ふくはるか における出穂 10 日後窒素施用 量と子実タンパク質含有率の関係 ** はスピアマンの相関係数の検定により 1% 水準の有 意性が認められたことを示す. ふくはるか 小麦粉による手延べ素麺試作結果  ふくはるか 小麦粉を用いて手延べ素麺を試作した結 果を第 5 表に示した.タンパク質含有率 8.0 % の A では, 生地の粘りが少なく全工程を通して生地を扱いにくかっ た.特に小分けおよび門干し工程では生地の伸展性が不足 し , 落麺 と呼ばれる生地の切れによる原料ロスが多く生 じた.タンパク質含有率 8.9 % の B では A と比べて生地 の粘りは改善されたものの伸展性は不足し , 落麺 が多く 生じた.一方,タンパク質含有率 10.2 % の C,10.6 % の D および E では,生地に適度な粘弾性があり,小分けお よび門干し工程においても生地の伸展性が良く, 落麺 の発生量は きたほなみ と同程度であった.なお,C,D および E では きたほなみ と比べて生地の熟成の進みが 早く,生地が弱化してだれやすくなるため,通常より掛巻 工程後の熟成時間を短くする必要があった.また,C では 掛巻工程において生地の伸びが悪く,E では門干し工程に おいて生地がべたついたため作業性がやや劣った.しかし これらの問題点は,各工程間の熟成時間を調整することに よって改善が可能と熟練工に判断された.また,D と E ではともにタンパク質含有率 10.6 % の年産が異なる小麦 粉を原料とし,D では通常の製造規模(小麦粉 250 kg)で 試作したが,作業性に大きな差は無かった.F では,タン パク質含有率が外国産小麦を使用した通常の原料 三輪ブ レンド と同程度の 10.9 % であったことから,食塩添加量 を 三輪ブレンド による製造時と同程度に調整した.こ れは他の ふくはるか による試作での約 85 % に相当する が,小引き工程以降,生地が弱化してだれやすく,小分け および門干し工程では伸展性が不足し,作業性は きたほ なみ に劣った.なお, 三輪ブレンド との作業性比較で は, C,D および E の切断結束工程を除いて, ふくはるか の作業性は「劣る」という評価であった.C,D および E の切断結束工程では,乾燥後の麺に強度があるため折れに くく,作業性は「やや優れる」という評価であった.

(4)

ふくはるか を原料とした手延べ素麺の食味評価結果 被験者 34 名の採点結果についてフリードマン検定を 行ったところ,粘り,コシ(弾性)および塩味に有意差が 認められ(p < 0.01), ふくはるか を原料とした手延べ素 麺は市販の 三輪素麺 および きたほなみ を原料とした 手延べ素麺と比べて粘りが強い食感であり,塩味が強いと 評価された.また, きたほなみ については 三輪素麺 と比べてコシ(弾性)が強く, ふくはるか には劣るもの の粘りおよび塩味が強いと評価された.なお,滑らかさお よび風味の強さには有意差が認められなかった(第 6 表).

考察

ふくはるか の出穂 10 日後窒素施肥によるタンパク質含有率お よび生地物性の向上 今回,窒素施用量 0 ∼ 12 kg/10a の範囲において ふく はるか の出穂 10 日後の窒素施用量は子実タンパク質含 有率と高い正の相関があることが明らかになった(第 1 図).小麦子実のタンパク質含有率は小麦の出穂後窒素施 用の影響を受けることが報告されており(江口ら 1969, 高山ら 2004, ら 2014),今回の調査においても出穂 10 日後の窒素施用量を変えることで子実タンパク質含有率の 調整が可能と考えられた.また, ふくはるか 小麦粉の タンパク質含有率と SDS 沈降量には高い正の相関が認め られた(第 2 図).製パン性評価のための指標として用い られている SDS 沈降量は,グルテンの量と強さの総量を 示すと考えられており(Takata ら 1999),手延べ素麺の加 工適性に対しても関連が示唆される.グルテンの強さ等の 性質はグリアジンおよびグルテニンのサブユニット構成や その組成比によって決定されるが(Branlard and Dardevet 1985,Payne ら 1987,Gupta and Shepherd 1990)、グリアジ ン / グルテニン比は出穂後窒素施用によって増加すること が報告されている(木村ら 2001,大久ら 2013).一方,グ ルテンの量は出穂後追肥によって高くなることが報告され ている(江口ら 1969,高山ら 2004).そのため, ふくは るか におけるタンパク質含有率の増加に伴う生地物性向 上についても、グルテン量および組成比が影響している可 能性が考えられ,その検討には今後さらなる研究が必要で ある.また,製粉方法による SDS 沈降量の差違の原因は 第 4 表  ふくはるか の成熟期における調査結果および収量調査結果 調査を実施した年における反復数 2 もしくは 3 の平均値を示す.

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第 3 図  ふくはるか における小麦粉タンパク質含有率と生地混捏中の生地物性の関係 〇 ふくはるか ,● きたほなみ ,▲ 三輪ブレンド ** および * はスピアマンの相関係数の検定により 1% 水準もしくは 5% 水準の有意性が認められたことを示す. 第 5 表  ふくはるか 小麦粉による手延べ素麺試作結果 ᤐ๓ ᯈษ ᑠ䜘䜚 ᥃ᕳ ᑠᘬ䛝 ᑠศ䛡 㛛ᖸ䛧 ษ᩿ ⤖᮰ 㻭 㻤㻚㻜 㻞 㻞 㻞 㻞 㻟 㻝 㻞 㻞 㻗㻗 㻮 㻤㻚㻥 㻞 㻟 㻟 㻟 㻟 㻞 㻞㻚㻡 㻟 㻗㻗 㻯 㻝㻜㻚㻞 㻟 㻟 㻟 㻞 㻟 㻟 㻟 㻠 㼼 㻰 㻝㻜㻚㻢 㻟 㻟 㻟 㻟 㻟 㻟 㻟 㻟 㼼 㻱 㻝㻜㻚㻢 㻟 㻟 㻟 㻟 㻟 㻟 㻞 㻟 㼼 㻲 㻝㻜㻚㻥 㻟 㻟 㻟 㻟 㻞 㻞 㻞 㻟 㻗 㻞㻕䚷໭ᾏ㐨⏘䇺䛝䛯䜋䛺䜏䇻䛸ẚ㍑䛧䛶䠈ᑠศ䛡䛚䜘䜃㛛ᖸ䛧ᕤ⛬䛻䛚䛡䜛ⴠ㯝䠄⏕ᆅ䛾 ษ䜜䠅䛾Ⓨ⏕⛬ᗘ䜢䛂㻗㻗䠖ከ䛔䚷㻗䠖䜔䜔ከ䛔䠈㼼䠖ྠ⛬ᗘ䛃䛷♧䛧䛯䠊 ᑠ㯏⢊ 䝃䞁䝥䝹 ᑠ㯏⢊ 䝍䞁䝟䜽㉁ ྵ᭷⋡䠄㻑䠅 ྛ〇㐀ᕤ⛬䛻䛚䛡䜛సᴗᛶホ౯㻝㻕 ⴠ㯝 䛾 ⛬ᗘ㻞㻕 㻝䠅䚷໭ᾏ㐨⏘䛂䛝䛯䜋䛺䜏䛃䛸ẚ㍑䛧䛶䠈䛂㻝䠖ຎ䜛䠈㻞䠖䜔䜔ຎ䜛䠈㻟䠖ྠ⛬ᗘ䠈㻠䠖䜔䜔ඃ䜜 䜛䠈㻡䠖ඃ䜜䜛䛃䛾㻡ẁ㝵ホ౯䠊 第 6 表  ふくはるか を原料とした手延べ素麺の食味評価結果 ⢓䜚 䝁䝅䠄ᙎຊ䠅 ⁥䜙䛛䛥 ሷ࿡ 㢼࿡ 䜅䛟䛿䜛䛛 㻜㻚㻣㻝㼍㻌㻝㻕㻌㻟㻕 㻜㻚㻞㻢㻌㼍㼎 㻙㻜㻚㻜㻢 㻜㻚㻢㻥㻌㼍 㻜㻚㻜㻥 䛝䛯䜋䛺䜏 㻜㻚㻟㻤㻌㼎㻌䚷䚷 㻜㻚㻡㻥㻌㼍㻌 㻜㻚㻜㻟 㻜㻚㻞㻥㻌㼎 㻜㻚㻝㻡 ୕㍯⣲㯝䠄ᶆ‽ရ䠅 㻜㻚㻜㻜㻌㼏㻌㻌㻌㻌㻌 㻜㻚㻜㻜㻌㼎㻌 㻜㻚㻜㻜 㻜㻚㻜㻜㻌㼏 㻜㻚㻜㻜 䝣䝸䞊䝗䝬䞁᳨ᐃ㻌㻞䠅 㻖㻖 㻖㻖 㼚㻚㼟㻚 㻖㻖 㼚㻚㼟㻚 㻝䠅㻌⾲୰䛾ᩘ್䛿⿕㦂⪅䛻䜘䜛᥇Ⅼ䛾ᖹᆒⅬ䜢♧䛧䚸ᩘ್䛜㧗䛔⛬䛭䛾⛬ᗘ䛜ᙉ䛔䛣䛸䜢♧䛩䠊 㻞䠅㻌䝣䝸䞊䝗䝬䞁᳨ᐃ䛻䜘䜚䠈㻖㻖䛿㻝䠂Ỉ‽䛾᭷ពᕪ䛜䛒䜚䠈㼚㻚㼟㻚䛿㻡䠂Ỉ‽䛷᭷ពᕪ䛜䛺䛔䛣䛸䜢♧䛩䠊 㻟䠅㻌␗䛺䜛䜰䝹䝣䜯䝧䝑䝖㛫䛻䛿㻴㼛㼘㼙ἲ䛻䜘䜚㻡䠂Ỉ‽䛾᭷ពᕪ䛜䛒䜛䛣䛸䜢♧䛩䠊

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不明であるが,SDS 沈降量は品種間の手延べ素麺加工適 性の比較のための指標として利用できる可能性もあること から,今後留意する必要がある. ふくはるか のタンパク質含有率が素麺加工適性に及ぼす影響 手延べ素麺の製造においては,一般に気温等が小麦生地 の熟成程度や物性に影響するため,同一原料であっても製 造時期によって作業性は異なる.製麺における食塩の添加 は,酵素活性を抑制して熟成中の生地変化を少なくする効 果があるとともに,グルテンの網目構造を引きしめること で生地弾性を増し,伸展性も少し増す効果がある(長尾 2014).そのため,株式会社池利の素麺工場では,小麦粉 1 kg あたりおよそ 50 ∼ 70 g の範囲内で食塩添加量を調整 することで最良の作業性が確保されており,製造中の気温 が高い場合や生地物性が不足する場合に食塩が多く添加さ れる.今回の ふくはるか 小麦粉による手延べ素麺の試 作においても,慣行の製造方法に従い,一回の試作(第 3 表中 F)を除き,気温や生地物性に応じて食塩の添加量を 適宜調整した(第 3 表).そのため,今回の試作結果から タンパク質含有率と手延べ素麺加工適性の関係性を厳密に 論じることは難しい.しかしながら,小麦粉タンパク質含 有率 8.0 および 8.9 % では手延べ素麺製造における作業性 が きたほなみ に劣った一方で,10.2 および 10.6 % では 同等の作業性で,年産や製造規模の影響も確認されなかっ た(第 5 表).このことから, ふくはるか のみを小麦原 料として手延べ素麺を製造する場合は,小麦粉タンパク質 含有率がおよそ 10 % 以上必要と考えられる.なお,「三 輪素麺」の主要な小麦原料である外国産小麦等のブレンド 粉 三輪ブレンド と比較すると,10 %以上のタンパク質 含有率であっても ふくはるか では作業性が劣ったが, すでに市販されている きたほなみ と同程度の作業性で あれば, ふくはるか を原料とした手延べ素麺の商業的 な製造が可能と考えられる. ふくはるか の手延べ素麺加工適性を向上させる栽培技術 今回, ふくはるか の子実タンパク質含有率(y:%)と 出穂後窒素施用量(x:kg/10 a)について,回帰式 y = 0.50 x + 8.12 が得られた(第 1 図).2 者の相関は高く,当回帰 式を用いることで目標の子実タンパク質含有率に調節する ための出穂 10 日後窒素施用量を推定することが可能と考え られる.実際に,2015 年にはセンターにおいて面積約 5 a の 2 試験圃場で ふくはるか を栽培し、出穂 10 日後に窒 素をそれぞれ 8 もしくは 10 kg/10 a 施用した.このとき, 当回帰式によって推定される子実タンパク質含有率は 12.1 % および 13.1 % であるが,収穫された子実のタンパク質 含有率の実測値は 11.8 %もしくは 13.2 %であり(第 2 表 中③および④),誤差はそれぞれ -0.3 % および 0.1 % であっ た.このことから,手延べ素麺加工においては,製粉によっ てタンパク質含有率が 2 ポイント低下すると仮定すると, 硫安を用いて出穂 10 日後に窒素 7.8 kg/10 a 以上を施用す ることにより,小麦粉タンパク質含有率 10 %以上で手延 べ素麺加工適性が優れる ふくはるか の生産が可能と考 えられる.しかし,タンパク質含有率の増加率や出穂後窒 素施用を行わない場合の子実タンパク質含有率は土壌条件 等によって異なる可能性がある. ら(2014)は, ふく はるか において生育程度に応じて適切な出穂後窒素施用 量を判断するための技術として,穂揃い期の葉色および草 丈から出穂後窒素施用行わない場合の子実タンパク質含有 率を推測する技術を報告している.今後はこの技術を利用 しつつ,条件に応じた適切な窒素施用量を検討する必要が ある. また,奈良県の栽培指針では出穂 10 日後に硫安を用い て 4 kg/10 a の窒素施用を行うこととしているが,窒素施 用量を増やすことによって遅れ穂数が増加することも明ら かとなった.今回実施した 4 年の栽培試験では遅れ穂によ る問題は生じなかったものの,遅れ穂の多発は成熟の遅れ やばらつきの原因となる.そのため,当施肥技術は生育良 好な圃場を選択して導入することが望ましいと考えられ た. ま た, 窒 素 施 用 量 を 増 や す こ と に よ っ て 慣 行 の 4 kg/10 a より成熟期は最大 2 日遅れたが,県内では数日か けて収穫作業を行う場合が多く,大きな影響はないと考え られた.外観品質への影響については,4 年のうち 1 年で 施用量の増加に伴って低下したため,今後も継続して検討 する必要がある(第 4 表). ふくはるか の生地物性と手延べ素麺の製造方法 今回の手延べ素麺試作では, ふくはるか は きたほな み や 三輪ブレンド と比べて熟成の進みが早いため,最 良な作業性を確保するために各製造工程間の熟成時間を調 整する必要があった.手延べ素麺製造における熟成では, 構造緩和と呼ばれる現象が生じている.構造緩和とは,混 捏直後の抗張力の強い生地を静置すると,時間経過に伴っ て生地の伸長抵抗が低下して伸長距離が増加する現象であ る(片桐・北畠 2014).しかし,構造緩和にはグルテンの ジスルフィド結合や非デンプン性多糖類の関与が報告され ているものの実態は不明であり(Hlynka ら 1959,片桐・ 北畠 2014), ふくはるか における熟成の進みの早さの原 因は明らかではない. また, ふくはるか の過剰混捏による生地の弱化度はタ ンパク質含有率の増加に伴って大きくなり,三輪ブレンド と比べて極めて大きい値を示した(第 3 図). 三輪ブレン ド にはグルテンの性質が強くミキシング耐性が優れ,生 地物性の強い 1CW 等の強力粉が使用されている.一方,ふ くはるか は日本麺用品種であり,中庸な性質のグルテン を持つ(谷中ら 2013).そのため,小麦粉に使用される小 麦品種のグルテンの性質の違いが ふくはるか と 三輪ブ レンド の混捏中の生地物性の差に影響したと考えられる. 以上のように, ふくはるか はタンパク質含有率が同 等であっても 三輪ブレンド や きたほなみ とは異なる 性質を持つため,手延べ素麺の製造においては製造方法の

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工夫が必要と考えられる.例えば,製麺における食塩の添 加は,生地の熟成程度や生地物性を制御する要因である(長 尾 2014).実際に,食塩添加量を小麦粉 1 kg あたり 58.4 g とした小麦粉タンパク質含有率 10.9 % の ふくはるか を 用いた試作(第 3 表中 F)では,食塩添加量を小麦粉 1 kg あたり 70 g 程度とした 10.2 および 10.6 % での試作と比べ て製造中に生地が弱化しやすく,作業性は劣った(第 5 表). そのため, ふくはるか を原料とした手延べ素麺製造に おいては食塩添加量も重要な役割を果たしており,熟成時 間とともに最適に調整する必要があると考えられる. ふくはるか を原料とした手延べ素麺の食味  ふくはるか を原料とした手延べ素麺は,市販の 三輪 素麺 および きたほなみ を原料とした手延べ素麺と比 べてコシやなめらかさ,風味に差が無かったが,粘りの強 い食感で,塩味が強いという特徴があった(第 6 表).通 常の 三輪素麺 では製造中に小麦粉 1kg あたりおよそ 50 ∼ 60 g, きたほなみ ではおよそ 70 g の食塩を添加して いるのに対して,食味試験に用いた ふくはるか では作 業性を向上させるために 71.2 g を添加した.そのため塩味 の評価には,製造中の食塩添加量が影響していると考えら れる. ふくはるか の塩味については,奈良県職員 72 名 を対象としてアンケート調査を実施したが,つゆに浸す等 の通常の調理方法において,塩味が強い,どちらでもない, もしくは弱いと回答した者はそれぞれ,22 %,50 %およ び 28 %であった.このことから, ふくはるか の塩味の 強さは通常の調理方法において問題にならない程度である と推察される.また,ゆで麺の食感はデンプンのアミロー ス含有率やグルテン量および組成の影響を受けることが知 られている(河田・藤田 2015).デンプンのアミロース含 有率については, ふくはるか および きたほなみ はや や低アミロース性であり,ゆで麺に適度な粘弾性が生じる (谷中ら 2013,吉村 2010).一方で, 三輪素麺 の小麦原 料には 1CW や DNS 等の外国産強力粉がブレンドされて いるが,それらのデンプン特性は通常アミロース性である (Ikeda ら 2014).また,グルテンの組成について,1CW, DNS, ふくはるか および きたほなみ はグルテニンサ ブユニットの遺伝的な構成が互いに異なる(Ito ら 2011, 谷中ら 2013,Ikeda ら 2014).このように, ふくはるか はデンプン特性やグルテンの性質が他の 2 者と異なってお り,これらの品種特性が手延べ素麺の粘りの強い食感の要 因となっていると考えられる. 「三輪素麺」は強力粉や準強力粉を使用することで生じ る食感等により他府県産の素麺との差別化を図っているが (農林水産省地理的表示保護制度登録番号第 12 号), ふく はるか を原料とした手延べ素麺の粘りのある食感は独特 であり,今後,県産小麦を使用した新しい手延べ素麺とし て奈良県の特産品となることが期待される.

謝辞

本研究において,小麦粉の品質分析を実施するにあたり 西日本農業研究センター麦類育種グループ高田兼則氏にご 協力頂いた.また,手延べの素麺試作にあたり,小麦の製 粉は江別製粉株式会社,試作は株式会社池利素麺工場にご 協力頂いた.ここに深く感謝の意を表する.

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Effect of Nitrogen Top-dressing with Ammonium Sulfate 10 days after Anthesis

on Tenobe-somen Noodle Quality of Wheat Cultivar ‘Fukuharuka

Seiko Morishita1), Akihiro Tsuji2), Takatsugu Sugiyama1), Toshihide Ikeda3)

1)Nara Prefecture Agricultural Research And Development Center (Ikenouchi 130-1, sakurai-shi, Nara, Japan)

2) Hokubu Agricultural and Foresty Deveropment Center of Nara Prefecture (Manganji-cho 60-1, yamatokoriyama-shi, Nara, Japan)

3)IKERI CO., LTD. (Chiwara 419, sakurai-shi, Nara, Japan)

Summary:Tenobe (hand-stretched)-somen noodles are a traditional Japanese food made mainly of wheat fl our. Tenobe-somen noodles produced in Nara prefecture are well-known as Miwa-Tenobe-somen . To make Tenobe-Tenobe-somen noodles, a suitable dough strength is required in order to stretch the dough into very thin noodles. The wheat cultivar Fukuharuka is also produced in Nara prefecture, but the Tenobe-somen noodle quality from Fukuharuka is lower than usual because the dough strength is inferior. In this report, over 10% protein in the wheat fl our was suggested to be required to make Tenobe-somen noodles with no diffi culties if using only Fukuharuka . Moreover, a strong positive correlation was found between the protein concentration in Fukuharuka seeds and amount of nitrogen top-dressing with ammonium sulfate 10 days after anthesis. A strong positive correlation was also found between the protein concentration in Fukuharuka flour and dough strength measured by SDS sedimentation test. Therefore, improvement of dough strength and Tenobe-somen noodle quality may be possible by increasing the amount of nitrogen top-dressing 10 days after anthesis. The springy food texture is a distinctive characteristic of Tenobe-somen noodles made of Fukuharuka .

Key Words:Wheat, Tenobe-somen noodle, Dough strength, Protein concentration

Journal of Crop Research 63: 1-8 (2018) Correspondence: Seiko Morishita (morishita-seiko@offi ce.pref.nara.lg.jp)

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