倒立提示によるさまざまな向きに変化した頭部の視覚的特徴情報の分析(<特集>高次視覚における認知と理解)

The　JaPanese　feurnalけPsy腕槻 〔朋 記SCIIence

2007

．

Vul

．

26

，

　No

，

　L　45

−

54

圜

倒

立 提 示

に

よ る さ ま

ざ

ま な

向

き

に

変

化

し た

頭 部

の

_{視 覚 的特 徴 情報}

の

_{分 析}

仲

渡

江

美

・

永

田

陽

子

駒 澤大学

The

　

_analysis

　

of

　

visual

　

information

　of 　

the

　

human

　

head

　

across

　　　　

changing

　

viewpoints

　

in

　

the

　

inverted

　

presentation

Emi

　

NAKATo

　and 　

Yoko

　

NAGATA

Kom

αgawa σ痂昭 γs_尠＊

　　

By　using 　spatial 　

frequency

_（SF_）analysis 　we 　investigated　the　visual　information　of　human

heads　in　different　v 正ews 　in　the　

inverted

　presentation

．

　The　stimuli 　werc 　inverted　

images

　of　the

heads　of　three　familiar　_people

，

　viewed 　

frQrn

　the　

frontal

、

・

iew

　

to

　

the

　back　of　the　head

，

　which 　were

created 　

by

　

four

　

band−

_pass　

nlters

_〔

8，16

_，

32，

　and 　

64

　c_／

fw

_）

．

　

The

　results 　of　Experiment 　l　indicated　that

mean 　reaction 　times _（

RT

_）

for

　

both

　the　three

−

_quarter　and 　_pronle　views 　werc 　linearly　slower 　as　the

heads

　were 　changed 　from　upright 　to　irlverted　orientatiQns

．

　Howevcr

，

　there　was 　no 　significant

difference　

in

　

RT

　

for

　the　upright 　and 正nverted 　presentation　on　

frontal

　view 　and 　

the

　back　of　the

head

．

　The　results 　of　

Experiment

　

2

　showed 　

that

　

RT

　

decreased

　

for

　the　

inverted

　

frontal

　and 　pronle

vicws 　wherl 　the　images　had　high　SF

．

　RT　

for

　the　

back

　of　the　head　was 　decreased　in　the　middle 　range

of　

SF ．

　These　results 　suggest 　that　different　view

−

speci ∫

ic

　

information

　may 　exist 　in　each 　vicw

，

　even

in

　the　

inverted

　_presentation

，

　Irl　addition

，

　thcre　was 　also 　

different

　process［ng 　for　the　upright 　and

inverted

　orientations 　not 　only 　

for

　the　frontal　view 　but　aLso 　the　

profile

　view 　and 　the　

back

　of　the

head

．

Key 　words ：

face

　

inversion

，

　

different

　views

，

　spatial 　frequency　analysis

　日常 生 活に おい て

，

我々が素 甲く人 物 を 同 定 するた め に は

， ．

一

定の 向 きだ けで なく

，

さ ま ざ ま な向き から人 物 を同 定す る 必要が あ る

．

顔 を三次 元 構 造をもっ _{物 体}と し て とら え ると

，

頭部の 向きの 変 化に伴い

，

各 向き か ら得 られ る視覚 情 報が異な る

．

例え ば

，

前 か ら 後 ろに振り向 く な ど 頭部が奥 行 き 方 向に回 転 する と

，

目

，

鼻

，

口 と い っ た正面 顔に特 有な特 微が 見 えに く くな る

．一

方 で

，

横顔で は正 面 顔で は知 覚されに くい_鼻の_高さ な どの情 報 が得ら れ る よ うにな る

．

　正 面 顔か ら後 頭 部まで の さ ま ざ ま な向 きか ら既 知 人 物 を 同 定 する際の 視 覚 情 報につ い て， 顔に含ま れ る特 徴 情 報 を 分 析 する た め の手 法で ある空 間 周 波数に よ る画 像 処 理 （

Harmon ， 1973

）を用い て検 討 し た



（仲 渡

・

永円

，

＊

Department

_ofPsychology

，

Komazawa 

Univer−

　sity

，

　 Komazawa

，

　

Setagaya−

ku

，

　 Tokyo 154

−

　8525

2002

）

．

正立で の さ ま ざ まな頭 部の 向きに

，

バ _{ン ド}パ _ス

フ ィル タ

ー

を施し た結 果

，

頭部の向き が変 化し た既 知 人

物の場 合

，

各 向きの認 識に有 効な周 波 数域の情報が 異 な ること が示さ れ た

，

具 体 的には

，IE

面 顔で は， 低 域およ

び高 域フ ィ ル タ

ー

（

Costen，

　

Parker，

＆

Craw ，

1996；Par

−

ker，

　

Lishma ，

_＆ Hughes

，

1996 _〕やバ ン ドパ ス フ ィ ル タ

ー

を用い た研 究 （永山

・

吉田

・

利

，

島

，

1995）と同じ く

，16

c_／tw _（cycles 　_per　face　width ）か ら

32

　c_／fw まで の 中 間

域で最 も反 応 時 間が早かっ た

，

っ ま り

，

正面顔で は

，

中 間 域で最 も よ く伝 達さ れ る日

，

鼻

，

口 の顔の内部特徴と それ らの_{空 間 的}な_{関 係 情 報}を_手が か りと し て い る こ とが 示 された

．

　

・

方で

，

横顔にっ い て はい ずれの周 波 数 域で も

1

司定 する時 問が

一

定で あり

，

他の _向き と 異 な り

，

低域 で も高 域で の認 識と同 程 度の時 間で人 物の

1

司定が可能で あっ た

．

こ の こと か ら

，

横顔で の認識の手がか り と して 低 域に含ま れ る輪 郭な どの大 まか な外 部 特 徴が挙げ ら れ た

．

ま た後 頭部で は

32c

／

fw

か ら

64

　c_／

fw

まで の 高 域

46 基 礎 心理学研究　第

26

巻　第

1

号 で反 応時間が 早 か っ たこ と か ら

，

そ れ らの周 波 数 域に 含 ま れ る局 所 的で細か い髪 質な どの頭 部の 内 部 特 徴 を 認 識 する際の手が か りとする こ と が 示 さ れた

．

これ らの 結 果 か ら

，

正 立で は， 正面顔， 横顔， 後 頭部そ れ ぞ れの 向き において

，

各 向きに特 有な特 徴 情 報を手が か りと し て認 識して い る こ と

，

さ ら に各 頭部の

IF

・

1

きに_{独 自}の処理 過程 が存在す るこ と が示峻 さ れ た

．

　空閻 周 波 数 分 析を 用い た研究 （仲 渡

・

永出

，

2002 ） か ら

，

正 面 顔で は中間域に含ま れ る目， 鼻， 口の空間

11

勺な 関係情 報の重要性が示唆さ れて い る

．

こ の空 間 的な関 係 情 報に基づ _く処琿 は

，

物 体よ りも顔 認 識に特 有な処理過 程で あるこ とが 倒 立 研 究におい て報 告さ れて い る

，

顔を 垂 直か ら水平方向に 180

°

回転 さ せ た倒立提 示で は

，

物 体の認織と 比べ_顔の認 識が著しく低 下 する

．

こ の現 象 を 顔の倒立効 果と言い

，

多くの 止 面 顔を 用 いた研 究で確 認

されて い る（Yin

，1969

；

Carey

　＆　Diamond

，

1977；

Young ，

　

Hellawc

］

1．

＆

Hay ，1987

；

Leder

＆Bruce

，

2000 ）

．

これ らの研究 か ら

，

止 立の顔で は顔の 内 部 特 徴問の_{空 間} 的な関 係 構 造 を 把 握 する全体 的処理 が な さ れて い る が

，

倒 立の 顔で は全体的処 琿 が阻 害さ れ

，

部 分 的な処理に頼 ら ざるを え な くな る た めに倒 立 効 果が生 じ る と 示唆さ れ て いる （

Va

ユcntine

_，1988

；遠 藤

，1995

）

．

　従来の倒 立研究で は

，

正面 顔の みを用い て検 討さ れ て い る た め

，

倒 立に よっ て妨 害 される全 体 的 処 理 を

，

主に 目

，

鼻

，

Ilの 顔の内 部 特徴の 空間 的 な 関 係 処 理 と して 言 及し て い た

．一

_方で ， 正 面顔を含む さ ま ざ ま な頭 部の 向 き を正 立と倒立で比較し た結 果

，

横 顔と斜め顔において 著 しい _倒立効 果が認めら れ た の に_対して_{， 後 頭部}で は倒 立 効 果が認め られ な か っ た （永田

・

f

中渡

，2004

）

．

横 顔 や斜め顔は正面顔に比べ

，

_目

，

_鼻

，

口 の内 部 特 徴が少な く

，

さ らに横 顔と斜め顔の認 識にお け る；次兀的な情 報

の重 要性が示 唆 さ れて い る （

Bruce，

　

Valentine，

＆ Bad

−

deley

．

1987；仲 渡 ・_永

H ，2002

_）

，

こ の こと か ら

，

これ ら

の頭 部の向きで は倒立によ っ て顔の二次 元 構 造の構 築が

妨 害された 口∫能 性が ある と考え ら れ る

．

し た がっ て

，

倒 立 効 果の牛じ る要因と して

，

正面 顔におい て は 目

，

鼻

，

口 とい

一

・

た内 部 特 徴の 全 体 的 処 理の _{阻 害 （}Yin

，1969

_；

Carey ＆ Diamond

_，

1977_；Young

_，

　et　al

．

，

1987 _）

，

_{横 顔}や斜

め_顔で は顔の もっ 三次元的情 報の妨 害が惟 測さ れる

．一

方で

，

倒）！t二効果 が 生 じ な かっ た後 頭 部は

，

目

，

鼻

，

口 の 内 部 特 徴 が 全 く含ま れ ない こ と か ら， 目， 鼻

，

口とい っ た顔の 内 部 特 微が少 しで も含ま れる向きに おい て の み倒 立 効果が 生 じる ・_{」能 性}が_考えられる

．

　各 頭 部の向 きにおい て

，

倒 立 効果の生じ る要 因が各々 異な るこ と が 示 唆 さ れ

，

倒立にお ける各 向きに特 育な特 徴 情 報の存 在が推 測さ れ るが

，

倒 立での 各向きの 特_{徴 情} 報に つ いて は明 確に さ れて い ない

．

し た が

っ

て

，

倒立に おい て

，

い か なる特徴 情 報を手が か りとし て そ れ ぞ れの 頭 部の向 きを認 識 する のかにつ いて検 討 する必要が あ る と考え ら れ る

，

す な わ ち

，

倒 立での認 識に手が か り と な る特 徴 情 報は各々 の _{向 き}で異な るの だ ろうか

，

あるい は 既 知 人 物におい ては

，

倒 立 像に よる 影響を受け ないで

，

正 立 と

1

司様の_{特 徴 情 報}を手が かりと して認 識し て い る の だろ う か

．

　本 研 究で は

，

既 知 人 物同定にお け る 初 期の視 覚情 報の 抽 出に焦点を あて

，

さ ま ざ ま な頭 部の向 きの処 理 過 程に 関 して

，

正面 顔か ら後 頭 部ま で の頭 部の 向き を 倒 立 に提 示 して

，

倒 立で の_{各 向}きの認識に 耄要と な る特 徴 情 報の 分 析にっ _{い て}検 討_{す る}こ と を日 的と する

．

まず 実 験 1に おい て

，

正 立で の各 頭 部の 向きに特 有な特 徴 情 報 （仲 渡

・

永田

，

2002 ）が

，

倒立 像に おい て のみで は な く

，

正 、

7

：か ら倒 立に方 向が連 続的に_変化する につ _れて妨 害さ れ るのか にっ いて検 討 する

．

さ らに実 験2 におい て

，

いず れの向きで も倒 立で は

，

正 立 とは異な る特 徴 情 報に基づ い て認識さ れて い るのか

，

ま たIE立 と同 様に

，

倒、ン

．

で も 各 向き独 自の処理過 程が存 存 する のかにっ い て

，

バ ン ド パ ス フ ィ ル タ

ー

を 用いて 検 討す る

．

実

験

　 1

　倒立研 究か ら

，

倒 立で は正立 と比べ ， 目， 鼻

，

口の 空 間 的 な関 係 情 報が妨 害さ れ る た め

，

正面 顔で は倒 立 効 果

が生 じ るこ と が示さ れてい る （Yin

，

1969；Carey ＆ Dia

−

mond

_，

1977）

，

これ まで の倒 立 研 究で は

，

正 立と倒 立との 2方 向で の比 較で あっ たが

，

正 、

k

_{か ら}倒立_までの_{方 向}を 水 平に五っ の角 度で提示 し た結 果

，

回 転 角 度の増 加に伴 い _反応時 間が線 形に長 くなる こ と が蝦 告さ れ てい る （Valentine ＆ Bruce

，

1988）

，

つ _{ま り}

，

_{正 而 顔}にお ける空 問的な_{関 係情 報}は， 倒立の状態においてのみ妨 害される の で は な く

，

止 立 か ら倒 立まで の回 転に伴い徐々 に妨 害 され

，

倒立で の認 識が_困難に なると_考え ら れてい る

．

　横 顔や後 頭 部はrE面顔と は異な る特 徴 情 報に基づいて 正 立で は認識さ れて い るが

，

rF

．

面 顔と同様に

，

正立か ら 倒 立まで 回 転 角 度が変 化す る と 反 応時 間が 連続 的に長 く な るの だ ろ う か

．

あるい は

，

正 立 か ら倒 立まで 回転 角 度 の変 化に も 影響さ れ ず

，

反応時 間の増 加が認め ら れな い の だ ろ うか

，

　

本 実 験で は

，

正 立での _{各 頭 部}の _向きに特 有な特徴情 報 が

，

正面 顔以外の _向きで も

，

倒 立 提 示に伴’ て妨害さ れ る のかにっ い て検 討 する

．

その _際に

，

従 来の正 立 と倒 立 とい っ た 二分 的な側 而か らで はなく

，

止 立か ら倒、ヒ_まで

仲 渡

・

永出：倒 立 提 示に よ る さ ま ざ ま な 向 きに 変 化し た頭 部の視 覚 的 特 徴 情 報の分 析 47 時計「司 りの回 転 を 用い て （Valentine ＆

Bruce，1988

）調 べ る

．

　 方 法 　実 験 参 加 者　心 理 学 専攻の学 部生お よび 大 学 院 生 計 12 名

．

全 実 験 参

JJ

冂者と も

，

視 力は O

．

8以 上で ［

1

三常 範 囲で あっ た

．

実 験 参 加 者は

，

刺 激と なっ た

3

名の男 性 教 員そ れ ぞ れの講 義を 1年以 上履 修 し たこ とが ある者と し た

．

　

刺激

　

総 計

75

枚の画像 刺 激

．

実 験 参加者に と 「 て既 知の 3名の男 性教 員 （

49

歳

，

49 歳

，

50歳 ）の正面 顔か ら後 頭部まで の頭 部の 向き を

，

45° ずっ 五っ の角 度 （0° ［正 面 顔 ］

，45

°

，

90

° ［横 顔 ］

，

135

°

，

180

°

［後 頭部］）か ら 撮影 し た モ ノ クロ _{写 真を}

，

画 像 処理 ソ フ ト ウ ェ ア （

Adobc

　

Photoshop

　

6、

O

　

J

）によ

っ

て被写体の 頭部の み を 切り取っ た

．

それ らの 頭 部の 画像を

，

正 立方 向か ら

45

° ずっ 畢 直に時 計 回 りに変 化さ せ た 五つ の回 転 角 度か ら な る画 像 （

0

° ［征 立 ］

，

45

°

，

90e

，

135e

，

180Q

［倒 立 ］） を作 成 し た

．

背 景 は すべ て 自に 統

一

し た

．

刺激 提 示 装 置 （

Cambridge

　Research 　

Systems，

　VSG2 ／3）に よ

一

〕

て

CRT

（

SONY

　GDM

−

17SE2T5 _）［1に ラン ダム に提 示 し た

．

画 面と実験 参加 者と の 距 離は約 91cm で あ り

，

刺 激の 大 きさ は画 而上で

500

×400 ピ ク セ ル

，

_{視 角}

11

°×

9

°

で あ っ た

．

　

手 続き

　

実 験 参 加 者に は

，

提 示さ れ た刺激の 人 物が 3 名の教 員の う ち誰で あ るか を

，

で き る だ け早 く正 確に判 断す る よ うに教 示し た

．

人物を判 断する際に は

，

各 刺激 人物に割り当て られ たス イ ッ チ ボ ッ クス （

Cambridge

Research　Systerns

，

　

CT −3

_）の反 応キ

ー

を

，

左右の 手で押 して答 え るよ う教 示 し た

．

各 刺激 人物に割り当てた反 応 キ

ー

の _{位 置}は

，

実 験 参 加 者ご とに変 化さ せカ ウ ン タ

ー

バ ラ ン ス を 取っ た

．

刺 激は

，

実験 参 加 者が ボ タ ン を

Pli

して 反 応す る まで提 示し た が

，

令 く反応が ない場 合は刺 激 提 示か ら8000ms 経過 後に

，

刺 激を

ll

「

1

去し 次の 試 行 に 移

一

丿た

．

総 試 行 数は

300

試 行

q

冂

1

転 角 度 ［5］×頭 部の 向 き［

5

］x _{人 物 ［}3］×セ ッ シ ョ ン _［4_］）で あっ た

．

　 結 果 　 　 　

’

　 全 実 験 参 加 者の r匡答し た反 応 時 閥につ い て

，2

要因の 分散 分 析 〔回 転 角 度 ［5］×頭部の 向き［5ユ）を行

っ

た結 果

，

回 卓云角 度 （

F

（

4，

44）

＝

7

．

035

，

1

）＜

．

OOI

）， 頭 音区の 向 き （F（4

，

44_）

＝

13

．

664

_，

　

p

く

．

OOI）の

t ，

効 果が 認め ら れ た （Figure

l

）

．

厠 転 角 度で は11泣 か ら倒立に な る にっ _れ

，

_{ま た 頭 部} の _向きで は正 面 顔か ら後 頭 部にな る にっ _れ人 物 を 判 断 す る時 間が長 くなっ た

．

　

各 頭 部の向き ご とに

，

rl泣 か ら倒 立になるまで の _回転 角度の 影 響 にっ い て 回 帰 分 析を し た結 果

，

45

°

と90D に おい て のみ， 倒 立に な るにっ れ 同 定 時 間が長 く なっ た （45

°

：　

F

（

1，58

）

＝8．

94，

　

p

＜

．

01；　90

°

：　F_〔1

，

58）

二10．

498 ，

P

く

．

01_）

．

　また

，

誤 答 率にっ い て

，

_反応時 間と同 じ く2要 因の分 散分析を行っ た結 果 （回 転 角 度 ［5 ］×頭 部の向き ［5］），頭 部の 向き （F〔4

，

44）

＝

4

．

579

，

p

＜

．

01

_）の 主 効 果

，

回 転 角度 ×頭部の向きの交互作 用 〔

F

（

16，176

）＝ 1

．

738，p

〈

．

05）が 認め ら れ た

．

頭部の 向きで は

，

横 顔で の誤答 率が最 も高 か

っ

た

．

回 転角度×頭 部の向 きの交互作 用が有意で あっ たこと か ら

，

単 純主効 果検 定を行 っ た

．

そ の結 果

，

回 転 角度の

135

°と

180

°

におい て

，

横 顔で の誤答率 が 有 意に 高い こ と が示さ れ た _（135° ：F _〔4

，

44_）

；

3

．

185

，

p

＜

．

05； 180° ：

F

（4

，

44）

＝

5

，

665

，

1）く

．

001

）

．

　 考 察 　本 実 験で は

，

正面 顔か ら後頭部ま での各 向 きで は

，

正 立に お け る各 頭 部の 向きに特 有な特徴 情 報 （仲 渡

。

永 出

，

2002 ）が倒、ノ：で の み妨 害される のかにっ い て

，

正 、？／ か ら倒 L

’

Lまで時計回 り に五つ の回 転 角 度で提 示 して検 討 し た

．

そ の結 果

，

斜め 顔 と 横 顔の み

，

正 立か ら倒立 まで の回転量が増 加 するにつ れ_{人 物}の _同定 時 間が長 くなっ た

，

　正 而 顔で は

，iF

立か ら倒 立まで提 示 方 向が 変 化 して も

，

線 形な同 定 時 間の増 加が 認め ら れ な か っ た

．

つ まり

，

本 研究 と 同 じ く正 立か ら倒立 までの 五っ の 同 転 景で 角 度 を変 化さ せ た

Valentine

＆ Bruce （1988）の _{結 果}と は

一

致 し なか っ た

．

　

倒 立効 果が生 じ る要 因の

・

っ _{と し}て

，

正 面顔に対 する 親 近 性の要 因 （

Valentine，1988

；永 田

・

仲 渡

，2004

）が 挙げ ら れて い る

．

今 回の実 験で用いた 刺 激 は実 験 参 加 者 に と

っ

て

，

週に

1

度は必 ず 顔を見る既 知 性の_高い人 物で あっ た こと か ら

，

正面顔におい て 倒 立 効 果が生 じ な か

っ

たの は， 刺 激に対 する熟 知 性が影 響して い る と考え ら れ る

．

　 さ ら に

，

倒立効 果が 実 験 参 加 耆へ の課題に依 存する こ

と も示 唆さ れ て いる （Bart！ett ＆

Searcy，1993

）

，

彼 ら

は

，

笑顔 と サ ッ チ ャ

ー

顔

，

笑 顔と変 形顔を そ れ ぞ れ対 提 示し異 同 判 断を行

っ

た

．

その結 果

，

異 同 判断に要 す る 反 応 時 間で はIi泣 と倒立で差が 認 め ら れず

，

倒立効 果が 生 じ な か っ た

．

こ の結 果か ら

，

正 立 において部 分 的な情報 に基づ く処理 を促進す る課 題の場 合に は

_，

_倒立_{効 果}が生 じ に くい と示唆 して い る

．

既 知 人 物の認 識に は

，

正面顔

で の内部 特 徴 （E！lis

．

　Shepherd

，

_＆Davies

，

1979_）

，

特に目

に 注 目して _顔を 照 合 するこ と 〔Clutterbuck ＆

John−

ston

_，

2002 _）が報 告さ れて い る

，

本 実 験におい て倒 立 効 果が生じ な かっ た の は

，

既 知 人 物の同 定で は

，

各 個 人 特

48

基 礎 心 理 学 研 究　第

26

巻　第

1

弓 30 　 　 　 　 　 　 20

（

撰

）

山 ト 矗 匡 O 匡 ＝ 邯 10 0 30

〔

巴

凵

ト く 匡 20 症 O 匡 匡 凵 Io O　　　　“ 　　　　90　　　135　　　180 ANGLE　OF　ROTAnON （

日

　） 　 　 （d）135

°

■ ERROR

　

RATE

−

Q

−

RT 刀 m ＞ O 目 OZ ヨ ＝ m

（

∋

り

　 　 　 　 　 　   1000 30 　 　 　 　 　 　 20

（

_鵠

V

山 ト 歪 匡 O ＝ に 凵 10 0 30 　 　 　 　 20 　 　 　 　 10 　

（

訳

）

山 ト く 匡

匡

O 匡 匡 田 　 　 刀 閏 ♪ O 自 OZ →

［

＝ m

（

ヨ 巴 　 　 　 　 　 　 　 　 oo 　 　 　 　 　 　 　 　 15 0　　　　45　　　　90　　　135　　　180 ANGLE　OFROTAHON 　e　） 30 　 　 　 　 20 　

【

累

〕

凵

ト く 匡

匡

O 匡 匡 山 10 刀 m 》 Ω ヨ OZ コ ＝ m

〔

ヨ ω

）

　 　 　 　 　 　 oo 　 　 　 　 　 　 聞 1000 刀 卩 ♪ Ω →

一

〇 Z 一

［

＝ m

（

∋ 97

）

　 　 　 　 　 　 oo 　 　 　 　 　 　 15 o 　 　 　 （c）90

°

− ERROR

　

RATE _＊

−

C

−

R1「_{＊ ＊} 0　　　　45　　　　90　　　135　　　180 ANGLE　OFROTA 下10N（

°

） 刀 m 》 O 咽 δ Z コ ζ m

（

ヨ 巴 　 　 　 　 　 　 oo 　 　 　 　 　 　 15 1000 　 0 　　 　　 　　 　　 　　 　　 　　 　　 　 1000 　 　　 　　 0 　 　　 　　 　　 　　 　　 　　 　　 　　 1000 　 　 0　　　　45　　　90　　　135　　　180　　　　　　　 D 　　　 45 　　　 90　　　135　　　180 　 　 　 ANGLE　OF　ROTAT 【ON （

°

）　　　　　　 ANGLE　OFROTAIION （

n

）

Figure　1

．

　 Results　of　

Experiment

　1

．

　Those 　

figures

　sh〔〕w 　that　the　rnean 　reaction 　tirne　and 　the　crror　rate

　

in　each 　

head

　angle ：_（a_＞OD；frontal　face

，

（b）45°

，

（c）

90°

；

prQfi

！e 　view _{， （}

d

_）

13S

°

_，

and （e）

180°

；the　back　Qf

　

head，

　

The

　

vertical 　lines　indicate　the　mean 　reaction



time _（right ）and 　the　error　rate _（left_）

．



The

　

horizontal

　line　indicates　angle 　of　rotation （

0°

；upright 　to　l80°：inverted）

、

　

Error

　bars　represent 　SE　of　_thc

　mcan 　reaction 　time

．

　and 　the　error　rate

．

＊ ＊；

p

く

．

Ol，

＊：

p

＜

．

05．

る可 能 性が考え ら れ る

．

　

一

方で， 斜め顔や横 顔で は画 像 提 示の回転量の増加に 伴い

，

_{同 定 時 間}が増 加 した

．

さ らに

，

横 顔で は

，

135

°

と 180

°

（倒立）に お い て_最も 誤答 率が高か

っ

た

．

斜め顔や 横 顔は正 面 顔に比べ

，

_目

，

_鼻

，

_{口 の内 部 特 徴が得ら れに} くい こと

，

さ らに横 顔と斜め顔では1 ；次 元情 報が 認識 に重要に な

っ

て くること が 示 唆 さ れて い る　〔Bruce

，

　et al

．

1987；仲 渡

・

永田

，

2002 ）

．

したが っ て

，

正 面 顔と 異 な り

，

これ らの頭部の _向きで正 立か ら倒 立まで_{判 断 時 間} が増加し たのは

，

倒 立に よっ て顔の

4

次元構造の 構 築が 妨 害さ れ た可能性が あ る と考え ら れる

．

　後 頭部にっ いて は

，

正面 顔と同 様に正 立か ら倒 立まで の いず れの _{回 転 角 度}にお い て も人 物の _{同 定 時 間}が

一

定 で

，

正 立 と倒 立の み で 比較し た結 果 （永 円

・

仲 渡

，

2004 ）と同じ く， 後 頭 部で は倒 立 提 示に伴う同定時間 の増 加が_認め ら れ な かっ た

，

後 頭 部で倒 立に よっ て認 識 が低 トし な か っ た要因として， 日

，

鼻

，

口 とい っ た顔の 内 部 特 徴 が 全く合ま れ ない こと （永田

・

仲 渡

，

2004 ）

，

ま た 正 立の _{後 頭 部}で は髪質な どの _{頭 部}に含ま れる より細 かい特 徴 情 報に基づ くこ と （仲 渡

・

永田

，

2002 ）が考え られる

．

倒 立で は

，

部 分 的な処理 が行わ れ ること か ら

，

後 頭部で は 正 立で の手が か り と な る_部分の_{特 徴 情 報}が

，

倒立の_{後 頭 部}におい て も認 識の_手が か り と な る た め

，

倒 立で も水 平 方 向へ の変化の _影響を受 けな い と示 唆さ れ る

．

　

実験

1

の結 果か ら

，

正 面 顔や後 頭 部で は倒立効果が認 め られ な かっ た

．

こ の結果 は

，

従来の_倒立顔の研 究で_示 されて い る正 立 顔と倒立顔での _処理 の相 違 （

Valentine，

1988

；遠 藤

，1995

） と は異なり

，

倒 立において も正 立と

1

司様な処理過 程に基づ く可能性が考え ら れる

．

すなわ ち

，

正 立と倒 立での認識に手が か りと なる特 徴 情 報 が同 じであると考え ら れる

．

したがっ て

，

倒 立で の 各向きの 認 識における特 徴 情 報に関して， 正 、

Z

と

1

司じ空 聞 周 波 数 による画 像 処 理 （仲 渡

・

永田

，

2002 ）を 用い て実 験 2で 検 剖 する

，

実 験 　

2

　

実験 1に おいて

，

横 顔で は

，

F

．

立 から倒立に回転方 向 が増加するにっ れ同 定 時 問 も長く な っ た が

，

止面 顔と後 頭 部で は いずれ の_{方 向}で も同 定 時 間に差が見ら れ な か っ た

．

っ ま り

，

正_{面 顔}や後 頭 部は倒 立で の向きの_{影 響}を受 け な か

っ

た

．

した が っ て

，

正 面 顔 と後 頭 部で は正立と倒 立で の 処 理 過 程の _相違が 認 め ら ない可 能 件が考え ら れ る

．

仲渡

・

永

UJ

：倒 立 提 示に よ る さ まざま な向きに変 化した頭 部の _{視 覚 的 特 徴 情 報}の_{分 忻} 49 　 正 ンニの 場 合

，

止 面 顔から後 頭 部まで の頭 部の _向 きで は

，

認 識に有 効と な る周 波数域が 異 な り

，

各 向きに特 有 な特 微 情 報を手が か り と して認識 して い る （仲渡

・

永 出

，2002

）が

，

倒 立の場 合でも

，

各 向 きの認 識に角

．

効な 特 徴 情 報が存 在す るの だ ろ う か

．

倒 立で は 顔に含 ま れる 局 所 的 な情 報に幕つ い て

，

部 分 的に処理 さ れ るこ と か ら 〔

Carey

＆Diamond

，

1977；Young

，

　et　a ］

．

，

1987）

，

倒立顔

の認識に有 効な視覚情 報が正 立 顔と は異な る可 能 性が考 え ら れる

．

　本 実 験で は

，

倒 立で の認 識は向き ご とに特 有な特 徴情 報に よ るのか

，

ま た正 立と倒 立で は

，

各

1

司きの _{認 識}に有 効な周波数 域が異な るの かにつ い て検 討 する

，

　 方 法 　 実験参 加 者 　 実 験 1に参 加 して い ない学 部生 お よ び 大 学 院生計 12名

。

全実 験参加 者は

，

実 験 1と同じ条 件 を満た した学 生

．

で あ

っ

た

．

　刺 激　総 計60 枚o）刺 激 画 像

．

実 験 1で用いた

0

° （正 而 顔 ）か ら

180D

（後 頭 部 ）まで の_倒立方 向の頭部の 自黒 両 像 15枚に

，

四っ の 通 過 中 心 周 波数 （

8，

］

6，32，64

c／fw）を もっ 帯 域 幅 1

，

5オ ク タ

ー

ブの 二 次元フ

ー

リエ フ ィ ル タ

ー

を 通 過 さ せ刺激 画 像を作 成し た （

Figure

　

2

_）

．

刺 激の平 均 輝 度は 6

．

39　cd ／m2 で あ

っ

た

．

刺激 提示装胃

，

刺激の大き さ および観 察 距 離は実 験 1 と同 様で あ

っ

た

．

　手 続き　 実1_{験参加者の課 題は実 験}

₁

_{と同 じ く}

_，

_{提 示 さ} れ た 人物の _同定で あっ た

．

刺激は ラ ン ダム に提 示 し た

．

試 行 数は

，

計 120 試 行であっ た （4 ［周 波 数 ：×5 ［頭 部の 向 き ］）×

3

［人 物

1

×

2

［セ ッ シ ョ ンコ）

，

　 結 果 　ま ず

，

実 験 参 加 者 全 員の正答 し た反応時 間にっ い て

，

2

要因の_{分散 分析 （周波 数［}4_］×頭部の_{向き ［}5_］）を行っ た

．

その _{結 果}

，

_周波数 （

F

（

3，

33

）

＝5，

714，p

＜

．

01

_）の主 効 果が 認 められ た

．

周波 数で は最も 低 域で あ る

8c

／

fw

で 反 応 時 間が長 く

，

8c_／fw と 16c_／fw

，

　8　cffw と 32　c／

fw

の間で で」

．

意な差が認め ら れた 〔各々

p

く

．

05）

．

　次に， 倒立で は 空間 的な情 報が妨 害さ れ部 分 的 情 報に

基づ くこと か ら（

Carey

＆

Diamond ，1977

；

Young ，

　et

al

．

，

1987_）

，

局 所 的な情 報を含む高 域で の反応時 間が早 く な るの か を検討す る た め に

，

最 も低 周 波 域 を 含 む

8c

／ fw と 16　c／fw

，

　32　cffw

，

　64　c／

fw

と を そ れ ぞ れ比 較 し た 〔Figurc　3_）

．

そ の結 果

，

45

°

と 135

°

以外の向きで は

，

8c／

fw

と

16c

／

fw，32

　c／

fw ，

64

　c／fw の比 較におい て有 意 差 が認め ら れ た （OD：8c _／fw と32　c_／

fw

_（t_（ll_）＝

3．

521 ，

p

＜

．

Ol

_）

_，

8c

_／

fw

と

64c

／fw〔t〔ll）

＝3．

286

，

p

＜

．

01_）；90

°

：8 c／

fw

と

64

　c／

fw

（t（

11

）＝ 2

．

742 ，

　

p

〈

．

05_）；180°：8c _／fw と

32c

／fw 〔t（11）

；

2

．

378

，

　

p

＜

．

05））

．

　 さ らに

，

これ らの 三 っ の 向 きで

，

「

F

、γ：と倒、ン：にお ける 頭 部の _向きごとの_周波 数⊥或の 比較を行う ため に

，

仲 渡

・

永 田 （2002 ）の rR立にお け る頭 部の向き ご との周 波数⊥_或

歯

x　　 雲

　　　　　　　

（a_）unfiltered



（

b

）

8c

！

fw



（c_）

16c

／

fwr　　　

_（

d

_）

32c

／

fw 　　　

_（e_）

64c

！

fw

Figure　2

．

　 Images　of　the　stimuli 　used 　

in

　

ExperiInent

　2

、

　 From 　the　top　of　lows

，

　those　show 　the　

frontal

　face

，

　_profile　view 　and 　thc　back　of　the　head　

images．

　 These　irnages　show _（a_）unfiltered

，

（b）8

，

（c_）16

，

（d） 　

32，

and （c_）64　c_／fw _｛cycles 　per　face　width ）fr（，m 　left　to　right

．

50

基 礎心 理学 研究　第

26

巻　第 1 弓 　 　 　

〔

₉

毒 凵 蕘 ト ZO 澤 0 く

凵

匡 15eo 500 ＊＊ ＊＊＊＼ ＊＊ ＊ （a）0

°

十 upright 　　　十 inve詫ed

凵

＝ F

_〔

置

）

ZO 犀 O く

凵

15QO SPATIALFREQUENCYCcyc 「eStticrvtidth ｝ 500 〔

b

）

45e

隔

， ‘

・

₋

1

₋

LL

_）

　

_．

　 　 　 十 upright 　　　十 inverfed 8　 　i6　 　 　 　 　32　 　 　 64

SPATいLFREOUENGYCaycles／fece

−−

ldth）

国

＝ 口

_（

・

，

ε ZOFO く 順 【 1500 500 d 　 　 　

（

瞿

）

国 ＝ に ZOH ト 0 く

山

1500 ＊＊ ＊＊ （

d

）

135°

＊＊ 山 Σ

一

ト つ E

）

ZO

冖

ト O く 凵 α 1500 ＊ ＊ （e）180

°

＊_＼

SPA肌 FR匚QUENCY 〔cycles／「Bca

¶

1酬

　 　 　 十 ug 丙帥t　　　十 inverted 　 　 　 十 upright 　　　

−

O

−

inverted

500　 　 　 500

　 　 　 15

　 　 　 SPATIAL 　FREQUENCTCcvcbe8 ／飴 ce郛血h）　　　　　　SPATZALFREQUENOY （cyclee ／face

’

wlCtth）

Figure　

3．

_The　result 　of　

Nakato

＆ Nagata （2002

，

　Experiment 　3：upright _）and 　Expcriment 　

2

_〔

inverted

_）

，

　

The

　mean 　reaction 　times　Qn 　the　upright 　condition （Solid　triangles 〕and 　the　inverted　conditien （

Open

　circles ）as　a　

functi

（m 　of　the　levels　of　band

・

pass　filter　Cc）r　each 　head　angle _：（a_＞

0

°_；

frontal

　

face，

_（

b

_）45°

，

_（c）

　

90

°

；profile　view

，

（

d

）

135

°

，

　and （e）

180

°

；the　

back

　of　

hcad．

　

Each

　_{graph （（}a）to （e）｝of　hcad　angle 　is

　analyzed 　by　t

−

test　of　the　mcan 　reaction 　times　on 　

between

　8　and 　l　6

，

32

，

64　c／fw

．

　Error　bars　represent

　

SE

　of　thc　mean 　reaction 　time

．

＊＊_：

p

＜

．

Ol

，

＊

：

p

＜

，

05

，

　n

．

s

．

二no 　significant

，

の_結果と比較し た

．

その結 果

，0

°

に おい て

，

「

E

立で は巾 間 域で ある 16c／fw と32　c／fw の間で

，一

方

，

倒 立で は 高 域で ある 64c _／fw で反 応時間が減少した

．

っ ま り_， 正 面 顔の認 識に有 効な周 波 数 域は

，

正 立で は

16c

／

fw

か ら

32c

／

fw

の _{中 間 域}

，

_醐立で は 32　c_／fw か ら64　c_／fw の 高 域で あっ た ことか ら

，

正 立と比べ 倒 立で は よ り高域へ と移 行 して い るこ とが 示さ れ た

．

90

° において は

， iF

立 で はいず れの_{周 波 数 域}で も反 応 時 間が

一

一

定で あ

っ

た が1 倒 立で は 64c ／fw で反 応 時 闇の 減 少が見ら れ た

．

っ ま り

，

横 顔の認 識に有 効な周 波 数 域は

，

正 立で は

8c

／

fw

の低 域

，

倒 立で は

64c

／

fw

の高域で あっ たこ と か ら

，

0

°

と

1

司じ く

TF

立 と 比べ _倒立で は よ り高 域へ _{と移 行} し て い る こと が示さ れた

。

180

°

におい て は

，

正 立で は高域で あ る

32c

／fw と

64

　c_／

fw

の _問で反 応時_間が 減_少 し たの に対 して

，

倒 立で は 中 間 域で ある 16c _／fw と 32　c_／fw の間 で反 応 時 間が減 少し た

．

っ ま り

，

後 頭 部の認 識に有 効な 周 波 数 域は

，

止 立で は

32

　c_／

fw

か ら

64

　c／

fw

の 高域

，

_倒 立で は 16c 〆fw から 32　c／fw の中 間 域で あっ た こ と か ら

，

『面 顔や横 顔とは異な り

，

正 立よ り も倒、 IL で は よ り 低 域へ _{と移行 して い るこ と が示さ れ た}

．

　ま た 誤答 率にっ い て も2要 閃の分 散 分 析 （周 波 数 ［4］ ×頭 部の_{向 き ［}5_］） を 行っ た（

F

｛gure　

4

_）

．

その結果

，

周波 数の主 効果 ｛F（3

，

33）＝ 4

，

69，

p

〈

．

OD ，

周 波 数 ×頭部の_向 きの 交互作 用 （

F

（12

，

132＞

；

4

．

033

，p

＜

．

001_{）が 認}め られ た

．

周 波 数では最 も低 域である 8c _／fw で

，

他の 周 波 数 域と比 較して 誤 答 率が有意に高か っ た （各々

p

＜

．

05）

．

周 波 数×_{頭 部}の向きの交互作 用に関して

，

単 純 主 効 果の検 定を行っ た とこ ろ

，

頭 部の向 きの 45

°

と 90° に おい て

，

8

c／fw とそ れ以外の_周波 数 域との _間に_有意な差が認め ら れ た （45° ：F（3

，

　33_）

＝

10

．

241

，

p＜

．

001； 90

°

：F_（3

，

33_）

＝

7．

911 ，

₁

）く

．

001_）

．

　 考 察 　本 実 験で は

，

倒 立で の頭部の認識は各 向きに特 有な特 徴 情 報によ るのか

，

ま た 正 立 と倒 立で の各 向 きの認 識に 有 効な周 波 数 域が異なる のかにつ い て正 面 顔か ら後頭部 まで の 向き にバ ン ドパ _{ス フ ィ ル} タ

ー

を施して検 討 した

．

その _{結果， 各 向}きにお け る特 徴 情 報にっ い て は

，

正 面顔 や横 顔で は

，

高 域に な る につ れ て同 定 時間 が 早 く な

っ

た の に対 し

，

後 頭 部で は中 間 域におい て 同 定 時 間が 早く な

一

・

た （Figure　3_〕

．

　止面 顔で は 64c _／fw において

．

他の_{周 波 数 域}よりも反 応 時間 が早かっ た

．

っ ま り

，

_倒立で α）正lki顔の認 識は高

仲 渡

・

永口：_倒立 提 示に よ る さ まざ まな向きに変 化した頭 部の 視 覚的 特 徴 情 報の分 析 51 30 　 　 　 　 20 靄 畄 ト く 匡 匡 O 匡 匡

山

10 0 （a）0

°

SP尺丁いL　F匪Q掵ENGY （

。

，

。

虐茎／幅 ce

酬

i謝 30 　 　 　 　 　 m

（

_串

）

四 レ 《 匡 匡 0

匡

匡 凵 10 o （b）45

°

＊＊ 　 8　 　 　 　16　 　 　 32　 　 　 6ら

SPATいL

　

FREqUENGY （cyGles ／f臼o

日

一

width ）

30 　 　 　 　 20

（

承 V

凵

ト く 匡 匡 O 匡 【 山 10 o （c）90

°

　 B　　 　 　　 16　 　 　　 　 32　　 　 　　 64

SPA覗 FREQUENCY ⊂Gyqb6／悟 co

−

Vtidtih）

30 　 　 　 　  

〔

譲

畄 ト く

匡

匡 O 匡 匡

田

10 （d）135

°

30 　 　 　 　 　 20

（

_訳

山

卜 《 匡 匡 O 匡 に 凵 10 （e）180

°

0 　　　　　　 0

　

SPAfiA、，。、、、

lk

、Y（  ，

7k

。。

一

，idi、） 64

　 　

SP、紜L　FR，，」

2

，。・（

．

．・驫 。．

一

諦

Figure　₄

．

　

_Resu ］ts　of　_the　error　rate 　on 　Experiment 　2

．

　Each　

figure

　indicates〔a_）0

°

：

frontal

　

facc，

（

b

）

45D，

（c）

　

90

°

；pr〔｝nle　view

，

（d）135°

，

and （e）180

°

；the　

back

　of　

head，

＊＊：

p

く

．

01．

域に含ま れ る局 所 的な情報に基づい て行 うこと が示さ れ た

．

ま た

，

本 実 験と同 じ くバ ン ドバ ス フ ィ ル タ

ー

の 画像 を用い た既知性判断 課 題におい て も

，

倒立で の 正 面 顔 は

，

高 域 に な るに っ れ判 断が早 くなっ た （永 山 ら， 1995）と示 す 研 究も あ り

，

倒 立の 正 面顔で は

，

高 周 波 成 分に含ま れ る部 分の_特徴 情 報に基づ い て認識して い る可 能 性が高い

．

す な わ ち

，

高 域におい て は部 分の もっ 細 部 の情 報が不1_{」用で きる}こ と から

，

今 回の _{結 果}は， 正面顔に 顕 著である目

，

鼻

，

口の 部 分の 特 徴 情 報に某つ い て倒立 での認識が行わ れ るとい うこれ までの 倒 立研究で の知 見 〔

Carey

＆

Diamond ，1977

；Young

，

　et　al

．1987

）と



・

致

す る

．

　

横顔におい て は

，TE

面 顔と同様， 64　c／fw で 反応時 間

が最も早く なっ た こ と か ら

，

横 顔で も高域に含ま れ る情

報を手が かりと して認識し て い る こと が示唆 さ れ る

．

す

なわ ち

，

横 顔の認 識に毒 要な輪 郭 情 報とい

っ

た顔の_{外 部}

特 徴 （Valentin

，

　Abdi

，

＆ Edelman

，

1999；仲 渡

・

永 田

，

2002 ）が倒立で は手 がか りと して活 用で き な か っ たた め に

，

目

，

鼻

，

口の 内 部 特 徴 およ び横 顔に 含ま れ る耳や 髪 質など の正面 顔よ り も高域に含 ま れ る 情報を手が か り と して

，

倒 立で の横 顔の認 識が行 われて いるU_{∫能性が考} え ら れる

．

　

一

方

，

後 頭 部で は 16　c／

fw

か ら

32

　c／fw の間で 反応 時 間が 早 く なっ た

．

っ ま_り

，

正面 顔や横 顔と は 異 な り

，

中 間 域に含ま れ る情報を利用 し て い る こと か ら

，

倒立で は 正立よ りも大まか な情 報に基づ いて認識して い る こ と が示さ れ た

，

11泣 で の後 頭 部は

，

高 域に含ま れ る髪 質と い っ た後 頭 部特有の 内部特 徴に基づい て 認 識される （仲 渡

・

永田

，

2002）

．

IF

．

面 顔や横 顔の_特徴情 報は

，

上 方 向 か ら目

，

鼻

，

口 とい っ た布 置 的な関 係を含んで い るのに 対して

，

後 頭 部の _{特 徴 情 報}で あ る髪 質は

，

目

，

鼻

，

凵 と い っ た布 置 的な関 係 を 含 ま ず

，

さらに顔の内部特 徴と比 べ

，

よ り キメ が細かい ため

，

倒 立 提 示に し て も上下 方 向 の弁 別がで きに くい

．

し た が

っ

て

，

後頭部の場 合

，

倒 立 で は_髪質だ けで は

L

下 方 向を と ら え き れ ないた め

，

輪郭 な ど頭 部 全 体の 大ま か な情 報 も于が か りと し て認 識 して い る可能性が考え られる

．

　次に

，

正 立 と 倒 立の認識に有 効な 周波 数 域につ い て比 較し た ところ

，

いずれの向きで も

，

正 立と倒 立で の _{周 波} 数 域が異な っ た

．

正而 顔において

，

認識に有 効な周 波 数 域が正 立と比べ _倒立で は よ り高域へ と 移 行 して い る こ と が示さ れ た

．

ま た横 顔におい て も

，

倒立で は高域に含ま れる情 報が 重要にな る と考え ら れ る

．

　

・

方

，

後頭 部にお いて は

，

倒 立での_{認 識}に有 効な_{周 波 数 域}が中 間 域へ と移 行 し た

．

し た がっ て

，

い ず れの向きで も正立と倒立での 認 識に手が かりと な る特徴 情報が異な る凵_{∫能 性}が_示峻 さ れ る

．

　

本実 験におい て

，

正 面 顔や横 顔と

，

後 頭 部で は各々 に 特 有な特 徴 情 報を手が か り と して認識して い る こと が小 さ れ た

，

っ _{ま り}

，

目

，

鼻

，

凵 とい

っ

た顔の 内部 特 微 が 含

52

基 礎 心理学 研 究 　 第 26巻 　 第 1号 ま れ る向 きと含ま れ ない 向きで は

，

倒 立での 認識に利 川 す る特 徴情 報が 異 な る可 能 性が ある こと が示 唆される

．

さ らに

，

正面 顔

，

横 顔

，

後 鎖 部いず れの向 きで も

，

倒 立 で の認 識に有 効な_周波 数域が止立で の _{有 効}な周 波 数 域と は異なっ た こ と か ら_， 歪 立と倒立で の各 向き は異なる処 理 過程によ

っ

て認識さ れる と考え ら れ る

，

総

合 考 察

　木 研 究で は

，

さま ざ まな頭 部の向きで の 処理 過程に関 して

，

τ

F

、ン：での認 識に重要な特徴情 報を阻害す る倒立 ノ∫ 向において も

，

向 き ご とに特 有な視覚情 報が存 在 する の かにつ いて検 討し た

．

すなわ ち

，

それぞ れの頭 部の_向き を倒立で提 示 する ことに よ っ て

，

正 立と 同様に

，

倒 立で も各向きに_{独 自}の処理 過程が存 在 するのかにっ いて検 討 し た

。

　まず

，

実 験 1におい て

，

頭 部の 向 き を 正 立か ら倒 立ま で水 平 方 向に五っ の_角度で そ れ ぞ れ提 示し， 各 頭 部の 向 きの 認識に及ぼ す方向の変 化の影 響につ いて検 討し た

．

その _{結 果}

，

_余爿め顔や横 顔で は

，

正 立か ら倒立に_{回転 方 向} が増 加 する に伴い

，

同 定 判 断も長く なっ た が

，IE

面顔や 後頭部で はい ず れの

h

_向で も同 定 時 問が 淀で

，

正立か ら倒立 まで の 同 定 時 間の増 加が見ら れ な かっ た

．

次に実 験 2に おい て

，

バ ン ドパ ス フ ィ ル タ

ー

を施し た画像を用 いた_結果

，

倒立での正而 顔や横 顔は高 域に含まれ る部 分 的な特徴情 報，

一

方で後 頭 部は中 間 域に含 ま れる全 体 的 な特徴 情 報を手が か りと し て い る こ と が示 さ れ た

．

　正 面 顔につ いて は

，

実 験

1

におい て正 立 か ら倒立 まで 同 転 角 度が変 化して も

，

反応時間は増加 せ ず倒立効 果が 示 さ れ な かっ た

，

ま た

，

線 画の横 顔を継 続 的に 2枚 提示 し た照 合 課 題で も

，

本 実 験と

1

司様に

，

「司転 角度の _増加 に 伴 う反 応 時間の 増 加が 認 め ら れ な か っ た_（Cochran

，

Pick

_．

＆

Pickm ，1983

）

，

彼ら は

，

第二 刺 激の顔の 内部 特 徴を変 化さ せ た刺 激 を 用いたこ とか ら

，

刺 激の 目立っ 特 徴を符弓

．

化して 照合した た め に

，

_{反 応 時 間}の_{増 加}が認め られ な か っ た と示 唆して い る

．

　 本研 究で正面 顔で の倒立効果が消 失 した要 因 と して は

，

本 研 究で用い た刺 激が 既知 性の_高い 人物で あっ たこ とか ら

，

人物ご とに符号化さ れて い る顕 著な特 徴に基づ い て識別し た可 能 性が考え ら れ る

．

こ の こ とは， 実 験

2

におい て

，

正 面 顔で は

，

中間域や高 域とい っ た顔に含 ま れ る 目

，

鼻

，

口の空間 的な関 係 情 報や 個々 の特徴を_手が か りと して 同 定して いるこ とから

，

正 立

，

倒、ノニいず れの 方 向で も

，

正 面 顔で は人 物に固有の _目

，

_鼻

，

lIの特 徴を 用い て _{同 定}して い る可 能 性が考えられる

．

し たが

一

）て

，

止面 顔に おい て倒立効 果が認め られ な かっ たこと は

，

人 物 同 定 課題で は

，

顔の方 同に依 存 し な い個 人に_{固 有}の _部 分 特 徴を 用い て い る 可能 性が 考え ら れ る

．

し か し な が ら

，

本 研究において_{刺 激}と なっ た人 物 数が少なかっ た こ と か ら

，

今 後 刺 激 数 を 増や して検 討 するこ とが必要で あ る と考 える

，

　正 面顔と は 異 な り

，

横顔で は 正 立 と倒立で の比較 （永 出

・

仲 渡

，

2004 ）や同 転 角 度 を変 化させ た実 験

1

に おい て

，

倒 立 効果 が生 じ た

．

ま た

，

回 転 角 度の 135

°

と180

°

で他の_{頭 部}の向き と比べ て誤 答 率が最 も高か っ た

．

こ の ことは

，

正 立で の 横 顔の 認 識の 手が か り と なる_輪郭情報 と い っ た顔の外部特 徴 （

Valentin，

　et　aL

，

1999_{；仲 渡}

・

_永 出，

2002

）の形 態が倒 立にな る につ れ 大 きく崩 れた た め

，

人物を同定 しに く くな っ た と考え ら れ る

．

ま た

，

横 顔の輪 郭 情 報の 中に は

，

冂

，

鼻

，

口 とい っ た顔の内 部 特 徴 も 含ま れて いる ため

_，

_{内 部 特 徴}の空閙 的な関 係 情 報と 外 部 特 徴で ある輪 郭 情 報の いずれの情 報 も倒“t：に よ っ て 妨 害された可 能 性 が 考え ら れ る

．

　止 而 顔 と 横 顔 を 比較して み ると

，

実 験 1に お い て

，

正 面 顔で は倒 立 効 果が認められ な かっ た が

，

横 顔で は倒立 効 果が生 じ た

．一

方で

，

空 間 周 波 数に よ る画像を用い た 結果， 正面顔で は

，

止立で は中 間 域

，

倒 立で は高 域に お い て 同 定 峙 間が減 少し たの に対 し

，

横 顔は正 、

k

で は低 域

，

倒 立で は高 域において人 物同 定 が早か

っ

た

．

す な わ ち

，

1F

．

面顔と横 顔では倒立効 果や周 波 数 成分の効 果が異 な ること が示 唆さ れる

．

具 体 的に は

，

正 面 顔で は

，

IL立 お よ び倒立の いず れの方 向で も， 目， 鼻． 口の空 問 的な 関 係 情 報や個々 の特 徴とい っ た中 間域 や高 域に含ま れる 情 報に基づ いて認識して お り

，

各人物に特 有の顔の内 部 特徴を手が か り と して い る ・_{∫能 性が考}え ら れ る

．一

方で 横 顔で は

，

iVl立において低 域で の情 報 を于が か り と して お り （仲渡

・

永田

，2002

）

，

顔におい て重 要で ある目

，

鼻， ［の空 閙 的な関 係 情 報 以 外の情 報 （

Valentin，

　et　aL

，

1999）を 用い て認 識し て い た

．

正 立に対し

．

倒立で は

，

高 域に含ま れ る目， 鼻， 口 とい っ た部 分の特 微 情 報に依 存 して認識 して い た可 能 性が考え られ る

．

す な わ ち

，

横 顔で倒立効 果が生 じ た こ と は

，

正 立 と倒立で于が か り と な る情 樶が正 面 顔と比べ異 な

っ

た た めで あ る と考えられ る

．

し た がっ て

，

正 1

’

ぜ1と同じく （仲 渡

・

永田

，

2002 ）

，

倒 ti

_“

で も正 而 顔と_{横 顔}での処 理 過程の_相違の ・_{∫能 性が示 唆} さ れる

，

　

実験

2

での _{結 果}から

，

正 面 顔 と横 顔の場 合， 正 立と比 べ _倒立で は周 波 数 域が局 所 的で詳 細な情報を含む高 域の 力 向へ と移 行す るの に対し

，

後 頭 部の場 合

，

大まか な情 報を含む低 域の方 向へ _{移 行 す}る こ とが示さ れ た

，

っ ま り

，

日

，

鼻

，

口 が含ま れて いる 頭 部の_向き と

，

含ま れて

仲渡

・

永田 ：倒立提示に よるさま ざ まな_向きに変化した_頭部の_視覚 的特 徴情 報の_分析 53 いない_{頭 部}の向 きで

，

倒 立で の認 識に手が か りと な る特 徴 情 報が異なっ た

．

　 局 所 的で詳 細な情 報の処理過 程と大ま か な情 報の処理 過 程にっ _{い て は}

，

サ ル の 但1」頭 葉にお ける神 経 細 胞の 活 動 を 測 定 した結 果

，

顔に対 す る 反 応で は

，

ま ず 大 ま か な 情 報の処理 を行い

，

その後 詳 細な情 報の処理 を継 時 的に分 類して行っ て い る こと 〔Sugasc

，

　Yarnanc

，

　Ucno

，

＆ Ka

−

wano

_，

1999）

，

またパ _タ

ー

ン認 識の研究で は

，

パ _タ

ー

ン の 認 識 過 程は

，

解 像度の 低い _globaL な処理 が解 像 度の高 い loca1な処理 に先 彳」：して なさ れ る こと （Shulman ＆

Wilson，

1987_）が報 告さ れて い る

．

これらの知 見 から

．

考 慮する と

，

後 頭 部で は周 波 数 域が低 域の 方 向に変 化 し

，

大 まか な情 報を手が か りと して「司定 するた めに

，

正 面 顔 や横 顔と比べ

，

_{正 立}と倒 立で の

1

司定 時 間に差が認められ な か

っ

た と推測 さ れ る

，

す な わ ち

，

本実験において

，

後 頭 部で は

，

局 所 的な情 報の処理 か ら大ま か な情 報の処理 へ と処理 過 程が 移行 して い るため に

，

倒 立で の後 頭 部の 処理 に時 閥 的な 遅 れ が認め ら れ ず， 倒立効果が 生 じ な か っ た と考え ら れ る

．

し た が っ て

，

本研究に おい て正面 顔だ けでな く横 顔や後 頭 部とい っ た さ ま ざま な頭 部の向 きの _倒立での_{特 徴情 報}にっ い て_検討し た結 果， 正立と倒 立の認 識に有 効と なる周 波 数 域が高 域か ら低 域へ と_{移 行} す る か

．

否 か とい うこと が

，

倒 立 効果の生 じ る要 因と して 示 峻され る

．

　ま た

，

LF立と倒 立の処理過 程の違い に関 して は

，

発 達 的研究 〔

Carey

＆

Diamond ，1977

＞や生理指 標 を 用い た 研究 （ltier＆

Taylor，2002

）で も 確 認 さ れて いる

．

さ ら

に

，

Moscovitch

，

　Winocur

，

＆Behrmann _（1997_）は

，

_物

体 失 認 患 者に顔 刺 激を正 立と倒 立で提 示し た結 果

，

正 立 と倒立で は異な る処理 が行わ れて い るこ と を示唆 して い る

．

これは

，

IE立で は

，

主に顔の内 部 特 徴 間の空 間 的 関 係に基づ いて 全 体 的に顔を認 識す る の に対 し

，

倒 立で は

，

物体 認識に も用い ら れ る部 分に基づ く特 徴 依存 処理 に よっ て個々 の特 徴ごと に顔を認 識 し て い る ことに よ る もの で あ ると考え ら れ て い る

．

　倒立顔の認識は

，

顔の認識と顔以外の 物 体の認識が 混 在して い る可 能 性が あり〔Moscovitch

，

　ct　Ea】

．

，

1997）

，

倒 立 効 果が生 じ ない とい うこと は

，

顔よ りも部 分の特 徴 情 報に_基づ _{く物体認識}の_処理過程との_関連が考え ら れ る

．

こ の ことは

，

本 研 究におい て後 頭 部で倒 立 効 果が生 じか な っ たこ と

，

さ ら に後 頭 部は顔に選 択 的に反応 す る部 位 と言わ れて い るヒ トの脳の 紡 錘 状 回で の活 性 化が

，

他の 頭 部の向き と 比べ _{低 下}す るこ と も示さ れて お り （

Tong ，

Nakayama

，

　 Moscovitch

，

　 Weinrib

．

＆ Kanwisher

，

2000

）

，

後 頭部は顔以外の _{物 体}認 識と_関連がある可 能 件 が支 持さ れるの で は ないか と考え ら れ る

．

　結 論 と して

，

本 研 究で は正 面 顔

，

横 顔

，

後 頭 部とい っ た各 頭 部の向き ご との視 覚 的な特 徴 情 報に関 して

，

それ ぞれの向 き を 倒 立 提 示 した結 果 か ら

，

倒 立 効 果は

，

，

F

．

　IZ と倒 xlLでの認 識に有 効と な る周 波 数 域の_{移 行 方 向}との _関 連による こと

，

また各 向 きの認 識は

，

各々 に特 有な特 徴 情 報を手が か り と して い る ことが示 峻された

．

そ れ に加 えて

，

正 而 顔

，

横顔

，

後_頭部そ れ ぞ れの _向き は， 倒 立に おい てさ え も

，

1臼 二と同 じく

，

各 向きに独 自の処理過 程 に よ っ て認 識される こと

，

さ ら に いずれ の向きも正 立と 倒 立の処 理 過 程の差 異 が示峻さ れ た

．．

したがっ て

，

既 知 人 物 を素 早く柔軟に認識す る た めに は

，

頭部の 向き が

，

垂 直 方 向

，

お よ び奥 行 き 方 向へ _{回 転}して も

，

それ ぞ れの 頭 部の 向 きに特 有な処 理 過 程に よ らて認 識して い ること が推 察さ れ る

．

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