NII-Electronic Library Service
デ
ザ
イ
ン
共
同
体 を創 出
す
る デ
ザ イ
ン
知
Wisdom
of
Design
for
Developing
Communities
on
Designing
小 早 川 真 衣 子
愛 知 淑
徳
大学
コ ミュ ニ テ ィ・
コ ラボ
レー
ショ ンセンタ
ー
KOBAYAKAWA
Maiko
Aichi
Shukutoku
University
Community
Collaboraiton
Center
要
旨
地 域社 会
におい て、
住
民た ち が 主体 的に地 域の問 題 解 決 に取 り 組み変 革を 目指す と い う潮流 が 起 きて い る。
そ こに必 要 なの は、
大 学や地 域の境
界を越えて創 出され るデザ イン共 同 体であ る。
本 稿で は、
1
)
まず、
デ ザ インを専 門と し ない学 生た ち が体 験
し た地 域
と協 働 す
る学 び
のプ
ログ
ラ ム の実
践 を 報 告 し、
2
)
そ こ に起
き た共
同体
の変 容
を考
察 す ること か ら デ ザ イン共 同体
を創 出
す る[
」
デ ザ イン知”
につ い て考 察 す る。
Abstract
In
the regional community,
it
is
conspicuous sometrend
that
residents are
going
tQ
try
to
resoiveproactively
of regionalis
−
sues
.
There
needs tobe
created adesign
community,
beyond
the
boundaries
of the universities and regions.
In
this
paper
,
1
)
first
I
report aboutthe
practice
ofIearning
program
for
studentswho
doesn
’
t
specializedesign
that
needed of cooperate withthe
region.
And
2
)discuss
aboutdesign
community andits
Ghangesthat
aregenerated
by
“
design
wisdom”
.
1.
は じ め に 近 年、
「デザ イン 」 を 取 り巻 く状 況 は 大 き く 変 化 して い る。
デ ザ イン (構 想一
造 形一
設 計 )の対 象 は、
八一
ドウエ アから ソ フ ト ウエ ア、
プロダ ク トからサー
ビスへ と広
が り、
そ の射 程
は コ ミュ ニティ の構 築 まで広 がっ ている。
これら対象
の拡 張
は、
さ ま ざ ま な 分 野、
立 場の人 が デ ザ インという創 造的
な実践
に、
そ の主 体 と して関 わる ことの可 能性
を押
し 広 げ た。
大 学
に おい ては、
情 報
学、
工学、
経営
学、
教 育 学 な ど にデザ イ ン的 な 思 考 を導
入 するこ とで、
異 なる学 問の連 携 を 図 り、
そ こ か ら社 会の変 革 に 貢 献できる学 問 を 創 成 し よ う と する取 り組み が 活 発 化 している。一
方、
地 域 社 会においては、
様 々 な 立 場の 人 た ち が 自 分の住 む 地 域のた め に、
当該
地 域 が 抱 える複 雑
か つ 目 前の問 題 を 解 決 しよ う と する取
り組
みが活 発 化
して いる。NPO
や ボ ラン ティアに よる貢 献 活 動、
行 政 に よる市 民ワー
ク ショ ップの開催
な ど 地 域 に寄
り添っ た取
り組
みが目
立つ 。 そ こ に ある のは、
自分 た ちの生 活 や 地 域のあ り方 を他
人 任 せにする の で はなく、
力を合わ せ て解
決策
やビ ジョ ン を もっ て 地域を変 革し て い く と い う、
創 造 的な実 践で あ る。
こ の実 践の た め に、
さまざまな 境界 を越え、
実 践 者 が 創 造性
を 発揮
す る た め の 次世
代の 「デザイ ン 」 の枠 組みが 必要 とさ れて い る。
本
研 究で は、
次世
代の デザインを支
え る本質
的な 知性と しての 「デザ
イン知
」 を 探 求 して い る。
その目 的 は、
人々が 自 覚 的 に デザ
インを実
践 し、
その意
味 につ い て理 解 す ること。
そ して、
社
会 を よ り よ くデ ザ イン したいと考 え る 人々 の共 同 を 創 出 し、
発 展さ せるこ とであ る。 これ まで に、
「こ とのデ ザ イン」[ 1]を実践
し省 察
す ること か ら、
「説
明」 で は なく 「表
現」 を基 盤
と す る文化
的な知性
が、
さ まざま な 立場を越境
する共 同を促 すこ と を見 出して き た匚2] 匚3]。
本 稿では、
デ ザ インを専 門と し ない 大学
生た ちが、
「こ と の デザイ ン」 の実
践と して、
「表 現」 を と お して自
分た ち の学び と社
会 貢 献の た め に、
地 域と連 携し た社会
のデ ザ インに挑 戦 して いる事
例 を 紹 介 す る。
プログ ラム とし て著 者
が仕掛
けた こ と も含
め、
そ の実
践を省 察
する こ と か ら、
そ こ に生 まれ
たデザイ ン の共
同体
と そ の共
同体
の変容
につい て考 察
する。
な お、
本 稿
の主旨
は、
個
々の教示方 法の有
用性
を 主張す
るも
の ではな
い。
2.
生 き た 学 び
のた め
の場
づく り
今 日、
大 学は少 子 化によ る大 学 全 入 時 代の到 来 など に起 因 す る 厳しい競 争の状 況 下で、
積 極 的な地 域 貢 献を図るこ と が求め ら れてい る。
そ の た め の 地 域連携
は、
地域資
源 を活用 し て い る ケー
ス、
学 生が地 域活性
化に貢 献 し て い る ケー
ス、
大 学の 研42
デザ イン学研 究特 集号special i§sue ofjepanese societyforthe science of deslgn
Vo1
.
21・
3N
σ
.
832014NII-Electronic Library Service
究・
教 育 活 動 が 直 接 具 体 的 な 取 り組みと な る ケー
スな ど、
さ ま コミュ ニ ティを、
農 業 振 興 を ミッショ ンに 農 業 に 触 れる機 会 を ざ ま な 類 型 がみら れる。
提 供 する名 古 屋 市 農 業センター
(名 古 屋 市・
天白 区 )とし た。
愛知 淑 徳 大学 (
以 下、
本 学 )
で は、
「違
い を共
に生き る」 を 理念
と し、
そ れ を実行
す るた め の社 会
貢献
を中核
と し た教 育
セ ンタ
ー
「 コミュ ニ テ ィ・
コ ラボ
レー
シ ョン セ ンタ
ー
(
以 下、
CGG
)
」 を2007
年
に 設 置 し た。CCG
のミッ ショ ン は、
1
.
学
生
のパワー
や個 性
を地域
で の 「体 験」 や 「実感
」 を と お して引 き 出 すこと、
2
.
学 外の さ ま ざ ま なコミュ ニティ との連 携 を 強 め、
地 域 社 会と大 学の活 性 化 を 図 るこ と、3 .
学 生 た ちの視 野 を 広 げ、
人間
力 や 生 き る 力、
社会
人 基 礎 力 を育
むこと と さ れて いる。
そ のた め に、
地 域で の実 践 力 を 育 む 「教 育 」 と、
学 生 た ちの自
主活
動 を 応援
する 「支援
」 の 二軸
を 打 ち 立て、
学
生 に 生 き た 学 びの場 を 提 供 して い る。
「教 育 」 と して、
大 き く2
系 統、
計
8
科 目
の授 業
を開講
して いる。 そ して 「支援
」 と して、
地域
コ ミュ ニ ティ と の連 携によっ て実 現 するボラ ン ティア等の自 主 活 動を応 援
す る コー
デ ィネー
ト業務
に従 事
し て い る。CCC
を 訪 れ る 学 生 は 年 間のべ14,
000
名 (2013
年 度 )。
実 際 に 活 動 を 行 う学 生 数 は1,
000
名 を超 え、
セ ンター
設置
か ら増
加の一
途 を 辿っ てい る 。学
生 た ちの活
動 分野
は、
自然環境 保
全、障
がい者 や 高 齢 者の支 援、
地 域 活 性 化 や 食 文 化の継 承 な ど、
地 域 で起 きて い る様
々 な 問 題 に 加 え、
将 来
的 に世界 規模
に起 きる問
題 を 視 野 に入 れ た ものな ど、
多 岐 に わ た る。
これ らの活 動 に お い て は、
学部
や 学年
の垣根
はない。
当セン ター
を 拠 点に、
学 生 が 参 加 す る 活 動 は 大 き く2
種 類のタ イ プ に 弁 別でき る。
ひとつは、
地 域コミュ ニティに よっ て活 動 内 容 を 定 め られ た 段 階 か ら参
加 するタ イ プ。
ふ たつめ は、
地 域 コミュ ニティ と学 生 が 活 動 内 容 を 共 同で考 案 す る 段 階 か ら参
加 してい く タイ プ。
後 者のタ イ プでは、
ま ず 自分 た ちで仲 間 を 集 めて、
何
が 必 要 か を考
え 活 動 計 画 し、
実 行 す る。
この 探 索 的 な 活 動を推
進 す るた め には、
新
しいもの ご とをつ く り 出 す 能 力、
そして共
同 す る能 力
が必
要とさ れ る。
現在
、
この必
要 に対応
す る 明 示的
な 学 習 プログ ラ ム は な く、
学生
の個 性
や、
教 員の ア ド バイス、
スタッフ の熱 心 なフォロー
体 制 に 依 存 している。
こ こ に、
デザ イン分 野 に おいて育 ま れている 「知 」 が 貢 献できる 可 能 性 が あ る と 考 えてい る。
3
.
地 域
と共
同す
る デザ
インのプ
ロジ
ェク
ト3.
1.
授 業
の枠 組
みCCC
の開設科
目 「コミ ュ ニ ティ・
サー
ビス ラー
ニングVI
食
と 環 境」 を 取 り上 げ、
その実 践 につ いて報 告 する。
この科
目 は、
「サー
ビス ラー
ニング(
SL
)
」 という 「学習 活
動 と社 会 貢 献 活
動 を 意 図 的、
計 画 的 に 結 びつ け 相乗
効果
を 生 む 教育
プログラ ムE4] 」 を 指 向 した 体 験 型の授 業 と して行 わ れて いる。
授業
こ とに 設 定 さ れ たテー
マ(
「食 と 環 境 」 の他 に 「ま ち づ く り 」 や 「地 域 福 祉」 等 が ある) につ いて実 践 的 に 学 び たい学 生 が 受講
してい る。
授業
を 遂 行 するう えで必 要 と なる地 域コ ミュ ニ ティ との関 わ りを 体 験 する こ とも、
こ の授 業の魅 力の ひ とつに なっ ている。2013−2014
年度
の授 業
で は、
パー
トナー
とな
る地域
プロジェ ク ト の構 成
は、
半 期
の 三分
の一
を講 義
やチー
ム ビル デ ィ ング
の た め のブ
レイン ス トー
ミ ング
、
残
りの 三分
の 二を農
業
セ ンタ
ー
と連 携
するグルー
プ 活動
と い う割 合
で組
み 立て た。前 半
では、
知識
の獲 得
よ りも、
受講 者
た ちが 自
分 た ちの表
現 を楽
しむこと、
楽
しみ なが ら(
自
分 も デ ザ インして い いんだとい う ) デ ザ インす るマイン ドの涵 養 に 活 動の重 点 を おいた。
そこ か ら、
その マインド を 具 体 的 な もの [’
と に展 開 するた めの デザ イン の知〔
こう す る と デ ザ イン で きるん だ)
を育
むこと を ね らっ た。
そ のた め に行
うのは、
例 え ば 次のよ う な課
題である。 「心 に残
っ た食 体験
」 を作
文 する こと、
絵
を描
くこと、
各 自
が それ を 朗 読 し提示する こと。
こ のよ う な、
表現
を 共有
する こと をデザ イン の マイン ドを涵養
する仕 掛
け と して い る。
そ の後
の グルー
プ活
動で は、
「農 業
セ ンター
の資
源を活用 し た新
た な仕
組み」を考 案
し、
農
業センター
で実 践 す るこ と を目指し た。
こ こ で い う実 践で は、
自 分た ち の考 案し た仕 組 み を 来 園 者 や 農 業 センター
の スタッ フが経 験でき る 「こと 」 を か た ちつく ること が 求 め ら れ た。
本 研 究では、
こ の一
連の行 為 を 「ことのデ ザ イ ン」 と 呼 ぶこと と した。
3.
2
.
デザ イ
ン の アウ トプ
ット
これ までに受 講
し たの は、
2013
前
期15
名 (
ビジ
ネ ス 学 部、
交 流 文 化 学 部3 −
4
年 )、
2013
後 期8
名 (福 祉 貢 献 学 部、
文 学 部、
メ ディアプロ デュー
ス学 部、
人 間 情 報 学 部1
−
3
年 )、
2014
前 期9
名(
ビ ジ ネス学部
、
交 流 文化 学 部
1
−
4
年)
で あ る。
これま で に学
生たち が考 案
し実 践
し た の は、
セ ンター
で働
く人
たちを被
写体
と し た映像 作
品 づ く り、
センター
で生 産 さ れ る 野菜
を使
っ た 地 産 地消
メニュー
の開発
、
参
加 型の写真展
、
環
境 にや さ しい石 け ん づ く り、
農業
体 験 を 通 じた 交 流 会 な ど、
計
7
つ の仕 組 みであ る。
こ の内の2
つ につ い ては、
来年 度
に農 業
センター
が 自分 た ちの手で実 践 する こと が 決 まっ て い る。
本 年
度 実 施した 授業
の ひとつ をデザイ ン実 践の事 例 と し て取 り上 げ る。
そ れ は、
2013
年
の冬
に来
園者
を ま き こ んで実 施し た 「参 加 型の展覧 会
」 で あ る。 以 下に概
要を 示 す。
タイ トル :農 業セン ター
内の ベス ト風 景 を 探せ 内容
:来 園 者が 表現 し た写 真と文を使っ た参 加型の 展覧会
ねら い:
老若
男女
問 わず
に、
農 業
センター
に来
たこ とがあ
る人
も そ うでない人 に も新
しい発 見 を してもらい
、
センター
の活性
化につな げる 関係
す る人
:来
園者
、
センター
の スタッフ、
学 生 活 動の 流 れ :[
1
]
既に展 示された人の写 真 やメッセー
ジ を み る[
2
] 来
園者
や センター
のス タッ フが自分の気 に入ってい るもの ご と を表 現 す る 写 真 を 撮 影 し
、
写 真 につ ける 文章
を書
く[
3
]
プ リント し た 写 真 と メッセー
ジ を 壁 に 貼る [4
] 他の来 園 者 が その写真
と 文 を観
て、
感
じ たこと等
コメ ン ト用 紙 に 書い て貼 る灘
1
∵
1
:
1
胤
1
鑑
実践
当
日 は、
事前
に集
め た作 品の展 示か らス ター
ト し た。
そ の 後、
来
園 者が次々 と参加 し、
そ の場で 写 真・
メッ セー
ジ が増え て いっ た(
写真
1
、
2
)
。
最 終 的に25
の作 品が展 示さ れ た。
ま た、
この活 動 に は、
来 園 者 の み な らず
、
農 業 センター
で働 く人 た ち も 参 加 した。
興 味 深 かっ たのは、
写 真 やコメン トを 媒 体 に して さ ま ざ ま な 対 話 が 生 ま れ たことであ る。
ある女性
は、
年配
の男 性 が写っ ている 写真 を見 て 「こ の人、
い つも散 歩し て い る のを見 る わ」 と話し、
「よ く 見 か け ま す よ ! 」 と い うコメン ト を 書いて、
展 示 に追 加し た (写真3
>。
農業
セ ン ター
担当者
は 後日、
こ の点 を 「来 園 者 が積
極 的に参
加し、一
枚
の写真
か ら交
流
・
会話
が始
まるも の で、
活性化
策として も今
後 取 り入 れて い く ものだと認 識 し ま し た。
」 と評 価 し た。
展 示 は2
ヶ 月 間 行 わ れ、
その間 もコメン トが 追 加 さ れ た。
3
.
3
,
デザ
イ ン のプ
ロ セ ス グルー
ブ活 動の スター
トか ら、
自分 た ち が 考 案 し た 仕 組みを地域
に出
て実
践 す る まで の期 間 は、
約1
ヶ月 半。
こ こでは、
前 述 した展 覧 会 を例 に 挙 げて、
デザ インの プロ セ スを 次の8
つ の段 階 (P
) に分 けて説 明 する。
写 真 1.
参 加した子ども た ちが 展示 さ れ た作品を み て いる 様 子 写 真2
.
自分の写真に メッセー
ジ を追加 する参加 者 写 真3
.
展 示 に 現 れ た 参 加 者 同 士の交流44
デ サ イン亨.
研 究特 集号speciel issue oflapa
冂
esesociety ferthesclenceo「design Vol.
21.
3 No.
83 2014Pl
現 場を味 わうP2
アイデ ア出 し と ゴー
ル 構 想P3
ア イ デ ア の
詳 細 化
と価 値 付
けP4
実 際にやっ てみ る工ll
P5
実践
の準 備
P6
実
践、
ふ り返 りP1
では、
現 場 を 味 わ うこと を 目 的 に 農 業 センター
を 訪 問 し た。
センター
の役 割 や 取 り 組 み につ い て説 明 を 受 け、
野 菜 等の収穫
体 験 や、
農 業 体 験 をサポー
トするボラ ン ティア活
動を体 験
し た(
写真4
)
。
デザイ ン す る対象
に自己 を内
包さ せ る 「こ と の デ ザ イン 」の 方略
で あ る。
写 真4
.
落 花 生の収 穫 サ ポー
ト を体 験P2
で は、
上 記P1
の 経 験 を も と に 「農 業 センター
の資 源 を 活 か し た仕 組 み」 のア イデア を 各 自 最 低3
点 持 ち 寄 り 発 表 (写 真5
)
。 絵と文 字で 表 さ れ た30
件 程の アイデ ア の中 か ら、
個 人 が1
−
2
点 を 選 び、
同 じアイデ アを 選 ん だ 人 同 士で チー
ム をつ くっ た。
飆霹腱 隔“
m−entTmu,
、
L
写 真5
.
アイ デアが 書 か れ た 紙 を 貼 り 出 し、
発 表 して い る様子 喚P3
で は、
現 実のゴー
ル を ひ とつの制 約に し、
アイ デアの詳 細化
を お こなっ た。 写真
の集
め 方(
SNS
や メー
ル、
郵 送 等 )、
展 示の仕 方
につい て ディス カッショ ンす る と 共 に、
当 該アイデ ア の内容
や自
分た ち が選ん だ理 由 につ いて省 察 し、
改 めて文 字 に ま と め た。 さ ら に、
セン ター
の方々に 自 分 達の 思いや 考えを発表
し、
ディ スカッショ ン した。
この時、
共 通のゴー
ル となっ た 実 践 当 日に どのよ う なことが 起 きる のか ?を 具 体 的に想 定しな が ら、
そ の出 来 事 を 支える た めの仕 組み を 考 える こと がで き た。
こ こ で、
ゴー
ルを 先 に 描 く と何 をデザ インす れ ば よい のか がわかる、
という デ ザ イン知 を育
ん だ。今
回の場合
、
写真
を み た 人の反 応 だ けでな く、
そ の場
で の参
加を受付
け、
追 加で展 示一
NII-Electronic Library Service
する案 も、
こ の時 間の中で生 ま れ た。
P4
は、
実際
に や っ てみ る段 階となっ た。
1
回 目のやっ て み る では、
自
分 た ちで大 学 の中
のベ ス トショ ッ トを 探 し、
撮 影 す る ことをおこなっ た。
この活 動 をとお して、
この活 動 に参 加 す る人
は、
どのよ う な気 持
ち に な るのか?ま た、
自
分 達 は どの よ う な 写真
を撮
って ほ しい と思っ て い るのか ? に気
づ くこ とができ た。
2
回 目 は、
再 び農業
セン ター
を訪 れ、
来
園者
に声
を か けて ま わ り、
写 真の 撮 影 等 を 行っ た。
声 掛 けの難 し さ を 感 じつ つ も、
他 者の視 点 を 共 有 す る 面 白 さ に改 め 気づき、
自 分 た ちの作品
も展
示 に追 加 する こと と した。P5
の段 階
で は、
学生
も農 業
セ ンター
も そ れ ぞ れ準備
を 進 め た。学生
は写真
の印刷
、
仕 上 げ
、
メ ッセー
ジと コ メ ント用紙
の作 成
を おこなっ た。P6
で は、
農 業センター
のス ペー
スを 借 りて、
考 案 し た 仕 組 み を1
日 が か りで実 践 し た。
学 生 た ち は 自 分 か ら 来 園 者 に 声 を か け た り、
自分で コ メ ン トを 追 加 するな ど、
積 極 的に活 動 を おこ なっ た。
後 日、
実 践で起 き た 出 来 事 を 共 有 し、
そ のた め に 自 分 た ち が おこなっ たデザ イン の意 味 をふ り返る場 を もった。
以 上、
状 況に埋め 込 まれ た 「こ と の デザイ ン 」 の 大枠
を紹
介し た。次
に、
こ のプロ セ ス の中
で、
学生 が学
んだ
と思 わ れ る内容
につい て報告
す る。
3.
4
.
学 生 が 学 ん だ と
みな
した 内 容
学生
た ち自身
が本
プ ロジェ ク トで 「学 ん だこ と」 と して挙 げ た ものに は、
デザ
イン の内 容 (
結
果)
に関 す るこ と、
自
分 た ち が体 験
し た デザ
イン の行 為(
プロセス)
に 関 す ることの2
種 類の 内容
が あっ た。
こ こ で は、
当 該プロセス の 中にあ る デ ザ イン知 の考 察の た め に、
後 者につ い て のみ 具 体 例を示 す。
学 生た ちは 「ア イ デ ア出し を と お して、
ど んな意
見でも良いん だ とい うこ とを 学 び、
さ さいな 意 見 も 言 え る よ う に なっ た」 「気づき や 発 見 は 人の数 だ け あ る」 「〔作 り 手、
使い手の) 両 方の立 場 を 味 わ うこ と が 大 切」 「自分では 思い つ か な かっ た 考 え な ど を 知 る 事 ができて視 野 が 広 がっ た」 な ど、
正 しい答 え を 求 め ること を 目 的と しないデ ザ インや り方の良 さ につ いて言 及 している。
答 え がな
い ことに取 り組
むという、
「表
現」 して展 開 す る デ ザ イン の知 を 育んだと捉 え ることができ る。
4 、
デザ イ
ン共 同 体 を 創 出 す
る デザ
イ ン知
4
.
1
.
多様
な デ ザ イン主体
本 プロ ジェ ク トを と り ま くデザイ ン の主 体につ いて考 察す る。
こ こ で いう デ ザ インの主 体 と は、
新 しい 「こと 」 をつ く り出 す 役割
を自
覚 的に担っ て い る 人であ る。
ま ず、1
) 参
加 し た 学 生 た ち。
授 業
という強 制
力のある枠 組
み の中
で、
ある意味
で デザイ ン の主体
にならざるを得 な
かった学
生 た ちでは あ る が、
通常
の講 義
や 生活
の中
では縁
のない表現 や
共同
を経 験
して い る。次
に、
2
) 学
生 た ちと共
同し た農 業
セン ター
の スタッフた ち。
こ のプロジェ ク トをスタ
ー
トした頃
の農
業
センター
ス タ ッ フは、
学 生た ち が新しい商 品の1 ンセ プ トや パッケー
ジ、
農業
セ ンター
の サ イ ン等
を デザイ ンする こ と に期待
して いた よ うだ
。
しか し、
そ ういっ たモ ノを デ ザ インす るの で は ない こと が プ ロジ
ェ ク トを 進 め る う ち に わ か り、
資 材・
情 報 提 供 を おこな う 協 力 者 か ら、
未 来の来 園 者の経 験 (こと) を構 想
して学生
よ りも 先 に 動 き 出 すことの でき る デ ザ イン主 体へ と変化
して い っ た。
こ の授 業で学 生の考 案
する 「こと」 の中 に 自分 た ち がいるこ とに、
次 第 に 気づい てい っ た と 考 え ら れる。
次に、
3
) 教 員 (著 者 )。
本プロ ジェ ク トでは、
教 員 や 学 生 と いっ た 立 場 を 越 えて、
デ ザ インに取
り組
ん だ。
最 後
が、
4
) 新
た な 活 動 を 始 め た 学 生。
このプロ ジェ ク トを体験
した後
、
自分
でプロジェ ク ト を 立 ち 上 げて実 行
し始
め た学
生 がい る。あ
る学
生 は、
地 域にお ける老 人の孤 食 を解
決 するため の交
流の場
をつ くる団 体
を 立 ち 上 げ、
大学 内外
の助 成
金 を獲 得す
るな ど、
精 力
的に活
動 を 進め て い る。
別の学
生は、
大学
を1
年
間休 学
し、
愛
知 県の山
間地域
で」
’
地域
お こ し協 力
隊”
な る事
業へ参 画 し、
地 域と大学
生をつな ぐ場
づく り に奮
闘して いる。
本プロジェ ク ト は ひ とつ の契 機に すぎないが、
これら の事 態に、
デザ インす る マイン ドが涵養
された一
端
を み るこ と がで き る。
こ のよ う に、
本 プロジェ ク トに 関 わっ た 人 た ち は、
その時 々の 場 面 や 状 況 に よっ て、
自 ら を デ ザ イン の主体
と して認 識
し行
動 している。
その認 識 を 経て、
本 来の役 割 を 拡 張 する ことが 起 き て い る。
学 生たちは、
学び手か ら、
新
た な活 動をつ く る実
践 者 へ。
農 業
セ ンター
の スタッフ は、
ク ラ イ ア ン ト的
立場
か ら、
学 生の デザイ ン を社会 着
地さ せ る実
践者
へ。
これら参 加 者のダ イ ナ ミック な変化
と拡
張 は、
彼
らが社 会
的な活 動と して デ ザ イン を体 験
しな がら、
その実
践 的 な知
を 獲 得 していること を 示 して い る。次
項で は、
こ の知
の獲 得
を学
習と し て捉
え たう えで、
参
加者
の学
習に伴
うU共
同体
”
の変 化
につい て考 察
す る。
4.
2.
共 同 体
の変 化
こ こ で い う共
同体
とは、
デザ インの主 体
、
つ ま りデザ
イン して い る人 た ちの関 係
からなる緩
やなグルー
プを指
す。
前 章
で紹 介 し た デザイ ン の プ ロ セ ス の段階毎
に、
共 同 体の変 化 をふり 返っ た(
図1
)
。
こ れ は、
周 辺 か ら の参加 に よ る共 同 体の変 化、
そ れ こ そが 学習 の本質
だと す る 「正統
的 周辺参
加」の 理論に基 づ く匚6】。
図示 し たP1
では、
ま だ誰も (教 員 以 外は)デ ザ インす るこ と を自
分 の役 割
と し て 捉 えてはいない。
そ れ がP2
では、
学 生 と教
員 の 間で緩 や か な し ば りが 起 きている。
その要 因 は、
アイデ ア と して描 か れ た ゴー
ル の イ メー
ジ が 共 有 され たこと。
そ れ に加
え、
地 域コミュ ニ ティに 発 表 し な くては ならない 目標 が 共 有 されたこ と にあ る。
さ ら に、
P3
では、
そのし ば りが 地 域コ ミュ ニ テ ィ に まで広が り始めて いる。
こ こ で は、
デザ イン し よ うと して い る 「こと」の価 値 など が共 有 さ れ たこと と、一
般 市 民 が視
野に 入 っ てき たこと が その要 因と言える。
次の P4 とP5 では、
P3
か らの 変 化はあ ま りみ ら れ ない。
P6
では、
実践
に参
加 し た一
般
市 民 を 共 同 体 の一
部
と してみ な し た 。彼
ら は計画 的
に当該
実 践 に 参 加 し た わ けでは ないが、
そ の場で表 現者
になる こ と を 自 分 の 役 割 と して遂 行 し、
公 開 さ れ た その状
況 をふ り返る こと灘
暫
二
1
∵
1
∵
二
隠
一
般市 民・
”一
丶・
,
”
農 業センタ気
.
丿
1
.
.
.
.
1
ノ 丶
0
一
○ ○ ○
学生000
○ ○
0
0
0
○ ○
0
000
○
00000
・員0P1
P2 P3 P4・
50
P
圏
曝
O
)
・
八
警
P6 P7口
C・
m・・
ni・・…D・・lgn 図1
.
デザ インプロジェク トの過 程で変 動 する デザ イン の共 同 体 で、
関 係者
と の しばり を生成
さ せてい る。
最後
に、
新
た な(
授 業 外の) 段 階P7
では、
新 た な 活 動 を 始 め た 学 生 を 中心とす る、
これ まで と は全 く異 な る 共 同 体 が 生 成 さ れて いる。
こ の よ う に、
「こと 」を デ ザ インす る 共 同 体 は、
そ れ が お か れ る状
況 に よっ て変化
し、
固
定化
してはいない ことが わ かる。
こ の事 態
は、
社会 的
な活動
へ の参
加を と お し て得ら れ る役 割
の変
化が、
状況 に依存
し な が ら都度
起こ る こ と を意味
し て い る。
移
りゆく関 係性
の中で、
構
成 員が そ こ で の自
分の役 割を見つけ、
そ れ を創造 す る行 為につな げ る こ と。
そ れ を促進 す る知性
こ そ が デザ
イン共
同体
を創 出
す る デザ
イン の知
なの では ないだ
ろう か。 そ れは、
本
デザ インの プ ロ セ ス で見出
された次の よ う な力
に起
因す
ると考
え られ
る。す なわ
ち、
自分
も デザ
イ ン し て も い い んだと思えるカ
、
ゴー
ル を先
に描
く力
、
表
現 を他 者
と共有
し 味 わ う 力、
答 え を 探 すのでは な くっ くる 力で あ る。
こ のよ うな 力と行いが 育 ま れ ることが 大 切 なのだ。
5.
お わ り に新
野佑 樹
、
西村 拓
一
:Co
−
design
プロジェ ク トが 自発的に回ること
一
社
会を形 づく る デザイ ン に向け て、
人工知 能学
会誌
、
28
(
6
)
、
pp
.
886
−
892
、
2013
2
) 小 早 川 真 衣 子、
須 永 剛 司 :表 現の場の デ ザ インに お け る2
種 類の共 創
、
『計 測と制 御 』VoL51
,
No
.
11
特 集
号 「共 倉
1」
シス テム」
、
pp
,
1082−85 、
計 測 自 動 制 御 学 会、
2012
3
)
藤 井 晴 行、
須 永 剛司、
原 田泰、
岡 本 誠、
小 早 川 真 衣 子 :次世 代デザイ ン カ リ キュ ラ ム の
探
求一、
デザイ ン シ ンポ ジ ウム
2012
、
京都 大 学
、
2012
4
) 村上徹 也 ;大 学に お け る サー
ビス ラー
ニ ングへ の アプロー
チ
、
『愛 知淑 徳 大 学
コミュ ニ ティ・
コ ラボレー
ショ ン創 刊
号
2007
』、
愛知 淑 徳 大 学
コ ミュ ニ テ ィ・
コ ラボレー
ションセンタ
ー、
pp
.
89
−
103
、
2007
5
)
小 早 川真
衣 子 ;美 術
ア プロー
チ によ
る共
同デザインに関
する 研 究
、
『アク テ ィブ
ラー
ニ ング2013
』、
愛知
淑徳
大学 紀
要
、
Vol,
7
、
pp
.
23
−
32
、
2014
年7
月31
日6
)Jean
Lave
,
Etienne
Wenger
(著 )、
佐 伯 胖 (訳 )、
「状 況 に埋 め 込 ま れ た 学 習
一
正 統 的 周 辺 参 加」、
産 業 図 書、
1993
大学生 た ち が、
自分た ち の学び と社 会 貢 献の た め に、
地 域と連携
し て新
た な経験
と し て の 「こ と 」 をデザイ ン した 事 例 を紹
介 し た。 そ こ に参
加す る人び と を デザイ ン の共
同体
と捉
え、
そ れを組 織 す
る構成 員
の役 割
につい て省察 す
る こ とから、
デザイ ン 知 が 支 えている 次 の 特 性 を 見いだ し た。 す な わ ち、
イ,
デザ
イ ンの 共 同 体 は 固 定 化 しない、
口.
共 同 体の変 化
は新
しい役 割
を 見 出 す チャ ン スを 促 す、
八 そこから全 く新
しいデザ
イン の共 同体
が生
ま れ ることの3
点
であ る。
このような
デザインの共
同 体が地 域に寄り そい創 出さ れ ることこそ が 実践 者た ち の デ ザ イ ンマ イン ド を鼓 舞
し、
様
々 な問 題を よ り良
い方 向
に向
か わ せ る はず
だ。
今 後、
ま た、
この よ う な 地域と連携
す る 大学
生の学び を 促 進さ せる 「デザ インの知
」 と そ の知
が共
同的
な活動
の支
え る メ 力ニズ
ム を よ り詳 細 に 検 討 す るこ とが 課 題であ ると考
えて いる。
謝
辞 :名 古 屋 市 農 業 センター
な ら び に 本 学の学 生 に謝意
を 表 す 参考
文 献1
) 須 永 剛 司、
小 早 川真
衣 子、
山
田 ク リス孝介
、
渡辺 健 太郎
、
46
デザイ ン学研 究 特集号special issue ofjapanese sDci啣 forthesoience efde$ign