C A N C E R ,2 (1992) 7- 12
つれづれなるままのカニ記
一 寄生去勢について一
星 野 憲 三 は じ め に10
代の末か ら20
代初期の学生時代 に私 は酒井 恒先生, 岩佐正夫先生 にお教えを受 けま した. そ の一員 として, 今の年齢に突入すると当時をなっ か しむ頃 とな りま した. 大学卒論か ら10
年余 り の間 に十脚 甲殻類 の寄生去勢Parasitic
castra-tion
につ いて魅力 を覚 え, フクロムシの寄生 に よって起 るヒライソガことイワガこの性転換につ いて調べはじめました. 当時は中学校の理科担当 の教員職 と並列 させて, 宿主の外形的変化 とフク ロムシの宿主体 内 にお ける根系root-system
の 分布状態調査を続 けま した. その継続 として寄生 去勢のメカニズムの求明へ と入 ろうとした時期に 学校教育現場の教育研究推進係や らで物理的にも 時間的にも全 く不可能になりま した. お陰様で平 成3
年3
月に38
年間の教育職 を定年退職 し, 覗 在神奈川県立博物館の地学室で古生物担当の非常 勤 として勤務中です. 甲殻類学会 とも久 しくごぶ さたをいた し, 大変心苦 しい限 りですが, この場 をおか りして回想的カニ記を したためてみること にいた しました. よろしくご指導 いただけると幸 甚です. 寄生去勢への魅力 大学2
年の頃, 横須賀の馬堀海岸でフクロムシ が寄生 している ヒライ ソガニGaetice depressus
の個体を採集 しま した. それと前後 して酒井恒教 授か ら系統動物学 の講義 を受 け十脚 甲殻類D
ec-apoda
と根頑類R hyzocephala
との関係 を学 び ました. これが寄生去勢への興味が向いた原点の ように思えます. ヒライソガ二については卒論で まとめま したが, 被寄生個体数が比較的少いこと K enzou H o sH IN O :O n the parasitic castration ofshore-crabs caused bySacculina.
7 と, 宿主体内の糸根の外鞘が薄 く, 他組織 との区 別が明確 にで きないこと等により, その後 イワガ ニ
Pachygrapsus crassipes
R A N D A LL に対象をか えま した. 寄生去勢 とい う現象 は節足動物A rthropoda
の中で も甲殻類Crustacea
や昆虫類H exapoda
山
門
U・
出
U
Iu哲
-山
田
-山
野
Ⅵ
図 1. 寄生を受けた雄ガ二の腹部の形態変化 a .正常雄 b . 正常雌 C .被寄生宿主と体内への糸根分布状態 d . 被寄生雄の腹部, 雌性化 と抱卵肢の出現8 つれづれなるままのカニ記 (Insecta) の一部 に見 られる現象で, ある種の寄 牛山 (ほとんどが同一綱) がつ くと性徴に変化を 起 こす ことで知 られています. 最 も代表的なもの は甲殻類で, 雄 ガこに根東類R hizocephalaのフ クロムシSacculinaが寄生す ると雌性化現象がみ られることです. 前ページの図Ⅰはその例です. この 図 は フ ク ロ ム シSaccuigna confragosa B oscHM A の寄生 を受 けたイワガニPach3JgraPsus crassipes R A N D A LLの例です. 図 d, XIに示す個 体の腹部 は完全 に近 い雌性化を していますが, 班 としての交接肢,copulatory style (図a,cs.) は 細 く衰退 はしていますが残存を しています. 交接 肢 を 基 部 で さ さ え て い る頑 丈 なcarcareous bridge(図a,cb.)が正中線 より消失 しています. この よ うな現 象 はす で に
1881
年 オ ラ ンダの M A LM 氏 によ って発見 されていま したが学術的 には1886 - 1888
フラ ンスのG IA R D 氏 によ り寄 生去勢castration parasitaireとして記載 されま した(1887).
この名称 は脊椎動物の去勢 と似てい るところか ら付 けられたもののようです. 私の調べた図I d刃Ⅰのように雌性形態 に最 も変 化 した雄の個体で も精巣 と輸精管 にフクロムシの 糸根の付着 は認め られず, 細 く衰退 は しているも のの し''.か りと残存 していました. 糸根の付着 は む しろ卵巣の方
が著 しく, 卵巣 としての機能 は全 く低下 しているか殆 ど機能 していないのではない か と思われるほどで した. しか し不思議なことに 寄生雌の雄性化現象 は全 く見 られません. このこ とか ら考えると, 脊椎動物の去勢の概念 とは根本 的 にちが う現象 のよ うに思 えてな りませんで し た. すなわち, 脊椎動物の去勢 とは, 一次的に生 殖巣の摘出という人工的処理 (手術) がなされ, 二次的な現象 と して性 ホルモ ンの分泌異常が起 り, 性機能障害か ら性の形態的変化が生す るもの です. 寄生去勢の場合 は精巣 はそのまま残存 して いますが外部形態のみが雌性化す るのです. しか し完全に近い雌性化 といって も, 腹中の拡大化 ・ と抱卵肢の出現 までで, 雌性生殖孔 (図I b,gp.) の形成 はされていませんで した. 本質的な去勢の 概念 と異 るところはこの点のちがいです. 研究が 進むにつれて, 脊椎動物の去勢 とは本質的に選 る ことが指摘 され出 し 「寄生間性」 又 は 「寄生 によ る性徴 の転換又 は変化」
の表現 が該 当であろ う (平岩馨邦 ・ 岡田要) とい う説が出され るように な りました. しか し, 寄生去勢 という用語 は歴史 的にも古 く親 しみを持っ呼び名 として今で も使わ れていますが, 概念的なちがいがあることだけは 認識 してお く必要があると思われます. 前述 したように, 寄生去勢 は甲殻類ばか りでは な く, 昆虫類 にも見 られます. 撚麺類 Strepsipt-eraの寄生 を受 けた蜂の第二次性徴 に性転換がみ られることで一般 にStylopization と呼ばれてい ます. このような現象が広い動物界の中で も, ご く限 られた節足動物A rthropodaの しか も更 に その一部である昆虫類H exapoda (Insecta) と甲 殻類C rustaceaの特定種族 の中でみ られ ること は不思議な現象 といわざるを得 ません. そ して, もう一つ興味 あ ることは, 宿主 と寄生虫 の関係 が, 分 類 上 か ら言 って 同一 の門P hylum と綱 C lassに属 していることです. この ことは第二次 性徴の変換の し易 さに大 きくかかわ りを持っ要因 が潜んでいるように思われてな りません. そ して 更に, 前述 したように, 本質的な去勢概念 とは異 る点があることです. 甲殻類の寄生去勢 は大 きく次の2
っに分かれて います. これは去勢 という概念か ら脱脚t た表現 としてS M IT H(1902 - 1912)
以降, 専門的にこの 用語が使われました. ① Sacculinization 板 東 類 で あ るSaccuiina sp.,Peltogaster sp.,L ernaeodiscs sp.により, 内部寄生の 被害を受 けるヤ ドカ リ・ エビ ・ カニの場合 ② E picaridization 等脚頬IsopodaのE picarida亜 冒によ り, 外部寄生の被害を受けるシャコ ・ エビ ・ カ ニの場合 E picaridizationの場合 はえびや どりむ し, か にやどりむ し等がエビ ・ カニ ・ アナジャコの鯉腔 内に外部寄生す るものです. SacculiniT.ation について 以上のような経緯の中で, 私が手掛 けた寄生去 勢 はSacculinization の範晦のもので した. これ は前述 のE picaridization とちが って完全な内部星 野 寄生でカニの消化管 に沿 って植物 の根毛 のような 糸根rootをはびこらせて, カニの内臓識器官, 特 に消化管 ・ 中腸腺 ・ 卵巣か ら養分 を吸収 して生活 す るものです. フクロムシSacculina sp.が宿主 のカニに寄生す るようす はどんな過程を通 るので しょうか ? フクロムシの寄生 を受 けたカニは岩礁地帯 の磯 浜でみつけることがで きます. イワガ二 ・ ヒライ ソガニに多 くみ られますが, 雌雄共腹部 に卵塊状 の袋をつけて,います. (図IC, ・ 図Ⅳ) この袋 の 中は, 寄生虫であるフクロムシの卵で満 されてい ます. この袋 の先端 には成熟卵を水中に放卵す る ための放卵孔 を有 し, 成熟卵を ここか ら海水中に 放出 します. 成熟卵 は放卵後, 海水中でノープ リ ウス幼生N auplius larvaにな りプランク トンと しての生活 に入 ります. 下 の図Ⅱにその過程を示 してみます. 成熟卵が袋の中で照化 しノープ リウの状態で放 卵孔か ら海水中に泳 ぎ出る場合 もあ ります. ノー プ リウス幼 生 は次 の段 階 の キ プ リス期C ypris stageに変態 しやは りプランク トンとしての自由 遊泳生活を します. ここまでの外部形態 は甲殻類 としての特徴 を完全 に貝備 していますが次のケ ン トローゲ ン期K entrogen stageに入 ると甲殻類 と して の体形 的特 徴 を失 って い きます. C A U L -L E A Y 氏 によると, キプ リス期 に変態 して数時間 後 に, 自ら宿主 となる若 いカニの腹部の毛根 のつ け根 に頭部 にある矢状の付属肢 によ り付着す るそ 図日 サツキユIJ ナ幼生の発生過程 ⊂㌫ゝ ノープリウス幼生N auplius larva キプリス期Cypris sta9e C, 宿主の腹部毛根に付着するキプリス d, 吻状突起を宿主体内に刺 し込み C.d で遊泳 肢と殻を離脱させる. e, ケントローゲン期Kentrogen stage. (Y .D ELA G Eによる) 憲 9 うです. そ して更 に図eで示すよ うな吻状突起 を 宿主体内に刺 し込み, 遊泳肢 と殻 を脱皮 によ り離 脱 させ細胞塊 の シス ト状 にな って付着 してケ ン ト ローゲ ン期を迎えるとい うことです. その後 は本 体が刺 し込んだ吻状突起 を経 由 して宿主 の循環器 系 に入 り, 消化器上 に定着 して次 の図Ⅲに示す体 内寄生 の生活 を開始 いた します. この時期を経過 してか らフロムシの宿主体内での生活が本格的に 開始 され るのです. 私の調べた ものについては, 糸根がカニの体腔全体 に分布 していま した. 特 に 著 しいのは消化器管 ・ 中腸腺 (肝臓) ・ 卵巣で し た. 特 に中腸腺 は健全 な ものでは小 さな細 い袋状 の集団が房状 に群が っていますが, これが糸根 に よって完全 に融着 し合 いまわ りが糸根集団の被膜 におおわれたかのように観察 されま した. 全体が 健全な ものよ り硬 く縮少 し, 色 も茶色がか ってい ま した. 消化器では胃部 は側面 にわずかに認 め ら れますが腸では背面部 は粗ですが側面 と腹面部 に は糸根 の被膜でおおわれ, 栄養分吸収 の恰好 の場 として認 め られ ま した. B o A S氏 によると宿主体 内への糸根 の分布 は体腔内胸節 の筋肉内, 歩脚, 紺脚 にまで及ぶ ことが図で示 されています. (図 Ⅳ) 私の調べたイワガニでは, 歩脚, 紺脚 の筋肉中 には糸根が認 め られず, 胸部 の筋肉中の中心部 に 図 Ill サツキユリナの内部寄生初期のようす. 1, ケン トローゲン期を経て循環器へ侵入 し 消化器上部に仮定着 した寄生体 S 2, 消化器の下部へ中心体を移動させ根系の 基礎S を必要部に定着させる. 糸根「 を 延ばしはじめる. 3, 糸根 「が次第に体内に分布 していく. 特 にnの部分を核nucleusと呼び将来ここ から卵嚢が外部へ突出する. (G EO FF R EY S M IT H による)
10 つれづれな るままのカニ記 図 IV サツキユリナの寄生を受けたカニの体内にお ける糸根の分布状態, (左側で示す) (B o A Sより) 糸根が認め られま した. (図 Ⅰ, C ) Sacculinization については今 までに多 くの研究 がなされています. 特 に印象深 いものを並記 して みます と ●SM ITH 氏
(1906)
は寄生虫の脱落後 に再生 した 精巣中に卵細胞が発生す ることを発見 しま した. ●P oTTS 氏(1906)
は Peltogaster の寄生を受 け た ヤ ドカ リのE uPagurus m eticulosus 及 びE . prideauxiiで精巣中に卵細胞を発見 しています. ●岡田要 ・宮下義信両氏(1934)
によるモクズガ ニE riocheir jaPonicusにSacculina gregaria が 寄生 したものによって雄部中の拡大 ・放卵肢の出 現 と合わせて精巣中に多数の卵細胞を発見 しています.
●平岩馨邦氏
(1939- 1942)
によればカ リガネェ ガイB arbatia obtusoidesに共生す るヤ ドリガニPinnotheres cyclinusやマガキO strea gigasに共 生す るP.sinensisの両者 でSacculina の被寄生 個体の精巣を調べたところ, 卵細胞がみ られたと
いうことです.
●R EINHARD氏
(1950)
はCallinectes sapidusに L oxothylacus texanusが寄生す ることにより, 班 の腹節の拡大化 と4
節か ら6
節へ と分節 し二又形 化の腹肢の出現を確認 し, 更 に正常な未成熟の雌 カニの腹 巾が狭 く腹節 もやや未分化であるが, こ れに早期寄生を受 けた個体 は雄の雌性形態 と同 じ 現象を起 し早期に雌性化す ることをみています. このように Sacculinization における雄 の性的 変化 は, 形態的な もの (問性化) のみの場合 と, 精巣中に卵細胞が認め られる (雌性化) 場合が調 べ られています. しか し, 精巣中に出現す る卵細 胞が果 して真の卵細胞であるか否かに問題を残 し ています. 岡田氏(1935)
によると甲殻類のほか節足動物 では蜘形類 ・昆虫類 ・環形動物の或 るもの, 棟皮 動物の ヒ トデ類 ・ 脊椎動物の魚類 ・僅虫類及 び鳥 類で も, 正常 と思われる個体の精巣の中に ・精巣卵 testis-ovum ・ 類似卵母細胞 oocyte-like cell ・偽卵母細胞 pseudoocyte という3
っの概念を持っ細胞が発見 されることが あると言われています. 果 して上記 Sacculiniza-tion に依 って生ず る卵細胞 は真の ものであるの か, そうでないのか も今後残 される大 きな課題 と いえま しょう. Sacculinization のメカニズム Sacculinization にける性徴の発育阻害 は実質 的には寄生を受 けた雌雄のいづれの場合にも現わ れ, 寄生虫の侵入時期の早いものほど影響が著 し いようです. 寄生虫の宿主 に対する影響力を第一 要因 とす るな らば, 第二要因 として宿主であるカ ニ自体が性的に不安定な特性を持 っているように 思われてなりません. たとえば, 内田 ・岩佐両氏(1932)
は三崎産 の ヒライ ソガニG aetice depre-ssusの正常個体 に間性型 の多 いことを発見 して お られます. 性 の決定 には一義的に遺伝要因があ りま しょ う. 授精卵の段階で性決定がされることは常識で すが, Sacculinaの寄生を受 けた結果, その一義 的な遺伝要因を越える二義的な原因が介在する訳 けで, 性徴の変化が起 るので しょう. そ してカニ の持っ もう一つの特性 は, 雄の雌性化の方向のみ で, 寄生雌の雄性化 は発見 されていません 二義 的な要因は何で しょうか ? この背景 には前述 しましたが, 宿主 も寄生虫 も 同 じ節足動物で同 じ甲殻類であることです. そ し て寄生虫のSacculinaが宿主の体内にケ ントロー ゲ ン期以降侵入 して図Ⅲに示す時期を interna の 時期 と呼びますが, この時期か らカニの腹節上皮 を破 って外部 に卵嚢 を出現 させ るexterna の時星 野 憲 までに寄生虫そのものは雌性的発育をす る訳 けで す. この時期に同 じ甲殻類であるか らには寄生虫 体内か ら分泌 されるであろう物質が遺伝要因を越 える二義的な雌性化へ と作用す ることが考え られ ます. 特 に雄 ガニであれば, この雌性要素を持っ 寄生虫の影響を大 きく受 けることは想像 にかた く ありません. S M IT H 氏
(1906- 1910)
に よ る とSacculina の寄生 によって生産 され る性的形成物質sexual form ative substanceの為せる技 と述べてお り,T u c K E R 氏
(1920)
もこれ と同 じ意見を持 ってい ます. この物質が大 きな卵嚢を持っSacculinaか ら産出され, これが特 に雄 ガニのみに形態的変化 を もた らす ことは十分 に考え られることと患われ ますが, 今後求明すべ き課題でありましょう. 性的形成物質のもう一つ求明すべき分野に宿主 の胸部神経節thoracic ganglionへの糸根の侵入 があげ られ ます. 松本邦夫氏(1952)
によ るとCharybdis jaPonica に 寄 生 し たH eterosaccus papillosusの糸根が胸部神経節の内部 に侵入 し, 内分泌物質 の調整役 的存在 の神経球nerve cell を著 しく侵害 していることを発見 しています. 私 の調べたイワガ二で も胸部神経節thoracic gan-glion への糸根侵入が認 め られま した. このよう に神経分泌細胞がカニにおよぼす性徴的役割 とフ ill クロムシとの関係 も今後の課題 と思われます. 前述 したカニの性的不安定 さですが, 雌雄の形 態をみると, その特徴 は腹部の巾と紺脚の大小 に あるようです. 成熟 した雌の腹部の巾は広 く線毛 m arginal hairがあ り, 腹節 も基本形 として完全 に分割 し
Ⅰ∼Ⅶ
節が一般的です. そ してⅡ∼Ⅴ
節 にはそれぞれ1
対ずっの二又形の腹肢 (抱卵肢) を備えています. 紺脚 は雄 より小型が一般的形態 です. 雄 については種類によってやや異 りますが 腹 巾は狭 く腹節 も融合 して雌 より少な く, 腹肢 も 二又形 は認め られずⅡ節の両端に二又型ではない 交接肢が1
対存在す るのみで単純の傾向を示 して います. 節足動物の進化の過程をみると下の図Ⅴに示す ようにその原始 は今で言 う環形動物A nnelidaで あったようです. これは体全体が頭部 より尾部 に わたって体節がみ られ, 体節 ごとに1
対の付属肢 があ りま した. 進化 した陸上生活 の多足類 M yr-iapodaはまさに節足動物 の原形 と言 ってよいで しょう. その後色々な種族 に分化 し一般 に高等甲 殻類 と呼 ばれ るエ ビ ・ カニの仲間が生 まれま し た. 「個体発生 は系統発生を操 り返す」
と申 します が, 私達人類で も, 胎児の初期には尾 と鯉を持っ ウーパールーパーのような時期がみ られます. カ ニに して も発生初期に卵細胞の中で体節が全て整 図V .
節足動物の進化の系統 について12 つれづれなるままのカニ記 い,
1
体節 ごとに一対の腹肢 の根跡のような もの が見 られる時期があるそ うです. しか し成長 して い く間にその種 に適 した体形 に脱皮を繰 り返 しな が ら定着す るわけです. この中で もカニの仲間に ついては他 の極 と比べて雌 と雄の形態が このよう にちが って くる特徴があ ります. 節足動物 の基本 形か ら考えると成熟雄のカニの体形が一番不安定 な ものを持 っているのではないで しょうか. しか も成体 にな って も定期的 に脱皮 を繰 り返 すため に, 体内のア ンバ ランス状態が, 直ちに体形的に 安定 した雌形, 即 ち, 節足動物 としての基本形 に 近 い安定形 に変形 してい くという考えはいかがで しょうか. これ等 はあ くまで も想像であって, 今後求明す るべ き課題 と思われます. なお, この点 につ き最新の情報が ございま した折 にはよろ しくご教導 いただければと存 じます. (日本甲殻類学会会員) 参 考 文 献M ALM,A . W .1881.0 m cirripeder fauna vid B ohus-lans R ust. G otedorgs N aturhist. M us., Zool.zoot.
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