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脳血管疾患による長期入院者の受診状況~レセプトデータによる入院前から退院後5年間の受診の分析

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Academic year: 2021

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1――はじめに 生活習慣病の1つである脳血管疾患の有病者数は、高齢化や生活習慣の変化によって増加しており、 今後も増加することが予測されている1 一方、脳血管疾患による死亡率は以前と比べて低下している。また、脳血管疾患による入院中に手 術を受けている割合は増加しているものの、診断技術や治療技術の向上や医療政策によって入院・外 来ともに受療率は低下し、入院時の在院日数も減少している2。しかし、脳血管疾患は、突然死をまね くこともあるほか、他の疾病と比べると入院時の在院日数が長い傾向がある。また、退院後は他の病 院へ転院したり介護施設に入所することもあり、治療に長期間を要する点が特徴となっている。 そこで本稿では、脳血管疾患によって長期入院(ここでは30 日以上の入院)をした人に着目して、 脳血管疾患による長期入院患者の入院前6か月間の受診状況から退院後5年間の受診状況をトレース し、入院前の受診状況、入院中の診療行為、入院後の行き先、その後5年間の受診状況について分析 を行った。 2――レセプトデータを使った分析結果 1|使用したデータと分析対象者の概要 (1) 使用したデータ 分析に使用したデータは、(株)日本医療データセンターによるレセプトデータベースである3。こ のデータベースは、いくつかの健康保険組合のレセプトデータについて、個人を特定しうる情報を完 全に削除した上で市販されており、各種研究で活用されている。健康保険組合加入者によるデータを 1 秋田県脳卒中医の会「秋田の脳卒中」公益社団法人 日本脳卒中協会 2013 年2月で、2025 年まで増加を続けることが予 測されている。この試算で有病者数とは、「脳卒中になったことがある人」とされている。「脳卒中」は、通常、「脳梗塞」、 「脳内出血」、「くも膜下出血」の総称として使われる。 2 詳細は、村松容子「脳血管疾患発症者の医療機関受診状況の変化~公的統計による時系列分析」ニッセイ基礎研究所、基 礎研レター2014 年 10 月 14 日号をご参照ください。 3 データの一部を 2012 年度財団法人かんぽ財団の研究助成で購入した。本稿の発行にあたっては、(株)日本医療データセ ンター倫理委員会(IRB)にて内容の確認を行っている。本稿は、(株)日本医療データセンターの提供したデータに依 存しており、筆者はその質についてチェックしていない。

2014-12-08

基礎研

レポート

脳血管疾患による長期入院者の

受診状況

~レセプトデータによる入院前から退院後5年間の受診の分析

保険研究部 研究員 村松 容子 e-mail: [email protected] ニッセイ基礎研究所

(2)

中心としているため、60 歳以上のデータが少ないほか、2008 年度以降は後期高齢者医療制度が施行 されたため75 歳以上のデータを含まない。 本稿では、このデータベースから (1)1つの医療機関で脳血管疾患4を理由に30 日 間以上継続して入院をしていること (2)対象となる 30 日間以上の入院を開始する時 点で、少なくとも過去6か月間さかのぼって レセプトデータを取得できること(すなわち、 対象となる30 日間以上の入院の前6か月間 は同じ健康保険組合に在籍していること) を条件に、分析対象者を抽出した。 なお、脳血管疾患による1回の入院が30 日以上 である割合は、脳血管疾患による全入院の4分の1 程度と考えられる5 6 (2) 分析対象者の概要 今回分析対象とした長期入院者は、上述の条件で 抽出した結果、全部で2,810 人(男性 1,603 人、女 性1,207 人)だった。男女それぞれの年齢分布をみ ると男女とも60 歳以上が半数前後と多かった7(図 表1)。 入院理由となっている病名は、「脳梗塞」がもっと も多く全体の45%、次いで「脳内出血」が 28%、「脳 血管疾患の続発・後遺症(以下「続発・後遺症」と する。)」が19%、「くも膜下出血」が 11%の順だっ た(図表2)。件数の多かった「くも膜下出血」、「脳 内出血」、「脳梗塞」、「続発・後遺症」について性別 にみると、男性で「脳内出血」が、女性で「くも膜 4 入院の主傷病が「脳血管疾患」であるものを抽出した。「脳血管疾患」は、ICD10(世界保健機構(WHO)による国際疾病 分類の第10 版)の「I60~I69(脳血管疾患)」で定義した(疑いを除く)。 5 詳細は、村松容子「再入院を含めた通算入院期間~レセプトデータを使った再入院状況の確認」ニッセイ基礎研究所、基 礎研レポート2013 年9月6日号をご参照ください。 6 今回のデータベースによる在院日数は、厚生労働省による「患者調査」で公表されている在院日数と比べると、短い傾向 があり、「患者調査」によれば30 日以上入院をしている割合は 42%だった。この差は、今回の分析に使ったデータベー スが就労者とその扶養家族を中心に構成されていることから、国全体と比べると年齢層が若いほか、少なくとも健康保険 組合加入者本人は就労できていることから、データには相対的に健康な人が多く含まれることによると考えられる。 7 データに含まれる健康保険組合加入者全体では 60 歳以上のデータが少ないことから、脳血管疾患の発症率が 60 歳以上で 高いことがわかる。 図表1 分析対象者の年齢分布 (資料) 日本医療データセンターデータより筆者作成。 6% 6% 18% 13% 29% 24% 28% 23% 12% 28% 0% 25% 50% 75% 100% 男性 (N=1603) 女性 (N=1207) 0-9歳 10-19歳 20-29歳 30-39歳 40-49歳 50-59歳 60-69歳 70-74歳 図表2 分析対象者の病名(小分類名) ( 注 ) 入院の理由として複数の病名が書かれている場合は 重複して数えた。 (資料) 日本医療データセンターデータより筆者作成。 11 9 13 5 8 14 13 22 12 7 3 28 30 25 51 35 34 29 35 34 24 13 7 45 46 44 27 41 41 47 38 41 49 53 7 8 5 6 8 5 7 9 7 7 8 6 5 9 9 7 7 6 7 12 10 14 8 24 17 23 15 12 9 8 19 17 22 10 5 6 9 12 16 23 30 0 50 100 150 全体(N=2810) 男性(N=1603) 女性(N=1207) 0-9歳(N=74) 10-19歳(N=37) 20-29歳(N=64) 30-39歳(N=157) 40-49歳(N=458) 50-59歳(N=752) 60-69歳(N=729) 70-74歳(N=539) I60:くも膜下出血 I61:脳内出血 I62:その他の非外傷性頭蓋内出血 I63:脳梗塞 I64:脳卒中,脳出血又は脳梗塞と明示されないもの I65:脳実質外動脈の閉塞など I66:脳動脈の閉塞 I67:その他の脳血管疾患 I68:他に分類される疾患における脳血管障害 I69:続発・後遺症 %

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下出血」と「続発・後遺症」が多かった。また、年 齢別にみると、0~9歳で8「脳内出血」が、40~ 49 歳で「くも膜下出血」が、40~49 歳と 50~59 歳で「脳内出血」が、60 歳以上で「脳梗塞」と「続 発・後遺症」が、それぞれ多かった。 入院時の在院期間は、30 日以上 45 日未満が 38%、 45 日以上 60 日未満が 19%だった。一方、366 日以 上の入院も3%あった(図表3)。主な病名別にみる と、「くも膜下出血」で30 日以上 45 日未満の入院 が多く、「続発・後遺症」で366 日以上の入院が多 かった。 2|長期入院の前後の受診 (1) 入院前の受診歴 ~3割が入院前半年以内に受診歴があるが、「くも膜下 出血」ではほとんどない まず、今回分析対象とする長期入院者の直前6か月間 の脳血管疾患による受診歴をみると、全体の14%が入院 を、25%が通院をしていた。入院または通院のいずれか をしていたのは33%だった。 直前の入院歴や通院歴に性別による大きな差はなかっ た。年齢別にみると、年齢が高いほど直前に脳血管疾患 による通院歴がある割合が高かった。それに対して、0 ~39歳では、通院や入院をしていた割合が15%と低く、 この中には今回分析対象とする長期入院が突然発生して いるケースも含まれると考えられる。 病名別にみると、「続発・後遺症」では48%が、「脳梗 塞」では36%が、それぞれ対象とする長期入院の前6か 月間に入院または通院による受診をしており他と比べて 高かったが、「くも膜下出血」では9%と低かった。 続いて、対象とする長期入院が救急入院だった割合を みると、全体の41%が救急入院9だった。性別にみると 男性で救急入院している割合が高かった。年齢別にみる と、年齢が低いほど救急入院だった割合が高い傾向があ 8 0~9歳の「脳内出血」の多くが0歳時に発症している。 9 診療報酬点数表の「A300 救命救急入院料」が算定されていること、または、DPCレセプト上に「I60-I69 脳血管疾患診 断」があることと定義した。 図表3 分析対象者の在院期間の分布 (資料) 日本医療データセンターデータより筆者作成。 38 45 33 39 29 19 18 20 20 15 27 25 26 28 30 9 5 13 8 9 5 5 5 4 6 3 2 2 2 10 0% 25% 50% 75% 100% 全体(N=2810) くも膜下出血 (N=295) 脳内出血(N=781) 脳梗塞(N=1260) 続発・後遺症 (N=532) 30~44日 45~59日 60~119日 120~179日 180~365日 366日~ 図表4 長期入院前の受診歴と入院時の状況 ( 注 )( )内の数字は、対照入院前6か月間に入院歴または 通院歴のいずれかがあった割合 (資料) 日本医療データセンターデータより筆者作成。 14 15 13 8 16 15 17 12 4 18 15 14 25 26 25 12 17 21 30 40 6 15 29 42 41 44 37 49 47 44 41 29 65 50 42 24 (33) (33) (32) (15) (26) (31) (39) (44) (9) (26) (36) (48) 0 20 40 60 80 全体(N=2810) 男性(N=1603) 女性(N=1207) 0-39歳(N=317) 40-49歳(N=463) 50-59歳(N=756) 60-69歳(N=731) 70-74歳(N=543) くも膜下出血 (N=295) 脳内出血(N=781) 脳梗塞(N=1260) 続発・後遺症 (N=532) 入院歴有(対象入院前6か月間) 通院歴有(対象入院前6か月間) 救急入院(対象入院時) %

(4)

った。病名別にみると、「くも膜下出血」は6割以上が救急入院であり、他と比べて多かった。 このように、0~39 歳の若い層と、「くも膜下出血」による長期入院は、直前6か月間に受診して いる割合が低く、救急入院の割合が高いことから、突然発症しているケースを含むと推測できる。一 方、「続発・後遺症」は高齢に多く、病名のとおり脳血管疾患による後遺症等を示すコードであるため、 入院前6か月間の受診歴が多く、救急入院の割合が低いと考えられる。 (2) 入院中の診療行為 ~「くも膜下出血」患者の8割が手術を実施 今回分析対象とする長期入院中に受けた診療行為 をみると、手術を受けていたのが全体の17%でリハ ビリテーション(以下「リハビリ」とする。)を行っ ていたのが全体の68%だった(図表5)。 主な病名別にみると、「くも膜下出血」では78% が手術10を受けており、他と比べて突出して多かっ た。入院中にリハビリ11を行っていたのはいずれの 病名も半数を超えていたが、特に「くも膜下出血」 と「脳内出血」で8割を超えた。「続発・後遺症」は、 手術やリハビリ等の診療行為は他と比べて少ない傾 向があった。 なお、入院中は様々な投薬を受けているが、その うち、比較的長期にわたって投与し続けるとされる 抗血栓薬12についてみると、「くも膜下出血」や「脳 梗塞」で8割以上が使用していた。抗血栓薬の投与 は、「脳内出血」では47%、「続発・後遺症」では 55%だった(図表略)。 (3) 退院後の行き先 ~地域医療支援病院やDPC 導入病院からの転院は 多い 今回分析対象とする長期入院後は、全体の5%が 死亡、21%が転院13しており、残り75%程度が退院 をしていた14(詳細は後述。図表6、図表7)。死亡は、70~74 歳で他年代よりやや多かったが、性 別や病名別による大きな差はなかった(図表略)。 10 診療報酬点数表の「頭蓋・脳の手術(K145~K181)」が実施されていることと定義した。 11 診療報酬得点表の「H001 脳血管疾患等リハビリテーション」が実施されていることと定義した。 12 ATCコード(ヨーロッパ製薬工業会)の「B01 抗血栓薬」を使用していることと定義した。 13 同日、または翌日に別の医療機関に ICD10 の「I60-I69 脳血管疾患」を理由に入院しているものを「転院」とした。 図表5 入院中の診療行為 (資料) 日本医療データセンターデータより筆者作成。 17 78 25 11 5 68 85 86 71 50 0 20 40 60 80 100 全体(N=2810) くも膜下出血(N=295) 脳内出血(N=781) 脳梗塞(N=1260) 続発・後遺症(N=532) 手術有率 リハビリ有率 (%) 図表6 病院分類別、主な病名別転院者の割合 (資料) 日本医療データセンターデータより筆者作成。 21 28 37 25 33 5 8 31 33 20 10 0 10 20 30 40 全体(N=2810) DPC導入医療機関 (N=1760) 地域医療支援病院 (N=514) 特定機能病院(N=250) がん診療連携拠点病院 (N=722) 在宅療養支援診療所 (N=21) 上記以外の病院(N=1020) くも膜下出血(N=295) 脳内出血(N=781) 脳梗塞(N=1260) 続発・後遺症(N=532) (%)

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転院した割合を主な病名別にみると、「くも膜 下出血」と「脳内出血」で3割を超えて多かった (図表6)。 転院した割合を転院元である病院の分類別をみ ると、急性期病院を比較的多く含む地域医療支援 病院やDPC 導入病院で 25%以上だったのに対し、 療養を中心とするとされる在宅療養支援診療所と、 上記の分類のいずれでもない病院では転院は 10%未満と少なかった。 3|長期入院後5年間のトレース ~退院後5年間 60%が通院、25%が抗血栓薬の 投与を継続 つづいて、今回対象とする長期入院後の受診状 況をみるが、今回のデータのような健康保険組合 を中心とするデータベースに含まれる患者は、死 亡以外にも定年退職による脱退など様々な理由で 健康保険組合から脱退し、データが取得できなく なる。今回分析対象とした2,810 人の患者も、長 期入院から5年間で10%が死亡、85%が脱退して おり、3年後までの受診状況をトレースできたの は429 人(15%)、5年後までの受診状況をトレ ースできたのは114 人(4%)だった15(図表7) 脱退と死亡の人数の推移をみると、毎年、前年在 籍者の約4割が脱退をしており、死亡は分析対象 とする入院を開始してから退院後1年間までが多 かった。 途中脱退者については、脱退の理由は様々であり分析が困難である16ため、以下では、5年後も受 診状況をトレースできた114 人について、経過年別の入院や通院の有無、抗血栓薬の投薬やリハビリ の有無の推移をみた(図表8)。 14 レセプトには行き先の記載はないため、退院した 75%が家庭に帰っているのか介護施設等に入所しているのかはわから ない。「患者調査」によれば、脳血管疾患による入院の全退院患者のうち59%が家庭、8%程度が介護施設等の施設だっ た。 15 図表1で示したとおり、長期入院者の多くが 60 歳以上であるため、途中脱退者の中には退職による脱退も多いと推測で きる。今回分析対象とした長期入院者全体の平均年齢は55 歳だったが、そのうち5年間トレース可能だった長期入院者 の平均年齢は45 歳だった。 16 データには脱退理由が記載されていないケースもあるほか、健康保険組合のデータの場合は勤務先が健康保険組合から脱 退するケースもある。また、今回使用した市販のデータベースの場合は健康保険組合のデータが市販のデータベースに反 映されなくなるケースもあるなど途中脱退の理由は様々である。 図表7 5年間の死亡・脱退・在籍者数 (資料) 日本医療データセンターデータより筆者作成。 2678 1480 819 429 207 114 114 132 94 31 11 2 6 276 0 1104 630 379 220 87 2420 0 1000 2000 3000 対象入院時 退院後1年 退院後2年 退院後3年 退院後4年 退院後5年 5年計 在籍 死亡 脱退 (人) 図表8 5年間の受診状況(退院後5年間在籍者) (資料) 日本医療データセンターデータより筆者作成。 13% 11% 8% 5% 10% 31% 0% 83% 76% 69% 68% 64% 87% 60% 38% 32% 30% 29% 29% 31% 25% 37% 22% 14% 11% 9% 45% 4% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 退院後1年 退院後2年 退院後3年 退院後4年 退院後5年 退院後5年間計 退院後5年間継続 入院有率 通院有率 投薬有率 リハビリ有率

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その結果、退院後5年間に31%が脳血管疾患によって再度入院をしていた。退院後の経過年別の入 院、通院、抗血栓薬の投与を行った割合の推移をみると、いずれも退院後1年目が高く、それぞれ15 人(13%)、95 人(83%)、43 人(38%)だった。1年目以降はいずれも年ごとに減少しており、退 院後5年目には11 人(9%)が入院、73 人(64%)が通院、33 人(29%)が抗血栓薬の投薬をし ていた。5年間毎年、脳血管疾患を理由に通院していたのは68 人(60%)、抗血栓薬の投薬をしてい たのは28 人(25%)だったことから、退院後、通院や抗血栓薬の投薬をした患者の7割程度が5年 後も通院や投薬を続けていたと考えられる。一方、リハビリは、退院後1~5年間で51 人(45%) が実施していたが、毎年実施していたのは5人(4%)だけだった。なお、5年間、継続して入院し ていた人や毎年入院をしていた人はいなかった。 3――おわりに 以上のとおり、本稿では健康保険組合の加入者によるレセプトデータを使って、脳血管疾患によっ て30 日以上の長期入院した人の入院6か月前から退院後5年間の受診状況をみてきた。 長期入院前の受診歴をみると、全体の33%が直前6か月間に脳血管疾患を理由に通院、または入院 をしていた。しかし、0~39 歳の若い層と、「くも膜下出血」による入院者は、直前6か月間に受診 している割合が低いほか、救急入院の割合が高いことから、今回の長期入院が突然発症しているケー スを含むと推測できる。 長期入院中の診療行為をみると、手術を受けていたのが全体の17%、リハビリを行っていたのが全 体の68%だった。病名別にみると、「くも膜下出血」は 78%が手術をしており、他と比べて突出して 多かった。入院中にリハビリを行っていたのは「くも膜下出血」と「脳内出血」で、8割を超えて多 い。「続発・後遺症」は、手術やリハビリ等の診療行為が他と比べて少ない傾向があった。 転院状況についてみると、長期入院者全体の21%が転院をしていた。転院前の病院の分類別にみる と、急性期病院を比較的多く含む地域医療支援病院やDPC 病院で 25%以上が転院していたのに対し、 在宅療養支援診療所やこれら以外の病院では10%未満と少なかった。 本データのような健康保険組合を中心とするデータベースに含まれる患者は、死亡以外にも様々な 理由で健康保険組合から脱退しており、退院後5年間の受診状況をトレースできたのは114 人だった。 この114 人を対象に5年間の受診状況をみた結果、入院、通院、抗血栓薬の投薬を行った割合は年々 減少していたが、全体の31%が5年以内に再度入院をしていたほか、全体の 60%が通院を、25%が 抗血栓薬の投薬を、5年間継続していた。 冒頭でも紹介したとおり、脳血管疾患による受診は、入院中に手術を受けている割合が増加してい るものの、診断技術や治療技術の向上や医療政策によって入院・外来ともに受療率は低下し、入院時 の在院日数も減少している。しかし、今回5年間トレースをした人では、入院を継続している人はい なかったが退院後も再入院をしたり、通院や抗血栓薬の投薬、リハビリなどで受診を続けている人は 多く、治療が長期にわたって継続している。今後も国全体としては受療が減り、在院日数が減少する 傾向が続くと思われるが、発症者の受診は長期にわたって続く可能性があることから、引き続き受診 の動向に注目していきたい。

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