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精神薄弱教育における生活単元学習の授業分析に関する事例研究

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(1)

精 神 薄弱 教 育 にお け る生 活単 元 学 習 の

授 業 分 析 に関す る事 例 研 究

稲 垣 応 顕 Abstruct 精神薄弱養護学校のより良い授業と,そのための授業研究の方法を求める目的で, 小学部で行われた生活単元学習の授業分析を行 った。研究においては,量的 (客観 狗)情報を得るためにカテゴリー分析を,それを質的に深めるためにKJ法を用い た。研究の結果,授業に関 しては①授業の動機づけには,児童の感覚器官に直接訴 えかける教授活動が有効であること,②複数教師による授業 (チームティーチング) の場合,授業者間の役割分担を明確にする必要があること,③授業の展開に際 して は,児童-の直接の問いかけや理解度の確認を数多 く行 うことが望ましいこと,が 示唆された。また授業研究の方法に関 しても実用的な授業研究に向けての可能性が 示唆された。 Ⅰ は じめに- 問題 と目的-我が国で は,

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(昭和

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)

年 に養護学校教育 の義務制が実施 されlI,全ての障害児 に 学校教育 の門戸が開かれた。 そ して, この義務制 によ り,障害児教育 の課題 は, その量的 拡大か ら質的向上へ と転換がな されてい る (大野

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)

。 この質的向上 とは,換言すれば, 授業 の充実 とい うことであろ う。太 田 (

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1) 紘,養護学校や特殊学級な どの教育現場で 授業研 究会が盛んにな りつつあ ることを報告 してい る。 しか しその一方で,青木 ・桜井 他 (

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1) は現場教 師の立場か ら 「授業 の内容 について,事細かに討議す る授業研究 は, 教育現場で はほ とん ど見 ることがない

と告 白 し, その理 由と して学校現場の多忙 さを上 げて い る。 また,栗原 ・安 田 他 (

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2

)

は 「障害児教育 の現場 において は,児童 ・生徒 の実態が千差万別であ るために<中略>教 師の試行錯誤 の中で様 々な授業実践が試み られ てい るが,教 師の授業 に対す る悩 みは尽 きない」 と述べてい る。 もちろん,教師に とって 授業 とは一期一会 の真剣勝負の場で あることか ら, それに対す る悩 みは尽 きることがない であろ う。 しか し, それ らの結果 と して "いい授業 "の可否が, あ る一部教師の職人芸の よ うに.と らえ られて しま うことは問題であ る。 これ らの問題 に関 して安藤 (

1

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5

)

は,障害児教育で は,子供の教育的ニーズが個 々に - 6

(2)

1-よ り全 く異な るために,何 をどの1-よ うな順序性 を持 って指導を行 うかについてのマニュア ルがない と述べた上で, それ故 に 「学習者であ る子供か ら授業を出発 させ るボ トムア ップ の発想」が必要であ ることを指摘 している。筆者 はこの知見を支持 しているが, そのため に も授業研究 は不可欠であると考 えている。 そ して, それが 日々多忙 な教育現場で実施可 能 な ものでなければな らない ことはい うまで もない。 筆者 は, この問題 を考 えるにあた り,本研究の協力者 との意見交換や 自身の現場経験か ら,学校で行われてい る授業後の研究会 に注 目 した。 それ らの研究会では,通常,授業を 参観 した複数の教師がそれぞれ意見や感想を述べ合 う方法が とられてい る。 この方法では, 1つの授業を多方面か ら検討す ることがで きるとい う長所がある反面,客観的なデータが ないために,①話 し合いが表面的な事柄で終わ って しま う,④ そ こで出 され る意見が,発 言者の これまでの経験 ・価値観 ・感性 な どの主観 に基づ く感想であ ることが多 く,話 し合 いが平行線をた どる,③1つの授業であ って も教師の手立て i教材 ・場面 ・子供 の反応, 他,様 々な要素が複雑 に絡み合 ってい るため,各教師の視点や問題意識の違 いによ り情報 過多 とな り収拾がつかな くなる, な どの短所があ る。 また, そのよ うな状況の中で は,柳 本 ・都築 (1983)が指摘す るよ うに,障害児教育 における授業研究の成果が一般性 ・応用 性 に欠 くとい う問題 も発生 して くる。 そ こで本研究で は,今後の授業 に生かせ る示唆 と現実的な授業研究の方法を求 め ること を目的 として,実際に精神薄弱 (精神遅滞-Mental Retardation:以下MRと略記2))

養護学校で行われた生活単元学習の 1授業を対象 と して,授業分析研究を行 う。

2

.

生活単元学習の位置づけ MR養護学校 におけ る教育課程 および授業 は,普通小学校 ・中学校 と同様 に 日本国憲法 ・教育基本法 ・学校教育法 ・学習指導要領 な どを基盤 と して編成 されている。 しか しその ∫ 教育課程 各 教 科 徳道 別動特宿 秦護訓練● 図1 MR養 護学校 小学部 の教育課程 組 織図3) - 62 -中にあ って特徴的なのは,図1で示 し た領域 ・教科 を合わせた指導が認 め ら れていることであろう。 すなわち,MR養護学校小学部の教 育課程 は,学校教育法施行規則第73条 の7によ り,各教科 (生活 ・国語 ・算 数 ・音楽 ・図画工作 ・体育),道徳, 特別活動;養護 ・訓練の4領域で編成 されている。 ただ し,学校教育法施行 規則第73条の11の①, および同73条の 11の④ によ り, 「各教科 に属す る科 目

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の全部又 は一部について合わせて授業を行 うことがで きる

とい う合科授業の規定, 「各 教科,道徳,特別活動, および養護 ・訓練 の全部 又 は一部 について,合 わせて授業 を行 うことがで きる」 とい う統合の授業の規定が設 け られている。 これ らの法令を拠 り所 とし て,各養護学校では,在籍す る児童の実態 に即 しなが ら領域 ・教科を合わせた独 自の指導 が行われてい る。 本研究 で対象 とす る生活単元学 習 は, その形態 の 1つである。 文部省 (1986) は, この生活単元学習のね らいについて 「具体的な生活経験 を通 して,生活に必 要な基礎的知識,理解,技能,態度等の生活力その ものを高め る」 としている。 また, そ れを踏 まえて阿部 (1990) は,生活単元学習の基本的性格 を 「児童生徒が実際の生活 の中 で経験 している, あるいは将来の生活の中で経験す るであろう活動 を取 り上 げ, それを教 育的に再組織 して行 う学習であ る

と述べ, さらに 「児童生徒が生活 その ものに自発的, 主体的に取 り組 めるよ うな生活単元学習の在 り方が追及 され る」 ことを指摘 してい る。

授業分析 1.対象授業 (授業指導案の読み取 りによる) (1) 領 域 生活単元学習。

(

2

)

単 元 名 ファンタジーの世界で遊ぼ う

Par

t

l, 「グ リとグラの海水浴」。 (3) 授 業 者 教諭 7名 (主教師

3

名)0 (4)対 象 児 A県立 で養護学校 (MR) 小学部高学年16名 (男子11名,女子 5名)。児童の障害の程 度 は, いずれ も中度 ・重度であ る。 (5)単元 目標 親 しみやすい人形劇 にファンタジーの世界を求め, その雰囲気 に浸 る中で,皆で楽 しく 遊ぶ ことができる。 (6) 単元設定の理 由 抽象的な ファンタジ-の世界で遊ぶ ことは,見立て遊 びのできない児童 に とっては難 し い。 しか し,児童の好 きな音楽 ・ス トー リー (お話 し) と人形 とい う具体物を用いること で,児童達 に次のステ ップである 「劇遊 び」の単元 につなが る経験 を与え ることが可能で あると考 えた。 なお,

∼ができるよ うになる

といった 目に見える成果だけでな く,児 童の内面 -心の世界が, よ り豊かにな ることを期待 した。 - 63

(4)

-/ (7) 単元の指導計画 (全9時 間 ) 第 1次 :グ リ ・グ ラ と一 緒 に踊 った り歌 った り して 楽 し く遊 ぼ う (1時 間 )0 第 2次 :人 形 劇 を見 た り, 海 や 島 を つ くって 遊 ぼ う (6時 間 ) 0 第

3

次 :ス トー リー に沿 って 遊 ぼ う

(2

時 間, 本 時

2/2

,

4

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分)0

(

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)

登場人物 教 師 の配 役 :ダ リ (男 の子 ) グ ラ (女 の子 ) 海 ぼ うず (島 の代 表 ) 児 童 の代 表 :ヒゲ ち ゃん (ダ リと グ ラの友 達 ) (9) 単元の展開構想 表1 指導 案 の概要 (展開構想) 時間 学習活動の流れ 主教師の働 きかけ 児童の活動 留 意 点 5分 挨拶 .歌 グ リ .グラが登場す るo 見る活動が中心o教師の示範を見るo 大 き くは っきり 10分 15分 150分分 場面1 'グ リ .グラが浜辺で遊んで 動 くo 人形劇 を見 るo

場面2 瓶 の手紙を見せ るo海の歌を歌 うよ う促すo_犬泳 ぎをす るよ う促すoいるのを見せ るo 一緒 に活動 させ泳 ぎの手本を見出て きた児童 は,自分か ら舞台にるo

海ぼ うずか ら泳 ぎを クラゲ泳 ぎ卑するよう促すo 泳 ぎの練習をする○ せ るo

教わ り,真珠 島へ渡るo

場面3_ 真顔探 しをす るよ う促す○イルカ泳 ぎをするよう促すo 真珠探 しをす る.灯台 に真珠を入れ 動かない児童へ泳いで島まで渡 るoo 活発 に泳 いだ児童を賞賛 し,全員 の前で泳 いでの声かけや介助をす るoみせるよう促すoトンネル くぐり

島で真珠探 しをするo 全員で頑張 り,真珠を探 し や真珠採 りが1

灯台に真珠を入れるo たので灯が戻 ったことを告 人で出来 ない児

灯台に灯が戻 った こ げ,実感 させ る (とを見て喜 び合 うグ リとグラにさよな 体験 させ る)o さよな らの挨拶をす るoo 成就感を るoさよな らの挨拶を 童, 島に上がれ助をす るない児童への介o

らを言い,歌 を歌 うo 「また今度遊ぼ うね」の声 す るo

(5)

4-浜辺で遊んでいるダ リ・グラ ・ヒゲち ゃんは,手紙の入 った瓶が流れて くるのを見っけ る。手紙 には, 島の灯台が消えて しまったので助けて欲 しい と書 いてある。手紙 を読んで い ると, その後を追 うよ うに島の代表である海ぼ うずが現れ る。 グ リとグラは,何 とか し てあげたいが, 自分達の力だけでは無理な ことを告 げ,児童達 に協力を求め る。全員で海 ぼうずか ら泳ぎを教わり (リトミック的活動), 島へ渡 り, 島で灯 りの もと (真珠 に見立て た沢山の風船)を捜 し当て, それを灯台に入れ ることで,灯 を復活 させ る。 *授業の指導案の概要 を表 1に示 した。

2

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授業分析の視点 太 田 (1991) は,MR児に対す る授業研究の動向を 「授業者の在 り方や指導性」, 「教 師 と児童生徒の コ ミュニケーション過程 としての授業」, 「教材や教師の働 き掛 け とい っ た授業刺激」,か らまとめている。筆者 は, その知見を踏 まえつ?,MR児を対象 とした 授業 における "いい授業"を,教師 と児童 の間に感覚のズ レがな く,児童が楽 しみなが ら 学べ る授業であ ると考えている。 そ こで本研究 においては,教師の教授活動 と児童の行動 (反応) に視点を当て,量的また質的な分析を行 うことでその内容を検討す る。具体的な 視点 は,①授業の中で主教師はどのよ うな手立てによ り児童の 自主的行動 を引き出そ うと しているのか,④① に対す る児童の行動 (反応) は, どうであ ったか,換言すれば, それ らの手立て は児童の活動 にどれだけ効果的であ ったか,③@ の要因は何か,である.

3

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分析方法 本研究 において は,上述の視点か らMR養護学校で行 われてい る生活単元学習の1授業 を量的 ・質的に分析す る。 その方法 は,第 1に授業 を量的 (客観的)な側面か ら検討す る ことを目的に,VTRタイムサ ンプ リング法 によ りカテ ゴ リー分析 を行 う。 次 いで, 量 的分析で得 られたデータ (情報)を踏 まえ,VTR反復視聴法 と川喜田 (1967,1970)に よるKJ法を用いて質的分析 を行 う。 なお,本研究全体の流れを (図 2)で示 した。

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分析の手続き

(

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量的分析の手続き ①授業者 の教授活動 に関する分析 :本研究で用いる授業者の働きかけについてのカテ ゴ リ ーは,授業分析 において代表的なFlanders,N.A.(1972)によるカテゴ リー, および篠 磨 (1978), 田中 (1982), 中山 (1986),藤根 (1992)の各 カテゴ リーを検討 ・改良 し, 独 自の授業分析 カテゴ リーを作成す る (表2)。 そ して,場面1- 3におけ るカテゴ リー 別の時間を測定 し, その場面 ごとに占める各 カテゴ リーの割合を算出す る。 また,各場面 についてVTRを5秒毎 に止め4),授業者の教授活動 (働 きかけ)をカテ ゴリーに振 り分け - 65

(6)

-る。・ ㊥児童の行動 (反応)に関す る分析 :指導案の読み取 りか ら,授業で期待 され る児童の 活動 として,場面1では 『見 る』,場面2では授業者 と一緒 に 『自分な りに泳 ぐ (-活動 す る)』,場面3では真珠に見立てた風船を 『拾 って灯台の中に入れ る (-集団的な喜び や成就感を味わ う)』を抽出 し,その度合いの程度によるカテゴ リーを作成す る (表 3)0 図2 本研究 の流れ そ して,授業者が,見ては しい (行動 してほ しい) と意図 している 「演技による間接的ア プ ローチ

「共同動作

「示範

について,児童の行動 (郎 )をカテゴ リーに振 り分け l る。 さらに,下記の式によ り児童の授業への注 目度 と参加度を算出す る (図3,図4)0 なお,注 目度および参加度を算出す る際には, VTR 2台の画面に児童 が10人以上映 って いる場面のみとす ることを条件 と した。 また,分析 は,筆者を含 めた5人の研究者が合意 に達す るまで行 うことに した。 -66

(7)

-表2 教師の教授活動のカテゴ リー A 学 習 説 明 各場面の進行を確認 させ るキめの状況説明,またその補足説明やつぶ や きo 「これか ら∼をす るよ」

∼だよ」

∼があるよ」などo B 発 問 児童-の質問や,状況の確認を促すための問いかけo 「これは何ー?」 C 教 材 . 教 具 教材 .教具の提示oまた,それについての説明o

∼だよ」

∼に使 の 提 示 うんだよ」な どo D 示 範 例示的な援助行動,モデ リングによる教授活動o海ぼ うずによる泳ぎ (犬泳ぎ .クラゲ泳ぎ .イルカ泳 ぎ)などo E 共 同 動 作 A :全員で同一の動作活動を促す教授活動o B :授業者が特定の児童に同一の動作活動を行 うよう促す教授活動o_ F 演技による間接的 ア プ ロ ー チ 授業者同志の演技,.またその会話による教授活動o G 介 助 児童の学習活動参加を促すための身体的 .直接的援助 による教授活動o 座位姿勢の支え .移動の際の介助などO. H 指 示 児童主体の学習行動を促すための声かけ .指名 .誘いかけによる教授 活動o

○ ちゃん,∼やって」 「みんなで∼やろうよ」などo Ⅰ 行 動 抑 制 児童の学習課題か らの逸脱および不適切行動-の注意や直接身体を用 いた阻止 による教授活動o ∫ 作 . 莱 教材 ..教具の受 け渡 し,実際にそれ らを操作 させ ることで授業に関わ りを持 たせ る教授活動o K 受 容 .励 ま し 児童の発言や行動 に対す る受容 .共感の態度 また声かけo 「そうそう, いいよ」 「がんばれ」などo L 評 価 . 賞 賛 児童の発言 .態度 .行動の結果についての コメ ン トや行動o 「頑張 つ たね」,拍手,頑を撫でるなどo M 観 察 . 沈 索 授業者が教授活動を中断 し,児童の行動を容認また観察す ることo N 注 意 喚 起 児童を授業に引き付 けるための発言や動作o「あっ,あれ何?」などo -6

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質 的分 析 の手 続 き 筆者 を含 め た5人 の研 究者 が, 同時 にVTRを視 聴 しなが ら, 印象 や感 想 の断 片を付 篭 紙 に書 き留 め る。 さ らにVTR反復 視 聴法 に よ り気付 いた事柄 の断 片 を付 等紙 に書 き留 め る。 この作業 を, 量 的 分析 を終 え た後, 合計 で5回行 う。 次 に集 め られ た付 等紙 を グル ー ピング し, 教授 活動 とその反 応 につ いて ``質 的分析 の構造 図 " を作成 す る。 そ して, 得 ら れ た結 果 を文章 化 す る。 表3 児童の活動のカテゴリー a 自発的に見ている1 介助な しで授業者の動きを目で追 って いるo b 介助 されて見ている 介助 されつつ授業者の動 きを目で追 っているo C 不 明 ・VTRか らの判定が不可能であるo d 明 らかに見ていない 集団か らの逸脱 (多動)o 常勤行動 .視線が他に向いて いる,などo e 自主的に活動 している 指示や促 しに反応 し,授業者の介助を受けずに課題を逐 行 しているo f 介助 されて活動 している 指示や促 しには反応 しないが,授業者に介助 されつつ課 題を遂行 しているo 二g 不 明 ・VTRか らの判定が不可能であるo 自発的に見ている十介助 されて見ている 児童の注 目度 児童の参加度 -VTRに移 し出されている児童の総数 図3 児童の注 目度算出の式 ×100(%) 自発的に行動 している+介助 されて行動 している VTRに移 し出されている児童の総数 図・4 児童の参加度算出の式 ー6 8-×100(形)

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5

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結果 と考察 (1) 量的分析 について ① 授業者の教授活動 についての分析 :各場面 に占め るカテ ゴ リー化 した教授活動の量 的割合を (図5,図6,図7)にま とめた。 〔場面1〕 見 させ ることを 目的 と してい る場面1では,授業者の演技 による間接的 アプ ローチが最 も多 く全体の42.8%を占めている。次い,授業者 と児童の共同動作Bが28.8%であ り,こ の2つの教授行動で全体の7割とな っている。 その他 は,指示5.9%,評価4.7%,受容 4.6%な どとな っている。 この ことか ら,場面 1で授業者 は, ダ リとグラとい う人形 (敬 具)を媒介的要素と して,視知覚を通 したインパ ク トや理解 を促 していることが うかがわ れ る。 したが って,量的な側面では, ここでの教授活動 は授業のね らいに沿 っているとい えよう。 出講事 9 59

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図5 場面1における授業者 の教授活動 〔場面

2〕

次 に, 自分な りの泳 ぎをす るよ う促 した場面2で は,授業者 と児童の共同動作 (35.9%) が最 も多 く,以下 は示範 (15.3%),演技 による間接的アプ ローチ (13.9%),指示

(

1

2

.

7%),観察 (10.6%)と続 いていた。 この ことか ら,場面2で授業者 は見立て遊びの難 しい彼 らに対 し, 自発的な活動を促す ことを 目的 とした示範 によるモデルを示 しなが ら一 緒の活動 を共有 しよ うと努めていた ことが推察 され る。 したが って,量的な側面では,そ の教授活動が授業 のね らい と一致 してい ると思われ る。 一一6

(10)

9-〔場面 3〕 さらに,集団的な喜 びや成就感 を味あわせ ることを目標 としている場面3で は,授業者 と児童の共同動作 (47.8%)が最 も多い。 また,続 く演技 による間接的アプ ローチ (31.2 %) と合わせ ると, この2つの教授活動で全体の約80%を占めてい る。以下 は,学習説明 (5.5%),受容 (5.2%),評価 (3.3%)などとな っている。 この場面で も授業者 は, 児童の 自発的な活動 を促すためにス トー リー (お話 し)の状況を理解 させ ることに気を配 出.=^=_事 9

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(11)

りなが ら受容的態度で一緒の活動を共有 しよ うと努めていた こと, また児童 に活動の場を 補償 してい ることが うかがわれ る。 ④児童の反応についての分析 :本研究では,児童の反応についての量的分析 に際 して, 授業者が児童の注 目度 ・参加度を高めることを意図 して行 った<演技 による間接的アプ ロ ーチ-の注 目度><共同動作B・示範への注 目度><共同動作Aへの参加度>に焦点を絞 り結果 と考察を述べ る。 <演技 による間接的アプ ローチ-の注 目度> 場面1,2,3における演技による間接的アプ ローチ (以下 "演技"と略記)に対す る 児童の注 目度を (図8,図9,図10)で示 した。なお,横軸の台詞 は,各場面 における例 であ る。

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(12)

場面1で は,前述のように授業者側のね らいが 「見 させ る」 ことであったが, それに対 す る児童の注 目度は平均 して50%以下である (図8)。 この ことは,授業者が人形や舞台 装置などの教材 ・教具を工夫 しているに もかかわ らず, それ らが児童達の視覚的なインパ ク トになってお らず,授業参加への動機づけにな っていないことを示唆 している。したが って, この場面での授業者のね らいは実現 されたとはいい難い。一方,場面2の演技に対 して児童 は, (図9)の2-4,2-5,2-6を除 き60-90%の高い注 目度を示 してい る。特に体格の大 きな海ぼ うずが,大 きな動作でゆ っくりと登場 してきた場面の注 目度が 高 くなっている。 また,前述の2-4,2- 5,2-6は,誰が "泳 ぎの活動"を活発に 行 ったかについて ダ リとグラが話 し合 っている場面である。 ところが,児童達 は授業者が 用いる人形 よ りも,指名 されて前 に出て行 く友達の動 きに注 目 していることが明 らかであ った。 これに関 して も,指名 され行動す る児童の動作は比較的緩慢であ り, しか も "立 ち 上が る" "歩 く"など全身を使 った大 きな動作であ った ことが要因 として考え られ る。 さ

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他に

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に 上 手 だ っ た の は 1- ---ノ グ ラ ち ゃ ん は ? (は が 上 手 だ っ た か 聞 い て い る ) 図9 場面2の 「演技 による間接的アプ ローチ」への児童 の注 目度 - 72

(13)

-らに,場面3の演技についてみ ると, グ リ・グラ ・海ぼ うずの動 きに注 目している児童は 平均す ると40%に も達 していない。 これに関 しては,授業者の教授活動が再びグ リとグラ とい う人形同士の会話中心の進行 となったため,会話が授業者同士の ものとな った こと, 授業者達がステージに直立 した状態 とな り全体の動 きが小 さくな った ことが考え られ る。 なお, (図10)の3- 2が44%と相対 と して高 くなっているのは,授業者達が万歳を して る場面である。 )tt 誉 三 勺 か ら 出 す 八 に 人 ・e ろ が 明 か り ,T3 つ か な い

3

-

2

「 妄言「台 の 明 か り が つ い た こ と を ぴ ' み ん な に お 礼 を い う 骨 主 に 別 れ き る ︺ グ リ 、 グ ラ 、 ヒ ゲ ち ゃ ん み ん な に 別 れ を 告 げ ろ

J 図10 場 面3の 「演技 によ る間接 的 アプ ローチ」へ の児童 の注 目度 <共同動作B・示範への注 目度> 場面 1, 2の共同動作 Bに対す る注 目度の例をそれぞれ (図11,図12)で,場面 2にお ける海ぼ うずの示範に対す る注 目度を (図13)で示 した。 場面1は,数人の児童が指名 され, ダ リや グラと舞台に砂山づ くりをす るのであるが, それに対す る他の児童の注 目度は21%と低 くなっている。 これは,前に出た児童達が,他 の児童達 に背中を向けた状態で作業を したためだと思われ る。一方,場面

2

の共同作業

B

, -7

(14)

3-指 名 き れ た 子 供 達 が ク ラ ゲ 実 り を す る の 見 て い る t を ′ -∫ 2指子蓬名れ供がさた 2l犬預をすのをるり 見ていろ ■ 一

CD

図 12 場面 2 の共同動作 B に対する児童の注目度 -74

(15)

-すなわち指名 された数人の児童が前 に出てきて泳 ぎを披露す る場面への注 目度 は,犬 泳 ぎ

(

5

8

%) ・クラゲ泳 ぎ

(

8

0

%)

・イルカ泳 ぎ

(

91

%)

と高 くな ってい る。 また,海ぼ うず による示唆への注 目度 は,犬泳 ぎ

(

91

%)

に関 しては高 い数値が見 られ る。 ただ し, イル カ泳 ぎの示範の中で海ぼ うずが見せたボールを-デ ィングす るパ フォーマ ンスは,大 きな 動 きであ るに もかかわ らず相対的に低 い数値が示 されている

(

5

3

%)

。 なお, クラゲ泳 ぎ はその中間程度 (62%)を示 している。 上述の ことか ら,場面や状況によ り児童の注 目度 にはっきりと差があ ることが明 らか と な った。集中力が持続 しに くい

MR

児-の授業を行 う際には,授業者が大 き くゆ っくりと した動 きをとることに特 に注意を払 う必要が示唆 され る。 また,代表の児童 らに作業 を さ せ る際には,作業を させ る位置をは じめ,作業の行 程や変化が明快 に分か るよ う配慮す る 必要があ ると患われ る。

2-1

2-2

2

-

3

r

T

T

泳 菩 ル L t 芸 - 昌

L

i 〕 図13 場面2の海 ぼ うず による示範 に対 す る児童 の注 目度 <共同動作A-の参加度> 場面

2

,

3

の共 同動作

A

に対 す る児童の参加 度 と自発 的参加 度 を (図

1

4

,図

1

5

)

で示 した。場面

2

でのそれぞれの泳 ぎ-の参加度 は高 く

(

8

0

%)

,多 くの児童が活動の流れに 乗 ってい ることが認 め られ る。 その うち, 自発的な参加度 は低か ったが

(

3

0

-5

0

% 台), 「自分な りに

とい う授業者のね らいを踏 まえれば,介助つきであ って も,授業者のね ら - 7

(16)

5-土 少加 度 妾 加 圧 で 泳 IL う ︺ 図14 場面2の共同動作Aに対 す る児童 の参加度

壱加度

!≡ヨ 自発的墨加度

8

8 旬 日 0 8

-し

入 れ ろ ︺ 図15 場面3の共同動作Aに対する児童の参加度 -7

(17)

6-いは実現 された ことにな る。 今後, いかに児童の 自発的反応を引き出すかについて,指導 の成果が待 たれ るところであ る。一方,場面3の真珠を拾 う活動 については, 自発的に参 加 してい る児童が極端 に少ない (2%)。 これは, ほとん どの児童が,授業者の介助によ り活動 していた ことを意味 している。授業者 は,児童1人 1人が 自分で真珠を拾 い灯台に 入れた成就感 と, みんなで協力 して灯台の灯 をつけたとい う喜びを味あわせ ることをね ら いと していた。 しか し "海 ぼ うずを助け る⇒真珠を拾 う" "真珠を灯台に入れた⇒灯 りが ついた''とい う因果関係をどれだけの児童が理解 したかは,大いに疑問の残 るところであ るといえよ う。

(

2

)

質的分析 について 上述の量的分析 を踏 まえ, その内容 を さらに掘 り下 げる目的で質的分析 を行 った。 そ こ で,各場面 における授業者の教授活動か ら感 じられた長所 と短所 を

KJ

法を踏 まえて "質 的分析の構造図"を作成 し, (図16)で示 した。 〔場面 1について〕 対象授業の第一印象 と して,授業 の事前準備が綿密であった ことが うかがわれ る。 その 理 由と して,①教材 ・教具の準備が充分であった こと,④授業進行 に用い られたス トー リ ー (お話 し)の流れが 自然で はっき りしていた こと,③教材 ・教具の提示がスムーズであ った こと, などが上 げ られよ う。 また,全体的な印象 と して,児童達 は落ち着 いて着座 し ていた。 これは, ダ リとグラ役 の授業者が,常 に柔 らかで受容的な雰囲気 を保ちなが ら授 業 を進行 させたためで はないか と思われ る。 しか し,本研究 におけ る量的分析か らは,児童の反応にかな らず Lも良好な結果が示 さ れなか った。すなわち,授業者の教授活動が児童の感覚 とずれを生 じてお り,空回 りして い ることが うかがわれ る。 この原因について筆者 は,以下のように考えている。 ① 人形 を用いた ことで授業者の動 きが制限 され,視覚的なインパ ク トが弱 くな り,同時 に児童 にとってはス トー リーの展開がつかみに くくな った. この問題 に関 しては,劇 の 舞台を教卓 とい う極めて限定 された空間 と した ことも, その是非を考 えなければな らな い。 ④ 劇 の形式を用 いた ことで,授業が授業者間の会話中心で展開 した。 この ことは,児童 への直接の働 きかけが少な くな り,児童 にとっては授業者の教授活動が 自分達へ向いて いるのだとい うことが認識 されに くか ったのではないか と思われ る。 すなわち,授業者 は授業 を展開 しつつ も,児童の態勢や理解度を常 に確認す るとい うことが,重要であろ う 。 ③ 授業者 は,互いにア ドリブを交えた会話を行 っていたが, その声が重な る ・逆 に互い に黙 って しまい沈黙の時間がで きる, な どが見受 け られた. ここにチームテ ィーチ ング の難 しさの一端が うかがわれ るが,授業者間の役割分担の明確 さが求め られ る。 -7

(18)

7-〔場面

2

について〕 海ぼ うず役の授業者が主 にス トー リーを進行 させ, ダ リとグラがそれをサポー トす ると い う形式がと られている。 これによ り,授業者間の役割分担が明確 にな ってお り,児童 に とっては誰の何 を手がか りに行動すれば良 いのかが理解 しやすか ったので はないか と思わ れ る。 また,海ぼ うずの語 りかけが大 きな声で短 く簡潔に行われてお り,児童への指示 に は大 きなゼスチ ャーをつけてい る。 これ らの ことは,人形 を用いた場面では見 ることがで きず,児童を授業 に参加 させ る上で効果的であ ったと推察 され る。 しか も,児童全員に対 し 「自分な りに」を前提 と して体を動か させた (泳 ぎの疑似体験) ことは,児童 の活動意 欲 を増大 させた と思われ る。 これは,VTRで児童の喚声が多 く聞かれた ことか らも裏づ け られ る. さらに, その活動 に対 して フィー ドバ ックと しての賞賛 を強 く行 った ことは, 児童の充実感を満 たすのに効果があ ったのではないか と推察 され る。 ただ し,海ぼ うず役の授業者が行 ったパ フォーマ ンスであ るイルカ泳 ぎでのボールの-デ ィングは,量的分析の結果児童の注 目を さほど集 めていない。筆者 は,VTR視聴を行 う際に楽 しくその シー ンを見たが,我 々の感覚で楽 しい ことがそのまま

MR

の児童 に も通 用す るわけではない ことが分か る。障害の有無 にかかわ らず,教育 ・保育 に携わ る我 々が 子供を支援す る際には, それ ら子供の実態を把握す ることと共 に,常 に子供 の視線 に立 ち 指導 ・支援の展開を考 え ること,が重要である。 また,児童 に泳 ぎを促 してい る際に,他 の授業者の介助が非常 に多か った。VTRの画面か らは, それ らの介助が児童 を活動 に参 加 させ るための ものであると同時に,行動抑制のための ものであ った ことが うかがわれ る。 筆者 には, それが過剰介助に も感 じられた。 この問題 については,活動のね らいが 「自分 な り

に」

とだけ記 されていた ことか ら,授業者への模倣 (統一 された動 き) と児童が楽 し む ことの どち らが優先す るかによ りと らえが異 な って くる。本稿で は, これ以上の言及 は 行わないが,今後,授業のね らいと児童の実態の両者 に適合す る適切 な介助 について授業 前の検討 (授業者間の グループ コンセ ンサス)の重要性が示唆 され る。 〔場面 3〕 授業のね易 いとそれに対す る流れは,明確であ ったように思われ る。 教材 も児童 の興味 を引 くよ うに色 ・飾 り ・実際に灯が点 る,など様 々な工夫がな されていた。 また,授業者 のゼスチ ャーを交えた指示 も明快であ ったように感 じられ る。 しか し,授業のね らいであ った集団的な喜 びや成就感 に関 しては,ね らいの達成度の量 的分析 に際 し,児童の 自発的活動 に重点をおいた。 その結果,児童達 に自分の学習 してい る内容が理解 されているかについて大 いに疑問が残 った。 そして, その原因について以下 のよ うに考えてい る。 ① 場面設定の配慮不足が見受 け られた。真珠を探す島である舞 台が狭 く, また段差が高 か った。真珠を見つけた児童や,活動の流れか ら逸脱 し自分か らは真珠 に関心、を示 さず -78

(19)

-授業者の教授活動 自発的に見てい る 活動 に参加 している 活動に参加 していない 教材 に工夫が見 られ る (場 面1- 3) a.大 きい-視覚 に訴え る b.児童の過去の学習に 根 ざ している C.ゆ った りとした動 き がある 授業者の示範が適当であ る a.動 きが大 きい (場面 2) b.リズ ミカルである (場面 2) ダ リ ・グラの他 に海ぼ うずが登場 した (場面 2) 授業者の教授活動 教卓が舞台で あ った (場面 1) a.動 きが小 さい b.指名 された児童が影 に な る C.作業過程が不明確で あ る 劇の形式を取 った (場面1) a.授業者間の会話で授 業が展開す る b.児童への声かけが少 な

C.展開が授業者 中心で ある d.児童が意味を理解 し ていない 指人形を用いた (場面1) a.授業者の動 きが小 さ い b.授業者の役割分担が 不明確である C.授業者の指示が矛盾 す る 教材が不適当である (場面 1) a.数が多す ぎる b.動 きが大 きす ぎる C.動 きが早す ぎる d.児童の知覚機能の考 慮不足 授業者の教授活動 介助があ った (場面2,3) モデルを示 しなが ら一緒に 活動 した (場面2) リズム ・音楽を利用 した (場面 2) 授業者の教授活動 場面設定の不備があ った (場面 3) a.島が狭 く段差が高い b.島に上が るための手 立てが講 じられていな い C.児童を一斉 に行動 さ せた 教材 に不備がある。 a.意識づ けに無理があ る (場面2の浮 き輪) 過剰 な介助が 目立つ a

.

「自分な りに」のね らいに反す る (場面2, 3) 図16 KJ法による質的分析 の構造図 -

(20)

79-授業者か らそれを渡 された児童の両者が,授業者の誘導 によ り一斉に舞台に押 しかけた ため,舞台が騒然 とな って しま っている。舞 台に上 るための踏み台が用意 されていなか った ことも,混雑 に拍車をかけたと思われ る。 ④ 過剰介助が 目立 った。すなわち,集団か ら逸脱 している児童や舞台の上,その周囲で 身動 きが とれずにい る児童が多 く見 られ,授業者が逐一介助 しなければな らない状況が うかがわれた。 ③ 個人的活動 と集団的活動が噛み合わない。前述の,児童達に自分の学習 している内容が 理解 されていたか とい う問題 について,児童達 は自分の真珠を追 うことに精一杯 とな っ て しまい,周囲の状況やス トー リーの流れ (因果関係)が理解 しづ らくな って しま った ので はないかと思われ る。

全体的考察 と今後の課題 本研究 は,現在養護学校 に勤務す る筆者の大学院時代か らの友人が 「自分の行 った授業 を客観的に見返 してみたい」 と話 した ことをきっかけに始め られた。本来, 自分が直接係 わ っていない授業 に口をはさむ ことは,借越極 ま りない ことであろう。 しか し筆者 は, そ れを承知 しなが ら,子供達 に還元で きる授業 を求め ること,教育現場で実施可能 な授業研 究の方法を求め ること, を目的に本研究を行 った。研究 に際 しては,前述の友人 を含 め, 大学院で障害児教育 を専攻 し,現在養護学校や研究所 ・大学 に勤務す る教師また研究者の 協力を得 た。 そ して,今後の

MR

児の授業 に向けて以下のよ うな示唆を得 た。 ① 授業への動機づけと して,児童の感覚器官 に直接訴え るアプ ローチは有効であると思 われ る。 ただ し, そ こで用い られ る教材 ・教具 は, ある程度の大 きさと動 きがあ り,普 の出るものが望 ま しい。 ④ 授業の展開に際 しては,授業者間の役割分担の明確 さが重要である。 これは,児童が 誰の何を手がか りと して活動すれば良いのかを理解 させ ると共 に,予測で きない突然の で きざとに対処す るために も必要である. ③ 児童-の問いかけや理解度確認をできるだけ多 く行 うことが望 ま しい。言語理解の困 難な児童 にとっては,大 きなゼスチ ャー (動 き)によるアプ ローチが有効であ ると思わ れ る。 ただ し, あ くまで児童 を中心 に考え,彼 らの視野 の広 さやス ピー ド感覚 などへの 考慮 を忘れてはな らない。 上述の事柄 は,我 々が授業 を行 うに当た り基本的配慮事項であろう。 しか し筆者 は,常 にそれ らを認識 ・確認 しなが ら授業 を行 うことの難 しさを感 じている。 本研究で導 き出 さ れた考察 は,極めて当た り前の事柄で あるが, それ らが授業の基本 と して重要であること が改めて示唆 されたと考えてい る。 - 80

(21)

-④ 本研 究 自体 につ いて,本研究 で は,様 々な要 素が複雑 に絡 み合 う授業 に対 し, 焦点 を しぼ るとい う考 え方 か らカテ ゴ リー分析 と

K

J法 を用 いた。忙 しい教育 現場で は,授業 研 究 の時間が作 りに くい とい う現実 が あ る。 しか し,授業者 の問題意識 によ り分析 テ ー マを絞 り込 めば, カテ ゴ リー分析 の時間短縮 も可能 で あ る。 この ことか ら, 実用 的 な授 業研究 へ の可能性 が示 唆 され た。 我 が国 におけ るMR児 を対 象 と した本格 的 な授業研 究 は,1980年代 に入 り少 しず つ始 め られて い る。 しか し, 大野 (1992)が 「分析方 法 の研 究 はまだ充分で はない

と述べ るの が現状 で あ ろ う。 今後, この知 見 を踏 まえ, さ らに分析方法 自体 の検討が必要 で あ る。 ま た, 山内 ・木村 他 (1994)が, 授業 は年 間指導計画 とい う長期展望 の中で行 われて い る ことか ら,継続 時 にそれ を と らえな ければな らな い と指摘 して い る。 生活単元学 習 とい う 視点 に立 てば, "教 師 の教授活動 と児童 の反 応" と同時 に "児童 が何 を学 ん だか (体験学 習 したか) " に視点 が当て られな ければ な らない。本研 究 で は,対象 と した授業 が長期単 元 の 1部 分で あ る ことを あえて考慮 に入れず割 り切 った分析 を行 ったが,今後 その よ うな 視点 か らの授業研 究 の必要性 も考 えて い る。 注 釈 1) 我が国では,1948(昭和23)年には,前年の小 ・中学校の義務教育制が実施に次いで盲 ・聾学 校の義務制が実施 されていた。 しか し,養護学校に関 しては,その存在が有名無実であった。 2) "精神薄弱"とは,現在の法律用語である。また,1962(昭和37)年の養護学校 (精神薄弱) 学習指導要領では, この用語について 「精神の発育が恒久的に遅滞 し,そのため学習能力が著 し く劣ること」 と説明されている。 しか し,Kirk,S.A.(1966)以来,障害児心理学や障害児教 育学の立場か らは,精神遅滞児の精神の発育は恒久的に遅滞 しているわけではな く,適切な教育 方法がとられれば発達を促す ことが可能である, という指摘がなされている。筆者は,その知見 を支持 している。そこで,本文中においては用語上 "精神薄弱"を用いず "精神遅滞 (Mental Retardation)"を用いた。 3)阿部 (1990)か ら引用 した (pp.7)0 4) Flanders,N.A.(1972)紘,分析に当たり,3秒毎にVTRをス トップさせている。 しか し, 本文中で上げた先行研究では,その幅が1-10秒 となっている。本研究では,それ らを踏まえ 5 秒ごとのタイムサ ンプ リングを行 った. 一斗p 文 献 1) 阿部芳久 (1990) 入門 障害児教育の授業 .日本文科化学杜. 2)安藤隆男 (1995) チームティーチングと評価 ;大野由三編著,障害児指導のためのチームテ ィーチング.明治図書. 3)青木真澄 ・桜井尚久 ・益岡和正 ・滝口 真 ・三上健郎 ・大附理穂 (1991) 授業分析における KJ法の応用- 主観的分析を通 して- . 障害児教育における授業分析 (Ⅱ), 1-21・ 4)藤根 収 (1992) 精神遅滞児教育における生活単元学習の授業分析 .上越教育大学大学院障 - 81

(22)

-害児教育専攻修士論文.

5) Flanders,N.A.(1972) Analyzing teaching behavior.Addison-Wesley.

6)川喜田二郎 (1967) 発想法 - 創造性の開発 のために- .中公新書. 7)川喜田二郎 (1970) 続 ・発想法 - KJ法の応用 と展開 - .中公新書. 8)Kirk, S.A.(1966) 精神薄弱児のために ;NHK厚生文化事業団, サムエル ・A ・カーク 博士講演集. 9)栗原友幸 ・安田詮秀 ・寺岡豊海子 ・岡田健彦 ・川波知佳 ・青木 仁 (1992) 授業改善 のため の授業診断表の作成 とそれを使 った授業分析の試み.障害児教育 における授業分析 (Ⅲ), 1-26. 10)文 部 省 (1978) 特殊教育百年史 .東洋館 出版. ll)文 部 省 (1986) 生活単元学習指導の手引き.慶応通信. 12)文 部 省 (1991) 特殊教育諸学校学習指導要領解説 養護学校 (精神薄弱教育)編 .東洋出 版. 13)大野 由三 (1992) 精神遅滞児の教育 - 教育課程 の編成 と指導 - ,めいけい出版. 14)太田正 己 (1991) 精神遅滞児教育 における授業研究 その1;- 授業改善の視点か ら-京都教育大学紀要,78,41-51. 15)中山文雄 (1986) 精神遅滞児教育 における授業分析の研究 .特殊教育学研究,23(4),16 -26. 16)篠原吉徳 (1987) 精神薄弱児の相互作用過程 について - 集団活動場面か らの検討 - .国 立特殊教育総合研究所研究紀要,14,145-151. 17)田中 洋 (1982) 知能障害児教育 における授業 -学習課程 に関す る研究 (1) - 養護学校 における教授行動の分析 - . 日本特殊教育学会第20回大会発表論文集,183-184. 18)柳本雄次 ・都築繁幸 (1983):障害児教育 における授業分析の基礎的研究 (1),筑波大学心 身障害学研究,7 (2),57-67. 19)山内 章 ・木村元彦 ・藤原義博 ・清水直治 (1994) 精神遅滞児教育のテ ィーム ・テ ィーチ ン グにおける教師一生徒の相互交渉の分析 .日本特殊教育学会第32回大会発表論文集,110-111. 追記 :本研究 に際 し,研究協力に応 じていただきま した 早 川 隆 ・楠 仁子 ・佐 々木 理 加 ・星 野 敦 の各 先生 に謝意 を表 します。

-8

2

表 2 教師の教授活動のカテゴ リー A 学 習 説 明 各場面の進行を確認 させ るキめの状況説明,またその補足説明やつぶ や きo 「これか ら〜をす るよ 」 「 〜だよ 」 「 〜があるよ」などo B 発 問 児童‑の質問や,状況の確認を促すための問いかけo 「これは何 ー ?」 C 教 材

参照

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