栗 原 ひ とみ 保育者養成 において保育現場での実習体験 は理論の学習 と往還す る重要 な体験学習だ と 筆者 は考 える。実習体験での気づ きが授業での意欲的な学習態度 に結びついた り、授業内 容の理解 を実感 を伴 った ものに変容 させてい くなど、そのメリッ トは大 きい と感 じているo 津守 (2007)(1)は、 「保育の実践 と省察は切 り離す ことがで きない
」
と述べ ている。 実習 関連の授業は大変重要な もの と言 うことがで きる。その実習の事前指導的な位置づ けで「教 育実習Ⅲ
」 (2)の授業がある。2年次科 目の この授業で、学生 は1年次の観察実習 にとどま らない、更 なる実践力の養成が求め られている。 それ らは指導計画案 を自分で立案 し、実 習で実践す る体験 を通 して求め られているのである。 指導計画案 を立案す ることは、環境構成、子 どもの様子、援助の留意点等幅広 く保育 を 実践 してい く力が求め られる。 部分実習であって も、与 えられた部分の時間だけにとどま ることな く、本来 ならその保育現場の教育 目標や1
日の流れ、その クラスの特徴、発達の 様子、一人ひとりの育 ちの把握等、深い理解が必要 になる。 それぞれの保育現場の個別性 ・独 自性 に鑑みれば、それ らの深い理解 を授業ベースで迫 るには限界性がある。 保育者養 成校 はつぶ さな固有の保育現場 には成 り得 ないか らである。 しか しなが ら、個別性 に配慮 す る力は、普遍性 との相互作用で磨かれてい くものである。 指導計画案 を立案 してみるこ とは、学習効果のある取 り組みであると考 えた。そこで筆者 は本授業 (教育実習Ⅲ)で、 学生 自身が指導計画案 を立て、立案することに留 まらず、実際 にその指導計画案 を実践す る場 を用意 した。それは、指導計画案 に基づいて保育 を展開す る保育者役、保育 を受 ける 子 ども役、客観的に観 る観察者役 とい う3
つの立場で構成 した模擬部分実習の場であ り体 験学習の場である。 学生Aさん体験前
計画案 をか くのが大変で した。気がつ くと、子 どもの姿 をた くさんかいていて、うま くか けませ んで した。あ と、か きたいことをどの言葉でかけばいいのかわか らな くて大変で した。 観察役 を体験 保育者役がただ言葉で 「終わ ります」と言 うのでは、終わった感 じが しなかった。子 ど もの心 を汲み取 って終わ らせ ることが大切 だと思 った。最後 に 「みんな頑張 りま した」
と 認めることが こんなに意味があるなんて気づかなかった。保育者役がそ う言 った時 に、ゲ-ムで勝 ったチームは もちろんだが、ゲームで負 けたチームの子 どもたち もいい表情 を し て保育者の方 を見 た。 きっ とそれぞれのガンバ リを認 めて もらえた と思 って嬉 しか ったん だ と思 う。 負 けたけ ど、先生 は僕 の ガンバ リを見 ていて くれたんだ、 つて思 ったのかな。 (以下省略) 学生Aは観察役 を体験 した時 に、ただ言葉で 「終わ ります
」
と言 うのでは、終 わ った感 じが しなか った、子 どもの心 を汲み取 って終 わ らせ ることが大切 だ と思 った、 と述べ てい る。 もしこの ような実感 を活かす ことがで きたなら、学生Aは指導計画案の援助 の留意点 に 「子 どもの心 を汲み取 って活動 を終わ らせ ること」
と記述で きるのではないか。 「活動 を終わ らせ る」と記述 したのでは行為 に留 まる表現であるが、「子 どもの心 を組み取 って」
とい う言葉が添 え られることで保育の意図が盛 り込 まれると考 える。す なわち活動す るこ とが意図ではな く、活動 を通 して、ゲームに参加 した楽 しさや負 けた悔 しさを体験す るこ とで情緒 を排す ことが意図なのである。 また学生Aは次の ように も記述 した。 「みんな頑 張 りま した と認め ることが こんなに意味があるなんて気づかなか った」と述べ ている。「頑 張 りま した と言 う」
行為 を超 えて、その ことの意図、すなわち、参加 したそれぞれ全員の 子 どもの意欲 を認 め、讃 える とい うことに気づ くことが出来 ている。その気づ さを指導計 画案 に書 くことが出来 るよう、になるのではないだろうか。 学生Bさん体験前
指導計画案 を書 いていて、 どの くらい詳 しく書 けばいいのかわか りませ んで した。表現 する言葉 も、 うまい表現が思い浮か びませ ん。保育用語 に変換す るのが難 しいです。 観察役 を体験 質問 した子 の声 を しっか り拾 っていて よか った.一緒 に作 っている一体感が感 じられた. ペース も子 どもに合わせ てあげていて、子 ども役の人達 も安心 した表情 で取 り組 んでいた。 前 に立 って進める ときの参考 に したい と思 った。 学生・
B
は観察役 を体験 した時に、質問 した子の声 に しっ・か り対応 している保育者役の姿 に気がつ き、良か った としているQ その ことを有効 に活用で きれば、指導計画案 の援助の 留意点 に、 「子 どもの声 を拾 って、実習生 も一緒 に作 る」と記述で きるのではないか。 「実 習生 も作 る」では行為 に留 まる ものであるが、 「一緒 に」
が添 えられる ことで保育 の意図、 すなわち子 どもと共 に保育者 も協働参画者 と して活動 を作 り出す ことが盛 り込 まれるので はないだろうか。「子 どもの声 を拾 って」と書 くことがで きれば、子 どもの声 を拾 うことか ら子 どもの主体性 を基盤 に置いた援助が保育の意図 として展 開で きるのではないだろうか。学生Cさん
作.
T
掛拍
指導計画案 を書 くのは難 しい。援助の留意点はなんとか出て くるのだけれ ど、予想 され る子 どもの姿が うま く予想で きない し、 どう表現 していいのかわか らない。指導案が書け な くて書けな くて-- こうやっていっぱい トレーニ ングして書けるようにな りたい。実際 に指導案 を書 く時には、子 どもの姿 を思い浮かべ なが ら楽 しく書けたらいいなと思 った。 観察役 を体験 保育者役が感 じていることと子 ども役の感 じていることが違 っていることがわかった。 子 ども達 に質問 して子 どもと一緒 にやっている感 じが して とて もよかった。保育者役が一 方的に進めるのではな く、子 どものペースに合わせていたのが よかった。 学生Cは保育者役 と子 ども役の感 じている違いに気がつ くことがで きた。そのことを有 効 に活かす ならば指導計画案の援助の留意点 に 「子 ども達 に質問 しなが ら、子 どものペー スに合わせてすすめる」
と書 くことが出来るのではないだろうか。子 どものペースに合わ す ことの保育の意図は、子 どもが主体で活動 を作 り出す ことにある。子 どもの主体 に思い を馳せて援助 を留意することが出来 るのではないだろうか。 この ように学生が授業 においてで も体験 を通 した実感か ら、保育の意図 を知 り、保育 を 捉 える言葉 を模索する試み を用意す ることはある段階 までは有効 なことであると考 えられ る。 ある段階 とい うのは、学生が子 どもの主体 に気がついた り、実際に注意することが分 かった り、自分甲今の考 えでは足 りないことが見えた りする段 階 までの ことである。 しか しなが ら、その先の、子 どもの主体 に気がついた後にそのことを基盤 にお きなが ら、では どのような方向性 を定めて展開 していけばいいのか。実践する時に留意する点が分かった 後に、そのことはなぜ留意 しなければならないのか。足 りない点が見 えた後、ではその足 りない点に何 をどう加 えていった らよいのか、 とい うもう一歩 も二歩 も踏み込んだ保育全 体の構成や理解 には到達す ることがで きないでいることが筆者 には感 じられた。保育実践 を多角的視点で捉 える体験 を通 して もなお、そこで感 じた り考 えたことを活か して指導計 画案 を、学生が順調 に立案で きるか とい うと、実はそ うではなかった。・指導計画立案 とな ると学生の筆は止 まり、立 ちす ぐむ姿 を見せていた。第一には-科 目の授業で体験す るだ けではその経験群の圧倒的量的不足が原因 として挙げ られる。 第二 には設定 した授業の枠 組み (学生が子 ども役 を務める等)の前提 に無理があ り非現実的であることが挙 げ られる であろう。 体験型の授業のある一定 までの効果 と、そこを超えられない難 しさが明 らかになったた めに、筆者は研究の目的を以下の ように設定することにした。研究の 目的 実習生が実習現場 で保育 を実践す る実践力 を養 うため には様 々な情報 や理論 ・知識が必 要 と考 え られるが、それが何 であるのか を探 求す る。 研究の方法 ① 先行研究 を手がか りにす る。 ② 学生が書 いた指導計画案 を保育経験者 (筆者)が指導 した箇所 か ら現場 の保育実践 に何が足 りないか を考察 し、抽 出す る。 ③ (丑と(参か ら現場保育 を実践す るための実践基盤 の構造 を明 らか にす る。 研究結果
1
、学生 が指導計画案 を立案 することの困難 保育者養成で総 合的 な実践力 を養 うためには現場保育実習が大 きな意味 を持 つ。 なぜ な らば保育 ・教育実習 は他の教科科 目と違 って、 「子 どもと具体的 にかかわる」
ことが求め られてい るか らである。 理論 を基礎 として子 どもと実際 にかかわ りなが ら、 これ らを総合 的 に実践す る力が求め られている(3)。 岡(
2
0
02
年) はその著書(3)で養成校 で学ぶ必要性 について①保育 を捉 える 「言葉 (-追 具)
」をもっ こと、(参保育 を 「振 り返 る」思考 を身につ けることの2
つ を挙 げている。 た とえば① についてであ るが、 「ケ ンカを している」 は 日常生活用語 であ って保育用語 ではない。保育用語 に変換す る と 「自己主張のぶつか り合い を体験 してい る」
「主張 をぶ つけ合 うことで人 とのかかわ りあい を学 んでいる」
な どになる。 日常生活用語 ではあ ま り に即物 的で見 えて こない、教育的意 図や意味が、保育用語 に変換す るこ とで見 えるように なる。 とい うことは目に見 えている現象か ら、そ こを越 えて、その現象 の裏 に潜 む教育的 意図や意味が理解 で きな くては保育用語 を使 うことはで きないのである。 逆 に保育用語 を 使 うことがで きれば、教育的意図や意味が見 えて くるので、子 ども-の援助 の方向性が見 えて くる。 この例 の援助 の方向性 と しては 「自己主張 を双方の子 どもがい ま一度振 り返 る 機会 をつ くる」
「主張 した真意 を引 き出せ る ように双方 に働 きか ける」
等 が挙 げ られ るで あろう。 子 どもの状況 を的確 に把握 しなが ら保育用語で表現す ることで、現象 を読み解 く ことがで きるのである。その ことが前述下線部の保育 を捉 える、 と表現 される根拠 であ り、 また学生の抱 える困難の 1つである。 この保育 を捉 える言葉 を持つため には保育 の理論学 習、す なわち 「子 どもと具体的 にかかわ らない」
教科科 目の学習が積み増 されてい なけれ ば一層難 しい もの になる と予想 され る。 目には見 えない抽象概念 ・子 どもの発達 ・保育教 育の原理等 を考察 してい く力が要求 されるか らである。 保育 ・教育実習授業が他 の教科 と 連動 して営 まれなければな らない理 由が ここにある と筆者 は考 える。た とえば② についてであるが、保育 を振 り返 るとは 自らの保育援助 を過 ぎ去 った時間か ら呼 び戻 して今 ここの意識 に立 ち戻 らせ る作業であ り、その作業か ら 「なぜ 、あの時 自分 はああ したのだろ う
」
と揺 らぎをか けなければな らない作業で もある。 この 「なぜ」の問 い を振 り返 ることな しに、子 どもに とっての最良の援助 を導 きだす ことがで きない と考 え る。 あの時 に他の援助 はなか ったか ?どうす れば よか ったか ?と省察す るには多様 な援助 に思い を馳せ るだけの保育知識 ・技術が要求 されるのだが、その こ とが学生 に積み増 され ていなければ、短絡的援助 とな らざるを得 ない ことになる。子 どもが静か に しないか ら「静 か に しなさい」
と声 をかけて も静か にはな らない。では静かに して もらうには どうい う方 法があるのか ?そ もそ もなぜ静か に しては しいのか ?等援助の多様性 ・思考性- の気づ き が必要 になる。2
、指導計画案立 案のポイン ト (∋ 家庭 や地域社会での子 どもの生活実態や環境 を把握 で きてい るか (多 子 どもの現在の遊 びや興味 ・関心が把握 で きているか (参 園の指導計画/期案 ・月案 、週案のね らいが理解で きてい るか ④ 週案 と保育 の流 れ との関連 を捉 え られ るか ⑤ 活動 の時間 と生活の連続性 との関係 は どうか ⑥ 活動 の内容が、子 どもの年齢 、時期 に適 しているか (∋ 子 どもが主体的 に活動 を展開で きる環境構成 ・内容 になってい るか ⑧ 子 どもの変化 を予測 した柔軟性 ・弾力性 のある もの となってい るか (勤 活動 の間合いや移行 の時の援助の方法 は配慮 されているか ⑲ 動 と静、緊張 と休息の調和 が とれた内容 になっているか ⑪ ひ とりよが りの押 し付 けの活動 になっていないか 上記 は指導計画立案のポイン ト(4)であるが、 これ らに鑑みて も、学生 に求め られる もの は大 きい といわ ざるをえない。3
、保 育 を捉 える言葉 (-道具) をもっ ことの困難 岡(
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2)
は養成校 で学ぶ必要性 の 1つ に、保育 を捉 える言葉 (-道具) を持つ ことを 挙 げた。その ことは筆者が学生の書 いた指導計画案 を見 た時 に痛感 した こ とと合致す る も のであ った。 ここではその ことに注 目 してい くことにす る。 学生が記述す る指導計画案 に 書かれている多 くは 「す ること」
「や るこ と」
「目に見 えてわか るこ と」等 、行為 に関す る ことであ った。 保育実践 の原点 は 「保育者 は 日々変化す る状況 の中で、他者である子 ども とかかわ り、その ときを相手が十分 に生 きら.れるように行為す るこ と」と津守(5)が述べ て い るように、保育実践 において行為 は重要である。 しか し行為が羅列 的 に記 されてい るだけでは指導計画案 と呼ぶ ことはで きない。それ らは手元 メモで しかない。指導計画案は文 字通 り 「指導」の 「計画案」なのである。 保育 における指導 とは、援助であ り、援助は、 「幼児 に対 し、 どうかかわることが可能 なのかを見極めた上で、子 どもが望 ましい状態 に 通 してほ しい とい う大人の願いを持 って子 どもとかかわることである」 と小川(6)は述べ て いる。学生の指導計画案 には、指導 (-援助) を構成する幼児理解 と大人の願いの両者が 欠けていたのであった。 幼児理解が何故、学生 に欠けていたのか。勿論、養成校 において、固有 なある幼児 -そ の子 をリアルに想定することはで きない。 しか しい くつかの条件 を設定するのであれば、 普遍的な子 どもq)姿 を設定す ることはで きる.例 えば、
3
歳児 クラスの1
1
月、多 くの子が 言葉 を使 える喜 びの渦中にいるに もかかわらず、まだ自分の主張 を言葉では伝 えることが で きない子、 と条件 を設定 した とす る。ある学生 にその子への援助 を尋 ねた ら、 「まだ し ゃべれない」のであるか ら、 しゃべ れるようになってほ しい、 とい う願いをもち、従 って、 援助 は 「か- し-て」
「ごめんね」
「いれて」
と、その子が友達 と遊ぶ ときに必要な言葉 を 教 えてあげる、 と答 えた。その子への理解 と願いが 「まだ しゃべ れないか らしゃべれるよ うになってほ しい」 とい うものは、短絡的 と言わざるを得 ない。それ らは普通の大人一般 なら誰で もが願 うことであろう。 けれ ど保育者がその子の援助 にあたるとした ら、おそ ら くその ような援助 は しないだろう。 保育者であれば、言葉で伝 えようとする意欲 を大切 な ものに した り、保育者が言葉で気持 ちを代弁 し.た り、その子の言葉 にす ることの出来 ない 思いを引 き出す、 といった援助が中心 になるであろう。 この違いは何であろうか。保育者 には願いが、保育の意図-保育のね らい となって立ち表れていると筆者 は考 える。 すなわ ち、まだ しゃべれない子 に短絡的に しゃべれるようになることを求めず に、その子の成長 の先 となる長期的視点 をも含有 して、保育のねらい として援助 を考 えるに至 るのではない だろうか。学生が、その子 を理解 した うえで、 さらに長期的視点 をも含有 して保育のね ら いを考慮することは、困難 を極める。 なぜ ならば実習場面 において、学生 は実習生 として の言動 を調整することに精 いっぱいであろう。 「今、 ここ」を離れて長期的視点で思考す ることは困難であることは想像 に容易い。 また、例 えば 「しゃべ れない」とい う現象の表 層面だけに捉われていては、その内面 に育っている、 「しゃべ りたい意欲」や 「表現 した い思いが すでに育 っている現在の育 ちを兄い出す」
ことには思いを馳せ ることがで きない のではないだろうか。 また、 「計画案」
はあ くまで仮説である。保育実践の場 は常 に、空間、物的、人的構成 いずれ もが特定の現実的な条件の中にある。 仮説は、固有の条件の中で最善の方法 を見出 すべ く修正 されなければな らない。逆 に言 うと、固有の現実的条件が明示 されれば、仮説 はおのず とある程度の具体性 を帯びて立ち表れて くるのではないか。学生が保育実践の具 体性 を得ず して仮説 を立てなければならない ことは指導計画立案 を困難 に している一因であろう。 4、保育行為 と保育の意図 (ね らい) との関係性 学生の指導計画案 に行為の羅列が多い点を筆者は指摘 したが、保育行為 とは本来、保育 意図 (-ね らい)か ら導 き出 されるものである。 ある学生は指導計画案 に 「作品をみせ る
」
と援助の留意点に記 していた。紙面の物理的制約があるために、短い表現 を求め られるが 故の究極の短 さであろう。おそ らく 「これか ら作 る作品をみんなに見 える位置に立 って見 せ る」
と表現 したかったであろう。 「作品をみせ る」
だけでは、行為だけにとどまる もの である。 この行為の保育意図は 「これか ら行 なう製作活動 に子 どもたちが興味 を持 てるよ うに、 どの子 にも見 える位置に立 って見やすいよう配慮する」
であると考える。 見 えな く て不快感 を与 えないように、 とい う直接的ことではないのである。 もしこの学生が間接的 保育意図に思いを馳せ ることがで きたのなら、 ここの表現 は少 し長 くなるが 「興味が持 て るように見やすい位置に立 って作品を見せ る」となるのではないだろうか。 保育意図な くして実践 はあ り得 ない。近所のお兄 さん、お姉 さんで よければ保育意図は 必要ないであろうが、保育者 として子 どもを保育するとは、常 に保育の意図をいかに具現 化するのかを問われるものである(7)。保育の意図 といった とき、学生が思い及ばな くて保 育者が及ぶ ことの違いは何 であろうか。保育者が保育意図を形作 って行 くときに、その拠 りどころとなる幾つかの視点がある。 1つには子 どもについての発達的視点である。例 えば、3
歳児のある女児が他の子のお 弁当のか らあげを食べて しまう行為は、大人か らみれば人の ものを盗 むなんて とんで もな いことになる。 しか し保育者 としてその子 と生活 を共 にするなかで 自他の分別や所有感覚 が希薄で、衝動 を自制的に抑制す ることが難 しい育ちの段階にいることに鑑みれば、発達 途上の過程でみせ る 1つの姿 と自然 に受け止めることがで きるのである。 発達的視点で現 在の姿 を捉 えることがで きると、その先 を思い描 くことがで きるのである。2
つめには子 どもの個性 ・個人差への理解である。前述 した女児 は別の場面では、 自分 が持 ってきたお弁当の りんごを大好 きな友だちに全部あげて、友達が食べ るその様子 をう っとり嬉 しそうに見ていた。その直後 「自分の持 って きた りんごがない」 と号泣 して しま うのであった。 自他の分別や所有感覚が希薄で、衝動 を自制的に抑制す ることが難 しい育 ちの段階にいるが、その子 ならでは天真欄漫 さが表現 されていた。その ような場面か らも 保育者は一人ひとりの個性や育 ちの傾向を理解 し保育の意図を形作 ってい く。3
つめには子 どもとかかわる過程で、保育者は子 どもか ら 「主体的に生 きたい」とい う 痛切 なメッセージを受信 しつづけている点である。そのために.、.保育の意図を、 「主体的 に生 きたいその子の願い」 を基盤 に して私 (保育者)の願い (主体) をいかに融合 して実 現 してい くのかを絶 え間な く問われ続け、応答 している。 その応答の送受信 を更新 しつづける営為か ら、保育の意図は形作 られてい くと考 える。「主体的に生 きたいその子の願い
」
とい う基盤が感知で きなければ、私 (保育者)の願い (主体) を基盤 に据 えざるをえない。 実習生が陥 りやすい、 「自分がする行為 を列挙す る」
指導計画案 になって しまうのは、子 どもの主体が見 えに くいことが原因ではないだろうか。 4つめには、その子 どもの成育歴情報が保育者 にはあ り、実習生 にはない点であろう。 どの ような家庭で、 どの ような状況でその子 どもが育 って きたのか を知 ることは、その子 を理解 し見通 しを もつ うえで役立つ。例 えば、急 に何の脈絡のな く泣 き出す子 を前 に、何 も知 らなければ大概 の実 習生 は動揺 して しまう。 つ い 「どう したの ?」
「なにが あ った の?」
と問いかけた りす る。けれ ど保育者は 「その子の母親が下の子 を産んだばか り」
と い う情報 をもっているならば、保育者 にとっては 「その子は家族関係の急激 な変化 を受 け ている」
と理解で き、保育の意図や援助 はおのず と違 って くるだろう。 5つめには、保育者は他の保育者 と連携 してチーム としてその子 についての保育意図 を 形作 ることが出来 る点である。集団で保育 にあたっているので どんな保育者で も、1
日ず っとその子の傍 らに居続けることはで きない。仮 に1日ず っと傍 らに居続 けることが出来 た として も、同 じ場面 を他の保育者が見 ると、違 う視点が立 ち現れる。 他の保育者の多様 な視点 をも含みなが ら、複合的 にその子の主体 に私 たちの主体 を融合 して保育意図 を練 り 上げてい くことが出来 るのである。 上述の ように、保育者 に とっては保育の意図が まず あって、そこか らその意図 を具現化 す るために保育行為が導 き出 されるのであるが、実習生が保育 の意図を持 ち得 なければ、 行為 だけが独 り歩 きして しまう構図が見 えて きた。そ して保育の意図は保育者の願いであ り、基盤 にその子 どもの主体性がある。 実習生は まず、その子 どもの主体性 を感知 し、出 会 うことか ら始めなければな らないであろう。 5、学生の指導計画案か らの考察 ここでは学生の書いた指導計画案 を保育経験者 (筆者)が指導 した箇所か ら現場の保育 実践 に何が足 りないか を考察 し、抽出す る。 学生Aの指導案 (3歳児 ・牛乳パ ックの カエル作 り) 学生の予想 される子 どもの姿 学生の書いた援助の留意点 保育経験者 (筆者)が訂正 した歯所 一緒 に手遊 びをするo わ くわ くした目を向ける子 ど 子 どもたちの注意 を引 くため に手遊 び 手遊 び を して楽 しみなが ら、 これか らの をするO. 活動 に興味が持 てるように働 きかけるo (D 牛乳パ ックでカエルを作 って遊ぶ 子 どもたちの作 ってみたい、遊 んでみた もがいる○ ことを伝 える○ 牛乳パ ックで作 ったカエ ルを見せ てカエい気持 ちを引 き出すoルへの イメージが持 てるように して作 ってみたい意欲 を引 き出すo作 り方がわか らない子 どもが いる。 カエルでない絵 を措 く子 ども がいる。 はさみの使い方 を確認 して危ないこと を知 らせ る。 作 り方 をゆっ くり説明 しなが ら一緒 に 作 る。 ② 個別に関わる。 形がで きたら絵描 くことを伝 える。 出来た作品を見せて くれる子 どもがいる。 うまく跳ねない と伝えて くれ る子 どもがいる。 まだ遊びたそ うな子 どもがい る。 「上手にで きたね」 と認める。 ④ 一緒 に修正 して跳ねるよう長生2 てい く。 ⑥ 片づけることを伝 えて一緒 に片づ ける。 遊ぶ過程での注意 を伝えて、安全に遊べ るようにする。 作 り方 を伝える時には、子 どもが分かる ように、ゆっ くり話す。 分か らない子が不安 にならない よう個別 に援助す る。 ▲③ 全体 を見渡 しなが ら進める。 それぞれの表現 を認める。 次の製作段階に移る時には、 まだ出来て いない子 に配慮す る。 出来た作品を褒めて認める。 跳ねる動 きを楽 しめるようにする。. ⑤ 跳ねない場合はその子の気持 ちを受 け止めなが らどこがいけないか伝 え て一緒 に考 えてい く。 十分に作品で遊べ る時間 と場所 を用意す る。 ⑦ まだ遊 びたそ うな子 には、その後 に 遊べ る機会があることを伝 えて、今 の活動 を自分か ら切 り替えられるよ うに声 をかける。 学生Aの記述の中で、ここでは援助の留意点 について注 目す る。学生Aの記述の下線(ら 牛乳パ ックでカエルを作 って遊ぶ ことを伝 えるは 「行為」である。 その ことを通 して、何 を子 どもに経験 として用意 したいのか とい う保育の意図が明記 されていないのである。 保 育経験者 (筆者)は、子 どもに活動 を提示す る時には 「イメージが持 てるように作 ってみ たい意欲 を引 き出す
」
と保育の意図を記述 している。製作活動全般 に言 えることであるが、 作品を作 ることが 目的ではない。作 る過程 を通 して意欲や葛藤や興味 を抱 くことで成長 を セオリ-援助す るのが現場 の原則なのである。 下線②個別 に関わるでは作 り方がわか らない子への 対応 として記述 されているが、保育経験者 (筆者)は分か らない子の内面への理解 を配慮 する 「不安 にならない ように個別に援助する」
と記述 されている。 そ してその文章のす ぐ 後 には下線③全体 を見渡 しなが ら進める、 と記述 されている。 これは保育経験者 (筆者) が保育現場の状況 を常 に複眼的に見 ようとす る現れである。 分か らない子 に1
対1
で対応 セオリーー すると同時に、室内の全体把握が疎かにならない ように配慮す ること、 これ も現場の原則 である。 下線④一緒 に修正 して跳 ねるように作 ってい く、は、うま く跳ねない子 どもへの対応 と して書かれている。 うま く跳ねないカエルに苦戦する子 どもは、内心 とて も困って動揺 し ている ものである。その内面への理解が、即物的に跳 ばないカエルを跳ぶ ようにす ること 句ヽよりもまず優先 されるのである。そのために保育経験者 (筆者)の記述では⑤跳 ねない場 合はその子の気持 ちを受け止めなが らどこがいけないか伝 えて一緒 に考 えてい く、 となっ ている。 下線⑥ は片づけることを伝 えて一緒 に片づける、 とい う片づ け場面での対応 についてで ある。 片づけることを告 げるのは保育者である。 保育者主導で片づけることを子 どもに伝 える時に、保育者 は出来るだけ子 ども自身が 自ら片づけることに配慮す る。 一方的に片づ けることを先生 に言われて も、子 どもはまだ遊 びたい気持 ちを持 っている場合 も多い。 し か し、 もしまたお弁当の後 にも遊べ るとか、いったん片づけてか らならまた遊べ るとか、 時間のち ょっと先 を見せて、見通 しを持つ ことがで きれば、今現在取 り組んでいる遊 びを 自ら区切 ることがで きるようになるのではないだろうか。保育の究極の 目的は乳幼児の自 立にある。 乳幼児が 自ら主体的に生活す ることがで きるようになる為には、 どうした らい いのかを考えて、見通 しを持つ ことで今の状況 を乗 り越 えて行 けるようにとい う.配慮か ら 保育経験者 (筆者)は下線⑦ まだ遊 びたそ うな子 には、その後 に遊べ る機会があることを 伝 えて、今の活動 を自分か ら切 り替 えられるように声 をかける、 と記述 したのである。 こ こには下線(む片づけることを伝 えて一緒 に片づけるの文か らは見 えてこない保育の意図が セオリ-見 えて くるのである。 保育の意図には現場の場面毎の原則がその背景 には存在す る。 学生
B
の指導案 (4
歳児 ・帰 りの会) 学生の予想 される子 どもの姿 学生の書いた援助 の留意点 保育経験者 (筆者)か訂正 した箇所 片づけの放送が流れて遊 びをやめ (∋ 放送が流れた後 に片づ けの言(卦 取 り組 んでいた遊 びを認 めて、楽 し て片づ けを始めるo 菓かけをす るo か つた思い を共有するo片づ けを しなが ら少 し遊ぶ子がい 片づ けるように繰 り返 し言 わず に 楽 しか つた遊 びの続 きを明 日も出来 る よ
るo
片づ けが終わる と全員が トイレに 子 どもたちが進 んで片づ けが出来 うに、期待が もてる声かけ をす る○ るか様子 をみるo 自分 たち自ら片づ け られる ようにす るo 片づ けが終わった ら トイレにい く それぞれの排池の間隔 を見定めて必要に
行 くo ②よう声かけるo全員揃 った ら手遊 びを して絵 応 じて、排池を促 すo 手 を洗 うo 時間差 、個 人差 に配慮す るo
_絵本 を見るoおかえ りの歌 を歌 うo ④ 早 く仕度が出来 た子が楽 しく待てる
杢旦 払 _
大 きな声で帰 りの挨拶 をする。 バスの子、歩 きの子の順で ドアの 近 くに並ぶ。 大 きな声で帰 りの挨拶 をす る。 並べ ているか確認する。 が りを感 じられるようにす る。 明 日の予定などを伝 えて、明 日の園での 生活に期待が持 てるようにす る。 姿勢 を正 し視線 を合わせて挨拶 をする。 教室や廊下に持 ち物が忘れ られていない か確認する。 並ぶ場所が 自分でわかるようにす る。 学生Bは下線①で放送が流れた後 に片づけの言葉かけをすると記述 している。 生活場面 の切 り替えを自ら主体的に行 うことが出来るようになることは保育者が大変神経 を使 う場 面である。 その時に、今取 り組んでいる楽 しい遊びを、保育者が一方的に終わらせ ること を告げるのであれば、子 どもの内面の読み取 りが大変重要になる。生活場面の切 り替え時、 時間の先を示 して、次の活動 に期待が抱けるようにするで、乗 り越 えて行ける子 どもも多 い占 しか し今取 り組んでいる遊びの方が魅力的であれば‥保育者の指 し示す時限の先、将 来の方向に興味が移 らないこともある。 時間の先- と興味 を移 してい く為には、子 どもが 自ら納得 して主体的に、今の遊びを区切 ることが出来 るようになってほ しい。そのために はどうしたらいいのか。今の遊びを保育者が しっか りと認めることで、すなわち時間の今 現在 と同時に、その遊びをしていた過去 をもしっか り認めることで、子 どもは時間の先、 将来の方向に乗 り移っていけるのではないだろうか。そのことを保育の意図 として盛 り込 んでいるから、保育経験者 (筆者)は下線②取 り組んでいた遊びを認めて、楽 しかった思 いを共有する、 と記述 したのではないか。今現在 と過去 をしっか りと自分の足跡 として確 認することで、時間の先、将来の方向を向 くことが出来ると考える。そのことの積み重ね が、主体的な自己を創 ってい くことに繋がってい くのではないだろうか。乳幼児期 は人格 形成の基盤の時期である。 この ような援助が ことさらに求め られているのであ るo‥保育者 が一方的に先 を指 し示 して子 どもに歩 ませるのでは育たない、子 ども自らの主体性の育ち はこのような保育者の丁寧 孝子 どもへの歩み寄 りが必要である。 また学生Bの文、下線③全員揃 ったら手遊 びをして絵本 を読む、は全員を視野 に入れて いることが窺えるが、目に見えることだけではない保育の意図は記 されてない。排浬の介 助などで トイレにいる時には保育室 に、保育者に代わる求心力 となる空間構成が大事であ る。 これか ら読む絵本 を椅子の上に立てかけてお くことで、子 どもはこれか らの活動 に思 いを馳せ ることがで き、見通 しをもっことがで きるのではないだろうか。そのような予測 が保育経験者 (筆者)の文下線④ これか ら読む絵本 を出 しておいた り工夫するを書かせて It :オリ-いる。読む絵本は子 どもの世界の傍 らにあらか じめ配置 してお くこと一も現場の原則である。 学生
B
の文章は帰 りの会の指導計画案である。そ もそ も帰 りの会はなぜ行 うのであろう か。そのことの保育の意図が学生指導計画案か らは立 ち現われてこない。歌 を歌 った り、大 きな声で挨拶 を した りといったことの記述のみである。 おそ らく学生Bに帰 りの会 をな ぜす るのかは理解で きていない と考 えられる。 帰 りの会は、集団生活である園生活で、そ れぞれの存在 を確認 し合 う関係性の育成のために大変重要な機会である。 どんな遊 びを し て何 を感 じたか、 どんな気持 ちを体験 したのか、その情報 を共有 しあって、 自分 は何 を感 じたのか。時間の現在、過去 を確認 してこそ、その先 に広がる時間を能動的に歩 んでいけ る。 そのために も帰 りの会で今 日1日を全貝で確認 しあって締 め くくることが、保育が生 活の場 だか らこそ求め られているのである。 何 もしなければ流 れてい って しまうことを、 保育者が子 どもか ら引 き出 し、短い言葉 に して投 げ返 して、子 ども達 に見せ ることで心 に 今 日とい う1日の見 えない杭 を打 ち込 むことになるのではないだろうか。みんなで生活 し ている関係性の一体感 を帰 りの会で、見 えない杭 で打 ち込 む保育の意図があるのではない だろうか。帰 りの会 を単なる人貞点呼 に終わ らせ ない関係性の育成 を意識 しているか否か で文章 はおのず と違 って くる。保育経験者 (筆者)の文章下線⑤今 日の活動 を子 どもと共 に振 り返 り共有 し合 う、 とい うように保育の意図、集団生活の関係性 を意識 し.た ものにな るのである。 また、その後 に話題 になった ことや子 ども達 に考 えて もらいたい ことがあっ た ら一緒 に話 し、繋が りを感 じられるようにす る、 と続け られている。子 ども達が生活 を つ くってい くために、情報 を共有 し成員 として考 え合 ってい く機会 を設 けることで、園生 活の主役 は子 ども達 にあるとい う理念 を実現 したいためである。 この ことは何 も帰 りの会 だけでな く、朝 の会 も同様 に、集団保育現場 における関係性育 セオリー 成の原則があると筆者 は考 える。 学生Cの指導案 (4歳児 ・絵本の読み聞かせ) 食後の歯磨 きも終わ り、実習生の ① 子 ども達か ら見やすい位置 に ② 歯磨 きで きれいになった歯の気持 ち 周 りに集 まるoこれか らどの ような絵本 を読むの ざわいている子 ども連が静かにな座 って子 ども達に見 える所 まで来 るよう言葉 をかける○ 鳴 き真似 などを して手遊 びに興味が持 てが もてるように絵本の表紙 を見せて待つo良 さを共有 しなが ら次 の活動 に期待
かそわそわす るo るように声 をかけるo るようにするo
「1丁 目の ドラネコ」の手遊 びを 「1丁 目の ドラネコ.」 の手遊びを 子 どもたちのテ ンポに合わせ るo
するo `乍
「くろねこかあ さん」の絵本 を見 る。 絵本の世界に入 り込み静かにみる 実習生の質問に口 ぐちに答 える。 絵本 を全員が見えるか確認 し、見 に くい ようだったら見える位置 ま で移動す るよう声 を掛 ける。 一定の リズムを意識 しなが ら楽 し めるように読 む。 ③ 読み終えたら 「みんなもねこ さんす き?」など質問 した り、 作品展でねこを作 ることに話 を広 げる。 落 ち着いて自分 自身 も絵本 を楽 しめるよ うにゆっ くり読み、ページごとの絵本の 世界に子 どもを導けるようにする。 子 どもか らの感想や出て きた声 を拾 って 面白さを共有する。 絵本の世界 を楽 しむ間合いを取 った のち、ねこへの関心が向いたような ら作品展への関心 に結び付 けるよう 働 きかける。 学生 Cは 4歳児 に絵本 を読 むとい う部分実習の指導計画案 を書いた。そのために書 き出 し下線(丑は自分の立 ち位置や子 どもを引 き寄せ る場の構成 に言及 している。 しか し保育現 場 には生活の流れがあ り、その脈絡か ら離れることがで きない。生活脈絡の転回の ときこ そ、丁寧 な子 どもの内面-の読み取 りが重要である。 なによりそのことが場面 を繋 ぎ合わ せてい くことにな り、次の活動の充実 を導 き出す鍵 になるのである。歯磨 き後であれば、 さっぱ りときれいになった歯の爽快感や生活習慣 をや り終えた気持 ち良 さを共有 したい。 保育経験者 (筆者)の文下線(参はそれ らの保育意図を意識 した ものである。 下線③読み終 えた ら 「みんな もねこさんす き
?」
な ど質問 した り、作品展でね こを作 る ことに話 を広げるは一見、作品展へ向けてとて も効率的で適切 な援助の ように思われる。 しか し絵本が子 どもに投 げかけたイメージをは ぐくむ機会 を、保育者が主導で、そのイメ ージを限定的に作品展- と結びつけえることには慎重であ りたい。絵本のイメージの世界 を静かにそっと見守 りたい と考 える保育者 も多い。絵本の楽 しみ方は多様であ り、子 ども たちはそれぞれの楽 しみ方 をするのであるが、保育者が作品展- と結びつけようとした途 端 に、絵本の世界 を何か しら効率的打算的な ものに変容 させて しまう危倶 を抱 く。 その点 については慎重であ りたい。保育経験者 (筆者)の文、下線④絵本の世界 を楽 しむ間合い を取 ったのちに、ねこへの関心が向いたようなら作品展-の関心 に結び付 けるよう働 きか 吐 をはその点に配慮 した文 になっている。子 どもの関心がねこに向いたようなら、 と一定 の条件 を付与 して、作品展への結び付 きを許すかたちである。 投 げかけた絵本の世界 をそ れぞれの子が味わう間合い を用意することで、一方的な結びつけの もた らす変容 を防ごう としている。 その間合い と守ま子 どもが主体的に絵本の イメージを味わうことを予定 した間 合いである。学生
D
の指導案(
3
歳児 ・朝の会) 学生の予想 される子 どもの姿 学生の書いた援助 の留意点 保育経験者 (筆者)が訂正 した箇所 元気 よく挨拶 して順次登園する○おたより帳 .コ ップ .ナプキ ンを 笑顔で元気 よ く挨拶 を し、気持 ち 挨拶 し、今 日もまた会えた喜 びを感 じあ よく1日をス ター トで きるように えるようにするo視診 を しっか りしてコ する○ ミニケ-シヨンを取 りなが ら子 どもの内 会話 を持 ち、 コ ミニケ-シヨンを 取 って視診、触診 をするo 教室の前におた より帳 .コップ .面外面の状態 を把握するo①向 きや場所や動線 を把撞するo家庭か ら集団に移行する段差 を遊 び 箱に入れ園服 を脱いだ り準備 を各自行 うo ・仕度 を終えた子か ら園庭や教室で ナプキンを入れる箱 をだ してお く○子 ども連の中に入 り一緒 に遊ぶo 自由遊 びを始めるo みんなで協力 して片づけをす るo で きるだけ子 どもの要求に応える②ように援助するo「誰がお片づ け上手 か な?」子 ども達 自ら片づけ られるように働 きか畳塾旦旦土の楽 しさでスムーズに移れるようにす る○何に面 白さを感 じているのか誰 と遊 んでいるのか、一緒 に遊 びなが ら子 どもが充実 して遊べ るように 音楽が流れてす ぐ始める子や遊 び などと意欲 を引 き出す声 をか けるo片づけられない子 には取 り組んでを続ける子がいるoトイレに行 き排他 を済 ませるo教 ピヨピヨちゃん真似ゲームを して いた遊 びを十分に認めてか ら、片づけをけるo 促すo排准 .うがい .手洗いが習慣 として身に
室 に入 りうがいをするo 朝の挨拶 をするo
名前 を呼ばれた ら返事 をするo当番の インタビューでは声が小 さ 落ち着けるように配慮するo朝の挨拶 .敬 .インタビュー出欠を取 るo声が小 さい子 には大 きな声で話す することが気持 ちよく感 じられるように日の活動予定 を しっか り伝 えるo.1つ くように無理 のない形 で援助す る○姿勢 を正 して視線 を合わせ て元気 に挨拶③話 しの中で子 どもの声 を聞 き、子 ども達が納得 して取 り組めるように工夫するo声が小 さい子 には、話そ うとする意欲 をするo誰がお休み`てクラスの仲間に関心 を持つの予定 を伝 える時には今 日の園生活に期待が持 てるように話すoなのか理 由..も簡 単 に告げ0 1日
学生Dの指導計画案 は登 園か ら朝 の会の部分実習の ものである。 朝 は子 どもが家庭か ら
集団生活への段差 を乗 り越 える場面である。 その場面 を園での生活 に思 い を馳せ て期待 や
日の過 ご し方に大 きく影響する。そのために朝の自由遊 びの時間帯では、出来 るだけその 段差 を子 ども一人ひとりがそれぞれのペースで遊びなが ら乗 り越 えて行 けるように用意 し ている。 それは現場の原則 として存在 していると考 える。その ような意図をもって設けて いる時間帯である。そこで得た情報 をもとにその 日のその子-の援助 を方向づ けてい くこ とが筆者は実 に多かった。 また子 どもと一緒 に遊ぶ中で今 日
1
日の 自分の、集団保育の援 助 を方向づけることも多かった。その ような時間帯であったのでおのず と援助の留意点に はそのことを記載 した。 学生Dの記述の中で、② 「誰がお片づけ上手かな?」
などと意欲 を引 き出す声 をかける。 に注 目す る。 筆者は学生の指導計画案 にこの文言 を見つけることが多い。保育現場では4 月の入園当初 こそ多少使用 されることもあるが、それ以降はほ とんど使 われない言葉であ る、 と筆者は感 じている。 学生 にとってみれば、この言葉で子 ども達が片づ けに一生懸命 取 り組んで くれる′のであるか ら誠 に重宝 な言葉であろうと考 えらえる。 しか しこの言葉 は 競争の原理 を応用 して葺.七先生 に褒め られたい自意識の側面 に働 きかけている。そのや り方 (方法)が保育の意図 とそ ぐわないのである。褒め られたいか ら片づける、その動機 を否 定する ものではないが、 しか し、保育の意図は、例 え誰 も褒めて くれな くて も、 自分か ら 納得 して片づけらえるようになってほ しいのである。 この ような言葉 に飼いならされて し まうと、褒め られないのであれば片づけない、 とい う負の学習 を積 んで しまうことにな り かねない.そのこせ を危倶するが故 に保育者はほとん どこの言葉 を使 わないのである。 そ れが現場の原則である。誰か と争 うことで しか意欲 を引 き出せ ない とした ら、やは り乏 し い。 自他の充実 に寄与する意欲 は、争 うのではな く、例 え認め られな くて も、自らの内面 か ら自分で作 り出 し、喜 びを感 じられるようになってほ しい。 セオリ-ー 6、現場の原則について 学生Al,B、C、Dの指導計画案 を見て きて、行為は列記 されているが、学生の文章 に は保育意図が盛 り込 まれていないことが明 らか になった。そ して現場 にはその場面毎の セオリ・- セオリー・ 原則があ り、その原則がなければ保育意図は作れないのではないか と考 えた。 例 えば、朝の会では出席点呼 をして、それぞれの子 どもが互いの返事 を聞 きあい、存在 を確認すること。 今 日も会 えた喜びを共有することも大事 な保育の意図である。勿論、保 育者の事務的把握の機会で もある. しか しそれだけではない。欠席 は誰 なのか、なぜ なのi か。子 ども自身が欠席の友だちにも思いを馳せて子 ども同士の関係性 を構築す る援助 をす るのである。 その他 に、必ず1
日の予定 を子 ども達 に伝 えて、子 ども自身が見通 しや期待 セオリ- -を持 って1日を過 ごせ るように配慮することは、はず してはならない朝の会の原則 なので セオリーー ある。 この場面毎の原則が理解で きていなけ担 ぎ、学生は保育の意図を見出す ことがで き ないのではないだろうか。セ オ リー 現場 にはこのほかにも、場面毎の原則がある と考 える。 筆者が考 える場面毎の原則は以 下の とお りである。 場 面 原セ オ リ則 1 登園時 家庭か ら集団生活の段差 を不安な く、その子のペースで乗 り越 えられるように する○今 日の活動 を楽 しみにすることがで きるように援助する○ 2 身重度 自分か ら取 り組めるように、 自分ですることをめ ざす0分か らない時は友達の や り方 をみようとするo例 え保育者が手伝 つた と して も自分でやれた充実感が 味わえるように援助する○ 3 排他 その子の排壮間隔 を見定めて声 をかける○低年齢 ほ ど排浬量 も確認す るo排浬 は トイレでする、 とい う気持 ちを大切 にするo 4 一斉活動 その子 な りの興味 を引 き出 し、学級の興味 と重ね合わせて リー ドす る〇相互 に 影響 し合える環境 を用意する○学級意識 を育てる○生活経験 を広げるo協働す る喜びや葛藤 を体験するO-斉活動 中に対応で きなかった個人の細やかな興味 ・欲求には、 自分のペースで取 り組める空間や時間 を保障す るo何 か をみんな で一斉 にすることに意義があるのではな く、その活動 を通 して、個 人が、学級 が、何 を感 じて どう育 ち合 えるのかに注 目するo 5 園行事 行事前か ら興味 を引 き出す働 きかけを して、当 日に期待が持 てる ようにす る○ 行事 は成長の節 目を確認する場面 と捉 えるoた とえ不本意 な姿 を子 どもが見せ たとして も、その子のことをそれ までの取 り組みの過程 か ら理解す るo行事が 終わったあ とも、行事で体験 したことを日々の保育 に埋 め込 んで膨 らませてい く○ 6 活動の切 り替え 前の活動 を本人が納得 して終わ らせて、次の活動 にスムーズ に移れる ように配 時 慮するo ・7 かたづけ あったところに戻す、次 に使いやすいように戻す ことを働 きかける○低年齢で 例え全部 自力で出来な くて も、 自分でやれた充実感 を大切 にす る○遊 んだ興味 ・楽 しさを次の機会に持 ち越せ るようにするo子 ども達 の遊 びの展 開を見て、 区切 りのいい ところで片付けを促す ようにす る○子 どもpたちが 自分達 で片付 け られるように見通 し (時計の針が3にきた ら片づ けだよ) を伝 えてお く◎遊 ん だ場所 ごとに、片づけに時間がかかる遊 びか ら徐 々に声 をかけるo 8 手洗い 袖 をま くった りして服が濡れない ように水量 を調節 した り出来るようにす るo 手の甲、掌等全体の衛生に気がつけるようにす るoいつ まで も 1人で占領 しな いo また周辺 (床)を水で濡 らさない○洗 った手 をハ ンカチで拭 くo 9 給食 みんなで食べ る楽 しさ .栄養補給 の大事 さ .身体づ くり .時 間やマナーを感 じ とれるようにするo多様 な味覚 に出会い、豊かな食生活の基礎 を培 うo
た り認め られた りの作用 を大切 にするo ll 絵 本 ス トー リーを楽 しむo学級で一緒 に体験す る楽 しみ を感 じるo子 どもが イメ-ジの世界を体験することを大切 に して、一方的なイメージの押 し付 けは しない. 12 帰 りの会 1日の活動 を簡単 な言葉 に してまとめ、明 日の園生活が楽 しみに思 えるように する○学級で共有 したい事柄 について子 ども達 に投 げ返すo 13 自由遊 び 相互に影響 を与 え合っている様子 を邪魔 しないo 自己主張 し合 う関係 を育てるo 葛藤体験 を丁寧 に共有するo子 ども同士が対等 に関われるように注意す る○遊 びの中で友だち関係 を広げた り深めた りで きるように援助す る○遊 びを多様 に 展開で きるよう助言するo 自分 な りの楽 しみ方やその子のペースで遊べ るよう にする○ 14 園庭 五感 を通 した直接体験 を して 自分 な りに行動す る喜 びを感 じるo遊具 との関わ り方 を知 るo安全 を考 え、動線 を意識 し、遊 びの展開を読み取 り、自由にのび のびかかわれる場 と時間を保障す るo特 に自然 (動植物) との出会いを大切 に するo 15 全体の流れにつ 周囲に居合わせることで興味 を引 き出 してい くoその子のペースを大切 に しな いていけない子 が ら部分的参加 を促すoなぜついていけないのかを考 えてスモールステ ップを の場面 設定するo周囲の子 ども達 も、ペースの違 う子 と.のかかわ りを学 び、気持 ちを 通わせ る過程で 、 自分の出来ることはなにかを考えて協働 しあ う関係 を育むo 16 甘えて くる子の なぜ甘 えて くるのかを考 えるoいつ まで も甘えて くるのではない と考 えて今 を 場面 受け入れてい くo友達関係 を援助するo家庭環境 を考慮 して対応 し保護者 と連 携す るo的を外 した援助で も甘えて くれる信頼感 に応 えるベ く援助 を練 り直 し てい くo 17 個 と集団で葛藤 1人ひとりを大切 にするけれど学級が飽 きて しまった ら、又 は、学級で動 くと する場面 さに 1人の子が嫌がった ら、等相克する矛盾の統合 を常 に考 えるo個 と集団は 別物ではない循環 しあ うもの と捉 えてその実現 に見合 う方法 を考 えるo 18 先生同士の場面 嘩 じたこと .考 えたことを伝え合い、相談 し合い、助言 しあ うことで園全体 と しての保育観 を共有 しあってい くo指摘 .批判 .指導ではな く、協働が基盤o 19 異年齢のかかわ 年長児は年少児の能力や状況 に応 じられる.ように自分のや り方 を調整 .工夫す り場面 るo年少児は年長児に憧れの気持 ちが持てるようにす るoそれぞれが違い を認 め合い、j補いあい、力 を合わせあ う関係 を援助するo 20 乱暴する場面 暴力的な表現で しか自己主張で きないその子のつ らさや悲 しさや困難 をまず初 めに理解するO
SO
Sのサインとして受け取 り、 どうすればいいか一緒 に考 え るo気持 ちをしっか り受け止めた後 に、相手の子の ことを考 えられるように促セオリー 7、場面毎の原則の背景にあるもの セオリー 場面 ごとの原則 は単独であるのではない。それぞれの場面 には必ずその背景があると考 えられる。 その背景 とは何であろうか。岡 (2002)が指摘するように保育 を語 る道具 (言 莱)を身につけることも、背景が見 えなければ道具 として使 えない し、保育意図である「子 どもが主体的に活動す る」 ことの価値 は、そのことに価値が感 じられなければ基盤 に据 え ることが出来ない。そこで筆者は4つの象現A ・B ・C ・Dに整理す ることとした。 まず、 保育現場 には 1人ひとりの子 ども、それぞれの学級がある。個別 に対応する次元である。 それ とは別の次元で、現場 は生活文脈 に即 した場面で構成 されている。 現場 に臨場する共 過 (普遍)の流れである。 その違いを横軸 に2分 した。またそれ らは実際に現場で目に見 えるかたちで立ち現れる部分 と、日に見 えない理論的背景 となっている部分 を縦軸で
2
分 した。その結果が表1
である。 表1 実際テクニック 理論ベース 個別(千 .学級)r\B
D
その場その時にリアルに 生育歴 .家族構成等その子 その子自身を捉える能力 観察力 .コミニケ-シヨン能力 .感受性 子を捉える能力のデータベースか らその園保育方針 .地域社会 共通 (普遍)A
C
場面毎に構成される窟朝の会 .排椎 .一斉 (嵐
設 場面に拠 らない普遍的ベ保育観 .子ども観ース、 定)保育 .給食 .自由遊 保育者観 .保育原理 セオリ -Aの象現 場面 ごとに構成 される現場保育の原則である。 この場面は どう構成 されてい るのか、生活現場の脈絡の、流れの中で現れる象現である。 具体的には登園 してか ら降園するまでの朝の会 ・排壮 ・一斉保育 ・給食 ・自由遊 び ・帰 りの セオ リーー セオ リ-会等である。 場面毎の現場保育の原則内容 については、6
、現場の原則 につ いて、でおお よそ述べ たので参照 されたい。養成校 においてはこの象現 を窓 口に して保育 ・教育実習関連の体験型授業が実施 され、実践力が培 われる。 実習生 において もこの象現が保育現場の流れを直接体験す ることに相当する。Bの象規 子 どもと現場で会話 した り、子 どもを実際に見て感 じる情報か ら子 どもを捉 える能力の象現である。 リアルタイムで ビビッ トな事実の状況か ら察知する 事柄である。 現場でのその子 どもとのコミニケ-シ ヨンカや観察力が求め ら れる。 この能力は固有 な1人の子 どもを感 じて応答 してい くことで高め られ . てい く。 バ ッ トの素振 り練習す る所が後述する
D
の象現なら、B
はバ ッター ボックスに立つ ことでボールが当たることもある、臨場の象現である。例 え ば、砂場で山作 りをして遊 んでいた子 どもたちの1
人ひとりを見定めて、片 づけの タイミングをあ と10分延ばすのか、それ とも 「今す ぐ片づけよう」と 提案するのかは、目の前の子 どもの様子か ら判断 しなければならない。 どの 子 も意欲的に山作 りを力合わせ てやっているならば片づけの タイミングは延 ばす ことが適切である し、参加 している子 どもの興味が逸れて きて抜 けてい ・つて しまう、動 きが止 まって視線 もぼんや りしているようならば、片づける ことを提案 して もいいだろうこ.,その判断 を子 どもを見て感 じて対話 して行 な う象現である。 Cの象現 場面 に拠 らない普遍的なベース となる考 え方や見方の象現である。 保育哲学 ・保育原理 ・子 ども観 ・保育者観などである。近代の子 ども観、「子 どもの発見十に大 き く寄与 したのはル ソー (JJ.Rousseau1712-1778)であ る。 他 に児童権利宣言 (19
5
9
)
、子 どもの権利条約 (1
9
9
4)
な どは理論的基 盤 として保育実践の背景 にある ものである。保育観はここでは津守真の言葉 を引用す る(1)。 「未来 をつ くりだそうとする意志 を子 どもの中に育てること」。 筆者 は実際現場で保育 しているときに、場面に拠 らないベース となる考 え方 があった。それ らはいつ も目の前の子 ども連や同僚保育者か ら感 じさせ られ たことだった。 筆者 ・子 ども観 O ①子 どもはいつ も大 きくな りたい、その原動力で生 きている. 、(参生 まれなが らに して優 しさ ・良 さを持 っている。 ③ 自分 を写す言語 も思考 も持 ち合わせていない分、 自分 を写 し出す 鏡の ように他者 を必要 としている。 ④認め)られたい、分かって もらいたい と願 っている。 ⑤ 自分が今持 ち合わせている可能性 を信 じて疑わない。その力 を絶 えず試 した り耕 した りしている。 (む世界 に自分 を拓いて前向 きに挑 んでいる。 q (丑本能 ・自己に忠実で信頼で きる存在筆者 ・保育者観 ①子 どもの喜ぶ顔 を見 て、喜ぶ人 (相互充実で きる人) ②子 どもの主体 に添 った援助 をす る人 (吾人 と人 として対等 のス タンツに立 てる人 ④子 ども達 をリー ドす る人であ る と同時 に最後尾 か ら付 いて行 く人 ⑤ どの子 どもに対 して ももれな く公平 ・対等 に援助 で きる人 (む安全 ・命 ・善悪 ・社会のルールな どについては枠組 を示す人 Dの象現 個別 なその子 (学級) を考 える時のデー タベース (生育歴 ・家族構成 ・出生 時の様子 ・親子関係 ・年齢 ・ここ
1
ケ月位の遊 びの傾向 ・育 ちの傾 向)であ る。 その子 どもが どの ような保育 をうけているか (園の保育 ・教育方針)そ の子 どもの居住地域の地域性 (自然環境 ・文化 ・風土 ・歴 史) も影響 を与 え ている象現である。前述 した ようにバ ッターボ ックスに立 ったか らといって バ ッ トにボールを当てるのは難 しい。当てるため には素振 りを含 め多種 の練 習 をす る必要がある。 た とえばA君 に適切 な援助 を行 な うためには、そのデ ー タベースか らA
君 に直接 かかわ らない次元での考察が重要であ り、その作 業 をす る ところが このDの象現 である。 この象現 の、特 に個人情報 にかかわ る範噂 は実習生 は直接知 り得 ない。そのため に、あれ、A
君 は どう していつ もこの場面で こうす るのだろ う ?等実習生が違和感や疑問 を感 じた実感か ら 担任保育者 に問い合わせ なければ入手で きない情報 ゾー ンである。 8、4つの象現の関係性 例 えばH
君が登 園直後の 自由遊 びの時間帯 に立 ち 尽 くしていた とす る。 津守 (2007)(1)は 「遊 びの中で育 て られ るのは、 物、他 人、世界、人生、 自分 自身に対す る根本態度 である」 と述べ ている。 これは遊 びの保育観であ り、 Cの象現 である。 この ような遊 びの重要性ついての 保育観があるか ら、朝 の 自由遊 びの時間 も保育者はH
君 に対 して遊 んでほ しい と願 っている。 登 園直後の遊 び時間は、家庭 での生活 と園での生 活の段差 をその子 な りのペ ースで乗 り越 えてほ しい と願 って設定 されている原則がある。H君 な りのペ ースで 自由に遊 んで、今 日1日充実 した体験 を してB
D
保
育
の
意
図
表2 実践基盤ほ しい と保育者 は願 っている。 これはAの象現である。
H
君 は昨 日、担任保育者が 「なんで も 1人で出来 る子 だか らその分、 目をかけてあげな くちゃと思 っているの。時 々気後れ して しまうところ もある し。。。」と話 していた ことを 実習生 は思い出 した。 これはDの象現の情報である。 よく見 る とH
君 はただ立 ち尽 くしているのではな く、視線 は Ⅰ君達 を見つめている。Ⅰ
君たちが遊 んでいて笑 うと、見 ているH君 も微笑んでいる。 両足 も開いて立 っていて、そ の両足 は角度や間隔か ら動 き出そ うとしているかの ようだった。手 も少 し前 に出ている。 今 は友 だちの遊 びを見 ることで楽 しんでいる。 これはBの象現の情報である。 そこで実習生 は、昨 日の担任保育者の言葉 も思い出 して、 この場面で も充実 して Ⅰ君 た ちと一緒 に遊 んでほ しい、今 日も楽 しい1日を過 ご してほ しい とい う願いをH君 に抱 いた。 これが保育意図 となる。「
Ⅰ君 たち と一緒 に遊 びたいの?」
と声 をかけるとH
君 は黙 って 領いた。そ こで実習生 はH
君の手 を引 きなが ら Ⅰ君たちの遊 んでいる場所 に歩いてい った。 この行為が保育行為 になっている。 この ように見 てい くと、4つの象現 は互いに往還 しあっている。 それぞれの象現は通過 しあって関係 を持 っていることが分かった。 結語 実習生が現場で保育 を実践す る実践力 を養 うためには、養成校 において4つの象現 に現 れる実践基盤 に基づいての学習が必要である。 そのための窓口になるのは実習関連 授業であるが、理論系の学習が積み 増 されていなければ実践力 を高めて 個 い くことは難 しい。 別 実習生が実際 に保育現場 において 朝の会 を体験す ることで、みえて く 共 ることがあるだろ う。 現場 に立 って、 初めて、子 ども観が関係 しているこ とがわか り、養成校 で子 ども観 を学 過 実技 理論 個別のその子を その子の背景に リアルに捉える能力 ある理論を捉える能力 保育現場の場面に拠る 場面に拠 らない 実践基盤 んでい く端緒 に してほ しい。勿論子 ども観だけではない。実際 にその子 とかかわ らない次元で、その子 の背景 にある理論 を捉 える能力 は事例検討 ・ケニスス タデ ィなどで も研 ぎ澄 まされてい くであろう。 直接子 ども と関わる次元の理解 を支 えているのが ここである。 直接子 どもとかかわるときには実技系 の授業で、 コミニケ-シ ョン能力 ・観察力 ・感受性 ・表現の感性 な どについて体験 を通 し た学習が必要であろう。現場実習で学生が子 どもをビビッ トに捉 える感受性や コ ミニケ一シ ョン能力の必要性が痛感 させ られれば、実技系 の学習への意欲 もまた違 って くるであろ う 。 セオリ-I また、保育現場 の場面 に拠 る原則 を知 り、その生活文脈 に沿 った ところでの保育意図 を 見定めて、それ を保育行為 に して援助す ることで実践力 は高め られてい くであろ う。 保育 意図 を最適 な援助 に還元 して子 ども達 に投 げ返 してい くことで子 ども達 は育 ってい くので はないだろうか。学生が実践力 を携 えて、広 く子 どもの成長 を援助で きる保育者 になって ほ しい ものである。 註 (1)津守真 (2007)「保育者の地平」 ミネルヴァ書房 P293 (2)教育実習 Ⅲ授業 シラバス 授業計 画2010年 (前期) 第1回 オ リエ ンテーシ ョン 第2回 幼稚園教育実習 Ⅱの意義 と位置づ け 第3回 授業担当者 による模擬部分実習の実践 第4回 指導計画案の立 て方 第5回 指導計画案作成 第6回 指導計画案作成 第7回 模擬部分実習 グループ分 け .実践計画 第8回 模擬部分実習 (保育者役 .子 ども役 .観察者役 を体験) 第9回 模擬部分実習 (保育者役 .子 ども役 .観察者役 を体験) 第10回 模擬部分実習 (保育者役 .子 ども役 .観察者役 を体験) 第11回 模擬部分実習 (保育者役 .子 ども役 .観察者役 を体験) 第12回 模擬部分実習 (保育者役 .子 ども役 .観察者役 を体験) 第13回 生活援助の指導計画案 第14回 授業全体の振 り返 り 第15回 授業全体の振 り返 り -授業最後 に、それぞれの立場 か ら気がついた ことや感想 な どを記述す る時 間を設け て、提出 して もらった。翌週 回覧 し読み合 う。 (3)幼稚 園教育実習 ノー ト 小川博久 ・岡健 協 同出版 (4)保育所実習 民秋言、安藤和彦、米谷光弘、中西利恵 新保育 ライブラリ 株 北大路書房 (5)「保育者の一 日とその周辺」 津守真 1989 フレーベ ル館 PI0 (6)「保育者論」 小川博久 (7)「実践 としての保育学」 関口はつ江 ・太 田光洋編著 同文書院