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大山下部火山灰から新たに発見された2枚の降下軽石層について

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(1)

ShOmei OKADA and Shin_ichi TANIMOTOi On TヽvO Punice FaI Beds Discovered in the Daisen Lower Tephra Member

(1986年 8月30日 受理) I は

に 大 山火 山 を噴 出源 とす るテフラは,“大 山火山灰層

"と

一括 され (赤木

,1973),大

山上部, 中部

,下

,最

下 部火 山灰 の

4部

層 に区分 されて い る (山陰第四紀研 究 グループ,1969)。 各 部層 を構 成 す る個 々の テ フ ラ層 につ い て は

,佐

治 ほ か

(1975),町

田 。新 井

(1979),岡

(1983),荒

(1984),津

久井 (1984)な どに よ り

,そ

の分布

,層

,特

性 な どが研 究 されて きた。 また

,町

田・新井

(1976)は

姶 良

Tn火

山灰

(AT)を

,津

久井・柵 山

(1981)は

三瓶火 山木次軽石(K3)を識別 し

,噴

出源 を異 にす るいわゆる広域 テ フラが “大 山火 山灰層

"中

に も 介在 す ることを明 らか に した。

ATと

K3は

,大

山起 源 のテフ ラに くらべ て特異 な鉱物組成 を もつ こ とか ら

,有

効 な鍵層 となっている。(第

1図

)。 大 山火 山の東側 の地域 で は

,大

山下部火 山灰 を構成 す る降下軽石層 と して生竹軽石

(DNP)

が知 られていた (佐治 ほか,1975)。 岡田

(1983)は

,津

久井 ・柵 山

(1981)に

よ り

DNPの

下位 に見 い出 された木次軽石 (K3)も 層位 的 に下部火 山灰 に属す るこ とを報告 した。 しか しな が ら

,そ

の後

,DNPと

K3と

の 間にこれ まで知 られてい なか った

2枚

の降下軽石層 が発見 さ れた。(谷本,1985 MS)。 小 論 で は

,新

発 見 の 降下 軽 石 層 の うち 下 位 を荒 田軽 石

1(DAPl),上

位 を荒 田軽 石2

(DAP2)と

命名 し

,以

下 にその分布 の概要 と特性 を報告す る。 本研 究 に用 いた磁気天符 の製作 にあた って

,本

学部物理学教室

,

と くに同教室の安藤 由和氏 に多大 なる援助 をいただいた。 ここに記 して深 く感謝 の意 を表す る。なお

,本

研 究 に昭和61年 度文部省科学研 究費の一部 を使用 した。

H

大山下部火 山灰 の従来の層序 大 山下部火 山灰 は

,中

部火 山灰以上 に不整合でおおわれ

,最

下部火 山灰 を不整合 におお う一 連 の噴出物である。すでにのべ た ように

,従

来 の知識 によれば下部火 山灰 は大 山東方域で は, 生竹軽石

(DNP)と

その下位 の三瓶木次軽石

(K3)で

構成 され る。 この うち

,DNPは

2mを

*地

学教室

*地

学教室 (現在

,倉

吉西中学校)

(2)

入山上部火山灰 大山中部火山灰 大山下部 火山灰 大 山最 下部 火 山灰 工1:cumminqtonite 工 :hornblende 2 :oxy hOrnblende 5 :opaque min. 凡 例 賜 クロボ ク │ │ロ ーム(風化火山灰)

t∵

軽石 舛 銭 火山砂 ¬]]司司1クラ ック帯

墜 謝ラミナ

屹デ

β 凝灰角礫岩

第1図 大山東方域における “大山火山灰層

"の

模式柱状図。柱状図左の数字は層厚(cm). す厚層 として広 く分布 し

,大

山中部火山灰の倉吉軽石

(DKP)と

ともに東方域 におけるもっと も主要な降下軽石層である。これに対 して大山北麓か ら西方域 においては

,中

部火山灰 を欠除 し

,下

部火山灰 は直接上部火山灰 に被覆 されている (岡田,1983)。 北麓では

DNPの

分布範 囲外 とな り

,下

部火山灰 は

K3と

その下位 に くる名和火砕流お よび松江軽石

(DNP)で

構成 さ れている。松江軽石

(DNP)は

大山か らほぼ真西に分布軸 をもち

,西

麓では

4mに

達する厚層 となる。 以上のように

,大

山下部火山灰 を構成するテフラ層 は

,大

山の東側 と西側で大 きく異なって お り

,こ

れ らを対比す るうえで両地域 にまたがって分布す る木次軽石 (K3)は きわめて重要 な 存在である。小論で とりあつか う新発見の降下軽石層 は

,こ

の東側地域 に分布するものである。

IH

荒 田軽石

1(DAPl)お

よび荒田軽石

2(DAP2)に

ついて Ⅲ

-1

模式地 にお ける層序 新 た に発 見 され た荒 田軽 石

1(DAPl)お

よび荒 田軽石

2(DAP2)の

模 式 地 を鳥取 県東伯郡

(3)

関金 町荒 田に設定す る。模式 地 は大 山か ら東約 位 置 し

,小

鴨川 支流 の清 水川左 岸 に 小規模 に発達す る標高 260∼

280mの

段 丘面 で あ る。層厚 8m十 の段丘礫層 を

,層

厚約

10mの

大 山火 山灰層

"が

被 覆 して い る (第

3図

の5)。 また

,段

丘礫層 中 に も

,厚

さ約

lmの

軽 石 層 が

2枚

断続 して介在す る (第

3図

5で

は省 略)。 段 丘礫層 をおお う “大 山火 山灰層

"の

基 底約

1.5mは ,ク

ラ ックの発 達 した硬 くしまった赤褐色 ロームであ り

,一

見 して最 下部火 山 灰層相当層準 であると判断で きる。 この赤褐色 ローム中に風化 の著 しい軽石薄層 が

2枚

は さま れ る。段丘礫層 中の軽石層 も最下部火山灰 に属す る もの と考 え られるが

,こ

れ らと模式柱状 図 (第 1図

)と

の対比 は今 の ところ不 明である。 い っぽ う,“ 大 山火 山灰層

"の

表層 部 には クロボ ク

,弥

山軽石

(MsP),上

の ホーキ (Uh), オ ドリ火砕流

(Od),下

の ホーキ

(Sh)お

よび姶 良

Tn火

山灰

(AT)で

構 成 され る上部 火 山灰 (層厚約

2m)が

下位層準 を切 って発達 してい る。 最 下部火 山灰 と上部火 山灰 には さまれ る

,厚

さ約

6mの

中部・下部火 山灰 相 当層準 に

6枚

の降下軽石層が累積 している。従来報告 されて きた

,大

山東方域 での中部・下部 火山灰 を構成 す る降下軽石層 は

,倉

吉軽 石

(DKP),関

金軽石

(DSP),生

竹軽石

(DNP)お

よび三瓶木次軽 石(K3)の

4枚

のみであ る。 したが って

,こ

こでみ られ る

6枚

の降下軽石層 の うちす くな くと も

2枚

,今

まで知 られていなか った もの となる。

6枚

の降下軽石層 の うち最下位 の ものは

,層

厚約15 cmで

,褐

色 ローム中に自色軽石が点在 し

,上

面 ・下面 ともに不 明瞭 とい う特異 な産状 を呈す る。黒雲母 に富み

,軽

石粒 はつ よ く風化 して外形 は判然 と しない。 こう した産状 は

,大

山山麓 にお ける木次軽石

(K3)に

共通 す る もの で あ る。津久井・柵 山

(1981)が

しめ した分布南限 をさらに南 に越 えてはい るが

,あ

とでのベ る重鉱物分析

,強

磁性鉱 物 の熱磁化分析結果 か らも

,本

層 が木次軽石 (K3)│こ 同定 され るこ と 日 本 海 大山 ▲

( 0

10 Km

︵ く

フ″L劣

一﹂中︺

第 2図 柱状図の位置

.1:東

伯 町杉地∼大杉 間

2:倉

吉市服部

4:関

金町大山池

5:関

金町荒田

6:関

金町関金宿 一三朝町福本間 形峠

9:上

斎原ホ↓恩原貯水池南.

3:倉

吉市枠谷 ∼般若間 7:中和村別所

8:人

(4)

大山最下部火山灰 第 3図 南北方向の柱状対比図

.凡

例は第 4図. →

E

賜吻クロボク

EE崖

匠三

]ロ

ーム

(風

化火山灰

)

匡□ 軽石

匿∃火山砂

匡∃ 礫層

匝固 花南岩

匝コクラック帯

EIラ

ミナ 匝コ 軽石 まじり 回 暗色軽石まじり 大山上部火山灰 大山中部火山灰 大 山下部 火 山灰 大 山最下部火山灰 第 4図 東西方向の柱状対比図

(5)

K3を

のぞいた

5枚

の降下軽石層 は

,い

ずれ も黄橙色 に風化 した径数

cmの

軽石か らなる も ので

,肉

眼的に相互 を区別することは困難である。層厚は上位の ものからそれぞれ 30,110,

90,40 cmで

,各

層の上部は

,厚

15∼30 cmの 褐色 ロームに漸移 している。ただ し

,上

か ら

4枚

目の軽石層の上部 は

,岩

片に飛んだ細粒 の暗色軽石 (厚さ

5m)に

漸移 してお り

,ロ

ーム 層 を欠除する。 ところで

,倉

石軽石

(DKP),関

金軽石

(DSP),生

竹軽石

(DNP)に

共通する特徴 は

,他

の 大山火山起源の軽石層 に くらべてシソ輝石の含有率が高いことである (岡田,1983)。 肉眼的 に酷似する

5枚

の降下軽石層 も

,あ

とでのべ るように重鉱物分析結果から

,上

3枚

の軽石層 でシソ輝石の含有率が高いことがわかる。 したがって

,こ

れ らを上か ら

DKP,DSP,DNPに

対比することに矛盾 はない。なお

,大

山東方域で最大の層厚 をもつ

DKPが

,わ

ずか

30cmの

薄層 となっていることは

,本

地点が

DKPの

分布南限域にあたちてぃるためである。 以上の ような対比の結果

,Kaと

DNPと

の間に くる残 り

2枚

,新

発見の降下軽石層 とい うことになる。 この

2枚

の降下軽石層 は

,野

外での産状やあ とでのべ る分布様式

,重

鉱物組成 か らみて

,大

山火山起源の噴出物であることにまちがいない。本地点の地名をとって

,下

位の もの を荒 田軽石

1,上

位 を荒田軽石 2と 命名 し

,町

田・新井

(1979)に

ならいそれぞれ を

DAPl,DAP2と

略称す るこ とにす る。

DAP2と

DNPと

,両

層 の間にロームの発達が まった くみ られない ことか ら

,休

止期 をはさまないでほぼ連続的 に降下堆積 した もの と考え られる。 一般 にこのような場合

,両

層 をあわせて一層 とみるか

,二

層 に区分するかが問題 となるが

,あ

とでのべ るように

DAP2と

DNPと

は分布範囲が一致せず

,

また重鉱物組成および強磁性鉱物 の磁気的性質 も大 きく異なることから

,そ

れぞれを独立のユニ ットとすることが妥当である。 なお

,DKPと

上部火山灰基底 に位置する姶良

Tn火

山灰

(AT)と

の間に

,厚

20cmの

ラ ミナの発達 した青灰色 を呈する火山砂 (降下火山灰

)が

み とめ られる。上のホーキ

(uh),下

のホーキ

(sh)に

似 て い る こ とか ら “偽 ホーキ

"と

仮称 して い る ものであ るが

,津

久 井

(1984)の

鴨 ヶ丘火山灰 に相当するものと思われる。

-2

分布の概要 荒田軽石

1(DAPI)お

よび荒日軽石

2(DAP2)の

精確 な分布範囲については

,今

後のよ り 詳細 な調査 を必要 とするが

,こ

こでは分布の概要をのべることにする。第

3図

,大

山東方域 における

,ほ

ぼ南北方向にならぶ主要露頭の柱状対比図である。柱状図を作成 した露頭の位置 を第

2図

に しめす。

Loc.5が

関金町荒田である。第

3図

か ら明 らかなように

,DAPIお

よび

DAP2は

ともに

LOc.5,LOc.6で

厚 く

,こ

れよ り南側 (Loc,7)で は急激に消滅する。 また北側

では

,DAP2は

Loc.4ま で

,DAPlは

Loc 3ま で追跡 されるが

,こ

れ より北では存在 しな くな る。

DAP2と

一連の噴出とみ られる生竹軽石

(DNP)が

,LOc,1か

7ま で南北 に広 く分布す るのに対 して

,DAP2,DAPIは

明らかに分布巾がせ まい。その中は

4kmほ

どである。 つ ぎに

,東

西方向の分布 を第

4図

によ りみることにする。

DNP,DAP2,DAPlの

セ ットは , 多少の層厚の変化 をみせなが らも

,約

15 kmに わたって確実に追跡できる。

Loc.8や 9の

周辺 では

,こ

れまで も降下軽石層の存在は知 られていたが

,充

分な検討がなされずに漠然 と中部火 山灰 とよばれ

,誤

認 されて きた (たとえば大久保編,1980)。 以上の ような南北方向

,東

西方向の分布の特徴か ら

,DAPl,DAP2は

ともに

,大

山か ら模

(6)

DNP

Loci5 LOC.6 Loc18 LOC.9

DAP2

Loc.5 Loc16 Loc,8 555 229 257 Loc.9 第 6図 生竹軽石

(DNP),荒

田軽石2(DAP2), 荒田軽石

1(DAP:)の

重鉱物組成

,凡

例は第 5図. 」/J0 1.0 第 7図 関金町荒田 (Loc 5)に おける降下軽石 層 中の強磁性鉱物の熟磁化 曲線

.DKP:倉

吉軽石

DSP:関

金軽 石

DNPI生

竹軽石

DAP2:荒

田 軽石

2 DAPl:荒

田軽石

l K3:三

瓶木次軽石. 第 5図 関金町荒 田 (Loc.5)に おける降下軽石

Loci9

の重鉱物組成(1/4∼1/8mm).

琴Υテ

靴 跳ず雷

:鶴

辞千鳴

cづ

::窒

椎璽よ洛

1暴

鞘楊

G6

子の総数

. Loc18

式 地 (Loc.5)を 通 り

Loc,9に

至 る東南東 方 向 に主軸 を もつ東西 に細 長 くの びた分布 をす る もの と考 え られ る。 Ⅲ

-3

重鉱物組成 荒 田軽石

1(DAPl)お

よび

2(DAP2)の

模式 地 で あ る

Loc.5に

お ける下部火 山灰, 中部 火 山灰 の 降下 軽 石層 につ いて

,1/4∼

1/8mm粒

度 フ ラクシ ョンの重 鉱物組成 を 検討 した(第

5図

)。 分析方法 は岡田(1983) に よった。 なお

,黒

雲母 は定量 していない。 第

5図

か ら明 らか な よ うに

,本

次 軽 石 (K3)を のぞ いた

5枚

の軽 石層 中 には

,優

勢 な角 閃石 に くわ えて シソ輝石 と鉄鉱物が ふ くまれる。 このほか,セ 再ずれ も黒雲母 を 伴 ってお り

,

この ような鉱物組みあわせは, “大山火 山灰層

"に

共通す る特徴である。 いっぽ う

,三

瓶火 山起源の木次軽石(K3) はほぼ等量の角閃石

,鉄

鉱物 にわずか数 100 200 500 100 500 パ ーセ ン トのシソ輝石 をふ くんでお り

,さ

らに黒雲母 に富 み重鉱物量比が きわめて低 い とい う

(7)

oc.5 1,0 0 1oo 200 500 第 8図 生竹軽石

(DNP)

磁化曲線 J/J0 1,0 0 1oo 200 第10図 荒田軽石1 熟磁化曲線 400 500 600°C 中 の強磁 性 鉱物 の熱 Loc.5 0 1oo 200 第 9図 荒田軽石2 熱磁化曲線 500 白00 500 600°C (DAP2)中の強磁性鉱物の oc,6 Loc.8 」/J0 110 o loo 200 500 100 500 600° C 第

H図

三瓶木次軽石 (K3)中 の強磁性 鉱物 の 熱磁化 曲線 Loc.9 500 400 500 600°C (DAPl)中の強磁性鉱物 の (1)大山北麓中山町樋谷 (2)島根県簸川郡佐田町 横見. 独特 の組成 を しめす。 こ う した組成 は

,大

山 山麓 にお ける

K3に

共通 してい る (津久井 ・柵 山

,1981,岡

田,1983)。 さて

,荒

田軽石

1(DAPl)か

ら倉吉軽石

(DKP)ま

で の

5枚

の軽石層 の重鉱物組成 を比較す る と

,角

閃石 とシ ソ輝石 の量 比

,

と くにシソ輝石の含有率 に特徴がみ られ る。 まえにふれた よ うに

,DKP,DSP,DNPで

はシ ソ輝石 の含有率が高 く

,そ

れぞれ

34,36,35パ

ーセ ン トを し めす。 これ に対 して

,DAP2は

11パ

ン トと

5枚

の 中で は もっ と もシ ソ輝 石 が少 な く,

DAPlも

20パ ーセ ン トとなっている。 このような重鉱物組成上の特徴が

,他

地点で もみ とめられるかどうか を知 るために

,LOc.6,

8,9の

DNP,DAP2,DAPlに

ついて分析 をおこなった。 この結果 を第

6図

に しめす。同一 の軽石層で も場所 によ り組成上のばらつ きがややあるが

,シ

ソ輝石の含有率の特徴 には LOc.5 における場合 と同 じ傾向が明 らかにみ とめ られる。

(8)

-4

強磁性 鉱物の熱磁気的性 質 軽 石層 同定 の際の示標 とす るため

,重

鉱物分析 に加 えて

,強

磁 性 鉱 物 の熱磁 化 測定 をお こ な っ た。 測 定 に は 自作 の化 学 天秤 型 磁 気 天秤 を用 い

,磁

場 0.8∼

3.3KOe,昇

・ 降温 率 約 10°

C/min,到

達温度 630∼650°

C,真

空 中約 10 4Torrの 条件下で

,強

磁性 鉱物 の もつ磁化 の温 度 に よる相対 的変化 を測定 した。試料 と して

,重

鉱物分析 の際 にふ るい分 けた 1/4∼

1/8mm

の粒度 フラクシ ョンか ら

,棒

磁石 に吸着す る成分 を集めた。 第

7図

,関

金 町荒 田(LOc 5)に お ける

5枚

の軽石層 中の強磁性鉱物 につ いて測定 した結 果で あ る。加熱後

,室

温 まで冷却 した時の磁化が

,は

じめ よ りやや大 き くなる傾 向が いず れの 試料 につ いて もみ られたが

,加

熱時 と冷却時 の熱磁化 曲線 はほぼ可 逆的である といえる。 この こ とは

,低

温 酸化 に よるチ タノマ グヘ マ イ トの生成 はご くわず かであ るこ とを意 味 してい る (小島 。小 島,1972)。 第

7図

に は加熱時 の熱磁化 曲線 を しめ した。木次軽石 (K3)と荒 田軽石

2(DAP2)と

が特異 なパ ター ンを しめてい るが

,ほ

か はほぼ同様 な曲線 で あ り,400°

Cか

ら 450°

C付

近 にキュリーポイ ン トが集 中 してい る。 このキ ュ リーポイ ン トの値 か ら

,こ

れ らの試 料 中の強磁性鉱物 は Fe2 Ti04 20∼ 30パ ーセ ン ト程度 のチ タノマ グネ タイ トであ る こ とが わか る (小 島・ 小 島,1972)。 た だ し

,荒

田軽 石

1(DAPl)で

,高

温 域 で 曲線 が 尾 を ひ き, 500°

Cを

越 え る付近 に もうひ とつ の キ ュ リーポイ ン トを もつ よ うにみえ る。 これ は, よ りTi 成分 の低 い

,磁

鉄鉱 にちかい組成 のチ タノマグネ タイ トがわずかなが ら混在 してい るため と思 われる。 これ らに対 して

,荒

田軽石

2(DAP2)の

試料 か らは

,385℃

,515°

Cに

キ ュ リーポ イ ン トが もとま り

,さ

らに560°

Cに

も不 明瞭 なが らみ とめ られ る。す なわち

,組

成 の異 な る

3種

類 の チ タノマ グネタイ トが試料 中にふ くまれていることを しめ していると考 え られる。 また

,木

次 軽石

(K3)で

,515℃

と575°

Cと

にキ ェリーポイ ン トがあ り

,ほ

ぼ純粋 な磁鉄鉱 とやや

Ti成

分 を もつ チ タノマ グネタイ トとが 同程度量ふ くまれている もの と考 えられる。

Curie Point (°

C)

400

ら「 生竹軽石(DNP) 荒 田軽石

2(DAP)

荒 田軽石1(DAPl) 三瓶木次軽石(K3) 第12図 降下軽石層 中にふ くまれる強磁性鉱物 のキュリーポイン ト このような強磁性鉱物の組成の差異による熱磁化曲線パ ターンの特異性は

,軽

石層の同定・ 対比 に際 し

,

きわめて有効な指標 とな りうる。そこで

,重

鉱物分析の場合 と同様 に

,他

地点の 試料 について も測定 し

,特

異性が特定の軽石層に固有 なものなのか どうかを検討 した。 この結 果を第

8図

∼第11図に しめす。 これ らの図か ら明 らかなように

,す

べての試料が

,LOc.5に

ける試料の熱磁化曲線 とほとんど一致 したパ ターンをしめ していることがわかる。すなわち,

DNPで

はキェリーポイン トが415∼420°

Cの

きわめてせ まい レンジに集中 してお り

,DAP2で

(9)

にキ ュリーポイ ン トが得 られ る。 さらに

,DAPlで

イ ン トが 410∼430°

Cの

範 囲 に集 中す る ことのほか に

,高

温域 で尾 をひ く曲線 の特異性 も一致 して い る。 また

,K3に

つ いて は大 山東方地域 の試料 のほか に

,大

山北麓 お よび三瓶 山の北東 約

7kmの

島根 県簸川郡佐 田町横 見の試料 も検討 に加 えた。結果 は第■図にみ る とお り

,熱

化 曲線 のパ ター ン

,キ

ュ リーポイ ン トともに良 く一致 している。 以上 の測定結果 か ら

,各

軽石層 中にふ くまれ る強磁性鉱物 のキ ュ リーポイ ン トを第12図 にま とめた。 それぞれの層準 に固有 な特異性 がみ とめ られ

,重

鉱物組成上 の特徴 もくみあわせ るこ とに よ り

,す

くな くともここにかかげた降下軽石層 については

,確

実 な識別・同定が可能であ る。

IV

1)大

山火 山の東側地域 において

,大

山下部火 山灰 に属す る

2枚

の降下火 山灰層が新 た に発 見 された。 これ らは

,大

山火 山 を噴出源 とす る もので

,模

式地 の地名 をとってそれぞれ荒 田軽 石

1(DAPl),荒

田軽石

2(DAP2)と

命名 した。

2)DAPl,DAP2は

生竹軽石

(DNP)と

三瓶木次軽石 (K3)との間に位置 し

,大

山か ら東南 東 方向に細長 くのびて分布す る。

3)DAP2と

DNPと

,連

続 して降下堆積 した ものであ る。

4)DAPl,DAP2,DNPは

,肉

眼的 には相互 の識別が困難 であ るが

,重

鉱物組成上 の特徴 , と くにシソ輝石 の含有率 にそれぞれの個性がみ とめ られ る。

5)同

様 に

,強

磁性 鉱物 の熱磁気的性 質 に もそれぞれ特徴があ り

,重

鉱物組成 と くみあわせ る こ とに よ り

,ほ

ぼ確実 な同定・対比が可能であ る。

6)K3に

つ いて は,“ 大 山火 山灰層

"の

中で重 鉱物組成

,強

磁性鉱物 の熱磁気 的性 質が とも に特異であ り

,こ

の特異性 は三瓶火 山地域 か ら本地域 まで約100 kmにわた って不変 であ る。 文

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-・

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質雑

,87

(8), 559-562.

(10)

Abs,act

Tlle Daisen Tephra rormation is d ided i o four stratigraphc units,the UopeF,the Middlei the LOw_ er and the Lowermost Tephra Member.Recendァ,tttO pumite ral beds was discoveredれ hc Lo寸er

TeOhra Member between tho hottzons of he Ninatake pumice(DNP)and he Kisu意 ュ

punicc(K3) In

tlle present paper,these two pumice fa‖ bedS aFe named as tlle Aratt pumice l(DAPl)and the AFata pumice 2(DAP2)in attending OrdeF.BOth the DAPi and the DAP2 are narrowly distributed togctller ,lh he wdespreadiDNP a10ng thc direcio■ of ESE from he Dai∝nV。 lcano, Althoこgh thc DAPl,the DAP,4nd the[)NP are cOmpOsed Of sirn■ar pualice grains,they are clearly distingiishable One anOther by.the diffeFenCeS in their heavy mineral assmblage and thё hermOmagnetic prperties Of ferromagnetic nineral& Tlle resRIItS Of he heaVァ nineFal analysis and tlle thcrmomagnetic moastlrementt aISo re. vealed that the K3 erupted iro“ I the Sanbe volcano has unique prOperies in lithOlogy agaiiSt to that of

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