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地域産業連関分析の理論的実証的研究-香川大学学術情報リポジトリ

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(1)

地域産業連関分析の理論的実証的

研究

植 村 福 七 Ⅰ‖はしかぎ。11−地域規定と地域分析。ⅠⅠⅠ.Isafdの地域連関分析論。 ⅠⅤ.Mosesの地域連関分析論。Ⅴ.四国地域産業連関表のモデル分析。 Ⅰ 産業連関分析またほ投入産出分析(Input−Output Analysis)を国民経済分 析に.用いる一腰的応用ほ,WaもsilyW。Leontiefが1941年『アメリカ経済の構 造−・均衡分析の経験的応用』を発表して以来,戦中戦後を通じてアメリカに・ おいて経済活動の予測,もしくは経済計画の編成に.おいて採用せられるに及ん で急速に.発展してきた。1)また,イギリス,オランダ,ノルクエー,カナダ,デ ンマ−・ク,イクリ一−,フランス,西ドイツの諸国においても,理論的,実証的 研究が進められて−いる。そのうちで特に注目されるのほ,Hollis B.Chenery に.よって,南部イタリ−・開発に産業連関表の作成と利用がとりあげられたこと である。 わが国紅おいては,国民経済的な産業連関分析の研究ほ数年来より行われ, 昭和26年産米連関表が作成され,つづいて昭和30年度表が昨年公表せられた。 従ってわが国においてもいまや連関分析ほ,国民経済の分野においては理論的 研究から一・歩前進し,利用と応用の段階に入っているといえる。 地域産業連関分析聴地域間の産業関係(InterIegionalInput−Output Rela− tions)を明らかにすることで,わが国においては東北,九州,近畿,北海道が 1)Wassily WいLeontief,7heSiructureOfAmeYicanEconomy1939−Theoreticaland E研♪盲タ去(αJ且ズ〆0γα如乃1S去〝劫♪鋸′−0〟抄〝f A〝αくγ5査・S,1953

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香川大学経済学部 研究年報1 ー 2 − J96ヱ 既に地域連関表を作成しており,現別には愛知,岡山両県が公表してい る。2)四 国においては,昨年8月四国産業通商協議会が結成され,香川大学,建設省, 通産省,農林統計事務所,国鉄1四国支社,四国電力が共同作美で作成しつゝあ り,明年3月頃に昭和30年度表を完成する予定である。 産業連関表ほ産業相互聞及び最終需要部門(家計消費,政府支出,資本形成, 在膵土臥 輸出)間の物資及びサーービスの取引を,細大洩らさずに表に示したも のである。産業連関論の特長は,経済の内部構造を明らかにすることと,各産 業の生産浦動を個々はらほらの独立現象としででほなく,有機的な相互依存現 象として把握する点である 。国民経済においてほ生産と消費,物の流れと貨幣 の流れが互に交錯して,年々歳々同じ営みを繰返している。これが経済循環と 呼ばれるもので,この循環が円滑虹すすむためにほ,経済諸員の問に.−・走のバ ランスがとれていなければならない。国民経済においても各企業の損益計算書 2)昭和26年凍北地方産共通関表は国民経済研究協会によって作成され,昭和30年3月 25日に発表された。地域分割は東北とその他地域の2分法で,部門分類は内生部門9, 外生部門櫨5行,縦5列の表である。. 昭和26年九州地方綜合産業連関表及び昭和26年九州地方産業連関表ほ九州経済調査協 会の作成虹よるもので,昭和31年9月1日発表された。地域は福岡,佐賀,長崎,熊本 健児島,醤橋,大分の7県を含む九州地方とその他地方に2分され,部門分頬は凍北の 場合と同様である。更に九州では昭和34年6月に昭和30年九州地区産業連関表の「、九州 地区部門,品目別生産数遠,金額表」を発表し,10月紅「九州地区部門,品目別産出額 衣」を公表した 昭和29年近畿地域産業連関表ほ脛和33年12月に関西経済連合会の手によって作成せら れた。昭和26年泰ほ200部門であったが,昭和29年表は31部門に.統合せられ,地域分類 は近放とその他地域の2分法をとった。 昭和30年北海道産発達関表は.昭和34年4月北海道産業連関研究会により作成され たく 地域分類は北海道とその他地域の2分法をとり,部門分類は208×210になってい る。 昭和28年愛知県産業連国表は愛知県知事公室企画課紅よって作成され,昭和31年12月 30日発表された。対象地域ほ愛知県とその他地域で,部門分類ほ内生部門で20,外生部 門で横行6,縦列7の表である。 昭和26年間山県産業連関表は昭和35年11月岡山児大阪経済事務所によって作成され た。地域分類は岡山,近畿,その他地域に3分類され,部門分類は41部門に統合されて いる。

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地域産業連関分析の理論的実証的研究 − β − において総収入と.総支出が−・致する如く,総産出額=総支出頗=威儀要額の三 面等価の関係が成立する。更に総詳諒斐額=ここ中間需要十最終需要,及び総一路嬰報 =総産出額十輸入の関係が成立し,この関係は∴連関表では産出部門(output) として横(Ⅰ・OW)に.あらわされる。即ち, ズ1=∬11+∬12十∬13 十γ11十γ12・−−〃右1 3 2 =ズ∬1グ+ヱ。γ1〝一∽1 ブ=1鮎=1 また連関表を縦(column)に読めほ投入部門(input)を示し,総支出額ヂ (各産業よりの投入額+非競争輸入)十付加価値の関係をあらわして−いる。各産 業は付加価値の中から政府へ間接税を支払い,減価償却を行い,労働者に・賃銀 を支払い,残りが利潤である,即ち, 付加価値=−5.1・十g.1+d.1十紗…1寸γ.1 従って ズり1=れ1−ト恥1+・鶴1・一刀1 ‥W・ぷ…1十才巾1十♂ul十抑、1+γ−∫1 3 =ヱ.戒1・十乃.1 −ざ…1十才11十♂.1+∽.1+サ■小1 豆−1 かぐて一列の合計(産出部門)と行の合計(投入部門)とは常に相等しいとい う関係が成立する。これらをバランスの条件と呼ぶ。 ズ1巾==ズ.1 .1■ニ=.T.巳 .T〇=二.Y〇 次に.産業連関分析は,最終需要の変化が中間需要に及ぼす直接間接の影響即 ち波及効果(repercussioneffect)を捉えることが目的であるので,各産業の結 びつきの度合を示すものとして技術的投入係数(InputCoefficients;Technical Coefficients)を井出する。ある産業の投入係数とは各産業からその産業への投 入鼠を,その産業の産出額で割ったものである。即ち, ∬11 の1= 頂「 換言すれば投入係数ほある産業の生産物−・単位の生産に必要な各原材料の割 合である。若し産業と産業の結びつきが時々刻々変るものとすれば,これを基

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香川大学経済学部 研究年報 1 ー 4 − J96ヱ として波及効果を測定することは不可能であるが,・−‖定の資本設備と工場にお ける技術及び能率が急変しない限り,ある一・定の期間投入係数は安達している と考えられる。これを投入係数一定の条件と呼ぶ。かくして,投入係数が求め られ,これを基として直接間接の波及効果の大きさを示す係数を数学的操作紅 よって算出すること.ができる。投入係数マトリッスを(飢1)をαと略記し, 最終需要ベクトル(ダ1)をダとし,各産出額のべクー・ルⅩとすれば, ズ=αズ十ダ (1−α)ズ=占 若し什−α)に∴逆行列(1−・α) ̄1が存在すれば,Ⅹはこの逆行列を辺々乗じて ズ=(トα)■ ̄1ダ として求めることができる。 逆行列係数はいわば最終需要の変化か各産業の生産水準に.与える波及係数と 言える。 地域産業連関表は各地域,各産業間の波及効果の測定を目標とするものであ るから,技術の状態或ほ産業間の依存度をあらわす技術的投入係数の他に.,経 済システムの地域構造を示す地域間購入係数(RegionalTrade Coefficients) が必要である。これは各産業からの投入鼻の何パー・センt・がどの地域から購入 されるかを示す比率である,投入係数と地域間購入係数の積を地域投入産出係 数(Regionalfnput・OutputCoefficients)と呼ぷ。仮に,四国電力1単位の生産 に要する石炭の投入係数を0…1,購入係数を四国から0.2,他地域から0.8とすれ ば,地域投入産出係数ほ投入係数と地域間購入係数との硫即ち四国の石炭に対 してほ002,他地域の石炭に対しては0.08となる。従って地域分析においてほ 投入係数一・定の条件の外に,購入係数一・定の条件が必要である。つまり,地域分 析でほ投入係数車購入係数の績を一つの構造パラメ一夕として,連立一次方程 式を解くので,本質的には.国全体の産業連関分析とは何ら異るところはない。 ⅠⅠ (i)地 域 規 定 地域分析において最も重要なのは地域(Ⅰ・egion)の規定である。地域の構成

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地域産業連瀾分析の理論的実証的研究 −− 5 一 法には本来,組織的地域(nodalr.egion)と同質的地域(homogenous region) とがある。組織的地域とは,−・定の組織の中心(node)をめぐる地域,言いか えれば大都市又ほ大工業地帯を中心として生産及び流通上の有機的連関を示す 一帯の地域である。これほ−・定の拡がりをもった領域の各部分が主体を中心と して相互依存的で,しかも分業や財貨及びサ−・ビスの交換に.よって結合されて いる。組織的地域ほまた機能的地域(functionalregion)とも呼ばれる。例え ば関東経済ブロック,近畿経済ブロックのようなものである。これに.対して同 質的地域とは,その内部が種々な視点から見て同質的な地域である。この考え 方からすれば地域とほ.,l−LY3又はそれ以上の特質(characteristics)について 同質性(homogeneity)ないし斉一・性(uniformity)が存在する境界内の区域 (area)である。例えば地文学的(Physiographic)地域とは,その全体に・わ

た/つて類似の地表特徴(similar surface features)をもつ・一億城(territory) である。3)組織的地域が焦点(focus)を中心として循環のラインによって俺点濫 結びつけられた周辺の空間であるに.対して,同質的地域は等質等向の空間であ る。 地域分析を行う場合地域の規定は組織性と斉一・性−いずれが正しい或いは 最良の地域原理であるか。−・つの国を昇一・的な諸地域紅分類することほ可能で ある。アメリカでは65以上の統計的指数を用いて,全国3,100の郡を13の主要経 済地域(economicregions)に分類して−いる。またアメリカでは大都市を中心と する67の組織的地域の分類もできている。これを大都市地域社会(metropolitan communities)と呼んでいる。地域分析を行う場合いづれをとるかについて, Bogue教授は「斉−・的地域と組織的地域とはともに等しく妥当性をもつもので あり,また等しく人口在住領域(inhabited teIritory)を観察する重要な方法 である。いずれか一つをもって“其の”(tr・ue)の地域概念だと主張するのほ正 しくない。完全な地域分析は,同時に.2っのタイプを含んでいなければならな い」4)と述べている。また,1sard教授もその論文「地域相互間及び地域的投入

3)Derwent Whittlesey,“The RegionalConcept and the RegionalMethod,” AmericanGeogrqphy,Syracuse Univh Press,1954,pp36−37

4)DonaldJ・Bogue,“AnOutlineofthe CompleteSystemofEconomicArea;一’

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香川大学経済学部 研究年率泣1 −・(;一一 J96J 産出分析」に.おいて一般地域理論の概念を産業連関分析に1適用して,操作可能 なモデルの設計のための実証的理論を展開している。彼ほその論文の中で次の ように述べている。 「諸商品の地理的流れは,人口,所得等の不均等性と生産 の不分割性の結果あらわれる大規模経営の経済性という2つの基本的要因に規 定される。若し山・定財貨の生産に対してはぼ同質的市場区域が与えられ,区域 の境界を題えて流動する財貨を除外するとすれば,産業連関分析及びその他の 技術を適用することはずっと容易なものに.なるであろう。しかし数多い諸財貨 の生産者の市場区域ほ財貨の異質性によって特質をあらわしている。従って結 局地域間及び地域分析のための解析技術は,同質的市場区域及び異質的市場区 域の両者の全範囲を包含することを狙うべきである」5)と述べている。具体的に 四国経済の分析を行う場合,地域規定を如何に.定めるべきであろうか。四国地 域に.限定するか。四国を近畿経済ブロックの−・環と考えるべきか。四国地方開 発促進法の如く四国に和歌山慮を加えて考えるぺきか。西日本経済の一一・環と考 えるべきかは重要な問題である。地域分析を行う場合,地域規定を如何に行う べきであるかは次の3つの条件によるぺきである。第1は分析目的によって異 なる。北海道開発と言う問題であれば,北海道とその他地域で十分であり,九 州の経済発展の可能性であれば九州と関係深い地域の分析と相併行して進むべ きである。四国開発のような場合は四国経済と最も密接な関係をもつ近畿地域 とその他地域に3分することが最も理想的である。この意味紅おいて岡山県産 業連関表の地域分頬ほ正しい。6)第2の条件ほ嘩詔整備の状況である。即ち実際 問題として地域分類を行う場合,適当な地域統計の存在する行政区域に限定さ れざるを得ない。罪8にほ.技術的投入係数と地域間購入係数を安定させるよう な地域を定めなけれほならない。資源,技術,産米構造,経営上の関連よりみ て,当該地域内の同種産業の投入及び購入パタ−ンが同質的であることが望ま しい。四国産栄達関表の地域分類は綜合的に考慮して,四国とその他地域の2 分法を採用した。

5)WalterIsard,“InterIegionalandRegionalInput・Outpllt Analysis,わThe Review

O./■gco〝0椚よC一S〃軌ブ5氷結ゞ批s,Nov一1951

6)巾村壬’ト低値,紺軌_h県経済の将威トーー産業連関分析の応用』,昭和35年;岡山県大 阪経済事務乱 臣産温連親分析の僻ぶけ,昭和35年。

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地域産業連閑分析の理論的実証的研究 岬 7 − (ii)地 域 分 析 Thtinenの『独立国巧,AlfredWeberの『工業立地論;日の如く,従来の経済学 の知識体系の中において地域を研究の対象としたものが無いでもなかった。7) しかしMaIShallが「問題の困難性ほ主として空間の広さと間窃の市場がひき のばしている時間の長さに.於ける変数に依存している。しかし時間の影響は空 間のそれよりも本質的である」8)と述べている如く,過去半世紀に亘って経済理 論において時間的要素のみが強調され,空間的考慮ほ全然顧りみられなかっ た。現代経済学に.おいては僅かに.Chamberlainの独占競争理論の中に余髄を 保っているのみで,経済と地域ないし空間との関係は未開の分野であった。9) ∵=H\’OllThunen、D(1J’L50/[(T汀5(‘Z‘7tL,LBL・・:i{htL,]g‘ltL/1.u7)血りllfJ(、h(ZftLLtLLIN‘Jt/01Z(I/−

∂konomie,1826;Alfred Weber・,Wer den StandoTider hdustrien,1909;bldustrie/ゐ

Sfα〝do7・ね摘郎雨β,1914

8)A一.MaIShall,Principhs of Economics,8ed。,1936,Ⅴ−ⅩV・Ⅰ

9)独立競争瀾儲派以外で経済要素として窄問概念を取上げたものとしては,Fetter・を

あげることができる。彼は「市場の広さに臥する経済法則」においで㌍問要素を導入し

ている(F.,A。Fetter,“TheEconomic LawofMaIket Areas,’’Quwterb,Journalof

Economics,ⅩⅩⅩVIII,May1924,P‖525)。叉Pigouほ純然たる理論経済学老として土地 の拡延性の概念を取入れた最初の人である。彼は最初窄間的拡がりを無視した静止状態 経済を論じたあと1つの生産要素である土地の本質的性質が窄問的拡延性(extensionin SpaCe)にあることを認め,その理論的関連を或る程度追求した。(Pigou,TheEconomics 〃./Sfα如乃αγ二γ5gdねゞ,1935,pp・192ff・)。しかし彼の空間観は彼の理論の基底ではなく 彼の理論の修正補足にとゞまった。 Eicksは初め空間に関して含蓄ある態度で問題の分析を始めた。即ち彼は「経済理論 が取扱わねばならない問題の多くは研究してみると市場間の相互関係であることが判明 する。かくて国際貿易のもつ複雑な問題は輸出入商品の市場と農本市場との相互関係を 含んでいる。これ等の著者(ワルラスやパレートやウイクセル連)が大成した−・般的均 衡理論の方法ほ市場相互関係の挽雑なる雛形の形態匿おいて全体の経済構造を展示しよ うと特に意図せられたものである。われわれの仕事はどうしても彼等の伝統に従い,彼 等の仕事の継続であるほかはない」と述べている(ヒックス,「価値と資本」,安井琢磨・ 熊谷尚共訳,pp2−3)。しかしHicksほ肘場は完全であるとし且つ市場を通じて唯一・の 価格が支配すると仮定した。換言すれば妓ほ心場内における運送徴用やその他の移動に 閲する費用は零であると仮定した。この掛昧において空間的要素は排除せられ経済内部

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香川大学経済学部 研究年報1 J96」 ーーー ざ ・一・ 最近地域分析に.関する関心が昂ってくるにつれ,地域間の連関性を計昼的に. 分析せんとする研究が進められるに至った。10)従来の地域分析は各種経済統計 を蒐集,比較し,地域経済の特異性を捕捉せんとした。即ち土地,人口,労働 力,主要資源,生産,交通運輸,災害,財政,公共事業臥 所得,貯蓄の各分 野に.亘って約60の基本的統討数値を府県別に整理配列し,全国に対する各府県 のク.ェートを求めることに.より地方経済の特殊性をつかむ方法である。しかし この分析方法ほ国内労働力,資源,生産力,所得の地域的分布を示すことに.よ

って,その地方の経済構造を荒けずりに.示すことができるが,物資や資本の地

域的交流関係,各府県の有機的つながりを把握することは困難である。資本主 義が発達するにつれて産業間の分業,大屋生産,生産の迂回化が地域的拡がり の上で進められ,各地域は相互に・一・定の経済交流関係をもって結ばれている。 従っ{:地域経済を考える時は地域間の相互関係(inteIregionalrelations)を無 視することはできない。このことほ地域経済が国民経済の循環過程の一・環であ ることから特にそうである,最近.,地域分析に2つの研究方向がある。その1 つぼ社会会計理論(SocialAccounting)を地域分析に応用せんとする試みで あり,他の1つほ,地域産業連関分析である。社会会計理論は個別企業の会計 方式を国民経済の分析に適用するもので,経済活動の担い手を企業,会計,政 櫛などの部門に.大きく分け,これらが他の部門とそれぞれどういう相互関係を もっているか,また消卦や投蟄がそれぞれどのようにバランスしているかを複 式簿記の勘定形式を用いて明らかにする国民経済計算である。この理論を地域 経済へ適用する時は国民所得に.対赦するものとしで地域所得の計測や,或ほ国 民経済計算に・対するものとして,地域内の家計,企業,政府勘定,地域の投資 貯蓄勘定などを推計する地域経済計算と言う方法がとられる。この試みほ経済 企画庁や国民経済研究協会で進められているが,理論上の問題や地域統計の不 の全てのものほ1点に圧縮され,全ての空間的抵抗ほ消失したのである。 Englander,Ritschl,Weigmann等の空間経済理論についてほ拙稿「空間経済理論と 運賃の作胤,『迷輸と経済』,1954年苧.月号,及びWalte工Isard,”TheGeneralTheory Of Locationand Space・Economy”Q”fE”Nov】949を参照せよ。 10)最近,アメリカにおいて地域学学会(RegionalScienceAssociation)が結成され, 地域分析研究が盛んである。

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地域産米連関分析の理論的実証的研究 】一 9 ■− 備のためなお今後の研究に侯つところが多い。11)次に他の一つの研究方向であ る地域産業連関分析は産業間,地域間の依存関係を正しく把握することができ る。しかも社会会計理論ほ巨視的集計概念であるため企業を一・本に・まとめる が,連関分析では細い産業分類に分け,より詳細な経済の生産構造(ざtruCture of production)を分析することができる。 また地域経済の構造,並に発展を巨視的,歴史的に・把握しようとする場合, 近代経済学に.おける所得分析の方法,就中成長率理論の適用ほ極めて強力な分

析要具となるであろう。成長率理論の適用に・対する一・次的接近として,地域分

配所得の成長と人口増加の相互的関連を把握し,同時に所得水準の不均等発展 と人口移動の実態を分析することができる。成長率理論の経済発展への適用は 8っの公式を以〕て行われている。 (1)雇用増加率と労働生産性増加率よりの接近。 この場合公式は次の如く表現せられる。 β十J=g (雇用増加率)十(労働生産性増加率)=所得増加率 この方式は経済の発展を生産面から分析するもので,産業構造の視点を含めた 場合,次の如く展開される。 β1・十Jlニニgl βg+J2ニg2 ∴ g1紺1一+g乏紗2ヰg8ぴ3=g β3+J3=二g3 上記におい て, ♂1,Jl 第1次産業雇用増加率と労働生産性増加率 β2,J2 第2次産業 〝 β3,J3 第3次産業 〝 紺1紺2ぴ3 第1,2,3次産業の全所得に対する構成比率 (2)人口増加率と所得水準増加率よりの接近。 この方式は経済発展を分配面より分析するもので,次の如く表現せられる。 ♪十γ=g (人口増加率)十(1人当り実質所得増加率)=(所得増加率) 11)閲西経済連合会,町日本経済と地域経済』,昭和33年,7−9ぺ−・汐。

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香川大学経済学部 研究年報1 ∫96」 −−J∂− この方式は経済計画の目的が所得水準及び消費水準の上昇にある場合に・は, 極めて有効な方式である。現在各地域の所得水準ほ.極めて不均等であり,且つ この不均等は正に人口増加率との相互関連において把握せられなけれほならな いからである。 (3)蓄積率と資本係数よりの接近。 この方式ほ経済発展を資本蓄瘡の面から分析するもので,次の如く表現せら れる。

音=g又ほg・CごS掌・貨一昔

上記において, 5ニ蓄積率又は貯蓄率 y;=国民所得 C==資本係数 △y=ニ国民所得の増加分 g=所得増加率 △∬=新投資

5こ=貯蓄

この方式は経済計画における目標規模を達成するに必要な所要投資額の算出 軋用いられる。 地域計画が投資計画たる性格を有する以上,この方式は有力な 武器である。即ち地域計画に・よって各地域のg■が決定されるならば,資本係 数を用いて所要の投資率Sが算出できる。若しその所要の5が各地域自体の 貯蓄率を上廻るならば,その差額が正に.他地域よりの純投資となるのである。 これらの成長率理論の地域分析への適用ほ地域産業連関分析と組み合せて極め て有力な理論的武器を提供するであろう。12) ⅠⅠⅠ Isa【dほ.地域連関分析に関して幾多の著作と論文を発表している。その内, 最も代表的なものほ,1951年アゐe屈β即まβ紺〃ノーβco乃∂椚左(・Sα搾d5Jα才オ5払㍑に発 表された「地域間及び地域投入産出分析−・地域経済の一・模型」と,近著『地 域分析の方法論』第8寮「地域間及び地域投入産出分析技術」である。 最初の論文に.おいては,彼は.「全く自足的な地域(self・COntainedterritory) 12)経済企画庁掠合開発局,『地域分析についての−・考察』,昭和32年9月。

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地域産業連闇分析・の理論的実証的研究 ・一〃 − が有意義な諸地域に区分をされるならば,地域的な投入産出モデルが考えられ る。財貨及び用役の流れを惹起す地理的不均等性を認め,しかして現在の市場 地域における異質性の全範囲を包托するが如き一・般モデルを考えることができ る。」と述べ,乃個の地域とび個の財貨,用役が与えられれば,ゐ地域におけ るゴ産業の産出還・点Ⅹ云の地域の各産業への配分は次の方程式で記することがで きる。 ゐズよ・−ゐ1.衰1−れ琉・−ゑ1.方さ3 −点21扉1・−払方去2 −・以壷’.仁 −ゐ乃,方£:(ぶ=ゐyさ (1) ここで,ゐyまはゐ地域に.おけるご産業の産出量に対する最終商品需要(bills of g00ds),点J.方謹一メはJ地域における.メ産米に・よって吸収されるゐ地域のさ産米 の産出物である。より一・般的にほ,次のように・あらわされる。 る=クあブニ勒 ゐⅩさ一−−エ ゴ ゐJ.裏.プ=ゐyさ ヱ=1プ=1 さ慧1,2 7ぞβ かご1,2 〝 (2) 生産係数は不変と仮定する。即ち,各商品の産出量単位当りに必要とされる各

投入物の数量が不変として,−・組の技術的投入係数(a setoftechnicalinput

coef董icients)klaijを算出する。 ゐJ.∬ゴブ /.Y′ さ,.グ=1,2 〝2 ゐ,Jニ=1,2 乃 (3) ゐJαさプ== ここで,JXブほJ地域の.プ産業によって生産される商品の総産出量である。 技術的投入係数と総産出屋とによって表現すれほ,(2)の方程式群は, ∼=花ブニm 点ズさ−・ズ.∑J好虎.ブ,Jズメ=烏yょ る=1ノ=1 8・ニ1,2 〃芝 ダニ1,針 劇 (4) となる。 他の場所で,最終商品詔要表の品目Jy.7であらわされた各地域の各産業の必 要産出鼠(requiredoutput)に闘する方程式群(4)の解朋が展開せられる。これは,

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香川大学経済学部 研究年報 1 ーーJヱー J96ヱ ‡ニ殉メ=仇 ゐズ去三=ズ.∑」払血.プ,Jy.グ ‡=1プ=1 £ニニ1,2 7ぞ護 か=1,2 〝 (5) ここで,点′Aさプ=であり,∂は一次連立方程式(射の行列式であり, 烏J恥プはこの行列式における要素ゐJαゴの代数的補数である。 また,生産係数不変の仮定は,地域内相互関連の看点からすれば,供給経路 (Supply channels)の不変を意味する。各地域に.おける各生産範囲(1ine of pIOduction)の地域的拡がりほ,その投入量に関して固定されているという仮 定が固く守られなければならない。この点では,如何なろ生産範囲の地域的延 長もしくは短縮も許されない。看点を変えれほ,輸送経費,即ち物理的に表現 すれば,如何なる地域における如何なる生産時閏の産出鼠単位当りの距離投入 鼠(distanceinput)の変化も許容しないということである。それからまた, 産 業 連 関 表 1農林漁業 4動力通信 購入する産業

㌃ \

虚 林 漁 菜

軽 工 業 重 工 策

動 力 通 信

2l,014 4,241 1,046 992 2,590 1,631 2,951 542 2 1, 1, 21,327 28,257 1,928 905 2,434 1,605 662 1,596 1 2 3 4 56 7 8 9 10 11 12 輸 菜 険 役 保 虫 一=⋮m 道南金 用 人 個 数 事 教 育 等 建 設 家 計 そ の 他 294 25,801 16,572 101,381

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地域産業連関分析の理論的実証的研究 ーJ3一− 当然の派生的帰結として−,大略固定的価格比(fixedpriceratios)が仮定され ているため,距離投入物遠の他の投入物量に対する代替性や輸送経費の他の経 費に.対する代替性は最初から除外されている。 これらの制約があるにも拘らず,地域投入産出分析のモデルは操作可能 (operational)であり,また価値がある。引算も可能であり,デqタ∼が利鳳で きない場合ほ推計ができる。特にアメリカ合衆国については.,それが可能であ る。このモデルは計画(projection)を通じて,地域経済の変容(changing characters)に対して,H6schのそれの如く操作不可能な死せるモデルのな し得なかった数々の分析をなし得る。 1960年IsaIdが発表した『地域分析の方法論』,第8章「地域内及び地域投入 産出分析技術」においては,最初他地域と全然交流のない孤立地域(anisolated region)を仮定する。この孤立した自給自足地域は静態的(stationarylevel) で,経済は成長せず,在庫も設備投資も変化しない。かかる地域における産業 連関モデルを部門分類12×12で,次の如く設定する。

地 域 A

19ⅩⅩ (単位千ドル) . 12,649 43,114 7,365 1,402 6,023 27,107 27,282 7,512 22,334 154 2,116 63,418  ̄ 一 _

…‡3l 7

21,203 32,924 5,000 131,852 28,704 220,474 131,852 798,542 11,492 470 28,704 14,PO9 4,058 29,559 220,474

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香川大学経済学部 研究年報1 ヱ96ヱ −ヱ4−

次にIsaI・dはその地域が経済成長すると仮定する。かゝる成長する地域(a

growingregion)にほ上掲表の行(column)に総資本形成(GrossCapital

Formation),列(row)に減価償却及び資本損耗引当金(Depreciationand

OtherCapitalConsumptionallowance)を加えるぺきである。前者は各産業

から資本形成部門への産出を示し,後者は各産業への資本財部門からの投入を

示している。 地域間産業連関表 1950年

(15)

地域産業連関分析の理論的実証的研究 ーー・・・J5− 最後にIsaI・dほその他城が単軋成長するのみならず他地域と交流すると仮 達する。3地域21部門の地域産業連関表は14頁の表の形をしているであろう。 IsaI■dほこのモデル分析に次の如く数学的説明を与えている。産業が第1次,

第2次,第8次の8部とし,その産出額をズ1,方2,ズ3,最終需要をyI,y2

y3 とすれば次の関係が成立する。 ズ1・−れ1−・∬12−れ3=yl ズ2・−∬21−.方22・−∬2$=y2 ズ8・−・恥1−∬82・−ガ38=三y8 (1) 連関表モデル (10億ドル) 投入係数は., ∬11 ∬12

飢1= 飢2= ̄

頂㌃ 雷 ∬21 ∬22 蝕== ̄ α22ニニ■ 雷「 葛 ∬31 ガ32 勘1=つ汀 α33=雷 ∬13 触憲 ̄ ̄ 雷; α2S ‘/−‥● .し ∬8$ ‘/−‥ ̄∴(ニー α:ニ モデルでほ, 0.083 0.125 0.333 0.250 0.167 0.125 ズ1−仇ユズェ−αェ2ズ2−β13Ⅹさ=yユ ズ2−・勉1ズ1−α22ズ2−α幻ズ3=y5 X3一助1ズ1−・α82ズ2一α8$g3ニy3 投入係数の逆行列ほ., (2)

(16)

香川大学経済学部 研究年報1 (1・−仇1) −伽 −伽 一磯1 (1・−慨2) −戯3 −・疏1 −α32 (1叫触) J96ヱ ーJ6・− 1−・αニ (1・−α22)(1一触)一俄3α32

All=

(1−仇1)(ト一触)(1・一触)一助2α23釣1−−伽α21釣2 一助3駒1(1−勉)・−仇Bα飢(ト「豹3)−触α3姦(1一助2) ○︼ ウ︼ ○〟 l 〇一 3 A A A l O〟 00 A A A モデルでは, 1り2264 0.6570 0.2493 1.5398 0.2623 0、5677 9U 2 5 0 1 6 0 4 一4一 4 3 5 0 0 1 従って, (1・−α)ズニy .方=Ay 以上は.孤立地域の連関分析であるが,〝偶の地域と犯個の産業の場合ほ一・つ のマトリックスは㌦㌦の要素を含むことになる。∬一地域の古産業はα芹1,α計 α詣ム α荒Ⅳとなり,α器エはエ地域の.グ産業への∬地域の古産業の投

入崖となる。また最終需要ベクトルyもまたy壬,y去, yぎ y笠とな

り,産出額ズもズi,窄 ,ズ㌢ ,g芸となる。 殉 ズ名−・ズα£.グズ.プ==yl プ=1 クa XまニュAま.グy.グ ,プ=1 lニ「I X㌢−ユズα器上方テ=エア㌘ ヱ=1J=1 (5) さ=1,乃, よ=1, 犯, (6) 去=1,,犯 ∬ニ1,,ぴ (7)

(17)

地域産米連関分析の理論的実証的研究 ーJ7− !′†さ ズ㌘=∑ズA詣ムyチ エ=1ブ=1 £こニ1,・ ‥,乃 (8) ∬=1,…,び 地域産業連関表において∵彼が重要な問題点として上げているのは次の2点で ある。 (1)投入係数の一・定を前提とすること∬特に地域別投入係数が・一定である こと。 地域連関分析は最終需要部門の・一・定の変動によって地域的及び地域相互間の 「ノ、ネ返り」を算定するように設計されている。このことは各産業の投入鼻の 比例的変化を必要とするのみならず,また各地域からの各産業への投入最にお ける比例的変化を必要とする。従って投入係数が安定的であることが産業連関 分析の基本的な必要条件となっている。 元来投入産出表ほ理論的に.は物品表として出発しているが実数表ほ数遠×単 価として面積であらわされているので,価格体系の一定という仮定が前提とさ れている。地域間の投入係数が高い精度に.よ.って生産技術,消費性向等におけ る地域差を表示されゝほ利用価値ほ高くなる。 (2)供給地城及び供給経路の不変の仮定。 Isaェ・dほ「産業の地域的相互連関に.おいて−投入係数不変を仮定するのは,供 給地域乃至供給経路の形態の不変を仮定するのと同じである」と述べている0 しかし,このことは地域内の供給区域の変化を排除するものでほない。1S) ⅠV Mosesは「地域間交易構造の安定と産業連関分析」という論文の中で,「−・ つの地域の所得,雇用,産出額はその地域と交流関係に・ある他の地域のそれら 13)IsaId教授の所論についてほ,次の文献を参照せよ。W、Isa工d,“Interregionaland

RegionalInput・OutputAnalysis:AModelofSpace・Economy,”TheReviewofEco・

nomics andSiaiisiic.s,Nov.1951.,;‘‘Some Empi【icalResultsand Problemsof Re

gionalInput−OutputAnalysis,”StudieSinthe StruciureofiheAmerican Econom.γ,

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香川大学経済学部 研究年報1 −−Jβ− ∫96∫ と関係をもつていることは自明の理である。しかも最近における統計資料の整 備と解析技術の進歩によって,地域間の移出入,所得の変化の波及効果を推計 できるように.な/つた。」と述べている。彼の論文ほ第1編地域間投入産出分析 の構成と理論,第2編地域モデルの実証的研究からなっている。

Mosesのモデルほ次の2つの特長をもっている。第1にtime dimensionを

除いた静態モデル(static)である。第2に.open varietyであることである。 開放性(openess)と言うのは山走の最終需要(finaldemand)を与え,中間

需要(intermediate demand)R即ち各産業の生産水準を求めるモデルであ

る。モデルを簡単に.するため経済ほ農業,エ業,商業の8部門とし,地域ほ東 部,中西部,西部の3地域とする,投入産出表は2種類の方程式を表わしてい る。一一つほバランヌの関係を示し,他ほバランスと構造関係をあらわしている。 即ち一産業の産出量は他産業及び最終需要部門への販売品の合計に等しい。 地域間産業連関表はこれにⅠ−egionaldimeIISionが加わるに㌧過ぎない,即ち 一・地域の・一産業の産出鼻ほ全ての地域の各産業及び最終審要部門への販売還の 合計と一一致することを示している。その関係を方程式で示せほ次の如ぐであ る。 一一相一械一∬至芸=y王1十y圭2+y圭8 一瑠一方皇…一戒=y墨1+y呈2+y墨3 −械十械一璃=y墨1十y基2十y墓3 21 一増㌧増一増=yl+y雪2+・y誉8 一方≡仁方…彗一∬≡…=y…1+y壱2+y≡3 一堵一機一機=y昌1+y毒2+y呈3 g圭 一硝一班↑班 ∫圭 一.ー壬ト.1・±ト1・三主 都 一雄「械一端 g要 一硝↑硝−.班 g署 一城一機一璃 祁 一光芸卜堵一塊 一増−∬圭…−翔 一城」.戒一域 −雄一方去≡−∬主星 「据ト・鴛ぎ喜一増 −堵ト.城一堵 一碩+掘一堵 (1) ズ守 一璃一璃一璃 一増+増一璃 一璃+増卜硝=y雪1+y雪2+・y雪3 ズ塁 一城一堵−∬…圭 一撼+掘一増 一増−.増一増=y…1+y宴2+y≡3 祁 一堵−∬芸卜境 一堵一堵一墟 一増一増一機=y…1+y…2+y…S 上記の方程式において,Ⅹほ地域産出鼻,.方は産業間の購入鼠,yは地域最 終需要量を示して−いる。Ⅹ…ほ西部における農産物の産出量,.増は中西部の農

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地域産業連関分析の理論的実証的研究 −J9− 兼が東部のエ発から買った額を示している。y3は西部の最終需要部門に.よる農 産物の需要額を示している。この8地域8部門モデルは9・つの力程式と117の未 知数を含んでいる。しかしこのモデルほ2雛の構造篤数(structuIalccnsants) を導入することによつて解くことができる。その・一つは生産模造を示すもので −・つの報域の名産業に投入される原初料ほ産出鼠に比例すると言うことを仮定 する。これを投入係数又ほ扱術係数(technicalcoefficients)と言いaで表す0 αほ各産業の投入畠を示すと同時に各産業への販売遠をもあらわしている。 第2の構造常数ほ地域構造を示すもので,各地域ほ一・定の地域間供給パター ンに.基いですべての原材料を購入するものと仮定する。この供給パタ−・ンを地 域間購入係数(trade coefficients)iであらわす。この係数ほ各産業別に各地 域よりの総購入額属で各地域よりの購入額グ・を除して得られる。 例えば7・i8は東部から西部の各産業及び最終需要が購入した農産物の額,点… は全地域から西部の名産業及び最終需要が購入した農産物の額である。以上2 鵜の構造常数から地域投入産出係数(regionalinput−Output COefficient)と 言う新しいマトリックスを作ることができる。この係数∂は生産構造と地域構 造の両面を表しているものである。即ち特定の地域の商品一単位を生産するた めに各地域から・一定崖の色々な原材料が投入される関係を示している。例えば 昭は第2地域で生産される工業製品一単位当りの第3地域から講入される農 産物の額で〃…2(ヂ…2)と等しい。 次に示す表は,第1表ほ地域別投入係数表で,3地域3部門に分かれている。 8地域ほ東部,中西部,西部で,針部門は農業,工業,商業である。投入係数 の算出方法ほ総産出量X壬で,投入量∬壬l,・方妄1,て去1を除して得られる。第2表 は地域間購入係数表で,総投入鼠点王で,各地域よりの投入量γ王1,γ…1,γミ1を 除して得られる。第8表は地域投入産出係数で,投入係数α王1に地域間購入係 数才壬1を乗じて求めることができる。

(20)

香川大学経済学部 研究年報1 軸内 − ぜ ぜ − 腎 =ぜ ぜ 嘲対 1 雫 ㈹⋮量 SむU︻ 加uこコーU帽− ・A誌S・S・計付言・N 軸内 11 等 ぜ 腎 − 仙匂 ぜ 腎 − ぜ ぜ ︸の¢L芦IHI S↑之巴0Ihh国OU J可U一石HO凹↑J<Z01U再出hO絨一再↑可岩出UOJ斡−−凹Jの司↑ ⋮壇 ・1 11一昔 ぜ 仙壇 − ぜ 一 昔

∵一

⊥誌句.t・Ah拐.の・n実害.N・意首.1 むhn−1nU 腎 ・・・=”附匂 の等 囲叫 ・・・=M⋮Q ㈹等 腎 1 ⋮Q S巴l 加じこコlUq− ︸のむ旨むlpp−=言Hi 叩叫 1 ぜ ぜ 錮叫 −−−朗等 相対 −=00Q 心︼n︺tnO ・コロ村雲.N・意首.1 霊話h H のむ0ちhむS.の 加美 こn︸U吋−n仁再せ占.N 賀三雲五首.H のUO︷A︼むS.の 如已− ・トロ︸U司︼コ已帽H占.N 巴nごnリーh叫可.t のむじ零hむS.の 軸仁サ ・hn︸0再un已d一言.N 巴nゴnUて如亘.1

(21)

地域産業連関分析の理論的実証的研究 −2才一 一のむ巨 葛β芦.Ⅰ:Ⅰ ¢岩p鵬︼占.:Ⅰ−盟由.1 こ」 主−、、七 、 セ Il Il ll ≠ 腎 ㌻・ も 瞥 冒 ・・・ 小州、 ‰ゝ 冒 ・− いぺ、 ‰ゝ 冒 − −⋮、 ︼⋮ゝ 一首 − −州、 ゝ l ギ ー 一項、 −で S↑之臼−U岩h囲OU西口亘出↑hO舛−空言ヨ∴岩OJ的−Ⅰ−国J的qト ︸のむL芦.ⅠⅠⅠ 腎 −=い⋮

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︸のむ﹄r 父pp−苫.1−︸Sd国.1 朗唱 ・・=い仰、 即叩ゝ 腎 ・・・ 山州、 ㌫ゝ 腎 =‰、 −=l州、 ー 一州ゝ ‰ゝ 首 −=−冊、 一で ギ ー −州軸 l州ゝ 珊喝 ︸のむ臣..ⅠⅠⅠ 佃喝 ㌧1血沈打 ㌫ゝ 訂= め町 の⋮ゝ 首 − 慰 拍叫ゝ 腎 = − 印加≠ ‰ゝ 錮喝 − いぃ、 ‰ゝ 腎 1 捉芯相 即で ︺のむ▲芦 むtpp−︸占.H 首 ・・・ −℃ ︼で 肯 − −⋮、 −で 首 − l⋮∼ 一て ぢ内国.1 q) ぢ ぷ ヨき = トー ト・・1 qJ J」 表 芸空 き の q〉 (可 − = ≡ ︸のむ臣 むlpp巾せ占.IH ぢむし芦.Ili 嵩む巨.HI: 霊岩出.1

(22)

一.⊥ ▲b O︶ ∫ 香川大学経済学部 研究年報1 _22一− へ㌫さめ等=誉 ︵一宮ぜ=管 ︵‰竃仰Q=誉 ︵の軍∽等=誉 ︵め罵佃Q=誉 £篭肯=誉 ︵む︶ぜ=誉 ︵−蛍ぜ=誉 へ∞写の加増=誉 毎朝⋮胃管 ︵む一山⋮Q=誉 ㌃冨ぜ=誉 ㌃腎ぜ=誉 £毛管=誉 ︵蟄ぜ=酬 ︵萱ぜ=⋮⋮ ︵拍ぎぜ= のCq ⊂Q つ £︼孟Q=警 −馴 ︵蟄−⋮Q=の山屯 ︵の琶一冊Q=警 丁つ TT ▼・べC\】 ▼・{01 ㌃警官=誉 正号せ汀−誉 二l一︻肯 巴コ︸召0 ・叫h如句.t ぐOC、】 亡OC√〉 Q++モ 粥l出↑<言↑Z巴Ulhh国OU↑Dh↑n〇・↑n聖書、慧左OHU凹出−−IH国J的<ト ぐニー・ (・丁一− .ヾ・− ,q,{ ▼{○】 、一頭 ▼.Q Jb −∈〉 ︵聖膏=誉 ∴、∴㌧∵∴、 £≒ぜ打−誉 £篭せ=誉 ︵N⋮毛管=誉 ︵営ぜ=誉 e、】 G、】 と. とシ ■ユ ーさ N亡ヾ C勺竹 q Q のむU︷ト芯S.の 監莞ざ⊥誉 霊虻≧﹁ゼ岩p“−占.−: ︵蟄ぜ=誉盃毛管=誉 ︵‰毛管=誉 l王 ㌫ユぜ= 即l £さぜー一覧 藍竜ぜ−1誉 へ⋮蛍ぜ=誉 ︵㌦蓋Q=誉 ㌻写−等=誉 ︵む︶ぜ=誉 へ慰︶↓等=誉 ㌻軍等=誉 ︵蟄一冊Q=誉 £毒せ=誉 む︼nごnU ⊥︼叫可.− £箋ぜ=誉 £箋昔=めぶ ︼の £箋せ−−誉 ︵−写ぜ=誉 ︵−誓ぜ=誉 ︵一等ぜ=誉 ︵−箋ぜ=誉 ︵l⋮義苛誉 ︵−箋ぜ=誉 のむじ州A︼むS.の ニ誓ぜ=璧 ︵一軍ぜー凡誉 ︵一軍ぜ=誉 ︵恕︶川音=誉 へ一望ぜ=誉 £箋せ=誉 ︵l誓ぜ=誉 ︵−写ぜ=慧 ︿−写ぜ=誉 ︵哲lぜ=誉 £箋昔=誉 ︵一軍一叫Q−−誉 £箋ぜ=誉 £箋ぜ=誉 ︵一軍−叫Q=誉 ︵l軍首=誉 ︵一軍ぜ=誉 一軍ぜ=誉 Uhn︸tnU ・こ加句.1 のむ0;︼りS.の 00已叫 hn︸U再un已再せ占.N 巴n︺ちじて如可.1 1のむL芦.1−− SむOIA︼心S.の 餌已t ︼n︸U再ちd蒋ヨ.N 巴n≡室患ぞ.1 −のむL芦むlpp−ヨ.Ⅰ− のUUぷ︼りS.の 如亡l ・︼n︸U再︸n百村せ占.N 巴コーちじ叫︼軸司.1 ︸の再出.H

(23)

地域産業連関分析の理論的実証的研究 そこでわれわれは(1)の方程式を次の如く書換える ことができる。 −2クー ・−/・∫J・・_・\■_−/・−\−−−′l ∴l●・/ll‥l・ /・・Y/・__T_/・−い J.)一・/二l−_・J_1■−; 一昭ズ要一み去…g…−み五重Ⅹ…=村y去+g主2y喜+′去2y… 一 昭利■昭利一昭都=≠;1y圭一り;2y呈+f;ay要 一 相方要一昭利一昭祁=才芸1y去+t…2y芸+g;3y… 一 昭ガト昭ズ…一昭祁=′言1y去+≠⊇2y三+才;8y喜 一昭利−∂……g…一昭ズ孟=畔y王+′至2y往f;2 y要 一相方卜昭g…一昭g喜=才⊇1y主+才芸2y冨+才芸3y塁 」瀞須−∂三…ズ喜一臓Ⅹ岩=′…1y主+才蔓2y冨+g;3y喜 Ⅹト舅土方ト蟻ズ墓一蟻利一 Ⅹ圭一相方ト蟻ズ左一蟻ズ圭一 ズト相方ト蟻ガト蟻Ⅹト Ⅹ卜相方ト蟻ズ圭一蟻利一 方…一昭勘十昭利一時首ト Ⅹ2−堵ガト蟻ガト蟻Ⅹ左一 方ト相方ト蟻ズ圭一帽首卜 利+相対+蟻勘一鳩首ト ズ…一相方圭一蟻ズト摘ズ圭一 (2) 結論としてMosesほ次の如く述べている。「要するに.地域産業連関分析に は次の3つの基本的仮定がある。

(1)技術係数がl−L定であること(the fjxty()f technicalcoefficients)。

(2)一地域内のすべての産業の購入関係が割・−・的であること(the uniform−

ity of trading coefficients)。

(3)購入関係が安定していること(thestabilityoftrading relationships)。」14) V15) (i)四国地域連関表の作り方 わが国に.おける昭和30年度連関表は∴表作成過程において,コトロ−ル,フィ ギュアとしての生産額の推計ほ3∼4,000品目別に.行われたが,この細い品目 別に.アクトプットとインプットを追求して行と列のバランスをとり連関表を作

14)LeonNMoses,‘‘TheStability ofInterIegionalTrading PatteIeS andlnput− Output Analysis,”The American Economic Review,Pp”803−L832

15)本章については拙舶,『四国地方産兼題瀾捷一作りカと利用方法』,昭和36咋2月を 参照せよ。

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香川大学経済学部 研究年報1 L96」 −ユトー り上げることは不可能に近い。従って調整作業段階に.おいてはこれを318×278, 基本表においてほ124〉く124,統合表に・おいて咋.53×5王将S門に・統合された。今こ れを更に第1次(農林水産業),第2次(鉱工業,公益事業),第3次(商業, 運輸,サ−ビス業)の3部に統合すれは第1表の如くである。これが投入係数 ほ第2表の如くである。 四国の場合においても3∼4,000品目に至り総産出額を推計し,調整作業段階 においては全国表の場合と同様に318×278部門に.統合した。しかしこれを全国 モデルと合せるため,第1次,第2次,第∂次産業の3部門に統合し,対全国比

捕れば那表の如く3・34%である。次に各部門毎に対全国比畏を乗じ

て,全国数値を四国と他地域に左右分割すれは第4表の如くである。 第4表を横に読めば,各産業及び最終部門への販売額となり,縦に読めば投 入額となる。そこで四国の場合販売額と産出額と比較して産出額が大なる場合 は他地域へ.移出され,産出額が小なる場合は他地域から投入されたと考えるこ

第1表 全 国 統 合 表

(百万円)

第4表で左右

(25)

地域産米連関分析の理論的実証的研究 ・−ゑト叫 とができる。 移入した場合 ズαレ・…Crレ>0 移出した場合 ズ㌔・−C71レ・く0 ズαレー・Crシ ヱαソ Crレーヱ。レ ヱαタ

第2表 全国投入係数

第3表 四国総産出額と対全国比 分割 し た も の

(26)

J上)(;J 香川大学経済学部 研究年報1 ー26− この方式をあてはめれば 第1次−1些旦旦!ニ軋生L岩0・02420 2 ,508,585 365、943鵬・353,668 ごOuO3354 =0.20381 =0.00∂24 第 2 次 第 3 次 外生部門

365,943

232,775−・185,333

232,775

337,675叫336,582 837,675 以上の率を第4表に乗じた場合,次の如く試算表(第5表)を作成することが できる。第5表に.おいては次4表に・おいて左右分割された数値が更紅上下分割 され−Lつの粋が四つに分れている。左の上段は四国で生産されたものの内四国 への供給された額,右の上段は四国で生産されたものの内他域へ償給軍れた額 即ち移出,左の下段は他地域で生産されたものの内四国へ供給せられ准額即ち 移入,右の下段は他地域で生産されたものの内他地域へ供給せられた額を示し

ている。しかし第5表の場合ほ,C71ソ>∑㌔なる時に移出のみで移入畔なく,

C71ン<∑αyなる時ほ移入のみで移出はないと仮定したものである。またもう一

第5表四国地方産業

上下分割方式∑㌔−Cアシ・>0(移入),

(27)

地域産米連関分析の理論的実証的研究 −27一 つの仮定は四国の投入係数と全国の投入係数に.ほ地域差ほないと言うことであ る。しかし現実の問題としてほ.同じ品目でも交錯輸送が行われているし,また 投入係数には地域差があるので,移出入調査及び投入鼠に関する業界調査によ って試算表を調整する。 このモデル分析では仮に.移出入調査匿よって第1次産業は移出25に.対して移 入8,第2次産業は.移入63に対して移出80,第3次産業ほ移入17に・対して移出 8の割合であるとすれば第6表の如く調整できる。 第6表をIsaI・dの分類表に組替えれほ第7表の如くなる。第7表は9っのブ ロックよりなりA表は四国から四国へ,B表は他地域より四国へ,C表はA, Bの合計即ち四国の投入総額,D表は」四国から他地域へ,E表は他地域から他 地域へ,F表は他地域の投入総額,G表は四国からの販売除額,H表は他地域 からの販売総額,Ⅰ表は全国表を意味する。 連関表(第1次試算) ズαレーCアン<0(移出) (百万円) 外 生 部 門 第 3 次 産 業 小 計

四 国l他地域

四 国l他地域

四 国l他 地 域

1 10,583 425,273 0 4,947,887 0 3,741,128 0 438,013 10,583 9,552,301 9,562,884 15,341 0 168,308 5,841 104,838 26,837 15,367 50 303,854 32,728 336,582  ̄ ̄ 二 ‥ 、 30,883,747

(28)

香川大学経済学部 研究年報 1 一之ダー ∫96」 第6表 四国地方産米

第1次移出額× 第2次

第 7表 ア イ そ の 第2次‡第3次l外生

門‡ 計 】第1次l第2次

24,949 16,095 7,700 101,378 150,122 第1次 第 2 次 第 3 次 外生部門 討 38,555 134,574 37,373 111,559 322,061 2,501 31,474 31,301 108,276 172,552 11,954 165,387 99,4L71 15,367 292,179 76,959 347,530 175,845 336,580 936,914 12,013 7,131 12,100 363 31,607 第1次 第 2 次 第 3 次 外生部門 討 19,452 18,413 56,930 1,095

95,890

12,781144,403  ̄ − ー −− _ ¥438,017 1 鳩266,141 3 5 5 4 袷1,548,990 4 #4,329,895 4,332,732 9 8 5 第1次 第 2 次 第 3 次 外生部門 2,128 33,142 41,435 108,628

185,333

1 2 15,34

174,149 131

,675 15,417

336,58

. 計 」157,221ま353,688

(29)

・・− 29− 地域産業連関分析の理論的冥詐的研究 関連表 (調整表) 移入額× 那次移入額× (百万円) 肇 3 次 産 英 外 生 部 門 他 ノ地 域 他地域」四 四 国 他地域 四 国 80,240 2,423,345 6,139 10,795,224 9,488 6,974,716 0 9,561,791 95,867 29,755,076 29,850,943 76,959 19,452 347,530 18,413 175,845 56,930 336,5CO l,095 936,914 95,890 1,032,804 13,970 421,886 2,921 4,944,966 5,367 3,735,761 0 438,013 22,258 9,540,626 9,562,884 2,587 78,135 556 1,256,884 1,689 1,570,375 0 4,121,420 4,832 7,026,814 7,031,646 1.954l 1,501 627 31,474 1,668 31,301 10,134 108,276 352 172,552 12,781 185,333 3,387 165,387 8,762 99,471 32,204 15,367 50 292,179 44,403 336,582 30,883,747 サ ー・ド 表 氷は調整したもの (百万円)

(30)

ー∂0− 香川大学経済学部 研究年報1 ∫96ヱ (ii)利 用 方 法 産業連関表を作成する目的がこれを利用して経済分析を行うことであることほ 既に述べた通りである。投入産出分析の理論的モデルにはクロ−ズト・モデル とオープン・モデルとがある。クロ−ズト・モデルは国民経済の全ての部門の 産出高,全ての部門間の取引高を変数としで取扱い,その値がモデルから決定 される。これに対してカ−プン・モデルでほ外生部門をモデルから除外して,そ の部門に関する数値は外生変数と呼んでモデルの外から与えられるものとし, これらの外生変数が与えられると,残りの部門に.関する変数,即ち内生変数が モデルの函数関係から決定される。投入産出分析の一一一般的応用ほオープン・モ デルにあるので,以下主として四国地域産業連関表のオー・プン・モデルの応用 についてふれることにする。 刷 Moses;理論の適用 四国地方産業連関表のオープン・モデルの応用に.あたって,Moses分析を 適用してみると次の如くなる。 第8表 投 入 係 投入係数の算定ほC表及びF表の各部門の投入鼠を産出額で除して求めるこ とができ,四国における第一・次産業部門(第1縦列)の投入係数の辞出は次の 通りである。

31,211

157,199

14,110

Ⅰ57,119

10,i92

ニ0」985 =0..0897 ニ0.0648

157,199

(31)

地域産業連関分析の理論的実証的研究 −3ユ ー 次に地域間購入係数ほ,アイサード表のA表とB表,D表とE表の比率を求 めることによって算出できる。四国における第1次産業の地域間購入係数の算 出ほ次の通りである。

24,949

=0.8793 ニ0.1207

第9表地域間購入係数 ∼=五

31,211 3,425 31、21Ⅰ 次に投入係数と地域間購入係数との横を求めることに.よって,地域投入産出係 数を算出することができる。 第10表 地域間投入産出係数 あ芯α才 最後に,地域投入産出係数の逆行列係数を算出して,最終需要の変化が各産 業の生産水準に及ばす波及効果を測定することができる。 (B)経済企画庁方式の適用 経済企画庁開発部巨産業連関表の地域経済計画への応用』において用いられ

(32)

香川大学経済学部 研究年報1 ー∂2− ヱ96ヱ た方式によると,16)まず第1に投入係数を貸出して,その逆行列係数を求め、る。 投入係数ほ既に渇けたのでその道行列係数をあげれば次の如くである。

第11表 逆行列係数

次にアイサー・ド表を用いて地域間供給係数と地域間購入係数を算出する。第 1次産業の総産出額の内四国への供給係数ほ次の式によって求めることができ る◇

=048956

第12表 地.域間供給係数 第1次産業の四国の需要の内四国からの購入係数ほ次の式によって求めるこ とができる。 =…5485 若し仮に.四国の最終需要が四国に.おいて,第1次,第2次,第3次産業部門 とも100億円づつ需要が増加するとすれば,これに対する供給は第1次産業で 四国自体49nO億円,その他51..0億円,第2次産業では四国98、8億円,その他17 16)経済企画庁開発部,『産業連関表の地域経済計画への応用』,昭和31年11月。

(33)

地域産業連関分析の理論的実証的研究 第13表 地域問購入係数 一息ヲー 第14表 最終需要・供給 億円,第3次産業では四国94.9億円,その他5.1億円それぞれ供給せられるこ とがわかる。(最終需要の増加額×供給係数) この様な最終審要を与えた場合,四国地方及びその他地域の各産業に対する 総需要額ほ次の式に.よって求めることができる。 総裔要額の求め方 (四 国) 第1次(1,2769×4,900)・+印.2122×9,830)十(0.0678×9,490)ニ8,986 第2次(0.162×4,900)・+(1,2394×9,830)十(0ハ2878×9,490)=15,708 第8次(0.1358×4,900)十(0.2411×9,830)ヰ(1,34弱×9,490)=15,804 (他地域) 第1次(1,2691×5,100)十(0..3249×170)十(0.0936×510)=6,575 第2次(0,2771×5,100)+(1,8334×170)十(0.4262×510)=1,942 第8次(0,1559×5,100)+(0..3574×170)十(1,3725×510)=1,556 第15表ほ四国地方及びその他地域の各部門の需要の合計額を示している。 この表によつて\第1次産業の四国地方の新しい寵妾は89.86億円,その他地域

(34)

香川大学経済学部 研究年報1 第15表 総 需 要 額 表 ー34・−− ヱ96ヱ 65“75億円であることがわかる。しかし四国の89巾86億円の内,0.95485が四国 から自給され,他地域65.75億円の0.00607が四国から他地域へ供給されるので あるからその合計155.61億円が生産増加となる。以下次の式によって計算する と産出総額が求められる。 総生産額の求め方 (四 国) 第1次(8,986×0.95485)十(6,575×0.0607)ヒ8,620

第2次(1勘708×0.9川63)+(1,942×0.00499)ニ14,314

第∂次(15,804×0.93104)一+(1,556×0.00069)=14,715 (他地域) 第1次(8,986×0.04515)一十(6,575×0.99393)ニ6,941 第2次(15,708×0.08987)一+(1,942×Ou99501)=3,336 第∂次(15,804×0.06896)十(1,556×0.9993i)=2,朗5

滞16表 総 生 産 額 表

以上の分析の結果,最初四国地方に起った最終需要300僚が四国,その他地

域にそれぞれ376.49億円,129=27億円,合計505.71億円の総生産の増加を引き

起す結果となることが明らかにされた。以上が投入産出分析の基本的な利用方 法であり,これから出発して種々な応用面が発展してくる。

(35)

地域産業連関分析の理論的実証的研究 ー3J− 例えば (1)経済討画の立案及び検討 産業連関分析せ経済討画に利用する場合,2つの看点が取り上げられる。そ の一つほ㌧別途に立案された経済計画を再生産構造と需要構造の相互のパラン∵ス の看点から検討される場合と,もう・一つは最初から産業連関表を経済計画の立 案軋利用する場合とである。 (2)雇用量の推計 最終需要変動が労働雇用に及ばす効果の分析では,まず就業者数ほ産出鼠に. 比例すると仮定する。即ち各部門の労働者数をその部門の産出崖で除したもの が労働係数である。この労働係数×逆行列係数で,最終需要の変動に伴う労働 雇用概会の変化を計算することができる。

第17表 雇用鼠の推計

(注)J=労働係数 この計算において,例えば第1行1列の計算濾,農産物百億円の最終需要の 増加によって,第1次産業でほ81,000人,第2次産業では3,000人,第3次産 業では5,000人雇用増加があることを示している。この各縦列の合計89,000人 ほ・第1次産業部門に対する最終需要百億円の増加がひきおこすところの各生産 部門に所属する雇用増加の合計を示している。この表に.よると最終需要の一単 位の変動によって四国地方では最も高い雇用鼠を生みだすのは第1次産業であ ることがわかる。しかし実際にほ雇用鼠ほ産出量に正比例せず,各部門毎に.労 働生産性を算定し,労働生産性の変化による雇用吸収の割合を修正しなければ ならない。 (3)家計所得額の推計 各生産部門の産出総額に占める割合を算定することによって,最終需要・一単

(36)

香川大学経済学部 研究年報1 第18表 家引所得額の推計 ヱ96ヱ −36−・ 位の増加がひきおこすところの各生産部門に・所属する家計の所得の増加総額を 推計できる。 (4)各産業部門の生産能力及び生産陸路の検討 産業連関表の実際の応用にあた/つて算定された各産業の産出畳が実現可能な ものであるかどうかを,各産業の生産能力と対比して検討しておくことほ計画 達成のため重要な指針となる。また地域の投資計画を樹立する場合の有力な資 料となる。また陸路部門の発見の武器となる。 (5)その他産業連関表は生産分析,輸入分析,資本分析,価格分析,構造分析 等あらゆる経済分析に.利隠することができる。また今後ほ企業のマー・ケティン グ,生産計画,在膵調節,設備計画,工場立地など種々の重要政策決定に寄与 することに.なる。(1961.2.15)

参照

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奥村 綱雄 教授 金融論、マクロ経済学、計量経済学 木崎 翠 教授 中国経済、中国企業システム、政府と市場 佐藤 清隆 教授 為替レート、国際金融の実証研究.

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