香川生物(KagawaSeibutsu)(33):15−17,2006
香川県におけるサシバβ昆fα∫g昆r∼〃dわ〟∫の営巣例
川 口 〒769−2102 香川県さぬき市鴨庄994−6Arecordofnestinggrey−facedbuzzard−eagle,ButastL[rindicus,
inKagawa,Japan
SatoshiKaw三唱uChi,タタイ−∂.Rム/∼∼0∫毎∫α〃〟たf乃クー2J呪J‘甲β〃いるとされ 絶滅危倶Ⅰ類に指定されてい
る。これまで,県内におけるサシバの営巣に
関する報告は1例(山本,1984)しか知られ ていなかったが,著者は新たにサシバの営巣 を確認したので報告する。2004年6月12日,10時10分,香川県高松市
サシバβ〟J〟∫血J・∫〃(J∠c〟∫は,日本では,東北地 方から九州までの範囲で繁殖するタカの仲間 である(森岡ほか,1998)。かつて香川県の雑 木林でも多数観察されたが(晴棲,1978),香 川県版レッドデータブック(香川県,2004) では,近年激減しており営巣も少なくなって 図1.クスノキに架けられたサシバの巣。巣内に親鳥が見える(2004年6月22日撮影)。 −15 −OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ
表1.サシバの営巣木の樹種と利用頻度. 調査地(府県名) 大阪 埼玉 栃木 三重 徳島 富山 香川 香川
針葉樹
アカマツ ダ血s血5研0′・α クロマツ タ玩〟5血〃♭e′g∫f ス ギ C′。汐わ朋e′よα′呼0〃よcα ヒ ′ キ(ソ=′仙、・lp‘f′八りJ亜、‘′ ゴヨウマツア玩〟叩α′γ研or・α モ ミ A占∼e5β′椚α広葉樹
ブ ナ 飽g〟5C′e乃αJα 2526‖9411
‖‖一一 1 1 1 1 1 1 7640‖川411
1 1 2 1 1 1 1 1 クスノキ C血相∽0刑〟椚CO〝pゐ0′堤 − − 引用文献K句ima内田 酒楼 前澤 野口 池田ほか山本本報告
(1999)(1986)(1978)(1990)(2003)(1994)(1984) 牟礼町の五剣山南側山麓の尾根上の枯れ木に サシバ成鳥1羽が止まっているところを発見 した。フィ1−ルドスコ1一プ(ニコン,20∼45 倍)と双眼鏡(ニコン,8倍)を用いて−,遠 方からサシバの行動を観察した。12時00分,周囲の樹木より突出した大きなクスノキ
Cん−乃α刑‘肋〟椚Cα〝甲あ0′ほの樹冠に出入りするの が見られた。13時40分,このクスノキに接近 して枝上に巣が架けられて−いるのを確認した (以後,このクスノキを営巣木とする)。13時 50分,巣内に白い幼綿羽のヒナ2羽と親鳥1 羽が見られた。6月22日9時28分,ヒナ2羽はまだ白い幼
綿羽に覆われていたが,「ピックイー」といっ たサシバ特有の鳴き声を盛んにあげ,これに 答えるかのように親鳥2羽がえさを巣内に運ぶのが見られた。えさは小さいために,その
種を同定することはできなかった。7月11日5∼6時,幼鳥2羽が営巣木内で
枝移りを行い,うち1羽は営巣木に隣接する 木に飛び移るのが見られた。 営巣木は,樹高14.6m,胸高直径40cmの生木で,谷の上流部の斜面(束経1340 08′
27”,北緯340 21′12”,標高160m,3次メッ
シュコー・ ド5134−4121)にあった。巣は地上 11.7mの枝の上に架けられ,かつ林外から見 える位置にあった。巣から半径500m以内の環 境は,アカマック加〟5血5抑冊とクロマツア 血‘〃あe′g‘fの生木と枯木およびクスノキが点在 する混交林,スギC′.汐わ刑β′ね/呼0〝∫cdとヒノ キCゐα仇αeq汐α′血0あ加αからなる植林,渓流, 水田,ため池,住宅地からなっていた。2005年6月13日14時,昨年と同じクスノキ
の枝に再び営巣していることが確認された.。 巣内には白い幼綿羽のヒナ3羽が見られた。7月5日5∼7時,巣内にサシバは認めら
れなかったが,営巣木の枝に幼鳥1羽が止
まっているのが見られた。 サシバの営巣に関する文献をまとめてみる と(表1),営巣木とし、て一利用されるのは,主 に針葉樹(上位4種はアカマツ,クロマツ, スギ,ヒノキ)で,広葉樹に営巣する例は極めて少ない。また,クスノキに営巣したとい
う例は,著者の知るかぎり,これまで報告が なく,初記録と思われる。しかしながら,千 葉県では,かつてはサシバの営巣木となるア カマツが普通に見られたが,現在では松枯れ のためわずかに点在しているのみで,スギや −16 −OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ
環境・水政策課,高松. 酒楼幸保“1978.増補改訂版 日本鳥類大図