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大学生のアクセント(2)
一近畿地方の中央式諸方言について(2)一
中 井 幸比古
はじめに 前回に引続き,報告を行なう。 2モーラ体言の場合ほ,アクセントの伝統的な地域差がはとんどなく,若年 層のアクセントの変化は,たいてい,共通語化や,大阪神戸を中心にした地域 の影響ということで説明できた。しかし,3ニE・・−ラ以上の体言についてほ伝統 的に地域差がかなりあり,その地域差の上に,共通語化などの変化がおおいか ぶさっている。しかも,−・般に,モ1−・ラ数が多くなるほど,アクセンナ・の個人 差やばらつきが多くなる傾向がある。そのために,変化の方向や程度も,不明 瞭であったり複雑であったりし,一般化することが困難なことが多い。本稿で は,うまく地域差が出る項目や,変化の説明がつきやすいものを主に取り上 げ,それ以外については言及が不十分,といった傾向もあるかもしれない。 今回も,前回に準じ,すでに拙稿(1987・1988など)で京都アクセントにつ いて述べたことと重複する事柄は簡略に扱うことが多い。 具体的な報告に入る前に,音調型・アクセント体系についてまとめる。本稿 で扱う,3・4・1モーラ体言と,用言についてのみ述べる。3・4モpラ体言については,2モーラに準じて,f,n,nu,tの各タイ
プがある。七夕イブは式の区別がなく,f∴ n,nuタイプは式の区別がある。f∴ n,nuは,語末モーラの下降調の有無と,付属語なしで続けた場合の音調
によって分かれる。しかし,今回の調査では,3モーラ以上については,単独 と付属語つきしか十分に調査しておらず,付属語なしで続けた場合は一・部未調 査なので,nかnuかはよくわからない。 2モーラ体言がfタイプの話者は3・4モーラもfタイプである。2J亡・−ラ がnタイプの話者は3・4モ1−ラもnタイプ,2モーラがnuタイプの話者は,中 井 幸比古 184 3・4モ−ラはnuタイプが予想されるが不明。 1モーラ体言は,f,n,nua,七の各タイプがある。fは伝統的なタイプ。 nuaは前回述べたように,付属語なしで続けた場合にコ1型が高平調になるも の:「ハーデ「タカ(「菓」コ1)。nタイプ::「ハ(単独言いきりで下降調 まったくなし,かつ必ず短い。長さもからむ点注意)。「ハ「ガトデ「タ(菓が 出た)。「ハ「・−トデ「タ 。「ハ『トデ「タなどいくつかの苦調。しかし,fとn の境界はあまり明瞭でなく,また,日常会話と読む調査ではかなり異なる結果 が得られるかと思われ,アクセントを記録する際にも両者を区別しなかったの で,詳しい個人差ほ.不明。(周辺部はど保守的のようだが)。本稿の結果に関す る限り,nuaタイプの話者は,2、モl−ラ体言は必ずnuタイプである。しかし,逆 に,2モ・−ラ体言がnuタイプの話者は,必ずしも1モーラでnuaとは限らず, f・nの話者もある。 2・モーラ体言が七夕イブの話者は,原則として1・3・4モ・−ラもtタイプ で,式の区別はない。(但し前回参照)。 用言については体言に準ずるが,2モ・一ラテ0型かテ2型かの区別が問題に なる。即ち,第2モーラのモ−・ラ内の下降調がある話者の場合はよいが,無い 場合はテ0かテ2かが活用形により不明瞭。 命令形「書け」の類ほ順接の付属語はまったくつかず,下降調がなけれぼテ 2かテ0か不明だが,本稿では一・括してテ2として扱った。体言に下降調があ る話者(f’)は全員「書け」に下降調あり,テ2型。 終止連体形「書く,出る」の頬。f■タイプほ全員下降調なくテ0型で問題な い。体言でnuタイプの話老は,次のア)イ)において,(但し▽は順接付属語) ア)レカ「ク レカク「ト「キ レカク「▽ イ)レカ「ク レカク「ト「キ レカ「ク「▽ ア)ならテ0型,イ)ならテ2型ということになる。ところが本稿の調査では その環境を調査しなかったのでよくわからない。便宜上テ0型として−・括して 扱った。但し,たぶん若年層では,用言につく順接の付属語はほとんどないの ではないか。例えば,調査しないで言うのは危険だけれども,「カクニ(∼書け ない)」で「ニ」は順接か低按か(老では順接だが)。「カクニモ(∼讃けな
大学生のアクセン斗(2) 185 い)」で「ニモ」はコ1が現れるかもしれないが,低接かもしれない。 1 3モーラ体言 11 まず,tタイプ以外について述べて行く。tタイプについてほ末尾に まとめて述べる。 121 伝統的にコ0型の語彙。1類など。 顕著な変化はない。但し,末尾の−・覧表からわかるように,語によって,テ 0に変化しているものがやや目立つ:「鯖,漆,桜,障子,机,柳,よだれ」 (動植物がやや多い)。そして,理由ははっきりしないものも多いが,その語彙 はおおむね京都旧市内若年層(拙稿1988に報告した物。以下単に「京都旧市 内」と言うときはこの調査結果をさす)のものと一・致する。いちいちの語につ いての検討は略する1)。 122 伝統的にテ0型の語彙。6類など。 ここでもそれはど顕著な変化はない。 但し,語によってコ0がやや目立つ:「あやめ,すすき」など。丁度コ0の 語彙がテ0に変化しているのと逆方向であるが,ここでも動植物の語彙が目立 つ。動植物の語彙のアの伝承の悪さと,共通語で0で対応するということが原 因で,コ0とテ0の語彙の所属にやや混乱が生じたのであろう。なお,このコ 0への変化も,先のコ0からテ0への変化も,原則として,特定の話者に集中 的に現れるのではなくて,散発的に現れる。但し,兵庫県の話者H9ほ3モー ラ以上については,コ0が多い(そのため図2で一人だけ「大人・左」の2語 ともコ0。2モーラではコ0への変化は目立たない)。こういった傾向が進む と式の区別が失われてしまうのかもしれない。 「親子」(コ1へ。共通語化)も京都旧市内と同じ変化。図1にその調査結果 を示す。あまり綺箆な分布ではない。 「高さ・広さ」(テ2へ)も京都旧市内と同じ,古形のテ0はほとんど絶滅し た。(古形は和歌山県南部川村W17−\人だけ)。「すもも」はコ0のほかテ2も目 立つが,「す(酸い?,酢?)+桃」といった語源意識・語構成が関係するか。 「烏」のテ2は本稿の話者の場合は地域差ではなくて散発的に現れる:04
中 井 幸比古 ユ86
吹田市,019堺苗,030八尾市,N3奈良市,N4大和郡山市,W2和歌山
市,H3西宮市。三重県からの地域的な連続性(金田一1977)はないよう。本 稿の話者については,例のネオダイアレクtの可能性もないではない。 面白いのは「大人(オー・ナ),左,背中」の三語で,明瞭な地域差が現れる。 これはおそらく,若年層で新たに生じた変化ではなく,伝統的な地域差かと思 われる。 このうち,まず「大人・左」の2語のアクセンナをあわせて図2に示す。 「大人」については,徳川・真田(1986㌔アステリスクは今回初めて引用し た文献であることを示す。本稿末の引用文献の項参照)で,紀ノ川流域につい 図−1「親子」のアクセント 6531し・ 「 6う32 ′) 記ぢの言糾い テ0彗’! ● コ】色■j x テ2型 猪 J;l粛l輔付 丹南鞘 、 し二\∴;。㌻ ︻眉都 6449 654D 651】 今m期 ■ −、・i.
」▲ノ】’ ̄▼ ・・ レ、\ 育十65藷云ニ木村一−】 ̄ ̄ ̄▼「 6550 ダも川(p沃 655】 ・ ● ニ ● ● ー ● × ×l.ふ…】 やfr × 1 × ● × ノ ● ● ●×ん× ● / 65丁2 / 11塚l†J ● ノ /\  ̄ 丘条 帝 × 6三治3 ・一・・_い・i _・ご、
● \ ● \ ● ′−一−ノ × 凸∴lfトl プ;モ上;i玖与 才11歌11】リ,も 園外 ×(f!】辺イり ●(涌部川l寸)大学生のアクセンナ(2) 187
て「和歌山側テ2一奈良側テ0」という報告がなされている。本稿の調査地域
でも,テ2は和歌山県にだけ現れる2)。金田一・(1977)によれば,「大人」のテ2
は和歌山だけでなく,兵庫にも多く,大阪・三重・奈良でテ0と混用されると
いう。しかし,本稿の資料ではこれらの地域でほテ0しか現れなかった。ある
いは,この語ほ共通語で0だから,その影響でテ2からテ0に変化した地域も
あるかもしれない(和歌山は保守的な地域ゆえテ2をかなり保存か)。
「左」は,だいたい和歌山県でコ0,それ以外の地域でテ0である。ここでも和歌山が例外になる。但し,「大人」のテ2よりも,「左」のコ0のほうが分
布が少し広く,奈良県にも一部食い込んでいる。「大人」の場合と異なり,共通
図−2 「大人(オトナ)・・左」のアクセント 3 ● ′・▲・1. + ... ㌫淵 − −、−
ノ .;J;Jの説l少い ★ 人人テ2型 ノ..コ04■j ∇ 人人テ0塑・ノ.:コ0聖 ▲ 人人TOT2塑楢川へカテ0聖 ▼ 人人テ2聖・ム:ソ0テU酬削l」 ● 人人 左ともテ0聖 × 人人 克ともコ【)巧せ j;く薫Ii〃こf 川雪洞I b 5 \ + ⊥11、 蒜 ▼ 6 ︶ \ \′ ノH川町 ● \ ‥l小一リ、 $5謡…
】615g ● 門跡1i ●●●.
.∴●∴ ● −−. ●● ●● . ・ ●● ● ● ノ 4く くi三IJ ● ● 一−−−− ● ●∇相原抽 ● ●●ん●● ● L一一一【→一∴川−−=−十一,・,・ ● . ● ●・ ● J大音言語 6572 ● ド‖】れ= 机● ノ ★ ★ ∇ ● \ よ・酬 ★ ′一一一一ノ / ★ ★ マ 雇Il軟1111l.も カき上;よ少,ミ 国外 ★(川辺IIi) ★(雨淋川り)中 井 幸比古 188 語と核の位置が同じだからであろうか。 「背中」は上2語とは異なる分布状況を示す−(図3参照)。おおむね∴京都府 ・奈良県はテ0で安定,大阪府はテ0とコ0の両方が現れるがコ0がかなり優 勢,兵庫県・和歌山県はコ0がほとんど。「背」(地域・個人によりコ0テ0) との牽引が一つの原因であろう。(「背中」の‘‘本来”のアがテ0であったと言 えるかどうかも問題になる)。偶然であろうが,コ0の地域と3こE‥−ラコ2型 の残存地域とがかなりよく−・致する。 しかし,これらの語がなぜ特定の地域で例外的なアクセントになるのかほ不 明である。老年層の調査が望まれる。 図−3 「背中」のアクセント 名号長上Aちも 銅外 ★(田辺ポ) ★(繭肌Il柑)
大学生のアクセント(2) 189 123 伝統的にテ2型の語彙。7類など。 これもさほど顕著な変化はないが,変化しているものはやはり京都と同じで ある:「蚕,椿,病」はコ1へ(図4)。共通語化。「鉛,盟」はテ0へ。これ も共通語化か。「卵」ほ京都老年層でコ1がかなり出るが,本稿の場合はテ2し かなかった。 図−4 3モーラ体言テ2からコ1への変化 ㌻6531し・ 「 6532 占己弓の説明: 「病相蚕」3絶ともテ2 「痢」コ】r持前」テ2 「病幡」コ1「華」テ2 「病衣」コ1「緒」テ2 「病櫓蚕J3孟芭ともコ1 r病」コ1「描」テ2「蚕」コ r柄柘」コ1√蚕」テ0 「病jテ2「招葦」コ1 京都i〝守 層暮l歌りl鵬 国外 △(閏辺lけ〉 ㊥(南部川村)
中 井 幸比舌 ユ90
124 伝統的にコ1型の語彙。3・5類など。
京都旧市内と同じく,語によってテ2型への変化が目立つ(共通語化?よく 熟した語はコ1が嫌われる故?)。「簾」のコ0への変化も京都旧市内と同じ (廃物廃語的で共通語化?)。これらについてはまとめて,伝統的にコ2型の語 彙の項で論じる。 「心」のコ2は3⊥モ‥−ラコ2型がかなり残っている地域(和歌山県・兵庫 県)全域に見られる。都染(1989)でもコ2が見られるが,概して老年層でコ 1が多いか。従来の報告や,最近の佐藤(1989)の田辺・竜神・高知老年層で もコ1であり,平安朝以来の京都アでも5頬所属だカ㍉あるいは,地域によっ 図−5 3モーラ体言コ1型からコ2型への変化 \rフ一 ﹁ノ∧﹁\ し︼
昂己与ナの吉卿l: ★ rノ山コ2聖 O 「心」コ1聖 × 「む」テ2饗! 「油、五つく昭称りi」〉.村】瓜 く咤称「朋J)、賂、浬、柱、 、火箸(略称「火」)、力」の 何れかまたはいくつかにコ2 が現れる場合lょその語をr心」 のアのポ側に「りでつないで ぎく。 例。「○◆油」1「い」がコ1 て「油」がコ2。 「X◆丘J:r心」がテ2 で「五つ」がコ2 「★」:ー心」がコ2 ■r、それ以外の上 縄の猶にはコ2が ない。(必ずしも Tlとは限らない) 丹南印 ○◆旅 ㌧..ご 今糾問 ★◆娘 −一二 一+ 6551 1弓65諾… ○ ×・五 ㌔射∫ノ 蒜H・㌃一聖 ○ 】○:く0 0 ○ 人和郡山11j −・・・・▲・・.−.ノ 0 (⊃ ○ ★◆油 ○ く) ・○◆五★−池 ★◆柁 ○ 0〇. 00傾原宿 0 机]番付竺⊥
_−ヱ聖と ーふ】★+㌔, C/。 6573 0 ・ ・−:、至 、 ★ノ I
L_../d ̄ノ\ 出川j
l ・ 一−一一 ・・・ニ、 ・ .9て馴t\ /・一・一 ̄●′− ̄−‥ ○★◆旅 ★ ★◆縫 0 0★併用 ★◆相 手11歌11け.t \ 晶… 一・一一ノ 奈1基びこも M外 ★◆柑l脹(Rl辺市)○◆搾(南部川村)大学生のアクセンl(2) 191 てほ.もともとコ2のところもあるかもしれない。なお,もしも3モ−ラコ1か らコ2への最近の変化だとすれば,珍しい。 その他,数名の話者に散発的隼コ2が現れる語がある:「油,五つ,胡瓜 火箸,力,たすき,柱,すだれ,力」。もちろん,これも3」モ‥−ラコ2型がかな り残っている地域にのみ見られる。これらは,おそらく,「心」の場合とは異な り,コ2型が減少する変化が起こりつつある,その変化の渦中で,コ1とコ2 の所属語彙が一時的に混乱したために起こったのであろう。あるいは「コ1よ りもコ2が本来のアである」という意識があって,過剰矯正したという可能性 もあるが,よくわからない。 煩似の現象として,棋垣(1958)に,3モ・−ラの形容詞についてであるが, コ2からコ1型への変化が起こりつつある地域で,話者によって,逆に本来コ 1型であった語をコ2で発音する傾向があったという。(本稿の調査では,形 容詞についてはこの現象はなかった。後述)。 上記「心」も含めて,図5にまとめて示す。
125 伝統的にコ2型の語彙。2・4類など。
1251 コ2型の残存度
3モ、−ラ体言の中でいちはん大きな問題を含む。コ2型の残存度を図6に示 す。(「紅塵」と「心」も含めた計33語を対象としたが,これは周題かもしれな い)。なお,「一つ,一人,二つ,二人」については後述する。 語による残存度の違いについて。残存の少ない方から多い方に,順に並べる (括弧内は全話者の平均残存%)二:紅菓(1%),絵(3%),向こう(3%), 縫目(4%),林(森と)(4%),昨日(キノー)(7%),仲間(8%),刀 (13%),白髪(17%),匂い(20%),女(21%),瓦(21%),暦(23%),硯 (23%),席(24%),袋(26%),毛抜き(24%),頭(アタマ)(27%),言葉 (28%),小豆(28%),心(29%),助け(32%),俵(32%),宝(32%),鏡(33%),襖(36%),団扇(35%),東(37%),男(38%),南(40%),表
(40%)∴頼み(47%),娘(50%)。 残存のごく少ない物(20%未満)はそれぞれ理由があるものが多い。即ち, 「紅葉」はそもそも全域で伝統的にコ2だと決めることに問題があるか(普通中 井 幸比古 192 5類所属とされる),「胎」も地域によって伝統的アがコ2ではないかもしれな い。「向こう」は「ムコ」という音誰との関係。「林」ほよく指摘される人名の アとの牽引。「昨日」は「キンノ」その他の方言形のアとの牽引。「仲間」は 「ナカ(テ0)」の式保存,「白髪」は悪い意味。「刀」だけは理由不明。 しかし,それ以外の語についても,20%から50%まで変化率にばらつきがあ るわけであるが,その理由はよくわからない ものがはとんどである。 1252 残存度の地域差について。和歌山県でもっともよく保存し,兵庫 県山間部がそれに次ぐ。奈良県の大部分と京都府はコ2は残存していない。 (但し,京都市に一人だけ「団扇,硯,毛抜,娘」の4語にコ2が現れる話者 図−6 3モーラコ2型体言の変化 6531\−・ 「 653Z 紀号の説明 ■ 3モーラコ2型 25−30言古 ● ■■ 2ト25言語 ㊥ ’ ◎ ” 16′−20害吾 】1∼15ほ ○ ” 6∼10拍 △ ” X ト5拍 O3吉 (伝統的にコ2聖の言古袋33猶中) 片岡印 \ .諦 \ 扱 レ、\ ⊥rr︻﹂﹁﹂
「肯
6550 典ノヰモ県 △△㌔削ぎノ ×X/ ×
6572 J大詔票 ● ㊥ 和泉相 即細 ㊥ 」 / 一ムーノ\ 誠 ●◎ \ \品,掴 /一一一′ / ● ● ㊥ 1禾【l軟111鼎 :奈上辻1l.t 園外 ■(田辺ポ) ■(南部川村)大学生のアクセント(2) 193
があるが,両親の影響か,居住歴の記入不完全で移住の経験がある恐れもあ
る)。大阪脚ま,南端の和歌山に近い所を除き,コ2ははとんどなくなったと
言ってもよいはどである。兵庫県も上述山間部を除き,神戸を中心とする地域
ではかなり少なくなっているが,大阪府はどではない。
1253 変化の方向について。図7に,残存度も含めて(但し図6とは目
盛りを変えた),変化の方向を示す。一敏の地図に色々の情報を押し込んだの
で見にくくなった。 図−7 3モーラコ2型の残存と変化の方向 詑号の説明: 田1の桝H(左上〉:コZ語薫の% 2の桝目(左下〉;コ】 3の桝目〈右上)てチ2 4の桝田〈右下):コ0 各研臼は15%真 □ 当該言語史0−15 % ’ 16 臼 −30% m ’ 3ト459‘ 回 46−60% ウ 6ト75% ■ 76−100% 例: 田 33吉召中、コ2とコ0型の孟各党 8−15%、コ1型の三番宋61−75%. テ2型の油菜18−30% 四幻拍車.コ2とテ2型の名膜 3ト伯%、コ1とコ0型の吉減16一っ0 % 一 三・;_ 監 6550 典一手軽lち逢 田E川損紬 田 屯 田田/ら由 牧野市田 ∫l塚市 田 田 兼山札ミ 田 田 キロ軟111貼も 」 悶外 出(田辺ポ) 田(南部川村)中 井 幸比古 194 当該語粂33語の,93人全員の,変化の割合の平均は次のよう(数え方は前回 の「調査結果−・覧」の表と同じ)。 コ2塑 コ1型 テ2型 コ0型 テ0塑
22%
40%
20%
8%
3%
コ1への変化がもっとも多く,それについでテ2へ,やや少ないがコ0への 変化もある。テ0型への変化はごく少なく,無視できるので,図7には示ぎな かった。(実際,全域で「なまず」の1語のみがテ0に変化しているだけ)。 語による変化の方向の違い。本稿末尾の表も参照。 主にコ1へ:「女,男,娘,東,昨日,言葉,宝,助け,頼み,匂い,向 こう,紅葉」。 主Pこテ2へ:「縫目,仲間」。(cf「縫う」テ0,「仲」テ0か) 主にコ0へ:「林」。(cf㌧人名) 主にテ0へ:「なまず」。(共通語化?) 主にコ1とテ2へ:「小豆,頭,団扇,表,鏡,刀,白髪,硯,袋,襖, 席」。 主にコ0とコ1へ:「暦,俵,瓦」。(「暦,俵」廃物and/or廃語も?。 「瓦」はか−ラという方言形だとモーラ音素を含むか ら?) 主にテ2とコ0へ:「毛抜」。(テ2ほ.語構成「毛+抜き」) 数の上ではコ1,または地域などにより,コ1とテ2の両方に変化するもの がもっとも多い。それ以外の物は何らかの理由があるものが多い。括弧内に考 えられる理由の一・部を示した。195 大学生のアクセソt(2)
1254変化方向の地域差について。奈良県ではだいたいきれいにコ1に
まとまった変化(左下の朝日が黒い)が見られる(京都市老年層のものに近い)。他の地域でほコ1(左下の研目)・テ2(右上の析目)・コ0(右下の折
目)の種々の型にばらつく。特に,阪神を中心とした地域では,ばらばらに変
化する話者や,特に神戸近辺ではテ2への変化が目立つ。但し,とくに大阪府
は個人差が大きく,わりあいコ1にまとまって変化している話者もある。
また,図7の他に,表1(次節)に残存度や変化方向についてまとめてある。
個々の語のアをすべて地図化するのは紙幅を取りすぎるので,変化の方向が
2つに分かれている項目のうちから,いくつかを取り上げて地図化する:図
図−8 「頭」のアクセント 閲外 ▲(閥辺川) ■(郁即l胴)中 井 幸此舌 196
8∼10「頭(アタマ),鏡,袋」,囲11「暦,俵」。
これらのうち,「頭,鏡,袋」の3語ほ,コ1とテ2の両方に変化しつつあ
り,かつコ1とテ2の比率が丁度半々である。ここでは先の図7よりもさらに
地域差が明瞭で,和歌山県はだいたいコ2,奈良県はきれいにコ1,大阪府京
都府はばらつき,兵庫県の海岸部はテ2が多く,コ2が少しある。
「暦,俵」の2語は.コ1とコ0の両方に変化しつつある。ここでは丁度上記
3語のテ2をコ0で置き換えたような分布となる:和歌山県はコ2がかなりよく残り,奈良県はわりあいきれいにコ1,大阪府京都府ばらつき,兵庫県海岸
部はコ0が多い。この2語は廃物and/0Ⅰ廃語のための共通語化も関係か。
図−9 「鏡」のアクセント 6531\−  ̄ヽノ 調∼扉f
\ 丹南町 △ ■■●、、 −
\、∴
7
・ \. i i 京都姉 町 田︳ 今 ㌫ トh﹁−≡■ ㌻︻. 1‥
6550 兵ノ寸(県 珊 。鮎川J ..、﹂.=. + 五条市 僧名 \_.:\ト
云モβ主某t 国外 ■(田辺市) ■(南部川村)197 大学生のアクセント(2) 1255従来の報賃との関係など。 大阪から和歌山にかけて。表1に示すように,楳垣(1958)によれば,昭和 30年前後の中学生またほ短大生に関して,和歌山県日高郡・和歌山市ではまっ たく変化が起こっておらず,大阪府泉南郡(現岸和田市,泉佐野市他)では.コ 2型の調査語彙の13%が,大阪市では63%(但し西区の中学生では88%)が, 他の塑に変化していたという。要するに, 大阪市では半数以上,市内の地域に よっては9割近くが変化をしているが,そこから南へ行くにつれてコ2がよく 残っている,ということである。本稿の調査結果は,全体に変化の割合は上 がっているが(調査項目ほ−・致しない),まったく同じ傾向を示す。また,変化 図−10 「袋」のアクセント 6531し‥ 「 6532 6533 閥;腑 ‘ ヽ、 説 ︰ ■○△釈 明 の 型刑丸型型 り 2120 記 ココテコ ・川畑l △ 、ヽ △ l 忘 ︼︼︼1 、 − −.、 ∴、一・−、 1’ \ 今日†町 \・ \ 、 、 …山一−−−・−【【
「
言Lヤよm
レ、\ 謂1。△捌軒£町 \ ′‥、 ヽ−■■■■■ O 奈良ポ ○6562△ △ 史大阪珊 16563 ○△ 。。△も△
△ t 【△ 。もノ ○ 大和郡山得 。 ㌔。。/ら。。 ; − ト _ ′ ○ / l − 抜野市■ 一 ̄ _一ご一・ _ 盲・ − ■○ \ \弓品,川 ■ ′ −−/ ■ ■ ■ ヲ;モ良妨も 雇【1歌11】少iも 図外 ■(田辺l†り ■(曲鮪川村)中 井 幸比古 図−11「暦・・俵」のアクセント 198 6531し・ 「 ∃6532 ノ】 紀 ほu に ・
∴り
訓批離㌍㌶”調飢珊 の22暦暦暦暦暦暦2モ ‖ケ 紀■●臼00※☆∇△×¥ 6550典一調典 .. ﹂.∈.璧∼.∈ ¥5:J軒2. 横コ】 ¥】;層礼儀和 ¥3:暦コ2テ2、横コ】 Y2:蹄2,俵コ1 Y4:椚軋依コl 囲外 ■(田辺市) ■(南部川村) の方向についても,表に示すように,同じ傾向を示す。 和歌山県から奈良県の紀ノ川流域について。徳川・真田(1986*)の調査結果 も本稿のものによく一致する。但し,同報告では「小豆,頭,男,鏡,女」し か調査されていない。紀ノ川流域の,和歌山県側ではかなり高い割合でコ2が 残存しており,奈良県側ではまったく残存していない。そして変化の方向はコ 1にまとまっており,テ2コ0にはばらつかない。 以前報告した京都旧市内の調査結果との比較。以前の結果のほうが,今回の よりもずっときれいにコ1型にまとまっており,老年層のアクセントに近い。 話者の出身地の地域性(旧市内かどうか)の違いのためか。大学生のアクセソt(2) 表−13 モーラコ2型体言の地域別残存,従来の報告との関連 199 地域別変化率(%) コ2 コ1テ2 コ0 テ0 地域別変化方向(%) コ1テ2 コ0 テ0 和歌山県;残存率によって2分。地域区分とは言えない 和歌山県で●■の話者 和歌山県で㊥◎の話者 691610 3 2 47 27 15 8 3 52 32 10 6 512815 6 大阪府:残存率が高い地点とそれ以外に。高い地点は府 南部に集中、さらにそれを2分。低い地点は中 北部、低い地点の中から大阪橋の分を取り出す 残存率の高い地域(おおむね府南部) 大阪府で●の話者 大阪府で@◎の宮古者 ♯楳垣(1958)旧泉南君阿 倍い地域(南部以外)。大阪市も含む。 大阪貯で×△の地点全部 大駁市の分を上から取り出したもの(大阪市は×△のみ) 大阪市全員 ♯楳垣(1958)大阪市西区中学生* ♯楳垣(1958)大阪市全域短大生声 64 21 6 6 3 521818 9 3 87 1 9 05 05 4 55 26 12 3 7 8 5 7 nU l▲ 1 3 nO nO ︵︼U ハリ 5 3 57 27 13 6 3 4 0 6 4 6 nO り﹂ 1 7 5 6 1 りJ 4 4 4 ・・1 8一q・・l 亡J ワJ ﹁リ・りり 3 2 3 4 3 4 3 っJ O 6 7 ∧h︶ 2 2 3 1⊥ 8 6 7 ︵h︶ 2 1 2 1 6 6 ハ=︶一・⊥ 4 4 2 6 兵酢;残存率の高い山間部とやや低い海岸部に。海岸 部は個人差が大なので、残存度が高い言古者は別 に取り出す。 兵庫県山間部で㊥の詔者・(HllH18) 兵庫県海岸部で◎㊥の話者(H5H9H12) 兵庫県海岸部全員(HllHlO以外誹5日9H12を含む) #都染(柑89)兵庫県姫路市周辺** 奈良県;保守的な南部と共通語化がやや著しい北部に 奈良県北部(Nl昭∼Ⅳ6) 2(;818 9 こ‡ O 74 15 8 3 京都府;話者数が少ないのでq括する 京都府の話者■全員 #中井(1988)京都旧市内中学生声廟 4 4 ︵‖=︶ 0 9 0 4 7 ロ 2 1 9 0 0 5 7 ︿‖︶ 2 ︵‖U nU 図7からも残存度や変化の方向について見てとれるが、地域別にまとめて、数字を示した。コ2の残存率が大きい ところでは、それ以外の型の総数がわずかで、変化の方向については図7からは判断しにくいということもある。 地域の分割はかなり問題だが、とりあえず府県別に分け、府県内部に明瞭な地域差があると思われる場合はそれ をさらに細分する。併せて、先行文献の調査結果も示す、左端に「#」をつけたのがそれである。 *楳垣氏の調査語藁は4較のみで、当然本稿の調査語彙とは一敬しない。そのために数字の厳密な比較はできない。 また標垣氏の、泉南郡の結果は異常にテ2への変化が多いが、これは「鋏、答え」の2語が含められているからで ある。これら2語とも伝統的に−−昇核現象が著しく起こる相当前から−−テ2型であったよう。旧泉南郡は、本 稿の、大阪府で●㊥◎の地域と、かなりの程度重なる。なお、大阪市西区中学生の調査結果は楳垣(1955*)にも示 されているが、.そこでは、テ2が29Ⅹ、テ0が6Ⅹとなっている(他は同じ)。 **「林」はどの意味で調査されたかどうか不明瞭のため除き、それ以外の32語について。本稿の地域よりも西の、 海岸部および山間部が対象地域。 琢**「助け」は未調査ゆえ、それ以外の32語について、当時の中学生23名の結農。より年長の話者4名の分は含め ない。 **羽「林」と「小豆」は各々。コ0とテ2の言古者もあるので、.話者によっては、コ1が100冤というわけではないが、.「林」 と「小豆」がともにコ1でなくても、.94完が封である。
中 井 幸比古 200
1256コ2型の変化について,まとめておこう。
まず,通説に.よれば,コ2の減少の最初の震源地は幕末頃の京都市であった という。この変化は,京都市の勢力下にあった地域に広がった:京都府の中南 部や,奈良県や滋賀県の,−L部の地域,大阪府の京都寄りの地域(少なくとも 高槻市や茨木市3)4)。筆者の調査による)など。これらの地域では,遅くとも明 治末年までにはこの変化はぼ終了した。ここまでは,語や地域による多少のば らつきはあるものの,かなり綺麗にコ1型に変化した。 それについで,大阪市で変化が起こった。大阪での変化ほ,いつ頃起こり始 めたのかほっきりしないが,いくつかの論文や,筆者の不十分な調査から,明 治時代から少しずつ起こりはじめ,大正末期には地域によってはかなり変化が 進んでおり5),第二次大戦による都市の破壊と大量の人口の流出・流入(後述 の囲41参照)を契機にして,−・気に地域が拡大し,変化の程度も大幅に進んだ のかもしれない。大阪の場合変化の方向は語によってかなりまちまち。大阪の 変化は,京都のものとの関係の有無ほはっきりしない。 阪神間や神戸では,おそらく大阪よりもやや変化の開始が遅れ,第二次大戦 後に変化が始まった?であろう。本稿の資料でも,神戸のあたりでは,他の面 では共通語化や変化が著しいのに(図38),そこそこコ2型が残っている話者 もある。この地域の変化ほ当然,大阪のそれとの関係が考えられる。変化の方 向も,大阪と同じく,語によってかなりまちまち。 戦後,とくに最近,京都市ではいったんコ2からコ1にまとまって変化した 語彙が,もともとコ1であった語彙(3・5額)とともに,テ2などに変化し だした。この変化は,自律的なものか,大阪アの影響か,共通語化か,原因が ほっきりしない(拙稿1988)。奈良県の北西部でも,この京都市の変化とまった く同じ変化が起きつつある。しかし奈良の場合は,最近の人の出入りの状況か ら,原因ははぼ大阪アの影響であると見てよかろう。奈良県の南の山間部では この変化は多少は見られるカ㍉今のところ,まだかなりコ1型が優勢である。1257 伝統的にコ1型の語彙について。上記のように,コ2からコ1へ
の変化が著しい地域では,コ1がさらにテ2その他へ変化しつつあるわけだが,この,コ1からテ2その他の変化は,当然本来のコ1型の語彙(3・5
大学生のアクセント(2) 201 頬)をも巻き込んでいる。 このグルー・プの語彙の変化方向は,本来コ2塑であった語彙と同じである。 即ち,そこそこ使う語にテ2への変化が目立ち,あまり使わない語にコ0塾へ の変化が目立つ。テ0への変化ほほとんどない。
本来コ1型の語彙のテ2への変化を囲12に示す。コ1からコ0への変化ほ
「簾」の1語にのみ顕著で,地図化は略する。 この変化は,必ずしも,「コ2→コ1→テ2など」の変化がひどく起こった地 域ばかりではなく,他の地域でも起こっている。例えば兵庫県(山間部以外) は,コ2がある程度残存し,コ1への変化というよりは,色々な型に分裂する 図−12 ニ3モーラ体言コ1型からテ2型への変化 紀弓▲の説明: r力いとこ仲、柁、わさび」 の5治について ●テ2型0孟缶 ㊥’1措 ◎2泊 ○’3孟古 △’’4三吉 × 5∪缶 特に注記がなければ,チ2彗竺以外 ・▲,・ 例◎:テ2聖2∃旨、コ1聖3言責 (猟阻がれば1型Ⅰ 3孟缶より多いかも) コ1テ2型以外の型が現れる拍は その旨を注記する: 併用の洩紀は略する。 奈上;i爪 和歌山鋸=二+一 国外㊥◆渾コ祝日2(田辺Ilり●◆膵コ2(南部川村)中 井 幸比舌 202 変化を起こしているわけであるが,ここでも本来コ1の語染がテ2などに変化 している(図12参照)。和歌山県でも,少し起こっている。こういった地域で は,一応,本来コ2型であった語彙の変化とは,切り離して考えなければなら ない:−・部は共通語化か,日常語はコ1が嫌われるせいか。 126 地域により伝統的に希少型の語彙。 「あした,昔,ゆうべ」の3語を調査した。 まず「明日(アシタ)」について図13参照。通常のコ0塑の他に,金田一 (1977)などによれば希少型の「「000『。「000「▽」がある。以前,「上 の,下の」のアと同様に,男核現象と関係があるという予想を述べた。本稿の 図−13 明日(アシタ)のアクセント 6533 / 6531し・ 6532 「 一′) 記弓・の説りい rアシタ∇」 コ3型(も〉■ rアシタ∇」 コ2塑 ★ rアシタ∇」 コ0型 ○ J;と凋ミ府 廿雨町 国外 ■(田辺市) ★(内払川村)
大学生のアクセント(2) 203
調査では,「「000『。「000「▽」は出なかったが,通常のコ0型の他に
「「000。「000「▽」は出た。この音調は,末尾の−・覧表では「3nu」と 表記した。この「「000。「000「▽」は,図12に示すように,和歌山県に 見られる。コ2型の残存地域と婁なるわけであるが,兵庫県山間部にはこの音 調は見られない。 「昔,ゆうべ(昨夜)」について囲14参照。通常のテ0塑の他に,「レ00 「○,レ00「O「▽。」が現れる。(末尾の一・覧表ではイテ3nu」と表記)。な お,「昔」は老年層ではコ0の地域がかなりあるが,本稿の誌名ではコ0はほと んどない(一人だけ)。コ0はほぼ滅んだ。「レ00「○,レ00「O「▽。」は 図−14 「昔・ゆうべ(昨夜)」のアクセント fi532 6即 し・「 記愕の説りい 背∇ ゆうペ∇ともにテ3も ■ ゆうペ∇のみ γ3も ★ 曹∇のみ テ3も ▲ 昔∇ ゆうべ∇ともにテ0か■川○ ∫;く名K〝才 ′)∧.
\、・: 、、
園外 ■(田辺l†i) ■(曲訪川村)中 井 幸比古 204 図に示すように,コ2塑の残存地域とうまく重なり,かつ「あした」よりは広 範囲に見られる。 ところで,2モ1−・ラでは,地域により,テ2型とテ0型の所属語粂に混乱が 生じている。しかし,3モ・−ラでは,テ3型の語末の下降調ほ失われつつある にも関わらず,また,「昔,ゆうべ」のように,地域により「テ0とテ3の中間 的音調」を持つ語があるにも関わらず,テ3型とテ0型の所属語彙に混乱が生 じていない。これは3モ・−ラテ3型の語彙が非常に少なく,数語しかないとい うこと,「テ0とテ3の中間的音調」を持つ語も限られた地域忙しかないこと, 共通語の対応が2モ・−ラと違うことが理由であろう。
127 その他の語彙。「狸,蛍,一つ,一人,二つ,二人,小麦,斜め,
蕨」。 「狸,蛍」について。伝統的に,地域によりコ1テ2。「狸」ほ本稿の資料で はだいたいテ2で,コ1は少ない。本資料のコ1は伝統的なアクセントの保存 ではなくて,共通語化(共通語で1)の可能性が高い。「蛍」ほ,本稿の資料で は和歌山に集中的にテ2が見られ,その他の地域ではほとんどコ1である。図 15参照。 「−Jつ,一人,二つ,二人」。図16参照。伝統的にコ2テ2。京都老年層でほ 恐らく昇核現象のせいでさらに.コ1も。京都若年層ははぼテ2。本稿の資料で は,男核現象が起こっていない地域では概してコ2が多く,それ以外の地域で はテ2が多い。コ1は現れなかった。4語のアが同じでない場合,大阪・奈良 では,「一つ,一人」のほうが「二つ,二人」よりもコ2が多いが(筆者の調査 で,京都でも同じ傾向),和歌山では逆に「−・つ,一一人」のほうがテ2が多い (金田一」毛の類別に忠実)。一応地域差と考えられる。荘田(1960−1965*)に は,読み取りにくい表だが,和歌山県で,「一人」テ2「二つ」 コ2という地点 が多く現れる。これは本稿の結果と一・致する。なお,この4語は第1モ・−ラの 無声化のせいで,かなり聞き取りがむずかしく,不安が残るものもある。 「小麦,斜め,蕨」については末尾の一覧表を参照。大学生のアクセソ†(2) 図−15 「蛍」のアクセント L532 「ニ【冊【▼▼ ̄一「】 ̄
▲Wl▼,▼▼ ̄ ̄j蒜
)朗腑
∫ 205 記号の説明: テ2型 ■ コ1型 ○ − ・ _ 844g 】 】 6459 岳655順鵬 ○ 弓 。 奈良妬も 閲外 ■(田辺市) ■(劇矧l附) 13 tタイプについて おおむね共通語と−・致するが,2・4類の語彙(共通語で3)はかなり個人 差がある。 Hl,027,033は共通語にほとんど同じ。 N2は,1多く2すこし,3ははとんどなく,3は調査語彙中「三日,林」 のみ。028と03は,0,1,2のみ。3の例なし。3がない話者がいるの は,中央式で語末核が回避される傾向があることと関係があるか。中 井 幸比古 図−16 「一つ,二つ,一人,二人」のアクセント 206 犯号の説明: 4占5とも コ2型 ■ 一つ→人テ2二つ二人コ2Ⅲ】 一つ、一人コ2二つ二人テ2〔∃ 一つ−・人コ2テ2ニつ二人コ2 ロ ーつ−・人コ2テ2ニつ二人テ2 ロ ーつコ2・一人テ2二つこ人コ2 ▲ 一つコ2一人ヂ2ニつ二人テ2 △ と的コ1  ̄  ̄ヽ r-, 閲外 皿(田辺ポ〉 m(隠酪川村) 24モーラ体言 4モ・−ラ体言については個人差が甚しい項目が多く,また各地の伝統的なア クセンtもはとんどわかっていない。そのために,うまくまとめることがたい へん難しいが,とりあえず気付いたことをいくつか記す。なお,各地の伝統的 なアクセントは筆名が推量したもの。昇核現象が起こる前の,古いタイプのア クセントは,主に京都市北区ヰ川北山町の調査結果からの推量で,不安がある。 一部は善原(1983*)も参照した6)。まずtタイプ以外について。
207 大学生のアクセント(2) 21 モーラ音素。 図17に「兄弟・音楽・三月」のアクセントを示す。いずれも,伝統的にはテ 2型と思われる。そして,第2モーラがモ・−ラ音素であることもあって,共通 語化のためにコ1塑に変化しつつある項目である。兵庫県の海岸沿いと,大阪 のベッドタウンの−・部に変化が著しい。しかし,案外古形をよく保存している と言え.よう。 図−17 「兄弟・音楽・三月」のアクセント 6459 655¢兵J劇lちも ◎ 明日香村 名号良肌も 一 着【I弓抄:111妨t . Yl r音楽兄弟」テ2.「三月」コ2Z 国外 ●(田辺市) ●(敵組l酎)
中 井 幸比古 208 22 昇核現象など。 4ニ巳・1−ラ体言の昇核現象の実態はよく分からない。以前ちょっと触れたこと があるが,3モーラコ2型に比べれば,変化がずっと不徹底であることは確か である。本稿では昇核現象と関係がありそうな項目を選んでいくつか述べるに とどめる。 まず,図18に「先生・瓢琴・弁当」のアクセントを示す。これらは昇核現象 が起こる前の,古いタイプの中央式ではコ3であったかと思われる。(京都市 中川北山町でもコ3)。それが,昇核現象のために,コ2に,さらにコ1へと変 化した。コ2からコ1への変化はモーラ音素のせいと,昇核現象の両方が関係 図−18 「先生・瓢箪・弁当」のアクセント ヽ 高讐j \ 50 枚方呵 ‖ レー\ ヽ■ 65諾醐 ′ j七っ1ヒコ1へ用品へ磯川よ 】大馴△。J △ 奈良市
】△門貝市′′
△;6 ヒコ3コ2へコ l 回: ・− . セコ1ヒコ1へテ31 △△ 指△回皿 神戸11i △ 皿. 仝ノ △△△ 七っ1ヒコ1、テ。りlヒ伽1◎.左 △
● 和泉丑 Ⅲ】 佐I拍i■ 貝塚市 65牡 ′′柑河釘‘■ :嘩2 冨 酎彗ロヂ ■ ■ \田 ■ ■ ■ /一一一一ノ / 焚⊥k仏t 層Il歌11J典 閲外 ■(田辺牒) 亡コ3ヒコ3ハテ3(痢動Il村)大学生のアクセント(2) 209 していると思われる。このタイプの変化は第2および第4⊥モーラが,と・もに促 音以外のモ・−ラ音素である語彙にいくつか見られるようである。 コ3は,和歌山にもっとも多く残り,兵庫県と大阪府の一部にまずまずあ り,京都奈良にはほとんどなく,コ1に変化している。「弁当」と「瓢箪」には テ3が少し現れるが,これは共通語化か,あるいは3モ・−ラコ2塑が色々な塑 にはらばらに変化する傾向と似て,「コ3→コ1,テ3など」の変化が起こりつ つあるのかもしれない。 コ2は思いの他少なかった。京都市などでは,昇核現象が徹底的におこって いるので,老年層でもコ1が非常に多く,コ2はかなり少ない。しかし,大阪 府などでは老年層を調査すれば,少なくとも「瓢箪」と「弁当」についてはコ 2がもっとあると予想される。
なお,これらの語の伝統的なコ3は,共通語アクセントと,(たまた
ま??),核の位置が同じなので,昇核現象を起こしている話者にとっては,一 見,異様または共通語的に聞こえるのであるが(筆者にとっても),実はそうで はない。 「先生」と「弁当」は,地域によって(?)「センセ」「ベント」という音靴 もあるわけであるが,その場合のアクセントは遺憾ながら未詳。とくに「セソ 廿−,ベントー」がコ3の話者が,もしこの音靴を使うならば,その場合にア クセントがどうなるか,興味がある。中 井 幸比古 210 図19に,「編み物」のアクセントを示す。古いタイプの中央式ほコ3,昇核現 象が起こったところでは伝統的にコ2かと思われる。それが,「編む」(テ0) との牽引で,それぞれテ3,テ2の変化しつつある。(京都については既に報告 済み)。 図からわかるように,もはや,コ3やコ2はほとんど残っておらず,全域で 低起式に変化してしまっている。しかし,核については昇核現象が起こる前の テ3(コ3)がよく残っている:和歌山県の他,兵庫県,さらに大阪府などに もかなりある。但し,−・部,特に大阪府などのものは,−・見古形の残存のよう に見えるが,実は,一骨テ2(コ2)に変化してしまった後で,共通語の影響 図外 □(田辺価) ■(南瓜川村)
大学生のアクセント(2) 211
で(共通語で3など)再びテ3に変化したに・過ぎないかもしれない。
図20に,「農」のアクセントを示す。和歌山にのみテ3が現れ,他の地域は全
域テ2である。古いタイプのアクセントはテ3で,昇核現象でテ2になったと
言いたくなるが,中川アクセントや吉原(1983*)がテ2故,或はテ3は和歌山
県の地域的な特徴なのかもしれない。また,「フクロ」という音靴や,その昔託
とアクセントの関係が未詳なのも退憾。 園外 ○(田辺ポ) ■(南部川柑)中 井 幸比古 212 23 「右側」。 図21に「右側」のアクセントを示す。 和歌山と,奈良県南部の一・部でコ2が多く,他の地域でコ3またはコ0が多 い。「コ2→コ3→コ0」であろう。最後のコ0への変化ほ共通語化。 コ2からコ3への変化ほ理由がよく分からないが,「∼側」−・般に,「ガワか らガ「ワに変化しつつあるよう。京都旧市内でも同様(以前報貸した)。昇核現 象とは逆の変化で面白い。全域で,昇核現象とは独立に起こりつつある変化ら しい。 図−21「右側(ミギガワ)」のアクセント 【】】■”Ⅵ ̄ ̄ 「蒜「てニ:こ ̄ ̄ ̄▼▼▼ 「 一一 ̄■ ̄】 ̄ ̄一■W ̄¶【【 L【 紀弓・の説明: コ2型 ■ 【 j了ぐ名指〟こf テ3聖 丹南町1 0 コ3型 C〉 コ0型 × ☆
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】 】 」 6540 今田町 ○ 【“ 1 ‖ M 八∃ n n ‖ 。∃ §・!二′「L
、 レ■\ 645【l ‖ よ′ J ×。鮎川
○。×錮ノ
′ \ 睦川桁 ×○ 大願ポ× × J ○ 奈良打i 戸6469 65$3 (⊃ 神′■ホ 】 塞0 琶6㌔も○。掴ヂ× ○×併用× ミ 01
附i $560 ×○ 】6561 × :大こ lg交 0 〉く 大和 65丁8 85丁2/。
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国外 ∫(田辺市) ■(南部川柑)大学生のアクセン†(2) 213
24 「梅干し」と「蝋燭」。
図22に「梅干し」と「蝋燭」のアクセントを示す−。コ3が伝統的,コ0は共
通語化。中央式ではコ3は概して嫌われ,「3+1」の語構成か,後部要素に動
詞の連用形を持つものがはとんどである,ということも大いに関係すると思わ
れる。なお,「梅干し」は,動詞「干す」との意味のつながりがあまり強く感じ
られないために変化が著しいか。Cf「物置き,餅つき」は.コ3をかなりよく保
存。和歌山はやはり保守的。
図−22 「梅干し」と「蝋燭」のアクセント ,… ̄ ̄肝▼−{− 6532 材「ニm一一一】一▲一】】】㌫㌃ ̄「 配りの説明; 2ほともコ3 r相干し」コ3「蝋燭」コO r楕干し」コOr蝋燭」コ3 2害菩ともコ0 「㈲干し」コOr蝋燭Jテ2 ・いI封:lハ \ ト 、一・・・● ̄、\ 一 \。 \ 高 \ 園外 △(田辺l†i) ●(朝部川村)中 井 幸比古 214 25 「朝顔,驚,蛤,歯磨き」。
図23に「朝顔,鷺,蛤,歯磨き」のアクセントを示す。伝統的にはコ1かと
思われる。但し,語・地域によりコ2のものがあるかもしれない。それがテ2
に変化しつつある。京都旧市内については報告済み。共通語化,語の内部に核
を置こうとする変化。和歌山と奈良県南部が保守的。
頼似の項目に「甘酒」と「猪(いのしし)」がある(但し古いタイプの中央式ではコ2かも)。「甘酒」は既に全域でほとんどテ2に変化してしまっているの
で,また,「猪」は逆にほとんどコ1を保存しているので,地図化しなかった。
図−23 4モーラコ1からテ2への変化−「朝顔,管,蛤,歯磨き」− 紀号の説明; 4ま否ともコ1 歯磨きのみテ2、他の3紹コ1巴 胡放のみテ2他の3三吉コ1■ 削テZ、朝顔歯磨きコ1画 罵歯磨きチ2、餉胱コ1【ロ 4言古ともテ2 その他;コ1ヲ2以外のアを含む コけ2以外にコ2を含む ★ コ1テ2以外にコ3を含む ※ (★※はさらに細分すべきだ が喝する) 6459 6550jてちJオ亡県 園外 ★駕コ2(田辺■†り d摘軌榊) Yl蛤テ3朝防1.他はテ2 一之 蛤テ3・他はテZ215 大学生のアクセソ†(2) 26 「坂道」。
図24に「坂道」のアクセントを示す。コ2が伝統的。テ2は,昇核現象と関
係があるか,あるいはむしろ共通語化か(共通語の句頭の音調と−・致)0和歌山
は保守的。 図−24 「坂道」のアクセント  ̄ ̄肝▲ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ トい 、■「\ 「忘i「⊂てミ ̄▼▼【− 「  ̄ ̄ ̄ ̄】 ̄■【 i2蜃 ○ 井向Ⅷ u u n Jlと苔I∼Il・丁 l ●∧、 l
\ ○ 644g 6540 6541 \ 6542 ■■、一・一◆ 今田呵\.
 ̄、 \ ‘ \ 高 \ …‡‡/「i レ、\l \. ○ 枚方呵 6459 る550典J劇妨l 655】 l 6 ′ 晰 J.鮎川J OJ
● ○ ●闇市 ノ ー、−一九畦型市 ○ ● 大阪ホ0 0 J ○ 衆良証 64$g 6563 ●0 6562●●ご畑7i. 00●○ ○
0 ○01
宅 閲外 ●(田辺市〉 ●(耐部川村)中 井 幸比古 216 27 「剃刀,茄素」。 図25に「剃刀,茜姦」のアクセントを示す。コ3が伝統的か。理由がよく分 からないが,とにかくテ3に変化しつつあるようである。不思議なことに,和 歌山から奈良県南部・大阪府南部にかけて(地図の下のはう)は.「蕗蕩」がテ 3に変化しつつあり∴逆に,京都から兵庫,大阪北部にかけて(地図の上のほ う)は「剃刀」がテ3に変化しつつあるようである。 図−25 「剃刀(カミソリ)∴蒔覇(コンニャク)」のアクセント ※1r削ノJJテココ3 r殉窮」コ3 ※2 r剃刀」甘「瓜調」コ2 囲外 ●(田辺l†り ●(覿瓢川村)
大学生のアクセント(2) 217 28 tタイプ 調査語彙中コ4の例がほとんどない。「あくる日」に何人か現れるだけ。中央 式の語末核回避の影響か,共通語側でも特に4モ−ラ以上で,語末核が嫌われ るせいか。 31モーラ体言 31 音調型についての補足。 全員付属語なしで直接続けると必ず長いが,その他の環境では,話者・発話 によって短くなる。短くなった場合,付属語つき(順接)の場合は音調塑の認 定ができるが,単独言いきりのときは,音調塑の認定はほとんどできない。即 ち,テ0・コ1型の場合も高平調に聞こえることがあるのである。従って,例 えば,「テ,レテ「ガ,のような発話がある場合,コ0とテ0の併用なのか,−− 貫してテ0なのかはもはや分からないのである。(cf以前報賃した京都旧市内 の場合)。本稿では,このような場合,−・賢してテ0として処理した。
nuaタイプ(付属語なしで続けるとコ1の下降が消えて高平調になる)にっ
いて。このタイプのコ1塑の音調は,例えば,「ハ,「ハーデ「タカ(薬,案出 たか?),「ハ「ガトデ「タ(菓が出た)のようになるわけであるが,「ハーデ 「タカはnuaタイプだからそうなったのではなくて,実はコ1とコ0の併用に 過ぎない可儲性もある。しかし,本稿ではすべてnuaタイプのコ1型として処 理した。 話者による長さの相違については省略。本稿の主眼がアクセントにあり,ま た長さの個人差はかなり連続的なので,耳で聞いていくつかの範疇に分けるこ とがやや困難だったためである。いずれ,分節音について報告する機会があれ ば,その時に併せて報告したい。 やはりまずtタイプ以外について述べる。中 井 幸比古 218 32 伝統的にコ0型の語彙 変化はあまり著しくない。図26参照。「柄,戸,蚊,血,巣」。「戸,蚊,血」 は全員コ0塑で安定。「柄,巣」はテ0がいくつか見られるが,「絵,酢」との 牽引か。「柄,巣」のテ0の方が,「絵,酢」のコ0より多いのに注意。図27と 比較。後2語のはうが使用頻度が大だからか。以前報告した京都旧市内でも同 じ。「柄,巣」のコ1は孤癖か。 図−261モーラコ○型一柄,戸,蚊,血,巣一について 岬 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 【 ふ31\∴ 85:〉0 氾号の説明: 5孟蕗ともコ0哩 「声紋血ノコ0で、かつ: 「柄巣Jともテ0 「柄」コOr巣JテO r柄」コOr娘♪0フ0 「柄」テOr巣Jコ0 「柄」子0コOr巣jコ0 「柄Jコ1r巣jコO r柄」コ0コ1r巣Jコ0 その他(欄外に説明〉 \ 一一一一)←1 16542 \ ■¢盟0典J枢県 式守▲;1瞞 滅1「巣」コⅠテ0他の4釦0 ※2 r柄ガ1r巣」コ】印他コ0 ※3「柄plテ0「粂♪1他の3孟5コ0 閑外 ●(田辺市) ●(繭凱‖寸)
大学生のアクセント(2) 219
33 伝統的にテ0型の語覿「絵,手,目,木,酢,根,屁,湯」0
やはりそれはど変化ほない。因27参照。話者によって散発的にコ0への変化
が現れる。基本アクセント型化,「絵,酢」については前乱どの語が変化して
いるかの表示が不十分な図で不備であるが,ご容赦願いたい。なお,コ0への
変化がややひどい話老数名について,句頭助詞つきでテ0,句中(コノつき)
でコ0の傾向があるようだが記録不十分で未詳。話者によってコ1への変化もあるが,ごく少ない。共通語化。
図−271モーラテ0型一絵辛目木酢根屁湯− − ̄ ̄ ̄【【} ̄ ̄ ̄ ̄ 6532 て雪 ̄‖川 ̄ ̄▼■■▼← ̄ ̄− ̄▲ ̄ ̄■▼ ̄’−−一∵ ̄… 6533 ●@◎▲▼∇>※ 純化往代代沌 c ︰テ001111 明もココココココ 説とにににににに他 の措媒蒜完璧準泊消の .1Y8121246そ ・;り;lこI√l 丹南町 ● \●・ ヽ
l ・ ・ ∵ ・ ー・−、 ぷ獅 \ \ \ l ● 奈良膜 朗外 ●(田辺椚 ●く朗帥… (も〉。中 井 幸比古 220 34 伝統的にコ1型の語彙。「名,葉,毛,背(身長)」。 図28。ややコ0への変化が著しい。基本アクセント型と共通語化の両方が関 係するせいか。 「名」のコ0への変化は非常に甚しい。京都旧市内も同じ,Cf「名前」。廃語 的。「菓,毛」がそれにつぐ。「背」ほコ1を全員保存(共通語で1だからか。 2そ・−ラ語もの話者もあるせいか。2モーラコ1なら基本アクセント型政変化 しにくいか)。 図−28 「名菓毛背」のアクセント ( \ ●l 654¢
6541 \
6542 i65q3 r背」コ1「業毛名」コ0 0 その他 ※ 今田呵 、・ t \/ 1レ\・、喜馴\、
\ / 喜■■)● . 645g 6550∫もJヰ一県 ※2 滅1 ー、一喝市 ⑳蓼 ● 大酬○ ㊥* 珂外 ●(田辺打り ○(南部jl附) ※1「毛」コ帆他の迅コ1 男2 r名」コ0テ0.ノ毛」コlテ0 茨3 r繁毛」ともにコ1コ臥.r名川・.咽♪1221 大学生のアクセント(2) 35 その他 図29に「帆」と「穂」のアクセントを示す。この2語は,各地で,老年層に おいてもアが牽引しあい,個人差が甚しいものとして知られている。一応伝統 的なアクセントは「帆」コ0,「穂」テ0。 囲に示すように,伝統的な物はごく少ない。ともに,またはどちらかがコ1 へ変化しているのが全域で相当目立つ,共通語化か。コ0への変化もかなり多 い,基本アクセント型化。 面白いのは2語ともテ0塑へ変化しているもので,地図の南半分の周辺部に のみ現れる。この地域(農山村が多い)では,「穂」(テ0)を頻用し,「帆」 図−29 「帆」と「穂Jのアクセント  ̄■蒜「こ二冊「 ̄【▼▼ j;て裾 、 ■●★¥△∇◇× O nU O O l n︶01 テコテコココテコ 龍穐穏穂櫓穂穂稔 明00000111 脱ココテテココココ 冒軌仇帆帆帆帆帆帆 丹南町 \ __
∴‥_、
今田町 ■ \ 至 \ 奈1;皇拭も 飼外 ★(田辺市) Y(覿訪川村)中 井 幸比古 222 (コ0)の使用ほ希で,後者のアを変化させた,とも考えられるが,確かでは ない。 3“6 tタイプ N2,Hl,03,027,033は,おおむね共通語アに同じ。 028は,垂井式的。1・3類0,但し2類は語により0と1。 4用言 用言については調査語数が少なく,以下に述べることもーL般化しすぎで種々 危険な点がある。 4。1 動詞 まず,tタイプ以外について。特に問題のない項目については,−・覧表を参 照。
4い1…1 終止.形・連体形
全項目言い切りと連体形(「時」または「物」つき)の両方を調査した。 4‖1..1‖1 3モ・−ラ5段動詞2類(「動く」頬),4モ・−ラ1段・4モ・−ラ5 段動詞2頬。 全員すべてコ0であって,古形のコ1などは残存していない。なお,本稿の 調査では,文脈を与えず,ただ単に動詞の終止形と連体形を聞いただけである。 調査表を工夫すれば,いくつかの,特定の語にほ古形のコ1が現れるかもしれ ない。 図30に「起きる,歩く,入る」のアクセントを示す。 3モーラ1段2頬「起きる」。奈良県から和歌山県東北部の,一部の地域にテ 2型が現れる点が注目される。三重県北部に広くテ2が分布することはよく知 られているところであるし,金田一・(1977)によれば,さらに,「奈良県吉野郡 川上村入之波(シオノハ)(本稿のN16西吉野村の東方一中井注)にも,それ から飛んで同郡五条町(現五条市,本稿の調査範囲一中井注)にもある」と される。本稿の調査結果からすると,或は,奈良県から三重県にかけて,飛び大学生のアクセソ下(2) 223 飛びにではなくて,テ2塑が連続して分布している可能性がある。詳しい調査 が望まれる。 3モ・−ラ5段3類「歩く,入る」について。「起きる」がテ2の話者は全員テ 2になっている。この点に関する従来の報告は少ないようだが,服部匡氏の国 語学会での発表によれば,三重県久居市では,「歩く」のみがテ2,その他の語 彙ほテ0である。また,金田一・(1975)によれば,三重県鳥羽市では,「起き る」のみテ2型,「歩く」類は全部テ0型らしい。適時的には,まず「起きる」 の顆が,定説の通り,他の諸活用形のアからの類推で,コ1からテ2に変化し た。その次に,方言によって,「起きる」の終止形のテ2の類推から,3モ、−ラ 図−30 「起きる・入る(ハイル)・歩く」のアクセント − 、、−、− 1、 65ユ2 紀写の鋭明; ● チ0型 テ2型 ・い用いハ \ 1 l 6459 6550兵聯 ● ● 園外 ●(田辺市) ●(朗部川村)
中 井 幸比舌 224
5段3頼もテ0からテ2に変化したのであろう。但し,後者の変化について
は,久居方言のように,「歩く」のみがテ2になった場合と,本稿の方言のよう に,もう少し多く・またはすべての語がテ2に.なった場合があるということで あろうか。 4ト12 「居る(オル)」のアクセント 図31参照。伝統的に,京阪の都市部でほ,普通「イル」(コ0)を使い,「オ ル」は卑語的。そのために「オル」のアは「イル」との牽引でコ0・コ1に揺 れる。それに対して,概して,周辺部でほ(といっても地域差もあるようだ が),「イル」はよそ行きの言葉で「オル」が日常語であったり,「オル」専用で 図−31「居る(オル)」のアクセント 奈上;上妨追 閃外 ■(田辺市) ■(劇紛l困)大学生のアクセント(2) 225 あったりし,「オル」のアもコ1で安定している。 本稿の調査でも,そのような分布が予想されたのであるが,実際はそうでは なくて,全域でコ1が相当優勢である。“田舎者”が都市に・多く流入した窄め に,都市部の言葉が‘‘悪くなっで’「オル」を使うようになったためだ,とも 考えられるr)。しかし,アクセントに関しては,共通語の影響が大きいかもしれ ない。馬瀬・佐藤(1985)によれば,共通語でほり「オル」は1または0で,か つ1が優勢である。また,筆者ほ共通語アクセントに通じていないが,少なく とも,テレビの時代劇などでよく聞く,補助用言としての「(動詞+テ)オル」 という用法では1のみか。 和歌山県にコ0が目立つが,この一∴掛ま,あるいは和歌山県中南部の「ア ル」(テ0か)との関連の可能性もある。 412 過去形 やはり終止形と連体形の両方を調査してある。
4121 2モ・−ラ5段2類。「書いた」「取った」。全員テ0。但し,N4
(橿原市)は例外で,「書いた」は通常のテ0型であるが,「取った」のみ「レ 00「○『。レ000「ト「キ。」のようである。この話者は2モ・−ラ体言につ いてはf■タイプなので,恐らく,実際にはテ3とテ0の併用なのであろう。語 音とアの関係の詳細不明。テ3は予想外に少なかった。4122 3・モーラ5段1・2類,4モ・−ラ1段1・2煩。
図32を参照。 終止形と同様に,頬によってアが異なることばない。 まず,奈良県に,これらの語全部がコ1の地点がかなりある。これはおそら く,奈良県中部の伝統的なアの保存のようである。(N13大和高田市の話者は このタイプに属するが,祖母のア(大正初年生まれ)もこのタイプである)。 次に,もっとも広く分布するタイプほ,(a)3モ・−ラ5段1・2類はコ1,4 モ・−ラ1段1・2類はコ2,(b)3モーラ5段1・2類は語音構造によりコ1コ 2,4⊥モーラ1段1・2類はコ2,の二つで,全域に広く混在している。拙稿 (1988)で報告した京都旧市内若年層の状態と同じである。(b)は最近(a)から変 化した地域も多いであろうが,しかし,地域によっては1・2瑛の合流時以来中 井 幸比舌 226
ずっとこの形のところもあるかもしれない。
(b)は,条件となる語音構造によって,3タイプに分かれる:
◎(イ音便コ2,他はコ1)○(イ・撥音便コ2,他はコ1)
☆(イ・ 撥音便・シはコ2,他はコ1)上から下に行くはつれて,コ2が増える。図中の記号の説明の部分も参照。
◎は非常に少なく,例外的なものか。○は非常に多いが,この条件はやはり
以前報告の京都に同じで,このような語音の条件が関係する理由も拙稿
(1988)で述べた通り:/00「ッタ/は[「00ッ「タ],/00「シタ/も
シが無声化すると[「00シ「タ]のようになることが多い,しかし,それ以外
は[「00「○タ]で安定。
図−:32 動詞の過去形のアクセント 6531し・ 「 6532 ノ 甜∼府 醐 孟己巧・の説明; 教えた埼いた並んた漉した送った 炊けた泳いた軟んた 下がった ● コ1 F1 71 コI Jl ㊥ コ1コ1コlコ1 ▲m ̄ ̄ ̄ ̄ ◎ コ2 コ2:コl コ】 コ1 0 コ2 コ2 コ2 ヨコ】 コ1 ※ コ1 J2 コ2 コ1 り ☆ コ2 コ2 ブ2 コ2コ】 ● ・ \ ̄’ ̄▼▼ ̄ ̄】ホ;γ▼▼十‘ ̄▲ ̄■\忘「】」▲】 − −、− −−‥
蒜㌻−1 ̄ 京都欄 \・ 、 、 聖‰J▲一】−−−づ 岬【▼ ̄− ̄】 兵一可く鼎 6551 「 ̄「頑 6558 1 O O●=− −、
−− 一●_ 一 ●
−■−− 一
L.J﹁.弓 ﹁ 0656Z㊥ ○ 英人取材 6563 ※ ○○㊥♂㊥!.扇仙術 ●て
00 ◎ もノ ●●擢服硝 L ㌔ ㊥◎ん●● ㊥ ㊨/※6573 ㊥ ㊨ ○ ㊥ りq■1l 。 6572 一 大冨慧 晶榊 捌○ 争 /J′て∴∵
五条.市 ● 8こ迫3 讐L・r一劇i灯‘ r_.. ◎0 0 ◎ \ \.J、”.; ■−−一一ノ ○女併用 0 0 0◎†糾” ☆ ′ ̄ ̄ .′ 」 ▼▼. 式守上;上少.t 朗外 ☆(田辺11i) ☆(南部川H)大学生のアクセント(2) 227 ☆は和歌山県にのみ.まとまって見られる。これは,和歌山では母音の無声化 が非常に少ないようであることと関係するかも知れない:無声化すれば/00 「シタ/と/00シ「タ/はたいへん紛らわしくなるが,無声化しなければ両 者の相違は明瞭である。凌〉るいはサ行イ音便も関係するか。 なお,※印は,(a)から○への変化の途上にある,一噂的なものであろう。実 際はもっと併用があるかも。分布の点でも(a)の周囲の,○と接するあたりに二 箇所だけみつかる。 4123 「へン」を含む否定形。図33。(調査語形につき,−・覧表) はとんど全域で同じア。但し,3こた・・−ラ五段動詞についた場合のアが注目さ れる:奈良県の−・部でだけコ1,他の地域でコ2である。 図一33「送らへん,続か入ん,頼まへん,笑わへん」のアクセント 6530 ■ ̄…【【丁;手▲ ̄ ̄て∴■く【【▼】孟;−‘‘  ̄ ̄…t■【▼▼「蒜▲ ̄て ̄ 65 2 ノ 瀾∼腑 l 脚 r ま弼・の説明: ★ く) コ1聖 コ2型 ○ ハ \