「オールジャパン」とは何か
~かけ声だけに終わらせないために~
留学生教育学会第17回大会
~オールジャパンとしての魅力ある留学の創造~
2012年8月31日 (金) 東京外国語大学
明治大学国際教育センター長 横田 雅弘
1「オールジャパン」はなぜ必要なのか
1. 国全体が関わるべき政策である
①留学生政策(Outbound ・Inbound) は経済政策である。 ②留学生の家族や就職後の長期在留など含めると、大学だけの問題ではない。 ③主要なライバル国が国全体の政策として実施している。 ④リーダーシップをとるところが必要である (一大学では不可能)。2. 海外での留学生誘致のために適している
⑤留学生は、まず国を決めてから大学を決めるので、国を決める時点が勝負。 ⑥「日本」というブランド力はまだあるので、「オールジャパン」で攻めるべき。3. 個々の機関が行うよりも合理的なことが尐なくない
⑦経費的にも個別大学が行うよりオールジャパンとして行う方が合理的なものが 多い (特に海外での広報や留学カウンセリングの提供/豪のIDPなど参考)。 ⑧統計的な大規模データを用いた調査などが必要であり、個別の大学では有効 な分析が難しい。また、世界の変化は速く、各大学がウォッチするのも大変。4. 留学希望者にとってわかりやすい
オールジャパンを実現するために、具体的に何を考えればよいのか
オールジャパンを実現するために、
具体的に何を考えればよいのか
「組織・構造の問題」 と 「戦略の問題」
という観点で 考えてみたら考えやすいかも・・・
+
31.組織・構造の問題
(1) 政府の組織のあり方
(2) 産学官民連携の構造
2. 戦略の問題
(1) 大学コンソーシアムの戦略
(2) 産学連携の戦略
(3) 地域のまちづくり戦略
(4) 政府の国際化支援戦略
(5) 学会との連携戦略
1.組織と構造の問題 : (1) 政府の組織のあり方国際人材育成庁の構想 (妄想?)
①行政として外国人の問題と国際人材の育成を総合的に扱う機関 ②オールジャパンの専門的シンクタンク ③情報提供のワンストップセンター が必要 国 際 人 材 育 成 庁 移民政策局 外国人労働者政策局 留学交流政策局 情報提供 国 際 人 材 育 成 機 構 (シンクタンク) ワンストップセンター 統計調査 産業政策 日本語教育 教育・研修評価 生活支援 海外派遣 部門 部門 部門 部門 部門 部門 4 現実には妄想に近いが、必要性は誰もが認めるのではないか。事実上近づく手立ては ?オールジャパンを実現するために、
具体的に何を考えればよいのか
「組織・構造の問題」 と 「戦略の問題」
という観点で 考えてみたら考えやすいかも・・・
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51.組織・構造の問題
(1) 政府の組織のあり方
(2) 産学官民連携の構造
2. 戦略の問題
(1) 大学コンソーシアムの戦略
(2) 産学連携の戦略
(3) 地域のまちづくり戦略
(4) 政府の国際化支援戦略
(5) 学会との連携戦略
1. 組織と構造の問題 : (2) 産学官民連携の構造①地域の外国人支援と交流促進における連携の構造
日本語学校はどのくらい地域づくりの一員として参加する意思があるだろうか? ①日本語学校の専門性を活かし、地域の外国人支援の核となる可能性はある のではないか。 ②例えば、日本語教育学会は、地域での正式な(仕事としての)日本語教育コー ディネーターと多文化共生コーディネーターの必要性を主張し、他の学会(異文 化間教育学会・日本コミュニティ心理学会・日本学校教育学会) が加わって検討を始めている。 ③地域行政はこのような提案にどう応えてくれるだろうか ? 事例 : 大学コンソーシアム京都 ? 大学等・学会 民間企業(地域の特性) 地域行政 日本語学校 市民団体(ボランティア) 地域の多文化共生 コーディネーター育成支援 民間企業としてのメリットは?地域づくり
1. 組織と構造の問題 : (2) 産学官民連携の構造
②
海外での留学生リクルーティングにおける
大学・日本語学校・政府の連携の構造
~空中戦と地上戦~1. インターネットを用いた空中戦の戦略
①ワンストップ・センターのHP + 大学のHP ②民間との連携~JPSSジャパン・スタディ・サポートを例として~http://www.jpss.jp/ja/
全大学の留学生入試情報がここで一括して見られる。日本語学校からアルバイトまで見られる。 ここから直接大学のHPなどに入っていくことができる。2. フェイス・トゥ・フェイスの地上戦も重要
①海外拠点の合理的、効果的な設置の仕方は ? ・継続的な事業がない個別大学の海外オフィスでは、効果的な運営が難しい。 ・対面の留学カウンセリングは非常に重要 (IDPの事例 : 4~5回で意思決定する) ・JASSOの海外拠点もその活かし方に再検討が必要ではないか ? ②留学フェアの効果的な運営は ? ・重要な問題は、海外から直接入学する術の無い大学がほとんどであること。 ・JASSOの留学フェアは、私立大学にとって時期の問題がある。 ③日本語学校の海外リクルート・ネットワークとの連携 (大学が利用 ?) ・日本の大学にはまだしっかりしたネットワークを持つところはほとんどない。 7 1. 組織と構造の問題 : (2) 産学官民連携の構造②
海外での留学生リクルーティングにおける大学・日本語学校・
政府の連携の構造例 ~地上戦と空中戦~
留学生はインターネットで調べるが、それだけでは意思決定しない。 実際に知っている人に会ってから決める。 在日日本語学校生調査2009 (複数回答) 8 35% 29% 28% 45% 7% 9% 4% 8% 19% 19% 3% 2% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 1日本広報センター 2.日本留学フェアー 3.留学代理店 4.ホームページ 5.日本留学経験者から 6.学校に直接問い合わせ 7.留学関連の出版物 8.母国の政府教育機関へ問合せ 9.母国の学校や先生に相談して 10.母国の日本語学校の紹介で 11.在日の親戚・知人から 12.その他9 実数 日本留学の経験者から 83 25% 日本留学フェアー 42 13% 母国の日本語学校の紹介で 36 11% 留学代理店 35 11% 在日の親戚・知人から 31 9% ホームページ 29 9% 日本の広報センター 19 6% 学校に直接問い合わせ 11 3% 母国の学校や先生に相談して 11 3% 母国の政府教育機関へ問い合わせて 5 2% 留学関係の出版物 3 1% その他 7 2% 未回答 21 6% 333 100% 在日日本語学校生調査2009
最も有用だった日本留学情報の入手先
一般的情報
と
生の情報
の2つが必要
1. 組織と構造の問題 : (2) 産学官民連携の構造③産学連携の構造
~産学連携を分類してみる~ どうすれば Win Win でできるのか ? ニーズはどこにあるか ? 1. 入口に焦点化した産学連携モデル ・企業の海外拠点の人材を大学が育成する ・留学生リクルートや海外ネットワークを活かす工夫 事例 : 明治大学モデル 2. カリキュラムに焦点化した産学連携モデル ・企業が求める人材を明確化 → カリキュラムに活かす → 人材の共同育成 ・PBL (Project Based Learning) には産学連携が有効・インターンシップを単位化 事例 : 学内で学外の企業派遣講師による(成果を求める)プロジェクト 3. 研究に焦点化した産学連携モデル → 資金提供・共同開発・大学内起業 4. 出口に焦点化した産学連携モデル ・奨学金 (特定分野の人材育成のための企業コンソ奨学金、就職をある程度の 条件にした奨学金など) ・インターンシップでの連携 事例 : サムソンモデル(韓国)、(株)ディスコ モデル ?
明治大学 ABK (アジア学生文化協会) ベネッセ JTB (JTB法人東京) ■日本語教育 ■コンサルテーション ■WEB情報発信 ■海外ネットワーク活用 ■海外入試サポート WEB出願システム(渡日前入試) ■海外拠点機能(海外支店) ■ホームステイ ■短期留学(アクティビティー・観光) 日本を学ぶなら明治 ! ■教育プログラムの実践 ■Cool Japan ブランドの確立
明治国際教育パートナーズ
(入口に重点を置いたトータルソリューション・モデル)
11 ・海外広報・募集⇒ ・現地拠点(説明会・Web出願・面接)⇒ ・ビザ申請(Web申請)、在留管理⇒ ・宿舎・生活オリエンテーション⇒ ・日本語教育⇒ ・成績/出席モニタリング⇒ ・保険、カウンセリング⇒ ・就職活動支援⇒ ・同窓会活動⇒ 留学生受入れで対応が必要とされる要素留学生受入れ要素とトータルソリューション
留学生の受入れに当たっては、国内における日本人学生の募集、選考、教育、福利厚生、 就職支援などとは異なるアプローチが求められる。 キャンパス内 : 一般対応+留学生 出席・在籍管理のノウハウ キャンパス外 : 在留管理 生活 宿舎 アルバイト 行政手続のノウハウ 海 外 : リクルートに必要な教育・ビジネス環境、経済性、土地勘、言葉のノウハウ ・国内広報、募集 ・入学選考 ・福利厚生 ・学部 ・大学院教育 ・就職活動指導 -就職部・人材会社 ABK 留学生支援事業 日本語教育事業 専門団体連携 従来の要素 トータルソリューション 12広報 合否決定 来日直後 在学中 就職支援 出版・WEB・新聞 常設拠点 大学説明会 出願受付・WEB出願 現地試験・WEB面接 出願書類の真偽確認 財務証明(経済審査) 決済(現地・WEB) WEB申請システム 入国管理(在留資格認定申請) 宿舎(寮・ホームステイ・UR) 生活オリエンテーション 行政手続 ビザ申請 在籍管理システム構築 (学習サポート:オンラインカルテシステム) 短期プログラム (アクティビティー・エクスカーション) 出願 現地の教育環境分析(学校評価) 明治大学 国際連携機構 基本方針の策定 国際連携本部 具体的方針 の策定 国際教育 センター 実施運営 エントリー サポートデスク 入国部分の サポート 日本語教育 センター 日本語教育 の拠点 JTB ABK ベネッセ 仮入学システム(日本語教育) 学部・大学院への留学生受入れ 日本語教育・ビジネス文化教育 (初級日本語・ビジネス日本語) 13
オールジャパンを実現するために、
具体的に何を考えればよいのか
「組織・構造の問題」 と 「戦略の問題」
という観点で 考えてみたら考えやすいかも・・・
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1.組織・構造の問題
(1) 政府の組織のあり方
(2) 産学官民連携の構造
2. 戦略の問題
(1) 大学コンソーシアムの戦略
(2) 産学連携の戦略
(3) 地域のまちづくり戦略
(4) 政府の国際化支援戦略
(5) 学会との連携戦略
2. 戦略の問題
(4) 政府の大学国際化支援戦略
~戦略を分類してみる~ どうすれば より効果的になるだろうか ? 1. 国際化重点大学政策 を有効に活かすために ・国際的な大学モデルとしての意味を十分に発揮させるには ? リーダーとして他大学を牽引させるには ? → ・日本の大学全体の国際化にどう貢献するかについて、もっと具体的で 厳しい条件をつけてはどうか。 ・現在はG30など大規模大学がほとんどであるが、規模別でモデルを 示してもらうことも良いのではないか~重量級、ミドル級、軽量級~。 2. 国際化ステージ別・規模別の支援 ・これから国際化を始める小・中規模大学にはどのような支援が効果的か ? 調査によると、日本人学生は留学生の受入れを基本的に歓迎している。大規模大学は確かに受入れ 数が多く、また一部の小規模大学は留学生の割合が過剰であるところもあるが、留学生数が10人未満 のところが全体の3分の1近くもあるので、ここをもう尐し伸ばすのも一つの政策ではないだろうか。 3. 特定のシステム導入の支援 (国際化を進めるために必要となる特定のシステム を導入しようとする大学を支援する) ・ウェブ出願システムの導入支援 ・異文化間カウンセリング導入支援 ・専門コンサルタントによる分析とアドバイス支援 (JAFSAなどでできないか) 15参考
大学規模から検討する
総学生数
・留学生数・留学生率
(校数、学生シェア)1. 大規模大学:学生数2万人以上(16校、18.6%)
2.準大規模大学:1万人~2万人(42校、22.0%)
3.中規模大学:6000人以上~1万人未満
(70校、19.6%)
4.準中規模大学:3000人以上~6000人未満
(113校、18.5%)
5.小規模大学:3000人未満(447校、21.1%)
(『留学生交流の将来予測に関する調査研究』平成19年より) 16参考
留学生受入れ数から検討する
総学生数・
留学生数
・留学生率
(校数・留学生シェア)A : 留学生1000名以上(13校、留学生シェア19.8%)
B : 留学生500名以上1000名未満 (25校、19.5% )
C : 留学生300名以上500名未満(48校、20.4%)
A+B+C = 86校(12.5%)、留学生シェア59.7%
D : 留学生150名以上300名未満(95校、22.0%)
A+B+C+D = 181校(26.3%)、留学生シェア81.7%
E : 留学生150名未満(507校、18.1%)
留学生数0~1桁の大学が全体の約1/3
(『留学生交流の将来予測に関する調査研究』平成19年より) 17 2. 戦略の問題(5) 学会との連携戦略
~テーマと方法を考えてみる~連携できそうなテーマは ?
連携で可能になる方法は ?
1. 既存の実践的施策に関する効果と課題の研究 (大規模アンケート調査と聞き取り調査) ・超短期留学 (SSSV) の効果と課題 ・コンソーシアムの事例研究~効果的なコンソーシアム形成のために~ ・留学生と日本人学生との交流の促進・阻害要因 2. 分析的観点を組み込んだ現状把握の調査 (大規模アンケート調査と聞き取り調査) ・日本の大学が取り組んでいる国際化の施策 (分類枠組みを設定して全体像を把握する) ・日本人学生/日本人教職員の国際化意識 (事例 : 日本人学生の国際化意識調査) 3. 指標・評価の研究 ・大学国際化の指標、大学規模・国際化ステージ別評価 ・個人の異文化間能力 4. 可能性に関する調査 ・大学と日本語学校・大学と高専の連携の効果的なあり方はどのようなものか ・日本語教育における大学(教員)と日本語学校の連携はどのように可能か ・e-ポートフォリオの効果と課題 (最近人気ではあるが、効果的に活かす事例はこれから) 5. 国際比較研究 ・この分野の世界の動向をウォッチして、各種の施策について具体的に国際比較する。明治大学横田ゼミ調査2010-2011 対象者15大学日本人学生1,997名