平 成 28 年 7 月 11 日
都道府県薬剤師会
担当役員 殿
日 本 薬 剤 師 会
副会長 乾 英夫
ケーススタディ
DVD「湿疹でお困りのお客様」等の送付について
平素より、本会会務に格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、本会では、平成 27 年 10 月 25 日に開催した「薬剤師の臨床判断と一
般用医薬品適正使用研修会(第 4 回)」を収録した DVD を活用して、都道府県
薬剤師会や地域薬剤師会での研修会の開催をお願いしたところです(平成 28 年
2 月 10 日付け日薬業発 322 号)。
これに加え、今回も薬剤師の臨床判断と一般用医薬品適正使用研修に付随し、
薬局等での実際の一般用医薬品等の選択などを研修することを目的として、ケ
ーススタディ DVD「湿疹でお困りのお客様」と指導者用ファシリテートガイドを
作成いたしましたので、下記のとおり送付いたします。
貴会におかれましては、薬剤師の臨床判断と一般用医薬品適正使用研修会と
併せて、指導者用ファシリテートガイドを活用いただき、ケーススタディ DVD を
用いた研修の実施をお願いするとともに、非会員も含めた、多くの薬剤師が同
様の研修を受講できる機会を設けていただきますよう、何卒よろしくお願い申
し上げます。
記
1.ケーススタディ DVD「湿疹でお困りのお客様」
地域薬剤師会数+2枚
※ 上記 DVD は別途、7 月 13 日前後の到着を目途に、発送いたします。また、
今回はファシリテートガイドの製本は行っておりませんので本通知より、適
宜、印刷いただければ幸いです。
2.ケーススタディ DVD「湿疹でお困りのお客様」を用いた研修会のためのファ
シリテートガイド
以 上
ケーススタディ DVD
「湿疹でお困りのお客様」を用いた
研修会のためのファシリテートガイド
2016 年 6 月作成
1.この研修会について
本研修会は、「薬剤師の臨床判断と一般用医薬品適正使用研修会(湿疹)」を受講したことがある人を 対象としています。研修会の到達目標は、以下のとおりです。 ○ 原因となる疾患を推測するために必要な情報を、LQQTSFA を用いて、来局者から収集できる。 ○ 収集した情報に基づいて、原因となる疾患等を推測できる。 ○ 来局者の苦痛を軽減するための製品を幅広く列挙できる。 ○ 推測した疾患を踏まえて、来局者に推奨すべき製品を選択できる。 ○ 来局者が薬剤を適切に取り扱うための対応策を列挙できる。2.研修会をはじめる前の準備
○DVD の投影と SGD(スモール・グループ・ディスカッション)が可能な会場で実施してください。 ○受講者8~16 人に対して 1 名、ファシリテータ(資料の配布等の作業を含む)が必要です。 ファシリテータは、全員、事前にDVD(12 分 29 秒)を最後まで見て、SGD のテーマとファシリ テートの内容を理解しておいてください。 ○ファシリテータのうち1 名は、全体の進行を担当してください。 ○SGD のテーマは 5 つあります(SGD1~SGD5)。予め 3 役(進行、書記、発表者)を決めてから 開始してください。 ○1 グループの人数、メンバー構成は自由に設定してください。 なお、受講希望者から、勤務先の種類、実務経験年数、性別などの情報を収集し、事前にグループ を作成しておくと偏りのない討議ができます。また、1 グループの人数は 4 人~6 人が適切です。 ○準備するもの ・ケーススタディDVD ・進行用パワーポイント(PC) ・(必要であれば)アンケート票(1 枚/受講者) ・配布資料 SGD1 記入用紙(1 枚/グループ) SGD2 記入用紙(1 枚/グループ) SGD3 記入用紙(1 枚/グループ) 配布資料③-1「薬剤師が収集した情報」(1 枚/受講者) 配布資料③-2「湿疹のアルゴリズム」(1 枚/受講者) SGD4 記入用紙(1 枚/受講者 + 1 枚/グループ) 配布資料④ 製品イメージ図(1 枚/受講者) SGD5 記入用紙(1 枚/グループ)〈DVD 再生時の留意点〉
会場や音声再生機器等の状況によっては、薬剤師と来局者の会話が聞きとりにくい
場合があります。また、画面に表示される文字が見えづらい場合があります。状況に
応じて、ファシリテータから、口頭または書面で補足してください。
3.DVD のあらすじ
40 歳代の女性が、日曜日に、手荒れが気になり、薬局に薬を買いに行った。 Chapter1「湿疹の原因は?」 女性が訪ねた薬局では、女性薬剤師が店舗で仕事をしていた。来局した女性は、薬局の店内に入ると 商品棚を見て製品を手に取り、購入を希望した。薬剤師は、この製品が適しているかどうかを判断する ために、この女性の疾患を推測することにした。 SGD①-1: 要指導医薬品や一般用医薬品を求める来局者に対して、最初に確認する基本的な項目 を挙げてください SGD①-2: さらに手に起こる可能性がある、いろいろな皮膚疾患を考えてください SGD② : この来局者の疾患を推測するためには、他にどのようなことを聞いたり、確認しなけれ ばならないのか考えてください Chapter2「疾患の推測 LQQTSFA による情報収集」 薬剤師は女性に質問をして、LQQTSFA の項目の情報を収集し、女性に提案することにした。 SGD③ : この来局者の症候から、疾患を推測してみましょう 収集した情報に基づいて、アルゴリズムに沿って疾患を推測した結果、「手湿疹(接触性皮膚炎)」の 可能性が推測された。 Chapter3「提案」 薬剤師は、OTC 医薬品で対応できそうと判断したうえで、推奨する製品を選定することにした。 SGD④-1: 薬局が通常扱うことができるアイテムの中から『皮膚疾患』に対応できる製品を幅広 く挙げてみましょう(『手湿疹』のみに使用する製品に限らず、さまざまな『皮膚疾患』 に対応できる製品を挙げる) SGD④-2: この来局者に適した製品を選ぶためには何を聞けばよいか考えてください(提案する 製品は複数でも構わない) SGD④-3: あなたならどの製品をこの来局者に勧めますか?また、どのような指導などが必要で すか? 薬剤師は、フルオロシノロンアセトニドとフラジオマイシン硫酸塩を配合した軟膏を推奨し、女性は それを購入して帰宅した。 Chapter4「問題を未然に防ぐために」 帰宅後、女性は指先を気にしながら座っている。薬局で購入した軟膏と自宅にあったハンドクリーム を両手の手掌に塗り始める。数日後、右脇腹にブツブツ(湿疹)ができたとのことで薬局で購入した軟 膏を塗ろうとする。 みなさんは、この映像を見て何かに気付きましたか?の問いかけのあと、 SGD⑤-1: 映像を見て、気がついた問題を挙げてください。また、その問題を防ぐにはどのよう な指導が必要だったのでしょうか? SGD⑤-2: 映像以外の、家庭で起こりうる問題点と薬剤師の対応を考えてください 電話の前で考えている女性。何かを思い出して薬局に電話をかけた。4.SGD の進め方
・SGD の討議時間は下記を参照し、各研修会に合わせて予め設定してください。 (ファシリテータがSGD に取り組んだ経験を踏まえた時間設定が望ましい) ・発表順、発表方法、発表時間は、各研修会で予め決めてください。 ・討議に入る前に、進行役、書記、発表者を決めます(必要に応じて自己紹介の時間を設けてください)。 ・進行役には、全員の意見を聞くように促してください。(1) SGD①
・「SGD①を始めてください」の表示画面(1:36~1:43 頃)で DVD を一時停止してください。 ・ワークシート①を、グループに1 枚配布します。 ・討議時間の目安: 薬剤師の臨床判断ワークショップと同日に行う場合 : 5 分~ 薬剤師の臨床判断ワークショップと別の日に行う場合 : 10 分~ ・討議すべき事項: まず最初に要指導医薬品や一般用医薬品を求める来局者に対して、どのようなことを聞いたり、 確認しなければならないか列挙してください。(なお、LQQTSFA に沿った確認事項は、SGD②で 列挙を行います) さらに、通常、手に起こる可能性があるいろいろな皮膚疾患を全般的に列挙してください。 ・SGD が終わった後、各グループの意見を聞き、全体で共有します。 ・その後、DVD を再生します。(2) SGD②
・「SGD②を始めてください」の表示画面(2:24~2:33 頃)で DVD を一時停止してください。 ・ワークシート②を、グループに1 枚配布します。 ・討議時間の目安: 薬剤師の臨床判断ワークショップと同日に行う場合 : 5 分~ 薬剤師の臨床判断ワークショップと別の日に行う場合 : 10 分~ ・討議すべき事項: この来局者の手荒れの原因となっている疾患を推測するために必要な質問や確認事項をすべ て列挙してください。DVD ですでに薬剤師が質問したことも含めてください。 ・SGD が終わった後、各グループの意見を聞き、全体で共有します。 ・その後、DVD を再生します。記入例: L Location どこに症状が出ているか? Q Quality どのような症状か? Q Quantity どのくらい症状があるか? T Timing いつ?いつから症状が出たか? S Setting どのような状況で?きっかけは? F Factor どんな場合に悪くなる (良くなる) か? A Associated Manifestation 同時にどんな症状があるか? ※記入例以外の項目を挙げていただいても構いません (ただし、疾患の推測に関わらないものは除きます)。
【SGD②】 DVD 再生後に補足するとしたら(必要に応じて) DVD での薬剤師の質問を LQQTSFA に整理しましょう。 L 赤いブツブツが出ているのは、手だけですか?(患部が限定的か、広範か) QQ 痛みとか、かゆみはありますか?(痛みやかゆみの種類や程度) F 普段の生活に支障がありますか? T その手荒れが気になりだしたのはいつ頃からですか? S 何か、この手荒れの原因で思い当たるようなことはないですか?(熱傷、アレルゲ ンによる外部刺激など) 今までにこのような症状が出たことや日常生活の中で何か変化はありませんでした か? A 熱があるとか、手が熱を持っていたり、腫れがあったり、膿がでているなどもあり ませんか?(発熱や膿は帯状疱疹等の感染症の特徴) この他にも、疾患を絞るための質問には、以下のような質問があげられます。 既往歴 今、何かご病気を治療中だったりとか、肌が弱いということはありませんか? アレルギー歴 薬などを服用されて、湿疹などが出たことはありませんか? S 日光に当たったら肌が(露出部)が、すぐ赤くなるといったことはありませんか。 (日光過敏症の特徴) 湿布などを貼っていた部分が赤くなったことはありませんか。(薬剤性の光線過敏症 の特徴) 長時間にわたる熱源への接触などはありませんでしたか。(熱傷(低温やけど)) A 強い痛みなどはありませんか。(蜂窩織炎など)
(3) SGD③
・「SGD③を始めてください」の表示画面(5:13~5:22 頃)で DVD を一時停止してください。 ・停止後、配布資料③-1を全受講者に1 枚、ワークシート③をグループに 1 枚、配布します。 ・討議時間の目安: 薬剤師の臨床判断ワークショップと同日に行う場合 : 5 分 薬剤師の臨床判断ワークショップと別の日に行う場合 : 10 分~ ・討議すべき事項: この来局者の症候から、湿疹の原因となっている疾患を推測します。ワークシートには、メ ンバーの意見を記録してください。疾患名があがったときは、なぜそう推測したのかを聞いて ください。 臨床判断ワークショップで配布された「湿疹のアルゴリズム」を持っている場合は、それを 使用して討議してもよいです(持っていない場合は、議論を進める材料として、討議の途中で 配布資料③ー2を配布してもよいです)。 ・SGD が終わった後、各グループの意見を聞き、全体で共有します。 ・全受講者に配布資料③ー2を配布します。 ・その後、DVD を再生してください(湿疹のアルゴリズムに沿って疾患を推測する映像)。 【SGD③】 補足(必要に応じて) 配布資料③-2 を見てください。 今回の症状から、患部が手に限定され、掻痒感が強く、丘疹・小水疱・亀裂が見られることから、手 湿疹が疑われます。 全身性なし →アトピー性皮膚炎などの全身性アレルギーの可能性は低い 手(患部)の腫脹なし →重度皮膚疾患の可能性が低い 手(患部)の熱感なし →重度皮膚疾患の可能性が低い 手(患部)の化膿なし →感染性皮膚疾患の可能性が低い 上記の結果から緊急性はなく、OTC 医薬品で対応できるということになります。逆に一つでも当て はまれば病院での対応が必要となる場合もあります。 また、露出部位での紅斑や標的病変などはなく、手湿疹が強く疑われます。 皮膚症状を訴える重要性の高い疾患 多形滲出性紅斑: 虹彩様や標的様の外観を呈する浮腫性の紅斑。溶連菌や単純ヘルペスウイルスなど感染症に伴うも のと薬剤によるものに大別される。スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)や中毒性表皮壊死融 解症(TEN)に発展することもあり迅速な受診を促す必要がある。 (参考:今日の治療指針2011(医学書院))スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)、中毒性表皮壊死融解症(TEN): 医薬品服用後の発熱(38℃以上)、眼の充血、めやに(眼分泌物)、まぶたの腫れ、目が開けづら い、口唇や陰部のびらん、咽頭痛、紅斑などがみられる。原因医薬品の服用後 2 週間以内に発症す ることが多いが、数日以内あるいは 1 ヶ月以上のこともある。なお、眼病変は、皮膚または他の部 位の粘膜病変とほぼ同時に、あるいは皮膚病変より半日ないし 1 日程度先行して認められ、両眼性 の急性結膜炎を生じる。 発熱(38℃以上)、粘膜症状(結膜充血、口唇びらん、咽頭痛、陰部びらん、排尿排便時痛)、多 発する紅斑(進行すると水疱・びらんを形成)を伴う皮疹の 3 つが主要徴候である。SJS では全身 の発疹が増えるにつれて、眼の炎症も高度となり、偽膜形成、眼表面(角膜、結膜)の上皮障害を伴 うようになる。 (参考:重篤副作用防止マニュアル) 帯状疱疹: 水疱帯状疱疹ウイルス(ヒトヘルペスウイルス 3 型)が後眼神経節での潜伏状態から再活性化さ れるときに生じる感染症である。刺すような痛み、しびれた痛みなどが病変部で発生し、その後2~ 3 日以内に発疹が現れるが、通常紅斑の上に小水疱群がみられる。病変部は通常、胸部領域または腰 部領域における 1 つ以上の隣接皮膚知覚帯である。病変部は片側性なのが典型的である。病変部位 は通常、知覚過敏性で、疼痛は激しいことがある。病変の形成は通常3~5 日間ほど続く。 (参考:メルクマニュアル18 版 http://merckmanual.jp/mmpej/index.html) 蜂窩織炎: 蜂窩織炎は皮膚及び皮膚組織の急性感染である。症状及び症候は疼痛、急速に拡大する紅斑、浮腫 で発熱及び局所リンパ節腫脹を来すこともある。また、同一部位に再発することが多い。 (参考:メルクマニュアル18 版 http://merckmanual.jp/mmpej/index.html) アトピー性皮膚炎: 免疫が介在する皮膚の炎症で、しばしば遺伝的な要素が大きい。そう痒が主たる症状で、軽度な紅 斑から高度な苔癬化まで様々である。 通常乳幼児期、典型的な場合は3 ヶ月までに出現する。1~2 ヶ月続く急性期では、赤く滲出性の痂 皮化病変が顔面に出現し、頸部、頭皮、四肢、腹部に拡大する。慢性期では、掻破したりこすったり することにより皮膚病変が生じる(典型的な場合は紅斑と丘疹で、掻破が続くために苔癬化する)。 典型例では、肘窩、膝窩、眼瞼、頸部、手足に病変が生じる。 かゆみは、アレルゲン暴露、乾燥した空気、発汗、局所的刺激、ウールの衣服、情動的ストレスで 増悪する。 (参考:メルクマニュアル18 版 http://merckmanual.jp/mmpej/index.html)
(4) SGD④
・「SGD④を始めてください」の表示画面(7:22~7:33 頃)で DVD を一時停止してください。 ・停止後、全受講者にワークシート④を1 枚、グループ用のワークシート④をグループに 1 枚、配布し ます。併せて、DVD 中で登場する医薬品をまとめた配布資料④を参考として配布します。 ・討議時間の目安: 15 分~ ・討議すべき事項: 1.薬局が通常扱うことができるアイテムは、たくさんあります。『皮膚疾患』に対応できる医薬 品はどのようなものがあるか?医薬品以外の製品も含めて幅広く挙げてください。『手湿疹』に 使用する製品を中心に『皮膚疾患』に対応できる製品を挙げてください。 2.この来局者に適した製品を選ぶためには、さらに何を聞けばよいか考えてください。 3.列挙した製品のうち、あなたならこの女性の『手湿疹』(接触性皮膚炎)に、どの製品を勧め ますか?勧める理由も考えてください。選ぶ製品は複数でも構いません。(油性基剤と水性基剤 の使い分け、使用部位による剤形選択なども考慮する) また、この患者に製品を勧める場合にはどういった指導が必要かも考えて下さい。 ・SGD が終わった後、各グループの意見を聞き、全体で共有します。 ・この来局者は『手湿疹』と推測されるので、「抗真菌薬」「抗ウイルス薬」などの使用は不適当である ことを必要に応じて説明します。 ・その後、DVD を再生します。 【SGD④】 補足資料 ≪皮膚疾患に用いられる一般用医薬品等に含まれる成分≫≪医薬部外品等≫ 薬用ハンドクリーム: 肌荒れ、にきびを防ぐなどの効果を持つ有効成分が配合された薬用化粧品は、医薬部外品として取 り扱われ、「肌荒れ、荒れ性、あせも・しもやけ・ひび・あかぎれ・にきびを防ぐ」などといった効能・ 効果の表示が認められております。 配合成分としては尿素、アラントイン、グリチルリチン酸、酸化亜鉛、レチノールパルチミン酸エ ステル、ピリドキシン塩酸塩、リボフラビン、トコフェロール酢酸エステル、dl-カンフル、l-メント ールなどが有効成分として配合されています。 ハンドクリーム: 薬用化粧品とは異なり、通常の化粧品として扱われ、「皮膚にうるおいを与える、皮膚の水分、油 分を補い保つ、皮膚の乾燥を防ぐ」といった表示が認められています。
≪剤形や基剤の違い≫ ○軟膏剤・クリーム剤 油脂性基剤:皮膚刺激性が少なく、病巣保護作用が強い。欠点は使用感が悪く、汗をかきやすい部位には 汗の貯留を起こすので不適である。油脂性基剤の代表としては、白色ワセリンやプラスチベー スが広く用いられている。 水溶性基剤:利点として吸湿性が強く皮膚からの分泌物を吸収しやすいこと、および水で洗い流せることが 挙げられる。水溶性基剤としてマクロゴール(ポリエチレングリコール)が用いられる。 乳剤性基剤(クリーム剤):乳剤性基剤は水が連続相の水中油型(O/W)と、油が連続相の油中水型(W/O) の 2 つのタイプがある。市販のクリーム剤のほとんどは O/W 型で、伸びのよいバニシングクリー ムタイプである。バニシングタイプは使用感がよく、薬を塗ったという実感に乏しく、使用量が過 剰となることがあり、患者への服薬指導が重要になる。尿素軟膏などでは O/W・W/O 型両基剤 が市販されているものもあり、皮膚の乾燥状態などにより使い分けがなされる。他の基剤と比較 して、薬物を浸透される作用は強いが、皮膚保護作用は弱い。 また、乳剤性基剤には乳化剤や防腐剤などが配合されているため、皮膚を刺激し、一次刺激 性接触性皮膚炎やアレルギー性皮膚炎が起こることが報告されている。 ○外用液剤 リニメント剤及びローション剤に分けられ、溶剤としては精製水、エタノール、グリセリン、プロピレングリコール などが用いられる。液状のため、頭部など毛髪があるような部分への使用に適するが、びらんや潰瘍などの湿 潤面への使用は適さない。 (参考:第十三改訂調剤指針 増補版(薬事日報)) ≪ビタミンについて≫ ビタミン A:ビタミン A が不足すると乾性肌に傾きやすくなります。その理由は、汗腺や皮脂の機能が低下して 皮脂膜が減少したり、角化が不完全になり角質の保湿能が低下するためと考えられています。ビタ ミン A が不足すると皮膚の細菌感染症を起こしやすくなり、結果的に皮膚や粘膜の状態を悪化さ せることがあります。 ビタミン B2:ビタミン B2 は体全体、血管、特に皮膚の毛細血管を丈夫にして血液循環をよくします。不足すると 口唇炎や口角炎が起こることがよく知られています。ビタミン B2 不足では毛細血管が拡張し、透過 性が高くなることから、外部からの刺激を受けやすくなっており、日光に対しても過敏になります。 ビタミン B6:ビタミン B6 が不足すると皮膚症状として、湿疹、脂漏性皮膚炎、口角炎、舌炎等の臨床症状が現 れることから、皮膚に必要なビタミンと考えられています。 しかしながら、これら臨床症状が生ずる機構については、いまだ多くが不明とされています。 ナイアシン:ナイアシンが不足すると「ペラグラ」と呼ばれる皮膚炎が起こります。ペラグラの発症メカニズムには 不明な点が多く残されていますが、皮膚が日光に対し過敏に反応し発症すると考えられています。 ビタミン C:ビタミン C は体のタンパク質の約 1/3 を占めるコラーゲンの生成に必要です。 コラーゲンは結合組織の主成分として細胞と細胞をつなぎ合わせ、皮膚を含め組織や臓器を形 作ります。従ってその不足は「壊血病」として皮膚や粘膜からの出血として現れます。 (引用:大塚製薬ビタミン Q&A 集 http://www.otsuka.co.jp/health_illness/vitamin_qa/)
≪その他≫ 一般的な予防法 ○保湿ケアを行う 肌が乾燥するとバリア機能が落ちるため、洗顔やお風呂の後には化粧水と保湿剤で皮膚の水分を保つよう にしましょう。また、加湿器で部屋の湿度を保つことも効果があります。とくに手は新陳代謝が悪く、乾燥しやす いデリケートな部分です。水仕事の後はハンドクリームを手全体にまんべんなく塗っておきましょう。 ○汗をこまめにふき取る かいた汗をそのままにしておくと、皮膚に刺激を与えることになります。汗をかいたらこまめにふいたり、可能 であればシャワーを浴びましょう。汗を拭くときは、濡れたタオルやウェットティッシュを使うと汗に含まれる細菌 もふき取ることができます。 ○足をいつも清潔にする 水虫は、足が蒸れて通気性が悪い状態や、水虫の原因である白癬菌に汚染されている床や履物を介して感 染します。しかし、24 時間以内にしっかりと足を洗えば白癬菌の感染を防ぐことができます。石けんで足の指の 1 本 1 本まで丁寧に洗い、白癬菌を撃退しましょう。 ○食物アレルギーの制限を行う 食物アレルギーであることがはっきりしている場合は原因となる食品を制限しますが、素人判断で食事制限を すると、成長期では必要な栄養素やカロリーが不足するおそれがあります。医師の指示に従うようにしましょう。 また、外食などでは、避けるべきアレルギーの原因物質が入っていないと思われるメニューでも、同じ器具を使 って調理されていると、その成分が器具に残っていることがあります。不安な要素があればお店の人に確認し ましょう。 ○アレルギーの原因を避ける 特定の薬品や金属など、アレルギーの原因となる物質がわかっているときは、その物質を避けるようにしまし ょう。 (引用:タケダ健康サイト http://takeda-kenko.jp/navi/navi.php?key=sissin_zenshin) 一般的な対処法 ○かかずに冷やす かくことによって皮膚のバリア機能が壊れ、細菌やアレルギー原因物質が入りやすくなります。かくとさらにか ゆみが増すばかりか、皮膚が傷つき化膿することもありますので、かかないことが大切です。かゆみが強いとき は、冷やしましょう。冷たいおしぼりか、氷を入れたビニール袋や保冷剤をハンカチなどでくるんで、かゆいとこ ろに当てると楽になります。 ○水虫・白癬症の治療は気長に行う 白癬菌は、皮膚の奥深くに入り込むため完治に時間がかかります。症状が改善したと思って治療を止めてし まうと、すぐに再発することがあります。そしてまた治療し、再発するということを繰り返しているうちに慢性化して しまうこともありますので、症状が消えてもその後 1 ヵ月は根気強く治療を続けましょう。
手袋の着用で水や洗剤の刺激を緩和すると、手湿疹の悪化を防ぐことができます。ただし、ゴムやビニール の手袋を直接はめると、それ自体が刺激になってしまいますから、下に木綿の手袋を着用するなどの工夫をす るようにしましょう。
(5) SGD⑤
・「SGD⑤を始めてください」の表示画面(11:20~11:29 頃)で DVD を一時停止してください。 ・停止後、ワークシート⑤をグループに1 枚、配布します。 ・討議時間の目安: 15 分~ ・討議すべき事項: 1.DVD 映像を見て、どのような問題点があったか列挙してください。その後、その問題を未 然に防ぐために必要と思われる指導(対策)を考えてください。 2.また、映像のほかにも、家庭で起こる可能性がある問題と、薬剤師がどう対処すべきか についても考えてください。 ・SGD が終わった後、各グループの意見を聞き、全体で共有します。 ・その後、DVD を再生します。 【SGD⑤】 補足の解説 1.気づいてほしい問題点は以下の3つです。 ①軟膏の使用量が適切でない。 ②ハンドクリームとの使用順序と再度の使用。 ③帯状疱疹かもしれないケースへの使用。 ①軟膏の使用量が適切でない: 軟膏やクリーム剤については、用法・用量が「患部に適量を塗布する」となっていることが多く、一 般消費者では使用量がわからない主観に依存する場合があります。DVD 映像では使用量が多い場合で すが、逆に副腎皮質ステロイド配合しているということで少量しか使用しない人もいます。 フィンガーチップユニット(FTU) 軟膏剤やクリーム剤においては、一般的にチューブから成人の人差し指の先端から第一関節に出した 場合※、約0.5g となり大人の手のひら 2 枚くらいの塗布面積となります。これを目安として、患部の広 さと比較して使用量を決めます。 また、ローション剤などでは薬液が1 円玉程度の大きさで約 0.5g にあたると言われています。 ※チューブ口径が5mm 程度の場合でチューブ口径によって誤差があります。 (参考:田辺三菱製薬 フルコートf 添付文書) ②ハンドクリームとの使用順序と再度の使用: 外用薬については基剤の種類等によって塗布の順序に留意しなければならない場合もあります。また、 本DVD で用いた症例のように副腎皮質ステロイドを塗布した後にハンドクリーム等を塗り広げること により、患部以外へ副腎皮質ステロイドが塗り広がることになり、患部以外で副作用を起こす要因にも なるとの報告もあります。 (参考:日本皮膚科学会 皮膚科Q&A https://www.dermatol.or.jp/qa/index.html)・単純塗布法 一般的に外用薬を指腹などで患部に薄く伸ばす方法で、広く行われている。刷り込んで塗る方法を単 純塗布法といい、区別することがある。同じ量の外用薬を使用していても、塗擦方法によって効果に違 いがみられることがある。 ・重層療法 ステロイド外用薬を単純塗擦した上から、ワセリンや亜鉛華軟膏などをさらに塗擦する方法と、これ らをガーゼやリント布に塗布したものを貼付する方法がある。 ・密封療法(ODT 法) 軟膏などを患部にやや厚めに単純塗擦した上からポリエチレンフィルム(ラップ)などで多い、端を テープや絆創膏で固定して密封する方法である。薬剤の効果が最大限に得られる一方、汗疹、毛嚢炎お よび細菌感染を誘発することがある。なお、要指導医薬品や一般用医薬品では使用に関する注意として 密封療法を避ける旨、記載がある製品もあるので留意する。 (参考:第十三改訂調剤指針 増補版(薬事日報社)) ③帯状疱疹かもしれないケースへの使用: 帯状疱疹は腹部や腰部等の神経などに沿って、かゆみや痛みを伴う湿疹ができることがあります。成 分のフルオロシノロンアセトニドは副腎皮質ステロイドなので、症状を悪化させる可能性もあります。 帯状疱疹は、ストレスや過労など、体の抵抗力が低下することで発症することがあるので、生活習慣 に変化がないかなどの聞き取りも、原因を推測するために重要です。 2.以下は、その他の家庭で起こりうる問題として考えられることの例示です。 ・かぶれても使用を続ける ・患部が汚れている(不衛生な状態)にも関わらず使用する ・塗布した後に手を洗ったりして、洗い流してしまう ・顔面などへの使用する(副腎皮質ステロイドを配合している場合などは注意が必要です) ・粘膜や傷口へ使用する ・対象年齢以下の子供が使用する ・塗布した部位を密封する(製品によっては注意が必要です) ・直射日光があたるところでの保管 ・蓋やキャップをあけたままでの保管 ・容器を移し替える これらの問題を未然に防ぐための対策、起こってしまった後の対応などについて、グループから出さ れた意見を共有しておくことが大切です。
5.SGD 終了後
DVD の最後に表示されたメッセージを再確認します。「薬局は地域の人々にとって、最も身近な健康情報拠点です」
「『いつでも気軽に相談できる』薬剤師であることを、常に心がけましょう」
研修会終了時、アンケート等があれば記入してもらいます。 以 上グループ名:
SGD① 記入用紙
進 行: 書 記: 発 表 者:はじめに来局者に確認すべき項目を列挙
手に起こる可能性がある皮膚疾患を列挙
要指導医薬品や一般用医薬品を求める来局者に対して、最初に確認する基本的な
項目を挙げてください
さらに手に起こる可能性があるいろいろな皮膚疾患を考えてください
グループ名:×××
SGD① ファシリテータ用(記載例)
進 行:○○ △△※ファシリテータ用 配布厳禁
書 記:□□ ●● 発 表 者:▽▽ ■■はじめに来局者に確認すべき項目を列挙
・どういった目的で購入するか
・使用する人は誰か
・使用する人の年齢や性別
・「服用してはいけない人」、「してはいけないこと」に該当しないか
・医師等による治療を受けているか
等
手に起こる可能性がある皮膚疾患を列挙
・熱傷
・日光過敏性皮膚症
・凍傷
・アトピー性皮膚炎
・蜂窩織炎
・尋常性疣贅
・多形滲出性紅斑
・中毒性表皮壊死症
・白癬
・スティーブンスジョンソン症候群
・掌蹠膿疱症
・じんましん
・手足口病
・悪性黒色腫
等
要指導医薬品や一般用医薬品を求める来局者に対して、最初に確認する基本的な
項目を挙げてください
さらに手に起こる可能性があるいろいろな皮膚疾患を考えてください
グループ名:
SGD② 記入用紙
進 行: 書 記: 発 表 者:来局者に確認すべき項目を列挙
この来局者の疾患を推測するためには、他にどのようなことを聞いたり、確認し
なければならないのか考えてください
グループ名:
SGD③ 記入用紙
進 行: 書 記: 発 表 者:L Location
どこが?
両手の手掌
Q Quality
どのように?
ひび割れや水疱状の湿疹が見られる。
患部は軽度の痛みやかゆみがある。
Q Quantity
どのくらい?
T Timing
いつ?いつから?
1週間ほど前から。
S Setting
どのような状況で?
家事で使用する洗剤を変えた。
家事でお湯を使うようになった。
F Factor
どんな場合に悪くなる
(良くなる)か?
家事をしているときつらい
物を持つ時にひび割れ部が痛い
A
Associated
Manifestation
同時にどんな症状が
あるか?
全身性
→ なし
手の腫脹
→ なし
手(患部)の熱感 → なし
手(患部)の化膿 → なし
その他
湿疹の経験
→ なし
湿疹に関連する疾患
→
なし
手・足
蜂窩織炎
高熱
熱傷
熱源との接触
日光過敏性皮膚症
手背、日光と関連
手湿疹
丘疹、小水疱、亀裂
多形紅斑
標的病変有
凍傷
冬季、耳介にも
手・足白癬
掌蹠膿疱症
膿疱、小水疱、時に関節痛
爪囲炎
尋常性乾癬
鱗屑除去で点状出欠
尋常性疣贅
多くは多発
疥癬
トンネル
悪性黒色腫
色素のしみ出し
伝染性軟属腫
色素性母斑
大きさに変化なし
壊死性筋膜症
血疱、壊死性に急速に進行
疼痛
掻痒感
広範囲・顔面
紅斑
水疱
紅斑
紫紅色紅斑
漿液性丘疹・小水疱
紅斑
角質増殖・鱗屑
あり
小結部
紅斑・鱗屑
黒色斑・丘疹
常色小丘疹
腫脹
なし
部位
グループ名:
SGD④ 記入用紙(SGD用)
進 行: 書 記: 発 表 者: 皮膚疾患に対応できる製品 (薬局で取り扱うことができるアイテム) 手湿疹に対応 可能な製品か この来局者に 推奨できるか この来局者へ推奨する理由この来局者に製品を販売するにあたっては、どのような指導が必要か
この来局者に適する製品を 選ぶためには他に何を聞けばよいかグループ名:
SGD④ 記入用紙(個人用)
進 行: 書 記: 発 表 者: 皮膚疾患に対応できる製品 (薬局で取り扱うことができるアイテム) 手湿疹に対応 可能な製品か この来局者に 推奨できるか この来局者へ推奨する理由この来局者に製品を販売するにあたっては、どのような指導が必要か
この来局者に適する製品を 選ぶためには他に何を聞けばよいかグループ名:○○○○
SGD④ ファシリテーター用記載例
進 行:×× ××※ファシリテータ用 配布厳禁
書 記:○× ○× 発 表 者:△○ △○ 皮膚疾患に対応できる製品 (薬局で取り扱うことができるアイテム) 手湿疹に対応 可能な製品か この来局者に 推奨できるか この来局者へ推奨する理由 ××軟膏(ヘパリン類似物質配合クリーム) ○ ○ 指手のひび割れ部分や乾燥部への 使用に適している ○○軟膏(副腎皮質ステロイド配合軟膏) ○ ○ 感染症ではないので、かゆみ等が強い部分への塗布に適している。 ○×軟膏(抗生物質配合軟膏) □○軟膏(副腎皮質ステロイド、抗生物質配合軟膏) ○ ○ 感染症ではなく、かゆみ等が強い部分への塗布が適する。また、水疱部への細菌感染を予防するためにも抗生物質を配合している 本剤は適している。 △×スプレー(抗真菌薬配合スプレー) 薬用ハンドクリーム(尿素配合クリーム・医薬部外品) ○ ○ ひび割れなどがなく、単に乾燥している部分への使用に適しているこの来局者に製品を販売するにあたっては、どのような指導が必要か
・家事(洗い物、洗剤の影響)による手湿疹と思われる。洗い物を行う場合はゴム手袋を使用したり、洗剤を以前のものに戻すなどの生活指導を行う 等 身内などに白癬患者はいないか。以前に白癬に かかったことはあるか。 患部の乾燥はあるか かゆみ、化膿などはあるか この来局者に適する製品を 選ぶためには他に何を聞けばよいか 患部の乾燥はあるか かゆみはどの程度か 化膿している部分などはあるかグループ名: