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Microsoft Word - 第67号 来年からの贈与税改正と相続時精算課税を選択する際の注意点

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Academic year: 2021

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最近、国税庁から公表された「平成 25 年分の贈与税の確定申告状況等について」によると、贈与税の 申告書を提出した人員が、基礎控除が 110 万円になった平成 13 年度以降最多になったということです。 来年からの相続税の増税に備えて、贈与をする人が増えたということでしょうか。 来年から相続税が増税となることは多くの方がご存じのとおりですが、同時に贈与税の負担が軽くなる ことについては知らない方もいらっしゃるのではないでしょうか。 今月のharatax通信では、来年の贈与から適用される贈与税の改正内容と相続時精算課税を選択す る際の注意点についてご紹介いたします。 1. 贈与税のしくみ (適用要件を満たす場合) 選択しない場合 ~贈与税のしくみ~ 選択する場合 相続時精算課税を 課 税 価 格 (1年間に贈与により取得した財産の価額の合計) 【適用関係】「改正1」及び「改正2」の改正は、平成27年1月1日以後に贈与により取得する財 産に係る贈与税について適用されます。 相続時精算課税 ① 贈与財産の価額から控除する金額 特別控除額 2,500万円 ※ 前年までに特別控除額を使用した場合には、 2,500万円から既に使用した額を控除した残額が 特別控除額となります。 ② 税率 (特別控除額を超えた部分に対して) 一律20%の税率 【贈与者の相続時に精算】 【相続税との関係】 贈与者が亡くなった時の相続税の計算上、相続財産 の価額に相続時精算課税を適用した贈与財産の価額 (贈与時の時価)を加算して相続税額を計算します。 その際、既に支払った贈与税相当額を相続税額から 控除します(控除しきれない金額は還付されます。)。 暦年課税 ① 贈与財産の価額から控除する金額 基礎控除額 毎年110万円 ※ 課税価額が110万円を超える場合は、 申告が必要となります。 ② 税率 (基礎控除後の課税価格に対して) 超過累進税率 【相続税との関係】 贈与者が亡くなった時の相続税の計算上、原則として、 相続財産の価額に贈与財産の価額を加算する必要は ありません。 ただし、相続開始前3年以内に贈与を受けた財産の価 額(贈与時の時価)は加算しなければなりません。 改正1 改正2 川崎市中原区小杉御殿町1-868 電話 044-271-6690 Fax044-271-6686 E-mail:[email protected] URL:http://www.haratax.jp

haratax 通信

来年からの贈与税改正と相続時精算課税を選択する際の注意点

2014 年 6 月 15 日 第 67 号

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2. 贈与税の改正の内容 今回の贈与税の見直しは2つあり、1つは「相続時精算課税制度」における対象範囲の拡大、もう 一つは「暦年課税制度」における税率構造増の緩和です。 いずれの改正も、平成27年1月1日以後に贈与により取得する財産にかかる贈与税について適用 されます。 (1) 相続時精算課税制度における対象範囲の拡大 相続時精算課税制度は、被相続人が行った生前贈与について、最終的に相続時に相続税とし て精算するものであり、これにより、①資産移転の時期をより柔軟に選択できることになること、② 相続税の課税対象とならない層にとっては、実質的に税負担なく生前贈与が行えるといった意義 があり、もともと世代間の資産移転の促進を図る制度として創設されているものです。今般、本制 度についても、若年世代への早期の資産移転のより一層の促進を図る観点から、①受贈者に孫 を追加し、②贈与者の対象年齢を65歳から60歳に引き下げるといった制度の拡大が行われまし た。(「平成25年度 改正税法のすべて」より) ◎贈与税 改正1 相続時精算課税 ● 適用対象者の範囲拡大など相続時精算課税の適用要件が変わります。 贈 与 者 受 贈 者 国税庁資料 「相続税及び贈与税の税制改正のあらまし(平成27年1月1日施行)」より 【改正後】 ・贈与をした年の1月1日において

60歳

以上の者

【改正前】 ・贈与をした年の1月1日において

65歳以上の者

【改正後】 ・贈与を受けた年の1月1日において 20歳以上の者 ・贈与を受けた時において 贈与者の推定相続人及び孫 【改正前】 ・贈与を受けた年の1月1日において 20歳以上の者 ・贈与を受けた時において 贈与者の推定相続人 ※ 受贈者(財産の贈与を受けた人)は、贈与者(財産の贈与をした人)ごとに「相続時精算課税」を選択する ことができます。「相続時精算課税」を選択するためには、贈与税の申告書の提出期限までに贈与税の申告 書と相続時精算課税選択届出書を税務署に提出しなければなりません。 (注) 「相続時精算課税」を選択した場合は、その選択に係る贈与者から贈与により取得する財産について は、その選択をした年分以降、全て相続時精算課税が適用され、「暦年課税」へ変更することはできません。 国税庁資料 「相続税及び贈与税の税制改正のあらまし(平成 27 年 1 月 1 日施行)」よ

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(2) 暦年課税制度の税率構造増の緩和 現在、相続税、贈与税ともに最高税率は50%ですが、50%の税率を適用する金額が相続税は 3億円超であるのに対し、贈与税は1,000万円超と贈与税はかなり急な累進構造となっていま す。若年世代への早期の資産移転のより一層の促進を図る観点から、子や孫などの若年世代を 受贈者とする贈与税の税率構造を緩和することとされました。(「平成25年度 改正税法のすべ て」より)

◎贈与税 改正2 贈与税(暦年課税)の税率構造

● 最高税率の引き上げや孫等が直系尊属から贈与を受けた場合の税率構造が変わります。 【改正前】 【改正後】 一般税率 特別税率 (一般贈与財産)※ (特別贈与財産)※ ~ 200万円以下   10% 10% 10% 200万円超   ~ 300万円以下   15% 15% 300万円超   ~ 400万円以下   20% 20% 400万円超   ~ 600万円以下   30% 30% 20%  600万円超   ~ 1,000万円以下   40% 40% 30% 1,000万円超   ~ 1,500万円以下   45% 40% 1,500万円超   ~ 3,000万円以下   50% 45% 3,000万円超   ~ 4,500万円以下   50% 4,500万円超   ~ 55% 15% 基礎控除後の課税価格 50% 税 率 55% ※ 暦年課税の場合において、直系尊属(父母や祖父母など)からの贈与により財産を取得した受贈者(財産の贈与 を受けた年の1月1日において20歳以上の者に限ります。)については、「特例税率」を適用して税額を計算します。 この特例税率の適用がある財産のことを「特例贈与財産」といいます。また、特例税率の適用がない財産(「一般税 率」を適用する財産)のことを「一般贈与財産」といいます。 国税庁資料 「相続税及び贈与税の税制改正のあらまし(平成27年1月1日施行)」より 3. 改正による影響 いずれの改正も、若い世代への資産移転がより活発に行われるための緩和措置ですが、狙い通り 贈与の件数は増えるのでしょうか。 暦年課税制度の税率構造増の緩和により、子や孫に毎年300万円以上贈与しているような富裕 層は毎年の贈与金額を増額するのではないかと思います。 多くの不動産オーナーにありがちな毎年100万円くらいの現金を贈与している方にとっては、税率 緩和のメリットがありませんので、全体としては、今回の改正による暦年贈与が増える効果は限定的 になるのではないかと考えます。 一方で、相続時精算課税制度の対象範囲の拡大により、相続時精算課税による贈与をする人は 増えると思います。 昨年から始まった「祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度」の 口座開設者の数をみても分かる通り、高齢者にとって孫に多額の贈与ができるということは財産を動 かす大きなきっかけになります。 今回の改正により、孫に対しても大きな贈与税の負担がなく贈与ができるようになるということで安 易に相続時精算課税を選択する人が増えるのではないかと考えます。

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4. 相続時精算課税を選択する場合の注意点 今回の対象範囲の拡大により、安易に相続時精算課税を選択する人が増えるのではないかと述 べましたが、相続時精算課税制度を選択する場合にはいくつかの注意点があります。 (1) 暦年課税に戻ることができない 相続時精算課税は、贈与時に贈与税は課税されませんが、相続時には相続財産と過去の贈与財 産を合計した金額に対して相続税が課されます。つまり、相続税がかかる人にとっては無税で贈与 できるということではなく、税金の支払の先延ばしにすぎません。 暦年課税では被相続人の相続開始の前 3 年を超えた贈与について、相続税の計算上、相続財産 に加算する必要がありませんが、相続時精算課税では被相続人の相続開始の何年前の贈与であ っても相続財産に加算する必要があります。 暦年課税は110万円の基礎控除があるため、長期にわたって、広範囲の親族に贈与を続けること で、相当な金額の財産を相続財産から外すことが可能です。 つまり、最終的に相続税がかからない方にとっては、相続時精算課税制度により税負担なく財産を 生前に移転できますが、将来の相続税の発生が見込まれる方にとっては、相続時精算課税制度を 選択するよりも、暦年課税により節税対策を行った方が税務上のメリットがあります。 相続時精算課税は一度選択すると暦年課税に戻ることができないため、将来の相続税の発生を 見極め、慎重に選択しなければなりません。 (2) 受贈者が先に死亡した場合の課税関係 相続時精算課税における贈与者(特定贈与者)の死亡より前に受贈者が死亡した場合には、その 受贈者の相続人は、その者が有していた相続時精算課税に伴う納税に係る権利または義務を承継 します。 つまり、親子間で相続時精算課税贈与をしていた場合において、子が先に死亡したときは、子の 相続において贈与済の財産に相続税が課され、その後親が死亡した際にも、本来、子が負担すべ きであった相続時精算課税に係る相続税の納税義務を子の相続人(この妻や孫)が承継することに なるため、一つの財産につき二重に課税される可能性があります。(仮に相続時精算課税による贈 与をしていなければ、親の相続時に子の代襲相続人である孫がその財産を相続することで、孫に相 続税が課税されるだけで済みます。) (3) 贈与時の時価で固定される 相続時精算課税で贈与された財産は、相続税の計算上、贈与時の価額で相続財産に加算されま す。 相続時の財産の価額が贈与時の価額よりも高くなっている場合、贈与時の低い価額で相続財産 に加算されるため税務上有利になりますが、逆に価値が低くなっても贈与時の高い価額で加算され るため、税務上は不利になります。 たとえば、同族会社の株式を将来の値上がりを見越して相続時精算課税で贈与した場合におい て、その会社が倒産し、株式が無価値になっても、贈与時の価額で相続財産に加算されることになり ます。

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(4) 相続争いのきっかけとなりうる 相続時精算課税による贈与があった場合、その事実や金額を相続税の申告書に記載し、税額を 精算しなければなりませんので、基本的には、相続税申告の際、他の相続人がその贈与の内容を知 ることになります。 他の相続人がその贈与を承知していればよいですが、相続時に初めて聞いたということになると 相続争いに発展する可能性があります。 相続時精算課税による贈与を隠そうとしても、他の相続人が開示請求をすると、税務署は贈与財 産価額の合計額を開示することになっています。 (5) 小規模宅地等の特例の対象とならない 小規模宅地等の特例の対象は相続または遺贈により取得した財産に限られています。 つまり、相続時精算課税による贈与は、相続または遺贈に該当しませんので、特例の対象になり ません。 実際、被相続人の自宅敷地を相続により取得すれば、特定居住用宅地等の8割減の対象だった ものが、相続時精算課税による贈与をしたことで特例を適用できなくなり、相続税が大きく増えてしま ったという失敗事例を聞くことがあります。 5. さいごに 2,500万円まで贈与しても贈与時の贈与税がかからないということで、相続時精算課税を選択 したいという相談を受けることがよくあります。 話を聞くと、贈与税がかからないというところはご存じなのですが、選択した後の注意点まで正し く理解している人はあまりいないようです。 今回の改正により、孫に対しても相続時精算課税による贈与が可能となります。 この話を聞いて、孫に多額の贈与をしたいと考える人が増えると思いますが、実行する前に少し 考えてください。 孫に対して相続時精算課税の贈与をするということは、実質的に孫が遺産分割の場に加わると いうことです。安易に相続時精算課税を選択し、特定の孫にだけ多額の贈与をすると、相続争いの 原因となり、結果として孫を争いの渦中に放り込む結果となります。 また、自ら住んでいる土地・建物だけはどうしても親から贈与を受け、いまのうちに子が自分の 名義に変えておきたい場合など、デメリットは承知のうえで相続時精算課税による贈与を実行せざ るをえないケースもあります。 大切なことは、目先の贈与税の負担だけでなく、制度のメリット、デメリットをよく検討したうえで、 相続時精算課税の選択を決定するべきということです。

参照

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