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NHK技研 R&D/No.165/2017.9移動中継用1.2GHz/2.3GHz帯
スーパーハイビジョンFPUの実現に
向けた無線伝送技術
光山和彦 伊藤史人 鵜澤史貴 居相直彦
Wireless Transmission Technology for
1.2-GHz/2.3-GHz-band Mobile SHV-FPU
Kazuhiko MITSUYAMA, Fumito ITO, Fumiki UZAWA and Naohiko IAI
要 約
スーパーハイビジョン(4K・8K)の映像素材を移動し ながら無線伝送することができる次世代の1.2GHz/2.3 GHz帯FPU(Field Pick-up Unit)の研究開発を進め ている。従来型のFPUシステムは,単方向通信で伝送 レートは一定であり,中継コースの大部分が良好な伝搬 路であっても,一部の厳しい伝搬路で伝送が途切れない ように,十分な伝送マージンを確保して運用する必要があ る。この伝送マージンの確保が,伝送レート拡大に向け た課題となっていた。そこで,FPUに双方向通信機能を 導入し,伝搬路状況に応じて送信パラメーターを適応的 に制御する高効率な無線伝送システムの研究開発を進 めた。本稿では,送受信ビームを制御するSVD(Singular Value Decomposition)-MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)方式や,誤り訂正の符号化率を適応 的に変更するレートマッチング技術のFPUシステムへの 適用について述べる。さらに,スーパーハイビジョンFPU で想定される伝搬環境において提案システムを用いた場 合の伝送特性を,計算機シミュレーションで評価した結果 について述べる。 ABSTRACT
We are conducting research on the next-generation 1.2-GHz/2.3-GHz-band mobile field pick-up unit (FPU) system that can wirelessly transmit Super Hi-Vision (SHV) video materials. The conventional one-way and constant transmission-rate FPUs have been operated with an excess transmission margin to avoid signal outage in poor channel conditions. However, ensuring the excess transmission margin suppresses the enhancement in transmission rate. This report describes research and development on a highly-efficient wireless transmission system that adaptively controls transmit parameters depending on channel conditions by incorporating a bidirectional function in the system. Singular value decomposition-multiple-input multiple-output (SVD-MIMO) and rate matching techniques that adaptively control transmit/receive beams and error correcting code rate respectively, were applied to the next-generation FPU. Transmission performances under the channel conditions we assumed were evaluated in computer simulations.
マラソンや駅伝などの中継番組では,移動中継車から 映像や音声などの番組素材を伝送するために,FPUと呼 ばれる無線伝送システムが用いられる。これまでNHK は,放送の高画質化や国の施策である周波数移行に合わ せて,画質と回線信頼性を向上させるFPUの開発を行っ てきた。1990年代後半には,ハイビジョン映像素材を マルチパス環境で移動伝送できるOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式の700MHz帯デ ジタルFPU1)2)を開発した。また,700MHz帯からl.2GHz
/ 2.3GHz帯への周波数移行においては,伝送レートと 回線信頼性をさらに向上させる2送信2受信(2×2)の STTC(Space-Time Trellis Codes)3) -MIMO方式を開
発し4)5),2016年度の京都駅伝中継番組で初めて運用し た。 一方,超高精細映像による次世代の放送サービスであ るスーパーハイビジョン(以下,4K・8K)は,2016年 に試験放送が開始され,2018年には実用放送が開始され る予定であり,現在,4K・8K番組制作関連設備の開発・ 整備が急速に進められている。移動中継用FPUシステ ムについても,ロードレース中継を4K・8Kで実現する ために,伝送レートと回線信頼性をさらに向上させるこ とが求められている。 ロードレースなどの移動中継では,走行コースが事前 に決まっているため,移動局から送信された無線信号を 良好に受信できるように基地局とアンテナが配置され る。ただし,単方向通信で伝送レートが一定の従来型 FPUシステムでは,ロードレースの中継コースの大部 分が良好な伝搬路であっても,建物の遮蔽などで一時的 に受信電力が大きく低下するような一部の厳しい伝搬路 での伝送破綻を避けるために,変調多値数や誤り訂正の 符号化率を下げて十分な伝送マージンを確保する必要が あった。この伝送マージンの確保が,伝送レート拡大に 向けた課題となっていた。そこで今回,FPUに時分割 複信(TDD:Time Division Duplex)による双方向通 信機能を導入し,伝搬路状況に応じて送信パラメーター を適応的に制御することで,周波数利用効率を大幅に向 上させる適応送信制御MIMO-OFDMシステムの研究開 発を開始した。 本稿では,送受信ビームの制御により,互いに干渉し ない仮想的な直交伝搬路(固有モード)を形成する4×4 SVD(Singular Value Decomposition)-MIMO-OFDM 方式のFPUへの適用を検討し,想定される伝搬環境に おける伝送特性を従来のFPUと計算機シミュレーショ を適応的に変更するレートマッチング6)7)を適用した場 合の検討結果について報告する。
2.従来方式の概要
2. 1 SISO-OFDM方式 ARIB STD-B33 2)で標準化されたSISO(Single-Input Single-Output)- OFDM方式のブロック図を1図(a) に示す。誤り訂正符号は拘束長7の畳み込み符号が用い られ,OFDM変復調処理後に受信側で軟判定値による ビタビ復号が行われる。 700MHz帯の電波を利用した従来のロードレース中継 において,帯域幅18MHz(9MHz×2チャンネル),変 調多値数32QAM, 符号化率R = 0.5で運用する場合は, TS(Transport Stream)*1 レートは約27.5Mbpsとなる。 また,帯域幅18MHz,変調多値数64QAM,符号化率R = 0.83の場合,TSレートは約55Mbps(ARIB STD-B33 で規定される最大レート)となる。ただし,ロードレー ス中継などの伝送路が時間的に大きく変動する移動環境 では,伝送耐性を高めるために,変調多値数や符号化率 を下げて運用されてきた。 2. 2 2×2 STTC-MIMO-OFDM方式 ARIB STD-B57で 標 準 化 さ れ た2×2 STTC-MIMO-OFDM方式のブロック図を1図(b)に示す。本方式 は,アンテナごとに異なる信号を送信する空間多重型の MIMO方式ではなく,アンテナごとに異なる2つの符号 化器(畳み込み符号化1,2)で符号化した同じ信号を 送信する時空間符号型のMIMO方式である。受信側で は,送信信号のレプリカと受信信号の間のメトリック*2 を計算し,ビタビ復号による最尤系列推定を行う。送信 アンテナ数と受信アンテナ数の増加分を冗長系として利 用することで,ダイバーシティー効果により回線信頼性 を向上させることが可能となる。 変調多値数は,MIMO方式では最大で16QAM が規 定されており,1.2GHz/2.3GHz帯のフルモード(帯域幅 18MHz)で運用する場合,最大TSレートは約44Mbps となる。STTC-MIMO-OFDM方式は,変調多値数やア ンテナ素子数を増やすと最尤系列推定に必要な演算量 が指数関数的に増大して装置化が困難となることから, *1 本稿では,TSパケット長は188byteとする。 *2 受信信号候補点と実際の受信信号点の距離を表す指標。56
NHK技研 R&D/No.165/2017.9 4K・8Kを見据えた大容量化には課題がある。3.提案方式の概要
提案する適応送信制御MIMO-OFDMシステムのブ ロック図を1図(c)に示す。提案システムは,フィー ドバック回線のある双方向通信システムを前提としてお り,本研究では,複信方式に時分割複信(TDD)を採 用している。本システムは,主に① 4×4 SVD-MIMO-OFDM,② 適応変調と電力配分,③ ターボ符号を用い たレートマッチングの3つの要素技術で構成され,本章 で各要素技術を概説する。 3. 1 4×4 SVD-MIMO-OFDM 適応送信制御を行わないMIMO伝送では,2図(a) に示すように互いに干渉する複数の空間多重ストリーム を,受信側の受信ウェイト処理による受信ビーム制御で 分離・検出する。ただし,空間相関の高い伝搬環境で は分離・検出が困難となり,伝送特性が劣化するとい う課題がある。一方,適応送信制御を行うSVD-MIMO はMIMO固有モード伝送と呼ばれ,受信ビームに加え て送信ビームを制御することで,2図(b)に示すよう に4×4 MIMO伝搬路を互いに干渉しない4対向のスト リームに分解する。干渉しない各ストリーム(以下,固 有モードと呼ぶ)の品質(2図(b)の矢印の太さ)は 異なるが,各固有モードの品質に合わせて,割り当てる ビット数(変調方式)と電力を適切に配分することで, 理論的に最大の伝送効率を達成できることが知られてい る8)。以下,SVD-MIMOの基本原理を説明する。 あるサブキャリヤーにおいて,第n番目の送信アンテ ナから第m番目の受信アンテナに到達する電波の伝達関 数をhm,nとした場合,MIMO伝搬路のチャネル行列H は, hm,nをm行n列目の要素とするm×n行列で定義される。 チャネル行列Hは,特異値分解(SVD:Singular Value Decomposition)により,ユニタリー行列VおよびUと対 角行列Σの積で次式のように表すことができる。 H=UΣVH (1) ここで,VHは行列Vの複素共役転置を表す。また,ユ ニタリー行列は,複素共役転置した行列との積が単位 行列となる性質があり,VHV=IおよびUHU=I である。 1図(c)の送信側では,次節で述べる適応変調および 電力配分を行った後の送信信号ベクトルxに,(1)式の サブ キャリヤー 変調 OFDM 変調 OFDM復調 サブ キャリヤー 復調 畳み込み 符号化 ビタビ復号 送信 ビット ビット受信 送信側 (移動局 ) (基地局 )受信側 OFDM 変調1 メトリック計算1 最尤系列 推定 (ビタビ 復号) 送信 ビット ビット受信 送信側 (移動局 ) 受信側 (基地局 ) 畳み込み 符号化1 畳み込み 符号化2 サブ キャリヤー 変調1 サブ キャリヤー 変調2 OFDM 変調2 OFDM 復調1 OFDM 復調2 メトリック計算2 送信ウェイト処理後の 送信信号 電力配分後の 送信信号 チャネル行列 サブ キャリヤー 適応変調 ターボ 符号化 送信 ウェイト OFDM 変調1 受信 ウェイト キャリヤーサブ 適応復調 ターボ 復号 チャネルのSVD V Σ U H= OFDM 復調後の信号 受信ウェイト処理後の 受信信号 Σ 制御情報フィードバック 受信 ビット 送信 ビット 送信側 (移動局 ) 受信側 (基地局 ) 電力 配分 適応変調後の 送信信号 適応変調 電力配分 送信 ウェイト ウェイト受信 適応復調 OFDM 変調2 OFDM 変調3 OFDM 変調4 OFDM 復調1 OFDM 復調2 OFDM 復調3 OFDM 復調4 チャネル推定 (a) 従来方式1:SISO-OFDM方式(ARIB STD-B33) (b) 従来方式2:2×2 STTC-MIMO-OFDM方式(ARIB STD-B57) (c) 提案方式:4×4 SVD-MIMO-OFDM方式 1図 移動中継用FPUのブロック図行列Vを送信ウェイトとして乗算した信号Vxを送信アン テナから送信する。ここで,ベクトルxは,例えば固有 モード数が4の場合,各固有モードで送信される送信信 号[x1, x2, x3, x4] を要素に持つ。送信アンテナから出力 された信号Vxは,MIMO伝搬路Hを経て,受信アンテナ で信号HVxとして受信される。1図(c)の受信側では, 受信アンテナで受信された信号HVxに対して,行列UH を受信ウェイトとして受信信号に乗算すると,受信信号 ベクトルyは次式で得られる。
y=UHHVx=UH(UΣVH)Vx=Σx (2) なお,送信ウェイトの乗算は送信ビームを,受信ウェ イトの乗算は受信ビームを形成することに相当する。4 送信4受信のMIMOでは,行列Σはチャネル行列Hの特 異値 λk(k=1〜4)を要素にもつ対角行列であることか ら,(2)式は次式で表すことができる。 (3) ただし, λ1 λ2 λ3 λ4 であり,ykは第k固有モー ドにより,k番目に強く受信される信号となる。ここで, λkは相関行列R=HHHの第k番目の固有値である。(3)式 は,2図(b)に示すように, (2)式の送受信ウェイト処理, つまり送受信ビーム制御を行うことで,4×4 MIMOチャ ネルを,固有値λkに比例するチャネル利得を持ち,互い に干渉しない4対向のストリーム(4対向のSISO伝送 路)に分解できることを示している。 移動伝搬路では,見通し外から見通し内など伝搬環境 は時々刻々変化する。見通し外環境でマルチパスが多く, 空間相関*3 の低い伝搬路では,例えば (λ1 , λ2, λ3, λ4)=(9.7dB, 6.0dB, 1.2dB, −3.5dB)のよ うに固有モード間のチャネル利得の差が小さくなり,2 図(b)に示すような第4固有モードまで伝送ビットを 割り当てた空間4多重伝送が可能となる。一方,見通し 内環境でマルチパスが少なく,空間相関の高い伝搬路で は,例えば (λ1 , λ2, λ3, λ4)=(10.5dB, −6.8dB, −11.8dB, −21.6dB) のように第1固有モードに対して第2〜第4固有モード のチャネル利得が非常に小さくなる。この場合は,第1 1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 4 λ1 λ2 λ3 λ4 λ1 λ2 λ3 λ4 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 第1固有モード 第2 〃 第3 〃 第4 〃 Tx 送信 ウェイト Tx 受信 ウェイト Rx 互いに干渉するストリーム 受信 ウェイト Rx (a) 適応送信制御を行わないMIMO伝送 (b) 適応送信制御を行うMIMO伝送 互いに干渉しない4対向のストリームに分解 2図 MIMOチャネルのイメージ *3 空間的に離れたアンテナで送信または受信された信号の伝搬路応答の類 似度。直接波が支配的な見通し内環境で高く,散乱波が多数到来する見 通し外環境で低くなる。
報告
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固有モードに多くの伝送ビットを割り当て,第2〜第4 固有モードは使わない伝送が効率的である。 SVD-MIMOでは,理論的にはチャネル行列を特異値 分解して得られる行列UHを受信ウェイトとして用いる。 しかし,チャネル推定誤差や制御情報のフィードバック 遅延がある実際のシステムでは,固有モードの独立性が 不完全となってストリーム間干渉による伝送特性の劣化 が生じる。そのため,提案システムでは,行列UHの代 わりに次式で得られるMMSE(Minimum Mean Square Error)基準*4 の受信ウェイトを用いるものとする。 (4) ここで,H′=HVWであり,Wは次節で述べる電力配 分行列,γは平均受信SNR(Signal-to-Noise Ratio)で ある。(4)式の受信ウェイトは,2図(a)の適応送信 制御を行わないMIMO伝送で互いに干渉した信号を分 離するために用いられるが,干渉成分の残留が想定さ れるSVD-MIMOの実システムでも性能改善に有効であ る9)10)。 3. 2 適応変調と電力配分 3. 1節で述べたように,SVD-MIMOは送受信ビーム 制御によって,MIMOチャネルを固有モードと呼ばれ る互いに干渉しない直交したストリームに分離する方式 である。このSVD-MIMOを用いて高効率な伝送を実現 するためには,品質の良い固有モードにはビット数を多 く割り当て,品質の悪い固有モードにはビット数の割り 当てを少なくするか,または割り当てないようにする適 応変調制御と組み合わせる必要がある。また,総送信電 力一定の条件下で,各固有モードへの電力配分を変えて チャネル利得を最適化する必要もある。これらのリソー ス割り当ては,注水定理*5 に基づく手法が情報理論的 には最適であることが示されている11)が,処理遅延や 実装規模などが考慮された実用向きの手法とは言えな い。注水定理を用いない手法も提案されている12)13)が, ビット誤り率の近似式を最小化する組み合わせや,総ス ループットを最大化する組み合わせの全探索が必要とな るなど,処理遅延や実装規模の面で課題があった。 本研究開発では,実用的な手法として,固有値を基に 算出した受信MER(Modulation Error Ratio)を指標とU H′ H′H′+4 I −1 γ = H H H MMSE *4 参照信号(真の受信信号)とアンテナ合成後の受信信号の平均二乗誤差 を最小にする重み係数((4)式の受信ウェイトに相当)を決定する方法。 *5 合計の送信電力が一定のとき,品質の良い固有モードにより多くの電力 を配分することで,合計の伝送レートを最大化する電力割り当て手法。 NHK技研 R&D/No.165/2017.9
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ストリーム 受信MER分布の例 1 22.1 2 18.0 3 13.2 4 4.9 スト リーム スト リーム スト リーム 変調方式 (合計1)電力配分 電力配分 (合計1) 電力配分 (合計1) 電力配分後 受信MER 電力配分後 受信MER 電力配分後 受信MER 基準 MER 1 256QAM 0.97 28.0 30.3 − 2.3 2 QPSK 0.03 9.4 11.7 − 2.3 3 不使用 不使用 不使用 不使用 不使用 4 不使用 不使用 不使用 不使用 不使用 変調方式 基準 MER 1 32QAM 0.39 24.0 21.2 2.8 2 8QAM 0.27 18.3 15.5 2.8 3 QPSK 0.34 14.5 11.7 2.8 4 不使用 不使用 不使用 不使用 不使用 変調方式 基準 MER マージンMER MER マージン MER マージン 1 16QAM 0.10 18.0 18.3 − 0.3 2 8QAM 0.13 15.2 15.5 − 0.3 3 QPSK 0.17 11.4 11.7 − 0.3 4 BPSK 0.60 8.7 9.0 − 0.3 ① ② ③ 【変調方式の組み合わせを①∼③から選択する場合の例】 ①256QAM (8bit), QPSK (2bit)②32QAM (5bit), 8QAM (3bit), QPSK (2bit)
③16QAM (4bit), 8QAM (3bit), QPSK (2bit), BPSK (1bit)
して,最適な変調方式と電力配分を決定する方法9)を提 案する。提案手法では,各固有モードに割り当てる変調 方式の組み合わせに対して,各固有モードの受信MER と変調方式ごとに設定した基準MER*6 との差(以下, MER マージン)が,各変調方式で等しくなる電力配分 を算出する。その結果得られたMERマージンが最も大 きい変調方式の組み合わせと電力配分を,ビット誤り率 を最小化する最適な組み合わせとして選択する。 以下,3図に示す具体例を用いて説明する。最大4ス トリームの空間多重伝送が可能である4×4 MIMOでは, 各サブキャリヤーの割り当て合計ビット数を10bitとし た場合,1表に示すように変調方式の組み合わせ(ビッ ト配分)は23組存在する。ここで,伝送品質は第1固有 モードが最も良好で,第2,第3,第4と順番に劣化す るため,例えば第1固有モードに割り当てられるビット 数は,第2固有モードの割り当てビット数以上であり, 第2固有モードに割り当てられるビット数は,第3固有 モードの割り当てビット数以上となる。ここでは説明を 簡単にするために,第1固有モードから第4固有モード のビット配分の組み合わせが,
①256QAM(8 bit),QPSK(2 bit),不使用(0 bit), 不使用(0 bit)
②32QAM(5 bit),8QAM(3 bit),QPSK(2 bit), 不使用(0 bit)
③16QAM(4 bit),8QAM(3 bit),QPSK(2 bit), BPSK(1 bit) の3組のいずれかであると仮定する。固有値から算出 した受信MERが第1固有モードから順番に,22.1dB, 18.0dB,13.2dB,4.9dBで あ る と し, 各 ス ト リ ー ム の MERマージンが等しくなるように①から③の各組み 合わせで電力配分を決定すると,3図に示すように, MERマージンは①−2.3dB,②2.8dB,③−0.3dBとなる。 提案方式では,電力配分後のMERマージンが最大とな る組み合わせである②(32QAM,8QAM,QPSK,不使用) とそのときの電力配分比(0.39,0.27,0.34,0)が,ビッ ト誤り率を最小化する組み合わせとして選択される。 上記の例では3つのストリームを使用する②の組み合 わせが選択されるが,チャネル状況に応じてストリーム 数を増減させる手法はランクアダプテーションと呼ばれ る。この手法により,MIMOチャネルの空間相関に応じ た適切な伝送が可能となり,伝送特性の改善が期待でき る。 3. 3 ターボ符号を用いたレートマッチング 誤り訂正符号に関しては,繰り返し復号を行うこと でシャノン限界*7 に近い誤り率特性を達成できるLDPC (Low-Density Parity-Check)符号やターボ符号などが 実用化されている。現在標準化が進められているマイク ロ波帯の4K・8K FPUでも,LDPC符号が採用される見 込みである14)。これらの符号は,従来の畳み込み符号に 比べて誤り率特性を大きく改善できる。このうちターボ 符号は,畳み込み符号と同様に符号ビットを間引くパン クチャーと呼ばれる手法によって,符号化率を比較的容 易に変えることができる。 筆者らは,チャネル状況に応じて符号化率を適応的に 変化させるレートマッチング技術の導入を検討し,提 案システムの誤り訂正符号としてターボ符号を採用し た。ターボ符号化器,およびインターリーバーはLTE (Long Term Evolution)規格6)をベースとし,パンク
チャー前の符号化率はR = 0.33とした。情報ビット長は, 外符号であるRS(Reed-Solomon)(204, 188)符号の符 号長1,632 bitとした。また,高い符号化率でもエラーフ ロアが発生しないように,パリティービットのみパン クチャーすることとし,パンクチャー後の符号化率Rを 0.33 〜 0.92の範囲で変更できるものとした。符号化率は, SVD-MIMO復調後のMERを指標として,ターボ復号後 *6 ガウス雑音環境下で,硬判定後のビット誤り率が1×10-4となるMER。 *7 雑音のある通信路で,誤りなく通信できる伝送レートの理論上の上限値。 または,伝送レートが一定の場合に,あるSNRで達成できるビット誤り 率の理論上の下限値。 1表 合計ビット数を10bitとした場合のビット配分の組み合わせ ストリーム1 (ランク1伝送)(10, 0, 0, 0)※ ストリーム2 (ランク2伝送)(9, 1, 0, 0), (8, 2, 0, 0), (7, 3, 0, 0), (6, 4, 0, 0), (5, 5, 0, 0) ストリーム3 (ランク3伝送) (8, 1, 1, 0), (7, 2, 1, 0), (6, 3, 1, 0), (6, 2, 2, 0), (5, 4, 1, 0) (5, 3, 2, 0), (4, 4, 2, 0), (4, 3, 3, 0) ストリーム4 (ランク4伝送) (7, 1, 1, 1), (6, 2, 1, 1), (5, 3, 1, 1), (5, 2, 2, 1), (4, 4, 1, 1) (4, 3, 2, 1), (4, 2, 2, 2), (3, 3, 3, 1), (3, 3, 2, 2) ※ カッコ内の左から順に,第1固有モードから第4固有モードに割り当てられるビット数を表す。
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NHK技研 R&D/No.165/2017.9 にエラーフリーになると期待される符号化率の中から, 最も高い符号化率を選択する。4図にターボ符号を用い たレートマッチングの処理手順を示す。4.計算機シミュレーション
4. 1 SVD-MIMO (1)制御情報のフィードバック遅延の影響 3.1節で述べたように,制御情報を算出した時点か ら実際に制御されるまでの期間にチャネル状況が変動す る場合,最適な制御情報からずれが生じるため,伝送特 性の劣化が予想される。そこでまず始めに,制御情報の フィードバック遅延がSVD-MIMOの伝送特性に与える 影響を評価した15)。提案方式のTDDフレーム構成を5 図に示す。TDDフレームは,同期検出用のプリアンブル, チャネル推定用のパイロットシンボル,データシンボル を含む上りと下りの2つのサブフレームで構成される。 上りサブフレームにはパイロットシンボルの間に7つの 送信側(移動局) 受信側(基地局) ① 信号を送信 ② 受信MERを指標に符号化率を決定 ③ 符号化率をフィードバック ④ パリティービットをパンクチャー ⑤ パンクチャー後の信号を送信 ⑥ パンクチャービット部分を“0”と“1”の 中間値としてターボ復号 情報ビット パリティー1 パリティー2 × × × × × × ×××××× 情報ビット パリティーをパンクチャーして送信 情報ビット パリティー2 受信ビットを並べ替え復号処理 ターボ復号器 ( =1/3) ターボ符号器 ( =1/3) 情報ビット 送信信号 フィードバック パリティー1 4図 ターボ符号を用いたレートマッチングの処理手順 キ ャ リ ヤ ー(周波数) 方向 プリアンブル パイロットシンボル データシンボル サブフレーム(上り)1.5 ms サブフレーム(下り)0.5 ms サブフレーム(上り)1.5 ms 1 10 860 850 シンボル(時間)方向 送信アンテナ1用パイロットキャリヤー 送信アンテナ2用パイロットキャリヤー 送信アンテナ3用パイロットキャリヤー 送信アンテナ4用パイロットキャリヤー データキャリヤー ヌルキャリヤー 5図 TDDフレーム構成データシンボルが挿入され,下りサブフレームには6つ のデータシンボルが挿入される。また,パイロットシン ボルには,4つの送信アンテナそれぞれに対応する215 本のパイロットキャリヤーが4本おきに等間隔で配置さ れ,データシンボルには,844本のデータキャリヤーと 両端各8本のヌルキャリヤーが配置される。5図に示す フレーム構成を持つ提案システムが,制御情報をフィー ドバックする手順を6図に示す。基地局側では,フィー ドバックする制御情報として,3.1節で述べた送信ウェ イトの算出や,3.2節で説明したビット・電力配分の 算出が行われる。これらの演算は複雑で演算規模も小さ くないが,実装方法を工夫して処理時間を短くできれ ば,上りサブフレーム受信完了直後の下りサブフレーム でフィードバックできる(6図(a))。一方,上記演算 の処理時間が大きく,直後の下りサブフレームで伝送で きない場合は,1TDDフレーム後の次の下りサブフレー 移動局 基地局 ① 移動局から 信号送信 ④ 制御情報を復調 ⑤ 制御情報に基づいて変調と送信ビーム生成 時間 時間 ・・・ ・・・ 移動局 基地局 ① 移動局から 信号送信 ④ 制御情報を復調 ⑤ 制御情報に基づいて変調と送信ビーム生成 時間 時間 ・・・ ・・・ (a) 1TDDフレーム分(2ms)のフィードバック遅延が発生する場合 (b) 2TDDフレーム分(4ms)のフィードバック遅延が発生する場合 ② 伝搬路情報から次回の 制御情報を決定 ③ 制御情報をフィードバック ② 伝搬路情報から次回の 制御情報を決定 ③ 制御情報をフィードバック 下り 上り 送信 受信 送信 受信 送信 受信 送信 受信 送信 受信 下り 上り 送信 受信 送信 受信 送信 受信 受信 送信 送信 受信 6図 TDDによる制御情報のフィードバック手順 2表 計算機シミュレーションの諸元 (フィードバック遅延の影響評価) 伝送方式 4×4 SVD-MIMO-OFDM サブキャリヤー変調 10bit適応変調(BPSK 〜 1024QAM) 誤り訂正方式 ターボ符号(情報ビット長:1,632,復号繰り返し数:8回),符号化率R = 0.54 2次変調方式 OFDM FFTサイズ 1,024 サブキャリヤー数 844(データシンボル)/ 215※(パイロットシンボル) OFDMシンボル長 56.33 μs(ガードインターバル比1/8) インターリーブ 時間インターリーブ(1TDDフレーム(2ms)), 周波数インターリーブ フィードバック遅延 フィードバック遅延なし(0 ms),1TDDフレーム(2 ms),2TDDフレーム(4 ms) ※ 1送信アンテナ当たり
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NHK技研 R&D/No.165/2017.9 ムでフィードバックすることになる(6図(b))。6図(a) と6図(b)のフィードバック遅延は,それぞれ1TDDフ レーム分と2TDDフレーム分で,2msと4msに相当す る。 計算機シミュレーションによる評価では,上記の フィードバック遅延が生じるものと仮定した。計算機シ ミュレーションの諸元を2表に示す。シミュレーション では,ロードレースを想定した野外実験16)17)のデータ 解析結果を基に作成した,3表に示す11パスのチャネル モデルを使用した。最大ドップラー周波数は,2.3GHz 帯において中継車が時速20kmで移動すると仮定して 43Hzとした。なお,制御情報をフィードバックする下 り回線のビット誤りは発生しないものとした。 計算機シミュレーションの結果を7図に示す。グラフ の横軸は,送信ビーム制御の効果を反映した評価とする ために,送信ウェイトと電力配分行列を単位行列とした 場合,つまり送信ビーム制御はせず,各アンテナから 等しい電力で信号が送信された場合の受信SNR(正規 3表 チャネルモデルの諸元 項目 諸元 パス数 11 ライスファクター※1 6 dB 遅延スプレッド※2 0.198 μs 送信相関 0.7 受信相関 0.3 最大ドップラー 周波数 (2.3GHz帯で20km/h)43 Hz ※1 直接波と散乱波の合成により表現されるライス フェージングモデルのパラメーターで,直接波の 電力を散乱波の電力の和で割った値。 ※2 受信点に到来する複数の電波の到達時間差の 大きさを表す指標。 相対遅延(μs) 相対電力比(dB) 0.0 0 0.15 -9.5 0.28 -13.8 0.35 -5.7 0.48 -15.9 0.57 -16.8 0.65 −19.6 0.73 −19.7 0.87 −19.8 0.95 −20.2 1.01 −24.6 0 5 10 15 20 25 ビ ット 誤 り 率 正規化SNR(dB) フィードバック遅延無し 2TDDフレーム遅延 1TDDフレーム遅延 4×4 SVD−MIMO−OFDM (10bit適応変調, =0.54) 10−1 10−2 10−3 10−4 10−5 10 0 11パス・ライスフェージング 送信相関0.7,受信相関0.3 移動速度20 km/h 7図 フィードバック遅延による影響の評価化SNR)を表すものとした。また,7図の「送信相関」 と「受信相関」は,空間相関の程度を数値で表したもの であり,前者は異なる送信アンテナから送信された信号 の伝搬路応答の相関係数(0〜1の値)を,後者は異な る受信アンテナで受信した信号の伝搬路応答の相関係数 (0〜1の値)を表す。フィードバック遅延無しの理想 条件と比べて,2TDDフレーム分の遅延がある場合は, BER=10−4を達成する所要正規化SNRが約2.5dB劣化し た。しかし,遅延を最短の1TDDフレーム分とすること により,所要正規化SNRの劣化は1dB以下に抑えられ ることが分かった。 (2)提案方式と従来方式の比較 次に,提案方式と2章で述べた従来方式の伝送特性を, 総送信出力と伝送レートが等しい条件で比較する計算機 シミュレーションを実施した。シミュレーション諸元を 4表に示す。従来方式は単方向通信であるため,5図で 下り回線がないフレーム構成とした。 4表 シミュレーション諸元 (従来方式との特性比較) 項目 従来方式1 従来方式2 提案方式
伝送方式 1×1 SISO-OFDM 2×2 STTC-MIMO-OFDM 4×4 SVD-MIMO-OFDM サブキャリヤー変調 64QAM 16QAM (BPSK 〜 1024QAM)10bit適応変調
誤り訂正方式 (符号化率畳み込み符号 R=0.66) (符号化率STTCR=0.5) (符号化率R=0.54,復号繰り返し数8回)ターボ符号 伝送レート(Mbps) 44.8 44.8 45.0 2次変調方式 OFDM FFTサイズ 1,024 サブキャリヤー数 844(データシンボル)/ 215※(パイロットシンボル) OFDMシンボル長 56.33 μs (ガードインターバル比1/8) インターリーブ 時間インターリーブ(1TDDフレーム(2 ms)),周波数インターリーブ ※ 1送信アンテナ当たり 0 5 10 15 20 25 ビ ット 誤 り 率 正規化SNR (dB) 提案方式 4×4 SVD−MIMO−OFDM (10bit適応変調, =0.54) 従来方式1 1×1 SISO−OFDM (64QAM, =0.66) 従来方式2 2×2 STTC−MIMO−OFDM (16QAM, =0.5) 11パス・ライスフェージング 送信相関0.7, 受信相関0.3 移動速度20 km/h 10−1 10−2 10−3 10−4 10−5 10 0 8図 提案方式と従来方式の伝送特性
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シミュレーション結果を8図に示す。8図より,伝 送特性は,提案方式,従来方式2(2×2 STTC-MIMO-OFDM),従来方式1(SISO-OFDM)の順に良好であり, BER = 10−4を達成する所要SNRにおいて,提案方式は 従来方式2と比べて約4.5dB改善できることが分かった。 次に,提案方式の符号化率Rをパラメーターとした場 合の伝送特性を9図に示す。R = 0.81(67.8Mbps)の所 要SNRは,8図の従来方式2(44.8Mbps)の所要SNR とほぼ同じ約16dBであることから,提案方式は従来方 式と同じSNRで伝送レートを約1.5倍に拡大できること が分かった。 4. 2 レートマッチング 3. 3節で提案したレートマッチング手法を適応送信 制御MIMO-OFDMシステムに適用した場合の伝送特性 を計算機シミュレーションで評価した7)。シミュレー ション諸元を5表に示す。レートマッチングの効果を 確認するために,10図に示す京都駅伝コースにおける 受信品質の短区間変動を3表のチャネルモデルに適用し た。すなわち,3表に従って生成される瞬時変動の平均 受信SNRが,10図に示す時間変動をするものとした。 11図にシミュレーション結果を示す。11図(a)のレー トマッチングありの場合は,伝搬路の変動に応じて符号 化率が制御されるため,復号後に伝送誤りが発生しない。 このとき,伝送レートは36 〜 77Mbpsの範囲で変動し, 0 5 10 15 20 25 ビ ット 誤 り 率 正規化SNR (dB) 11パス・ライスフェージング 送信相関0.7, 受信相関0.3 移動速度20 km/h R =0.54(45.0 Mbps) R =0.65(54.4 Mbps) R =0.81(67.8 Mbps) R =0.92(76.9 Mbps) 4×4 SVD-MIMO-OFDM (10bit適応変調) 10−1 10−2 10−3 10−4 10−5 10 0 9図 各符号化率における提案方式の伝送特性 5表 レートマッチングのシミュレーション諸元 システム構成 4×4 SVD-MIMO-OFDM 変調方式等 10bit適応変調 (BPSK 〜 1024QAM) TDDフレーム長 2 ms(上り 1.5 ms, 下り 0.5 ms) 時間インターリーブ長 10TDDフレーム レートマッチング符号化率 (上り伝送レートの範囲は 28 〜 77 Mbps)符号化率R = 0.33 〜 0.92(12 種類) 符号化率切り替え周期 5TDDフレーム 符号化率切り替え基準 (直前 5TDDフレームの最小MER を基準に切り替え)MIMO復調後のMER平均伝送レートは約55Mbpsであった。一方,11図(b) のレートマッチングなし(符号化率R = 0.65)の場合 は,伝送レートは約55Mbpsとなるが復号後に瞬時的な 伝送誤りが複数回生じる。符号化率をR = 0.49に下げた 場合は,エラーフリーとなるが伝送レートは約40Mbps でレートマッチングありの場合より小さくなる。以上か ら,レートマッチングにより,厳しい伝搬路では符号化 率を下げてビット誤りの発生を防ぎ,良好な伝搬路では 符号化率を上げて伝送レートを拡大することができるこ とを確認した。
5.むすび
大容量の超高精細映像を移動しながら無線伝送できる 次世代の1.2GHz/2.3GHz帯FPUを実現するために,双方 向通信機能を導入し,伝搬路状況に応じて送信パラメー ターを適応的に制御する高効率な無線伝送システムを 提案した。送受信ビームを制御するSVD-MIMO方式や, 誤り訂正の符号化率を適応的に変更するレートマッチン グ技術により,提案システムは,従来型のFPUシステ ムよりさらに高効率・高信頼な無線伝送を実現できるこ とを計算機シミュレーションで示した。 今後は,提案システムの装置化を進め,室内実験や野 外伝送実験を実施し,伝送性能を評価していく。 謝辞 本研究開発は,総務省の委託研究「次世代映像 素材伝送の実現に向けた高効率周波数利用技術に関する 研究開発」の一環として実施しました。 8 10 12 14 16 18 0 4 8 12 MER (dB) 経過時間(s) 10図 短区間変動モデル 20 50 80 0 4 8 12 20 50 80 0 4 8 12 20 50 80 0 4 8 12 0 4 8 12 0 4 8 12 0 4 8 12 100 10−3 10−6 100 10−3 10−6 100 10−3 10−6 上 り 伝送 レ ート (Mbps) 復号後BER 経過時間(s) 経過時間(s) 経過時間(s) 符号化率 ( = 0.65) (a) レートマッチングあり エラーフリー エラーフリー 符号化率 ( = 0.49) (b) レートマッチングなし 符号化率 ( = 0.33∼0.92) 11図 シミュレーション結果66
NHK技研 R&D/No.165/2017.9 本稿は,映像情報メディア学会技術報告および電子情報通信学会 総合大会講演論文集に掲載された以下の論文を元に加筆・修正した ものである。 伊藤,鵜澤,光山,居相:“次世代移動中継用FPUに向けた適応 送信制御MIMOシステムの検討,”映情学技報,Vol.41,No.11, BCT2017-42,pp.13-16(2017) 鵜澤,伊藤,光山,熊谷,居相:“移動中継用FPU に適用するレー トマッチングの検討,”信学総大,B-5-6,p.342(2017) 1) 岡部,池田,渋谷:“QAM-OFDM方式を用いた800MHz帯ハイビジョンデジタルFPUの開発,”映情学年次大, 20-8,pp.298-299(2001) 2) 電波産業会:“テレビジョン放送番組素材伝送用可搬型OFDM方式デジタル無線伝送システム 標準規格,” ARIB STD-33 1.2版(2011)3) V. Tarokh, N. Seshadri and A. R. Calderbank:“Space-time Codes for High Data Rate Wireless Communication: Performance Criterion and Code Construction,”IEEE Trans. Inf. Theory,Vol.44,No.2, pp.744-765(1998)
4) 中川,池田:“番組素材伝送用64状態16QAM時空間トレリス符号,”映情学誌,Vol.68,No.5,pp.J184-J191(2014)
5) 電波産業会:“1.2GHz/2.3GHz帯テレビジョン放送番組素材伝送用可搬形OFDM方式デジタル無線伝送シス テム,”ARIB STD-B57 2.0版(2014)
6) 3GPP TS 36.212 V8.8.0,“Multiplexing and Channel Coding”(2009)
7) 鵜澤,伊藤,光山,熊谷,居相:“移動中継用FPUに適用するレートマッチングの検討,”信学総大,B-5-6(2017)
8) I. E. Telatar:“Capacity of Multiantenna Gaussian Channels,”Euro. Trans. Telecommun.,Vol.10,No.6, pp.585-595(1999)
9) K. Mitsuyama and N. Iai:“Adaptive Bit and Power Allocation Algorithm for SVD-MIMO System with Fixed Transmission Rate,”10th IEEE Wireless and Mobile Computing, Networking and Communication (IEEE WiMob2014),pp.455-460(2014)
10) K. Mitsuyama, T. Kumagai and N. Iai:“Performance Evaluation of SVD-MIMO-OFDM System with a Thinned-out Number of Precoding Weights,”International Symposium on Antenna and Propagation (IEEE ISAP2015), pp.936-939(2015)
11) M. Vu and A. Paulraj:“Optimal Linear Precoders for MIMO Wireless Correlated Channels with Non-zero Mean in Space-time Coded Systems,”IEEE Trans. Signal Process.,Vol.54,No.6,pp.2318-2332(2006) 12) K. Miyashita, T. Nishimura, T. Ohgane, Y. Ogawa, Y. Takatori and K. Cho:“High Data-rate Transmission with Eigenbeam-space Division Multiplexing (E-SDM) in a MIMO Channel,”IEEE VTC Fall,pp.1302-1306(2002)
13) S. H. Ting, K. Sakaguchi and K. Araki:“A Robust and Low Complexity Adaptive Algorithm for MIMO Eigenmode Transmission System with Experimental Validation,”IEEE Trans. Wireless Commun.,Vol.5, No.7,pp.1775-1784(2006) 14) 情報通信審議会 情報通信技術分科会 放送システム委員会報告(案):“諮問第2023号「放送システムに 関する技術的条件」のうち「放送事業用無線局の高度化のための技術的条件」のうち「超高精細度テレビジョ ン放送のためのマイクロ波帯を使用する放送事業用無線局(FPU)の技術的条件」,” http://www.soumu.go.jp/main_content/000467275.pdf(2017) 15) 伊藤,鵜澤,光山,熊谷,居相:“適応制御SVD-MIMOシステムにおけるTDDフィードバックの検討,”信学総大, B-5-5(2017) 16) 波多野,杉山,水口,熊谷,光山,斉藤:“2.3GHz帯FPU電波伝搬特性解析における手法の開発,”映情学年次大, 13A-4(2015) 17) 波多野,杉山,水口,熊谷,光山,斉藤:“1.2GHz帯および2.3GHz帯の移動中継用FPUを用いた市街地および郊 外における電波伝搬試験,”映情学年次大,32C-3(2016) 参考文献
光みつ山やま 和かず彦ひこ 1999年入局。放送技術局を経て,2002年から 放送技術研究所において,番組中継用無線伝送 技術の研究に従事。現在,放送技術研究所伝送 システム研究部に所属。博士(工学)。 居い相あい 直なお彦ひこ 1993年入局。同年から放送技術研究所におい て,マイクロ波・ミリ波回路技術,受信特性改 善技術,地上デジタル放送,ソフトウエア無線 技術,番組素材伝送技術の研究に従事。放送技 術研究所研究企画,(財)NHKエンジニアリン グサービス出向を経て,現在,放送技術研究所 伝送システム研究部上級研究員。 鵜う澤ざわ 史ふみ貴き 2004年入局。岡山放送局を経て,2009年から 放送技術研究所において,番組中継用無線伝送 技術の研究に従事。現在,放送技術研究所伝送 システム研究部に所属。 伊い藤とう 史ふみ人と 2005年入局。熊本放送局,技術局を経て, 2013年から放送技術研究所において,番組中 継用無線伝送技術の研究に従事。現在,放送技 術研究所伝送システム研究部に所属。