これからのウイルス病対策
宮崎県広域普及指導担当
今回の話
• 昨年の春に発生したキュウリの黄化えそ病の発 生地区が拡大しつつあります。 • ただし、実際の被害は、想定してよりずっと軽い うちに対応できてます。 • 対策が長期間に及んでいますので、そろそろ油 断と対策への疲れが出てきています。 • 県内の現状をお知らせします。 • 夏から秋にしておく対策のお話をします。本県で発生したMYSVの各症状
定植: 7 月下旬 撮影: 10 月 26 日 定植: 6月下旬 撮影: 10月26日 慣行区 慣行区 定植: 6月下旬 撮影: 10 月 26 日 慣行区 慣行区 生物農薬試験区 ・ ・定植時から両区とも全ての株に黄化 えそが確認→慣行防除区はウィルス病が 蔓延し 4ヶ月目に枯れてしまった。こんな状態であることは、続いているようです。 (平成21年度全国農業改良普及支援協会全国農業システム研究会IPM実証調査I実績より引用)
黄化えそ病の病状 (ある県)
果実にも緑斑がでることもある
この弱い症状がくせ者!軽くみてし まう。
促成作では果実から症状が出てい る。
促成作では少し症状が変わっていた
果実に症状があって、葉や心にない。 ところが数日後に葉に症状が出てくる ということがあって、促成では果実に 症状が先に出ることがある。
抜き取った株の全体
果実に病兆あり
葉は正常 葉に病兆あり 果実は正常
果実・葉とも 正常
果実の被害
ハッキリわかるもの後からわかるもの
出荷先で棚もちしない症状(左)と出荷できない奇形果実 平成19年度 「関東東海北陸農業」研究成果情報 埼玉農総研より引用 http://narc.naro.affrc.go.jp/chousei/shiryou/kankou/seika/ kanto19/12/19_12_08.html 提供:高知県この春~夏の果実
まだ、宮崎県産キュウリでは明確な問題になってい ないが、県外では問題になっている事例がある。
色抜けは、普通に流通しているとき
には問題にならない?
• 今紹介した果実の色抜けは、出荷7日後の状 態。 • 普通に流通しているときには、出荷から3~4 日で消費されるので、問題になりにくい。 • もし、連休や、出荷ピークで滞果するようなとき に、初めて問題になってくる被害。 • 他県で、試験がされているところを見ると、無 視できない。MYSVの分布
2000年以降は5年で10県ずつ
拡大
2000年まで 3県 2005年まで 14県 2010年まで 23県県内のMYSV発生状況
(平成23年1月まで)
1カ所から広がったのではありません。
• 多くの地域で同時に発生しています。 • これは、県内のどこか1カ所から広がったと は思えません。 • 県外から複数のウイルスが大量に侵入し てきています。作型別発生棟数
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 発 生 棟 数 発生時期 2月4日現在で、発生した棟のうち114棟で栽培が継続されている。2月までの発生株数の変化
11月集計時 2月集計時 76.3% 10.0% 7.5% 6.3% 1~30株 31~100株 101~200株 201株以上 13.2% 64.5% 9.9% 12.4% 1~30株 31~100株 101~200株 201株以上 幸い、6割強は30株未満であり、多発生が多いわけではない。 ただし、11月調査時よりも、発生株数の多い棟が増加している。昨年9月~本年6月の発生
(県全域)
小:10株未満 中:10~49株 大:50~99株 甚:100株以上データを分けてみると
多発地以外(74件) 多発地(120件)
多発地は、発生件数が多いこともあって、甚~多発生 が約1/3を占めています。
今後どのような被害が予想されるか
日本植物病理学会73巻3号(平成19年)より抜粋 MYSVによるキュウリの被害(高知農技セ竹内ら) (前略)9月上旬~10月上旬の接種では、いずれも接種10 ~17日後に発病し、葉の被害程度も同等であったが、10 月中旬以降の接種では、接種から発病まで長時間を要す るか、12月末まで全く発病しなかった。9月に接種した植 物の収穫果実数は、無接種の42~68%に留まったが、 10月以降の接種では、無接種と同等であった。しかし、果 実の病斑発生程度は10月上旬に接種した植物が最も高 かった。どういうことか
• 9月までに感染・発病するものは収量は半減する。 • 10月中旬以降に感染するものは、発症が遅く、収 量には影響しにくい。 • 夏作~抑制作は短期栽培とする。 • 10月までの感染を抑えれば、収量は得られるので 次の施設作のスタートを大事にする。 ※ただし、晩秋に定植したものでも、半促成作や夏 作の伝染源になるので、いい加減な管理はダメ。昨年の気温とスリップスが
飛翔しやすかったと推定される日
0 5 10 15 20 25 30 35 5/6~10/25 6/5~10/15 3 / 2 0作の間を20日間あけた事例
(12月実施)
①前作の徹底防除 ②除草 ③中で枯らして持ち出し ④全面マルチ(穴よせ) ⑤20日間蒸し込み。 • ハウス室温 18.7~19.7℃ • ハウスサイド 15.1~16.0℃もう一度考え方を
• 露地・雨よけ栽培、抑制作では、被害が大きい はず。短期作と割り切る。 • 10月定植でも、10月中~下旬までは飛び込 みが多い。飛び込まない対策を。 • 施設作のどこかで伝染を切る!春に増えたら また夏~秋に苦労する。MYSV対策の考え方
入れない・増やさない・出さない
①感染防止対策 ・紫外線除去フィルムの使用 ・防虫ネット(0.5mm以下)の使用 ・光反射資材の使用 ・雑草・残さ対策 ②ほ場内まん延防止対策 ・発生株の抜根 ・有効な薬剤の集中使用 ・天敵等生物防除資材の使用 ・粘着板の使用ミナミキイロアザミウマの増殖雑草例
イヌビユ ヨモギ
MYSV感染植物
ハコベ類
オランダミミナグサ ホトケノザ カタバミ
ハウスに隣接する場所は除草
隠れている場所をみ
ミカンキイロアザミウマの例ですが
平成12年和歌山県研究成果 「ミカンキイロアザミウマの総合防除」
施設内の雑草は絶やす
• 特に内サイドビニルを 設置してからは、除草 も容易ではない。 • サイドの雑草が残っ ていると、そこからス リップスが安定供給さ れるので、必ず除草し ておく。紫外線カットフィルムの利用
紫外線カットフィルムには、315nm以下カット、345nm 以下カット、380nm以下カットの概ね3種類がある。 害虫をしっかり防除しようと思えば380以下カット(除去) フィルムを使う。 315nm以下カットすれば、ストレスがなくなって、植物の 葉は大きくなる。それにあわせた施肥とかん水が必要。ネットの張り方にも注意
抑草シートやタイベックを
冬のうちに設置しても良い
似ている資材でも反射が違う。
調査結果
0 5 10 15 20 25 30 35 対照区 タイベック TSアップシート ミラーマルチ ミナミキイロ その他 アザミウマ類 計 対照区(無処理) 6 24 30 タイベック 0 3 3 TSアップシート 0 6 6 ミラーマルチ 1 8 9 ※粘着板(4枚)の捕殺数の合計 ア ザ ミ ウ マ 類 ( 頭 )※火山灰がつもっていないところは、
ちゃんと光を反射している。
残さにはスリップスがついている
• そのまま放置したら、 ここがスリップスの巣。 • 処分の方法は工夫し ましょう。 • 生々しいうちに、トラッ クで遠くに持って行く のは避けましょう。残さをどう処分するか
①ハウスの横に穴を掘って、そこに捨てる。 ②残さの上にビニルをかぶせる。 ③捨てるたびに、残さの上に土をかぶせる 毎日出てくる残さに、毎回つちをかぶせたり、ビ ニルをかぶせるのは、大変な作業。 せめて残さの近くに粘着板を多くつける。 ビニルをかぶせて、陽熱消 毒は有効MYSV対策の考え方
入れない・増やさない・出さない
①感染防止対策 ・紫外線除去フィルムの使用 ・防虫ネット(0.5mm以下)の使用 ・光反射資材の使用 ・雑草・残さ対策 ②ほ場内まん延防止対策 ・発生株の抜根 ・有効な薬剤の集中使用 ・天敵等生物防除資材の使用 ・粘着板の使用なぜ、早期抜根が必要か
• スリップスの幼虫しか、保毒できない。 • ウイルスは成虫がうつす。 • 感染株があって、そこでスリップスの幼虫 が増えることで、保毒虫が増える。実際に、早期発見・抜根したとき、
周辺に広がっていない事例がある。
• 早期に発見して、4~ 5株を抜根したら、そ の後ウイルスが出て こない事例が多い。 • もちろんスリップス防 除は徹底している。 1本出たから全部抜根する必要はない。 でも、発病株の抜根をあきらめたとき、伝染源が残る。卵 1齢幼虫・ 2幼虫齢 成虫 卵 1齢幼虫・ 2幼虫齢 第1蛹・ 第2蛹 成虫 卵 1齢幼虫・ 2幼虫齢 第1蛹・ 第2蛹 成虫 卵 1齢幼虫・ 2幼虫齢 第1蛹・ 第2蛹 成虫 第1蛹・ 第2蛹 成虫 卵 1齢幼虫・ 2幼虫齢 第1蛹・ 第2蛹 成虫 卵 1齢幼虫・ 2幼虫齢 第1蛹・ 第2蛹 成虫 卵 1齢幼虫・ 2幼虫齢 第1蛹・ 第2蛹 成虫 卵 1齢幼虫・ 2幼虫齢 第1蛹・ 第2蛹 成虫 卵 1齢幼虫・ 2幼虫齢 第1蛹・ 第2蛹 成虫 卵 1齢幼虫・ 2幼虫齢 第1蛹・ 第2蛹 成虫 薬 散 薬 散 薬 散 卵 1齢幼虫・ 2幼虫齢 第1蛹・ 第2蛹 成虫 卵 1齢幼虫・ 2幼虫齢 第1蛹・ 第2蛹 成虫 卵 スリップス対策は一回防除では無理 (夏は5~7日、冬は6~8日間隔防除)
ミナミキイロアザミウマ成虫への薬剤の効果
薬剤の例
① アファーム乳剤+サンクリスタル乳剤 ↓ (7日) ② ハチハチ乳剤+ダントツ水溶剤 ↓ (7日) ③デミリン水和剤もしくはカスケード乳剤 その他、 ベストガード水溶剤+コテツフロアブル ダントツ水溶剤+デミリン水和剤薬剤が少ないので、粒剤を活用
• 前作と同じように、薬剤を使用しましょう • 苗の後半ではベストガード粒剤を施用
• 定植時にはオンコルスタークル粒剤の施用 • マイコタールやボタニガードを定期的に散布
薬剤4つのポイント
• 成虫を殺せる薬剤を最初に使用 • IGR剤を活用 (IGR剤がかかった成虫が生んだ卵はふ化しない =幼虫がでない=保毒虫が増えない。) • 防除するときは集中して防除。特に育苗期と定 植初期 • 微生物や天敵の活用薬剤が少ないから、害虫対策に
0% 20% 40% 60% 80% 100% 補正死亡率 アドマイヤー 2000倍 + マイコタール 1000倍 アドマイ ヤー2000 倍 マイコタール 1000倍 20% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 補正死亡率 ボタニガード 500倍 アドマイヤー 2000倍 アドマイヤー 2000倍 + ボタニガード 500倍 14% 注) 混用の効果を見るため、低湿度条件にし、昆虫寄生菌の感染率が低くなる条件で試験を行っ た。 昆虫寄生菌混用による ミナミキイロアザミウマに対する殺虫効果の向上