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教育講演 放射線治療における位置的不確かさの影響 ずれるとどうなる 都島放射線科クリニック / 大阪大学塩見浩也 放射線治療を確実に施行するためには, 安全なマージンの設定が不可欠である. ターゲットの設定は,ICRU report 50, 62 3) で規定されている肉眼的腫瘍体積 (GTV; g

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Academic year: 2021

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放射線治療を確実に施行するためには,安全なマージンの設定が不可欠である.ターゲットの設定は,ICRU report 50, 623)で規定されている肉眼的腫瘍体積(GTV; gross tumor volume),臨床標的体積(CTV; clinical

target volume),ITV(internal target volume),計画標的体積(PTV; planning target volume)に分けら れる.このうち,GTV, CTV は,臨床的判断により設定されるが,PTV は物理的判断によるところが大きい. CTV に対して,過不足なく線量を投与するための PTV 設定については,様々な方法が考案されている3) (ICRU Report 834)) 比較的よく用いられる方法として,x,y,z の各方向で 95%の確率で含まれる範囲をもってマージンとする方 法があるが,これでは三次元的には0.953=0.86 となり,86%の確率でしか CTV は PTV 内に完全には含まれ ないことになる.

放射線治療における位置的不確かさの影響

〜ずれるとどうなる〜 都島放射線科クリニック/ 大阪大学 塩見 浩也

教育講演

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さらにこの値は,マージンを直方体として設定した場合のものである.通常,放射線治療計画装置で設定 されるマージンは,点に対して球面状に設定されるため,CTV がマージン内に収まる可能性は 72%しかない.

もっとも良く用いられているマージンの設定はvan Herk の式5)であろう.

van Herk の式を用いる場合でも,式の前提条件などをよく確認して用いるべきである.この式は,2.5Σ +0.7σ(Σ: Systematic error, σ: Random error)で表されるが,前半の 2.5Σは,球形 CTV が∑の不確 かさを持つ場合に,90%確率で CTV がすべて含まれるためのマージンを示し,後半の 0.7σは,無限分割照 射における位置誤差により生じる線量分布のボケに対するマージンである.このため,特に0.7σに関しては 分割回数が十分に多いことが使用条件になる.

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フリーで入手できるソフトなので,実際に試してみてはいかがだろうか? 入手先は,http://www.gnu.org/software/octave/ 分割回数が十分に多くはない場合はどのような事が起こるのだろうか? コンピュータ・シミュレーションを行った.スライドの画像は,脊髄の打ち抜きIMRT の線量分布を用い, 1 次元の誤差を想定し,Random error の SD を 5 mm とし,分割回数を1~100Fr まで設定した.線量分布 には,微小なHot, Cold スポットを付与した.赤,青の線は,5%の確率で起こりうる,各点での最大,最小 値である.誤差のサイズは同じでも,その振る舞いは分割回数により大きく変わる.分割回数が増えるほど

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5%の確率で起こりうる最大,最小間の幅は小さくなっている.逆に分割回数が少ないほど不確かさは大きく なり,この不確かさを補償するためには大きなマージンが必要となる.また,微小なHot, Cold spot は,分 割回数が増える場合はあまり神経質になる必要がない事がわかる.

van Herk の式を使ってマージン設定を行った場合に,CTV が PTV 外にはみ出してしまうことがどの程 度あるのかをOctave を用いて求めた.

simulation の条件は,患者数 10 万人,CTV は球形,マージン設定は van Herk の式に従い,Σ=σ=1 と した.比較的分割回数の多い,37Fr での治療を想定した.Σ,σを van Herk の式に代入し,位置誤差が 2.5 ×1+0.7×1 = 3.2 を超えると PTV 外と判断した. 治療を受けた 10 万人の内,37 回の一連の治療 で CTV が常に PTV 内にあるのは,8%しかな かった.逆に10 / 37 Fr で PTV 外に出てしまう 例は20%もあった.Fr 毎に見た場合,約 16%の 確率でCTV は PTV 外になる.van Herk の式を 使う限り,CTV が PTV 外に出てしまうことはそ れほど珍しいことではない.

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た. 彩都友紘会病院での治療計画(11 例)で,PTV は,CTV+ 7 mm(直腸側のみ 5 mm)の設定である.分割 回数は,37Fr.許容条件としては,CTV D99 のオリジナルプランに対する線量低下率が 5%以下とした. Σ=2 mm であれば,σ= 3.8 mm(median) まで許容可能という結果であった.しかし,前立腺癌という 均一性の高い症例群で,治療計画作成者も同一人物であったにもかかわらず,許容可能誤差は症例により大 きく異なっていた.臨床で用いる線量分布では,マージンを求める一般式を作成することは困難であること が示唆された.

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IGRT は誤差縮小のための手法として有用であり,広く用いられるようになっている.IGRT の治療戦略と しては,On-line strategy と Off-line strategy がある.

IGRT 時代の van Herk の式の利用例を示す.理論的には Off-line strategy で数回の誤差計測の後,誤差を 補正して照射を行う方法が,効率が良いと思われる.

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IGRT の利用により,理論的にはマージンの縮小は可能であるが,臨床的には慎重になるべきである.マー ジンの縮小により,臨床成績が低下したという報告もある6).医師の間違ったCTV 設定が広めの PTV によ

り救われている可能性もある.

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参考文献

1) 放射線治療ガイドライン 2012 年版 日本放射線腫瘍学会;金原出版株式会社

2) がん・放射線療法 2010 大西 洋,唐澤 久美子,唐澤 克之 編著 篠原出版社; 6-9 画像誘導放射線治 療 498-506

3) International Commission on Radiation Units and Measurements (ICRU) Report 62, Prescribing, Recording and Reporting Photon Beam Therapy (Supplement to ICRU Report 50), Bethesda, U.S.A. ICRU Publications, 1999.

4) International Commission on Radiation Units and Measurements (ICRU) Report 83 Prescribing, Recording, and Reporting Photon-Beam Intensity-Modulated Radiation Therapy (IMRT) , Bethesda, U.S.A. ICRU Publications, 2010.

5) van Herk M, Remeijer P, Rasch C,et al:The probability of correct target dosage: dose-population histograms for deriving treatment margins in radiotherapy.;Int. J. Radiation Oncology Biol. Phys., Vol. 47, No. 4, pp. 1121–1135, 2000

6) Engels B, Soete G, Verellen D et al; Conformal arc radiotherapy for prostate cancer: increased biochemical failure in patients with distended rectum on the planning computed tomogram despite image guidance by implanted markers.; Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2009 Jun 1;74(2):388-91 7) Yamazaki H, Shiomi H, Tsubokura T et al:Quantitative assessment of inter-observer variability in

target volume delineation on stereotactic radiotherapy treatment for pituitary adenoma and meningioma near optic tract; Radiation Oncology 2011, 6:10

参照

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