1 2011年9月1日
青森市行政視察報告書
甲府市議会議員神山玄太
視 察:青森市 日 時:2011年8月22日(月) テ ー マ: (1)新青森駅と市内中心部の関わり及びコンパクトシティのまちづくりについて (2)中心市街地活性化基本計画の進捗状況について ・新しい玄関口である新青森駅と中心市街地との流動性、関連性の確保策 ・従来の中心の青森駅が新幹線の駅とならなかったことによる影響 ・新青森駅周辺と市内中心部との機能分担 ・コンパクトシティを目指したまちづくりに新幹線開業が及ぼした影響 【視察理由】 2027年にリニア中央新幹線が品川(東京)―名古屋間で開業することに伴い、山梨県 内においては、甲府盆地南部地域にリニア駅が建設されることになった。しかし、新たに作 られるリニア駅は甲府市の中心市街地から離れていることから、中心市街地活性化において 大きな課題となることが予想されている。 青森市においても、東北新幹線新青森駅と市内中心部が離れていることから、青森市のま ちづくりへの取り組みは、リニア時代の甲府市のまちづくりにおいて大いに参考になると考 え、視察した。 【青森市の状況、課題】 ・「特別豪雪地帯」の指定を受ける多雪都市 →除雪、排雪の費用を抑えるためにコンパクトシティの形成を模索 ・都市の拡大を抑制する都市計画 →機能的で効率的な土地利用を誘導 インナー、ミッド、アウターの区分で土地利用 公共交通を基本とする交通体系の確立2 ・コンパクトシティ構想 →2つの柱(郊外の開発抑制+中心市街地の活性化) →「まちなか住み替え事業」や「家賃補助制度」を行っているが、「借りたい人はい るが、貸したい人がいない」という状況 →コンパクトシティという構想だけでは、民間資本は動かない(=補助金などのイン センティブが必要) ・中心市街地活性化の目標は「歩いて暮らすことのできる質の高い生活空間(ウォーカブ ルタウン)の創造」 ・新青森駅周辺整備は青森市の事業 →中心市街地活性化に支障となる大規模集客施設整備を用途と地区計画により制限 ・市内の中心市部において、昔からの土地や家屋所有者が、その不動産を賃貸したり手放 したりしない(=甲府の中心部と共通の問題点) →中心市街地の活性化に対する考えや思いが統一されておらず(目的が共有されてお らず)、店舗や土地の貸し渋りが発生し、空き店舗、空き地が多く存在する ・新青森駅と青森駅周辺の中心市街地は離れているが、従来の青森駅周辺をまちづくりの 核として位置づけ、再整備した →新青森駅に大規模なターミナル機能を持たせない(山梨県の方針と逆の考え方) 新青森駅から青森駅に移動した上で、従来の公共交通を利用して市内各地へ移動
3 ・16年後にはリニア駅はできるのだから、開業に向けてのまちづくりは早めに取り組む べき →まちづくりのターゲットは何か、コンセプトは何か、打ち出すべき 新しい形で、10年先のライフサイクルを考え、活性化策を推進すべき 【まとめ:神山玄太の考え】 青森市の年間積雪量は約624cmになり、市道の除排雪経費は約18.9億円にもなる(過 去10年平均)。そのため青森市のまちづくりは常に雪との関わりを考慮せざるをえず、その 過程の中でまちづくりの基本理念としてコンパクトシティの形成が打ち出され、定着していっ た。 東北新幹線の新青森駅が新しい青森市の玄関口として開業しても、新青森駅を市内交通の新 しいターミナルとして整備することなく、いままでの市街地の中心だった青森駅を再整備して ターミナル機能の利便性を向上させた。それは、雪に対応するまちづくりとしてコンパクトシ ティを打ち出しているためで、郊外の開発を抑制するという考えに沿った判断だった。そのた め東北新幹線で新青森駅に到着した者は、乗用車やタクシーを利用して移動する以外は、一度、 青森駅まで移動してから公共交通機関を利用しなくてはならない。これは、従来の青森駅周辺 の中心市街地の機能を維持し、青森駅周辺をまちづくりの核とするという意識の表れである。 青森市の新青森駅周辺整備は、山梨県がリニア駅にターミナル機能を持たせるとした方向性 とは逆の発想を持っているが、これは豪雪地帯のまちづくりにおいて、コンパクトシティの形 成を打ち出さなくては生き残れない青森市の特徴といえる。 今回の青森市視察で得たことは、「リニア駅はできるのだから、リニア時代のまちづくりに 早く取り組むべきだ」ということ。青森市は豪雪地帯のまちづくりとしてコンパクトシティを 打ち出して、取り組んだ。甲府においては、リニア時代のまちづくりのターゲットは何か、コ ンセプトは何か、そのビジョンを打ち出してまちづくりを進めていかなくてはならない。
4 2011年9月3日
八戸市行政視察報告書
甲府市議会議員神山玄太
視 察:八戸市 日 時:2011年8月22日(月) テーマ: (1)中心市街地の活性化に関わる事業について ・株式会社まちづくり八戸の事業 ・八戸ポータルミュージアムはっちの事業 (2)東北新幹線中間駅を抱えるまちづくりについて ・市内中心部と東北新幹線八戸駅との流動性、関連性の確保 ・新幹線の終点駅から中間駅への移行に伴うまちづくりの変化 【視察理由】 2027年にリニア中央新幹線が品川(東京)―名古屋間で開業することに伴い、山梨県 内においては、甲府盆地南部地域にリニア駅が建設されることになった。しかし、新たに作 られるリニア駅は甲府市の中心市街地から離れていることから、中心市街地活性化において 大きな課題となることが予想されている。 八戸市の中心市街地活性化事業は、みろく横町のにぎわい創出など、注目すべき点が多い。 その中でも新たに建設された八戸ポータルミュージアムはっちの運営や株式会社まちづく り八戸の事業が顕著であり、その取り組みについて話を伺った。 また八戸市においても、東北新幹線八戸駅と市内中心部が離れていること、そして新幹線 の中間駅を抱えていることから、八戸市のまちづくりの取り組みは、リニア時代の甲府市の まちづくりにおいて大いに参考になると考え、視察した。5 【八戸市の状況、課題】 ・東北本線が開業した当時から、八戸市の入り口である八戸駅(開業当時は尻内駅)と市 内中心部が離れていた ・市民の足としての公共交通が整備されている →八戸市営バスと南部バスの路線があり、競争がある →市内居住地の約90%がバス停から500m 以内でカバーされている 八戸ポータルミュージアム「はっち」でその取り組みを伺う ・東北新幹線八戸駅の開業の際、移動(モビリティ)の流動性の確保が課題となる →既存の地域生活交通としての路線バスが確立されていた →既存の路線バスのポテンシャルを活かすことで、既存の地域生活交通を維持した →八戸駅のバス停を業者別から、行き先別に変更し、利便性を高めた ・東北新幹線八戸駅の開業の際に、新幹線の発着時間にあわせたシャトルバスを中心市街 地と八戸駅間で運行を開始したが、利用者は少なかった(のちにシャトルバスは廃止) →シャトルバスと通常の路線バスの違いが明らかではなく、分かりにくかった →新幹線の発着時間にあわせた運行だと、乗りたいときに乗ることができず、不便 =八戸市内で運行している2社(南部バス、市営バス)が協力し、運行ダイヤの見 直しを進める中で、10分間隔で中心市街地と八戸駅を結ぶことになった
6 ・歴史的に八戸市の中心部に幹線鉄道の駅がない →東北新幹線八戸駅が中心部から約5km ほど離れたところに建設されたが、大きな 影響は生じなかった →東北新幹線八戸駅が開業しても、八戸駅は都市の中心機能を持たなかった 八戸市が目指すコンパクトシティ =モビリティのあるコンパクトシティ ⇒公共交通で中心部の都市機能集積地と生活空間をつなげる =車社会の見直し ⇒青森市のコンパクトシティ構想との違い =八戸は積雪量が少ない 【まとめ:神山玄太の考え】 八戸市の路線バスには、主に南部バスと市営バスの2つの運行会社があり、競争する環境の 中、質の高いサービスが提供されてきていた。利用者は近年、減りつつあるとはいえ、市民の 公共交通を使うという意識は高い都市であると言える。 また、東北新幹線八戸駅は中心市街地から5km ほど離れたところにある JR 東北本線八戸駅 に建設されたが、そもそも歴史的に八戸市の中心街は幹線鉄道の駅から遠かったため、新幹線 の開業後も、駅が離れていることによる大きな生活の変化は生じなかった。 東北新幹線八戸駅と中心市街地を10分間隔で路線バスを運行できるのは、八戸市における 路線バスのポテンシャルの高さを物語っている。 甲府市において考えた場合、既存の公共交通が苦戦している中、リニア中間駅とJR 甲府駅や 中心市街地のアクセスにおいて、効果的に公共交通機関を使うためには、まず公共交通に対す る市民の意識を変えるところから始めなくてはならない。 今後の甲府のまちづくりにおいて、公共交通をどのように位置づけていくか、検討し、市民 に説明する必要がある。