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自治体におけるオープンデータ化の現状と今後 23 出典 : 著者作成 図 2-1 オープンデータの意義 政の効率化に繋がってくる ( 図 2-1 参照 ) と記述されています これらの意義は オープンデータを公開することで行政の透明性を示すことができ 地域住民からの信頼を醸成することができるというこ

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特集:オープン・イノベーション時代と自治体 1.はじめに 弊社では、平成 25 年の冬頃から堺市のオー プンデータに対する取り組みについて、微力な がらお役に立てるようお手伝いをさせていただ いています。 昨今、全国の様々な自治体から「オープンデー タ宣言」や「オープンデータカタログサイト」 が公開され、オープンデータに対する注目度は 最高潮となりつつあります。今やどの自治体も オープンデータに興味を持ち、取り組みについ て調査をしている自治体職員は少なくありませ ん。 本稿では、オープンデータの取り組みをして いく中で表出される課題やそのアプローチにつ いて記述します。実際に様々な自治体のオープ ンデータに対する取り組みをお手伝いしていく 中で、想定していなかった様々な課題が表出し ました。その様々な課題は、今回お手伝いさせ ていただいている自治体特有の課題ではなく、 むしろ他自治体においても例に漏れず、同様の 課題に直面すると考えられます。また今回得た 課題へのアプローチについても、今後、オープ ンデータに対する取り組みを実施していく他自 治体にとって、有用となると考えられます。 2.オープンデータの定義 2-1.オープンデータに関する動向 欧米を中心に、オープンデータの取り組みは 2000 年後半から開始されています。一方、日本 政府においては、2012 年 7 月に「電子行政オー プンデータ戦略」が策定され、オープンデータ に関する取り組みは急速に進んでいます。また 2013 年 6 月に閣議決定された「日本再興戦略」 や「世界最先端 IT 国家創造宣言」においても、 オープンデータは重要な政策として取り上げら れ、同年 10 月には「日本のオープンデータ憲 章アクション・プラン」が公開されています。 さらに地方自治体においては、「電子行政オー プンデータ戦略」が策定される以前から取り組 みが行われており、2015 年 2 月現在、100 弱の 自治体がオープンデータを公開しています。 以上のように、日本国内では積極的にオープ ンデータへの取り組みが推し進められており、 世界のオープンデータ化を進める Open Knowl-edge Foundation によると、世界のオープンデー タ現況調査で日本は 19 位と順位を伸ばし1、世 界規模でオープンデータが推し進められている ことが認められています。 2-2.オープンデータの意義 現在、オープンデータが注目を集めている理 由として、オープンデータの意義にあると考え られます。「電子行政オープンデータ戦略」が 提示する意義や、2013 年 6 月の各府省情報化統 括責任者連絡会議決定のデータ公開に関する基 本的な考え方によると、オープンデータを公開 することで、地域経済の振興や活性化、また行

自治体におけるオープンデータ化の現状と今後

原口 正くろーど(はらぐち せいくろーど)  株式会社 スマートバリュー

 公共クラウド Division 営業 Group 営業企画支援 Team  サービスディレクタ 2008 年 株式会社スマートバリュー入社 2014 年 7 月 現職 株式会社 スマートバリュー入社後、自治体サイトを中心に構築から運用までのディレクションを行う。 現在は、営業企画支援 Team に所属し、自治体のウェブサイトにおけるアクセシビリティ対応支援や、自治体におけるオープンデータ公開・ 活用支援などに取組む。 1  一 般 社 団 法 人 オープ ン・ナレッジ・ファウンデー ション・ジャパン「世界規 模でのオープンデータ現況調 査 で 日 本 が 19 位 」 よ り(http://okfn.jp/2014/12/09/ opendataindex2014/)2015 年 1 月 27 日現在。

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自治体におけるオープンデータ化の現状と今後 政の効率化に繋がってくる(図 2-1 参照)と記 述されています。 これらの意義は、オープンデータを公開する ことで行政の透明性を示すことができ、地域住 民からの信頼を醸成することができるというこ とです。また二次利用できる形でオープンデー タを公開することで、行政データ利用のセルフ サービス化も期待できます。 そして自治体が持つ情報や行政データを公開 することで、社会に分散する知識を集約した情 報や行政データを活用することができ、地域住 民自らが必要とするサービスが登場し、地域 サービスに対して利便性が向上することも期待 できます。これは、地域サービスを提供してい る自治体の効率化を図ることができると考えら れます。さらには、産業界や教育・研究機関で ある学校、地域住民・市民団体等の民間、国・ 自治体の官公庁のいわゆる産学官民の4者が一 体となった組織が横断的に地域の課題を共有 し、課題を解決していくサイクルを生み出すこ とが可能となります。これは地域のスタート アップ企業や新たな産業を創出し、地域経済の 振興や活性化にもつながっていくと考えられま す。 2-3.日本国内外のオープンデータの定義と 5つの段階 オープンデータは、様々な機関や団体から定 義化されています。表 2-1(次頁)参照。 日本国外でのオープンデータの定義は、英国 の Open Knowledge Foundation2によると、「目

的を問わず、誰でもどこででも自由に利用し、 共有し、構築のベースにすることができるデー タ 」 と し て い ま す。W3C Working Group3 よると、「再利用を許すオープンライセンスの いずれかに基づき公開の Web 上に公開される Linked Data のこと」としており、二次利用や 誰でも利用ができることを指しています。 対して日本国内では、総務省4は、「機械判 図 2-1 オープンデータの意義 2 一般社団法人オープン・ナレッジ・ファウンデーション・ ジャパン公式ホームページ「オープンデータを定義する」より (http://okfn.jp/2014/03/23/defining-open-data/)2015 年 1 月 27 日現在。

3 W3C Working Group「Linked Data Glossary」 より (http://linkedopendata.jp/linkeddataglossary/NOTE-ld-glossary-20130627-ja.html#linked-open-data)2015 年 1 月 27 日現在。 4 総務省「「オープンデータ」と言えるための条件」よ り(http://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/ictseisaku/ ictriyou/opendata/opendata01.html)2015 年 1 月 27 日現在。 出典:著者作成。

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特集:オープン・イノベーション時代と自治体 読に適したデータ形式」であり、「二次利用が可能な利用ルール」を明示したものをオープン データと定義しています。また高度情報通信 ネットワーク社会推進戦略本部5は、「機械判読 に適したデータ形式を営利目的も含めた二次利 用が可能な利用ルールで公開すること」として います。オープンデータ流通推進コンソーシア ム6でも、「営利目的も含めた二次利用が可能 な利用ルールで公開された、機械判読に適した データ形式のデータである」としています。こ のように日本国内においては、国外と同様に二 次利用を謳っていますが、それに伴って機械判 読に適したデータ形式についても前面に押し出 していることが分かります。 また「機械判読に適したデータ形式」とは、 Berners-Lee が提言した「5つ星オープンデー タ」7が合致すると考えられます。 Berners-Lee はオープンデータについて、5 つの段階があるとしており、図 2-2(次頁)の 通り、オープンデータの指標を提言しています。 1つ星のオープンデータでは、どのような形 式のデータでもクリエイティブ・コモンズのよ うなオープンライセンスを付与した上で、ウェ ブサイトに行政データを公開することを指して います。2つ星のオープンデータは、Excel や Word 等の一部のソフトウェアが必要となって くるが、構造化された方法でウェブサイトに公 開されていることを指しています。3つ星オー プンデータでは、行政データを使用できる状態 で公開しているのみです。4つ星オープンデー タでは3つ星オープンデータと異なり、ウェブ サイトの中に行政データが存在しており、ウェ ブサイト上で行政データを共有することが可能 となり、二次利用が可能な状態であるとしてい ます。5つ星オープンデータは、4つ星オープ ンデータが他の情報やデータにリンクし、ネッ トワーク外部性の利益を得ることができるよう な行政データを指しています。 以上のように、1つ星から5つ星のオープン データに段階が上がっていくことで、可用性も 向上しているように解釈することができます。 2-4.オープンデータの定義と原則 以上の議論の中で、弊社ではオープンデータ を「政府や自治体の行政データを二次利用可能 なオープンライセンスで公開し、地域住民や民 間企業が誰でも自由に利用できるデータ」とし て定義しています。しかし、単純にデータを オープンにするのみでは不十分であると考える ため、まず特定の地域住民のみではなく、誰で 表 2-1 オープンデータの様々な定義 表  オープンデータの様々な定義 出典:著者作成。

日本国外でのオープンデータの定義は、英国のOpen Knowledge Foundation2によると、

「目的を問わず、誰でもどこででも自由に利用し、共有し、構築のベースにすることがで きるデータ」としています。W3C Working Group3によると、「再利用を許すオープンライ

センスのいずれかに基づき公開のWeb 上に公開される Linked Data のこと」としており、 二次利用や誰でも利用ができることを指しています。 対して日本国内では、総務省4は、「機械判読に適したデータ形式」であり、「二次利用が 可能な利用ルール」を明示したものをオープンデータと定義しています。また高度情報通 信ネットワーク社会推進戦略本部5は、「機械判読に適したデータ形式を営利目的も含めた二 次利用が可能な利用ルールで公開すること」としています。オープンデータ流通推進コン ソーシアム6でも、「営利目的も含めた二次利用が可能な利用ルールで公開された、機械判読 に呈したデータ形式のデータである」としています。このように日本国内においては、国 外と同様に二次利用を謳っていますが、それに伴って機械判読に適したデータ形式につい ても前面に押し出していることが分かります。 2一般社団法人オープン・ナレッジ・ファウンデーション・ジャパン公式ホームページ「オープンデータを 定義する」より(http://okfn.jp/2014/03/23/defining-open-data/)2015 年 1 月 27 日現在。

3 W3C Working Group「Linked Data Glossary」より

http://linkedopendata.jp/linkeddataglossary/NOTE-ld-glossary-20130627-ja.html#linked-open-data) 2015 年 1 月 27 日現在。 4 総務省「「オープンデータ」と言えるための条件」より (http://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/ictseisaku/ictriyou/opendata/opendata01.html)2015 年 1 月 27 日現在。 5高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部「電子行政オープンデータ推進のためのロードマップ」より (http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/densi/)2015 年 1 月 27 日現在。 6 オープンデータ流通推進コンソーシアム(2014)「オープンデータガイド第1 版~オープンデータのため のルール・技術の手引き」より。 表  オープンデータの様々な定義 出典:著者作成。

日本国外でのオープンデータの定義は、英国のOpen Knowledge Foundation2によると、

「目的を問わず、誰でもどこででも自由に利用し、共有し、構築のベースにすることがで きるデータ」としています。W3C Working Group3によると、「再利用を許すオープンライ

センスのいずれかに基づき公開のWeb 上に公開される Linked Data のこと」としており、 二次利用や誰でも利用ができることを指しています。 対して日本国内では、総務省4は、「機械判読に適したデータ形式」であり、「二次利用が 可能な利用ルール」を明示したものをオープンデータと定義しています。また高度情報通 信ネットワーク社会推進戦略本部5は、「機械判読に適したデータ形式を営利目的も含めた二 次利用が可能な利用ルールで公開すること」としています。オープンデータ流通推進コン ソーシアム6でも、「営利目的も含めた二次利用が可能な利用ルールで公開された、機械判読 に呈したデータ形式のデータである」としています。このように日本国内においては、国 外と同様に二次利用を謳っていますが、それに伴って機械判読に適したデータ形式につい ても前面に押し出していることが分かります。 2一般社団法人オープン・ナレッジ・ファウンデーション・ジャパン公式ホームページ「オープンデータを 定義する」より(http://okfn.jp/2014/03/23/defining-open-data/)2015 年 1 月 27 日現在。

3 W3C Working Group「Linked Data Glossary」より

http://linkedopendata.jp/linkeddataglossary/NOTE-ld-glossary-20130627-ja.html#linked-open-data) 2015 年 1 月 27 日現在。 4 総務省「「オープンデータ」と言えるための条件」より (http://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/ictseisaku/ictriyou/opendata/opendata01.html)2015 年 1 月 27 日現在。 5高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部「電子行政オープンデータ推進のためのロードマップ」より (http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/densi/)2015 年 1 月 27 日現在。 6 オープンデータ流通推進コンソーシアム(2014)「オープンデータガイド第1 版~オープンデータのため のルール・技術の手引き」より。 表  オープンデータの様々な定義 出典:著者作成。

日本国外でのオープンデータの定義は、英国のOpen Knowledge Foundation2によると、

「目的を問わず、誰でもどこででも自由に利用し、共有し、構築のベースにすることがで きるデータ」としています。W3C Working Group3によると、「再利用を許すオープンライ

センスのいずれかに基づき公開のWeb 上に公開される Linked Data のこと」としており、 二次利用や誰でも利用ができることを指しています。 対して日本国内では、総務省4は、「機械判読に適したデータ形式」であり、「二次利用が 可能な利用ルール」を明示したものをオープンデータと定義しています。また高度情報通 信ネットワーク社会推進戦略本部5は、「機械判読に適したデータ形式を営利目的も含めた二 次利用が可能な利用ルールで公開すること」としています。オープンデータ流通推進コン ソーシアム6でも、「営利目的も含めた二次利用が可能な利用ルールで公開された、機械判読 に呈したデータ形式のデータである」としています。このように日本国内においては、国 外と同様に二次利用を謳っていますが、それに伴って機械判読に適したデータ形式につい ても前面に押し出していることが分かります。 2一般社団法人オープン・ナレッジ・ファウンデーション・ジャパン公式ホームページ「オープンデータを 定義する」より(http://okfn.jp/2014/03/23/defining-open-data/)2015 年 1 月 27 日現在。

3 W3C Working Group「Linked Data Glossary」より

(http://linkedopendata.jp/linkeddataglossary/NOTE-ld-glossary-20130627-ja.html#linked-open-data) 2015 年 1 月 27 日現在。 4 総務省「「オープンデータ」と言えるための条件」よりhttp://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/ictseisaku/ictriyou/opendata/opendata01.html)2015 年 1 月 27 日現在。 5高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部「電子行政オープンデータ推進のためのロードマップ」より (http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/densi/)2015 年 1 月 27 日現在。 6 オープンデータ流通推進コンソーシアム(2014)「オープンデータガイド第1 版~オープンデータのため のルール・技術の手引き」より。 表  オープンデータの様々な定義 出典:著者作成。

日本国外でのオープンデータの定義は、英国のOpen Knowledge Foundation2によると、

「目的を問わず、誰でもどこででも自由に利用し、共有し、構築のベースにすることがで きるデータ」としています。W3C Working Group3によると、「再利用を許すオープンライ

センスのいずれかに基づき公開のWeb 上に公開される Linked Data のこと」としており、 二次利用や誰でも利用ができることを指しています。 対して日本国内では、総務省4は、「機械判読に適したデータ形式」であり、「二次利用が 可能な利用ルール」を明示したものをオープンデータと定義しています。また高度情報通 信ネットワーク社会推進戦略本部5は、「機械判読に適したデータ形式を営利目的も含めた二 次利用が可能な利用ルールで公開すること」としています。オープンデータ流通推進コン ソーシアム6でも、「営利目的も含めた二次利用が可能な利用ルールで公開された、機械判読 に呈したデータ形式のデータである」としています。このように日本国内においては、国 外と同様に二次利用を謳っていますが、それに伴って機械判読に適したデータ形式につい ても前面に押し出していることが分かります。 2一般社団法人オープン・ナレッジ・ファウンデーション・ジャパン公式ホームページ「オープンデータを 定義する」より(http://okfn.jp/2014/03/23/defining-open-data/)2015 年 1 月 27 日現在。

3 W3C Working Group「Linked Data Glossary」より

http://linkedopendata.jp/linkeddataglossary/NOTE-ld-glossary-20130627-ja.html#linked-open-data) 2015 年 1 月 27 日現在。 4 総務省「「オープンデータ」と言えるための条件」よりhttp://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/ictseisaku/ictriyou/opendata/opendata01.html)2015 年 1 月 27 日現在。 5高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部「電子行政オープンデータ推進のためのロードマップ」より (http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/densi/)2015 年 1 月 27 日現在。 6 オープンデータ流通推進コンソーシアム(2014)「オープンデータガイド第1 版~オープンデータのため のルール・技術の手引き」より。 5 高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部「電子行 政オープンデータ推進のためのロードマップ」より(http:// www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/densi/)2015 年 1 月 27 日現 在。 6 オープンデータ流通推進コンソーシアム(2014)「オープ ンデータガイド第 1 版~オープンデータのためのルール・技 術の手引き」より。 7 Tim Berners-Lee「5 つ 星 オ ー プ ン デ ー タ」 より (http://5stardata.info/ja/)2015 年 1 月 27 日現在。 出典:著者作成。

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自治体におけるオープンデータ化の現状と今後 も利用可能な状態とし、公開する行政データは 人手をかけずに再利用・再配布が可能であり、 オープンにされた行政データは、使い道や人種、 所属団体を問わず誰でも利用できるという、3 図 2-2 オープンデータの指標 また「機械判読に適したデータ形式」とは、Berners-Lee が提言した「5つ星オープンデ ータ」7が合致すると考えられます。 Berners-Lee はオープンデータについて、5つの段階があるとしており、図 2-2 の通り、 オープンデータの指標を提言しています。 図  オープンデータの指標 出典:%HUQHUV/HH の「5つ星オープンデータ」を基に加筆。 1つ星のオープンデータでは、どのような形式のデータでもクリエイティブ・コモンズ のようなオープンライセンスを付与した上で、ウェブサイトに行政データを公開すること を指しています。2つ星のオープンデータは、Excel や Word 等の一部のソフトウェアが必 要となってくるが、構造化された方法でウェブサイトに公開されていることを指していま す。3つ星オープンデータでは、行政データを使用できる状態で公開しているのみです。 4つ星オープンデータでは3つ星オープンデータと異なり、ウェブサイトの中に行政デー タが存在しており、ウェブサイト上で行政データを共有することが可能となり、二次利用 が可能な状態であるとしています。5つ星オープンデータは、4つ星オープンデータが他 の情報やデータにリンクし、ネットワーク外部性の利益を得ることができるような行政デ ータを指しています。 以上のように、1つ星から5つ星のオープンデータに段階が上がっていくことで、可用

7 Tim Berners-Lee「5 つ星オープンデータ」より(http://5stardata.info/ja/)2015 年 1 月 27 日現在。

図 2-3 弊社のオープンデータ3原則 出典:Berners-Lee の「5つ星オープンデータ」を基に加筆。

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特集:オープン・イノベーション時代と自治体 つの原則に基づいて行政データを公開すること を、オープンデータとしています。 3.オープンデータに対する取り組み 3-1.堺市におけるオープンデータの取り組 みについて 弊社では堺市や様々な自治体のオープンデー タに対する取り組みを微力ながらお手伝いをさ せていただいています。お手伝いを進めていく 中で、想定していなかった様々な課題が多く表 出されました。その様々な課題は、今回お手伝 いさせていただいている堺市や自治体特有の課 題ではなく、むしろ地域住民に向けての行政 サービスはほぼ同様のサービスを提供している と考えられるため、他の自治体においても例に 漏れず同様の課題に直面すると考えます。 以上を踏まえ、今回得た課題へのアプローチ や今後、オープンデータに対する取り組みを実 施していく自治体にとって、一定の示唆を与え られるものになると考えます。 3-2.弊社の考えるオープンデータの取り組 み方法 弊社ではオープンデータに取り組む自治体に 対して、自治体が持つ行政データをまずはオー プンデータとして公開していただくために、 オープンデータカタログサイトの構築のお手伝 いをしています。 そのために、決めなくてはならない4つのこ とが存在します。 ①各ウェブサイト分割について 弊社では、オープンデータカタログサイトを 自治体の公式ホームページとは別のウェブサイ トとして構築することをお勧めしています。 自治体の公式ホームページで配信する情報 は、市政情報の即時配信や書類の様式等をダウ ンロードできるように配信、自治体が今まで公 開してきた情報のアーカイブ化等、日々の更新 による定常的な配信、大量な情報公開によって 運営されています。そのため、情報公開の精神 に基づいて、地域住民向けの情報を「人が見て 分かりやすい」形式で提供していると言えます。 一方でオープンデータカタログサイトでは、統 計情報等を時系列で確認でき、位置情報、画像 等の素材情報等、地域住民が要求した行政デー タを取り扱い、オープンデータの更新は地域住 民からの要求があったとき、もしくは予め定め ておいた更新時期に定期的に更新する、という 運営方法です。そのため、自治体にストックさ れている情報や行政データを、地域住民のニー ズに応じて「機械判読に適した」形式で提供し ています。 以上のように、ウェブサイトの形式の目的が 異なり、また表 3-1 の内容も踏まえた上で鑑み た場合、弊社ではオープンデータカタログサイ トを自治体の公式ホームページとは別のウェブ サイトとして構築することをお勧めしていま す。 ②運用フローについて オープンデータカタログサイトを運用するた めのフローを策定する前に、まずはオープン 表 3-1 ウェブサイト分割することのメリットとデメリット 出典:著者作成。

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自治体におけるオープンデータ化の現状と今後 データを公開するにあたって、またオープン データカタログサイトを公開後の運用及びウェ ブサイト担当者の業務に関わるルールの策定及 び決定しなくていけない事項が5つあります。 オープンデータを公開するにあたってのルー ルとして、オープンデータを提供するにあたっ ての利用ルールと公開するオープンデータの洗 い出しを決めなくてはいけません。前者では、 今回公開する各々のオープンデータに対して、 その改変や著作権の及ぶ範囲等、適用すべき利 用ルールを選定します。また後者では、自治体 が持っている各種の行政データをオープンデー タとして公開しうる対象を決定・リストアップ し、そのリストに基づいて各担当部局に対して データの提供を依頼します。 またオープンデータカタログサイトを公開後 の運用及びウェブサイト担当者の業務に関わる ルールとして、データセットと組織との1セッ ト毎にまとめるようルールを決めたり、データ を登録する担当者とその手順を明確にし、アカ ウント発行申請手順やオープンデータの登録承 認手続き方法等のオープンデータの登録方法や 管理規則を決定します。最後にオープンデータ カタログサイトの利便性を左右するグループや タグを設定し、各オープンデータはどこのグ ループやタグに所属するのかを決定しなければ いけません。 弊社では、以上のルールや決定事項に対して、 事例の紹介やアドバイス等でお手伝いをさせて いただいています。これらの内容が決定次第、 図 3-1 の運用フローが流れるようになります。 ③オープンデータ作成・公開ルールについて 次は行政データをオープンデータにするにあ たって、オープンデータ流通推進コンソーシア ム(2014)にも指針が発表されているように、 指針のとおりにオープンデータ化をしていただ いています。このオープンデータ化をしていた だき、オープンデータとして公開するためには、 既存の情報発信業務と同様に、3つのルールを 策定する必要があります。 まずはオープンデータの利用規約です。オー プンデータの公開にあたり、公開することの意 義や利用に関する規約を制定し、オープンデー タカタログサイトへ掲載する必要があります。 またオープンデータの運用ルールとして、オー プンデータは通常のホームページ更新時等と同 様に、どの原課がどのように責任を持つのかを 踏まえた手順を決定する必要もあります。最後 に各オープンデータの更新にあたっての権限の 付与及びその権限の付与範囲の管理も必要と なってきます。 ④その他 上記以外にも、公開されたオープンデータに ついて「人が見てどのようなオープンデータな のかがわかる」ためのメタデータの記述方法や、 オープンデータカタログサイトのメンテナンス において、公開されたオープンデータの問い合 わせの一次窓口やオープンデータ以外の公開情 図 3-1 オープンデータ要求から公開までの運用フロー 以上のように、ウェブサイトの形式の目的が異なり、また表3-1 の内容も踏まえた上で鑑 みた場合、弊社ではオープンデータカタログサイトを自治体の公式ホームページとは別の ウェブサイトとして構築することをお勧めしています。 ②運用フローについて オープンデータカタログサイトを運用するためのフローを策定する前に、まずはオープ ンデータを公開するにあたって、またオープンデータカタログサイトを公開後の運用及び ウェブサイト担当者の業務に関わるルールの策定及び決定しなくていけない事項が5つあ ります。 オープンデータを公開するにあたってのルールとして、オープンデータを提供するにあ たっての利用ルールと公開するオープンデータの洗い出しを決めなくてはいけません。前 者では、今回公開する各々のオープンデータに対して、その改変や著作権の及ぶ範囲等、 適用すべき利用ルールを選定します。また後者では、自治体が持っている各種の行政デー タをオープンデータとして公開しうる対象を決定・リストアップし、そのリストに基づい て各担当部局に対してデータの提供を依頼します。 またオープンデータカタログサイトを公開後の運用及びウェブサイト担当者の業務に関 わるルールとして、データセットと組織との1セット毎にまとめるようルールを決めたり、 データを登録する担当者とその手順を明確にし、アカウント発行申請手順やオープンデー タの登録承認手続き方法等のオープンデータの登録方法や管理規則を決定します。最後に オープンデータカタログサイトの利便性を左右するグループやタグを設定し、各オープン データはどこのグループやタグに所属するのかを決定しなければいけません。 図  オープンデータ要求から公開までの運用フロー 出典:著者作成。 以上のように、ウェブサイトの形式の目的が異なり、また表 3-1 の内容も踏まえた上で鑑 みた場合、弊社ではオープンデータカタログサイトを自治体の公式ホームページとは別の ウェブサイトとして構築することをお勧めしています。 ②運用フローについて オープンデータカタログサイトを運用するためのフローを策定 する前に、まずはオープ ンデータを公開するにあたって、またオープンデータカタログサイトを公開後の運用及び ウェブサイト担当者の業務に関わるルールの策定 及び決定しなくていけない事項が5つあ ります。 オープンデータを公開するにあたってのルールとして、オープンデータを提供するにあ たっての利用ルールと公開するオープンデータの洗い出しを決めなくてはいけません。前 者では、今回公開する各々の オープンデータに対して、その改変や著作権の及ぶ範囲等、 適用すべき利用ルールを選定します。また後者では、自治体が持っている各種の行政デー タをオープンデータとして公開しうる対象を決定・リストアップ し、そのリストに基づい て各担当部局に対してデータの提供を依頼します。 またオープンデータカタログサイトを公開後の運用及びウェブサイト担当者の業務に関 わるルールとして、データセットと組織との1セット毎にまとめるようルールを決めたり、 データを登録する担当者とその手順を明確にし 、アカウント発行申請手順やオープンデー タの登録承認手続き方法等のオープンデータの登録方法や管理規則を決定します 。最後に オープンデータカタログサイトの利便性を左右するグループやタグを設定し 、各オープン データはどこのグループやタグに所属するのかを決定しなければいけません。 図  オープンデータ要求から公開までの運用フロー 出典:著者作成。 出典:著者作成。

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28 特集:オープン・イノベーション時代と自治体 Urban vol.27 報に関しての更新について、一定のルールを定 めなくてはいけません。また地域住民や民間企 業等の要求に応じて提供するオープンデータの 作成ルールの徹底のためにも、職員研修を実施 し、オープンデータの意味や意義の啓蒙活動が 必要となってきます。さらには新たに導入され るオープンデータカタログサイトの管理システ ムや運用フローについても同様に職員研修は必 要となります。 3-3.課題とその解決へのアプローチ 実際にオープンデータカタログサイトを公開 するにあたって、様々な庁内の調整があります。 例えば、庁内での合意形成のための活動やオー プンデータの公開とそのオープンデータを利用 するにあたっての計画、そして公開したオープ ンデータのメンテナンスや運用体制の確立等が 挙げられます。 自治体によって、担当者の立場によって各項 目の調整方法や対応は異なりますが、自治体が 持つ行政データをオープンデータとして公開し ていくにあたって、これらの調整事項は避けて 通ることはできません。 そのような中で様々な原課から、図 3-2 のよ うな5つの質問をよくいただきます。 オープンデータとは、2-4でも挙げたよう に「政府や自治体の行政データを二次利用可能 なオープンライセンスで公開し、地域住民や民 間企業が誰でも自由に利用できるデータ」です。 オープンデータの公開という行為は従来の情報 公開とは異なり、地域住民の要求に応じて情報 を提供するのではなく、事前に自治体の責任に よって準備されたオープンデータカタログサイ ト等でオープンデータ等を公開することが前提 となっています。さらに提供されるオープン データは、コンピュータでの処理に適した形式 であることが望まれており、その行政データを 営利・非営利に関わらず自由に利用できること が大きな特徴でもあります。 すなわち、1つ目の質問である「既存の市の 公式ホームページへ公開しているデータとの違 い」は、既存の市のホームページは地域住民や 民間企業に向けて、各々のニーズに応じて行政 情報をリアルタイムに公開し、情報を取得して もらうためのウェブサイトであるという考え方 に基づき運営されているものであり、データを 公開するためのウェブサイトとは別物である、 ということをお伝えしています。データ公開用 のオープンデータカタログサイト等は、あくま でも「オープンデータ」というデータを、地域 住民や民間企業のニーズに応じて公開するウェ ブサイトです。さらに利用者でもある地域住民 や民間企業が、スムーズに取得・利用すること を目的に作成されるべきものであり、これに特 化することによって初めてオープンデータを有 効に活用することが可能となります。 次に、「既に公開しているデータとオープン データの二重管理と公開責任について」「オー プンデータに適したデータ形式へと変換する手 間」「オープンデータの悪用への危惧」の3つ の質問については、前述の公開媒体の違いと同 様の視点から考えることでお答えすることが可 能です。 3つの質問の中でも「オープンデータに適し たデータ形式へと変換する手間」は、図 3-3 に もあるように、公開されるオープンデータが機 械判読に適していることが求められているた め、データ形式の変換が必要であるということ に依存しているためです。 またオープンデータは、データ公開用のオー プンデータカタログサイト等にて公開する限 り、二重管理については一定の範囲で避けられ ない問題ではあります。しかし、この「既に公 開しているデータとオープンデータの二重管理 と公開責任について」の指摘、及び「オープン データの悪用への危惧」は運用上のルールと、 図 3-2 様々な原課からいただく5つの質問 図  様々な原課からいただく5つの質問 出典:著者作成。 オープンデータとは、2-4でも挙げたように「政府や自治体の行政データを二次利用 可能なオープンライセンスで公開し、地域住民や民間企業が誰でも自由に利用できるデー タ」です。オープンデータの公開という行為は従来の情報公開とは異なり、地域住民の要 求に応じて情報を提供するのではなく、事前に自治体の責任によって準備されたオープン データカタログサイト等でオープンデータ等を公開することが前提となっています。さら に提供されるオープンデータは、コンピュータでの処理に適した形式であることが望まれ ており、その行政データを営利・非営利に関わらず自由に利用できることが大きな特徴で もあります。 すなわち、1つめの質問である「既存の市の公式ホームページへ公開しているデータと の違い」は、既存の市のホームページは地域住民や民間企業に向けて、各々のニーズに応 じて行政情報をリアルタイムに公開し、情報を取得してもらうためのウェブサイトである という考え方に基づき運営されているものであり、データを公開するためのウェブサイト とは別物である、ということをお伝えしています。データ公開用のオープンデータカタロ グサイト等は、あくまでも「オープンデータ」というデータを、地域住民や民間企業のニ ーズに応じて公開するウェブサイトです。さらに利用者でもある地域住民や民間企業が、 スムーズに取得・利用することを目的に作成されるべきものであり、これに特化すること によって初めてオープンデータが有効に活用することが可能となります。 次に、「既に公開しているデータとオープンデータの二重管理と公開責任について」「オ ープンデータに適したデータ形式へと変換する手間」「オープンデータの悪用への危惧」の 3つの質問については、前述の公開媒体の違いと同様の視点から考えることでお答えする ことが可能です。 3つの質問の中でも「オープンデータに適したデータ形式へと変換する手間」は、図3-3 にもあるように、公開されるオープンデータが機械判読に適していることが求められてい るため、データ形式の変換が必要であるということに依存しているためです。 またオープンデータは、データ公開用のオープンデータカタログサイト等にて公開する 出典:著者作成。

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29 自治体におけるオープンデータ化の現状と今後 Urban vol.27 オープンデータの公開ポリシー上での言及へと 換言することで解消を図ることができます。特 に、二重管理については既存の市のホームペー ジ・データ公開用のオープンデータカタログサ イト等のウェブサイトのいずれかを管理するシ ステムへの拡張による対応等が考えられるた め、特段の問題はないと考えています。実際に 運用が始まるまでの不安から発せられる質問で あるため、そもそものオープンデータの意味や 意義について、正しく庁内において浸透させる ことで解消することが可能であると考えます。 最後に、「オープンデータを公開することで 伴うメリットを担保するもの」への答えは、オー プンデータ公開による経済効果等、様々なレ ポートが公開されている中で、自治体業務とし てオープンデータを公開することによる効果検 証が必要であるという考えのもと、オープン データの公開によって、地域住民及び民間企業 との協働モデル等を推進することが容易になる と考えます。現在、人口減少やそれに伴う税収 の減少、職員数の減少という厳しい状況の中で、 自治体は地域住民の様々なニーズに応える様々 なサービスを提供し、さらにレベルを一定以上 に保つのは非常に困難であると考えられます。 従来であれば、「ヒト・モノ・カネ」を直接行 政の主体者である自治体として提供することが 責務でしたが、現在、提供するサービスはその ままに、従来に加えて「情報」が加わり始めて いることを指しています。すなわち、地域住民 自らが地域課題を発見し、課題解決に寄与でき るような枠組みづくりの最大の材料がオープン データであると言えるのです。 4.今後のオープンデータとの関わり方 今後のオープンデータの取り組みを考える上 で、オープンデータを公開するにあたって、い かにルールを策定し、オープンデータを公開す る目的を明確にし、自治体内で正しく共有した 上で地域住民や民間企業等にも共有することが 最も重要であると考えます。 オープンデータは公開するのみではなく、活 用されることでオープンデータそのものの意味 があります。公開することを目的にするのでは なく、その後の地域住民や民間企業等の活用を 促すような様々な取り組みまでを含めて検討す ることが必要です。 最後に、公開したオープンデータを活用する 事例として、米国のオープンデータ円卓会議に ついて記述します。 オープンデータから様々な価値を生み出すま でには、自治体のみではなく地域住民や民間企 業によるオープンデータの活用や協力がなくて は実現不可能だと考えます。国内でも、実際に 多くの自治体が様々なオープンデータを公開し ていますが、その利用を促進することについて は、一定の困難さがあることが見受けられます。 それは、オープンデータの認知を広めることや オープンデータの利用促進を図るために今まで に使用したことのない様々なツールを取り扱っ たり、地域住民を巻き込むためのイベントの開 催等です。 図 3-3 オープンデータと言えるための条件 ープンデータの悪用への危惧」は運用上のルールと、オープンデータの公開ポリシー上で の言及へと換言することでの解消を図ることができます。特に、二重管理については既存 の市のホームページ・データ公開用のオープンデータカタログサイト等の両ウェブサイト のいずれかを管理するシステムへの拡張による対応等が考えられるため、特段の問題はな いと考えています。実際に運用が始まるまでの不安から発せられる質問であるため、そも そものオープンデータの意味や意義について、正しく庁内において浸透させることで解消 することが可能であると考えます。 図  オープンデータと言えるための条件 出典:総務省「「オープンデータ」と言えるための条件」より抜粋。 最後に、「オープンデータを公開することで伴うメリットを担保するもの」への答えは、 オープンデータ公開による経済効果等、様々なレポートが公開されている中で、自治体業 務としてオープンデータを公開することによる効果検証が必要であるという考えの基、オ ープンデータの公開によって、地域住民及び民間企業との協働モデル等を推進することが 容易になることだと考えます。現在、人口減少やそれに伴う税収の減少、ひいては職員数 の減少という厳しい状況の中で、自治体は地域住民の様々なニーズに応える様々なサービ スを提供し、さらにレベルを一定以上に保つのは非常に困難であると考えられます。従来 であれば、「ヒト・モノ・カネ」を直接行政の主体者である自治体として提供することが責 務でしたが、現在、提供するサービスはそのままに、従来に加えて「情報」が加わり始め ていることを指しています。すなわち、地域住民自らが地域課題を発見し、課題解決に寄 与できるような枠組みづくりの最大の材料がオープンデータであると言えるのです。 4.今後のオープンデータとの関わり方 今後のオープンデータの取り組みを考える上で、オープンデータを公開するにあたって、 出典:総務省「「オープンデータ」と言えるための条件」より抜粋。

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特集:オープン・イノベーション時代と自治体 多くの自治体では、苦労して公開したにも関 わらず、そのオープンデータを利活用してもら うはずの地域住民や民間企業等との接点や、ど のような行政データがオープンデータとして ニーズがあるのかを把握する機会が乏しいとい うことが現状です。 2014 年 5 月に発表された「米国オープンデー タ行動計画」8では、利便性の高いオープンデー タや優先度の高いオープンデータを公開し続け るための行動例が提示されています。その中で も米国政府等では、オープンデータを提供する 自治体と、利用者である地域住民や民間企業、 市民団体との間で、オープンデータへの取り組 みについてフィードバックの機会を設けること こそが、今後取るべき行動の1つとして記載さ れています。 米国では政府が提供しているオープンデータ の利用に関する様々な課題に関して、政府組織 と企業が直接対話できる「オープンデータ円卓 会 議(Open Data Roundtable)」 が 2014 年 6 月と8月に開催されました。オープンデータが もたらすメリットを明らかにするとともに、実 際に要求されているオープンデータやオープン データの形式を把握することができるため、今 後も継続した開催を図っています。 このような取り組みは政府レベルでの実施だ けではなく、直接行政を担う自治体レベルにお いても実施していくことが求められると考えら れます。 5.おわりに オープンデータを公開することで導かれる日 本の未来は、現状では多少極端な未来なのかも 知れません。しかし、自治体が自ら持つ行政デー タの利活用に重きを置き、地元の地域住民や民 間企業、市民団体等が自らを主体者として各自 の持つノウハウやスキル、あるいは資金等を オープンデータに結びつけ、それらを出し惜し みせずに地域社会全体で共有する世界であると 考えます。 現在、少子高齢化等に象徴される人口減少や 定住問題への対応を行っていく中で、自治体は 収入源の確保と支出の引き締め、あるいはそれ らに端を発する職員数の減少に伴う業務量の増 加に苦悩していることは想像するに難しくあり ません。 オープンデータの取り組みは、このような厳 しい状況の中で自治体自らが存続するために自 らの予算を大きく割くことなく、地域住民へ豊 かで安心できる環境を提供することのできる サービスやアプリケーション等の新たな仕組み を作り出すことができると考えられます。 今までと同様に、単なる情報公開の一環とし て各種行政データを公開するのではなく、自治 体自らもが地域を構成するひとつの要素である ことの意識を持つことが必要になってきている のだと考えます。その上で、自治体が地域住民 と同じ目線まで降りてくる覚悟としたたかさを 隠すことなく持っておくことが、非常に重要に なってくると考えます。 参考文献 オ ー プ ン デ ー タ 流 通 推 進 コ ン ソ ー シ ア ム (2014)「オープンデータガイド第 1 版~オープ ンデータのためのルール・技術の手引き」

8 U.S. Open Data Action Plan より

(http://www.whitehouse.gov/sites/default/files/ microsites/ostp/us_open_data_action_plan.pdf)2015 年 1 月 27 日現在。

図 2-3 弊社のオープンデータ3原則出典:Berners-Lee の「5つ星オープンデータ」を基に加筆。

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