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リス語の研究 : タイ国ターク県におけるリス族の言葉の予備報告 [A Preliminary Study on the Lisu Language in Tak Province]

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(1)

タ イ 国 タ ∼ ク 県 に お け る リ ス 族 の 言 葉 の 予 備 報 告

-西

Apreliminary stlldy on theIJisu langllagein Yak province by

TatsuoNISHIDA

ま え が き 1965年 1月8日, わ た くLは チ ェ ンマ イか らジプを とば して タ クに到 着 した.翌 日タ -ク県 庁 か ら回 され た ジープで町 か ら38kmの地点 にあ るNikhomを お とず れ たo クー クの Nト khomの管 轄 内には, ラフ ・ナ族 (Nikhomか ら約 0.5km の地点 にあ る), リス族 (約 3kmの 地点 ), およ び ミヤオ族 (約 5kmの地点) の三 つ の部落 が あ る。 わ た くLは, まず ラフ ・ナ語 の調査 か らは じめ, その調査 を い ちお う終 え た1月 の終 り頃か ら, リス族 の言葉 の調査 に と りか か った。 ここに発表 す るのが ,その タ- クの リス語 につ いての予 備 的 な調査 報告 で あ る0本 稿 は, リ ス語 の音 素 構造 お よび文法体 系 を概 略「倒 こ記述 す る ことを 目標 と して い る。1) Ⅰ リス語 の分布 地 域 と従来 の研究

1

.

リス語 の分布 地 域 はか な り広 い範 囲 におよん で い る。 まず リス族 の本拠 地 と考 え得 るltj 国雲 南省 の西 部 か らビル マ との国境 地域一 帯 に もっと も多 くの リス族 が い る. この地域 か ら, 西 と南 に下 って ビル マの カチ ン州 の東部 およ び西部 の地 域 とシャ ン州 の束 の地域 , そ してず っ と南下 して タ イ国北部 の数県 に, リス族 は点 在 して い る。2) したが って,現 在 わか って い る限 りで , リス族 の分布 地 域 を大 き くわ け る と,つ ぎの 四つ にな る。3) 1) この調査に多 くの援助を与えて下 さったタイ国学術研究会議な らびに内務省 とくに Nikhom の方 々に厚 く感謝 しなければならない。わた くしの今回の言語調査については,つぎの拙稿をみ られたい。 西田龍雄 「タイ国北部の言語調査について」『東南アジア研究』3巻3号, 「アカ語の音素体系- タイ 国北部における山地民アカ族の言語の記述的研究」『音声科学研究

Ⅳ1965/66

,

「ビス語の研究」『東 南アジア研究』4巻1号。

2) F.M.Lebar,G.C.Hickeyand

J

・K.Musgrave,"Ethnicgroupsofmainland Southeast Asia,"HRAF.1964.p.27一参照。

3) この分類は,便宜的なものとしてかりに掲げたものであって,今の段階では厳密な分類は出来ない。

(2)

-西 田 :リスUjの 研 究 A

申国

雲 南省

a.怒 江 リス 娠 自治 州 b.騰越

(

今の

騰衝)

周 辺 C. 辻Ti江 二専区な ど数 地点

B ビル マ ・カ チ ン州

a. マ イ カ(Nmaihka)a)上 流 地 域 b . ブ タ オ 周 辺 C. モ ゴ ク(Mogak)周辺

C ビル マ ・シャ ン州 a. バ モ 周辺 b

.

南 シャ ン州 D タ イ国北 部 の諸 県 a. チ ェ ン ライ

, メ ・ス ワ イ周辺 b. チ ェ ンマ イ県 , チ ェ ンダ オ 川辺 C. メ ∼ ホ ンソ ン県 ,束瑞上し抽 一覧 d. ク ー ク

, タ - ク周辺4) リス 族 の 分 布 は , この よ う に

国 , ビル マ, タ イ三 力匡圧二 ま た が る広 い地 域 にわ た って い るた め に, それ らの 部 族 間 の 方 言 もか な り大 きい こ とは十 加 こ予測 で き る。 しか し,こ

らの 地 域 の リス語 で 調 査 され て い な い言 葉 の ほ うが ず っ と多 い た め に, この 予 測 を 全般 に わ た って 推 計 す る こ とは

,

現在 の段 階 で は不 可 能 に近 い。 リス言出 こつ い て の 断 片的 な報 告 は これ まで に い く種 類 か あ った 。 た とえ ば PrinceHenrid' Or-1eansの 旅 行 記 DuTonkinauxIndes(Paris:1898),そ の英 .沢 From Tonkl'ntoIndia(London:1898)につ け られ たわ

ず か な

丑 。ま た そ れ か らj」旧]した G.A.Scottの Gazetteer

ofU

P

PerBurmaandtheShanStates,Pt.1,Voll1 (Ran一 goon:1900)の語 史.Daviesの Yiinnan(Cambridge:1909)

につ け られ た 160語 ほ どの語 某 , Libtardの Notessurles

dialectesL0-10(BEFEO9,1909)に提 供 され た ご く少 数 の語 菓 な ど は, 言 語 学 の 目的 の た め に は使 え な い。

既 発 表 の資 料 の

で , 声 調 表 記 を と もな った信

で き る研

究 と して は , つ ぎの三 つ に限 られ る。

(1) F.0.Fraser,Handbook of theI,zlsu(Yaw),in)

Lan-guage,Rangoon:1922. 図1 リス旗分布図 (A-D地域)

4) リス族の人 口は正確にはわか らないが,Let)arの書物(上掲)では,つ ぎの数字があげ られている。 中国の リス 317,000 (1953年のrll匡トの統計に したが う), ビルマの リス 30,000(Leachはカチ ン地域

の リスを15,000とす る),タイの リス 17,300。 そ して,全人 口はおそ らく40万を こえるだろうとい う。

HapoAl,IBocTOtlHOiiA3HH (1965爪oc王くBa)で も, 同 じく53年の中国の統計 に したが って,中国の

リス族を317,000としているが(p.32),Hapo』もIfor°-BocTOtlHO丘A3I佃 (1966mocKBa)では,1965

年の統計によるとして, ビルマUjリス4万, タイの リス2万計6万人 の数字をあげている(p・17)。

『傑傑 語語法綱要』(1959)によれば,雲南の リス侯は約 235,000人 と報告 しているか ら,全体で30万 人前後 と考え られ る。

(3)

(2) 丙逸夫 「記 栗粟語 言兼 論所 謂 栗粟 文 」歴 史語 言 研究所 業刊 17,1948(pp・303-326) (3) 中国科学 院少 数民族語 言研究所 編 『傑 僕語語 法綱要』北 京 :19590 (1)の資料 は,雲南省 騰越 周辺 の方言 を 中心 に記述 した リス語 入 門書 で あ り,龍 陵 お よび ミー トキ ナ ・バ モー,少 な くとも北部 シャ ン州 の リス族 に共通 の言葉 を対 象 と してい る。 これ は上 記Cの地域 の リス語 を代表 す る と考 えて差支 えが な い。(2)の資料 は,雲南省西部 地域 の花 リス 族 を対 象 と して, その音 素体系 を記 述 した論文 で あ り,基 本語嚢 約270語 が集録 され て い る。 (3)の資料 は,上記 Aの地域 。 リス族 が もっ とも多 く住 む雲 南省怒 江 周辺 の リス語 を対 象 と し, 既発表 の研 究 の うち, もっと も内容 の豊 かな もので あ る。 しか し文法記述 が主 体 で あ って,語 菜 は ま とま った形 で提供 され て はいな い。 この三 つ の資料 か らAの地域 , Bの地域 そ して それ らか らCの地域 の リス語 も概 略推 測で き るが5),

D

の地域 の リス語 につ いて は, ま った くわ か らな か った。 これ まで に断片 的 な報告 さ え も発表 され た こ とが なか った。本稿 が対 象 とす るクー ク周辺 の リス語 も,管見 の及 ぶ 限 り, 筆者 が調査す る以前 には,一 度 も調査 されて いな い。

2.

Daviesが, その著書

Yi

l

nnan,

t

hel

i

nkb

e

t

we

e

nZ

ndi

aandt

heYang-

t

z

e

.

において, リ ス語 を チベ ッ ト ・ビル マ系 の ロ ロ ・グル ープ に入 れ, ラフ語 や ア カ語 に近 い と述 べ て以 来 , こ の言葉 の系統 的帰 属 が定 め られ,一 般 にその分 類法 が受 け入 れ られて い る. しか し, その説 が 果 た して正 しいか ど うかを言語学 的 に論証 され たわ けで はな い。6) R.Shafer の "Phonetique

historiquedeslangueslolo,"(TP.γol.41,1952,pp.1911229)はプ ノイ語 ,ア カ語 と ロ ロ方 言 との比 較研究 を 目指 した もので あ ったが,何故 か リス語 は そ こに含 まれ な か った。 リス語 の比 較言語学 的な研究 は, わ た くしの 「ビル マ語 とロ口語- その声 調体 系 の比 較-

」(

『東 南 ア ジア研究』1巻 4号 ,1964,pp.13-28)において は じめて試 み られ た.拙稿 は と くに トネー ムの 比 較研 究 に よ って, ロロ諸 語 (ニ ー方 言 , ア ヒ方 言)と-ニ語 , リス語 , ビル マ語 との問 に規則 的な対 応 関係 を定立 す る ことを意 図 した もので あ る。 そ こで は リス語 につ いて は上掲 Fraser の書 物 に よ って代表 され るC地 域 の言葉 を用 いた。 しか し, リス語 は比 較研 究 に と って も扱 い 難 い対 象 で あ った。 それ は この言葉 の記述 のむつ か しさに も起 因 して い る。 わた くLはクー ク の リス語 を詞査 す る機 会 を得 た お陰で, ロロ系諸 言語 の比 較研 究 に と って も,新 しい資 料 を加 え る ことにな って, い くつ か の疑 問点 を も解 消す る ことがで きた。 それ につ いて は別 の一 文 に おいて論 じた い。

3.

タ イ国北部 の 山地 民 の間で は,リス語 が もっともむつ か しい言葉 とされ て い る。 リス族 は, ラフ語 や ア カ語 や タイ語 を, まれ には雲南漢語 を も話す ことがで きるが, ラフ人 や ア カ人 で リ ス語 を話す人 は ご く少 ない。第 1に発音 が極 めて厄介 で あ る。 したが って, リス語 の記 述 分析 5) Cの地域の リス語は,筆者が1959年に ミー トキナにおいて調査 したことがあり,少量の資料がある。 6) わた くLはもちろんこの説には賛成であり,それ らの言語の間に多 くの対応関係を発見 している。 278 ー 5

(4)

0-座 田 :リス譜 の 研 究 も容 易 で は な か った。 こ0)調 査 は , タ イ語 を 媒 介 と して行な ったO 質 問 に用 い た タ イ語 を そ の ま ま由訳ll',Jに 置 きか え る こ と もあ った が , 調 査 は短 期 間 な が ら順 調 に い った 。 イ ン フ ォー マ ン トは ,当時42才の 男 性A氏 に な って も ら った。A氏 は リス譜 の ほ か に, タ イ語 と ラ フ語 を 話 した。 そ の ほか のA氏 の 経 歴 につ い て は詳 細 な点 は わ か らない が , リス語 の イ ン フ ォー マ ン トと して は好 適 な1人 で あ った と思 う。 この イ ンフ ォー マ ン トの 一 代 前 に , この 部 落 を 含 む リス族 の一 団 が ビル マ か ら タ イ 国北 部 に移 動 し, 当 時 か ら2年 前 (1963年 ) に そ の

落 全 休 が , チ ェ ン ライ県 , メ ・ス ワ イ (maesaruaj)か ら, ク ー ク県 に 移 住 した。 この 部 落は40戸 ほ どの 小 集 団 で は あ るが8),

現存

す る リス 族 の[車で も っ と も南下 して 現 在 な お そ こに と ど ま って い る唯 一一の 部落 で あ る。9) この リス族 の言 葉 を リス語 タ ー ク方 言 と呼 ん で お きた い。 Ⅲ リス 語 ター ク方 言 の 音素 体 系 つ ぎ に, リス語 (タ ー ク方 言 ) の 音 素 体 系 を 簡 日和 こ記述 す る。

1

.

リス語 の一 つ の形 態 素 は , 大 部分 が- 音 節 で あ る。 そ して- 音 節 は一 種 の トネ - ム(

声調)

を と もな った

C

V ま た は

C

Vn[

Cは

C

C 子 音 結 合 を

,V

Ⅴ 母 音 結 合 を そ れ ぞ れ 含 む ]形 式 を な して い て , そ の ほか の 結 合形 式 は な い。 リス語 の単 純 単 語 は , 1形 態 素 あ る い は そ れ 以 上 の 形 態 素 の 連 続 形 式 を と り, 実 際 に は , 2形 態 素 か ら成 る単 言吾が 圧 倒 的 に多 い か ら, 発 話 の最 小 単位 は, と じた つ な が り闇係 に あ る

C

V・

C

V 形 式 が も っ と も多 い。 まず , 同 系 統 の言 語 に対 して 見 た リス譜 の 音 素 体 系 の 特 徴 を つ ぎ に列 挙 しよ う。10) a.音 節 は す べ て 母音 音 素 で終 わ る開 音 節 で あ る。

C

V

n

と表 記 した の は鼻 音 化

音 を示 して い るO (cf.p.61-)

b.子 音 音 素 体 系 に は, voicelessの seriesと voicedseriesの対 立 が あ る。 (cf.p.55-)

7) たとえば "body"は,Fraserでは gGW 3-d65にな っていて,つ ぎの対応関係をたてたが(拙稿 p・21).

Nyi ktu33 Ahik首22 Hani k&55 Lisu gcLW 3- Bur・ koy

この リス語形を クー ク方言形/koh-dceh/に置 き換えれば,その対応関係が一層明瞭 になる. また, Nyi Ahi Han主 Lisu Bur.

"tolook" ne44 ni44 m033 nyi3 mra軒

は,リス語 に "tolook"

/

t

(王h量ih/ど "tosee''/moh-?ah/ の 2形式があるのがわか って,つぎのよう

に改め ることがで きる。

Nyi Ahi Hani Lisu BUT.

Htolook" ne44 ni4 4 7 nih33 7

"tosee" 7 7 m033 mOh-33 mra

g-8) ター クの リス族 は,その服装か ら黒栗粟,自葉栗,花栗粟の三つに分 ける中国慣用の分類法に した が うと,花実粟 (模様 リス) にあたる。

9) G.Youngによれば,一一度 ター クに移住 した数部落 は,-部落をの こして, もとのチ ェンマイ県に 帰 ったと述べ られている。 (TheHilltribesofNorthernThailand.TheSiam Society,1962. p.28)

10) これは,比較言責吾学的な意図ではな く,言語類型的に見 た意見である。

(5)

C.母音 音 素 体 系 には,普 通 母音 に対 立 す る緊 喉母音(喉頭 を緊 張 させ て発 出す る母 音)のseries が あ る。 (cf.p.62) d.普 通 母音 の音 節 が とる トネー ムの種 類 と緊 喉母 音 の音 節 の と る トネー ムの種 類 とは重複 し た分配 関係 を示 す。 (cf.p.52) e,緊 喉母音 と初 頭子 音 の結 合 には, 限定 関係 は認 め られ な い。 f,リス語 は一 つ の音 素 が相 補 関係 に あ る変 形 (allophone)を もつ こ とが 多 い言 葉 で あ る。換 言 す る と,同 じ音 素 が特定 の環境 にお いて変形 す る傾 向 を強 くもって い る。(cf.pp.58,59,60) g .漢 語 とタ イ語 か ら借 用 され た単 語 が か な り多数 に あ って ,本 来 の リス語 の体 系 に,新 しい特 徴 を加 え て い る. た とえ ば ,CVn音 節 タ イ プを作 る (cf.pp.63,64)

,/

f

/音 素 を加 え る (cf. p.60),特定 の母 音 音 素 結合 を 許す (cf.pp.63,64),下 降型 トー ンを単 独 で用 い る(cf.p.53) な ど。 以 下 , これ らの特 徴 を よ り具 体 的 に記 述 す る。

2.

トネー ム (声 調)

リス語 の トネ ー ムは,高平型 , 中平 型 ,低 平 型 の Ieveltonesと上 昇型 の glidingtoneを基 本 調 とす る register-contourmixedtonesystem を とって い る。 そ して, 上 に列挙 した ご と

く (C.d), この方 言 で は,母音 音 素 に普 通母 音 と緊 喉母音 の 2系 列が あ って, そ の対 立 が トネ ームの型 お よび型 の分 配 関係 と密 接 に結 び付 いて い る. トネー ムの基 本 的 な対 立 関係 は,つ ぎ の例 か ら明 らか で あ る。 普 通 (非 緊 喉) 母 音 緊 喉 母 音 (1) [m〇:cia55:]"to aim" (2) [m〇:cL6 335:

]

"tosee'' (5) [?allm244m2CL6 33:

]

"tobehigh" (3)

7

0 55m〇6 11

]

〟horse" (6) [m頭 22

]

"grass" (4) 【m〇6 35]"doctor" 母 音 音 素 の緊 喉 ・非 緊 喉 の性格 と ト- ン型 の分配 関係 は, リス語 とす で に発表 した ビス語 や ア カ語 の間 でか な り違 って い る。 しか しあ とで述 べ る よ うに, リス語 で普 通 母音 と緊 喉母音 の 差異 が職能 的 な対 立 を示 して い る と認 め るな らば,緊 喉母音 の とる ト- ンの型 が普 通 母音 よ り も少 し高 いregisterで あ って も, (2)の【33]と(5)の[44],(3)の[11]と(6)の【22]ほ, それ ぞれ中 平 型 お よび低平 型 に該 当す る完 全 に補 い合 うallotoneで あ る と言 うこ とがで き る。 したが って , リス語 で意 味 の弁 別 を にな う ト- ン, す なわ ち トネ ー ムは4種 で あ る と認 めて 差 支 えが な い。 こ こで用 い る トネー ムの表 記 法 と母 音 音 素 の二 系 列 に対 す るそ の分 配 関係 を示 す とつ ぎの よ うにな る。 (母 音 の表 記 は母音 音 素 の項 を み られ た い p.6ト) 普通 母音 (非 緊 喉) 緊 喉 母 音 (1) 高平 型

/

m6

h-

?

a

h

/

りtoaim'' 280 - 5

(6)

2-西田 :リス語 の研究

(2) 中平 型

/

moh-

?

ah/

"to see" (5) /?a-mo moJah/ Hto be high"

(4) 上 昇 型

/

m(

)

h

/"doctor"

この基本-JT;TJ_の ほか に, タ イ語 か ら借 用 され た

語 形 式 に下降型トー ンが あ らわ れ る こ とが あ

る。 た とえ ば ,

[ke・.o /1:1]"glass" /ThaikciEW

[lek二441ul:a t:1]Hsaw" < Thaileg,1iaj,N.Tai,lek,Ira [tsa33k`e:41

]

"crocodile" 二Thaic〇〇rakh仝e

この下 降型 は ご く限 られ た 数 の 借 用語 に の み あ らわ れ て , そ れ に対 丑 す る ほか の トー ンを も つ 形 式 が な い か ら,た とえ ば [ke:0 1:1]に対 す る [ke:0 .-'5:] とか [ke:03つ・.]が な い か ら,

これ を 5番 目の トネ ー ムを 代 表 す る トー ン型 とは認 めず ,申 平 叩 お よ び 低 平輿 連 続 の 変 型 と し て扱 って お きた い 。11) この扱 い の 根拠 に は . 慣 用語 で な い 甲語 形式 の 低 平 里 トー ンが , そ CJ/)変 型と して下降 型 を と る現 象 が あ る。 た とえ ば [?a55k`ulfill?冒C16224]≠戸 を 叩 く〟 の 高 ・低 , 低 ∵昇の連 続 に比 べ て ,そ の 伸 上'形 式 で は , [?cL.-,5k`uLfhlmC1117冒21] や戸 を 叩 か ない 'Jの よ うに, 高 ・低 , 低 ・降 に な る。 この [?冒22] と [7号21]は , 明 らか に [-(lA]と [mcLll-]の 環 境 の 違 い に よ る変 型 で あ るo I)ス語 の ト- ンの変 型 現 象 は か な り複 雑 で あ る。 た とえ ば, [m〇fhlguC133gull:655・.]"to sing"に お け る [m〇611guC133]と [gun:655:]の 中平型 と高 平 型 の対 I立は,意 味 に お け る対 立 や

〟と≠唱 う〟を に な う二 つ の形 態 素 を 示 して い る と認 め得るが , 「 ぎの 例 , [tJ`3611pG55Zq2?

]

"man" [gua33tJ`〇611]Hfriend"

[tJ`〇655m〇611]=01d person" [1aR11tr〇655]…human"

に お け る [tJ`〇611] と [tf`〇655]は , 同一 形 態 素 の 変型と して扱 わ ざ るを得 な い 012' しか し, この2形 式 は, 同 じ環 境 に あ らわ れ て , そ の 変 型 の 条 件 が す っか り明 らか で は な い 。

この こ と と関 連 して , [?ct6-]に は じま る

語 の トー ンに-日 、て 論 じ よ う。 [?CIR-]を第 一 形

態 素 とす る単 語 の トー ン連 続 に は , い ち お う四つ の タ イ プを 設 定 で き る。

i) 高 ・低 型 ii) 低 ・高型 iii) 低 ・11哩 iv) 低 ・昇 輿 。

例 i) [?cL55n浦 11]Hdog'' [?C155I)922]``buffaloH [?cL55t`Q611

]

"knife" [?cL55V質 23

]

"pig"

ii) [?cLll t〇6 5 5

]

"fire

"

Pc111 t`

u

6 5 5]"th ick"

[?CHIJi'・55

]

"wide"

ll) これ らの音節は, リス語 としては Lke:14] [0:41]/keh

-

7

8

h/He

14日 1ul:41日 cl:11

]/1

e

ltuh 'ah/[tsa33][k`e:41]/tsah/kheh?さh/と分析す る。

12) か りに [tJ`〇655]/tshbh/を基本形式 として, [tJ`〇611]はその変 形として扱 う(⊃

(7)

iii) [?cLllmg 44]"high" [?a llm,q 14]"who"

[?alltS`tn6 33]〃true" [?cLllti6 33]"few"

iv) [70lltPiA 35]"breastofwoman"

[

?Gilt

J

`〇丘 35]Haxe"

[?cLllj浦 35Z911]"lizard" [?qll叫記丘 35tSuJ6 33]"cat" も し,[?cL-]には じま る単語 が,すべて この四種 の タイプ に属す るのな らば, 核形 態素 の低 平型 トー ンが, この変 調を決定 づ けてい る と言 うことが可能 で あ る。 〔先 行形 態素〕 高 平型 〔核形態素〕 低平型 低年型 高平, 中平,上 昇型 しか し,実 際 には核形態素 が低平型 以外 の場 合 に, この原 則 に反す る例 が少 数 出て くる。 [70 55PQ丘 55] "grandfather" [70 55n244]"beans"

[?0 33muユ6 33S史22]Hnow"

ト06]に終 わ る形 態素連続 に も同様 な変 調現 象 が あ る。

i)[-cL:6 35],ii)トG6 5],iii)トG丘 3],iv)トa:6 41]が観 察 され るo

i) [nce:cL6 335:]"tosmell" [tzel.06 335:]"tohold"

[qu:a6 335:]"tocry"

ii) [b〇:cl丘 55:]"towrite" [ku :n丘 55:]"tobefalse" iii) [d5甘 。6 33]"tofear" [k`甘Qa33]Htocall" iv) [stu:cL丘 55:1]"toknow" [k`gCl丘 235:]"tobite" [p`a:Ga 55:]〃tobestout" [wu:06 55:]りtobuy" [dtpa6 33]Htosever"

[tsul6 55mtp浦 44:1]"tomemorize"

[me6de

:

cL644

:

1

]=tofor

g

e

t

"[

n

pi6 3

5m

9Ⅹ

G:a655:1]=to

b

e

gl

a

d'

'

このiv)のタ イプはかな り長 く [C

:

6

4

:

1

]

なって, ある感情が

らわ す形 態素が加 わ っ てい るので ある

O

これは,[su工

:

C

l

]

+

[

G

2

]

,[

n

p

i

-

ma]+[Ⅹcl:CL丘]+[cL

6

2]の ように考えてよ い. これを のぞ くと,

i

)ii)iii)は,つ ぎの よ う

分配 関係 をとって いることが わか る。 [核形 態素 ] 高平型 中平型 (非緊喉) 低平型 (非緊喉 ・緊喉) 上昇型 中平型 (緊喉) [付属形態素

c

l

B] 高乎型 上昇 型 上昇型 上昇 型 中平型 この うち,中平 ・上昇と,低平 ・上昇 の結合 は, ほと んど 同

ように聞 こえる。 しか し,i 核形 態素 の トネームを弁別 す る手段 がな いわけではない .そ れ

の形態素 は,別の二 つ の環境

[

mcLl1-]を先行す る否定形式 (環境environ

m

entB)と

,

[

関 44]をと もな う完了態形式 (環 境C) にお いて, は っきりと弁別 で きる。 282 - 5

(8)

4-(環壇 B)否 定 形 式 [mq lln(王丘33] [mc1llqua33] lmnllk`922] [mc1lltZe635] 西 田 :リス三吉の 研 究 (環境C)完 了態 形 式 [n∝633苫944]

平 型 [r)u丘33開 44] 申

平勲

[k`92?開 44] 低 平 準 [taeA35苫944] 上 昇 型 した が って , リス語 の形 態 素 (groupV)の トネ ー ム は,環境Bまたは Cに お いて と らえ る の が も っ と も有 効 で あ る。

3

. 千

音音素 リス語 の子 音 音 素 目録 は,31種 の単 純音 素 と3種 の音 素 結 合 か ら成 りた って い る。 単 純音 素 は, つ ぎの よ うに 分類 で き る。

stops affricates fricatives nasals lateral

velar k kh g?‥ :Ⅹ首 h 良

:り

labial p ph b : fv m

dentaltth d :tstshdz : sz菖j

na :

1

本 稿 の は じめ に, この言 葉 の子 音 音 素 の特 徴 と して,voiceless:voicedの対 立 が あ る こ とを指 摘 した 。そ の対 立 は具 体 的 に は,velar,labial,dentalの各 系 列 で stopとaffricateとfricative

に いず れ もあ らわ れ る。 しか し,nasalとlateralに は, この無 声 :有 声 の対 立 は な い。 この 特 徴 を 簡単 な表 にす る とつ ぎの よ うに な るO (十は対 立 が あ る こ と, -は対:立が な い こ とを示 す )013)

stop : affricate:fricative: nasal lateral voiceless:voiced

unaspirated:asp

リス語 の J'・音 体 系 成 立 の概 略 を言 う と,

i) stop:affricate:fricative:nasal:1ateralの 調節 法 の対

ii) velar:labial:dentalの調 節 点 の対 立

iii) voiceless:voicedの 声 帯 振 動有 無 の対 立

iv) unaspirated:aspiratedの気 息 量 の対 立

の 四つ が 中心 に な って い て , そ の可 能 な組 み 合 わせ のな か に,適 宜す き間 が あた え られ て い る こ とにな る。14) 13) この特徴をアカ語およびビス語の特徴 と比べ られたい。拙稿 「アカ語の音素体系」 (p.10)ビル マ ・ ロロ系言語では,voiceless:voicedの対立があるのとないの とで類型的に大 きい相違を示 している。 この点, リス語は, アカ語やビス語 と類型的に近い ことになる。 14) たとえばSonographによる周波数分析パ ター ンをあげると,次貢のようになる。 しか し, ここで は, このパ ター ンの対照か ら考え得 るdistinctivefeaturesの対立関係については解釈を加えない。 - 55- 283

(9)

[wu :55dy:丘 11]``head" [t(£ :35rbi丘 33]"tolook"

[k`Ⅶ :llfu:G6 335:]"toyawn"

[n∝ :cLa335・.]``tosmell''

[gu:cL6 335・・]"tocry"

284 [m王allkudztu丘 11]"eyelid" [mia:llbi:丘 55]"tear" lmvlallSuI6 11]"eye" - 56 -sonographに よ る リス語 の周波数分析パ ター ン

(10)

西 田 :リス言吾の 研 究 この対 iLl_闇係 は, もっぱ ら音 i仙D

初頭

にあ らわれ て,末 尾 の位 琵引 こぼ =J'-音音 素 はた たな い。 -)ぎに, メ- ク ・リス語 の手昌子の件 格 と各音 素 の設 定 につ いて述べ た いo

1

)

無)

照 轄気 閉鎖

/

k

,t

,

p

/

/?/ 完 全な閉鎖 と破 裂 を もつ [k],[t],[p]が,た とえ ば「 ぎの里 語 で観察 され る。 これ ら

音声 は 繋

付洋と結 合す る音 節 で は,緊張 度がや や強 くな るO [k〇633d(王且11

]

"body" [kせ44Zq:11

]

"star"

[t〇635tS`cla11

]

Hhoe" [t世41,1let:a6335:

]

Hto rise up" [p頭 33]りgun" [pcL6331zellX95]Hto exchange"

この [k],[t],[p]は同 じ環境 [♯一〇]で対 立 す るか ら,これ らの音 声 には, それ ぞれ音

素/

k

,

t

,

p

/を設 定 す る。

声無気 の閉

音 は, なお

声門

に もあ らわれ て,極 めて弱

と破 裂 しか もた な い

[

?

]が 硯察 され る。 と くに緊喉

丹下

ll-・の前 で は, この

声門

は, は っき りと聞 き とる ことがで き る

[?管 1

47

g3:浦 445:]"tobelow

"

,[

?

644]"duck" [?Q55k`tu611?冒Q622Ll:]"toknockadoor"

この [?]は, リス語 で zeroとは対 立 しな いO た とえ ば [?Zea]と [zeB]は違 った意 味 にはな ら な い。 それ故 , た とえ [?]の閉 鎖 と破 裂が弱 く,あ るい はま った く認 め られ な い場 合 にお いて と連結 して声 門閉鎖 は ま った くあ らわ れ な いが, そ の形 態 素 を音 素表 記 す る ときには /?/を用 い る ことにす る。 これ は構造的に見 た 単位 の表 現 で あ る。 2) 無 声 出!,x洞]鎖音 /kh,th,ph/ 完 全 な

l

A

欄 iと度 合の強 くな い破 裂 を もつ無 声 出気音 [k`] [p`] [t`]が観察 で きる。 こ

0

_)ltil.気も

u

j気 息 の持 続 は長 くな い。

[k`2:C16 4′!:

]

"to lean" [k`cL635t`ua33] "basket" [t`○:cL6335:]"to thrustat" [p`〇:3

5苫

t

P22]Hto change" [p`cL:G6115:]"toI)e Wet" これ らの

持-.:を音

素/

k

h

,th

,

p

h

/で表記 す る。 [p`] の ほか に [p`月 が 机察 され るが, [p`]は [u]母 音 とは連続 す る ことが な く, [p`f] は [u]母音 とのみ連続 す るか ら,この両 者 は補 い合 う関係 にあ って ,音

素/

p

h

/の変 形 allophone と 見なせ る。 lp`fu.・33]"silver",[p`f皆41首tH44]Hto open" [zuI:33P`fu655]"bladderH 3) 有

無 気閉鎖音 /g,b

,

d

/

完 全 な閉鎖 と破 裂 を もち, そ して軟 らか い [g][b]ld]が観察 され るo

[gi:cL6335:]Hto go" [dzcl633gu:33

]

"path"

(11)

[bi:a6 335:

]

〃tobebeautiful〃 [

j

i6 35bvu:33]"bowels" [de:mi丘 33]"rice-field" [苫∝ :lldu丘 33]"fan"

[u]母 音 の前 で破擦音 化す る現 象 は, [p`]に対 す る [p`f]とま った く並行 して い る。 た だ こ の [bv]は両 肩摩 擦音 を と もな った [bP]で あ る こと もあ る。15)

[dzu 35bpu且 33]Hblanket" [jiA 35bpu'・11m甘 44]"lungs" [ba:33bvu:丘 33:

]

"cheek… これ らの音 声 には,音 素

/g

,b

,a

/を たて る。

4) 破 擦音

t

s

,tsh

,dz

/

破 擦音 には,alveolar[tsts`dz]と palato-alveolar

[

t

Jt

J`d5]と retroflex[tptF`dろ]が , た とえ ば,つ ぎの例 で観 察 され るO

[lze lltSuI44]りwrist" [ts`u 44:Za6 11]"rope'' [dztu:cL6 224:]HtorideM lts

c

L

6

11首ul :44]"to

e

xpand" [ts`cL: llb2 4 4 ] Hsalt" [dzq6 33]=boiled rice"

lt†u:331i丘 35]"boat" [ tJ`u:

q

6

3 35: ] "to burn" [d3甘

a

6 33:

]

"to fear" [tpi:55j冒44]Hsweat" [tF`i:u6 335:

]

Htobesweet…[dqi:

c

L

丘]

Htooverflow" こ こに提 出 した例 か ら推 測 で き る よ うに, これ らの破 擦音 ts,tl,tFetc.は,連続 す る母 音音 素 との間 に限定 され た分 配 関係 を もって い る。 そ の分配 関係 を十 分 検 討 す ると,三 者 の間 で完 全 に補 い合 う関係 が成 立 す る。

]

明 朝

。N

J

s 卜

J

S U t

t

t S

Cn} t

t

t [

[

[ [i] [u] [〇] [∝] [Ⅶ] [α] 十 十 十

+

+

これ以 外 の母 音 との結 合例 は, わ た くしの資 料 には な い。 したが って, これ らの音 声 には, 音 素

/

t

s

tsh

dz

/を た てれ ば十 分 で あ る。音 素

/

t

s

/は [叫 0]母音 の前 で は [ts]で あ るが ,[i] 母音 の前 で は そ り舌音 [tβ]の形 を と り,[u,つ,∝]母 音 の前 で は [tJ]と して あ らわ れ た。16' 5) 摩擦音 i)

/

S

,

,

Z

,j

/

摩擦音 の第 1と して, 上 述 の [ts][tJ][tp]にあた る [S]

[

目 臣]が観 察 で き る。 しか し, 15) これか ら歴史的には, bu-bP-bv-Ⅴの変化過程の成立を考え得る。 あとで

/

vu

/とする形式の 中にも,歴史的に見れば本来の

/

b

u

/が含まれている可能性がある。 16) 丙逸夫の tsts`dz:tqtq`d耳は, 筆者の

/

t

s

tsh

dz

/:

/

kj

khj

gj

/の対立にあたる。 主だ った単 語を比べるとつぎのようになる。 Lisuin丁ak (Nishida) 〟neckけ kthh-tsu "toboil" kja Hsaltけ tshah-bo "crossbow" khjah L'boiledrice" dzcLh "water" jih-gja 286 LisuinYtinnan (Acad.Sin.) ? t√al tshcL5bo3 tJhE2 dza4 e3d3E3 - 58 -LisuinYtinnan (Ruey) ku 55 tS133 ? ts`αll-bo 33 tq`ia35 dzG12-pLu 12 ji33dsia 33 LisuinBurma (Fraser) krghLtsi3 tsa3 htsq5-bcLW 3 hchyd2 dza4 yi3-jya3

(12)

西田 :リス言吾の研究

この三 者 の問 には,上述 の よ うな完 全 な相補 関係 は成 立 しない。

まず [Ji]と lpi],[JC]と [sQ]の対 立が,た とえ ばつ ぎの例 で 見出 され る.

[Ji:GA115:

]

"tokill" lpi:GA

]

"tobelong" [tillJi:21]"middle" [ji635Pi:22]"blood"

ltJ`〇:llS浦 55]"poorman''[t`i:llJGa55

]

"hundred thousand''

しか し,[Ji][pi]に対 す る[si],[JQ][sG]に対 す る [pQ]は, それぞれ [Ji]および [Jn]の まれ な変形 と して しか あ らわれ な い。わ た くしの資料 に よると, Ls

][

J] lp]三者 と母音 との 間 に「 ぎの分配 関係 が成 りたつ 。 [i] [u] [〇] [ce] [u] [cL]

--■

hiiiiiiii S

S ., l 二

)!

l J この表 に よって, [S

月 [巨]は, それ ぞれ 2種 の母音 と結 合 し, それ以上 とは結 び付 かな い ことがわか る。 その 2単位 に音 素

/

S

/

/菖/をたて る。 この関係 を,音 素

/

S

/ほ [i]母 音 の前 で は[H に変 形す るが, それ以外 の位 置で は [S]の形 を と り,音素 /邑/は [i]母音 の前 で[旨] に変形 し, それ以外 の位 置で は

[

J

]で あ ると表現 すれ ばい っそ うわか り易 い。 [S]

[

に対 す る有 声音 [Z][5]は,つ ぎの単語 に観察 で きる。 lzu635bvu33

]

"blanket" [5u:06335]"totake''

[zcL611

]

"son" [tu:333〇:35]Htodepart"

[Z]は [可 [q]母音 に, [5]は [u][○]母音 にのみ結合 して, しか も "totake''は 自由変形 と して [zu:(沌 335]を もつ か ら,[Z]と [3]は完 全 に補い 合 って い る ことにな るO これ には,

音素

/

Z

/を設定 す る。[巨]に対す る有 声 音 はな いが,摩擦 の弱い [j]とやや摩擦 の あ る [j]が つ ぎの例 にあ る。

ljq:llpnA55

]

Hadumb" [j〇:55t

r

l

:

11

]

"tobeimportant" [je655

]

"he" [ji635WCL:33

]

Htrap"

[?qlljc1655-ma33] りhen''[jce丘:ct6113:]Htouse"

[j]は,[可 [〇]母 音 の前 で, 明瞭 に [Z]と対立す るか ら, これ には

/

j

/音素 を たて る

/j′ はあ るいは /菖/に対す る有 声音で あ ると見 な して もよい。

ii)

/

Ⅹ,首,h

,

/

まず 軟 rコ蓋摩擦音 [Ⅹ][Y]が ,つ ぎの単語 で観察 され るO

[jiA35Zn6 11Ⅹu:浦 335:

]

"tobearachild"[首u:33je:q6335:

]

=toindicate" [ⅩcL:CLB55:

]

"tobe good" [Yct655khu:11

]

"cavern"

[jifi35Ⅹu :11]=flour" [苫tPG633:]"tobefar"

ここに音素

/

X,

/を設 定す るの には問題 はな い. 「 ぎに無声声 門摩擦音 [h]とその 鼻音 化

(13)

音 lh]が 観 察 され る。

[h〇:35]=worm" [nG:llh〇:35]Hhat''

lpa:33h冒44

]

"crab" lhe:ll1a:a6 335・.]"tostand" lhi33]"house"

lh]と [h]ほ [〇][e] [a]母 音 の前 で 明 らか に対 立 す るか ら, これ には音 素

/

h

/

/ら/を た て る。

匝 ]ほ , と き に軟 口蓋 無 声 鼻 音 に聞 こえ る こと もあ る。

lh〇:gut:11]- [fp‥guI:11]=tobreak''[nn:55もu:11]-[nn:55i)u:11]Hmouth'' lh]に あた る有 声 音 [丘]は, た とえ ば [cL丘]の よ うに, 母音 に付 属 して あ らわ れ るが , これ は母 音 音素 に含 ま れ る特 徴 と して扱 い た い。 それ散 ,

/

h

/を

/

h

/

に あ た る有 声 音 と見 倣 す こ と もで き る。 な お /ら/は [u]母 音 と結 合 す るが

/

h

/は [u]と結 合 しな い事 実 に注 意 した い . iii)

/

∫,

/

唇 歯 摩 擦 音 [f]とそ の有 声 音 [Ⅴ]が 観 察 され る。 [f]は [u]と [可 母 音 に のみ 結 合 して , そ の ほか の母 音 とは結 び付 か な い 。 lfu:33]"snake'' [fcl :35 1a 331cH ltJ`〇 :5 5]

"

foreigner"

lfu:33hc16 35]Htobehard (ofsubstance)" [ji6 35fa:551cl11]"green"

[?q55ja:55拍 44

]

"egg" [stn44fa33kcL35]"tobesquare"

[fn]音節 は , ほ とん ど漢 語 また は タ イ語 か らの借 用 語 で あ る。も し借 用 語 を 除 い た 音素 体 系 を考 え る とす るな らば, この [f]ほ ,上 述 の [u]と結 合 しな い [h]と補 い合 う 閑係 にたつ こ

と に な る。 しか し,こ こで は,[f]は

[

c

l

]

[u]の ほか に は分 配 され な いが , 一 つ の音 素

/

f

/と して 認 め ね ば な らな い 。

この [f]に対 す る [Ⅴ]と両 肩 摩 擦 音

[

W]

が , つ ぎの単 語 で 観 察 で き る。

[stn丘 35Ve:11] "lofwer" [wq:lldれ :11

]

"mountain"

[Ⅴα :cL丘 335:]Htofly'' [wu:cL丘 235:]"tosell"

lvy:cl6 224:]Htoread" 【W 222]"needle"

[Ⅴ]と [W】の分 布 は補 い合 って い て , そ の分 配 関係 を表 にす る とつ ぎの よ うに な る。 [i] [e] [y] [記] [ce] lu] [〇] [G] [Ⅴ]

+

+

十 十 十 トlr] - 十 一」- + これ に は音 素

/

v

/を たて る。 6) 鼻 音 /

I

,m,n,a/ 標 準 的 な有 声 鼻 音 [り][m][n][叫]が , つ ぎの 例 で 観 察 で き るOこれ に あ た る無 声 音 は上 述 の [f)]の ほか は 出て 来 な い 。 288 - 6

(14)

0-hl] [りuCL33]"Ⅰ" [ji635t)

u

611]"language" lhuI33℃○:11]"shade" [笹 ] lts`u :33rbi:33]"sandal" [恒 :11]"two" 西田 :リス語の研究 [m] [n]

[mc甫 33tJ`〇:11]Hbamboo" 【nn.・35]HdiseaseH [mu:55tJ`〇:]"sickle'' [nu:33]"thou" [?G55m3611]"horse" [?a55n244]"beans"

lnpy:55npy:

G

h55・.]"tobe short" [npzea35]"bird"

この ほか に唐歯音化 した [l勺]が あ るo

ljiA351ヨyll]"name" [巧y22]"monkey"

[qy:CL6335]"toblow" [rgy:沌 5'・]"tobe quick"

[rg]は,[y]母音 とのみ結 び付いて,[m]と完全 に補 い 合 う関 係 にあ る。 これ に対 して [np]も

[i]と結 合す る形式が ほ とん どで あ って,それ に対 立す る[ni]形式 は出て来 ないか ら, [n]と lnp]も同様 にallophoneで あ るように見 え る。 しか し, この両 者 は実 際 には対 立 していて,最 後 にあげた [叫ae635

]

"bird"には,[?clnだ且55

]

"crow"が対 立す るか ら, 鼻音 には四つ の音素

/

ロ,m,n,良/を認 め ざるを得 ない。

7) 側 面音 /1/

摩擦 のない有声 栴芭側面音 [1]のみ が観察で きる。

[1i・.n6235:

]

"tobe heavy" [1∝ :C16335:

]

"tobe warm"

[1ze:cl655:

]

"tobe young" [1u:cLA55

]

"tobark"

これ には音素 /1/を たて る。 了音 音素結 合 /kjkhjgj/

リス語 手音音素結合 には

,

弱い摩擦 わた り音 [j]を と もな う[kj,k`j,gj]のみ が あ って, そ れ以外 の結合 はない。 この主 核子音 とな る軟 口蓋閉鎖音 はいずれ も強 く口蓋 化 され,硬 口蓋閉 鎖音 [C,C`,j]で あ る場 合 もまれで はない。

ldzcL:33kja:cLh55]"toboilrice" [kje・.cia 335

]

"todrop" [k`jcL丘55]Hcrossbow" [k`je:Qfi335]"to fall"

lji635gja44]"water" [gjcel.QA235:]Htoblow (wind)"

これ らに音素結 合 /kjkhjgj/をたて る。

4.

丹 青音素

母音

音素 に関 して, クー クの リス言吾の もっと も大 きい特徴 は,すで に指摘 した ごと く

,普

通 甘 F'T--と緊喉母音 の2系列 の対 立が認 め られ ることで あ り, しか もその 母音 の性格 とと もない得 る トネ-ムの種類 との間 に,規則 的な分配 関係が成立す る点 にあ るO ただ し,母音結合 および 鼻音化

音 には,緊

母芹はないO緊喉音は, 咽

お よび喉頭 を よ り緊張 させ て発 出す る母音 ー 61- 289

(15)

で あ り, 雲 両省 のハ ニ語 ,ラ フ語 ,リス語 な どに も認 め られ る ことがすで に報告 され て い る。17) た とえ ば碧 江 の リス語 には, ha 31進 歩 k`u31塾 首u133遠 1i33忠 磨 h^Q 31摘 k`甘 31歳 苫tP 33割

1

主33船 の4例 が あげ られ て い る。 この タ - クの リス語 には,つ ぎの よ うな対 立 例 が あ る. 拝q丘-mG633:]"elephant'' [?clll一m944]"who" [bi:cl6335]"tobebeautiful" lbi.a丘44:]"tobefull" ltp`i:n丘235:]"tosuck" [?a55tP`主22]"goat'' [d〇:

G

丘33:]Htodrink" ld2・

q

丘44]りtogoout" [mⅦ 11hG:33

"rain"

lhi22mtP・G6224:]"tobehungry"

llze丘11p`ae635】Hhand" [ji丘35唆 :22]"corner"

わ た くLは, これ らの例 か らタ ー クの リス語 に も,緊 喉母 音 と非 緊 喉母音 (普通 母音 )二 つ の対 立 した母音 音 素 を認 め たい。非 緊 喉母 音 と緊 喉母音 を音 素 表 記 上 弁別 す るた め に,前 者 に は /

-

h

/を つ けて あ らわ した。 母音 音素 の 目録 はつ ぎの よ うに な る。

非 緊 喉 ihehaeh yhceh uJhちhahuh oh

緊 喉 i e ze y (岩 uI 苫 a u 0 これ らの母 音 は,全 体 が ととの った4+4十 2の10母 音 体 系 を な して い る。 1- y- uI- u

l i e (:e-首 -0 \ / Z

e-

AM/ これ らの音 素 は,それ ぞれつ ぎの音 声 に該 当す る

。/

i

h,

i

/には [i]

[

廿

/

e

h

,e/には [e妄]

,

/

記h,

z

e

/に は lze等】

,

/

yh,y

/に は [y,y]<

,

/ceh,ce/

には lc,q:],/ulh,uJ/には [u tp]

,/

盲h

,ち/には [盲,?]

,/

c

L

h

,a

/には

l

cL,C^L][a,尋],I/uh

,

u

/

には [u,皆目 U]

,/

o

h

,

o

/には [〇,9][0]が それ ぞれ あた るo

lcL]に対 す る [a],[u]に対 す る [U],[〇]に対 す る[o]は, いず れ も 自由交 替 形 で あ り対 立 した位 置 に は あ らわれ な い。 た とえ ば音 素 形 式

/

wu

/は[wu]に な るよ りも【wU】に聞 こえ る ほ うが多 い。[wU:55p`首:55]"comb"[wU:55dy:11

]

"head"

また, これ らの母 音 はす で に例 示 した ご と く, 有 声声 門摩擦 音 [A] を と もな って発 出 され るo録音 した テ ープを逆 に して, それ を 聞 くと, [丘]また は [h]と して, た とえ ば トG丘]は, いつ も [鮎 -1または [hn-]と して 明瞭 に聞 き と る ことがで き るO つ ぎに10母音 の対 立 を示 す例 を左 側 に あ げ, その右側 に音 素表 記 をつ けた。 17) 戴床屋 「談談松緊元音」 『少数民族語文論集』第2集 1958.胡坦, 戴床屠 「喰尼語元音的松緊」 『中国語文』1964. ハニ語の場合,緊喉母音 と非緊喉母音の対立の三つのタイプが,三つの方言によって代表 されていて, その言葉の歴史的な発展段階をそれぞれ示 していることは.ロロ系言語の歴史を考える上で も極めて 重要な事実である。 290

- 6

(16)

2-h i:11]"two" [ne611]"witch" [nae6lldzq44]"breakfast" [npy:55npy:CIB55:]"tobeshort" [n(尤:CL6335:]"topick up" [jcL611ti:55ntu:n655:]Htodye" [nb・:Cl6335]"tobenear" [?cL55nG丘11]"dog" [nu:誼 224]Htobesoft" [?n55n944

]

Hbeans" 西 田 :リス語の研究 /aih/ /nth/ /n壷h-dza/

/

員yh

員yh

-

?

a

h

/

/n(モhJah/ /nulh-?ah/

/

n

ちh-?ah/ /?a-nab/ /ndh-?ah/ /?a-no/ もち ろん, 母音 音 素 (緊喉 ・非 緊喉) と子音 音 素 の結 合 には, か な りのす き間 が あ る。 た と え ば /ts,tsh,dz,S,蓋

,

Z

/

の あ とで は/ulh

/と /75h首/は対 たしない とか,/k,kh,g,Ⅹ,苫/ の あ とで は

/

y

h,y

/と /∝h,α/の対立 がないな どの限定 がい くつ か あ るが, い まは それ らを あげないで お く。 その ほか鼻音 化母 音 がつ ぎの例 で 観 察 され る。 li] [1922t`i55]"ladder"【1i33sol.35

]

"pencil" lG] [t

押:

55]"onion" [ji丘35Su111:Sd・.55

]

"number" [6] [ji635t`655] "Rag"[1633rla41]"school"

la] ljia35ka33

]

"1iver"[pち55ta:11

]

Hsugar"

鼻音 化母音 が あ らわれ るの は,すべ て漢語 あ るい は タイ語 か らの倍 用語 で あ る。共 通 す る鼻

音 化現 象 を

/

n

/音素 に該 当す る 単 位 と見 な して, これ らを /in,un,on,an/に よ って表記 す る。

母音音素結合

方言 には, なお昇 り型 二 重母 音 と降 り型二 重母音 が観察 され る。

lda] [mo611kaa33]"sky"

[涌 a55]Hfish" lia] [bvlall]"bee"

lts`tp22pia33]"foot" [a芭] [t`i:lltSa芭55]"village"

[ji635ka芭55]Halid'' [u芭] [1〇655Su芭‖ ] "adrop"

[wu55ku芭33]"tortoise"

lji丘35Xaal】]=flesh" [gaailnpi:33]Htochew" [t`i:llhia33]=hundred" [扉 a35苫u144]"tocatch" [kaさ33tSuユ11]"market"

[hcLさ55]"slender" lsa33kuさ35]"throat" [kuさ:QA55:]"tobedear"

これ らの単語 も漢 語 または タ イ語 か ら借 用 され た形式 が 多いが

,/

u

,i

,a

/と

/

a

,e

,o

/が結

(17)

合 した単位 と認 めて, これ らには,/ua,ia,ae,ao

,ue

/の音素結合 をたて る。 この音素結合 に もlia]lG畠]の鼻音 化母音 が認 め られ る。

[王a】 [1ia33]"tobecool" [1Ia55]"tobebright" lG畠 ] [sul :llⅩG畠 3 3

]

〟to like" 【1cLllSG畠 55]=garlic" これ も先 の例 にな らって/lan,uan/で表 記す る。 以上 の結果, ター クの リス語 の母音体系 は,10種 の普通母音 と10種 の緊喉母音 とその ほか に, 5種 の鼻音 化母音 と, 5種 の母音結合 か らな ってい ると言 うことがで きる。 リス語 には長母音 と短母 音 の職能 的 な対立 は全体 と して認 め られ ない。 た だ緊喉母音 は非 緊 喉母音 よ りも短 か く発音 され る。 そ して形態素連続 に, た とえば数詞 の場合 ,つ ぎの ような現 象 があ る。

uten"lts{uI:33]- ueleven"lts'u 33tEi:55]

長 短 長

"twenty''[扉 11tStH :33]

-

Htwelve"[ts`u 33n,i:11]

短 長 短 長

Honehundred''[t`i:llhia55]

-

"twohundred"[npi:llBia55]

長 短 長 短 2音節連続 の は じめの音節 が,つ ね に短 か く発音 され, あ との音節 が長 く発音 され るとは限 らない。 この関係 はそれぞれの形態素連続 と して決定 されて い る。

5.

以上 リス語 の音 素構造 を トネ- ム,子音音素 ,母音音素 の諸 体系 を中心 にその特徴 を記述 した。 その記述 は,原則 的にす で に発表 した 「ビス語 の研 究」 お よび 「ア カ語 の音素 体系 」 に おいて試み た方 法 に したが って い る。統一 した方法 を用 いて, い くつかの コ トバ を記述 す るこ とは,言語 類型学 的 な考察 に とって も,有 用 であ るが, ことに ビス語 やア カ語 や リス語 の よ う に系統 的 に も近 い コ トバ において は,それ らを対照 して,それぞれの コ トバの詳細 な特徴点 を 知 る上 で も,極 めて有益 で あ ると思 う。 コ トバの記述 には,絶対 的 な基準 はない。 もっとも便宜 な観点 か ら,同系統 の い くつかの コ トバ に共通 の尺 度を与 え る操 作 は,と くにわ た くしの 目標 とす る研 究 に とって,不 可欠 であ る。 Ⅲ リス語 ターク方言 の文法体 系

1

.

タ- クの リス語 は,すで に報告 のあ るAの地域怒 江 の リス語 や, Cの地域 ビル マの リス語 と文法体系 において もか な り違 って い る。つ ぎに タ- クの リス語 の文法体系 について簡 略 に記 述 してみた い。 2. リス語 の単 純単語 は,一 つ または二 つ あ るいはそれ以上 の形 態素 の連続 か ら出来 て い る。 二 つ以上 の形態素 か らな る単純単語 は, その 中で もっと も頻 度が多 いが, なか で も,核形 態素 とそれ に先 行す る?ahまたは jih-の連続 で あ るか, あ るい は核形 態素 とそれ に付 随す る Jah 292 - 6

(18)

4-西 田 :リス語 の 研 究 また は 一首tn の連続 で あ る場 合 が も っと も多 いo

?ah-khtilh HdoorM ?ah-bah HmoonM ?Qh-thah HknifeM jih-khb"age" jih-gtlh ‖1anguage" jib-kanH1iver"

Ⅹ畠h-?ah "tobegood" kh山一?ah "tocut" tI16h-?ah "tothrustat"

phu一首u Htoopen'' t鍾一首ul=tobury" thah一首u,"tO join"

これ らの例 か ら明 らか な ど と く,?ah-,jvlh-を先 行 す る連続 は,名辞 表 現 で あ り,Jab,一首U

を と もな う形 式 は,つ ね に動 詞表 現 で あ る。核 にな る形 態 素 が 同 じで あ って ,?ah-,jvlh-を先 行 す る形 式 と-?ah,一首tn を と もな う形 式 を 共 に もっ例 も, もち ろん少 な くな い。

prefix+核 形 態 素 核形 態 素 核 形態 素+sufhx

jih-fu ‖egg'' fu fu-?ah "tolay an egg" jih-邑ih 〃seeds" 芭ih 菖ih-?ah Htoscatter" ?ah-thdh Hthick〃 t

h

dh thbh-?ah Htobethickり リス語 には,い ま一 つ 明瞭 な単言吾構 成 法 が あ る。 それ は ≠行 為 を表 現 す る形 式 〟と ≠行 為に使 う遺 貝 を表 現 す る形 式 'Vと ≠行 為 を す る人物 を表 現 す る形 式 〟の対立 を あ らわす手 順 で あ る。す なわ ち動辞表 現 とそれ に該 当す る名辞 表 現 が ≠道 具名詞 ''と ≠行 為者 名詞 〟に形 式 の上 で弁別 さ れ る。 この三 つ の職 能 的 な対立 は,つ ぎの よ うな productiveな手 順 で形成 され る。 核 形態 素+?ah 核 形 態 素+duh 核 形 態 素1-su 行 為 動詞 道具 名詞 行 為者 名詞

(1) gト?ah Htochisel" gi-du

b

"chisel" gl-Su "aman Whochisels'' (2) 苫deh-?ah "tofan" 古壷h-duh Ha fan" 古壷h-su "aman who fans" (3) d也h-?ah Htobeat" d血h-du

b

"abat" d也h-su "aman whobeats"

もち ろん道 具 名詞 に, さ らに jvlh-を つ け る形 式 もあ る。

(4) tshZh-?ah Htobrush" jvlh-tsbah-dub Habrush'' tshah-su Haman whobrushs" 菖ih-?ah Htosweep" jvlh-菖ih-duh "a broom" 菖ih-su "sweeper"

-?ahを付 随す る形 式 がつ ね に動辞表 現 で あ る ご と く,-dub,-suを と もな う形 式 はつ ね に名 辞 表 現 で あ る。

?ah-あ るい は jih-は,複 合 形 式 の第 2の位 置で は省 略 され る。た とえば上 掲 jvlh一両 h"l an-guage"は,tae-t]tlhHThai語 ",16lh%I)tlhHLahu語 ", 1i-suhgtlh"Lisu語",man-ts血h一拍 h

寸ビル マ語 〃な どで は, いず れ も×1トsuh jvlh一画 hojよ うには な らない で,1i-sub t再h の よ う に な る。 同 じよ うに jvlh-mdlh"fur"は,複合 形 式 で は

,

益hmlhh"featherofbird",?ahn畠h m血hHfurofdog"とな って , x?ahnahjvlhmlilh とは な らな い。

聞題 を も う少 し複 雑 に して発展 させ てみ よ う。

(19)

S血hdz血 "tree"と jylhku-dztuh〃skin"が複 合 す ると,S血hku-dztnh=barkoftreeけとな る. ここで は前 者 の S血h と後者 の ku-dzuhが結合 す る. 同 じ く miasdlh 〟eye''と …sbin" が複 合 す るとmiaku-dzuh "eye-lid"とな るO と ころが nalGもh"mouth"と "skin" が複合 す る と Xnaku-dztuhとは な らないで na一品tlhku-dzulhHlip"とな るO つ ま り複合 形 式 に少 な くと も二 つ の タイプが あ るこ とがわ か る。

タイプ 1. A・B+Prefix jlh+C・D- A・C・D タイプ 2. A・B+Prefix jylh C・D- A・B・C・D

前者 の タイプは主 核形態素 が A.す なわ ちS血h-,mi畠-にあ るときにお こ り, 後 者 の タイプ は,主 核形 態素 が B.あ るいは A ・B共 で あ るときにお こる。

mtuh"cloth (cotton)''とtshu-ph益h"foot"が複合 す ると, muJh-tshuI"trousers" とな るO≠足 の布 -ズ ボ ン'Jと表 現 され るが, この タイプの複合形 式 を タイプ3とで きる.

タイプ 3. A+B・C- A・B

GiHhouse"+Ⅴ∝-?ah "tofly-"- Gi-ve =plane''もこの タイプ に含 めて よいで あ ろ う.

この よ うな手 続 に よって単語 構成 を調べ ると,核 にな って い る形態 素 を と り出す ことがで き る。

3.

等式文 と叙 述文- 肯 定 形 式 ・否 定形 式 ・発 問形 式 リス語 の文 を大別 す ると,等式文 と叙述 文 に分 け得 る。 この二 つ の文 の タイプは, それ ぞれ 特有 の否定形 式 を もっ ほか に,つ ぎの点 で 区別 され る。等 式文 は基 本 的 には,二 つ の名辞表 現 か ら成 りた ち,丁 寧 な発話 で は, その二 つ の名辞 表現 の問 に休止 が おかれ る。叙 述 文 は基 本 的 には形態素 -?ah に終 わ るか , あ るい は その位 置 に入 れ替 わ り得 る付 属形態 素 に終 わ る動辞表 現 と, それ に先 行 す る名辞表 現 か ら成 りたつ。 これ も丁 寧 な発話 で は名辞表 現 と動辞表 現 の間 に休止 が おか れ る。 等式文

Dua♯名辞表 現 qOh(また は qah)♯<私 は-・・・・で あ る>

Oua♯lisut)Oh♯<私 は リス人 で あ る> qua♯名辞表 現 maht)ah♯ <私 は-・・・で はない>

qua♯lisumahqah♯ <私 は リス人 で はな い>

-gohは qahに もな り得 るが,maht)ahは mahqohとはな らない。 そ して , この mah りah は連続 して 降 り調子 を とる こと も多 い。

叙述 文

pua♯動辞 表現 (-?ah)♯< 私 は-・-す る> r)ua戟1ah-?ah <私 は来 る> りua♯mah動辞表 現 ♯<私 は・・・- しな い> qua♯mahlah<私 は来 ない> 等 式文 も叙述 文 も発 問形 式 に換 え るに は二 つ の手 順 が あ る。

(20)

6-西 田 :リス語 の 研 究

i)高 い昇 降型 の語 調を加 え る。ii)肯 定形 式 と否定 形式 をつづ けて並べ る。.

i) ♯1トsuqOh < リス人 です二、- ♯1トsuqohl451]< リス人 です か>

ii) -#1i-su由 hmah-gah< リス人 です

か二-i) ♯1ah-?ah < 来 る二 - , - ♯1ah-?ah[451]く 来 るか>

ii) -♯1ahmahlahく 来 るかこ♪

まず等 式文 の名辞 表 現 の環境 に入 り得 る形 態素 をgroupSの形態 素 ,叙述 文 の動辞表 現 の瑞 境 に入 り得 る形態素 を groupV の形態素 とよぶ ことにす るo そ して , quaの位 置に替 わ り得 る形態 素 もgroupS,mahに替 わ り得 る形態素 は,この ほか には見 出せ ないが,Jahに替 わ り 得 る形 態 素 はい くつ か あ って,mah;Jah とつ ぎに述べ る別 の一類 を ま とめて , groupE とす

る。 リス語 の形態素 は, この3類 groupS,groupV,groupE に大別 で きる。

4.

リス譜 で は,主格 < -・は> ,対 格< ・・・を> , の関係 は,普通 は特定 の形態素 によ って表現 され ない。 もっぱ ら語 順 が その関係 を表 現 す る。

subj. obj. pred.

りua♯nab-hah dzl l IoI卜?ah <私 (は)帽子 (を)もつ> l l I l t]ua♯dztE phをh d0-7ah <私 (は)酒 (杏)飲 む> 】 l I l l l 1 1 utla♯n益h t: stildzah-?l ah <私 (は)莱 (を)飲 む (=I -食べ る)

>

l I 】 【 これ に対 して, 日本語 でくこ-を> を用 い る関係 が,特定 の形態素 に よ って表現 され る場 合 が あ る。 subj. obj. pred. qua♯nu

I

l益hI喜色h gil l-?ah <私 (は)あなたを思 う> 1 1 この種 の関係 を表現 す るために使 われ る形態素 を あげ ると,つ ぎの よ うにな る。つ ま り叙述 文 の形式 はつ ぎの よ うに拡 張 され得 る。 i) qua#S l産山 Ⅴ-?ah <私 (は)-・・・を --・・す る> ii) ()ua♯S t益h V-?ah <私 (は)-州 に・・・.・・す る> iii) I)ua♯S?uav-?ah <私 (は)--で --す る> iv) qua♯S toh V-?ah <私 (ほ)-州 か ら-・・・・す る> Ⅴ) qua♯S kjiV-?ah <私 (ほ).・-・と-・.-す る> vi) りua♯S th盆h siV-?ah <私 (は).・・- よ り---で あ る> (優勢 ) vii) りua♯S n盆 kuaV-?ah く私 (は)・・・・・・よ り-州 で あ る> (劣勢 )

- 6

7-

2

9

5

(21)

i) nua♯ ii) qua♯ iii) qua♯ iv) gua♯ Ⅴ) qua♯ vi) 耶 a♯ vii) qua♯ この ほか, nu はね kbh 1(モh-jih-?ah <私 (ほ)あなたを (河 に)沈 め る> nu t益h gtLIh-?ah <私 (は)あなた にあげ る> pah-t首h?ua丘i-ta-?ah <私 (は)椅子 に坐 る> k6h-th盆h toh lah-?ah <私 (は)バ ンコクか ら来 た> nu kjigi-?ah く私 (は)あ なた と行 く> nu th壷h si?dh-?ah <私 (は)あなた よ り大 きい> nu n畠 khuazu-?ah <私 (は)あなた よ り小 さい> < --の> に該 当す る意 味 を表 現 す る形態素 が あ る。 viii) S7ih S ♯Ⅴ-?ah < --の --・は--で あ る> S血h-dz血 ?ihlあh kah♯邑i-?ah < (この)樹 の枝 (は)長 い> た だ, この?ihは人称代 名詞 とは連結 しない 。同 じ意 味 の関係 は,人称 代 名詞 の場合 は, ?ih を使 わず に限定 す る名辞表 現 に直接 連結す る。 た とえば,

r)uatshtu 員i♯Ⅹah-?ah <私 (の)サ ンダル (は)よい>

nu Aih♯ 首mhJah < あなた (の)衣 (は)遠 い> しか し,邑益h?ihdテh

l

壷h< 鳥 の翼>,guA?ihd

hl壷h<魚 の え ら> な どで は,?ihを使 う。 以 上 の関係 を表 現 す る付 属形 態素 を ま とめ る と,つ ぎの よ うにな る。 与 格 1益h, 対格 t産れ 於格 ?ua 従 格 toh 適格 kji, 属格 ?ih これ らの形態素 はすべ て, さ きに掲

た mah,-?ah と同 じ く groupE に属 させ る。 これ らの形態素 の使 い方 は必 ず しも 日本語 と一 致 しない。 た とえば, 日本語 の< -- に行 く, - -へ行 く> にあた る リス語 はく二・--で行 く> と表 現 され る。

pua♯kjen-ma主?ua gi-tSo-?ah <私 は チ ェンマ イに行 った ことが あ る> (直訳 す ると, チ ェ ンマ イで行 った ことが あ る)

上 に掲 げた文 i)ii)iii)は, な おい ま一 つ の補語 を含 ん だ場 合 ,つ ぎの よ うに拡 張 され る。 i-b) りua♯S S l差h V-?ah <私 は.・・・・・を・・・- に- -す る>

ii-b) qua

#

S S t産山 Ⅴ-?ah <私 は・・・- を-・・・に・・・-す る> iii-b) qua♯S S ?uaV-?ah <私 は-・- を・・-・に-・・・す る>

i-b) j色h♯?ah-thah quala:h fuh-1ah <彼 (は)ナイ フ(を)私 に送 って 来 た> iトb) qua♯ 苫O-manu tkh guZh一員i一菖a<私 (は)それ (を)あなた にあげ る> iii-b) pua♯ thbh一首血h t56h-tsu ?uak血h-?ah <私 (は)書 物 (を)机 にお く> いわゆ る直接 補語 には特定 の形態 素 をつ けない。 な お,この例 では,リス語 の 1益h,t産れ ?ua は,いず れ も 日本語 の< - に> に該 当す る。 ここで動辞表 現 の 受 動形 式 につ いて 述 べ て お きた い。 リス語 で は受 動形 式 は普通 は 使 われ な い。強 いて表 現 す れ ば,つ ぎの よ うにな る。 296 - 6

(22)

8-西 田 :リス語 の研 究 主 動形 式 Subj■ トObj.+Ⅴ-?ah

受 動形 式 Obj・+Subj.+Ⅴ-fu一首O gua♯fuh dをh-?ah < 私 (は)舵 (を)打 つ>

f11h♯quad音h-fu-首0 < 蛇 (は)私 に打 たれ る(打 たれ た)>

jylh-ma-ma#jvlh zah d音h-?ah <母 親 (は)子 供 を打 つ>

Tlh zah♯jih一ma-madをh-fu一首0<子 供 (は)母親 に打 たれ る>

主 動形 式 か ら受 動形 式- の転換 は,語 順 の 置 き換 え と動辞表 現 の付 属形態 素 -?ahを -fu-苫0 にか えて 作 られ る。 そ して受 動形 式 はつ ね に完 了態 (Ⅴ一首0)で表 現 され る (cf・p・75)

5.

GroupS の形 態 素 の うち, りuaと直 接 交 替 す る関係 にあ る人 称 代 名詞 は, つ ぎの 体 系 を もって い る。 1. sg. t]ua pl. qua-nuh 2・ sg・ nu pl・ nu-7ua 3.sg. jbh pl. jeh-?ua 複 数形 式 は,単 数 形 式 に付 属形 態 素 をつ けて形成 され る。 その付 属形 式 が 1人称 -nuh と 2, 3人称 -?uaに分 割 されて い るの が特徴 で あ る。 この -nuhまた は -?ua は , その ほか の 名辞 表 現 にはつ か な い。 リス語 で は,代 名詞 の ほか は一 般 に数 の範 境 は成 立 しな い。 人称 代 名詞 の双 数 形 式 は ない が, 1人称代 名詞 にのみ包 括 形 (inclusive)?ah-vtlhが あ る。 と くに< あ なた と私> を強 調す る と きに は,?ah-Vtlhaihzohを使 う。

つ ぎに t]ua♯

m

S,hji-?ah<私 は仕 事 をす る> は りuako-d(嘉h#mテhji-?ah <私 自身 が 仕 車 をす る> にな る。 この あ との形 式 は,gua< 私 > と ko-d(主h< 身体> か らな る複 合語 で あ る が, これ に該 当す る2人称 ・3人称 に はつ ぎの形 式 が あ る。

sg.(1)quako-d壷h, (2)nu ko-d(bh, (3)j色h ko-d壷h pl.(1)qua-nuh ko-d(bh, (2)nu-?ua ko-d(もh, (3)j色h-?ua ko-d企h

等 式 文 の基 本型,jeh♯1a tsh6h xah 邑ih つoh < 彼 は よい人 間 で あ る> にあ た る叙 述 文 は, jbh♯ⅩAh-?ah < 彼 は よい> で あ る. この文 は, さ らに jehStil♯Ⅹ畠h-?ah < 彼 の もの はよ

い> にな り得 る。 この jbh一首血 にあ た る人称 形 式 は,つ ぎの ど と くで あ るo sg・(1)りua一画 (2)nu一紳 (3)jeh-Ydl

pl・(1)qua-nub Ytil (2)nu-?ua紳 (3)jbh-?ua苫til

す なわ ち代 名詞 の基 本 形 式 は,-ko-dcbh,一首thをつ けて拡 張 され得 る0

6

.

リス語 の指示 詞 の体 系 はつ ぎの よ うに な って い る。 thi 近 称 ,goh 遠称 ,koil 最 遠称 ,kdh 最 遠 遠称 あ との3形 式 ほ どの点 で 区別 され るの か, あ るい はは っ き りと した 区切 りが あ るか ど うか は詳 らか で は ない。 この形 式 は, ー 69- 297

(23)

thinab-hah

jibbと この帽子 は古 い gohnab-hah ♯jih 各ih その帽子 は新 しい koh nab-hah ♯jvlhbと あの帽子 は古 い の よ うに名辞 表 現 を限定 す るときに使 われ, もの を指 す場合 には, 基 本形 に-maがつ いた形 が あ らわれ る。 thi-ma港jihbe これ は古 い goh一ma

jih 邑ih それ は新 しい koh-ma♯jihbと あれ は古 い この -maは もっと も普 遍 的 に使 い 得 る範 噂詞 で あ ると考 えて よい。 指示詞 の基 本形式 は ま た場 所 を表 現 す るときに-?uaがつ け られ る。 この ?uaは,先 に述 べ たく ・・・で> を意 味す る於 格 を示 す形態素 と同 じで あ る。 りua♯thi-?ua

n

i-tまく私 は ここに坐 る> りua♯goh-?ua丘i-tまく私 はそ こに坐 る> Dua♯koh-?ua丘i-tまく私 はあそ こに坐 る> た だ thト?ua< こ こ> よ りth6h-?uaあ るいは thi-th6hの形 式が よ く使 われ,goh-?uaは goh一菖ih-?uaと並存 す る. また,< ここにあ る> には,th6hkjaとい う連続 が使 われ る。 <今 月> ?ahbah-thihthi-ma,く今年 > thithihkhbは,それ ぞれ <月 ・一 ・この> ,< この

・一 ・年> の意 味 で あ ろ うか。限定 す る名辞 表 現 に先行 す るか後 置す るか によ って thiとthト maの2形 式 が分配 され る。

その ほか指示 詞 の基 本形 にはthehztnhがつ き得 る。thitheh zulhmす j色-?ah< この よ う にす る>,gohthとhzulhmすje-?ah< その よ うにす る> . 人 物,事 物, 時 間,場所,数 な どの発 問 は, つ ぎの形 で あ らわ され る。 [人物

l

?a-ma <誰 > [事物 ] ?a畠i < 何> [時 間] ?alli-th盆 < いつ> [場所] ?a-1itoh < どこ> [数 ] ?a一mia < い くつ> [事 由] ?a一邑ije < なぜ> [様 式] ?allithとhztuh < どの よ うに> これ らの形 式 は -?ahを と もな って叙 述文 にな り得 る。 た とえば?a-ma-?ahく 誰 か ?> , ?a一色i-?ah<何 か ?>,?a-1i-th畠-?ah< いっ か ?> な ど, [時 間]の th盆,[場所 ]の toh,[事 由]の je< す る> , [様 式 ]の thehztuh< ---の よ うに> を分離 で きるか ら,発 問詞 の基 本形 は,?a一ma<誰> ,?a-菖i<何> ,?a-1i< どれ> ,?a-mia く:い くつ> の 4種 にな る。

7. 以上 に述べ た人称代 名詞 , 指示詞 ,発 問詞 の ほか,GroupSと して ま とめ得 る単 語 は形式 の上 か らつ ぎの 8類 に分 け る ことがで き る。

(24)

0-西田 :リス語の研究

(1)PrefiⅩ あ るい は Su拝ix を もた な い形 式 (2)Pre丘Ⅹ jvlh を と もな う形 式 (3)Prefix ? ah-を と もな う形 式 (4)Su托Ⅹ-pah,-phah,-maを と もな う形 式 (5)Sufhx-zahを と もな う形 式 (6)Su拭Ⅹ-ddhを と もな う形 式 (7)Sufhx-suを と もな う形 式 (8)Sd旅Ⅹ-tsuIを と もな う 形 式

つ ぎ に各 形 式 につ いて説 明 を加 え る。 (1) PreflX あ るい は Su庁ixを もた ない形 式

i) 1形 態 素 か ら成 る単 語

hoh "iron" neh "witch" po "gun" phuh "silver" ii) 2形態 素 か ら成 る単 語

m血h-ktlh "cloud'' he-khi"belly" nah-kh6h "ear-ring'' iii) 3形態 素 か ら成 る単 語

loh dih pa "stone" lib tshah mih "forest"

4形 態素 か らな るkah-1ahbtlh-1o"butterfly"は, お そ ら く,kah-1ah と bhh-loに 分析で き る複 合語 で あ ろ う。

(2) PreBⅩjvlh-を と もな う形 式

さ きに述 べ た よ うにPrefiⅩjih-は< 事 物 の名前 あ るい は事 柄> を示 す職 能 を もって い るo jihxua

H

flesh" jvlhd6h "bottom" jvlh s

"voice"

jvlh一には じま る単 語 の大 半 は,等 式 文 thi-ma♯jih-qOh< これ は--・・で あ る二>,thトma♯jib ・・・mahqah< これ は・・・・-で は ない> の環境 に入 り得 る。 と ころが,た とえ ば thi-ma韓jihbeh ♯< これ は 占い> も可能 で あ る。 この否 定 形 式 は,thi-ma♯jvlh bah mAh beh♯また は thi

-ma♯mahbとhで あ るか ら, また thi-ma#b色hle-?o< これ は古 くな った> と もな るか ら,叙

述 文 と同 じ形 式 を と って い るO つ ま りthi-ma♯jvlhbehは, thi-ma♯jlhbとhbとh-?ah逐 語 訳 す る と, < これ は新 しさが新 しい> と等 価値 で あ る. した が ってPrefiⅩjlh一には じま る単 語 には,thi-ma♯jvlh・・・qOh♯の 環境 に入 る 形 式 と thi-ma♯jih-・葬の環境 に入 る 2種 類 が含

まれ て い る ことにな る。

(3) Prefix?ah-を と もな う形 式

この形 式 の単 語 には, 五 つ の範 鴫 をた て る ことがで き る。

i) 動 物 の名前 ?ah-ja< 鶏> ,?ah-dzih< いん こ> ,?ah-ph音h< 鼠> ,?ah一aih<牛> etc.

ii) 親 属 名称 ?ah-zah< 祖母 > ,?ah-pAh< 祖父>

iii) 器 物 の名称 ?ah-kh血h< 戸> ,?a-1dhpiah< シナ鍋> ,?ah-tshbh< 斧> iv) 状 態 を事 柄 と して表 現 す る形 式

thhh-?ah< 厚 い> -?ah-thdh< 厚 さ> ,mob-?ah<高 い> -?ah-moh<高 さ> ,邑ih-?ah < 広 い>-?ah一差ih< 広 さ> この形 式 を作 り得 る形態 素 の範 岡 は限定 されて い る。

(25)

)

その他 ?ah-bah<月>,?ah-tdh<火> ,?ah-ma<誰>,?ah-no<豆> etc・ (4) SufBx-pah,-phah,-maを ともな う形 式

-pah,-phahは人 間 および動物一般 の男性 を,-maは女 性 を あ らわす。-pahと -phahは補 い合 って分配 されてい るが,-pllahの ほ うが分配 範 囲は広 い。

i) -pAh:-ma

lih-p畠h <孫> 1ih-ma<孫 娘>

?ah-

盆 pdh <雄豚> ?ah-Ⅴ盆ma<雌豚> ?ah-tshipdh<雄羊> ?ah-tshima<雌羊> ii) -phah:-ma

?ah-nahphah< 雄犬> ?ah-nahma<雌犬> ?ah-japhah <雄鶏> ?ah-jdma<雌鶏> ?ah-員ihphah <雄牛> ?ah一己ihma<雌牛> W6h-phah < 伯父> W6h-ma< 伯母> n色hphah < 垂師> nehma<丞女>

<象> hah-maも hah-maphah<雄 象> hah一mama<雌象> とな り得 る。 (5) Su氏Ⅹ-zahを と もな う形式

zahは 本来<子供 ,息子> を意 味す る zahと同 じ形態素 で あ って, 指小形式 (dimunitive) を構成 す る.mb<草> 一m6-zah<小 さい草> ,?ah-nah<犬> -?ah-nahzah<小犬> , S血h紳 h<箱> ->S血h

hzah<小箱>,pud<魚> -quAzah<小魚>, fuh-bah<瓶> -fuh-b色hzah<小 瓶> O

(6) Su輔.x-ddhを ともな う形 式

この su托Ⅹ は, 勤評表 現 Ⅴ-?ah形 式 の -?ahの位 置 に換 わ って その行 為 に用 い る道具 を示 す。上掲 例 p.65参摺。

(7) SufBx-suを と もな う形式

このsu用Ⅹ も同様 に動辞表 現 Ⅴ-?ahの -?ahに換 わ って その行 為者 を示 す om6h-?ah- < ね らう>-m6h-su< - ンクー> ,1ah-?ah<来 る>-1ah-su< 来 る人>, Ⅴdh-?ah<売 る> -> vhh-su<売 る人> ,quamia<魚 を釣 る>-りuまmidsu<魚釣人> etc.

(8) Su托Ⅹ-tstHを と もな う形式

tsuIの職能 は と くに明 らかで はないが,漢語 の ≠子''に該 当す る もの と考 え られ る。-tsuIを もつ形 式 の中 には, ≠子 〃の形 を もった漢語 か らの借 用語 も含 まれて い るか ら, この一 連 の 単 語 は本来 の リス語 であ るか漢語 か らの借 用語 であ るか弁別 し難 い。

tsoh-tsu 〟table''<臭 子>,Ⅴah-tstH``socks"<裸 子> k血h-tstHりneck

'

',kae-tstuHmarket"<街 子> ,

参照

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