1) 鹿屋体育大学 〒8912393 鹿児島県鹿屋市白水町 1 番地 2) 鹿屋体育大学大学院 〒8912393 鹿児島県鹿屋市白水町1 番地 3) 阿南工業高等専門学校 〒7740017 徳島県阿南市見能林町青木265 連絡先 蔭山雅洋
1. National Institute of Fitness and Sports in Kanoya 1 Shiromizu, Kanoya, Kagoshima 8912393 2. Graduate School of Education, National Institute of
Fitness and Sports in Kanoya
1 Shiromizu, Kanoya, Kagoshima 8912393 3. National Institute of Technology, Anan College
265 Aoki Minobayashi, Anan, Tokushima 7740017 Corresponding author mkageyama@nifs-k.ac.jp
研究資料
ワインドアップポジションとセットポジションからのストレート
による投球のバイオメカニクス的比較高校野球投手における
投球速度および投球動作中の下肢と体幹に着目して
蔭山 雅洋1) 鈴木 智晴2) 岩本 峰明2) 中島 一2),3) 前田 明1) Masahiro Kageyama1, Chiharu Suzuki2, Mineaki Iwamoto2, Hajime Nakashima2,3and Akira Maeda1:
Biomechanical comparison of pitching a fastball from the wind-up and the set positions: Focusing on ball velocity and motion of the lower limbs and trunk during pitching in high school baseball pitchers. Japan J. Phys. Educ. Hlth. Sport Sci.
AbstractThe purpose of the present study was to clarify the proˆles of the lower limb and trunk mo-tion during baseball pitching in relamo-tion to their diŠerences between the wind-up and the set posimo-tions, and to determine how the ball pitching velocity can be increased in the set position. The subjects were 12 high school baseball pitchers(age: 16.4±0.5 yr, height: 173.7±4.8 cm, weight: 64.8±8.1 kg). Pitching was assessed using a three-dimensional motion system and two multicomponent force plates. It was found that 1) the maximum and average pitched ball velocities were signiˆcantly lower in the set position than in the wind-up position, 2) the maximum ground-reaction force of the pivot and stride legs and the impulse of pivot during the stride phase(from the time of maximal stride knee height to the time of max-imal anterior push-oŠ force) were signiˆcantly lower in the set position than in the wind-up position, and 3) the maximum upper torso/trunk twist angular velocity and the pelvis/upper torso angular velocity at moment of the stride foot contact were signiˆcantly lower in the set position than in the wind-up position. These results indicate that 1) the ball pitching velocity in the set position is lower than in the wind-up po-sition. In addition, the factors associated with this lower ball velocity are suggested to be 2) decreased momentum of the pivot leg and 3) decreased rotation motion of the trunk during the arm acceleration phase.
Therefore, in order to increase ball pitching velocity in the set position, increasing the moment to the rear of the pivot leg during a short period and improvement of lower limb strength/power with the exten-sion movement of the hip and knee joint may be important factors.
Key wordsキネマティクス,キネティクス,地面反力,力積,3 次元動作分析法
キーワードkinematics, kinetics, ground-reaction force, impulse, three-dimensional motion analysis technique
.緒
言
野球では,投手が果たす役割は大きいため,投 手はさまざまな状況の中で,より大きな投球速度 を発揮することが求められる.野球の投手におい て,投球の姿勢には,ワインドアップポジション と セ ッ ト ポ ジ シ ョ ン の 2 つ の 正 規 の も の が あ り,どちらでも随時用いることができるとされて いる(日本プロフェッショナル野球組織ほか, 2014).例えば,走者なしの場合,投手は一般的 にワインドアップポジションから投球動作を行う が,走者が出塁した場合などは,走者が盗塁を行 う可能性があるため,投手は盗塁を阻止するため に,セットポジションから素早く投球動作を行う クイックモーションや走者への牽制球,投球間隔 の時間などを変化させている(荒木,2003野 村ほか,2003大貫ほか,2000与田,2005). その中でも走者がいる際に多用されるクイック モーションは,セットポジションから素早い動作 で行わなければならないため,ワインドアップポ ジションに比べ,ステップする脚を高く上げるこ とができない(大貫ほか,2000).そして,クイ ックモーションは,下肢の動きによって投球速度 の減少が起こる傾向がある(荒木,2003)とさ れている.しかしながら,大学生やメジャーリー グの投手といった競技レベルの高い投手を対象 に,ワインドアップポジションとセットポジショ ンからのストレートによる投球速度の違いを検 討した先行研究(Atwater., 1979Dun et al., 2008 ) で は , 両 者 に は 差 が な い と い う 報 告 (Atwater., 1979)がある一方で,両者にはわず かではあるが有意な差がみられた(Dun et al., 2008)と報告されている.このように,セット ポジションからの投球に関しては,いくつかの指 導書において述べられているものの,両投法によ る投球速度の差について一致した見解は得られて いない. 投球速度に影響する動作については,これまで のところ,ワインドアップポジションによる投球 動作の解析を中心に検討されてきた.投球動作 は,踏込脚が接地した後,膝の速度が増加し,次 いで腰,肩,肘,手首そしてボールの順に,各部 位の速度のピークが時間的にずれながら増加する (阿江・藤井,2002桜井,1992豊島ほか, 1976).そして投球動作は,下肢によって生み出 された力,エネルギー,速度などがタイミングよ く順次に加算・伝達されて末端へ伝わり,体幹を 通して末端のエネルギーや速度を大きくできると いう運動連鎖の原則が成り立つ(阿江・藤井, 2002Kreighbaum and Barthels, 1985).また Toyoshima et al. (1974)は,通常のステップを 用いた投動作では投球速度の約50にステップ と身体の回転が貢献していると指摘し,さらに宮 西(2004)は,体幹は投球腕各部の力学的エネ ルギーの増大のために重要な“エネルギー発生・ 伝達器”となっていることを述べている.このよ うに,投球動作は,最終的に手の速度をどれだけ 大きくできるかが,投球速度を決定する要因にな るものの,これらを増大させるには下肢や体幹が 重要な役割を担っていると考えられる.先行研究 においては,投球速度を獲得するには,両脚に作 用する投球方向成分の大きな地面反力(Kageya-ma et al., 2014, 2015Mac Williams et al., 1998),リリース直前における踏込脚膝関節の伸 展動作(Matsuo et al., 2001),ボール加速局面で の体幹の回旋動作(Escamilla et al., 2001Flei-sig et al., 1999蔭山ほか,2014Matsuo et al., 2001島田ほか,2000Stodden et al., 2001高 橋ほか,2005,)や捻転動作(蔭山ほか,2014 宮西・櫻井,2009)の重要性が指摘されている. このようなことから,大きな投球速度を獲得する には,投球動作中の下肢や体幹が重要な役割を持 つと考えられる. 一方で,セットポジションからの投球速度に影 響する投球動作の特徴については,メジャーリー グおよびマイナーリーグの投手を対象としてお り,セットポジションからの投球は,ワインドア ップポジションと比較して,投球速度が有意に低 下するものの,投球動作には差がないこと(Dun et al., 2008)が報告されている.しかしながら, この研究で対象とした被検者は,メジャーリーグおよびマイナーリーグの投手であるため,競技レ ベルの低い高校生の特徴については不明である. また高校野球といったアマチュア野球では,盗塁 を中心とした戦略をとることも少なくはない.そ のため,セットポジションからの投球について は,盗塁を防ぐために必要な基本テクニックの一 つとしてクイックモーションの重要性(荒木, 2003野村ほか,2003大貫ほか,2000与田, 2005)が述べられてきた.したがって,高校野 球投手を対象に,ワインドアップとセットポジシ ョンからの投球動作の違いを検討することは,セ ットポジション時においてワインドアップと同等 の投球速度を獲得するための動作が明確にでき, クイックモーションの指導に有益な知見になると 考えた. そこで本研究は,高校野球投手を対象に,ワイ ンドアップポジションとセットポジションにおけ る投球動作中の下肢および体幹の動作を比較し, セットポジションから高い投球速度を獲得するた めの知見を得ることを目的とした.
.方
法
. 被検者 被検者は,投手を専門とする高校野球投手12 名(年齢16.4±0.5歳,身長173.7±4.8 cm, 体重64.8±8.1 kg)を対象とした.本研究は鹿 屋体育大学倫理審査小委員会に倫理審査申請書を 提出して承諾を受けた.被検者およびその保護者 には,事前に本研究の目的や測定内容,測定時の 危険性について説明し,書面にて実験参加の同意 を得た. . 実験 ) 投球試技 測定に先立ち,被検者にはストレッチを含むウ ォーミングアップを十分に行わせた後,簡易マウ ンド(後述)にて投球練習を行わせた.投球練習 終了後,休息を挟み,被検者の疲労感がないこと を確認した後に,被検者には 10 m 先の的に対し て,ストレート 5 球による全力投球をワインド アップポジションとセットポジションでそれぞれ 行わせた.投手の投球姿勢には,ワインドアップ ポジションとセットポジションの 2 つの正規の ものがあり,どちらでも随時用いることができる とされている(日本プロフェッショナル野球組織 ほか,2014).ワインドアップポジションは,両 腕を頭上へ振りかぶり投球に入る場合(ワインド アップポジション)と両腕を振りかぶらず身体の 前方で保持してから投球に入る場合(ノーワイン ドアップポジション)に分けられる.両腕の振り かぶりの有無は,投球速度に影響があることが予 想されるが,本研究ではすべての投手がノーワイ ンドアップポジションからの投球動作であった. またセットポジションからの投球動作は,試合の 状況下で,一塁走者が盗塁する可能性があること を想定させて,全力投球を行わせた.そして,本 研究では,投球速度が最も大きかった試技をそれ ぞれ分析の対象とした. ) 投球動作の測定とデータ処理 実験は,室内にて簡易マウンド(Figure 1)を 設置し,10 m 先の的に投球を行わせた.マウン ドは,公認野球規則(2014)によると,本塁の 高さよりも 25.4 cm 高いところにあり,投手板の 前方 15.2 cm の地点から,本塁に向かって 182.9 cm の地点まで,約4.8°の傾斜とされている.そ のため,本研究で使用した簡易マウンドは,投手 板から踏込脚のつま先との距離を高さ 15 cm,ス トライド幅 180 cm,傾斜角4.8°と想定し,作成 し た . ま た 2 台 の フ ォ ー ス プ ラ ッ ト フ ォ ー ム は,水平面上に平行に設置した.なお簡易マウン ドは,設営の都合上,実際のマウンドより 5.4 cm 高いものとなった.本研究では右投手の場合 は,右脚を軸脚,左脚を踏込脚とした(左投手の 場合は逆とした). 測 定 は 光 学 式 3 次 元 動 作 解 析 シ ス テ ム (Mac3D, Motion Analysis 社製)の12台の専用高 速度カメラと 2 台のフォースプラットフォーム (Z15907, Kistler 社製)を使用し た.投球速度 は,スピードガン(2ZM1035, Mizuno 社製)を 用いて計測した.スピードガンは測定誤差が少なFigure 1 Experimental setup.
Figure 2 Placement of re‰ective markers on the body segment.
い投球方向に配置(宮西ほか,2000)し,照準 を被検者のボールリリース位置に向けて測定を行 った. 光 学 式 3 次 元 動 作 解 析 シ ス テ ム に よ る 測 定 (Figure 1)では,身体部位37点(Figure 2)に 反射マーカー(直径 13 mm)を貼付し,撮影速 度毎秒500コマ,シャッタースピード毎秒2000 コ マ で 身 体 各 部 位 の 3 次 元 座 標 を 計 測 し た . Mac3D のキャリブレーションによるカメラ12台 の較正点の実測 3 次元座標値と算出された 3 次 元座標値の平均誤差は,1.0 mm 以下であった. 身体部位37点は,頭部 5 点(頭頂,頭部前部, 頭部後部,左右の耳珠点),上肢10点(左右の肩 峰,肘外側,手首内果,手首外果,第 3 中手指 節関節),体幹部 6 点(胸骨上縁,胸骨下縁,右 肩甲骨下郭,左右の上前腸骨棘,仙骨),下肢16
Figure 3 Deˆnition of coordinate system ˆxed at the hip, knee and ankle joints calculate the joint angle of each joint. 点(左右の大転子,大腿骨外側上果,大腿骨内側 上果,外果,内果,踵後部,第 3 中足骨頭,第 3 中足骨頭)とした.身体各部位の 3 次元座標は, モーションキャプチャーシステムの制御ソフト ウェア(Cortex 2.6.8.1186, Motion Analysis 社製) を用いて,DLT 法(Direct Linear Transforma-tion method) に よ り 算 出 し た . ま た 身 体 各 部 位 の 3 次 元 座 標 は , 数 値 解 析 ソ フ ト ウ ェ ア (MATLAB R2010b, The Math Works)を用い, 遮断周波数 13.4 Hz による位相ずれなしの 4 次の Butterworth 型デジタルフィルターによって平滑 化した(Fleisig et al., 1999).投球動作中の両脚 に作用する地面反力は,フォースプラットフォー ムにより計測し,専用アンプを介して,サンプリ ング周波数 2000 Hz でパーソナルコンピュータ に取り込んだ.なお,3 次元座標と地面反力の データは,光学式 3 次元動作解析システムに付 属する A/D ボードを介して同期した.静止座標 系は,ピッチャープレートからホームプレートに 向かうベクトルを Y 軸,鉛直方向のベクトルを Z 軸,Y および Z 軸に垂直で 3 塁方向へ向かう ベクトルを X 軸とした. ) 動作の局面分け 本研究では,Fleisig et al. (1999)が定義して いる,踏込脚膝関節の最大高時(MKH),踏込 脚接地時(SFC),肩関節最大外旋位時(MER), ボールリリース時(REL)の 4 つの動作時点に, MacWilliams et al. (1998)が定義している軸脚 における地面反力 Y 成分の最大値出現時(MAP) を加えた,5 つの動作の区分点とした(Figure 3).軸脚に作用する Y 成分の地面反力の最大値 出現時における進行方向と鉛直方向の地面反力 は,投球速度に影響が大きいとされるボールリ リース時の手首の速度と高い相関関係を示した (MacWilliams et al., 1998)と報告されている. このことから,本研究では Fleisig et al. (1999) と MacWilliams et al. (1998)の定義から投球動
Figure 4 Deˆnition of pelvis, upper torso and trunk twist angle. 作の動作時点を 5 つに分けた. 本研究では,MKH から SFC までを第 1 局面, SFC から REL までを第 2 局面とした.各局面に ついては,所要時間をそれぞれ100とし,3 次 スプライン関数を用いてすべてのデータを規格化 し た . そ の た め , 規 格 化 時 間 は , MKH が 0time, SFC が100time, REL が200time と した.なお,投球動作中の地面反力は,軸脚が主 に第 1 局面に作用し,踏込脚が第 2 局面に作用 しているため,第 2 局面での軸脚の地面反力は 分析の対象としなかった. ) データの算出項目と方法 本研究では,投球動作中の下肢および体幹の動 作について着目した.以下に,下肢の各関節およ び体幹の角度定義,踏込脚膝の最大高,ストライ ド長,地面反力,力積の算出方法について記述す る. 下肢における各関節の角度定義について 下肢の各関節の角度は,先行研究(Kouchi et al., 2000Nakamura et al., 2005Yamane et al., 2005Yamane and Nakamura, 2003)を基に作 成された筋骨格モデル動作解析ソフト(nMotion musculous 1.51, nac社製)を用い算出した.本研 究では,各関節角度は,モーションキャプチャー データから得られた 3 次元座標を用い,人体モ デルの逆運動学(Yamane and Nakamura, 2003) によって計算した.そのため,筋骨格モデル動作 解析ソフト(nMotion musculous 1.51, nac 社製) を も と に , 身 体 部 分 を 53 の 剛 体 リ ン ク モ デ ル (link-segment model)と仮定した.すべてのセ グメントは,両側の上腕部,前腕部(橈骨側,尺 骨側),手部,大腿部,下腿部(腓骨側,脛骨 側),膝蓋骨,つま先,後足部,そして,頭部, 胸骨,鎖骨,肩甲骨,頸部(第 1 頸椎から第 7 頸 椎 ), 胸 部 ( 第 1 胸 椎 か ら 第 12 胸 椎 ), 腰 部 (第 1 腰椎から第 5 腰椎)とした.そして,関節 座標系の設定(Figure 4)は,各セグメントの関 節中心を原点とし,静止立位時の姿勢に基づき, 矢状面に垂直な軸を x 軸,水平面に対し垂直な 軸を y 軸,前額面に垂直な軸を z 軸とした.各セ グメントの関節中心の原点および座標系は,モー ションキャプチャーデータから得られた 3 次元 座標から逆運動学の計算に基づき,以下の式 1, 2 から求めた.なお,各セグメントの関節中心の原 点および座標系の算出(式 1)には,静止立位時 の筋や腱の長さを超えないという拘束条件(式 2) が成り立つ.そのため,この拘束条件に基づき, 各関節セグメントの定義マーカーとモーションキ ャプチャーから得られた実測マーカーとの距離が 最小になるように算出した. min q 1 2 NM
∑
i=1 ∥ÂPi-Pi(q)∥2 式 1 Subject to lj(q)<Âlj (0<j<NT) 式 2 NJ 全関節の総自由度 NMマーカーの総数Figure 5 Deˆnition of trunk tilt, stride knee height and stride length.
Figure 6 Phases of pitching motion. NT筋を除いたワイヤ(腱など)の総数 q∈RNJ 一般化座標 pi(q)∈R3一般化座標 q における各マーカ 位置 âpi∈R3 各マーカーの計測位置 li(q)∈R 一般化座標 q における各ワイヤ の長さ Âli∈R 各ワイヤの自然長 本研究では,解剖学的な可動域制限に基づき, 股関節では屈曲伸展,内外転および内外旋角度 を,膝関節では屈曲伸展および内外旋角度を,足 関節では底背屈,内外転および内外反と定義し た.各関節の角度定義は,日本整形外科学会なら びに日本リハビリテーション医学会が1995年に 制定した「関節可動域表示ならびに測定法」に則 った.関節の角度における符号の正負について は,股関節では屈曲,内転および内旋を正,伸 展,外転および外旋を負,膝関節では屈曲を正, 伸展を負,足関節では底屈を正,背屈を負とし た.なお,膝関節は内外旋,足関節は内外転,内 外反といった下肢の動作は,投球動作中の動きが ほとんど生じていないため,本研究では割愛した. 体幹の動作について Figure 5 に,上胴,下胴,捻転の定義(Stod-den et al., 2001高橋ほか,2005蔭山ほか, 2014 ) を , Figure 6 に , 体 幹 の 前 傾 の 定 義 ( Matsuo et al., 2001 ) を 示 し た . 下 胴 の 角 度 (Figure 5(a))は,左上前腸骨棘(マーカー番号
19)から右上前腸骨棘(マーカー番号18)に向 かうベクトルを作成し,静止座標系の Y 軸に対 する角度とした.上胴の角度(Figure 5(b))は, 左肩峰(マーカー番号 7)から右肩峰(マーカー 番号 6)に向かうベクトルを作成し,静止座標系 の Y 軸に対する角度とした.本研究では,投球 方向に回転した際を正の角度,その逆を負の角度 と定義した.体幹の捻転角度(Figure 5(c))は, 下胴角に対する上胴角の差分(体幹捻転角度=上 胴角度-下胴角度)から算出した.したがって, 捻転角度が負の値であれば,下胴に対して上胴が 右回旋している状態を示し,正の値であれば左回 旋している状態を示す. また体幹の前傾角度(Figure 6(a))は,下胴 の中点(左右の上前腸骨棘を結んだ中心)から上 胴の中点(左右の肩峰を結んだ中心)に向かうベ クトルを作成し,静止座標系の Z 軸に対する角 度とした.つまり,本研究では投球(本塁)方向 へ傾いた際を正の角度,2 塁方向へ傾いた際を負 の角度と定義した. 踏込脚膝の最大高およびストライド長につ いて Figure 6 に,踏込脚膝の最大高およびストラ イド長の定義について示した.踏込脚膝の最大高 (Figure 6(b))は,踏込脚の膝関節中心の Z 座標 が最も高くなった時とした.本研究では,簡易マ ウンドを用いたため,軸脚と踏込脚のフォースプ レートの高さは異なる(段差は 15 cm となる). そのため,本研究における踏込脚膝の最大高は, 踏込脚側のフォースプレートの高さ(原点から Z 軸が 15 cm の位置)との差とした.またストラ イド長(Figure 6(c))は,MKH 時における軸 脚の足関節中心から SFC 時における踏込脚の足 関節中心との距離とした.なお,足および膝関節 においては,それぞれの関節における内果および 外果の中心を関節中心とした. 地面反力および力積について 軸脚および踏込脚に作用する地面反力のデータ は,各成分の最大値および最小値を算出した.ま た投球動作中の軸脚および踏込脚の力積は,各局 面の地面反力を時間積分することでそれぞれ算出 した.さらに,投球動作の動作局面においては, 力積がどのような影響を及ぼしているかを検討す るため,MKH から MAP, MAP から SFC, SFC から MER, MER から REL までの区間ごとに力 積をそれぞれ算出した.なお,すべての地面反力 および力積のデータは,身体質量で除した値とし た. . 統計処理 基本統計量は平均値±標準偏差(SD)により 示した.ワインドアップポジションおよびセット ポジションの差異を検討するため,投球速度,ス トライド長および踏込脚膝の最大高は,対応のあ る Student's の t 検定を用いて比較を行った.ま た動作時間,各成分の地面反力,下肢の各関節お よび体幹の角度および角速度においては,繰り返 しのある 2 元配置の分散分析を行い,条件の主 効果および交互作用(条件間×経時変化)に有意 性がみられるかを検定した.しかし,条件ごとの 経時変化の要因については本研究の目的と異なる ため,検討しなかった.条件間の主効果および交 互 作 用 の み ら れ た 場 合 は , そ の 後 対 応 の あ る Student's の t 検定を用いて,ワインドアップポ ジションおよびセットポジションの比較を行っ た.本研究では,すべての検定において有意水準 を 5未満とした.なお,すべての検定は統計処 理ソフト IBM SPSS Statistics 19 (IBM 社製)を 用いた.
.結
果
) 投球速度,動作時間およびストライド長 Table 1 は,ワインドアップおよびセットポジ ションにおける投球速度,投球動作中の動作時間 およびストライド長を示したものである.最大速 度および 5 球中の平均速度は,セットポジショ ンがワンドアップポジションに比べ,有意に低い 値を示した(p<0.01). 第 1 局面および合計の動作時間は,セットポTable 1 Ball velocity, phase time and stride length during pitching unit Set Wind-up Ball velocity
Max km/h 119.2±4.9 122.1±4.9 Average km/h 118.3±5.2 121.3±5.5 Time of each phase
Phase 1 (MKH-SFC) s 0.53±0.08 1.09±0.36 MKH-MAP s 0.40±0.12 0.91±0.36 MAP-SFC s 0.14±0.05 0.14±0.04 Phase 2 (SFC-REL) s 0.18±0.02 0.17±0.02 SFC-MER s 0.14±0.02 0.13±0.02 MER-REL s 0.04±0.01 0.04±0.01 MKH-REL s 0.71±0.09 1.26±0.36 Stride length Stride length m 1.40±0.08 1.47±0.08 Stride length_X m 0.01±0.11 -0.01±0.12 Stride length_Y m 1.39±0.08 1.46±0.08 Stride length ( height) height 82.0±4.4 84.9±4.3 Stride length_X ( height) height 5.3±3.1 4.6±3.3 Stride length_Y ( height) height 81.5±4.4 84.4±4.3 Stride knee height
Stride knee height m 0.67±0.12 1.13±0.06 Stride knee height ( height) height 39.2±6.6 66.0±3.2 MKH: Maximal stride knee height MER: Maximum shoulder external rotation Mean±SD MAP: Maximal anterior push-oŠ force REL: Ball release p<0.05, p<0.01; Set vs Wind-up SFC: Stride foot contacts ground
ジションがワンドアップポジションに比べ,有意 に短い値を示した(p<0.01).またセットポジシ ョンにおける MKH から MAP の動作時間は, ワンドアップポジションに比べ,有意に短い時間 を示し(p<0.05),SFC から MER の動作時間 は,ワンドアップポジションが有意に長い時間を 示した(p<0.05). セットポジションにおけるストライド長および 身長比のストライド長は,絶対値および Y 方向 がワインドアップポジションに比べ有意に小さい 値を示した(p<0.05).また踏込脚膝の最大高お よびその身長比は,セットポジションがワンドア ップポジションに比べ,有意に低い値を示した (p<0.01). ) 下肢のキネマティクス Figure 7 および Figure 8 は,被検者 A の下肢 のキネマティクスデータ(Figure 7下肢の関節 角度,Figure 8下肢の関節角速度)を示したも のである.セットポジションにおける下肢の動作 は,踏込脚膝の最大高の時点から,軸脚では股関 節の内転と屈曲の動作および膝関節の屈曲の動作 が,踏込脚では股関節と膝関節の伸展動作が行わ れていた.そして,第 1 局面中盤からは,ワイ ンドアップポジションと類似する動作であった. Table 2 は,下肢のキネマティクスを示したも のである.軸脚膝関節の屈曲最大角度は,セット ポジションがワインドアップポジションより有意 に大きい値を示した(p<0.05).セットポジショ ンにおける踏込脚股関節の内旋最大角速度および 踏込脚膝関節の最大伸展角速度は,ワンドアップ ポジションより有意に低い値を示した(p<0.05). セ ッ ト ポ ジ シ ョ ン に お け る MKH 時 の 軸 脚 は,ワンドアップポジションより,股関節が内転
Figure 7 Changes in joint angle of pivot and stride legs during pitching. および屈曲,膝関節が屈曲,足関節が背屈してい た(p<0.05).また踏込脚の股関節および膝関節 は,セットポジションがワインドアップポジショ ンより屈曲していた(p<0.05).軸脚股関節およ び踏込脚膝関節の角速度は,セットポジションが 伸展角速度を示したのに対し,ワンドアップポジ ションは屈曲角速度を示した(p<0.05).なお, MAP 時,SFC 時,MER 時,REL 時における下 肢のキネマティクスは,両条件に有意な差が認め られなかった. ) 体幹のキネマティクス Figure 9 および Figure 10は,被検者 A の体幹 のキネマティクスデータ(Figure 9体幹の角度, Figure 10体幹の角速度)を示したものである. セットポジションにおける体幹の角度は,踏込脚 接地時において,ワインドアップポジションより も下胴が投球方向に対して回旋させておらず,第 1 局面における上胴および下胴の回旋角度は,ワ インドアップポジションよりも小さい値であっ た.またセットポジションにおける体幹の角速度 は,踏込脚接地時において,ワインドアップポジ ションよりも小さく,その後の上胴および捻転の 角速度においても小さい値であった. Table 3 は,体幹のキネマティクスを示したも のである.体幹の動作は,セットポジションにお ける上胴および捻転の最大角速度,前傾最大角速 度がワインドアップポジションに比べ,有意に低 い値を示した(p<0.05).また SFC 時の上胴お よび下胴角速度,REL 時の前傾角速度は,セッ
Figure 8 Changes in joint angular velocities of pivot and stride legs during pitching. トポジションがワインドアップポジションに比 べ,有意に低い値を示した(p<0.05).なお, SFC 時の上胴および下胴角速度,REL 時の前傾 角速度以外の体幹の角速度および角度の項目は, 両条件に有意な差が認められなかった. ) 地面反力および力積 Figure 11 は , 被 検 者 A に お け る 地 面 反 力 の データを示したものである.セットポジションに おける軸脚に作用する Y 成分の地面反力は,ワ インドアップポジションと比べ,MKH 時では大 きいものの,最大値では小さかった.また軸脚に 作用する Z 成分および合成成分の最大値におい ても,セットポジションはワインドアップポジシ ョンよりも小さい値であった.そして,踏込脚に 作用する地面反力(Y 成分,Z 成分,合成成分) は,踏込脚が接地した直後から,セットポジショ ンはワインドアップポジションよりも小さかった. Table 4 は,最大・最小および各時点の地面反 力を示したものである.軸脚の地面反力(X 成 分,Y 成分,Z 成分および合成成分)の最大値 は,セットポジションがワンドアップポジション に比べ,有意に低い値を示した(p<0.05).また 踏込脚(Y 成分,Z 成分,合成成分)の地面反力 の最大値は,セットポジションがワインドアップ ポジションに比べ,有意に低い値を示した(p< 0.05).また動作時点における地面反力は,MKH 時の Y 成分および MAP 時の X 成分が,ワイン ドアップポジションがセットポジションに比べ, 有意に低い値を示した(p<0.05). Table 5 は,軸脚および踏込脚の力積を示した ものである.投球動作の軸脚(第 1 局面)にお
Table 2 Lower-limbs kinematics diŠerence between set and wind-up.
unit Set Wind-up Set Wind-up
Hip Pivot leg Stride leg
Maximum Hip Flexion Angle deg 55.6±5.5 55.0±6.1 110.7±6.1 110.5±4.2 Maximum Hip Adduction
An-gular Velocity deg/s 91.6±55.2 132.3±41.7 739.3±147.7 851.5±228.1 Maximum Hip Abduction
An-gular Velocity deg/s -224.7±83.3 -228.8±85.1 -27.5±109.4 -36.7±114.0 Maximum Hip Internal
rota-tion Angular Velocity deg/s 135.5±76.1 144.8±71.1 373.8±130.3 455.5±189.3 Maximum Hip External
rota-tion Angular Velocity deg/s -61.5±24.2 -68.8±29.5 -81.6±67.7 -88.8±99.6 Maximum Hip Flexion Angular
Velocity deg/s 104.4±25.0 131.0±44.4 618.9±66.7 633.7±73.1 Maximum Hip Extension
An-gular Velocity deg/s -484.5±85.1 -505.2±118.8 -216.1±74.2 -221.0±90.9 Knee
Maximum Knee Flexion Angle deg 56.7±9.3 52.9±9.3 55.5±4.7 53.7±5.6 Maximum Knee Extension
An-gular Velocity deg/s -223.2±93.2 -228.8±100.7 -219.1±71.5 -264.3±73.7 Angle and Angular velocity of Lower Limbs at MKH
Hip Adduction (+)/Abduction
(-)Angle deg 0.3±15.6 -27.3±5.0 27.6±31.4 3.9±14.2 Hip Internal rotation
(+)/Ex-ternal rotation (-) Angle deg -19.8±6.1 -20.6±5.4 -13.8±34.7 -35.8±6.3 Hip Flexion (+)/Extension
(-)Angle deg 43.3±20.4 8.4±5.3 61.4±17.7 103.6±2.9 Knee Flexion (+)/Extension
(-)Angle deg 41.7±8.6 16.0±4.5 67.5±24.1 119.6±11.6 Ankle Dorsi‰exion
(+)/Plan-tar‰exion (-) Angle deg -8.3±10.2 0.1±4.2 5.5±27.1 14.1±15.5 Hip Adduction (+)/Abduction
(-)Angular Velocity deg/s -22.7±31.1 -5.3±11.7 68.7±51.2 28.8±23.5 Hip Internal rotation
(+)/Ex-ternal rotation (-) Angular Velocity
deg/s 9.3±29.9 9.9±16.0 45.4±42.5 5.0±30.9
Hip Flexion (+)/Extension
(-)Angular Velocity deg/s 80.9±25.5 14.7±26.6 14.8±31.3 6.4±18.3 Knee Flexion (+)/Extension
(-)Angular Velocity deg/s 36.5±83.7 15.7±14.0 -320.2±127.9 37.7±87.2 Ankle Dorsi‰exion
(+)/Plan-tar‰exion (-) Angular Velocity deg/s 1.9±22.7 -0.8±8.8 171.8±129.5 67.4±95.6 MKH: Maximal stride knee height Mean±SD
p<0.05, p<0.01; Set vs Wind-up ける力積は,すべての成分において,セットポジ ションがワインドアップポジションに比べ,有意 に低い値を示した(p<0.05).また MKH から MAP の力積は,セットポジションがワインドア ップポジションに比べ,有意に低い値を示した (p<0.01). ) 下肢・体幹動作および地面反力の最大出現 時間 Table 6 は,下肢・体幹動作および地面反力の 最大出現時間を示したものである.軸脚股関節の 屈曲角度,外旋角速度,外転角速度,軸脚膝関節 の屈曲角速度は,セットポジションがワインドア ップポジションに比べ,有意に早い出現時間を示
Figure 9 Changes in rotation angle of pelvis, upper torso, trunk twist and trunk tilt during pitch-ing.
Figure 10 Changes in rotation angular velocities of pelvis, upper torso, trunk twist and trunk tilt during pitching.
Table 3 Trunk kinematics diŠerence between set and wind-up.
unit Set Wind-up Maximum Upper Torso Angular Velocity deg/s 1218.6±191.0 1313.9±208.6 Maximum Pelvis Angular Velocity deg/s 675.5±65.1 700.0±68.9 Maximum Trunk Positive Twist Angular Velocity deg/s 869.4±167.5 1006.4±205.1 Maximum Trunk Negative Twist Angular Velocity deg/s -398.6±122.1 -421.1±121.7 Maximum Forward Trunk Tilt Angular Velocity deg/s 388.4±66.0 431.7±81.5 Upper Torso Angular Velocity at SFC deg/s 261.8±257.6 367.0±221.7 Pelvis Angular Velocity at SFC deg/s 481.1±134.8 554.1±71.1 Forward Trunk Tilt Angular Velocity at REL deg/s 360.4±86.1 398.3±107.6 SFC: Stride foot contacts ground Mean±SD REL: Ball release p<0.05, p<0.01; Set vs Wind-up
した(p<0.05).踏込脚膝関節の伸展角速度は, セットポジションがワインドアップポジションに 比べ,有意に遅い出現時間を示した(p<0.05). 捻転最小角速度は,セットポジションがワインド アップポジションに比べ,有意に早い出現時間を 示した(p<0.05).また軸脚における Y 成分,Z 成分,合成成分の地面反力は,セットポジション がワインドアップポジションに比べ,有意に早い 出現時間を示した(p<0.05).
Table 4 GRF data diŠerence between set and wind-up.
unit Set Wind-up Set Wind-up Pivot leg Stride leg
Maximum Fx N/kg 1.5±0.4 1.3±0.4 1.2±0.8 1.2±0.7 Maximum Fy N/kg 7.0±1.1 7.4±1.2
Maximum Fz N/kg 11.9±0.8 12.5±1.4 18.8±1.3 19.5±1.6 Maximum Resultant forces N/kg 13.5±1.2 14.3±1.8 21.1±1.7 22.3±2.1 Minimum Fx N/kg -0.4±0.3 -0.5±0.2 -1.3±0.5 -1.1±0.6 Minimum Fy N/kg -10.0±1.0 -10.9±1.3 MKH MER Force Fx N/kg -0.1±0.3 -0.2±0.3 0.4±0.8 0.4±0.7 Force Fy N/kg 2.1±0.9 0.4±0.3 -9.7±1.0 -10.4±1.5 Force Fz N/kg 8.4±1.2 8.7±1.7 18.2±1.6 18.9±2.3 Resultant forces N/kg 8.7±1.4 8.7±1.7 20.6±1.8 21.6±2.6 MAP REL Force Fx N/kg 0.0±0.5 -0.2±0.4 1.0±0.8 0.9±0.8 Force Fy N/kg 6.9±1.1 7.3±1.0 -8.4±1.3 -9.2±1.8 Force Fz N/kg 10.9±1.1 11.5±1.7 17.6±1.7 18.6±2.4 Resultant forces N/kg 12.9±1.4 13.6±1.9 19.5±2.0 20.8±2.9 MKH: Maximal stride knee height MER: Maximum shoulder external rotation Mean±SD MAP: Maximal anterior push-oŠ force REL: Ball release p<0.05, p<0.01; Set vs Wind-up
Table 5 Impulse data diŠerence between set and wind-up.
unit Set Wind-up Set Wind-up Pivot leg Stride leg
Force Fx Ns/kg 0.2±0.1 0.3±0.1 0.1±0.1 0.1±0.1 Force Fy Ns/kg 2.3±0.4 2.6±0.4 -1.3±0.2 -1.3±0.2 Force Fz Ns/kg 5.2±0.9 10.1±3.5 2.3±0.3 2.3±0.3 Resultant forces Ns/kg 5.7±1.0 10.6±3.5 2.7±0.4 2.7±0.3 MKH-MAP SFC-MER Force Fx Ns/kg 0.1±0.0 0.2±0.1 0.1±0.0 0.1±0.0 Force Fy Ns/kg 1.7±0.5 1.9±0.4 -0.9±0.2 -0.9±0.2 Force Fz Ns/kg 4.1±1.2 9.0±3.7 1.5±0.3 1.5±0.3 Resultant forces Ns/kg 4.5±1.3 9.3±3.7 1.8±0.4 1.8±0.3 MAP-SFC MER-REL Force Fx Ns/kg 0.1±0.1 0.1±0.0 0.0±0.0 0.0±0.0 Force Fy Ns/kg 0.6±0.2 0.6±0.1 -0.4±0.1 -0.4±0.1 Force Fz Ns/kg 1.0±0.4 1.1±0.4 0.8±0.1 0.8±0.1 Resultant forces Ns/kg 1.2±0.4 1.3±0.4 0.9±0.1 0.9±0.2 MKH: Maximal stride knee height MER: Maximum shoulder external rotation Mean±SD MAP: Maximal anterior push-oŠ force REL: Ball release p<0.05, p<0.01; Set vs Wind-up SFC: Stride foot contacts ground
Table 6 Temporal parameter data diŠerence between set and wind-up.
unit Set Wind-up Set Wind-up
Hip Pivot leg Stride leg
Maximum Flexion Angle time 55.9±8.1 80.2±5.4 173.4±5.3 172.1±5.4 Maximum Adduction Angular Velocity time 65.5±40.9 70.2±28.1 158.7±9.1 156.3±7.8 Maximum Abduction Angular Velocity time 80.1±15.7 91.8±3.4 166.7±47.1 183.3±37.3 Maximum Internal rotation Angular
Velocity time 82.4±32.4 92.5±18.3 162.5±11.1 162.4±12.5 Maximum External rotation Angular
Velocity time 58.5±30.6 78.9±11.6 157.5±38.8 153.7±35.5 Maximum Flexion Angular Velocity time 14.6±10.9 55.4±14.4 135.2±4.4 132.4±6.8 Maximum Extension Angular Velocity time 98.2±2.0 98.2±1.6 191.3±4.6 190.7±4.0 Knee
Maximum Flexion Angle time 48.2±12.3 76.9±7.2 136.2±21.7 128.1±24.3 Maximum Extension Angular Velocity time 88.0±7.0 93.1±6.0 178.5±28.1 160.1±34.2 Trunk
Maximum Upper Torso Angular Velocity time 168.4±13.0 171.9±6.5 Maximum Pelvis Angular Velocity time 138.6±9.3 138.7±6.9 Maximum Trunk Positive Twist Angular
Velocity time 180.5±6.0 176.9±5.8 Maximum Trunk Negative Twist
Angu-lar Velocity time 68.1±6.0 81.7±5.6 Maximum Forward Trunk Tilt Angular
Velocity time 194.5±6.7 195.1±6.8 GRF
Maximum Fx time 96.4±5.8 98.5±2.3 182.6±28.7 176.0±24.7 Maximum Fy time 72.7±14.1 85.6±6.3
Maximum Fz time 56.5±17.7 76.6±12.6 184.4±9.2 184.7±10.0 Maximum Resultant forces time 59.2±17.2 81.2±9.3 180.9±6.8 180.5±10.4 Minimum Fx time 47.0±28.2 52.1±38.7 128.0±14.6 123.0±14.1 Minimum Fy time 173.9±5.6 172.3±8.6 Mean±SD p<0.05, p<0.01; Set vs Wind-up
.考
察
) ワインドアップおよびセットポジションに おける投球速度の変化について セットポジションによる最大速度および 5 球 中の平均速度は,ワンドアップポジションに比 べ,約 3 km/h の減少を示し,これらの測定値に 統計的な有意差がみられた(Table 1).指導書で は,セットポジションからのクイックモーション は,投球速度が減少すること(荒木,2003)が 述べられている.大学生やメジャーリーグの投手 を対象に,ワインドアップポジションとセットポ ジションからのストレートによる投球速度の違い を検討した研究(Atwater., 1979Dun et al., 2008)によると,両者には差がないという報告 (Atwater., 1979)がある一方で,両者には有意 な差がみられた(Dun et al., 2008)ことが報告さ れている.しかしながら,Dun et al. (2008) は,セットポジションからの投球速度が,ワイン ドアップポジションよりも 0.72 km/h 低下して いたことから,僅かな差であることを述べてい る.したがって,これらの先行知見と本研究の知 見を踏まえると,セットポジションによる投球速 度の減少には,競技レベルが影響していると考え られ,高校生といった競技レベルの低い投手は,Figure 11 Changes in ground-reaction force on pivot and stride legs during pitching.
大学生やメジャーリーグといった競技レベルの高 い投手よりも減少する投球速度が大きいことが示 唆される.このように,セットポジションによる 投球速度の低下は,野球の試合においても同様の ことが起こる可能性が考えられる.以下では,セ ットポジションによって投球速度が低下する動作 要因について考察する. ) 投球動作中の時間および下肢動作について セットポジションにおけるストライド長は,ワ インドアップポジションに比べ,有意に減少した (Table 1).物体に大きな運動エネルギーを与え るためには,物体に対してなす仕事(運動量)を 大きくすればよい(桜井,2004).すなわち,大 きな力を長い距離にわたって加えることができる ならば,大きなスピードが得られると考えられ る.踏み出し幅を変化させ投球動作を行わせた研 究 ( 大 室 ほ か , 2013 ) に よ る と , 通 常 の 歩 幅 (146.9±8.3 cm)に対し狭くした場合(133.4± 13.3 cm)の投球速度(119.5 km/h)は,通常の 歩幅の場合(123.5 km/h)よりも低下する傾向 にあると報告されている.本研究では,セットポ ジションからの投球は,ワインドアップポジショ ンと比べると,ストライド長が 7 cm 減少し,投 球速度が 2.9 km/h 低下した.このように,投球 動作では身体の移動距離の減少は,投球速度の減 少につながることが考えられ,セットポジション からの投球においてストライド長が減少すること は,投球速度の減少をもたらすことが考えられる. また野球では,走者が出塁した場合などは,走 者が盗塁を行う可能性があるため,投手は盗塁を 阻止するために,セットポジションから素早く投 球動作を行うクイックモーションや走者への牽制 球,投球間隔の時間などを変化させている(大貫 ほか,2000荒木,2003与田,2005野村ほ か,2003).その中でも走者がいる際に多用され るセットポジションからのクイックモーション は,素早い動作で行わなければならないため,ワ インドアップポジションよりもステップする脚を 高く上げることができない(大貫ほか,2000). そしてクイックモーションは,下肢の動きによっ て投球速度の減少が起こる傾向にある(荒木, 2003)とされている.このように,セットポジ ションからの投球は,ワインドアップポジション とは異なり,短い動作時間の中で行わなければな らないと考えられる.したがって,セットポジシ ョンからの投球は,高校野球投手では短時間の中 で投球動作を遂行しなければならないことでワイ ンドアップポジションよりもストライド長が減少 した可能性が考えられる. セットポジションの投球動作は,ワンドアップ ポジションと比べて,早い段階から軸脚の股関節 および膝関節の屈曲動作と踏込脚の膝関節の伸展 動作が行われ(Figure 7, 9),セットポジション における MKH 時の軸脚は,ワンドアップポジ ションよりも,股関節が内転および屈曲,膝関節 が屈曲,足関節が背屈し,踏込脚の股関節および 膝関節は伸展していた(Figure 7, Table 2).セ ットポジションからの投球動作は,素早い動作で 行わなければならないため,ワインドアップポジ
ション時に比べ,ステップ足(踏込脚)の動きが 重要となる(野村ほか,2003).本研究の結果よ り,セットポジション時の投球動作は,軸脚では 股関節と膝関節を同時に屈曲させながら股関節を 内転させ,踏込脚では膝を低く上げると同時に, 股関節と膝関節の屈曲角度を小さくすることで素 早い動作を行っていると考えられる.つまり,ワ インドアップポジションとセットポジションにお ける下肢動作の違いは,踏込脚の膝を上げてから 踏込脚が接地するまでの第 1 局面にあると考え られる. ) 地面反力および力積について 軸脚および踏込脚の地面反力の最大値は,セッ トポジションがワンドアップポジションに比べ, 有意に低い値を示した(Table 4).野球の投球動 作において,下肢の動きは投球速度を高めるため に重要な役割を持ち(荒木,2003Kageyama et al., 2014, 2015 Myers and Gola, 2000高橋, 2006,与田,2005),軸脚は体幹などを捕手方向 に移動する,いわゆる「体重移動」を生み出すた めに,そして踏込脚はそれを支えるために重要で ある(高橋,2006)と述べられている.さらに, 投球動作は,下肢によって生み出された力,エネ ルギー,速度などがタイミングよく順次に加算・ 伝達されて末端へ伝わり,体幹を通して末端のエ ネルギーや速度を大きくできるという運動連鎖の 原則が成り立つ(阿江・藤井,2002Kreighba-um and Barthels, 1985).例えば,投球動作中の 下肢に作用する地面反力を計測した研究では,両 脚に作用する地面反力は,投球方向への前後成分 の最大値がボールリリース時の手首の速度と高い 相関関係を示した(Mac Williams et al., 1998) と報告されている.また投球速度はボールへ伝え られる手関節の関節パワーによって生み出されて いるものの,それらの多くは体幹や肩関節の運動 によって生み出されるエネルギーに起因している (宮西ほか,1997)ことが報告されている.そし て,野球の投球動作は,軸脚の股関節トルクによ って生み出された力学的エネルギーが下胴および 上胴を経由し,さらに踏込脚接地後に上胴が前回 旋することで生じた投球腕の関節力により,投球 腕各部位およびボールに伝達される(島田ほか, 2004)と報告されている.これらのことより, 両脚の進行方向への大きな地面反力を獲得するこ とは,投球速度を大きくするために重要な下肢の エネルギーであり,これらの下肢のエネルギーが 体幹を通して上肢へのエネルギーを大きくしてい ると考えられる.したがって,セットポジション によって両脚の地面反力が減少することは,最終 的に投球速度を決定する末端部へのエネルギーの 伝達を減少させると考えられる. MKH から MAP の力積は,セットポジション がワインドアップに比べ,有意に低い値を示した (Table 5).力積は,ある時間内に作用した力を 積 分 し た ベ ク ト ル 量 で あ る ( 阿 江 ・ 藤 井 , 2002).つまり,身体を動かす,または身体を移 動するには,いくら大きな力を発揮しても,力を 加える時間が短ければ,大きな力積が得られない ことになる.このことから,ワインドアップポジ ションは,セットポジションによりも時間が長 く,そして大きな力を加えることができるため, 軸脚による投球方向への力積を大きくすることに よって,身体重心の運動量を獲得していると考え られる.また投球動作中の軸脚は,各関節の伸展 動作による力発揮によって身体を支持する役割を 持つこと(Kageyama et al., 2014島田ほか, 2000)が述べられている.そして,投球速度の 高速者と低速者の投球動作中における下肢の関節 トルクを比較した研究(Kageyama et al., 2014) によると,投球速度の高速者は,軸脚では地面反 力の大きさとともに,股関節の外転トルクおよび 内旋トルク,膝関節の伸展トルクが低速者と比較 して有意に大きいことが報告されている.これら の先行知見を踏まると,軸脚の股関節の外転,内 旋および膝関節の伸展による力発揮の大きさは, 身体重心の運動量や地面反力の大きさに影響する と推察されることから,身体重心の運動量や地面 反力の減少は,軸脚の股関節や膝関節の力発揮が 減少した可能性が考えられる.よって,セットポ ジションにおいてワインドアップと同等の投球速 度を獲得するには,踏込脚膝の最大高から軸脚の
地面反力 Y 成分が最大に達するまでの約0.4秒の 間に大きな力積を獲得することが重要であると考 えられ,そのためには軸脚の股関節および膝関節 の力発揮を大きくする必要があると示唆される. ) 投球動作中の体幹の動作について 体幹の動作では,セットポジションにおける上 胴および捻転最大角速度は,ワインドアップポジ ションに比べ,有意に低い値を示した(Table 3).体幹は,身体セグメントの中で質量や慣性 モーメントが大きく(阿江,1996),身体のなか で筋量の占める比率が高い(Abe et al., 2003). そのため,身体運動発現のためのエネルギーの発 生源であるとともに,下肢のエネルギーを上肢に 伝達する重要な役割をもつ(宮西ほか,1997 島田ほか,2004).投球速度を増大させる動作に ついては,ボール加速局面での体幹の回旋動作 (Escamilla et al., 2001Fleisig et al., 1999蔭山 ほか,2014Matsuo et al., 2001島田ほか, 2000Stodden et al., 2001高橋ほか,2005)や 捻転動作(蔭山ほか,2014宮西・櫻井,2009) の重要性が指摘されている.さらに,投球速度は ボールへ伝えられる上肢によるエネルギーによっ て生み出されているものの,それらの多くは体幹 の動作によって生み出されたエネルギーによって 影 響 し て い る ( 宮 西 ほ か , 1997 島 田 ほ か , 2004)と述べられている.これらのことから, ボール加速局面における体幹の回旋動作や捻転動 作は,下肢のエネルギーを上肢に伝達する役割を 持ち,これらの動作速度が高いことは,投球速度 を大きくするために重要なはたらきをなしている と考えられる.つまり,セットポジションにおい て,加速局面での体幹の回旋速度や捻転速度が減 少することは,上肢へのエネルギーの減少をもた らすことが考えられ,これらの要因は軸脚および 踏込脚に作用する地面反力や身体重心の運動量の 減少が影響していることが示唆される. セットポジションにおける SFC 時の上胴およ び下胴角速度は,ワインドアップポジションより も有意に低い値を示した(Table 3).体幹の動作 に関する先行研究(蔭山ほか,2014高橋ほか, 2005)では,投球動作中の上胴および下胴の角 速度は踏込脚が接地する前に増大するが,上胴の 最大角速度は下胴の角速度が最大に達した後に出 現し,その値は大きくなることが報告されてい る.また投球動作中の上胴および下胴の回転に着 目した研究(Stodden et al., 2001)によると,投 手は骨盤(本研究の下胴)や上胴をより的確なタ イミングで回転させたときに,より大きな運動量 を獲得することができ,より大きなボール速度を 獲得するためには,体幹の貢献を最大限にできる 姿勢に焦点をあてる必要があると述べられてい る.このようなことから,より大きな投球速度を 獲得するには,体幹を的確なタイミングで回旋す る必要があり,セットポジションからの投球動作 は,踏込脚接地時前までに上胴および下胴の回旋 速度が増大できなかったことが,加速局面での体 幹の回旋速度や捻転速度の減少に影響をもたらし たと考えられる. そして,先に引用した島田ほか(2000)によ ると,軸脚は,ストライド局面では各関節の伸展 トルクを発揮して身体を支持し,踏込脚接地直前 の捻り局面では股関節の伸展トルクにより,投球 局面(本研究の第 2 局面)では内転トルクによ り下胴を回旋させ,体幹の捻りを生み出す働きを していると述べられている.このことから,下胴 を回旋させるには,股関節や膝関節の力発揮が影 響していると考えられる.したがって,セットポ ジションにおいて踏込脚接地時に下胴と上胴の角 速度が減少したことは,踏込脚の膝を上げてから 踏込脚が接地するまで(第 1 局面)の間で,軸 脚の股関節および膝関節の力発揮が減少すること による地面反力や身体重心の運動量の減少が影響 をもたらしたと考えられる.つまり,セットポジ ションにおいてワンドアップポジションと同じ投 球速度を投げるためには,地面反力や身体重心の 運動量に影響を与える軸脚の各関節の伸展動作に よる力発揮を踏込脚接地前に大きくすることによ って,下胴の角速度を増大させることが重要であ ると示唆される. 以上のことから,高校野球投手におけるセット ポジションによる投球速度の低下は,加速局面に
おける体幹の回旋動作の減少が影響しており,こ の要因には軸脚の股関節および膝関節の力発揮の 減少によって生じる地面反力ならびに身体重心の 運動量の減少が影響をもたらしたと示唆される. ) 指導現場への示唆 本研究の結果から,セットポジション時に投球 速度を高めるためには,次のようなことが指導現 場へ示唆することができる.まず踏込脚の膝を上 げてから軸脚 Y 成分の最大値出現時までに力積 を大きくすることである.力積はある時間内に作 用した力を積分したベクトル量であるため,力積 には時間が関係している.そのため,高い投球速 度を投げるには,踏込脚の最大高時から Y 成分 の最大値出現時までの時間を長くすることで力積 が獲得できると考えられる.しかしながら,投球 動作の時間を長くすることは,一塁走者に盗塁を 行う機会を与える可能性が考えられる.そのた め,より短時間で大きな力を発揮することが重要 であると考えられる.指導書(大貫ほか,2000) においては,セットポジションから投球は,踏込 脚を素早く低く上げると同時に,軸脚でしっかり とピッチャーズプレートを後ろに押し出すことに よって,力強い投球が可能になると述べている. つまり,セットポジションからクイックモーショ ンを指導する際は,短時間の間に軸脚の後方への 力を大きくすることで,力積を獲得することがで き,このことが身体重心の運動量の獲得につなが ると考えられる. 次に,トレーニング場面においては,下肢の筋 力・パワー発揮の要素が高い種目を導入すること が薦められる.先に引用した島田ほか(2000) の研究によると,投球動作中に軸脚によって発揮 される関節トルクは,股関節や膝関節の伸展およ び足底屈であったと報告されている.このことか らも,股関節や膝関節の伸展動作を伴うスクワッ トやフロント・サイドランジといった下肢を強調 して行うトレーニングを行う必要があると考えら れる. 以上のことから,セットポジションからの投球 動作において投球速度を大きくするには,軸脚の 後方への力を短時間の間に大きくすること,ト レーニング場面では,股関節や膝関節の伸展動作 を伴うトレーニングを行うことで,力積を獲得す ることができ,身体重心の運動量の獲得につなが ると考えられる.
.ま
と
め
本研究は,高校野球投手を対象に,ワインドア ップポジションとセットポジションにおける投球 動作中の下肢および体幹の動作を比較し,セット ポジションから高い投球速度を獲得するための知 見を得ることを目的とした.本研究における主な 結果は,以下の通りである. 1) セットポジションの最大速度および 5 球中 の平均速度は,ワンドアップポジションに比べ, 有意に低い値を示すこと,2) セットポジション における両脚の地面反力の最大値および MKH から MAP 間の力積は,ワインドアップポジショ ンに比べ,有意に低い値を示すこと,3) セット ポジションにおける体幹の動作は,上胴および捻 転最大角速度,SFC 時における上胴および下胴 の角速度がワインドアップポジションに比べ,有 意に低い値を示すことなどが明らかとなった.こ れらの結果より,1) セットポジション時の投球 速度は,ワインドアップポジションよりも低下 し,その要因に 2) 軸脚の股関節および膝関節 の力発揮の減少によって生じる地面反力ならびに 身体重心の運動量の減少と,3) 第 2 局面の体幹 角速度の減少が影響したと示唆される. 以上のことから,高校野球投手におけるセット ポジションによる投球速度の低下は,両脚に作用 する地面反力や身体重心の運動量の減少および加 速局面における体幹の回旋動作の減少が影響して おり,この要因には軸脚の股関節および膝関節の 力発揮の減少によって生じる地面反力ならびに身 体重心の運動量の減少が影響をもたらしたと示唆 された.そして,セットポジションからの投球動 作において投球速度を大きくするには,軸脚の後 方への力を短時間の間に大きくし,股関節や膝関 節の伸展動作を伴った筋力やパワー発揮を改善することが重要であると示唆された. 文 献
Abe, T., Kearns, C.T., and Fukunaga, T. (2003) Sex diŠerences in whole body skeletal muscle mass meas-ured by magnetic resonance imaging and its distribu-tion in young Japanese adults. Br J. Sports Med., 7(5): 436440. 阿江通良・藤井範久(2002)スポーツバイオメカニク ス20講.朝倉書店.東京.pp. 1314. 阿江通良(1996)日本人幼少年およびアスリートの身 体部分慣性係数.J. J. Sports. Science, 15: 155162. 荒木大輔(2003)トッププロに学ぶ野球上達テクニッ クピッチング.成美堂出版社.
Atwater, A.E. (1979) Biomechanics of overarm throw-ing movements and of throwthrow-ing injuries. Exerc. Sport Sci. Rev., 7: 4385.
Dun, S., Kingsley, D., Fleisig, G.S., Loftice, J., and An-drews, J.R. (2008) Biomechanical comparison of the fastball from wind-up and the fastball from stretch in professional baseball pitchers. Am. J. Sports Med., 36(1): 137141.
Escamilla, R., Fleisig, G., Zheng, N., Barrentine, S., and Andrews, J. (2001) Kinematic comparisons of 1996 Olympic baseball pitchers. J. Sports Sci., 19(9): 665 676.
Fleisig, G.S., Barrentine, S.W., Zheng, N., Escamilla, R.F., and Andrews, J.R. (1999) Kinematic and kinetic comparison of baseball pitching among various levels of development. J. Biomech., 32(12): 1371 1375.
蔭山雅洋・岩本峰明・杉山 敬・水谷未来・金久博 昭・前田 明(2014)大学野球投手における体幹の 伸張短縮サイクル運動および動作が投球速度に与え る影響,体育学研究,59(1): 189201.
Kageyama, M., Sugiyama, T., Takai, Y., Kanehisa, H., and Maeda, A. (2014) Kinematic and kinetic proˆles of the lower limbs during baseball pitching in collegi-ate baseball pitchers. J. Sports Sci. Med., 13, 742 750.
Kageyama, M., Sugiyama, T., Kanehisa, H., and Maeda, A. (2015) DiŠerence between adolescent and collegiate baseball pitchers in the kinematics and kinetics of the lower limbs and trunk during pitching motion. J. Sports Sci. Med., 14, 246255.
Kreighbaum, E., and Barthels, K.M. (1985 ) Biomechanics: A qualitative approach for studying
human movement 2nd ed. Burgess, Minneapolis, pp. 585616.
MacWilliams, B.A., Choi, T., Perezous, M.K., Chao, E.Y., and McFarland, E.G. (1998) Characteristic ground-reaction force in baseball pitching. Am. J. Sports Med., 26: 6670.
Matsuo, T., Escamilla, R.F., Fleisig, G.S., Barrentine S.W., and Andrews, J.R. (2001) Comparison of kinematic and temporal parameters between diŠerent pitch velocity groups. J. Appl. Biomech., 17: 113. 宮西智久・藤井範久・阿江通良・功力靖雄・岡田守彦 (1997)野球の投球動作における体幹および投球腕の 力学的エネルギー・フローに関する3 次元解析.体 力科学,46(1): 5568. 宮西智久(2004)投動作.金子公宥・福永哲夫「編」 バイオメカニクス身体運動の科学的基礎.杏林書院. pp. 263281. 宮西智久・向井正剛・川口鉄二・関岡康雄(2000)ス ピードガンと画像計測によるボールスピードの比 較.仙台大学紀要,31: 7277. 宮西智久・櫻井直樹(2009)野球の投・打動作の体幹 捻転研究―SSC 理論に着目して―.バイオメカニク ス研究,13: 149169.
Myers, D., and Gola, M. (2000) The Louisville Slugger complete book of pitching. McGraw-Hill, New York. 野村 徹・吉村 正・扇原 淳・草刈匡彦・本橋紀夫 (2003)早稲田ベースボール・トレーニング研究会 「編」,野球 テクニックトレーニング.新星出版社.
pp. 5153.
Nakamura, Y., Yamane, K., Fujita, Y., and Suzuki, I. (2005) Somatosensory computation for man-machine interface from motion-capture data and mus-culoskeletal human model. IEEE Trans. Robot., 21(1): 5866. 日本プロフェッショナル野球組織・日本野球連盟・日 本学生野球協会・全日本大学野球連盟・日本高等学 校野球連盟・全日本軟式野球連盟(2014)公認野球 規則,ベースボールマガジン社.pp 121132. 日本整形外科学会(1995)関節可動域表示ならびに測 定法.日本整形外科学会誌,69: 240250. 日本リハビリテーション医学会(1995)関節可動域表 示 な ら びに 測 定 法 . リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン 医 学 32, 207217. 大室康平・小比類巻龍宏・和田敬世(2013)投球動作 の踏み出し幅の広さが投球の速度および正確性に与 える影響.八戸工業大学紀要,32: 207212. 大貫克英・河野徳良・大西昌美・宮崎光次(2000)日
本体育大学運動方法研究室(野球)「編」,上平雅史 「監」,日体大V シリーズ 野球.叢文社.pp. 3842. 桜井伸二(1992)投げる科学.大修館.pp. 220, 60 104. 桜井伸二(2004)投動作.金子公宥・福永哲夫「編」 バイオメカニクス身体運動の科学的基礎.杏林書院. pp. 239246. 島田一志・阿江通良・藤井範久・結城匡啓・川村 卓 (2000)野球のピッチング動作における体幹および下 肢の役割に関するバイオメカニクス的研究.バイオ メカニクス研究,4: 4760. 島田一志・阿江通良・藤井範久・川村 卓・高橋佳三 (2004)野球のピッチング動作における力学的エネル ギーの流れ.バイオメカニクス研究,8(1): 1226. Stodden, D., Fleisig, G., McLean, S., Lyman, S., and
Andrews, J. (2001) Relationship of pelvis and upper torso kinematics to pitched baseball velocity. J. Appl. Biomech., 17: 164172. 高橋佳三・阿江通良・藤井範久・川村 卓・小池関 也・島田一志(2005)球速の異なる野球投手の動作 のキネマティクス的比較.バイオメカニクス研究, 9: 3653. 高橋佳三(2006)投動作を助ける脚のはたらき,体育 の科学,56(3): 174180. 豊島進太郎・三浦望慶・池上康男(1976)種々の投て き物を投げたときの投動作の分析.昭和51年度日本 体育協会スポーツ科学研究報告No. 1 投能力の向上 に関する研究,3447.
Toyoshima, S., Hoshikawa, T., Miyashita, M., and Oguri, T. (1974) Contribution of the body parts to throwing performance. Biomechanics . University Park press, Baltimore, 169174.
Yamane, K., and Nakamura., Y (2003) Natural motion animation through constraining and deconstraining at Will, IEEE Trans. Vis. Comput. Graph., 9(3): 352 360.
与田 剛(2005)トッププロに学ぶ野球上達テクニッ クピッチング,成美堂出版社.