70 討した.実験した全ての動物において有意にSRSが遊 離されるが, HPLCで分離精製検討してみると主とし てLTI4がその活性の主役であろうことが判明した. 又インドメサシン,ステロイドと共にKC-404の効果 を検討し低濃度で実験ぶどう膜炎を阻止する効果のあ ることがわかった.上記の実験成績を中心に今後に残 る問題についても解説した. 第23回吉岡研究奨励金授与式(昭和59年度受賞者) (放射線科〉小野由子 ( 生 化 学 〉 松 田 隆 子 昭和58年度受賞者の研究発表 17.高血圧自然発症ラットの妊娠経過と血圧に関す る研究 (第4内 科 〕 中 西 祥 子 18.単純低体温麻酔下における微小循環動態の研究 (麻酔科〕高田勝美 19.三叉神経槽グリセオール注入による三叉神経痛 治療の効果および,神経節ブロッグ装置の試作 (脳神経外科〉川昌弘子 17.高血圧自然発症ラットの妊娠経過と血圧に関す る研究 〔第 4内 科 ) 中 西 祥 子 目的:高血圧症患者の妊娠,出産は,既存の高血圧 のために妊娠中毒症を合併し易く,又,正常健康児を 出産する事が困難な場合が多く,母体への影響も少な くない.しかし,本態性高血圧症の疾患モテ、ルで、ある 高血圧自然発症ラット(以下SHR)は,正常血圧ラッ ト(以下WR)の妊娠率,出産率には劣るがほとんど の場合,合併症のない出産が可能で、ある.この一因と しては妊娠後期(特に出産2-3日前〉の血圧下降が 見られる事で,この現象の種々な機序につき検索した. 方法:成熟雌SHR,W Rを対象とし,収縮期血圧は tail cuff法にて測定した. 1)24Naを用い,希釈法にてSodium space (Na -Sp), Total exchangeable sodium (NaE). 2) Infusion法により,糸球体i慮過値(GFR)として Insulin clearance, Fractional excreation of sodium (FENa). 3)血祭アルドステロン (PA)尿中アルドステロン 排 浩 量 ( UAE)もradioimmunoassayvこて測定した. 血法ならびに尿のNa,Kはftamephotometerにて測 定した. 結果・1) Na-SpはSHRに お い て 妊 娠 中 期33.8
:
t
2.7% B W,後期に30.7:
t
0.4% B Wとなり,妊娠前の 28.0士2.7%B W に比較し有意に増加していた.しか も中期に比較すると後期に有意に低下していた (p< 0.001).NaEも同様の結果であった. 2) GFR, FENaともに妊娠後期に明らかに増加して し、た (p<0.025,p<0.05). 3) VAEは妊娠経過に従って増加したが,出産2目 前には24.09士9.7mg/dayと有意に減少した.PAは 妊娠前47.3士1.7pg/dlから,後期に137.4士17.7pg/dl とむしろ増加した.尿Na,K比とPA,VAEに関連性 はみられなかった. 以上より,SHRの妊娠後期の収縮期血圧の一過性下 降には, GFR増加,尿NaI非j世量増加が関与している が, Aldosteroneの関与は少ないものと推定される. 18.単純低体温麻酔下における微小循環動態の研究 ( 麻 酔 科 〉 高 田 勝 美 重症小児関心術を安全に行なうためには,低体温麻 酔法,体外循環等の補助手段の確立が必要である.そ のためには,低体温下,体外循環下の微小循環の把握 が一つの課題となる.低体温時の微小循環維持の上で, 節遮断薬の必要性は諸家が提唱しているが,症例の重 症化に伴い著しい血圧低下をきたすものがみられた. そ こ で 我 々 は , 節 遮 断 薬 を 使 用 し な いether-meth -ylprednisolone併 用 法 を 行 な い こ れ ま で 報 告 し て き た 今回, rabbit ear chamber法により, ether-methyl -prednisolone併 用 単 純 低 体 温 下 の 微 小 循 環 動 態 を 観 察し知見をえたので報告する. 実験には,浅野らの方法により,耳介にrabbitear chamberを装着した家兎を用いた.麻酔薬及び補助薬 としてether-methylprednisoloneを 投 与 し , 表 面 冷 却・表面加温を行なった.顕微鏡装置,観察及び記録 用VTRシステムを用い微小循環を観察記録した. Methylprednisolone非投与群 (6例〉では,冷却加 温過程でmethy1 predniso loneの投与はまったく行な わなかった.一方, methylprednisolone投与群(4例〕 で、は,冷却過程で直腸温35'Cの時及び加温開始時にそ れぞれmethyloprednisolone 15mg/kgを投与した.最 終目標温度を20'Cとしたが目標温度に達する前に微小 循環が停止した例ではその時点で加温を開始した. methylprednisolone非 投 与 群 で は , 直 腸 温 29-20.6'Cの時点で6例全例に微小循環の停止がみら れた.加温と共に5例は血流の再聞がみられたが 1890-例は血流の再聞がみられなかった. 一方, methylprednisolone投与群では, 4例全例共 最低温まで微小循環の停止はみられなかった.加温後 も3例は血流の停止はみられなかったが 1例は一部 の細静脈の停止がみられた. 以上の結果より methylprednisoloneは,低体温時 の微小循環の維持に有効と思われた. 質問 (会長〕吉岡守正〔学長〉 この際プレドニソロンはどういうふうに働いて微小 循環に影響を与えるのですか? 応答 (麻酔科〕高田勝美 ステロイドの作用機序については解明されていない 点がたくさんありますのではっきりしたことは申し上 げられませんが,速効性であり,組織への移行性の高 いこと,内因性カテコールアミンによる末梢血管収縮 を抑制することなどがあげられます. 19. 三叉神経槽グリセオール注入による三叉神経痛 治療の効果および神経節ブロック装置の試作 〔脳神経外科)}rr畠 弘 子 どうにも耐えられない終痛,いわゆる頑痛の代表と しては末期癌によるものと,顔面に特発的に起る三叉 神経痛があげられる.このやっかし、な三叉神経痛にた いする治療として,薬物療法,末檎神経ブロック,末 梢神経切断,経皮的ガッセル神経節凝固など種々試み られてきているが,そのいずれもかならずしも満足の 行くものではない.そこで最近,三叉神経節高周波凝 固に代わり,三叉神経槽内グリセオール注入法が脚光 をあびてきている.本法は従来の手技とことなり顔面 の感覚障害を残さず痛みのみを消失させることが可能 であるという大きな利点があり,その成果が注目され ている. 本手技の難しさは,いかに正確に三叉神経槽内に穿 刺針を刺入するかにある.穿刺針の刺入は解剖学的位 891 71 置関係から卵円孔からのみ許される. 口角部外側より,安全にかつ正確に卵円孔を穿刺す るためには,透視下に直視しながら針を刺入しなけれ ばならない.体位は仰臥位とし,頭位を150 回旋し650 懸 垂さぜる.三叉神経槽に針が刺入されたことは,一般 には髄液の流出を目安とされているが,懸垂位では三 叉神経槽からの髄液の流出は確認できない.また三叉 神経槽造影を試みても造影剤が後頭蓋寓に漏出してし まい,明確な造影ができない場合が少なくない. こうした理由から穿刺針先端の的確な位置の固定に はその手技の最中どうしても患者の体位の交換が必要 となることが多い.しかし,実際には思者の状態など から体位の変換が十分できないことがある.そこで三 叉神経槽内グリセオール注入法に応用すべく,従来の 定位脳手術装置に改良を加え,し、くつかの試作を試み ている.この装置を応用すると,頭部を固定し,同一 条件下でX線撮影を行なうことができ ,X線フィルム 上で卵円孔の位置を正確に算定することが可能とな る.すなわち刺入針の刺入方向,深さを容易に決めら れる. 最終的には穿刺針先端の位置の固定は,三叉神経槽 内穿刺針挿入後,直接電気刺激して,終痛部位に痛み が誘発されるかを確認しなければならないが,本装置 の応用により,簡便かつ,的確に穿刺針を目的とする 三叉神経槽内に挿入することができる. 本年度研究成果 1.従来の定位脳手術装置に改良を加え,前段階とし て,