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腰痛の整形外科方面
〔東京女讐會誌●第13巷●第1號頁1一β・昭和18年2月〕 東京女子讐學専門學校整形外科i致室教授三二博士内‘田辰雄
ウチ ダ タツ オ 緒 言儲の主面多種多量である心頭榔多く声菊と.ころのものは鶴であらう・その つに
腰痛がある。「腰が痛い」と云って讐師を訪れる患者の如何に多いかは臨林画家の誰もが禿分経験し てみることであるし,葦診断に於て,清療に於て,.腰痛が如何にやっかいなものであるかも臨豚留 家は充分に昧ってみる。それ程腰痛は日常の診療に縁の深い古歌であるにかかわらす,この虚血に は今日街不明の鮎が少なくない。勿論腰痛は内科,外科,産科,底入科,皮膚科,泌尿器科等あら ゆる領域から誘畿される証歌の一つであるから,その本態を解決するには田儀臨鉢各:方面の密接な 横の漣絡を必要とする。しかし各科の専門的知識を綜合しても術腰痛の原因を何虚に求めていいの か迷はされるζとが度々ある。その窯腰痛は墨譜讐學に於ける重要な研究問題と云はなければなら ぬ。 現在主として蓮動器系統の疾患を封象としてみる整形外科では,どんな毒忌を腰痛の原因と考へ てるるか,少しく述べてみたいと濯、ふ。診断上の留意鮎
腰椎の墜迫骨折とか,横突起骨折とか,はげしい外傷の直後に獲生する災害外科的腰痛は省略し 此盧には日常比較的よくみる種類のものに就てのみ蓮べる。 腰痛患者に接した場合,第一に詳細な病歴の弓取を行ふことは勿論であるし,診断方法としても 診断學の教へるところに從って系統的にやればいいわけであるが,腰部の局所的診噺に際し,多少 とも念頭においておれば可なり参考になると思はれ多難を抽出すると, 1腰椎部に於ける攣形 もし憂形ありとすれば如何なる攣形であるかを注意しなければならぬ。 イ,生理的前攣の浩失 i. 過 度 前 轡iL棒朕椎
一一一 1 一一iii.援轡の叡山
船側轡の三生
ハ,階段状品形の獲生 腰椎部に於ける過度前記は腰椎そのものに病攣があっておごることは少なく,多くは代撹性であ る。胸椎カリエスの二二,山回節の屈曲位攣縮などのときにみられることが多V・から,その匪別は 容易である。 三宮が眞直に二三になったり,又逆に後轡を示したりするのは腰椎カリエスを第一に疑はなけれ ばならぬ。後簿といっても,腰椎部に於ける後轡は胸椎に於ける如く著明の三角性後轡を示す様な 事はなく,比較的輕度であることを特長とする。 叉攣形性脊椎症,チフス騰椎炎・徽灘脊椎炎・彊直性脊椎炎・脊椎門門の場合にも刺エ ス同様,三度の腰椎憂形を示すことがあるから警戒を要する。 側轡の獲生に封しても同様である。 今一つ特種な攣形として腰椎下部の棘歌突起列に階段状の陥浸を見ることがある。この階段歌攣 形があれぽ,脊椎前方脱出症があるのではないかとV・ふ疑ひが濃厚となる。 li腰部に腫瘤その他著明の異常を認むるもの 膿瘍,腫瘍,色素沈着,多毛症等である。獲熱腫脹,疹痛と三つそろった熱性の膿瘍は問題で なVO。 Vb?とはなしに膨隆して來た腫瘤には充分注意しなければならぬ。之には寒性膿瘍が多V・か らである。塞性膿瘍であれば第一に二二節結核を考へる。山骨此節結核に於ける塞性膿瘍は大艦そ の出現部位が一定してみるから,膿瘍の位置により,原獲部位を推察することが出回る。腰三角あ た砂のものであれば腰椎カリエスを疑ひ,響部のものであれば腸骨結核,回腸關飾結核を疑ひ,揚 骨櫛後上部のものであれば,之も薦腸關節結核から出たものではないかと考へる。 又腰三部に脂肪腫とか血管腫等の如き腫瘍があったり,或は著明の色素沸着,多毛症等を認むる ときは潜在性脊椎破裂を疑ふ。 皿腰椎部の打痛,墜痛 要三部に何らかの器質的攣化あるものでは,その部位に多かれ少なかれ打痛や三三を讃明し得る 場合が多い。文腰椎部には殆んど認め得べき二形なくして打痛塵痛を謹明することも非常に多い。 かかる際にも決して腰椎カリエスを忘れてはならぬ。腰椎カリエスの初期に於て特に強く打痛墜痛 のみを訴へるものがあるからである。脊椎腫瘍や脊髄腫瘍,更に癒着性脊髄膜炎などの時にも同様 相等度の打痛墜痛を誰明し得る。 IV腰椎部の蓮動制限 腰椎部に蓮動制限があるかどうかを槍回する事は大切である。もし蓮動制限があのとすれば,す べての方向に制限をうけてみるのか,一方的であるかも決定する必要がある。.すべての方向に制限 をうけてみるもので綜,腰椎カリエスを第一一に疑ふ。一方的の蓮動制限として前屈渾郵のみが強く 制限せられ,後屈運動は正常であれば,腰部筋肉痛等:軟部の疾病が考へられる。反封に前屈はあま _ り _ 一{P制限をうけす,後屈が障碍せられるものに腰椎棘歌突起間晶晶形成等がある。 V腰部軟部に駆痛あるもの 腰椎部でなく,その幽囚に軟部の二身黙を慧釜明することも亦非常に多い。特に勢働者等で腰痛を
訴へるもの賦之が多い・灘鵬鵬と力嫉細唇チ痔三諦轡ばれてみる7蹴之で
ある。’ W客観的所見陰性のもの 前述の通り多少とも客槻的所見ある場合には大凡どの方向に診断の歩を踏み出すべきか,ほぼ見 當がつくが,客親譲所見陰性の場合には,ちよつと迷はざるを得なレ・。實際はこの客親的所見のな v・場合が案外多い。 之には反射性の慰のが非常に多V・から他科と充分豫連絡をとらなければならぬ。叉外傷性心経症 の如き官能性のものもある。之は他の所見から論点診断を下し得る。 しかし,これら所見陰性のものに樹してもレ線検査の結果,種々の器質的攣化を三見し得ること がある。腰薦移行椎や脊椎分離などの如く,レ線槍査によってのみ,はじめて獲見し得る整形外科 領域の疾患もあるから,最後的方法としてレ線槍査を行ふことも決して無意味ではなレ’。腰痛患者に於ける腰薦部レ線像の種々相
1薦骨岬角の減少 腰椎と薦椎とが岬部に於てなす角度,師ち三角が正常値よの減少して強く屈曲を示すとき,腰痛 を訴へるといふ読がある。正常の頭角は宮崎氏の151材料についぞの測定によると♂欝5ロ,♀132 である。この角度がどれ位に減少したとき腰痛を面するのか,之の方面の研究は全然手がOけられ てるないので,何とも判定の根慷がない。將來の研究に侯たねばならぬ。H腰薦移行椎
正常腰椎ρ歎は5個である。レ線点前の際腰椎の敏が4個しか見えないことがあるし,三時には 6個も見えることがある。帥ち第5腰椎が第1薦椎の形を示しfe 1),第1薦椎が腰椎に似た形を示 しfe ilしてみることがある。この腰椎とも薦椎とも判噺し難い移行型を腰薦移行椎といふ。 紳中教授嬢この腰薦移行椎を四つ型に分類してみる。 第1型 最下腰椎横突起が甚だ長大で,或は魚尾朕に幅点く,爲に腸骨叉は薦骨との闇隙がせま くなり,或は両者がふれ合ふもの 第∬型 最下腰椎肋骨突起の薦椎三三達がすこぶる著明で,.第1翻楓:1嘆部と關節をなす墨の 第皿型 第皿型の關節が感温に於て骨性癒合をなせるもの 第JV型第聾型の試論が爾側に於て骨性癒合をなし,しかも腰椎は全く薦椎に同化することなく 肋骨突起は明かに別個の突起をなし,且つ椎弓が薦椎の他部と分離サる竜の この腰薦移行椎も屡々腰痛の原因となることがある。憩中教授の調査によると,腰痛患者218例 屯16.5・%に於て本症醗見してみる。又全然腰痛を訴へない健康入124例に就いて’d槍査を行
一 P, 一一つたところ,16.9%に本症を三見してみる。この数字からみると,腰薦移行椎は腰痛の原因と考へ られぬ様である。しかし長大となってゐ超横突起の部分を手術的に切除することにより,腰痛を溝 失せしめ得た報告も少くないから,上る種の腰痛は腰薦移行椎に基因することがあると言ふことは 出來やう。 皿潜在1院脊椎破裂 潜在騰椎破裂が腰痛の原因となることがあることは衆知の事實であるが2レ線槍査に於ては少 しく注意しなければならぬ黙がある。それは第5腰椎や第1薦椎の椎板が後方で骨性癒合をしてみ ないからと云って,之を直ちに潜在性脊椎破裂と診噺してはならぬといふことである。紳中教授の 調査では正常域入124例中,第5腰椎の後方椎板骨性癒合を鉄ぐもの1.6%,第1薦椎の後方椎板 骨性癒合を歓ぐもの29%を認めてみる。三って椎三三訣損が上方腰椎迄及ぶか,或は異常に三三 に又非封樗的に側方に旧く鋏損してみる場合に限り,潜在性脊椎破裂の診噺を下すことが串回るの である。 A7脊椎分離といふのは脊椎骨の上下關節突起間部に於て骨性連絡を欲いでるるものである。 この骨性連絡のない部分は結締織で結合されてみるのであるが,結合が強固で動かなV・ものもある し,結合が貧弱な爲にぐらぐらするものもある。下部腰椎に三見されることが多く,ぐらぐらのも のは時に腰痛の原因となる。之をレ線二丁に詮明するには側臥位から約300仰臥位に廻回した位置 で撮影するがよい。 V脊椎前方醗出症 脊椎分離が高度となり,前上牛分がすべりだした竜のを脊椎前方脱出症とV・ふ。下部腰椎に多く 見られる。脊椎分離の場合と同様の方法でレ線撮影をすれば,この三態をよく誰明出回る。 w腰椎棘歌突起偏椅 腰痛憩、者の腰椎レ線前後像に於て,時に棘状突起端が強く右か左かへ偏椅してみることがある。 第3或は第4腰椎の棘駄突起に於てよく見る。臨豚上堅痛の部位がこの偏椅した棘厭突起の部位に 一致し,他に著墾なき症例に於て,その偏干せる棘状突起を手術的に切除し,腰痛の浩失をみたこ とが屡々ある。この成績からして,腰稚棘歌突起の三下屯腰痛の原因となり得ることがあると云へ よう。 yff慢性炎症性脊椎炎 イ,腰椎カリエス 腰椎カリエス初期のレ線像としては椎艦の境界不鮮明,隣接せる椎間間際の狭小である。次第に 骨破壌,椎聞聞陳の消失等が現れる。しかし腰椎ヵ壼エスでも初期にはレ線所見陰性の或る期間が ある。回忌三二からu線所見陽性となるまでの期閥は6ケ月から1年位であるから,レ線所見陰性 だからとてカリエスを否定することは二二ない。二重に経過を概察しなければならぬ。 ロ,チフス性脊椎炎 チフス性脊椎:炎:では獲病後約3ケ月たてばレ線學的所見が陽性となる。初期の所見は椎間間際の 一 4 一
{狭小と,之に接する椎回縁の不鮮明であるが,間もなく強度の骨新生が現れてくる。骨新生は一方 維旧聞隙の方へ進むと共に,他方椎二七に骨堤,回状骨等を生ぜしめ,遂には上下椎膿の橋状連結 更に椎膿の完全癒着に迄進捗する。 ノ㍉徽毒性脊二二 本症に於ては椎弓に強v・骨破壊がおこると同時に,強v・骨硬化が見られる。 二,強直性脊椎炎 強直性脊椎炎に於ては,側高節の闇隙がせまくなるのを認める。次第にこの間隙は消失し,更に 關節突起端に著明な骨三山を認めることがあるQ之と共に棘起上靱帯,棘聞靱帯,黄靱帯等の化骨 現象現れ,椎弓は甚だ不鮮明となる。 唖 攣形性脊椎症 最:も著明な二化は椎騰の上下縁k見られる。側面像では椎艦の前縁上下端が唇歌,嚇朕に塗形し 時には上下旧記が橋詰に癒着してみることがある。椎禮そのものは高さが減じ,椎間聞隙は狭小と なる。二形した骨三部は骨硬化をおこしてくるが,椎燈の方は反樹に骨質萎縮をはっきりと認める ことが出來る。・ X 脊 椎 腫 瘍 イ,癌 縛 移 骨に嚢生する癌は殆んどすべてが轄移性である。これに骨崩潰性のものと,骨二二性のものとを 魎回することが出回る。骨崩潰性のものは椎弓の破壊を主とし,骨璽殖性は椎艦に濃厚陰影部を生 じ,その周團に骨の三生増殖を認める。いつれにしても椎聞間隙は決してせまくなることはない・ 正常のままの廣さか,むしろ正常よウも廣くなるQ ロ,肉 腫. 椎艦陰影の欲損や椎艦の二二破壊を認める。文腫瘍そのものの陰影を椎髄の偏側に認めることも ある。旧聞間際は狡くならぬ。浩失するごともない。
所謂腰部官イマチス
腰部の筋肉は感冒,三二,腰部捻二等によって二二を獲生することポ非常に多い。誘因が全然不 明のものもある。痛みの程度も種々であるが,激性のものでは疹三稜生と共にその場に倒れ動けな くなるものさへある。獲病も急に溢こるもの,徐々におこるもの等之も趣である。日常生活に於 ても屡々おこるが,特に工場榮務者に多く,工場災害に於ける特長ある腰部疾患の一つと考へられ てるる。原因は腰部筋肉に限局せるロイマチス様攣化,及び同部を貫通する神経の過度敏感性によ ると考へられてるる。 内藤氏の研究によると重工業拶務者に於ける本症は80.2%に於ては重作業による強大な腰部, 躯幹の伸展蓮動,又二二二二によっておこってみる。術14.6%は豫期せざる椿事に封ずる不意識.的筋綱駄ってkeり・5・2%盛微灘作によってS・eつてみる・
一一5 一一疹痛離位も上樽皮耐1維がA窮棘筋を貫逓して腰三角に至る附近に誰明し得るものが最も多く(4L2 %),この外,腰耐醗後枝内側皮枝が筋膜を貫通するところに誰明し得るもの(16.3%),棘状突起 にあるもの(16.8%),腸骨後上棘の響筋附着部(6.6%),腸骨櫛下方響筋内(5.3%),等が重なる ものである。 之等疹痛のために患者は上牛身の捻韓や,屈曲が困難となり,中には仰臥位から起き上ることは 勿論,ねがえりを打つことも撮來ないものがある。漫性症ではしばしば下肢への放散性紳経痛を訴 へるものもある。 叉複痛の際時に礫鳴をきくことがある。「グチツ」「グツツ」等の音を感じ,はっきのきき得るこ ともある。之は腰部筋肉の急激な牧縮によって,おこることがあるし,又,脊椎關節からも護し得 ると云はれる。 豫後は合理的な治療により1−2ケ月で機能障碍を残すことなく治癒するが,慢性のものはなか なか治りにくい。激動や感胃,氣候の攣化等回護の誘因となる。 治療法としては 第一に充分なる安静,第二に充分なる保温である。わかりきったことであるが之が最も大事な黙 で,この二つが完全に行はれなければ百の注射も敷果が少なV・。 一般的な治療法として,薬物的には,フェニールビノリンカルボン酸製剤,サリチル酸製剤,シ ノメ・・ン等特敷成分を含む植物性特種製剤,蟻酸製剤,蜂毒製剤,河豚毒剤,ピラツオロン誘導艦 製剤等の経口的投與,筋肉内注射,静脈注射等,叉局所巴布が行はれる。 又マッサージ,超短波療法,温泉療法も有敷である。 内藤氏は又激烈重症に手術を行ひ,丁丁神経の紳経マッサージを行ひ,著敷を墨げセみる。 最近更にビタミンB1の脊髄管腔内注入が行はれ,甚だ優秀な成績をあげてみる。が之には時と して頭痛,背痛,嘔吐等不慮の悪性随件症歌を見ることがあるし,績稜性の高血墜症を惹起するこ とさへあるから,本法施行には充分の注意を必要とする。 ・一一・ 6 一