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会社の権利能力の目的による制限の可否について 利用統計を見る

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会社の権利能力の目的による制限の可否について

著者

武藤 節義

著者別名

S. Muto

雑誌名

東洋法学

11

1

ページ

91-120

発行年

1967-09

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00006156/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

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会社の権利能力の目的による制限の可否につ

いて

武 藤 節義

  目  次   序   会社の権利能力と扇的との関係に関する学説   判例の動向   アメリヵ及びドイツにおける会社の権利能力と霞的との関係   会社の権利能力の目的にょる制限の検討 六 会社の目的の会社における法的機能  1 目的による権利能力の制限の必然性の検討 一 二 三 四 五  2 民法第照三条の会社への類推適用の当否 会社の権利能力の目的にょる制限の可否について 九一

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東洋法学

九二 序  我が実定法は、法人格の享有者として自然人と法人を措定し、これら権利義務の主体たる地位ー権利能力−を 認めている。  この権利能力には二つの意義があり、その一は広く私法上の権利義務の主体となり得る地位を一般的に有するとい う意味で一般的権利能力といわれ、その二は一般的権利能力を前提としつつ社会生活において生ずる個々の具体的な 権利義務の主体たり得るという意味で特別権利能力と呼ばれる。  自然人の一般的権利能力について、近代法思想は個人は自由且つ平等であって、その人格はなにものにも増して尊 重されなければならないとし、その理念を法の定立及び適用において実現することを要請し、これに応じて民法第一 条の三は全ての自然人について一般的権利能力を有するものであることを確認している。  法人の一般的権利能力に関し、ドイツにおいて、・ーマ法学者とゲルマン法学者との間に多くの論争が重ねられ、 法人の権利能力取得の本質について、サヴィニー等の説く法人擬制説とギールケを中心とする法人実在説とではその       ︵1︶ 根拠を異にするが、法人に一般的権利能力を認める点では結論的に一致している。  我が法も民法第三四条ないし三六条、商法第五四条、有限会社法第一条第一項によって法人の一般的権利能力を肯 定している。

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 次に自然人の特別権利能力にっいては一般的制限がなく、外国人に対し政策的見地から法令及び条約による制限を 認めているにすぎない︵民法第二条︶。  法人の特別権利能力については、公益法人につき、民法第四三条は﹁法人は法令の規定に従い定款又は寄附行為に 因りて定まりたる目的の範囲内において権利を有し義務を負う。﹂と規定し、法令による制限のほか定款又は寄附行 為によって定められた法人の目的の範囲によってもその特別権利能力が制限を受けるものとされている。これに対し 営利法人たる会社の特別権利能力については、民法第四三条のような一般的制限規定は存在せず、ただ商法第五五条、 二六条、四三〇条、有限会社法第四条、破産法第四条に個別的に特別権利能力を制限する規定を置くのみである。  然し、会社も営利を目的とする人的集団たる法人であって且つその入格は法によって実定的根拠を与えられている ものであるから、その特別権利能力は法令により制限せられ、法人たる特質上・性・年令・生命・身体・親族関係を 前提とする権利義務の主体となることを制限されることも又当然である。  営利法人たる会社の特別権利能力について問題となるのは、会社の権利能力がその定款に定められた目的の範囲に より制限されるか、換言すれば公益法人に関する民法第四三条の規定が営利法人たる会社にも類推適用され得るかで ある。  通説及び判例は、民法第四三条は営利法入たる会社についても類推適用あるものとする立場を堅持しているが、現 代における社会経済活動の拡大、進化に伴う新たな社会活動の担い手としての法人の出現は、これら法人の現実的な 社会活動の広汎多様化とともに、その特別権利能力を定款所定の段的の範囲に限ることが、法人の本質、公益法人と    会社の権利能力の目的による制限の可否について       九三

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   東洋法学

営利法入との差異、各国の立法及びその解釈の趨勢から改めて問題とされることとなった。   ︵王︶ ω碧くぎざω饗ぎ導αoω蓼纂一σqo質&導嵐oプo⇔にg一旨9頓︵一類あ・ωμ・ω・鵠α      Q坤震翻ρご器≦$窪9段影○濤〇三8プ①φく①議窪Ω○︸ω・ゆ溝●︵む8︶    松本蒸治﹁法人学説﹂︵商法解釈の諸問題︶コ三頁以下 九瞬

二 会社の権利能力と目的との関係に関する学説

 民法第四三条が営利法人たる会社に類推適用されるか、換言すれば会社は定款に定められた目的によりその特別権 利能力に何等かの制限を受けるものであるかについて、学説は三つにこれを大別することが出来る。  醐 その一はこれを肯定するものであり、﹁翼的による権利能力の限界は、昆的社会たる会社の存在する大原則で あり、会社々員の結合の中心点はそこに存する。この故に、会社が社会的に存する事実よりして、会社が当初に設定 した冒的以外の如何なる事業をも営み得、それによって権利義務を取得し、社員はその経済的結果を負担しなければ ならぬと結論することはできない。﹂︵顯中耕太郎改訂会社法概論上五八頁︶として会社が目的による権利能力の制限に 服することは当然であるとの前提に立ち、民法第四三条は法入一般の性質に基づく原則を定めたものであって、易、れ が直接の対象としている公益法人に適用されるのみならず、会社にも類推適用され、会社の特別権利能力は定款所定       ︵1︶ の会社の目的によって制限されるとする。

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 かかる立揚は我が国における通説的位置を占め、石井教授は更に民法第四三条が会社にも類推適用される理由とし て、民法制定当時立法者は、民法第四三条の規定が商法上の法人たる会社にも当然適用あるものとの前提のもとに立 法をなしたものと考えられ、会社法において民法第四三条を準用する明文の規定を置かなかったのは、会社法が同条 を当然の事理として予定していたものと解され、それ故にこそ我が法はドイツ法の如き法入代表者の目的外の行為に つき代表権を制限する規定の存在を不要としたものであって、会社の目的の法的意義につき何等の規定を置かない我 が会社法においては、民法と異る特別の法的意義に解釈することは無理であると説かれる︵石井照久﹁会社の権利能力﹂ 法学協会雑誌 七六巻二号 一七三頁以下︶。  このような立場よりすれば、会社代表者の定款の定める目的の範囲を越えて為した行為は、それがたとえ会社の名 を以って為されたものであったとしても、その行為の効果は対会社との関係では当然無効となり、権利義務は会社に 帰属せず、相手方は代表者個人に対し、民法第コ七条の責任を問いうるにすぎなくなる。  二 その二は、民法第四三条は会社には類推適用がなく、ただ会社の特別権利能力は全ての会社に共通な営利の爵 的によって制限されるとする立場である。  大隅博士は、会社は公益法人と異り、会社の活動範囲が広汎であるため、会社の権利能力の目的による制限がやや もすれば会祉に責任免脱の口実を与え、取引の安全を妨げることなどから考えると、更に一歩進めて会社はその本来 の目的たる営利の自的の範囲内においてひろく一般に権利能力を有し、定款所定の目的たる事業は単に会社機関の権 限を制限するものたるに止ると解するのが正当であろうとされ、会社に共通の営利目的という抽象的基準により、こ    会祉の権利能力の目的による制限の可否について       九五

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   東洋法学      九六

の範囲外の会社代表者の行為の法的効果は通説と結論を同一にするが、定款に定める会社の目的の範囲外で且つ会社 に共通の営利目的に総括し得る会社代表者の行為については、単に内部的に会社機関の代表権を制限するに止るもの であって、その効果たる権利義務は会社に帰属するものと解している︵大隅健一郎改訂会社法論上二七頁、綜合判例研究 叢書商法⑧﹁会社の権利能力の範囲﹂晒一頁︶。  三 その三は、民法第四三条は会社に類推適用されるものではなくまた、会社の目的は会社の特別権利能力と何等        ︵2︶ 特別の関連を有するものではないとするものである。  この立場はその理由として次のように述べている。即ち、会社の活動範囲は現実に広汎に亘り、会社の目的が登記 事項とされてはいるが第三者にこれを現実に確認することを要求することは取引の実情に合致しないのみならず、そ の目的の確定基準につき判例及び学説に幾多の説がある如く明瞭でないから、会社の特別権利能力の目的による制限 を認めることは取引の安全を害しまた会社に責任免脱の方法を容認することになる。更に会社においては公益法人と 異り取引の安全を犠牲にしてまで会社の利益をはかる必要がないのみならず、商法においては民法第四三条を準用す る明文の規定は存しないから会社は定款所定の目的によってその特別権利能力の制限を受けるものではない︵田中誠 二﹁全訂会社法﹂六二頁︶。  このような立場をとる場合、会社の目的が如何なる法的意義を有するか、また目的の範囲を超えて為された行為の 効果をどのように解するかについては、更に二つの立場に分れる。  ω 第一の立場は、定款に定める会社の目的は代表取締役の代表権に対する制限にすぎず、代表取締役がかかる制

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       ︵3︶ 限に違反して行為したとしても、その制限を善意の第三者に対抗し得ないとするものである。  この説は、商法第二六一条が民法第五四条を準用していること及びドイツ民法が目的にょる法人の権利能力の制限 を認めず、公益法人は定款所定の臣的にょり代表権が制限され得るにすぎない︵独民法第二六条二項︶ことを勘案して の結論と解される。この立場によれば、会社の定款所定の葭的は本来会社代表者の対外的代表権を制限する意義を有 するものではあるが、法人代表者は法人の全ての行為を代表する権限を有するとする原則︵商法第七八条第一項、二六 一条第三項︶及び我が民法がドイツ民法の如く公益法人の目的による代表権の制限︵ドイッ民法第三ハ条︶の規定を設け ずかえって商法第二六一条第三項が民法第五四条を準用していることの結果として、会社の目的による代表権の制限 は内部的な制約にとどまり、善意の第三者には対抗出来ないこととなる。従って相手方が悪意である場合に限り会社 は目的の範囲を越えてなした代表者の行為の無効を主張しうることになる。  ② 第二の立場は、会社の定款所定の目的は会社.の特別権利能力の範囲を定めたものでも又会社代表者の代表権限 の範囲を定めたものでもなく、単に会社代表者の職務執行にあたっての会社に対する義務を定めたものにすぎず、そ の対外的効力に影響を及すものではないとし、その理由として、商法第二六一条第三項によって準用される民法第五 四条の代表権に対する制限は会社の目的というような一般的抽象的な事由を予定しておらず、前説の如く一般的で必 ずしも明瞭でない基準によって善意、悪意を区別することは新たな紛争を生ずる弊害があるとしている。従って定款 所定の会社の目的は、会社代表者の対外的代表者を何等制約するものではなく、その行為の効果は全て会社に帰属 し、ただこのように取引の安全の保護を重視することに伴う弊害は、代表機関が代表権を濫用した場合の理論に委ね    会社の権利能力の目的にょる制限の可否について       九七

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るべきであるとする。  そして会社の目的は代表者の職務執行についての義務を定めたものにすぎないから、たとえ代表者が目的を越えて 行為したとしても行為中にあっては株主がそれら行為の差止講求を為し得︵商法第二七二条︶、目的外の行為を為した ことにょり会社に損害を生ぜしめた場合には、会社は代表者に対しその損害を賠償すべきことを請求出来るにとどま        ︵4︶ る︵商法第二六六条第一項五号︶と解している。 ︵玉︶ 同旨 石井照久 商法王 ニニ八頁、大浜信泉 改正 会社法概論 三一頁、伊沢孝平 注解新会社法四∼五頁、野  津務 新会社法概論 二四頁、なお鈴木教授は目的による権利能力の制限はこれを否定するのが適当であるが、実定法上  会社の目的が登記事項とされ従って登記された以上第三者に対抗しうるとされていること︵商二一条︶から疑問をとどめ  つつも解釈論としては制限を肯定するのが妥当とされる︵鈴木竹雄増補版 会社法二∼ご︸頁︶ ︵2︶ 閏中誠二 新版会社法︵四全訂版︶一三頁、酉原寛一 会社法︵商法講義亙︶二一頁、大森忠夫 会社法講義一六頁 上柳克郎﹁会社の能力﹂株式会社法講座︸巻九四頁 ︵3︶ 田中誠二 前掲一六頁、大森忠夫 前掲一五∼ニハ頁、酉、原寛一 前掲二一頁 ︵4︶ 上柳克郎 前掲九圏∼九五頁 判

例 の 動 向

 以上学説が比較的多数の立場に分れているのに対し、判例は会社創業に際し尽力した者に謝意を表するため、業務 担当者たる社長がこれに二千円を贈ることを約した事案につき、会社には民法第四三条の適用ありとする立場をとり

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会社の特別権利能力は定款所定の目的により制限され、右琶的の範囲を越える代表者の行為はたとえ︾・れが会社の名 を以って為された揚合であっても、会社に対しては何等の効力を生じないと判示︵大判明治三六二・二九民録九輯︸O ︵三︶ 二頁︶して以来会社の目的の範囲に関しては漸次広く解する立場を強めつつあるが、会社の目的が会社の特別権利能 力の範囲を劃するという機能を営むことについては一貫してこれを肯定している。  即ち、銀行が小切手中に支払保証の記載をなし、その支払義務を負担するのは預金又は貸付に関する行為にほかな らないとして支払保証が会社の目的として直接定款に記載されていなくとも記載されている翼的に含ましめ得るもの であれば足りるとしてその有効性を認め︵大判明治四四・三二δ民録一七輯一五〇頁︶、更に毛織物の製造販売をなすこ とを目的とする会社が営業維持を図って取引先の窮状を救うために手形の裏書をなす行為は会社の目的として規定さ れている事項に直接又はその内容として解釈上包括されるものでなくとも、その員的たる事業遂行に必要な限り会社 の行為と認められその効果は会社に帰属すると判示し︵大判大正三・六・五民録二〇輯四三七頁︶、その考え方は以後の判 樹によっても踏襲され、昭和三八年に至り会社が政党に対して政治献金をすることは会社の目的の範囲外の行為であ ると下級審において判示し目的の範囲に関する解釈を若干狭めるかに見えたが︵東京地判昭和三八・四・五、下民集一四 巻四号六五七頁︶、右事件の控訴審判決において、右行為は会社の目的の範囲内の行為であると改めて判示され︵東京 高判昭和四一.一.一三高裁民集一九巻一号七頁︶、定款に直接記載されている行為でなくとも、会社の目的達成に必要な いし有益である行為である限り、会社の目的の範囲内の行為としてその有効性が認められるとする立場を堅持してい る︵最判昭和三〇・一〇・二八民集九巻二号一七四八頁、最判昭和⋮二ニテ;八民集一二巻六四八頁等︶。     会社の権利能力の目的にょる制限の可否について       九九

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    東洋法学      一〇〇

 以上の判例は、会社の目的の範囲を如何なる基準によって劃するかに関しての変遷があるにとどまり、このように       ︵2︶ して確定された貝的の範囲は、会社の特別権利能力の範囲を劃するものであることを当然の前提としており、ただ下 級審の判例で民法第四三条は会社に適用なくその特別権利能力は会社の目的によって制限を受けないとするものが若        ︵3︶ 干あるにすぎない。 ︵1︶ ﹁会社ノ法定代理人力其員的以外ノ事項二関シ会社ノ名ヲ以ッテ為シタル行為ハ会社二対シ効カヲ有スルモノナルヤ 否ヤノ事項二関シテハ⋮−民法四三条二依レハ法人ハ其目的ノ範囲内二於テノミ権利ヲ得義務ヲ負フモノニシテ其目的以 外ニハ人格ヲ有セサルモノナレハ其屠的ノ範囲外二於ケル業務担当社員ノ行為ハ縦令ヒ会社ノ名義ヲ以ッテ為サレタルト  キト錐モ之ヲ会社ノ事務ナジト云フヘカラス。既二会社ノ事務ニアラサル以上ハ其行為力会社二対シ効カヲ生シ得ヘキモ  ノニアラサルヤ勿論ナジトス﹂︵大判明三六・丁二九民録九輯一〇六頁︶ ︵2︶ ﹁会社は其の目的たる事業を遂行するに必要なる行為を為すの能力を有するものにして⋮⋮。﹂︵大判大二・六二二  民録︸九輯四七四頁︶   ﹁筍しくも会社の目的たる事業を遂行するに必要なる行為ならんには之を以って会社の目的の範囲内にありと為すべき  ものにして⋮⋮﹂︵大判昭一三二二・一六判決全集六巻二二八頁︶   ﹁定款に記載された目的自体に包含されない行為であってもその員的遂行に必要な行為はまた社団の目的の範囲に属す  るものと解すべきであり⋮⋮﹂︵最判昭二七.二二五民集六巻二号七七頁︶   ﹁確定した判例の晃解によれば公益法人に関する民法四三条の規定は法人︸般の性質に基く原則を定めたものであって  ⋮⋮会社に対する関係において有用な行為は定款に記載された事業目的の如何及びその罠的達成のために必要または有益  であると否とに拘らず当然その躍的の範囲内に属する行為としてこれを為す能力を有するものと解すべきである。﹂︵東京  高裁昭四丁一・三二愚裁民集︸九巻︸号七頁︶ ︵3︶ ﹁一般に手形行為は商人の営利活動の基本約手段であるかち、会社の定款に定められた営業霞約の範囲が如何なるもの

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である場合においても.手形行為自体は会社の営科活動の手段として当然にその能力の範臨に属するものと解するを棺当 とするのであって、このことは商法第七八条二項、第一照七条、第二六一条第三項を以って民法第四四条、第五四条の規 定を会社に準用しているにかかわらず、民法第四三条については何等の準用規定を設けていないことからも当然に結論し うるところである。換言すれば民法第四三条は民法上の公益法人に限って適用せらるべき規定であって、営利法人たる会 社にはその適用がないものと解し、会社については法律が会社という法人形態を認めた独自の法理念に照らしてその能ヵ の範囲を定めることを相当とする。﹂︵大阪高判昭三五・四・七判例時報二二六号照二買︶

四 アメリカ及びドイツにおける会社の権利能力と目的との関係

 岬 アメリカにおいては、鳴耳壽拳獣℃﹄巨歴&℃舞9霧終5す纂。 ・8鼻8昌も§ざ8着・参鎮窪の四種の会社形態 が存在し、このうち我国の合名会社、合資会社にそれぞれ相当する嚇肖9・お鼠℃及び凱巨δ&饗寡霧邑・すについて は法人格が認められず、株式会社にあたる8壱・声焦昆に対して独立の法人格を認め、合名会社と株式会社の中間形 態たるす馨ωε畠8導唱霧蜜については制定法による場合少数の州において或る範囲において法人格が認められる 場合があるにすぎない。  そして﹁会社の能力は定款記載の目的によって範囲を劃され、目的外の行為は会社の能力を越えるものであるから       ︵1︶ 無効である﹂とするイギリスにおける離力外行為の原則︵08葺器9紀庁多ぐ冨ω︶を導入したが、判例及び制定法は この原則を緩和ないし廃止する方向を辿っている。即ち現在アメリカの判例の大勢は次のように要約することが出来    ︵2︶ るとされる。    会社の権利能力の臣的にょる制限の可否について       一〇一

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   東洋法学      一〇二

 ① 目的外の契約が未履行の場合、カンザス州ではいずれの当事者もその履行を拒否できる。  ② 当事者の一方が履行した後はその当事者は契約の履行を訴求できるか︵多数の州の判例︶少くとも準契約的訴訟 ︵ρ墨。 。一8旨峯。ε箪8広魯︶にょる救済を求めうる︵連邦裁判所及び少数の州の判例︶。  ⑧ 両当事者が履行すれば完全に有効となる。  ④ 匿的外の契約が未履行の場合でも、株主全員がその授権または追認に同意したときは、大部分の州の裁判所は 契約の効力を認めている。  立法の経過としては、それまで採用されていた能力外行為の原則は、一九一七年のヴァーモント州普通会社法一五 条によって制限されて以来、一九二七年オハイォ州普通会社法八条によって会社は自然人の有する全ての行為をなす 能力を有するとされ、更に一九二八年統一会社法︵¢&曾ヨω琶琴霧9着簿銭鼻︾9︶二条は会社は自然人の有 すると同じ能力を有し、かかる会社はその目的を達成するために必要または有益であり且つ法に反しない行為を為す 権限を有するとされ、目的条項は取締役の権限の制約にすぎないことになった。更に進んで一九三三年のカリフォル ニヤ州会祉法八〇三条は会社は自然人の有すると同じ能力を有することを前提として、目的条項は代表機関の権限の 制限となるが、その制限は内部的制限にとどまり、第三者に主張し得ず、単にその違反につき取締役の責任を追求し うるにすぎないとして、能力外行為の原則を完全に廃止した。  能力外行為の原則の発祥地であるイギリスにおいても、一九四五年会社法改正委員会たるコーエン委員会は能力外 行為の原則を廃丘し、第三者に対して法人も自然人と伺じ能力を有することを改めるべきであると勧告したが、一九

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四八年の改正会社法では右勧告は実現されるに至らず、妥協的に目的条項変更の要件を緩和したにとどまった。  然しアメリカにおいてもイギリスにおいてもバランタインやガウァーなどによって会社に自然人と同様に完全な能        ︵3︶ カを認めることが主張され、将来このような改正がなされることが予測されている。  このように英米法においては、従来能力外行為の原則によって維持されてきた屋的による会社の権利取得の制限を 緩和ないし廃止し、これを代表者に対する内部的責任追究に転化せしめる方向を示していると言い得るであろう。 ︵圭︶ この原則はイギリスで]八七五年蓄喜鐸蔓菊帥ご墾曙○霧鼠謎。餅冒象02い&気。蒙9。事件において一般会  社にも適用されることが確認されたが、それは︸八六二年の会社法二一条が目的条項の変更を禁止していたため、株主は  一定の条件でかつそれを変更しないという前提で資本を投下しているのであるから、株主保護のために目的外の行為を禁 ずることが必要であり、債権者保護のためにも会社財産の使途を制限すぺきであるという理由に基づくものであるとされ  る︵北沢正啓編﹁アメリカと霞本の会社法﹂四∼五頁︶。 ︵2︶ 竹内照夫、大塚市助、中島健作  ﹁目的にょる能力制限の原則﹂︵アメリカと臼本の会社法所収︶一〇頁。   どP算ぽ曾09欝ぎ鵯DO鈴ω①ω鈴昌似鋸暮①覧鎮ω○⇒OO擁も○擁帥鉱o霧︵鴇自o負¢冶︶や爲○ ︵3︶ ⑦巴び嘗ぎΦ’○⇔8﹃℃窪彗陣○霧㌔¢ざ○α一思9ダ誠α⋮潔800≦震。目お鷲一8一覧塁○協ヨ○富琶○○導娼p嵩蜜いp≦  ︵N嵩祭のα﹂膿司︶勺c o↓  小町谷操三 ﹁イギリス会社法概説﹂七二∼七三頁  ニ ドイツにおいては、合名会社︵○鷺。ま瓢き︵巨謎。器房筈餌津︶、合資会社︵民・筥旨窪象罐畠毘ω9鋒♂︶、株式会 社︵︾簿凶。お8・房。富ε、株式合資会社︵渓・簿導ρ鼠一護窪毘8冨津餌鼠鋭簿一魯︶、及び有限会社︵○。毘諄蓼津影津 び。。 。。ぼ書葬象頃鋒ε謎︶が会社と認められているが、我が国の如く全ての会社が法人とされるものではなく、右のう     会社の権利能力の目的にょる制限の可否について      一〇三

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   東洋法学      一〇四

ち有限会社、株式合資会社、株式会社の三者について法人格を認めるが︵有限会社法︸三条、新株式法︸条、同二七八条︶ 合名会社、合資会社は会社とされながらも独立の法人格が認められず、組合の一種と解されている。そしてドイッ法 の下において法人は自然人と同一の範囲の権利能力を取得しうることを当然の前提とし、ただ公益法人に関し法人代 表者たる理事の代表権につき定款によって制限をすることが出来︵独民法三ハ条︶このような制限は登記することに よって第三者に対抗することが出来るとされている︵同法六四条︶にすぎないから、法人の目的は法人の権利能力を制 限するものでないのみならず、代表者の代表権を当然に制限するものでもなく、ただ目的の範囲内に代表権を制限す ると定款又は寄附行為に定めこれを登記することによって、代表権の制限としての効力を持たせうるにとどまる。更 に営利法人たる株式会社等にあっては、嗣法では﹁取締役の代表権の制限は第三者に対しその効力を生ぜず﹂︵旧株式 法七四条二項︶と規定し、その解釈として、取締役の代表権は不可制限的なものであって、善意悪意を問わずその制 限を第三者に対抗し得ないとされていたところ、一九六六年施行の新株式法では﹁取締役の代表権はこれを制限する ことを得ず﹂と︵同法八二条一項︶規定しより直戴的な表現に改められ、同条二項において取締役の代表権の制限は、 取締役の業務執行にあたって遵守すべき規準をなすにすぎないことを明らかにしている。  従ってドイツにおいては、営利法人たる会社にあっては、定款所定の臣的は、 ω 会社の権利能力を制限するも のでなく、 ⑧ 取締役の代表権を制限するものでもなく、 ③ 内部関係として代表権を定款所定の目的の範囲内 に制限することは許されるが、この制限違反の行為は対外的効力には関係なく、取締役の会社に対する責任の問題を 生ずるのみである。但し相手方が、取締役の権限濫用の事実を現実に知っていたときは、会社がこれを立証して代表

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      ︵王︶ 権の制限を対抗することが出来るとされている。  以上のことはドイッにおいては、法人たる会社は法律及び法人としての特質からする当然の制限を除いては、自然 人と同一の範囲において権利を得義務を負担するものであって、定款所定の目的によって権利能力の範囲が制限され るものでないことを当然の事理として承認していることを示すものである。   ︵1︶ o o。匡轟2ぎお07◎蓼器○≦欝計曾黛ρ矯≧一筥●冨N¢導㈱虞¢但し照法の解釈についてである。新法においても同様に    解されるであろう

五 会社の権利能力の目的による制限の検討

 ” “ 臼的による制限の必然性についての検討  以上見てきた我が国の学説判例及び諸外国の立法の趨勢の下にお いて、会社の権利能力の目的による制限の可否を論ずるにあたって先ず問題となるのは、我が国の通説が述べる如く 会社という営利社団法人が、目的社会として目的による権利能力の限界を当然の前提として受け入れなければならな いか否かである。  そもそも自然人のほか法人が権利義務の主体た夢得る地位を認められたのは、財産又は人の集団が有機的に結合す        ︵三︶ ることによって統一的な独立の意思を有しつつ、社会的に独立固有の機能を営むことに基づくものである。  このようにして法人の人格取得の根拠は理論によって与えられるが、かかる法人格が如何なる権利義務を有しうる    会祉の権利能力の目的にょる制限の可否について       一〇五

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   東洋法学      

一〇六 かは法によって決定されることになる。即ち自然人についてはその生物学的自然的存在と人問尊重の近代的自然法思 想の所産として、法人についてはその社会的実在の故に一般的に権利義務の主体たる資格が認められるが、かかる法 主体に如何なる範囲の権利義務を現実に取得せしむべきかは、自然人については個人の尊重、法の下の平等及び公共 の福祉の増進という理念の枠内で当然の事理として幅広く承認されるのに対し、法入においては、法人の社会的作用 を全うさせるという側面から、法人に関する法律関係の処理に関連ある諸利益を比較衡量し、それらの諸利益をどの ように調整することが妥当であるかという見地から政策的に決定されるのである。この意味において個別的具体的権       ︵2︶ 利義務の総和の帰属主体としての法人の法人格は法を離れて存在しないと言い得るが、これは社会的実在としての一 般的抽象的な法人格の存在を前提とした上での問題である。このようにして法人の具体的個別的能力の範囲!特別 権利能力の範囲!ーは我が国のような実定法主義の国にあっては、法の定立によって法実在的根拠を与えられること になるのである。従って、法人の法人格取得の本質が一定の目的遂行の為に組成せられた組織体即ち社団法人にあっ ては、共同の目的の為に団結せる人の集団が、独立固有の意思と社会的作用を有するが故に権利義務の主体たり得る ところにあるとしても、ここで言う一定の目的を定款所定の目的という言わば営利法人においては手段的な限定的意 味に解しうるかは疑問であって、むしろその究極に存在する営利こそが、ここで言う目的であり、定款所定の目的は 会社組成の契機となり、営利という躍的実現のための中心的手段を提供するにすぎないものと解され、ギールケの言       ︵3︶ う如く、法人の権利能力はその目的によって特に限定されるものではなく、目的にょる権利能力の制限が法人の本質       ︵媛︶ 的要請でないことはまたカール、レーマン及びフレッチャー等によっても承認されているところである。

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 法人がその社会的存在により一旦法人格を取得するに至れば、法人は法人そのものとしての独自の行為を有するこ とになり、その行為を法人の行為と認めた上でその行為の効果を如何なる範囲まで法人に帰属させるかを法政策的に 決定すべきことになるのである。  これに反し、通説の如く法人の権利能力を目的によって限定し、目的を越える行為につき法人の行為は存在しない としてこれを否定することは理論的に妥当でないのみならず、一方において目的を厳格に解することによって法人の 目的実現に必要な行為の効果が否認されその社会的作用を全うせしめ得ぬ結果となり、逆に目的を広く解すれば目的 確定の基準が不明確になるばかりか、目的の範囲が拡張し目的による制限そのものが自壊作用を生ずるという現実的 な困難を伴うのである。  従って判例は目的外の行為は、法人の社会的作用を全うさせつつ目的に・よる制限を維持しようとする努力を重ねて いるが、その理論的一貫性に破綻を来す結果となっている。即ち、判例は鉄道事業を経営する株式会社が炭鉱採掘事 業の兼営により会社の金融を図りその経済を充実せしめんとした行為及び倉庫業及び建物施設の賃貸を主たる目的と する会社が災害又は社会的行事に際し、一般の慣例に従い応分の義絹を為すことを共に目的遂行に必要な行為として おり︵大判昭和六二二・轡七、新闘三三六囲、一八、東京地判昭和三〇・丁二八下民集六巻一号一二五頁︶、前者について は、現代の経済を担う申心的企業形態としての会社につき広い経済活動を認め、会社本来の機能を充分に発揮せしめ んとするその立場を肯定しうるが、後者にあっては、それら行為が会社の社会経済的要請に基づいての目的達成に必 要ないし有益な行為とは面を異にする。    会社の権利能力の目的にょる制限の可否について      一〇七

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   山果 洋 法 堂・       一〇八  それら行為が、会社の行為として是認される理由は、かかる会社の営利目的達成としての手段性の故にではなく、 会社にあっても営業活動以外一般的社会人としての生活領域が存在し、それら領域における行為が会社の行為として の実在性を有し、社会的には会社の行為として認識され、法的に会社の行為として評価され得るため、その効果が会        ︵5︶ 社に帰属せしめられる契機が存したのである。  これら行為の評価にあたって、通説判例が目的遂行に有益な行為である点を強調して、これを目的の範囲内の行為 となすならば、会社代表者が会社の名を以って為す行為の凡んど全てが目的の範囲内の行為となり、目的による権利 能力の制限という意義の大半は失われてしまう結果となるであろう。  いずれにせよ、判例は、会社の権利能力は定款所定の目的との関係で限定されるという立場をとりながら、時代の 社会経済的要請から目的の範囲を拡張解釈することによって目的による権利能力の限定という機能を稀薄化しつつ、 遂には営業を離れた会社の一般社会人としての行為をも会社そのものの行為として認め、その効果を会社に帰属させ ることによって、目的による権利能力の制限を脱しつつあると言うことが出来る。  ドイツ法において、公益法人についても営利法人についても目的による権利能力の制限を認めなかったのは、定款 所定の目的という枠を越えて法人そのものの独自の行為が存在するのであるから、目的による権利能力の制限は、法 人の本質的要請でなく、また妥当な制限でもないとしたことにほかならないと解される。  従って法人の特別権利能力は目的によって当然制限されるものではなく、我国においては法人たるの特性に基づく ものの他、専ら法令によってその限界を劃されることになるのである。

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 民法第四三条前段はかかる意味において当然の事理を規定したものであり、同条後段は公益法人に関し、特に法律 を以って特別権利能力の範囲を定款又は寄附行為に定める目的の範囲内に限定する旨規定したものと解すべきであ る。 ︵玉︶ 松本蒸治  ﹁法人学説﹂ 商法解釈の諸問題 一二一貢以下 ︵2︶ 酉原教授はこの点に関し、法的人格が自然人も法人も法を離れて存在し得ないと述べられているのは、法主体たりう  る一般的適格の間題ではなく、法によって具体化現実化された権利義務の総和の帰属主体としての法人格を意味している  ものと解される。酉原寛一﹁株式会社の社団法人性﹂株式会社法講座一巻四二頁。 ︵3︶臼。碁Φb一・の窪・器・岩・ぢ津ω夢8江Φ毒α島。留客の9。幻①島富嘆8プ暮敬o Q,$一ー㌧ 。︵一c 。c 。↓︶   服部教授も﹁法人潜目的を中心とする人格者である渉故に目的による制限は一見当然のことと考えられるであろうが、  目的はあくまで究極の目的であって、法人がその目的に結びつかぬ行為を絶対になし得ないということは決して自明でも  当然でもないのである。﹂とされる。 ﹁会社の権利能力、行為能力及び不法行為能力﹂ ︵会社法の諸問題︶一〇五頁。 ︵4︶ぎ欝醤響︸U器灘。。簿鳥霞ヒ肖氏①お①器房9る津窪ゲω﹄置ーc・,霞。9①♪99名&㌶・協汐一く舞。○・壱?  残鋤江○⇒く〇一’刈。型凱coO︵一鴇じ ︵5︶ 大隅博士は法人が、社会的実在として現代の社会生活における重要な構成単位として存在し、かつ活動している以上、  およそ祉会人としてなすべき行為をなし得なければならないのは当然であって、その意味において会社にあっても営業生  活以外の一般社会人としての生活領域が存するから、会社が災害・社会的行事・教育事業等につき一般の慣例に従い応分  の寄附をなすことはこのような領域に属する事項であって、これを強いいて会社の目的に関連せしめて解することは、そ  の必要がないばかりでなく不当であると思うと述べている︵綜合判例研究叢書商法⑧四二頁︶。 会社の権利能力の目的による制限の可否について 一〇九

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   東洋法学      二〇

 二 民法第四三条の会社への類推適用の当否  会社の特別権利能力はこのようにして理論上当然その舅的に限定 されるものではなく法律の規定によって決定されと解すれば、商法上明文の規定が現行法の下にあっては、民法第四 三条が会社にも適用ないし類推適用され、法律にょる権利能力の制限たる作用を果し得るかが問題となる。  当初判例は、 ﹁会社の法定代理人が其目的以外の事項に関し、会社の名を以って為したる行為は会社に効力を有す るものなりや否やの事項に関しては、旧商法中更に何等の規定存せざるを以って、其事項は民法の規定によって決せ ざるべからず﹂︵大判明三六・丁二九・民録九輯一〇六頁︶と判示し、学説もまた﹁民法四三条は法人の権利能力を定め た大原則にして、此の規定は又当然に株式会社に適用あるものと謂ざるぺからず﹂︵片山株式会社法論五六頁︶として 当然適用あるものと解していたが、その後、民法第四三条の規定は公益法人のみに関する規定であって、営利法人た る会社に直ちに遠用することは出来ないが、その精神は会社についても妥当する︵松本丞治﹁営利会社の慈善事業に対す る寄附﹂商法解釈の諸問題一囚一頁︶として単に類推適用を認めるにとどめかかる立場は、我国の通説的位置を占めるに   ︵王︶ 至った。従って、次に民法第四三条が会社に類推適用され得るか否かが検討されなければならない。  先ず我が商法は、民法第四三条の適用ないし類推適用を予定しているであろうか。  石井教授は、法典調査会民法総会における穂積陳重博士の説明及び法典調査会民法主査会の理由を引用して、民法四        ︵2︶ 三条が法人一般に共通の規定として会社にも当然適用あるものと立法当時考えられていたと推論されているが、民法 第四三条の会社への適用は、前述の如く公益法人と営利法人との差異に基づいて否定するのが現時の通説であるため、 その限りにおいて立法者の意図は、現行法の解釈として妥当しないと言い得るのである。

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 それでは次に、商法は規定の面で民法第四三条の類推適用を予想している立法構成をとっていると解することが出 来るであろうか。  商法第七二条は合名会社につき﹁会社の頃的の範囲内に在らざる行為を為すには、総社員の同意あることを要す る﹂と規定し、同法第一四七条によって合資会社に右規定が準用されていること、及び会社の目的が登記事項とされ ていること︵商法第六餌条一項一号、一四九条一項、一八八条二項一号︶の意味が問題となる。  商法第七二条の解釈について、通説は、会社はその目的の範囲内に属しない行為を為し得ない。それら行為を為し 得るためには本来定款の変更を要するが、然し、それら行為を為す度毎に定款の変更をし、それを事後旧に復するの は煩に堪えないので、商法第七二条はその便法を認め、総社員の同意のみで足りるとしたのであると説明している が、通説の解くところによれば、目的こそが法人の本質的要素をなすものであるから、目的の変更は会社の同一性を 失わないまでも、その本質に関する重要な変更を伴うはずのものであり、かかる便宜的な手続によって当該法人の本 質が再転すると考えることは、事柄の重要性に照して権衡を失することにならないであろうか、更にこの場合、定款 変更も変更登記の手続も必要とされない結果、第三者は会社の権利能力を劃するとされる目的の変更を知り得ない結 果となり、第三者の保護を没却した不当な規定であることになる。即尋総社員の同意を得た事項ないし行為は、会社 の目的の拡張又は変更としては定款の記載にも登記面上も現われないから、取引の第三者はこれを一般に知ることを 得ず、果して当該行為が会社の行為として予期する効果を収め得るか否かは不明となり、不安定な立場に立たされ る、それのみか、会社の目的が登記事項とされたとしても、右登記の効力を規定する商法第二一条の規定との関係を    会社の権利能力の目的による制限の可否について       二一

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   東洋法学      一二一

めぐって困難な間題を生ずることになる。このようにして商法第七二条は一見通説の見解を支持するかに思われる が、その立場は必ずしも妥当とは言い難い。むしろ右規定が対外関係を考慮していない点から取引の第三者に関係の ない内部関係を定めた規定と解すべきである。即ち、会社を代表すべき業務執行社員が本来業務執行上会社により委       ︵4︶ 任されている権限の範囲を総社員の同意を以って内部的に変更し得るとした規定と解するこ伴が妥当である。このよ うに解することは、商法第七二条後段が定款及び登記の変更を予定していないこととも調和するものである。  従って右規定を以って、会社がその目的によって権利能力が制限されることを当然の前提としているものであると 言うことは妥当ではない。  次に会社において、その員的が定款の絶対的記載事項とされ、登記によって第三者に公示されることから、会社の 昌的はその会社の権利能力の範囲を限定するため、第三者に重要な影響を及すものであるところから右のような規定 をみるに至ったと解する余地もあるが、我が商法の母法たるドイッ株式法においても、会社の目的は定款記載事項及 び登記事項とされているにも拘らず、それ自体としては取締役の代表権の制限としての意味すら有していないとされ ており、会社の目的が定款記載事項及び登記事項とされることが、会社の権利能力が目的によって劃されるというこ との決定的な解釈基準とはなり得ないのである。  以上会社の権利能力が目的によって限定されるとする結論は、実定法の構造上当然に導き出されるとは言い難いの である。  それでは次に、民法第四三条は公益法人と営利法人という差異を越えて、会社にも類推適用される一般的な妥当性

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があるであろうか。  この点で問題となるのは、公益法人と営利法人との差異である。公益法においてはその臼的はそれ自体として法人 の存在目的として個別化特定化しやすい性質を有し、国家に於ける公益に直接影響を及すため、国の政策的規制を受 ける可能性が強いのに対し、営利法人にあっては、定款所定の目的は、会社の究極的目的たる営利実現のための手段 にとどまるため、定款所定の目的は、公益法人におけるような法人存在の直接的目的として機能せずむしろ、手段的副 次的な機能を有しているにすぎない。更に営利法人が主として如何なる方法手段を以って営利を獲得していくかは私 的自治の枠内にとどまる性質の問題であって、公益の如く国家の政策的規制を直ちに受けるものではないのである。 法が公益法人の業務監督権をその員的に即応した主務官庁に与え、政策的規制を以ってその運営の適正化を図る態度 を示している︵民法第六七条︶のに対し、営利法人については、裁判所による解散命令という終局的権限を認めるにと どめる︵商法第五八条一項︶のは、かかる公益法人と営利法人の差異に基づくものであると解せられる。そして、公益法 人においては、その目的が個人の経済的利益に優先する公益であるため唱、鼠的の範囲外の行為であることを理由とし て、第三者の権利を否認し、法人の利益を擁護することに価値を認めることも出来るが、営利法人においては、相対 立する私益であるため、取引の相手方の利益を否定して会社の利益を護ることの合理性は乏しく、むしろ、会社の利 益を犠牲にしても第三者の権利を保護することこそ、現代の取引にあって合理的であると解される。従って公益法人 において、その権利能力を目的の範囲に限ることが妥当であっても営利法人において同様に解することが妥当である とは言い難いのである。    会社の権利能力の目的にょる制限の可否について       二三

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   東洋法学       コ晒

 かくして営利法人たる会社にあっては、会社の権利能力が定款所定の目的に限定されるか否かは、会社の権利能力 を目的の範囲に限定し或いは限定しなかった揚合において生ずる法律関係における当事者の諸利益を比較衡量し、こ れら諸利益をどのように調整することが妥当であるかという、会社法独自の立場から決定されることになるのである。  会社の権利能力を臼的の範囲に限定することによって認められる利益は、第一に、株主は一定の目的のため資本の 提供をして会社企業に参加するものであるから、株主が承認した目的以外の事業のためにその投下資本を利用されな いという株主の利益であり、第二には、会社財産の使途を制限して会社財産の逸散を防ぎ、会社財産の確保をして、 会社債権者を保護するという利益がある。これに対し、会社の権利能力を目的によって制限することの不利益は、会 社の属的の範囲が必ずしも明確ではなく、これを確めることは手続的にも煩環であり、株主保護のために取引の安全 を害し、会社に責任免脱の口実を与え易いという弊害が指摘される。英米法においても能力外行為の原則による株主 及び債権者の保護は、立法及び判例の進化に伴い単なる幻想上の保護にすぎなくなり、会社と取引する第三者にとっ ては、会社の広汎なそして漢然とした臼的条項の中にたまたまその取引が入っていないという理由で取引の無効を主       ︵5︶ 張されるおそれを生じ﹁会社と取引する第三者に対する陥し穴﹂をなしているとその弊害が指摘されている。従っ て、会社の特別権利能力をその目的の範囲内に限ることによる利点を求めるためには、会社の自的が明確性を維持し ていることが要求されるわけであるが、学説判例は、これと逆行する傾向を示している。  即ち、近時の経済活動の広汎分化は、その究極の目的たる営利追求の手段を多様且っ複雑化し、会社の活動領域が 実際上極めて広くなったため、判例及び学説もかかる時代的要請に応ぜざるを得ず、会社にその法的効果を帰属せし

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め得る目的の範囲内の行為とは﹁目的自体たる行為のほか目的達成に必要又は有益な行為に及びしかもこの範囲に属 するか否かは行為の客観的性質に基き抽象的に判断せらるべきである﹂ ︵石井前掲 ;西∼五頁︶とし、或いは﹁定 款に依りて定まりたる目的の範囲内に包含する事項及びその目的を遂行するに必要な事項﹂に及ぶ︵大判大正三・六・ 五、民録二〇輯四三七頁︶としてその基準を抽象的一般的に拡張したため、登記によって会社の目的が如何なるもので あるかを確めるための手続の煩わしさの上に、仮え登記簿により会社の目的を確認したとしても、為さんとしている 行為が果して目的の範囲内の行為と言い得るか否かの判断を不明確にするとともに、目的の明確化によって法が当初 予定していた株主・債権者の保護という効果をも著るしく減殺する結果を招来している。  そして目的の範囲を不明確にするこのような解釈は、かえって、悪意ある会社代表者が目的外において第三者と取 引をなし、その結果利益を収め得ればこれを糊塗しその効果を享受するが、一且会社に利益をもたらさないことが判 明した場合はその無効を主張して損害を免れようとする責任免脱のq実を与える弊害を増長することとなる。  以上に反し、会社の権利能力を目的によって制限されないと解した場合に生ずる弊害は主として、株主が自己の投 下した資本を会社代表者によって不当に利用されることと、代表者が会社資本を不当に利用していることを知りなが ら会社と取引を為した悪意ある第三者の行為まで保護するという不当な結果を生ずることである。  然し前者については、法はかかる弊害を予測して、会社代表者が、会社の目的の範囲内にない行為によって会社 く株主︶の利益を害するような場合には、株主に、それら代表者の行為の差止請求を為す権利を認めて不当流用を阻 止し得るものとし︵商法第二七二条︶、代表者の行為後においては、会社に損害を生じた場合、会社はその蒙った損害    会社の権利能力の目的による制限の可否について      二五

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   東洋法学       

二六

額を代表者に賠償せしめ得ることとし︵商法第三ハ六条一項五号︶、その損害の回復を図っており、後者については、 後述するように商法第七八条、民法第五四条の解釈若しくは代表者の権限濫用というより一般的な理論によって悪意 ある相手方の不当な利益を制限することが可能なのである。このようにして、会社の特別権利能力が目的によって制 限されないと解した場合に生ずると考えられる主たる弊害は克服され、目的の解釈をめぐる困難は払拭され、対外的 効力が確実に維持されることによって取引の安定性と円滑性が保障される。  右のように解することは、社員と会社代表者という会社組織内の言わば静的な紐帯によって結びついている法律関 係と、会社と取引の相手方たる第三者という取引流通の過程におけるいわば動的面において形成される法律関係のい ずれを重視すべきかという選択に立たされた場合、商法における第三者保護という理念に合致する正しい方向を示す 解釈であるということが出来るのである。のみならず、このような結論は、英米法において前述の如く能力外行為の 原則が衰退し、目的による会社の権利能力及び代表者の対外的代表権の制限を否定する制定法の立法が進んでおり、 我が商法の母法たるドイツ株式法においても目的による会社の権利能力の制限を認めていないという諸外国の趨勢と もよく合致するものである。  かくして、民法第四三条の会社への類推適用はこれを否定することが妥当となる。  以上、民法第四三条を準用する明文の規定が存在せず、右規定の会社への類推適用も否定されるため、会社の特別 権利能力は、定款所定の目的によって制限を受けるものではないという結論に至るのである。

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︵王︶ 石井照久 前揚二二四頁、 田中︵耕︶ 前掲五八頁、大浜 前掲三五頁、 ︵2︶石井照久 ﹁会社の権利能力﹂ 法学協会雑誌七六巻二号一七〇∼一七三頁 ︵3︶ 松本丞州治  ﹁臼本会社法論﹂ 玉〇六∼五〇七頁、石井前掲五麟○∼五四一頁、伊沢前掲六一∼六二頁、野津前掲三〇 五頁。 ︵4︶ 田中︵誠︶教授は、商法七二条後段は対外的に権利能力の拡張を定めたものではなく、対内的に会社に重大な利害関係 ある事項についての手続を定めたものであるとされ︵田中︵誠︶前掲頭〇三∼四〇囲頁︶、大隅博士は商法第七二条後段に  意味をもたせるとすれば、会社の機関が総社員の同意をもって、その属的の範囲外の行為をなす場合には会社に対する責 任を免れるとするにあると思うが、これも総社員の同意ある以上法の特別の規定をまつまでもなく当然のことであ惹か ら、実際上存在理由に乏しいとされる︵大隅全訂会社法論上七三頁、綜合判例研究叢書商法⑧八頁︶。 ︵5︶ 膨蹟ダ暮汐ρ○⇒8もc纂鑓o霧㌔磐●a●︵¢ま︶忌る黛∼翫c o 閃書o箸○陥夢ΦOO彰影帥算oΦ800旨娼弩緒ピ帥≦  毎露o旨α欝o⇔汁︵も轟題︶も貫貸お繭

六 会社の目的の会社における法的機能

 以上のように、会社は定款に定める目的によってその特別権利能力を制限されるものではないと解した揚合、次に 会社においてその目的が如何なる機能を営むものであるかを明らかにしておく必要がある。  先ず、会社の目的を代表取締役などの代表者の代表権の制限をなすものであると解することが出来るかである。  民法第五四条は﹁理事の代表権に加えた制限は之を以って善意の第三者に対抗することを得ず﹂として、理事の代 表権に一定の制限を設けることが出来ることを前提とし、相手方が悪意である限りその制限を対抗することが出来る こととしており、商法第七八条はこの規定を合名会社の代表社員に準用し、右規定は、商法第一四七条、二六一条三    会社の権利能力の自的にょる制限の可否について      二七

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   東洋法学      一一八

項によって合資会社、株式会社にも準用されている結果、会社の目的を以って会社代表者の代表権の制限事由と取決 めた揚合には、形式的には相手方が悪意である限り、代表権の制限としての機能を果し得るかに思えるが、民法第五 四条は、公益法人が目的の範囲内においてその特別権利能力の制限を受けるという前提の下に、代表者の代表権の個 別的.具体的制限を許容した規定と解され、会社の臣的というような一般的抽象的制限事由を予定していないもので 仮りにかかる制限及びその制限の登記を認めたとしても、登記の積極的効力により、全ての相手方が悪意者と擬制さ あり、またれるため、民法第五四条の規定の趣旨と調和しない結果となる。従って会社の臣的を何等かの意味で、会 社代表者の代表権の制限と解することは妥当でないと言い得るのである。そこで次に、会社の目的は単に取締役等が 職務執行をなすにあたっての会社に対する義務を定め、かかる職務執行の準則に違反した揚合の内部的責任追求の根 拠を提供しているにすぎないと解することが妥当か否かである。  営利法人たる会社にあっては、社員は一定の資本を会社に提供し、会社はこれら結集された資本を社員との間で定 められた一定の方法により運用することによって獲得した利潤を社員に分配するという関係が存在し、会社は資本利 用について社員に対し一定の制限を有している。一方、取締役と会社との関係は委任関係であリパ商法第六八条、民 法第六七一条、商法第一四七条、二五四条の二︶、取締役は委任の本旨に従い善良なる管理者の注意義務を以っ会社の事務 を処理することを要し︵民法第六四四条︶従って取締役がその職務を執行するにあたっては定款の規定を遵守せねばな らず︵商法第二五四条の二︶定款の定める会社の員的に従って行動することは、取締役の業務執行権限行使についての 当然の義務である。取締役が定款に定める目的を越えて行為を為した場合は、右義務違反として、その行為は差止請

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求の対象となり︵商法第二七二条、有限会社法第三一条の二︶、取締役の会社に対する損害賠償責任を生ぜしめることに なる︵商法第二六六条一項五号︶。  そして、会社の属的外行為も対外的第三者関係においては全て有効と解することから生ずる悪意の第三者に対する 規制は、前述の如く代表者がその職務執行上の義務に違反してなした権限濫用の行為であって、相手方がかかる事実 を知悉しながら敢て取引をなしたことを立証してその効力を否認しうるという代表権の濫用というより一般的な理論 によって果し得るのである。  このような解釈は、実定法的にも跡づけられ、会社の目的の法的機能に対し正しい位置を与えるものと考えられる が、石井教授は、右解釈がドイッ株式法における判例通説の立場と一致することを指摘した上で、我が会社法の解釈 としては、 ① 公益法人と営利法人たる会社とでは、定款に定める目的の法律上の意義があまりにも相違するこ と、 ② 我が国においては、ドイツと異り、定款の匿的が相当具体的に定めることを要するとされそのように運用       ︵王︶ されてきたことをあげて、そのような解釈に対して否定的態度を示される。  然し、法人における定款所定の躍的の営む機能は、民法における場合と商法における場合とでは、それを異にする ことはドイツ法においても見られる通りであり、権利能力の制限から取締役の職務執行上の責任を生ぜしめるに止る ものに転化していくことは、アメリカにおける能力外行為の原則の衰退過程においても見られ、法解釈として越え難 い瞳害とは言い得ない。  また、ドイツと我国とにおける会社の目的の記載及び運用の差異については、ドイツ憾株式法第一六条三項二号    会社の権利能力の目的にょる制限の可否について       二九

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   東洋法学      

二一〇 は、会社の目的として単に﹁企業の目的﹂の記載を要求するにとどまっていたが、これに対し、新法第≡二条三項二 号は、定款記載の会社の目的に関して﹁企業の対象、産業並びに商事企業の場合には生産され又は取扱われる生産品 および商品の種類を詳記することを要する。﹂と規定し、我が国における会社の員的の記載及びその運用の実態と同 一になったことは、その差異が前述の解釈上本質的な障害ではなかったことを示し、現在においては障害は存在しな いと言い得るのである。  以上の考察を綜合した場合、会社の権利能力は、定款所定の目的によって制限されないと解するのが妥当であると いう結論に至る。 ω 石井照久 ﹁会社の権利能力﹂ 法学協会雑誌七六巻二号一八一∼一八三頁。

︵本学助手︶

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