子どもの音楽教育に関する一考察∼「音楽教育の会
」の歌集を手がかりとして∼
著者
今泉 良一
著者別名
IMAIZUMI Ryouichi
雑誌名
東洋大学大学院紀要
巻
54
ページ
267-278
発行年
2017
URL
http://id.nii.ac.jp/1060/00009738/
子どもの音楽教育に関する一考察 ― 267 ― 要旨:本稿の目的は、保育現場における質の高い音楽教材・歌唱曲の選択という課題に対し て、「音楽教育の会」の実践・事例・教材曲を紹介し、考察を試みることである。1957年に 発足した「音楽教育の会」は、日本における音楽教育の新しい内容と方法を確立するため民 間教育団体である。年代の異なる3つの歌集に着目し、掲載されている曲目を比較検討し た。曲にどのような思いを込めるのか、何を感じ、何を味わうのか、子どもの育ちとどのよ うにつながるのか、保育者自身の十分な理解が必要であり、子どもが「歌う喜び」を感じら れるような教材の研究、保育者の援助が求められてくる。音楽教材の選択と子どもの育ちは、 保育者の意識によるところも大きい。 キーワード:音楽教育の会、教材研究、子ども
1、研究背景
1957年に発足した「音楽教育の会」は、日本における音楽教育の新しい内容と方法を確立 するための民間研究団体である。丸山亜季(1923~2014)は、1950年代より、群馬県の島小 学校や群馬・埼玉の保育所を中心に教育・保育の実践に関わり、また1970年からは「音楽教 育の会」共同研究者として、教材歌曲の作曲にも取り組んだ。林光(1931~2012)は、1972 年から「音楽教育の会」の全国大会に参加し、共同研究者として携わるようになった。一 方、斎藤喜博(1911~1981)は、島小学校を中心として特色ある授業を実践し、丸山と《大 きな石(島小行進曲)》(1959年作曲)などの教材歌曲の創作に取り組んだ。 しかしながら、「音楽教育の会」で紹介された歌唱教材における音楽的特色について論じ た研究はない。そのため、研究の必要があると考える。子どもの音楽教育に関する一考察
~「音楽教育の会」の歌集を手がかりとして~
福祉社会デザイン研究科ヒューマンデザイン専攻博士前期課程2年
今泉 良一
2、研究方法
・「音楽教育の会」に関する文献から、会の概要や設立背景についてまとめる。 ・「音楽教育の会」発行の歌集を比較検討する。 「音楽教育の会」からは歌集『かがやく歌』が発行されているが、各地域独自の歌集とし て、群馬の『授業のための歌曲集』、東京の『たんぽぽひらいた』、京都の『つめ草のうた』、 大阪の『入道雲』などが挙げられる。本論文では、林光、米沢純夫(1971)1が「音楽教育 の会」の歴史上大きな功績を果たし、会の発展に寄与したと述べている「群馬」・「東京」の 歌集を年代順にA,B,Cの3群に分け、取り上げる。 A群『授業のための歌曲集』16冊(群馬音楽教育の会編・昭和42年~昭和59年発行)、 B群『たんぽぽひらいた』全4冊(東京音楽教育の会編・昭和55年~平成5年発行)、 C群『かがやく歌』全2冊(音楽教育の会編・平成10年発行) これら3群の歌集の曲目をそれぞれ比較検討し、掲載されている作品を考察する。 ※A、Bの歌集はそれぞれ会員のみに頒布されているものである。Cの歌集は「音楽教育の 会」のホームページから購入でき、一般の人でも入手が可能である。また、Aの歌集は小松 ゆり氏から提供されたものである。3、結果
(1)「音楽教育の会」の設立背景 「音楽教育の会」の設立には、日教組(日本教職員組合)における第四次集会と第五次集 会とが大きくかかわっている。木村(1993)2によれば、日教組が結成された1947年当初は、 経済闘争と政治闘争に明け暮れていた。しかし1951年頃から、教育研究活動の機運が高ま り、教研大会(のちの教研集会)が開催されることとなった。 1955年、日教組第四次教研集会の分科会において「音楽」がはじめて取り上げられ、「流 行歌と学校唱歌の問題」などが指摘された3, 4。これは、後に、「教科書に載っている教材へ の疑問」へと発展した。また、「音楽教育の会」の設立に携わることになる音楽評論家の園 部三郎は、この時より全国教研に講師として参加している。 1956年、日教組第五次教研集会においては、「真の音楽教育は生き生きした感動や人間的 真実を基盤としなければならない」ことを中心として、技術と感動の問題、音楽教師の現場 での苦悩などが話し合われ5、土田貞夫氏と分科会出席者を中心とし、「日本音楽創育の会」 が発足された。 1957年、第六次教研集会には、「日本音楽創育の会」の主要メンバーが参加し、教研集会 後の「音楽創育の会」臨時集会には園部三郎も参加している。このような過程の中で、戦後子どもの音楽教育に関する一考察 ― 269 ― 作られた新指導要領(1958年)が一連の技術と楽典だけを強く尊重していることを明らかに し、音楽とは一体何かという基礎討論を行っていた。 他方、芸術教育関係の民間教育団体によって「第一回芸術教育全国連合研究集会」が計画 され、その呼びかけに応じる形で、園部三郎らによって「音楽教育の会」が結成された。発 起人として、現場教師の友利明良、田香隆、久保あつ、杉山喜代子、中村埋子、小倉麗子、 作曲家の中田喜直、間宮芳生、林光、渡辺久春、評論家の土田貞夫、園部三郎、藤田圭雄の 名が挙がっている。教研系から出発した「日本音楽創育の会」と、芸術教育連合会を足掛か りとして出発した「音楽教育の会」と二つが並行的に進むこととなったが、会員の大半は双 方の会に属しており、研究の目的や方向性もほぼ同様ということで、1958年、この二つの会 は合併を宣言し、名称は「音楽教育の会」とされた。このような経緯を経て、音楽の専門家 や学者が現場の教師と一体となって教育研究を進める民間教育団体が成立した。 (2)「音楽教育の会」の概要 1957年に発足した「音楽教育の会」は、技術偏重に陥りがちであった当時の小学校におけ る音楽授業を批判し、新しい内容と方法を確立していった民間教育団体である。 「音楽教育の会」の全国大会は、1956年より毎年開かれている。「音楽教育の会」機関紙 「音楽教育」において実践報告が多く出されている群馬・東京・大阪を取り上げ、開催され た年を抜粋すると表1のようになる。 表1 全国大会 歩み(群馬・東京・大阪)6 回 年度 開催地 大 会 テ ー マ 1 1957 東 京 (芸術教科各団体の合同集会) 2 1957 東 京 (以後、単独で開催) 4 1959 群 馬 生活と感動 6 1961 東 京 生命力を育てる中で技術をどうするか 8 1963 群 馬 子どもの音楽する力をどう育てるか 14 1969 東 京 ふたたび音楽教育とはなにか 15 1970 東 京 教育の本質に根ざした音楽の授業の追求 17 1972 大 阪 教材曲の発見と授業の創造 18 1973 群 馬 音楽教育の方向性と質 リズムの創造・発見 25 1980 東 京 子どもといっしょに育つ 27 1982 大 阪 人間をまっすぐ育てる音楽・教室
31 1986 群 馬 われら いま うたう 32 1987 東 京 風に向かって歩くうた 37 1992 東 京 子どもと共に音楽の喜びを 38 1993 大 阪 子どもが育つ教室の歌 47 2002 群 馬 ゆくて示す 光の歌 48 2003 東 京 音楽は生きる喜び 49 2004 大 阪 みどりなす 歌の野原へ 53 2008 群 馬 今日を創り 明日を創る 54 2009 東 京 生きる喜びをうたう 60 2015 群 馬 ひとみの中に輝く歌 61 2016 大 阪 うたは光 うたは力 全国大会は全62回中、群馬では7回、東京では10回、大阪では5回開催されている。 2017年7月、「音楽教育の会」第62回全国大会として、「今を拓く希望の歌」というテーマ の下、共同研究者としてピアニストの志村泉、ゲストに作曲家でピアニストの寺嶋陸也が参 加し、京都において開催された。これまで共同研究者として名を連ねてきた林光(1931-2012)、丸山亜季(1923-2014)が逝去した後、林らの曲を演奏曲として取り上げていた志村 や寺嶋が活動を引き継いでいることが分かる。開催要項を見ると主な内容として、「参加者 みんなで歌う」「保育・授業の実践」「リズム表現」「ピアノ演奏」が挙げられている。「音楽 教育の会」の活動の特徴の一つとして、保育または授業で実践した歌唱活動の音源を持ち寄 り、話し合うという方法が取り入れられている。 「音楽教育の会」7のあゆみによれば、 1956年 芸術教科各団体の合同集会を奈良で開催 1957年8月4日 「音楽教育の会」として発足 1958年「音楽教育の会」「日本音楽創育の会」合併 1965年4月17日 機関誌「音楽教育」8 と、記されている。 「音楽教育の会」の指標9を抜粋すると、 ・私たちは、日本のすべての子ども、青年たちが自分の手で真実の音楽美に触れ、ゆたかに
子どもの音楽教育に関する一考察 ― 271 ― 自己を表現できる力をもてるようにつとめる。 ・私たちは、現代社会において音楽がはたしている役割とその動向に深い関心を向けると同 時に、日本の音楽文化の創造と発展に積極的にかかわっていく ・以上の立場から、詩人、音楽家、学者、研究者と教師・保育士との新しい協力関係を生み 出し、研究運動を進めていく。 と記されており、前述の全国大会をはじめとして保育・授業の実践を通して、教育方法や 教材曲の検討がなされている。 (3)3群の歌集の比較 (3) 群の歌集の比較 表 「 群の歌集の比較」 作曲者・作詞者等の内訳 歌集A群 歌集B群 歌集C群 わらべうた 曲 曲 曲 斎藤喜博作詞 丸山亜季作曲 曲 曲 曲 斎藤喜博以外作詞 丸山亜季作曲 曲 曲 曲 林光作曲 曲 曲 曲 外国曲(林光訳詞) 曲 曲 曲 外国曲(林光以外訳詞) 曲 曲 曲 その他 曲 曲 曲 合計曲数 曲 曲 曲 図 3群の歌集の比較 A群『授業のための歌曲集』 ・多種多様な外国曲(林光以外の訳詞)が掲載され、斎藤が作詞に関与した曲も多い。歌 集のまえがきやあとがきには、それぞれ教材曲による実践報告が掲載されており、群馬に おける実践と関連した曲集であるということが分かる。 ・第 集では「小学校低学年から中学校までを対象」としているが、第 集では「低学年 用のものは幼稚園にも好適」と記され、第 集や第 集などでは保育所での実践報告がな 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 わらべうた 斎藤作詞㻌 丸山作曲 斎藤以外作詞㻌 丸山作曲 林作曲 外国曲(林訳詞) 外国曲(林以外訳詞) その他 A(全241曲) B(全210曲) C(全113曲) (3) 群の歌集の比較 表 「 群の歌集の比較」 作曲者・作詞者等の内訳 歌集A群 歌集B群 歌集C群 わらべうた 曲 曲 曲 斎藤喜博作詞 丸山亜季作曲 曲 曲 曲 斎藤喜博以外作詞 丸山亜季作曲 曲 曲 曲 林光作曲 曲 曲 曲 外国曲(林光訳詞) 曲 曲 曲 外国曲(林光以外訳詞) 曲 曲 曲 その他 曲 曲 曲 合計曲数 曲 曲 曲 図 3群の歌集の比較 A群『授業のための歌曲集』 ・多種多様な外国曲(林光以外の訳詞)が掲載され、斎藤が作詞に関与した曲も多い。歌 集のまえがきやあとがきには、それぞれ教材曲による実践報告が掲載されており、群馬に おける実践と関連した曲集であるということが分かる。 ・第 集では「小学校低学年から中学校までを対象」としているが、第 集では「低学年 用のものは幼稚園にも好適」と記され、第 集や第 集などでは保育所での実践報告がな 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 わらべうた 斎藤作詞㻌 丸山作曲 斎藤以外作詞㻌 丸山作曲 林作曲 外国曲(林訳詞) 外国曲(林以外訳詞) その他 A(全241曲) B(全210曲) C(全113曲)
A群『授業のための歌曲集』 ・多種多様な外国曲(林光以外の訳詞)が掲載され、斎藤が作詞に関与した曲も多い。歌集 のまえがきやあとがきには、それぞれ教材曲による実践報告が掲載されており、群馬にお ける実践と関連した曲集であるということが分かる。 ・第1集では「小学校低学年から中学校までを対象」としているが、第2集では「低学年用の ものは幼稚園にも好適」と記され、第8集や第16集などでは保育所での実践報告がなされ ている。このことから、当初は小学生を対象としていたが「群馬音楽教育の会」における 実践により保育所においても取り入れられるようになった。 B群『たんぽぽひらいた』 ・外国曲について、「古語を使わない、かざりことばは使わない」10という林の理論に沿って 新たに訳詞されている。 C群『かがやく歌』 ・教材曲の精選や楽譜浄書11がなされており、コードネームやピアノ伴奏(一部)が追加さ れ、活用しやすい。 ・音楽教育の会設立当初は、わらべうたの実践を出発点としていたため、歌集Aではわらべ うたが多く掲載されていたが、歌集B、歌集Cでは減り、林光作曲のものが増えた。林光 が昭和47年から共同研究者として携わり、音楽教育の会と並行して様々な歌を創作してい たことに因るものと思われる。 ・林の代表作《森は生きている》は、3群の歌集すべてに掲載されており、現在でも保育所 児に歌い継がれ、好まれている12。 (4)楽曲分析 A、B、Cの3つの歌集群に共通して掲載されている主な楽曲(外国曲を除く)を取り上 げ、作詞者、作曲者、拍子、音域、調性、小節数の6つの項目から分析すると表3のように なる。音域、調性の表記はドイツ語音名とし、小節数は前奏及び間奏は除き、繰り返しを含 むものとした。 なお、「音楽教育の会」の曲と、教育現場で一般的に歌われていた曲とどのように異なる のかを示すために、『小学校学習指導要領(2008)』の共通教材の内容を、表4に示した。
子どもの音楽教育に関する一考察 ― 273 ― に拍子 が変わる 高くかかげよ 木村次郎 丸山亜季 I 1~J2 )GXU 旋 律 の 音 程が オ ク タ ー ブ 離 れ て い る箇所が か所ある 『 授 業 の た め の 歌 曲集』では 森は生きている 廣渡常敏 林光 H 1~ILV2 (GXU 秋の空 まどみちお 渡辺茂 I 1~G2 )GXU 『 た ん ぽ ぽ ひ ら い た 』 で は *GXU 小鳥とぶどう 中村欽一 丸山亜季 F 1~I2 )GXU 旋 律 の 音 程が オ ク タ ー ブ 離 れ て い る箇所が か所ある 家の右座の 木村次郎 丸山亜季 F1~F2 )GXU 途 中 IPROO に 転調 伝説の広場の歌 林光 林光 G 1~H2 *GXU 森から森へ 中江隆介 関忠亮 G 1~H2 *GXU 利根川の歌 斎藤喜博 丸山亜季 G 1~H2 *GXU 表 共通教材(小学校第 学年および第 学年)の一例 曲名 作詞者 作曲者 拍子 音域 調性 小節数 備考 日のまる (第 学年) 高野辰之 岡野貞一 F 1~D &GXU 虫のこえ (第2学年) 文部省唱歌 F 1~F2 &GXU ・表 を基に掲載曲の特徴をあげると、 「音域が広い」 「 の曲が多い」 「音程の幅が広い」 「転調や変拍子がある」 「小節数を見ると曲の形式も様々である」 ということが分かる。表 の共通教材の一例と比較するとその違いが感じられる。 特に音域では表 を見ると最高音が「ILV2」の曲もあることが分かる。
・C群『かがやく歌』には、「この歌曲集は、結果として丸山亜季さん、林光さんの作品が 多くなりました。お二人の歌曲は、そのほとんどが演劇のなかの歌として、あるいは純粋 表 三つの歌集群共通の掲載曲の分析 曲名 作詞者 作曲者 拍子 音域 調性 小節数 備考 たんぽぽひらいた こばやしけいこ 丸山亜季 I 1~HV2 (VGXU 8 つくしがでたよ 不詳 不詳 G 1~H2 *GXU チポリーノの冒険 木村次郎 丸山亜季 G1~H2 *GXU さくら・さ く ら ん ぼ 保 育 園 の 園歌 『 た ん ぽ ぽ ひ ら い た』ではF GXU 機関車のうた 保坂純子 丸山亜季 G1~H2 *GXU 旋 律 の 音 程が オ ク タ ー ブ 離 れ て い る箇所が か所ある はる さなだあきこ 林光 G 1~I2 )GXU ホップステップジ ャンプくん 大井数雄 丸山亜季 G1~G2 *GXU タ ン タ の リズム 手まわしオルガン ヤンマリク(大 井数雄訳) 丸山亜季 G1~G2 *GXU と が 交 互 に 現 れ る 変 拍子 そんごくう 深沢一夫 間宮芳生 G1~H2 *GXU か所のみ の小節 がある みんなでおどろう 大井数雄 丸山亜季 G1~G2 'GXU 旋 律 の 音 程が オ ク タ ー ブ 離 れ て い る箇所が か所ある ポランの広場 宮沢賢治 丸山亜季 H1~ILV2 $GXU タ ン タ の リズム 星めぐりの唄 宮沢賢治 丸山亜季 F 1~I2 DPROO 途 中 C GXU に 転 調 ちびすけうさぎの カルロス・ロサ- ノ 中村欽一 丸山亜季 H 1~H2 $GXU 夏の樹 丸山亜季 林光 G 1~I2 &GXU 冬の終わりの 木村次郎 丸山亜季 HV1~I2 (VGXU 途 中 FPROO に 転調 途 中 か ら
・表3を基に掲載曲の特徴をあげると、 「音域が広い」 「 の曲が多い」 「音程の幅が広い」 「転調や変拍子がある」 「小節数を見ると曲の形式も様々である」 ということが分かる。表4の共通教材の一例と比較するとその違いが感じられる。 特に音域では表3を見ると最高音が「fis2」の曲もあることが分かる。 ・C群『かがやく歌』には、「この歌曲集は、結果として丸山亜季さん、林光さんの作品が 多くなりました。お二人の歌曲は、そのほとんどが演劇のなかの歌として、あるいは純粋 の創作曲として作曲されたもので、教材用につくられた歌曲ではありません。しかし、私 たちはその音楽の魅力に強く惹かれ、少しずつ教材にしてきました。そして、実践を積み 上げてきた結果、これらの歌曲は保育や教育の場で、子どもが瞳を輝かせてうたう歌にな に拍子 が変わる 高くかかげよ 木村次郎 丸山亜季 I 1~J2 )GXU 旋 律 の 音 程が オ ク タ ー ブ 離 れ て い る箇所が か所ある 『 授 業 の た め の 歌 曲集』では 森は生きている 廣渡常敏 林光 H 1~ILV2 (GXU 秋の空 まどみちお 渡辺茂 I 1~G2 )GXU 『 た ん ぽ ぽ ひ ら い た 』 で は *GXU 小鳥とぶどう 中村欽一 丸山亜季 F 1~I2 )GXU 旋 律 の 音 程が オ ク タ ー ブ 離 れ て い る箇所が か所ある 家の右座の 木村次郎 丸山亜季 F1~F2 )GXU 途 中 IPROO に 転調 伝説の広場の歌 林光 林光 G 1~H2 *GXU 森から森へ 中江隆介 関忠亮 G 1~H2 *GXU 利根川の歌 斎藤喜博 丸山亜季 G 1~H2 *GXU 表 共通教材(小学校第 学年および第 学年)の一例 曲名 作詞者 作曲者 拍子 音域 調性 小節数 備考 日のまる (第 学年) 高野辰之 岡野貞一 F 1~D &GXU 虫のこえ (第2学年) 文部省唱歌 F 1~F2 &GXU ・表 を基に掲載曲の特徴をあげると、 「音域が広い」 「 の曲が多い」 「音程の幅が広い」 「転調や変拍子がある」 「小節数を見ると曲の形式も様々である」 ということが分かる。表 の共通教材の一例と比較するとその違いが感じられる。 特に音域では表 を見ると最高音が「ILV2」の曲もあることが分かる。
・C群『かがやく歌』には、「この歌曲集は、結果として丸山亜季さん、林光さんの作品が 多くなりました。お二人の歌曲は、そのほとんどが演劇のなかの歌として、あるいは純粋 に拍子 が変わる 高くかかげよ 木村次郎 丸山亜季 I 1~J2 )GXU 旋 律 の 音 程が オ ク タ ー ブ 離 れ て い る箇所が か所ある 『 授 業 の た め の 歌 曲集』では 森は生きている 廣渡常敏 林光 H 1~ILV2 (GXU 秋の空 まどみちお 渡辺茂 I 1~G2 )GXU 『 た ん ぽ ぽ ひ ら い た 』 で は *GXU 小鳥とぶどう 中村欽一 丸山亜季 F 1~I2 )GXU 旋 律 の 音 程が オ ク タ ー ブ 離 れ て い る箇所が か所ある 家の右座の 木村次郎 丸山亜季 F1~F2 )GXU 途 中 IPROO に 転調 伝説の広場の歌 林光 林光 G 1~H2 *GXU 森から森へ 中江隆介 関忠亮 G 1~H2 *GXU 利根川の歌 斎藤喜博 丸山亜季 G 1~H2 *GXU 表 共通教材(小学校第 学年および第 学年)の一例 曲名 作詞者 作曲者 拍子 音域 調性 小節数 備考 日のまる (第 学年) 高野辰之 岡野貞一 F 1~D &GXU 虫のこえ (第2学年) 文部省唱歌 F 1~F2 &GXU ・表 を基に掲載曲の特徴をあげると、 「音域が広い」 「 の曲が多い」 「音程の幅が広い」 「転調や変拍子がある」 「小節数を見ると曲の形式も様々である」 ということが分かる。表 の共通教材の一例と比較するとその違いが感じられる。 特に音域では表 を見ると最高音が「ILV2」の曲もあることが分かる。
・C群『かがやく歌』には、「この歌曲集は、結果として丸山亜季さん、林光さんの作品が 多くなりました。お二人の歌曲は、そのほとんどが演劇のなかの歌として、あるいは純粋 に拍子 が変わる 高くかかげよ 木村次郎 丸山亜季 I 1~J2 )GXU 旋 律 の 音 程が オ ク タ ー ブ 離 れ て い る箇所が か所ある 『 授 業 の た め の 歌 曲集』では 森は生きている 廣渡常敏 林光 H 1~ILV2 (GXU 秋の空 まどみちお 渡辺茂 I1~G2 )GXU 『 た ん ぽ ぽ ひ ら い た 』 で は *GXU 小鳥とぶどう 中村欽一 丸山亜季 F 1~I2 )GXU 旋 律 の 音 程が オ ク タ ー ブ 離 れ て い る箇所が か所ある 家の右座の 木村次郎 丸山亜季 F 1~F2 )GXU 途 中 IPROO に 転調 伝説の広場の歌 林光 林光 G 1~H2 *GXU 森から森へ 中江隆介 関忠亮 G1~H2 *GXU 利根川の歌 斎藤喜博 丸山亜季 G 1~H2 *GXU 表 共通教材(小学校第 学年および第 学年)の一例 曲名 作詞者 作曲者 拍子 音域 調性 小節数 備考 日のまる (第 学年) 高野辰之 岡野貞一 F 1~D &GXU 虫のこえ (第2学年) 文部省唱歌 F 1~F2 &GXU ・表 を基に掲載曲の特徴をあげると、 「音域が広い」 「 の曲が多い」 「音程の幅が広い」 「転調や変拍子がある」 「小節数を見ると曲の形式も様々である」 ということが分かる。表 の共通教材の一例と比較するとその違いが感じられる。 特に音域では表 を見ると最高音が「ILV2」の曲もあることが分かる。
・C群『かがやく歌』には、「この歌曲集は、結果として丸山亜季さん、林光さんの作品が 多くなりました。お二人の歌曲は、そのほとんどが演劇のなかの歌として、あるいは純粋
子どもの音楽教育に関する一考察 ― 275 ― っているのです」13と書かれている。米沢(1990)の言葉を借りればそれは「三拍子とか 短調を教えるためにというように思いつきでつくられたもの、安易な創作曲はまったくな く、(中略)質の高い教材と検証されたもの」14であると言う。
4、結論および考察
A、B、Cの三群の歌集の中には、大人から見れば一見高度な教材に感じられるものもあ るが、子どもにとっては理屈抜きに感覚に訴えるものなのだろう。これについて丸山(1982) は、「もともとオトナを対象に作られたむずかしい歌を、低学年どころか保育園児が次から 次へうたうなんて、子どもの発達段階を全く無視しているというわけだ。“段階” という一 つの枠組みをふりかざして自分の仕事をその中に解消し、現実に歌っている子どもたちの全 身からあふれてくる喜びと、その歌のたしかさ、イメージの豊かさを、見ることもできない 感覚の貧しさは、それが教師であるだけに恐ろしいことだ」15と指摘している。 子どもとともに過ごす中で、「発達」という概念に囚われすぎるのではなく目の前にいる 子どもたちの姿を見極めていくこと、生活や遊びの積み重ねの中での育ちを見通して教材研 究を行うことが大切ではないかと考える。 歌集の中には音域が広く子どもが歌唱するには難しい曲もある。しかし、高い音を発する とある種の興奮を覚えたり、離れた音程を歌う時に心地よさを感じるのではないだろうか。 「正しい音程で歌う」ことが最終的な目的ではなく、曲を通して様々なリズム、音程、和声 進行に触れ、歌を歌うことそして音楽そのものへの興味がより高まってくるのであろう。例 えば劇中歌を教材として取り上げる場合、ストーリーの世界観や登場人物になりきって歌う ことを楽しむことができる。また「ことば」のリズムがより意識された旋律にも魅力が隠さ れていると考えられる。無藤(2011)は領域「表現」の根底には「感動」があると述べてい る16。それは歌詞の内容のみならず、音程や音価、調性、リズムなど子どもが本能的に「楽 しい」「心地よい」と思えることに裏付けられるものだと考えられる。 歌集の掲載曲は、旋律のみが書かれたいわゆる一段譜である。C群の「かがやく歌」では コードネームがついているが、伴奏は保育者に委ねられている。収録されている曲は一般向 けにCDなどが発売されていることは少ないため、音源に頼ることは難しく、実際の保育現 場で歌い継がれていたものを耳で聴き覚えながら、テンポや伴奏などを習得していった保育 者が多数であろう。伴奏とは本来、うたをリードする役割があるので、ピアノを得意としな い保育者は、子どもの姿に応じて旋律のみを弾くだけでも、十分な伴奏であると考える。 保育における音楽教材の選択と子どもの育ちは、保育者の意識によるところも大きい。 「子どもたちにとって必要なのは、まず子どもの内面を豊かにする教材、そして保育者の 豊かな感性、子どもと共感しながら子どもの世界を広げていく保育者としての力、その音楽 性なのだ」17(丸山)、「教材をどうえらぶかということは、その教材になにを見るか、それをどう読むかということと、切りはなせない」18 (林)、「一つの歌曲教材によって子どもや教 師は、新しい高い世界へと移行し変革していく。それとともに、ちがう教材によっても教師 や子どもたちは新しい世界を発見していく」19(斎藤)という言葉の通り、曲にどのような 思いを込めるか、何を感じ、何を味わうのか、子どもの育ちとどのようにつながるのか、保 育者自身の十分な理解が必要であり、子どもが「歌う喜び」を感じられるような教材の研究、 保育者の援助が求められてくる。人的環境としての保育者の姿勢、物的環境としての教材曲 がよりよく合致した時にこそ、学びの意欲が高まり、子どもと保育者の間に「感動」が生ま れてくるのであろう。 今後の課題として、「音楽教育の会」における実践と当時の保育に関する社会情勢との関 係を明らかにすること、また斎藤公子著『さくら・さくらんぼのリズムとうた』(1980)に 見られるような斎藤公子の保育における音楽の内容との関連も検討材料としたい。 小松ゆり氏は、貴重な資料として『授業のための歌曲集』を提供して下さいました。心よ り感謝申し上げます。 1 林光、米沢純夫(1971)「音楽教育研究の前進のために」『音楽と教育』第122号、pp1- 4 2 木村信之『昭和戦後音楽教育史』音楽之友社(1993)pp205-206 3 宮原義人 “音楽教育の会はどのように歩んできたか”「教育評論(177号)」p64(1965) 4 “研究のあゆみをもう一度ふりかえって考えよう”「音楽と教育(107号)」p5(1969) 5 山村公治 “「音楽教育の会」の略史”「音楽と教育(100号)」p4(1969) 6 「音楽教育の会」のHPより(http://ongaku-kyoikunokai.com/)(2017年8月19日) 7 「音楽教育の会」のHPより(http://ongaku-kyoikunokai.com/)(2017年8月19日) 8 国立国会図書館(東京)では、『音楽と教育』という雑誌名で1966年から1976年まで所 蔵されている。 9 「音楽教育の会」のHPより(http://ongaku-kyoikunokai.com/)(2017年8月19日) 10 林光訳(1997)『シューベルト歌曲集』音楽教育の会 11 一般的に「手書き譜を出版用に清書する作業」を指す。 12 音楽教育の会機関誌『音楽教育』や、林光・丸山亜季・米沢純夫編集(1990)『私たち の音楽教育』一ツ橋書房から読み取れる。 13 音楽教育の会常任委員会(2013)『かがやく歌』p134 14 林光・丸山亜季・米沢純夫編集(1990)『私たちの音楽教育』p250 15 丸山亜季(1982)“子どもの発達と歌”『授業のための歌曲集第15集』p2 16 無藤隆(2011)『保育の学校第2巻』フレーベル館
子どもの音楽教育に関する一考察
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17 音楽教育の会機関誌(2003)『音楽教育』2.3月合併号 音楽教育の会 p6 18 林光(1990)『音楽の学校』一ツ橋書房 p214
Summary: The purpose of this thesis is to introduce practices, examples, cases, and music
used as teaching materials, regarding the problem of selecting high-quality music teaching materials and songs at child care sites, and to attempt to examine it. The “Association of Music Education” is a private educational organization that was established in 1957 to criticize the current situation of music classes that tended to overemphasize techniques and establish new content and methods. It focused on three anthologies from different ages and compared and evaluated the published musical numbers. It is necessary for the child care workers to have a full understanding regarding what kind of feelings will be expressed in the song, what the children will feel, what they will experience, and how it will connect with their growth. Research of teaching materials which children can feel the “joy of singing” and the support of child care workers are required. The selection of music materials and the children’s growth also greatly depends on the awareness of the child care workers. Keywords: Association of Music Education, teaching material research, children