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<論文>リアルタイム・マーケティングに関する方法論的一考察 利用統計を見る

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(1)

論的一考察

著者

塚田 朋子

著者別名

Tsukada Tomoko

雑誌名

経営論集

47

ページ

89-104

発行年

1998-03-24

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00005625/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

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経 営 論 集 第47 号 (1998 年3 月 )

リ ア ル タ イ ム・ マ ー ケテ ィ ン グに 関 す る 方 法 論 的 一 考察

塚 田 朋 子

はじ めに1 新 製品 開発に 関 す るリアル タイ ム・ マ ーケ ティン グの 提案2 新製 品 開発 ;か ば ん・袋物業 界を 例に2 −1 我が国 フ ァ ッシ3 ン業 界に おけ るかば ん・袋物 業 界 の位置 付け と市場 の動 向2-2 か ば ん・ 袋物業 界の新製品 開発2 −2 −1 [新 製品]及 び「新 製品 開発とい う行為 」 の概念 規定2 −2 −2 かば ん・袋物業 界に おけ る新 製品 開発3 我 が 国かば ん ・袋物業 界に おけ る リ アルタイ ム・マ ー ケティ ングの 現状 と今後 の方向 性3 −1 特に 機 能性を 重視す る製品 の開発に おい てRM が必 要で ある理 由 −9 当該 業 界に おけ るRM の実 践の具体 的方 向 むすび 89 は じ め に 科 学 哲学 の分 野に お い ては 、「カ ール ・ ポパ ー(KarlR.Popper ) の批判 的 合理 主義 」と、そ れに 隣接 す る立場 及 び批 判 的合 理 主義 の陣 営に対 抗す る諸 見 解 の論 争期 が続 い てお り、 哲学 全 体を 見れ ば、「今まで 学 問 の辺 境に 位 置し てい たに すぎ なか った 科学 論 の研 究 が学 問 の最 前線 へ躍 り出 て、科 学 論 の ルネ サン ス と も呼ば れる状 況を呈 して い る丿 と ともに 、 こ うした 科 学論 の論 争に より触発 さ れた 社会科 学 の研 究 者に よる 方法論 論争 も継 続し てい る。 我 々 の分野 で は、 周知 の ハ ント(ShelbyD.Hunt ) の先 駆 的業 績2)の後80年代 前半 に1 つ のピ ークを 迎 え たわけ だ が 、そ の後 も着 実な 成果 が 生 み 出さ れてい る3)。 と ころが、 科 学 哲学 者 の 諸見解 を マ ーケテ ィン グ研究 者 が活 か す とい うそ のこ と自 体、 さら に言 えば 、 論理的 に 敗北 し た 方 法論的 立場 に立 脚せ ずに マ ーケテ ィン グの研 究 を 続け ると は具 体的 にど うい うこと かと い う点 に 、 我 々の分野 の大多 数 の研 究者 は疑 問 を感 じ た ままで あ るか もし れな い。 そ し て また、 我 々 の分 野 の方 法論 研究者 は、 とりわけ 後 者に 対 す る具 体的 な答 えを 出 して いな い よ うに も 思え る。 我 々は、 こ うした 疑 問に 答 える ために は、 マ ーケテ ィン グ実 践 の諸要 素 に関 す る方法 論 的詳察を 試 み る必要 が あ る と考え てい る。 具 体的 に は、本 稿 で我 々は 、新 製 品開 発 に関 す る新し い 問題提 起 に 、科 学哲 学的 論 争 の成 果 を 踏まえ て どの よ うに アプ ロ ーチ し得 る のか を考 え る。 すな わ ち 「科学 とい う ゲー ムがし た が うべ きル ール」 を 問題 とし て扱 っ た ポ八 二が、]知 を 成長 さ せ る た めに は わ

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れ わ れは どの よ うな道 を歩 んでい っ たら よい のか とい う方法 論(methodology) 、あ るい は経 済政 策 との類 比でい え ば知 識 を 成長 させてい く ため には ど うす れ ば よい のか とい う政策 論 の問題 」4)とし て 定式 化し た、 社 会 科学を 含 む、科 学的 研究 が 従 うべ き諸 規定 を 基に 、我 々はマ ーケテ ィン グ技 術 者 (企 業 のマ ーケテ ィ ン グ担当者や コンサル タント 等 マ ー ケテ ィン グ実践 者)に とっ ての実 践的 有 用 性を 、学 科 の使 命 とす る もの とし て のマ ー ケテ ィン グ の1 つ の要 素 につ い て一 本稿 では 新製 品 開 発に つい て一 考え よ うと思 う。 さ て、 ハ ント は、76年 の著書 の序文 にお い て 「2 、3 年 毎 に どこか の グル ニプ が、 マ ー ケテ ィ ン グ問題 解決 の 鍵 であ る こ とを 唄 った道 具箱を もって 登 場す る」 と主張 し、 こ うし た道 具箱 は研究 を 進 め る上で 価 値あ る もので はある が、そ の提唱 者は 「し ば し ば売 り込 み 過ぎで あ り誇 大な 約束を し が ちであ る」 と述 べ た5)。誇 大な 約束 とい う比 喩は 、理 論研 究 の遅 れ た分 野に特 徴的 な 問題 点であ る とし て も、 学 問的 流行 の存 在 自体は 他 の分野 に も共 通し てtヽる よ うで あ る。 例 えば ポ パ ーは 、 タ ー ン(Thomass.Kuhn )の見 解6)へ の批 判を こめ て、「科 学に は 流 行があ り、ある 科学 者 たち ぱあ る画 家 や 音楽家 が そ うで あ る のとほ とん ど同 じくら い待 っ て まし た とば か り時流 に 乗る」 が 、流行 や 時 流 は 「鼓舞 さ れ るべ き でな く、 抵抗 され るべ きであ る」 と述 べ てい る7)。 こ の、学 問 上 の流 行に 対 する 抵抗 が必 要であ る とい う見解 は 、 マ ー ケテ ィ ン グ技 術 者 が 、 常 に 「今 の、現 実 の」 問題 と直面 し てい るこ とを考 え る時 と りわけ 重 要 な 意味を もつ と 思わ れる。 本来 、い か な る分野 に おい て も、理 論研 究を 進 め るに当 た っ ては 、知 識を成 長 さ せる こ とが 不可 能 だと論 理 的に 証 明 さ れてい る方 法論に 依 拠す る こと はで き ない は ず である。 し かし こ うした 論理 は承 諾し て も、マ ー ケテ ィン グとい う学 科 の性格 上、「今 の、現 実 の」問題 に対 し て提案 される 問題 解決 案を一 刀両 断 で否 定 する恐 れ のあ る方法 論は コン セン サ スを 得に くい のか もし れ ない。 実際 、 我 々の分 野に おい ては 、政 治的 に はい ず れに せ よ論 理的 に は敗 北を 喫 し た方法 論に 立脚 す る研究 成 果 が主 流 であ り、 そ し てそ の根 底に は、 新しい 道 具 箱あ るい は 流 行を 追い 求め はす るが 、そ の論 理 的 整合 性 の批 判的 検 討 とい った作 業は 軽 視す る態 度が あ る よ うに 思え る。 確か に、 我 々 の分 野は 実務 界 の現実 を研 究対 象 の中 心 とす る ので あ るから 、 と りわけ 研 究者が 実 践 と接 触し てい る こ とが 必要 だろ うと思 われ る。 従っ て、 例 え ば現 場 のマ ーケテ ィン グ技術 者 の提 案 す る、 マ ーケテ ィ ン グの名を 冠 する 新しい 用 語 自体を 、 研 究者 が 全 く無 視す るわけ に はい かない と 思われ る。 た だし こ れ は次 の よ うな 意味に おい て であ る。 す なわ ち、 ①あ る具 体的 な 現場 の問題 は研 究者 に解 決を 迫 る わけ で はない は ずだ が、 そ れに も拘 ら ず解 決 す べき当 事者 が使 用 し得 る技術 は研 究者 に よっ て新 発 見さ れ るか もし れない。 そ れ 故、 ② 実業 界か ら の提案 は、 マ ー ケテ ィング と 総 称さ れ る多 面 的 な 世 界が 解決 すべ き新 しい 問題 を 表現 し てい る も のであ る か もし れ ない反 面、 し かし 、そ うで はな い か もし れない 可能 性 があ り、 批 判的 検討 が必要 であ る。 ③ま さに そ の新 しい

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問-リ ア ル タ イ ム ・ マ ー ケテ ィ ン グに 関 す る 方 法 論 的 一 考 察 91 題につ い て の理 論研 究 の成 果 が何 らか の タタ レベル で の提 案を す るこ とに な るか もし れず 、こ の可 能性 が ある 限 りにお い て、 方 法論 研究を 進 展さ せる上 で も、 実践 的 有用 性を 意 図し た マ ーケテ ィン グ研 究 の学問 的 価値 が 見 出さ れる だろ う、 とい った 意味に おい てで あ る。 以 上 の考え か らす れ ば、 例 えば90年 代半 ばに米 国で 提案 さ れ た リアル タイ ム・ マ ー ケテ ィ ングの 提 唱 者 が捕ら え た、 実務 家 に 解決を 迫 る問題 及 びそ の解決 案を 研 究対 象 と し て精 緻 化 する とい う作 業 に は 意味が あ る と思わ れ る。 もち ろ んこ の作業 の 目的 は、新 し い 事 例を 加 えて 提 案 内容を 支 持す る とい うこ とでな い 点は 強 調し てお く。 実業 界か ら の問題 提 起 は、 現実 問 題に 対 す る 問題 解決案 の ー 提 出 とい う次 元に あ る限 り、 観察 され た単な る事 実・ 歴史 の記述 に す ぎな い ので あ る から、 そ れだ け で は何 も語ら な い。 解 決 案 が予測 に 合 うのか合 わな い のかを 評 価 す るに は 「理 論 的予 測 と観察 結 果を 突 き合わ せて 検 討す る 形 で行 うし かない 」8)ので あ り、 新 概念 の精緻 化 か必 要 だ ろ うとい うこ と で あ る。 要 す るに 、提 案 さ れ た新 し い マ ーケテ ィン グと され る概 念に 関 し、 研 究 者 は、そ れを無 視 す る か、さ もな くば、 そ れ に対 す る批判 的検 討を 加え そ れに 関す る満 足 の い く説 明を 求 め るかを、 選択 し なけ れば な らな い わけ であ る9)。 尚、 満足 のい く 説 明を す る とい う場合に 、 我 々の分 野に おい て は、[数 的 普 遍性 ]10)の 追 究 を 目指 す研 究 の積 み重 ね が重 要 で あ ると主 張し ようと思 う。 そし て同 時 に、 マ ーケテ ィン グと い う学科 の 特 徴 か ら、新 し い 問題 が 実務 家 の側 から 提示 され るの は当然 のこ とで あ ろ うし 、 むし ろそ の精緻化 とい う作 業 が、 研究 者 と マ ーケテ ィン グ技 術 者 との共 同作業 に よって 行 わ れ るこ とに 意義 が あ る点 を 、 我 々は強 調 し よ うと 思 う。 さ て、 次章 で は、 レ ン ズ ・マ ッ ケソ ナ(RegisMckenna ) に 従 って 、 彼 が述 べ た リ アル タイ ム・ マ ー ケテ ィング (以 下、RM )を 紹 介す る。 尚、我 々 は、定 義 に かかお る問 題 に は 何ら 意義を 認 め て い ない ので、 以 下 にお い て 述べ ら れる 内容を 本稿 で 言 うRM の 概念 と 規定 し 、 他 の論 者に よる解 説 等 の詳 細及 びそ の 分 析 は他 稿に 譲 る。 | 新 製 品 開 発 に 関 す る リ ア ル タ イ ム ・ マ ー ケ テ ィ ン グ の 提 案 マ ー ケテ ィン グの テ キ スト 的文 献に おい て通 説 とな ってい る 新製 品 開発 のプ ロ セ スは巨 大 製造業 を 念 頭 にお く わけ だ が、 そ れ は概 ね、 目的を 設定 し た上 で、 アイ デ ィア の ス クリ ーニン グ、製 品 コ ン セプ ト の確立 、 試作 、 マ ー ケテ ィ ン グ戦略 の立案 、事 業 とし て の分 析、 製 品 開発 、 テ スト ・マ ー ケテ ィン グ、市場 導 入 計 画 の立案 、市 場 導入 とい うふ うに ま とめら れ る11)。RM は 、こ のプ ロセ スに 顧客 を 参加 させ 、 企業 と のイ ンタ ラ クテ ィブ な 関 係を 築 く こ との重 要 性を 強 調 す る。 さ て、 カリフ ォル ニ ア州を 本 拠 とす る経営 コンサ ル タント 会 社 の会長 であ る マ ッ ケソ ナは、 現行 の マ ー ケテ ィン グは開 発 や 製 造プ ロ セスの後 に 位置 付け ら れる と 言 う。 また 、 企業 は 市場投 入時間

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( 新製 品を 開 発 ・ 製造 し、 市 場に 出す まで の時 間) の短 縮化 に 専 心し て い るが 、成 熟 市場で の成 功 を 決定づ け る の は 市場 認知 所 要時 間12)の短 縮化 で あっ て市 場 投人 時 間 の短 縮化 ではな い と 言 う。 こ うした認 識 からRM の 説 明が なさ れる のだ が、そ の具 体的実 践 例 とし て は、 フ ィ リ ップ ス社 がヨ ー ロッパで 発売 し た子供 用 オン ライ ン製品 の開 発方 法が 最 初に 紹 介 され る。 すなわ ち、 フ ィ リ ップ ス社 は、工 業デ ザイ ナ ー、心 理 学者 、 文化 人 類学 者、 社 会 学者等をEU の 諸都 市に送 り込 み 、顧 客 か ら、 顧客 ニ ーズに 応え るエ レ クト ロ ニ クス 製品 のアイ デ ィ ア を 求 め る 。 「研 究者 だち と顧 客 が相 互 に影 響し あっ てイ ン タラ クテ ィブ に 新し い 可能 性を 想 像し 、新し い製 品 を 創 造す るた め の対 話」 に よ り得 ら れた総 て の アイデ ィアを 検討 し 、 選択 肢を 狭 め た上で新 しい 製 品 に決定 し た 後、「研 究 者 たち ぱ、子供 だち と議 論を し た都 市 へ戻 っ て、決定 し た製 品 の アイ デ ィア を 彼ら に伝 え 、 テ スト し た」 結果 、 フ ィリ ップ ス の オン ライ ン製 品 の助 言 者達 は製 品 の潜在 顧客 に もな り、従っ て 市 場認 知 所要 時 間は短 縮 され、製 品 の成 功 の可 能性 を 高 める こ とが で きたとい う犬 さら に、 市 場導 入後 の マ ー ケテ ィン グ実 践に おい て 、高 度 な情 報 技術 は 、顧 客 のロ イ ヤルテ ィを 育 て、 また継 続的 な顧 客 と の対 話を 効果的 に 行 う上 で重 要 だ と さ れる。 す な わち、 顧 客 と企業 とを 結 び付け る 情報 技 術 が、 様 々な企 業 内シ ステ ムと統 合 さ れる こ とに よ り 「企業 は顧 客 や市場 と リアル タ イ ムで相 互交 流 す るこ とが でき 、さら に、 顧客 のロイ ヤ ルテ ィの保 持 に役立 つ ような サ ービ ス の 経験を 製 品に 内包 す るこ とがで き る」14)と述 べら れ る。 結 局、RM は 以下 の よ うに ま と められ るであ ろ う。 すな わ ち、 ①成 熟 市 場で は、 新 製品を 成功 さ せる上 で市 場 認知 所 要 時 間 の短 縮が重 要 であ り、そ のた めに は新 製 品 開発 の段 階 から 潜在 顧客を 巻 き込む こ とが 必要 とな る。 ② 企業 側は 、新 製品 の 開発担 当 者 と潜 在 顧客 が 相互 に影 響し あ ってイ ソ タラ タテ ィブ に新 しい 可能 性を 想 像し 、新 しい 製品 を 創造 す るた め の対 話 の場を 設 定す る ことが 必 要 であ る。 ③そ の対 話 から 得 ら れた総 て の アイデ ィ アを 検討 し新 しい 製 品を 決 定し た後 、同 新製品 を 先 の顧 客 に伝 え 、 テ スト す るこ と が、 市 場認知 所 要時 間を 短 縮 す る上 で重 要 であ る。 ④市 場へ の 新 製品導 入 後 も、 顧 客 の ロイ ヤル テ ィを 育 て るため 、常 に 顧 客 と対 話 を す る必 要が あ るが、 こ の段 階 では高 度 な 情報 技術 が重 要 な役 割を 演じ る。 以上 であ る。 さて、潜 在顧 客 と の イン タ ラ クテ ィブ な 関係 が新 製品 開発 の時点 か ら常 に 必要 であ る とい う主 張 は、 財 の開 発に おけ る、 サ ービス ・マ ーケテ ィン グ技術 の援 用を 意味 す る であ ろ う。 と ころ でサ ー ビ ス・マ ーケテ ィン グを 論 ずる 場合 、一 般的 には 、顧 客満 足 とい う心 理学 的な 用 語が キ ー ワ ードと 見 な される が 、 こ の用 語 は定 義 してし ま うこ とが 可能 であ ろ うと思 わ れ る。 例 え ば 、「 顧 客 満足 と は 、あ る人 間 が 価格 ( あ るい は 購入 した 店、 もし く はブ ラ ンド 名) と の対 比で 予 測し た製 品 の価 値 と 、使用 開 始後 一 定 期 間を 経 た 時点 での 価値 の偏 差で 数値 化 で きる] とい うふ うに 定義 す れば よい か もし れな い。 あ るい は また 、再 び 同じ プ ロダ クト ・ライ ン に 属す る製 品 を買 うまで の間 、 消費 者

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リ ア ル タ イ ム ・ マ ー ケ テ ィ ン グ に 関 す る 方 法 論 的 一 考 察 93 の満足 の段 階 を時 系 列的 に (例 えば5 段 階評価 で) 調 べる こ とも可 能 であ ろ う。 この よ うに 規定し そ れ以上を 問 わな い こ とに より、RM の主 張を 支持 す る事 例 と支持 し ない 事 例 とを 分け るこ とは、 可 能 なはず で あ る。 し かしな が ら、 こ うし た操 作を す るにし て も、RM 提 唱者 の主 張 の正 し さを 裏 付け る事 例 の列挙 に は、 論理的 に はあ ま り意味 がな い。 とい うの は、用 語や 定 義 の流 行を追 うだけ では、 何 ら学 問と し て の進歩 はあ り得 な い とい う ことこ そ、 強調 され るべ きだ と思 うから であ る。 こ の考 えを 受け て 、 また 、 マ ーケテ ィン グの中 範 囲の一 般 理論16)の 構築 の必 要性 を 認 め る 立 場 か ら、 我 列 ま、 と りわけ 「売 り手 の行動」 に関 す る中範 囲 の一般 理 論構 築に 際 し て、一 定 のル ールに 従っ た上 で のド グマ 的態 度 を研 究者 が もつ ことは 必要 だ と考え て い る。 ポパ ーは 、「 あ る 理 論 を で き るだけ 長く 固守 し ようと す るド グマ的 な態度 」 がなけ れば、「理 論に 含 ま れて い る も の を わ れわ れは 決し て見つけ 出 せな い であ ろ うー そ の理 論 の強さ を 見つけ 出す 真 の機 会を もつ 以前 に、 われ わ れ はそ の理論 を 放棄 し て し まうこ とにな り、 そ の結果 … そ の理 論 がな かっ た ら 決 し て 観 察 し な か っ たであろ う ような 出 来事 に われ われ の注 意を 向け さ せ た りす る役割 を 果 たす こと が、 ま づたく で きな くなろ うプ )と言 う。 むろ んこの主 張は 、批 判的 合理 主義 に立 脚 す る と い う 前 提 に お い て で あ って、 強化 さ れ たド グマ テ ィズ ム17)が拒絶 され るべ きで あ る点 は言 うまで もな い。 我 々は 、 と りわけ マ ーケテ ィン グ技 術者に と って の実 践的 有用 性を 学 科 の使 命 とす るなら ば、 ハ ント の区 分で 言 う 「売 り手 の 行動」 に 関す る一 般理論 の 構築 が重 要 な研 究課 題 であ る と主 張し よう と思う 。 そし て、 例 え ば、 上 記要 約し た新概 念を 導 入し て、 ハ ント がかつ て主 張 した ように 「買い 手 の行 動」 より遅 れて い る 、「売 り手 の行 動に 関す る一 般理 論」構築 のため の研 究 を、現実 の要請に あ わ せて、 進展 さ せ る方 法 を 模索し たい ので あ る。 さて 、以 上 の よ うな問 題 意識 から 、本 稿で は、RM の主 張に 関 す る満足 のい く説 明を 追究 す るわ け であ る が、次 章 で は、 具 体的 な業 界 の例を 基に 考え て み よう。 2 新 製 品 開 発 ; か ば ん ・ 袋 物 業 界 を 例 に2 −1 我 が 国フ ァ ッシ ョン業 界 におけ る かば ん・ 袋物 業界 の 位置付 け と市 場 の動 向 卸 売主 導型 で あ る我 が 国 のか ば ん・袋物業 界 の卸 は 「衣類 ・ 身 の回 り品 卸売 業」 に 含 まれ る。平 成6 年度 の『商 業 統計 表 』(産業 編 :総 括表)に よ ると、衣類 ・身 の回 り品 卸 売業 全 体で は、事業所 数3 万1,473、従業 者 数38万1,262人 、年 間販 売額20 兆9,808億円 であ り、こ の うち か ば ん・袋物卸 売 業 は、 事業所 数1,787( 全 体 の5.7%)、従業 者数1 万9,555人 (同5.1 %)、年 間販 売 額9,643億 円( 同4.6 %) と、い わ ゆ る アパ レ ル業 界と比 べて ぱ るかに 小 規模 であ る。 し かし、伺 小売 段 階 は、80 年代 初期 から 消費 者 ニ ーズや購買 行動 の多 様 化に 応 じ た販 路 の 拡 大18)

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が 生 じ 、 こ の 段 階 に 関 し て 言 え ば 成 長 業 種 と 位 置 付 け ら れ る 。 た だ し 、 同 小 売 業 の年 間 販 売 額 に 、 欧 州 大 手 企 業 の 日 本 法 人 の 実 績 が 含 ま れ る 点 も 見 逃 せ な い 。 例 え ば 、 ル イ ・ ヴ ィ ト ソ ・ ジ ャ パ ン ㈱ の96 年12 月 期 の 売 上 ぱ629 億 円 ( 前 年 比229 億 円 増 ) で あ り 、 我 が 国 最 大 の 小 売 業 で あ る19)。 次 に 、 消 費 者 に 関 す る 調 査 結 果 を 最 新 の 報 告 書 か ら ま と め て み る 。ま ず 、『 最 近2 年 間 に か ば ん ・ 袋 物 を 購 入 し な か っ た 理 由 』を 見 る と 、「今 あ る も の で 間 に 合 う 」が 男 性 で75.7 % 女 性 で67.8 % を 占 め 、 飽 和 状 態 が 伺 え る20)。次 に『 か ば ん ・ 袋 物 を 購 入 し た き っ か け 』で は 、「店 頭 で 気 に 入 っ た も の を 見 つ げ た 」「今 ま で と 感 じ が 違 う も の が 欲 し く な っ た」「使 う 機 会 が で き た 」 が 上 位3 項 目 で あ る21)。 ま た 、『 海 外 有 名 ブ ラ ン ド を 持 つ 理 由 』 で は 、「デ ザ イ ン ・ セ ン ス が 良 い 」 が 男 性47.8 % 女 性50.7 % を 占 め 、 続 く 「 品 質 ・ 素 材 ・ 縫 製 が 良 い 」 は 男 性47.4 % 女 性44.6 % を 占 め る。 尚 、 男 女 合 計 で は3 位 と な る 「 高 級 感 が あ る 」 は 、 男 性01.o/o 女 性oi.i/o で あ る が 、 女 性 で は づ 流 行 に 左 右 さ れ な い ] が34.0 % と 、 よ り 高 い 比 率 を 占 め て い る22)。 以 上 、 か ば ん ・ 袋 物 業 界 、 及 び 同 市 場 の 消 費 者 意 識 の 概 略 を 説 明 し た わ け だ が 、 次 節 で は 、 同 業 界 の 新 製 品 開 発 の 現 状 に つ い て 見 て み よ う。 2-2 かば ん ・袋 物業 界 の新 製品 開発2 −2 −1 「新 製 品」 及 び 「新 製品 開発 とい う行為」 の概 念規 定 さて、 具 体例に 入 る 前に 、我 々はここ で、そ もそ も新 製品 ( 特定 の 企業 に とっ ては、 新 たに市 場 化 され るも の) を ど う概念 規定 す るかにつ い て若 干 の考察 を し ようと 思 う。 ポパ ーの世 界1 、2 、3 の区分23)は 、 新製 品 開 発とい う行為を 考え る上 で1 つ の示 唆 を与 え る か もしれ ない。 す な わ ち 、 新 製品 開発 の担 当 者 は、 世 界1 に 存 在す る物質 、及 び、世 界3 に 存 在す る知 的 生産物 あ るい は文 化 活 動 の所 産 の 両方 と相 互作 用 す る世 界2 の行為 者 であ り、 新製 品 (世 界1 の新 しい存 在物 )を 生 み 出 すこ とを 任務 と す ると考 え て よいだ ろ う。 こ の時 我 々は、 フ ァッ シ ョン性 の 高い財 の 開発に おい て、 先端 技術 を 組 み込 む財 の 開発に 比 べれ ば、 同 じ世界3 に 存 在す る知識 の中 でも、 科学 的知 識 一 芸術的 知 識 とい う対 比 で言 うなら、 後者 が より多 く用 い ら れ るで あろ う点 を 無 視し得 ない。 また、 我 が国 のか ば ん・袋 物業 界 は中 小企業 性業 種 で ある から 、予 測を 綿 密 に行 いそ の結果 を 検証す る巨 大製造業 とは 、新 製 品 開発に 費 やさ れ る費用や 時 間や 投 入物 が 異な るであ ろ う。そ れ で も、 当該業 界に も技 術 革新 に よる新 素 材 の開発や 製 造工 程 の進展 は あ るし、 加 え て使 用者 の生活 の変化 は、新 しい用途 や 機能 を 要 求し て い る。 つ ま り、 先 端技術 を 組 み込 む財 と 同 じ意 味で の、 新製 品 開発担 当 者 の、 世界1 及 び 世 界3 と の係 わ りを あ てぱ め ること が でき る とい う前 提 で、 我 々は当 該業 界を新 製品 開発 の1 つ の事 例 と して とら え るので あ る。 この点を 詳し く説 明 す るた め、 あ る時点 におけ る、あ ら ゆ る業 種 の新 製品 総 てを網 羅 す る概念図

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リ ア ル タ イ ム ・ マ ーケ テ ィン グに 関 す る 方 法 論 的 一 考 察 95 [ 図A ]を考 え た いノ こ の 図で は、画 期的 な新製 品( 世 界3 に 大 きく 依存 す る) を左 端 に、そ の対 局 の新製 品を 右 端に 置 く も の とす る。 <=^ 画期 的 新 製 品 図A − − 一 一 − − − 一 一 − − − − − − − 一 一 − − − − 一 一 一 − − − − − − − − 一 一 一 一 − ========== [=; 改 良 品 等 図B 乍  ̄  ̄ ̄  ̄ ̄  ̄−⇒ 画 期的 な か ぼ ん類 改良 の度合い が 低いか ばん類 次に 、こ の概 念 図 の中 か ら かばん 類だけを 取 り出し た[ 図B ]を 考 え て み よ う。 新 し くで きた図 の最 も右端に は 、 他社 の ヒ ット 商品 の模倣 品 が置か れ るか もし れ ない ( 開発 担 当 者が 世 界1 だけ と 相互 作用 した 結果 と言 うべ き模 倣品 が現実 に は少な く ない とい う事 態 は、 我 が 国 かば ん ・袋物業 界 が抱 え る、長 期 的に 見 た場 合 の根 本 問題であ り、欧州 のフ ァッシ ョ ン産業 と の最 大の 相違 点 と言え るであ ろ う)。や は り右 よ りに 位置 付け ら れ る ものは、例え ば 、70年 代 のフ ァッシ ョ ンの再 現や 、同 じ素 材同 じ機能 であ る が色 あ るい は大 きさ が違 うとい っ た新 製 品、 ポ ケット の 有無 等形 態上 の小 さ な 差、 ランド セル や皮 革製 学 生か ば ん等が置 か れるで あろ う。 そ れ より少 し左 に は 形態上 の より大 きな差 異 が、 また も う少し 左 には、 リュ ックの よ うに 軍隊 や ア ウ ト ド`ア か ら スト リ ート ・ フ ァ ッ シ ョ ンに市 場が 拡 大 し形 態 を変 え た物 が示 され ると仮 定し よ う。 さ らに ず っ と左 に は、 画期 的 な素 材 の開 発に よる 軽 量 商品 や 新型 のか ば ん類( 携帯電 話 用 ケ ース は、 あ る時 期 ま でこ こに 含 まれ てい た) を 置く こ とが で き よ う。斬 新な デザ イ ンも左 側に 位置 付け ら れ よう。 ち な みに、 ライ セ ン ス・ ブ ランド の売上 停 滞 とい う現状 は、 こ の図 の右 側 に位 置 付け ら れるから であ る か むし れ ない 。 す な わち、 新し い デザ イ ンが生 み 出さ れ て も、 そ れを 消費 者 の頭 の中 で は馴 染 み のブ ラ ンド ・ マ ー クが 打ち 消し てし ま うのであ る か もし れな い。 対 し て、 欧州 の高 級ブ ラ ンド 品 の 場合、 新 規 性 とい う基 準 よりも普 遍性 とい う価 値 が強 調さ れ る とこ ろ が、 日本 市場 で売 上を 伸 ば す一 因 であ る か もし れ ない 。 さ て、 もと の 大 きな 図 に戻 るな ら、 ある 時点 で の、 かば ん類 の最左 端 より さら に左 に は、 た くさ ん の 異業種 の新 製 品 が並 べら れる ので はあ ろ うが、い ず れに せ よ、我 々が と りあげ る業 種や 製品 の タ イプ が 何であ れ、一 連 の並 び の中から 何 で も取 り上げ て同 様 に新 製 品 につ い て論 ず る こと が可能 であ る 点が 強調 さ れ なけ れば なら ない であ ろ う。 そ し てそ のい ず れ の新 製品 に つい て も、 そ れを 生 み 出し た責任 者 つ ま り世 界2 の行為 者 は、 特定 でき る とい う点 も付け 加 えて お く。

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2 −2 −2 か ば ん ・ 袋 物 業 界 に お け る 新 製 品 開 発 ま ず 、 フ ァ ッ シ ョ ン 業 界 の 新 製 品 開 発 の 手 順 に つ い て ま と め れ ば 、 概 ね 次 の よ う で あ る。 す な わ ち 、 一 般 に フ ァ ッ シ ョ ン 産 業 の 機 能 と さ れ る ① 情 報 収 集 、 ② 商 品 企 画 、 ③ モ デ リ ン グ、 ④ 生 産 管 理 、 ⑤ ロ ジ ス テ ィ ッ ク ス 、 ⑥ 販 売 管 理 の う ち 、 新 製 品 開 発 に 直 接 的 に 関 わ る の は 、 情 報 収 集 か ら モ デ リ ン グ ま で の3 段 階 で あ る24)。 一 般 に か ば ん ・ 袋 物 業 界 の 新 製 品 は 、 シ ーズ ン 毎 の 展 示 会 に そ の 成 果 が 発 表 さ れ る 。 シ ー ズ ン 区 分 は 、 年2 回 ( 春 夏 、 秋 冬 )、 年4 回 ( 春 、 夏 、 秋 、 冬 )、 さ ら に 盛 夏 リ ゾ ー ト 企 画 等 を 含 む 場 合 も あ り、 ア パ レ ル 業 界 の 進 出 に よ り 回 数 が 増 え て い る も の の 、 特 に か ば ん業 界 で は 、 年2 回 の展 示 会 が 中 心 で あ り、 展 示 会 の 度 に 、 前 述 の 図B の 内 容 が 大 き く変 わ る わ け で あ る。 そ し て 一 般 的 に は 、 情 報 収 集 → シ ーズ ン プ ラ ン → デ ザ イ ン → 商 品 構 成 及 び 上 代 検 討 → パ タ ー ン メ イ キ ン グ → サ ン プ ル メ イ キ ン グ → 素 材 発 注 → 展 示 会 → 生 産 → 店 頭 販 売 と い う サ イ クル を 繰 り 返 す25) 次 に 、 同 業 界 の 企 画 段 階 に つ い て 、 先 の 『報 告 書 』 か ら 詳 し く 見 て み よ う26)。 [企 画 ・開 発 の 現 状 ]で は 、「 企 画・デ ザ イ ン は 全 て 社 内 で 行 っ て い る 」の は 、か ぼ ん 業 界 で は 回 答 者 のon.Q % 、袋 物 業 界 で は 同34.7 % と な っ て い る。以 下 、か ば ん 業 界 を[ ]で 袋 物 業 界 を{ }で 示 す と 、「企 画 ・ デ ザ イ ン は 他 社 、 ま た は 外 部 ス タ ッ フ に 一 部 依 頼( 購 入 )す る こ と が あ る 」[23.1 % ]{23.5 %} 、「商 品 企 画 ・ デ ザ イ ンは 取 引 先 等 と 共 同 開 発 し て い る 」[16.9 % ]、{14.3 %} と な っ て い る。 ま た 、「 企 画 ・ 開 発 へ の 外 部 機 能 の 活 用 意 向」 で は 、「 現 状 を 維 持 す る 」[61.5 % ]{60.2 %} 、 「 内 製 化 を 進 め る 」[15.4 % ]{20.4 %} 、「外 部 化 を 進 め る」[10.8 % ]1iO.O %I で あ る。 「 情 報 入 手 方 法 」 は 、「 販 売 先 」か ら カレ[63.1 % ]{69.4 %} で 最 も 高 く 次 い で「 国 内 フ ァ ッ シ ョ ン 雑 誌 」[55.4 % ]{58.2 %} 、「展 示 会 見 本 市 」[56.9 % ]{50.0 %} 、 続 い て「 同 業 者 の 情 報 」[49.2 % ]{31.6 %} や [ 業 界 紙 誌 ][47.7 % ]{36.7 %} や 「 仕 入 れ 先 」し44.6% ]{44.9 %} 、 さ ら に 「若 者 向 け 一 般 雑 誌 」[41.5 % ]{Zo.0 % } や 「 自 社 セ ール ス マ ン 派 遣 店 員 」[36.9 % ]{42.9 %} や 「 外 国 雑 誌 」[35.4 % 丁{36.7 %} と な る 。 尚 、 同 報 告 書 は 、「 消 費 者 ア ン ケ ー ト で は か ば ん ・ 袋 物 の 情 報 を フ ァ ッ シ ョ ン街 の 様 子 等 か ら 得 る の が多 い 反 面 、[街 頭 ・ リ ゾ ー ト 地 で め 観 察 ] を 実 施 す る 回 答 者 は [1.1% ]{11.2 %} 」 で あ る こ と か ら 、 消 費 者 と 業 界 側 と の 大 き な 格 差 を 主 張 し て い る が 、 こ の 指 摘 は 、 我 が 国 業 界 の 新 製 品 開 発 上 の 問 題 点 を 強 調 す る 一 方 で 、 世 界3 と 相 互 作 用 す る デ ザ イ ナ ー の 行 為 を 過 小 評 価 す る も の で は な い だ ろ う か 。 と こ ろ で 、 当 該 業 界 で ブ ラ ン ド を 所 有 す る の は 、 ほ と ん ど の 場 合 「 卸 売 業 者 」 と 業 界 内 で 位 置 付 げ ら れ る 企 業 で あ る27)。 し か し 今 後 は 、「 ア パ レ ル メ ー カ ー」 の 表 現 に な ら っ て 、 か ば ん 類 ( 製 造 ) 卸 を あ え て メ ー カ ー と 呼 び 、 ブ ラ ン ド 所 有 者 の 新 製 品 開 発 に つ い て 考 え る こ と が 必 要 で あ ろ う と 思 わ れ る。 次 章 で は 、 こ の 最 後 の 提 案 に 基 づ い て 、 同 業 界 に お け る ブ ラ ン ド 所 有 者 を メ ー カ ー と 呼 び

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リ ア ル タ イ ム ・ マ ー ケ テ ィ ン グ に 関 す る 方 法 論 的 一 考 察 そ のRM に つ い て 論 じ よ う と 思 う。 97 3 我 が 国 かばん ・袋 物業 界にお け る リ アル タ イ ム・マ ーケテ ィン グの 現状 と 今 後 の方 向性3 −1 特 に 機能性 を重 視 する製 品 の開 発に お い てRM が 必要であ る 理由 我 が 国 かぼ ん 、袋物業 界 の新製 品 開発を 具 体的 事 例とし て論を 進 める 上で、 我 々は1 人 の業 界人 を 想定 す るこ とが で きる。す なわ ちRM に 関 す る テキ ストを 一瞥 して 問題を 理 解 し( 例 え ば、「我 が 社 に と って 問題 であ っ たの は、プ ロ モ ーシ ョ ン戦略 ( もし くは 流通経 路 の問題) で ぱな く新 製 品 開 発 であ った」)そ れとと もに、 そ の解 決方 法を 悟っ た(「RM を 実 践す れば よい」)、 当 該業 界 の経営 者で あ る。 彼 は 、 コスト 削減 では な くして 、 マ ーケテ ィン グ戦略に よって利 益を 伸ば す道 は ない だ ろ うか と考 えてい た 経営 者であ るか もし れない 。 実 際 、新 製 品 開発を重 視しない 業 界各 社 で は、 消費 者 の(潜 在的) ニ ーズ に適 さない 輸 入 品を仕 入 れ る 例 が多 い のだが、 特に 途上 国 から の 輸 入品 は、 収益 に結 びつ かない どころ か 過剰 在 庫 とい う 現 在 の業 界 の(短 期的に 見 れば) 最 大 の問題 を 生 み 出してい る。 我 々が 行っ た実 態 調査 の中 で、現 地 の 呼 び名 に なら って 「産 地問屋」 と表 現し た企業 群 につい て は、そ の存 在 意義 が ここ 数年 で急速 に小 さ くなっ た が、 そ の最大 の要 因 とし て新 製 品 開発 上 の問題を 挙げ ざ るを 得 な い28)こ と か ら も 、 新製 品 開発に 関 す る提案 は、 当該業 界に と って 重要 な 意味を もつ のであ る。 さ て、 前述 の消費 者調 査に よれ ば、 当該 市 場 全 体の 飽和状 態 が伺え る。 ただ し こ れ は既 存 の製 品 に 関 し て であ る。 例 えば電 車 通勤 通学 者 のほ と ん ど総 てに とっ てかば ん は必需 品 で あ り、 しか も女 性 の社 会 進 出や 通勤通 学 の長距 離化 に より、 む しろ 市場 は確 実に 拡大 してい る とい う点 から 、 当該 業 界 の 、 と りわけ 機能 性を重 視 する新 製 品 開発 の意 義は 旧来 よ り高 まってい る と 思 われ る。 実際 、 か ば ん類 使用 者 の生活 の変化 (携 帯電 話 機 や携 帯 パ ソ コンの 普及に よる用途 や 求め ら れる 機 能や 、 使 用 頻度 等 の変 化、 あ るい は高齢 者市 場 の拡 大 、 身障 者 の行動 範 囲の拡 大等) に ょ り、 か ば んに新 し い 機能 が要 求 さ れる こと は確か であ る が、 こ れら は 、現実 に は、ご く小 さな タ ーゲ ット 市場 の累 積 に よ り構成 さ れる 場合 が多い 。そ こで こ うし た タ ーゲ ット に 向け た 製品 開発 にお い て 特 に、RM の重 要 性 が増 す と思 われ るの であ る( むろ ん 、 前述 の よ うに 、 現 実 の 購 入 に 際 し て は 「デ ザ イ ン 等 」 を 判 断基 準 とする 消費 者が圧 倒的に 多 い わけ だ が、 むしろ そ れ故、 デザ イ ン とい うフ ァ ッショ ン製 品 の中 核 にあ たる 内容に つい て は、 世 界2 の行為 者 とし て のデザ イナ ー・ 企画 担当 者 の提案 が 最 優 先 さ れる とい う事 態は変 えら れ ない と思 われ る)。 と ころ が 、 前述 の よ うに、 同業 界 の企 画 段階 の 情報 人手 方法 は、 販売先 、 国 内フ ァッ ショ ン雑 誌、 展示 会 見本 市 が上位3 項 目で あ り、業 界 全 体 とし て、RM 実践 とは ほ ど遠 い 感が あ る。 一方 で 、旧 来 から のフ ァッシ ョン 雑誌 の氾濫に 加 え 、若 者を 中心 とす る人気 商 品 の紹介 記事 で埋 め 尽 くさ れ た

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雑 誌 の普 及等に よる 消費 者 の情報 量 の豊 か さを 考え る と、 コスト ダ ウンに 比 重を お き、 またい わゆ るDC ブ ランドに 依存 す る我 が国 業 界 の体質 こそ 、業 界 大手企 業に も見ら れ る 、 昨今 の 経営 危機 の 大 きな要 因 だと 言わざ るを 得 ない 。 言葉を 換え れば、 当該業 界の現 状に おけ るRM の阻 害要 因は、 製品 戦略 そ のも のを 重 視し ない 業 界 の体 質 にあ ると 言 うべき だろ う。 3 −2 当 該業 界にお け るRM の実 践 の具 体的 方向 フ ァ ッショ ン業 界の新 製 品開 発 の手 順を 先 に述 べた が、実 際に は こ の うち企 画 段 階 と モデ リン グ 段 階にRM が導 入さ れる こ とに な るだ ろ う。業 界 の現 状は、 先 の調査 の ような 情 報 収集 未 発達 の状 況な のであ るが、 しか し 、RM の発 想に 沿 っ た試 みを見 つけ る ことは で き る。 まず、 新製 品 開発に 力を 入 れ る企業 の場 合、 い わゆ るセ レ クト シ ョ ップ29)等 、 フ ァ ッ シ ョ ン情 報 発 信 源 との 「ダブ ルブ ラ ンド」 商 品や 、 同店 のオ リジ ナル商 品 の企画 が、 こ の 業 界が 実践 し てい る 初 歩的 なKM の1 つ の方 向 と 言え よう。 す なわち 、フ ァッシ ョン ・ リ ーダ ーを 顧 客 とす る小売 業者 の 、 タ ーゲット 顧客 に 向け た新 製 品 の企 画 が、小 売 と、 メ ーカ ー( 業 界 のブ ラ ンド 所 有者 ) の企 画 担 当者 と の共同 作業 に よ り提案 さ れ るこ のプ ロセス は、RM の基本 的 な流 れ と一 致 し てい る。 こ う し た企 画を 発展 させ るこ とに よる 市場 拡 大 は、現 状に 見合 うRM の1 つ の方 向 であ る だろ う。 当該 業 界に おけ るRM の方 向 性 はま た、 異業 種 のデザ イ ナ ーが かば ん類 の デザ イ ンに か かお る 場 合にも 見 出せ る。 例え ば、 建築家 が、 建築 家 とい う職業 の 消費者 とし て必 要 な機 能を 満た す製 品 の開発 を し た例が 豊 岡かば ん産 地 に存 在 す る のだ が、 こ れも また、RM の初歩 的 な 例 と見 て よい で あろ う。 こ の場合 の 最大 の問題 点 は、 異業 種 のデ ザ イ ナ ーはか ばん類 の 材料( 世 界1 ) に は精 通 し ていな い とい う点 であ るが 、し かし 、 飽 和し た市 場 状況を 考 える なら 、今後 、 特定 の職 業 人 向け の新 製品をRM に 沿 って 開発 する 意義 が 高 まる か もし れない 。 こ の ように、 当 該業 界に おい て もEM は 可能 な範 囲で 行わ れてい る。 また 、RM の提 唱者 は、市 場 導入後 の消費 者 と のコ ミ ュニ ケ ーショ ン の重要 性 も強 調す るわけ だ が、 直 営 店を もつ ク ーガ ーで は むしろ こ うし た サ ービス は旧 来か ら 行 わ れてい た わけ で あ り、加 え て現 在 、 フ リ ーダ イ ヤルを 商 品 タ グに 明 記す る国 内 ハン ド バ ッグ・ メ ーカ ーも登場 して お り、新 た な対 応 も 今後 さら に 進展 す る 可 能 性が あ る。 さ て、我 々 の実 務家 は、「私 は 都 内の百 貨 店平 場 で売 ら れる新 製品に つ い て、RM を 実 践 す るこ と に よ り市場 認知 所 要時 間を 短 縮 させ た と知 覚す る」 と言 うか もし れ ない し、 あ るい はそ うでは ない か もし れ ない 。 も ちろ ん どち らに し て も、 そ れは1 つ の実 験結果 に 過ぎ ず、 研 究 者が 、 理 論研究 と し て進展 さ せるに は、 さら にそ れら の再 検討 が 必要 であ る。 こ の点 は、RM 提 唱 者が と りあげ た 最 先 端 の巨 大 企業 の例 で も全 く同 じ であ る。

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リア ル タ イ ム ・ マ ー ケ テ ィン グ に 関 す る 方 法 論 的 一 考 察 99 まず は こ うした実 験結 果 の蓄積 に よ り、 遅 れた 中小 企業 性業 種に おい て も、 新 製 品に 関す る新 し い 展 開 の可 能 性はあ る。そ し てこ うし た 事 例ま で含 めて 、[売 り手 の行 動]に 関 す る 中範 囲 の一 般 理 論 の構築 が 目 指さ れるべ きだ と我 々 は主 張 し たい。 さら に 言 え ば 、 巨 大 製 造 業 の 新 製 品 開 発 に 、 マ ーケテ ィン グ研 究 者は( マ ーケテ ィ ン グ技 術 者 は別 とし て) 一 般的 に はか か わ れ ない ので ある か ら 、 むし ろ研 究者 は、 中小 製 造業 の事 例を テ スト と用い る ところ から 、理 論 研 究 の 進展 を 模索 す る 方 向が あ る のでは ない だろ うか。 そ し てそ の場 合に、 フ ァ ッショ ン業 界等 短い サ イ クル で新 製 品 が 提案 さ れ る事 例で あれば 、 実験 の結 果を 得 や すい であ ろ う点を 付け 加 えて お く。 む すび 本稿 に おけ る内容 は以下 の ように ま とめ ら れ るであ ろ う。 (1) 我 々の 分野 は実務 界 の現 実を 研 究対 象 の中 心 とす る。そ し て マ ーケテ ィ ング 技術 者 の提 案す る 新 しい 用 語 自体に 対し 、研 究者 は、 そ れを 無 視 す るか、 さ もな くば 批判的 検 討を 加え 満 足 のい く 説 明を 求 め るか を選 択し なけ れば なら な い。 (2) 我 々 は、90年代 半ば に米 国で 提 案 さ れた「 リアル タイ ム・マ ーケ テ ィン グ」(RM )に 関 する 満 足 のい く説 明を 試 みる道 を 選択し た わけ だ が 、RM 提 唱 者 の説明 は以下 の よ うに 要 約 で き よ ‰ す な わ ち、 成 熟市 場 では、 新製 品を 成 功 させ る 上で 市場 認知 所要 時 間 の短 縮 化 が重 要 で あ り、 そ のた めに は新 製 品開 発 の段階 から 潜在 顧 客を 巻 き込 む こ とが必 要 であ る。 す な わ ち、 新 製 品 の開 発 担当 者 と潜 在 顧客 が 相互に 影 響し 、新 しい 製 品を 創造 する た めの対 話 が必要 で あ り、 そ の対 話 か ら 得ら れ た総 て の アイ デ ィアの 検討 から 新し い 製 品を 決定 し た後 、同 新製 品を 先 の顧 客 に 伝え 、 テ スト す る こ とが重 要 であ る。 さら に導 入後 も、 顧 客 の ロイ ヤルテ ィを 育て るた め、 常 に 顧 客 と対 話を する 必要 が あ るが、 そ こにお い て高 度 な情 報 シ ス テ ムが 大 きな役 割を 演 じる。 (3) 具 体例 に 入る 前に、 あ る時点 に おけ る、 あ らゆ る業 種 の新 製品総 てを 網 羅 す る 概念 図 ( 画期的 な 新 製品 を左 側 に、 そ の対 局 の新 製 品を 右側 に置O を 考え たい 。我 々 が と りあ げ る業 種 や製 品 の タイ プ が何 であ れ、一 連 の並 び の中 から 何で も取 り上 げ て、 同 じ座標 で、 新 製品 開発 につし て 論ず る こ とが 可能 で ある。 (4) 具体 例 とし て我 々は、 我 が国 の かば ん ・ 袋物業 界 を と りあげ たが、 この中 小 企 業 性業 種 に おい て 乱RM の提案を あ ては め るこ と は可 能 であ るし 、 また そ の初 期的 な ものは 実 践 さ れ てい る とみ て よい。 要 す るに、RM に 関す る 実験 結果 を 研 究者 が得 る こ とは可 能な の であ る。 (5) 実 験結果 が蓄 積さ れる こ とに よ力 、遅 れた 中小 企業 性業 種 におい て 乱 新 製 品 に関 す る 新しい 展 開 の可 能性 がある。そし て こ うし た事 例 ま で含 め て、「売 り手 の行 動」に関 す る 中範 囲の一 般理論 の構 築 が 目指 さ れる べ きだ と思 わ れる。 一 般 に は、 巨大 企業 の新 製品 開 発に マ ー ケテ ィン グ研究者

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が かかお るこ とは ない の であ る から 、 む しろ 研究 者は 、中 小製 造業 の 事 例を テ スト と用 い るとこ ろ から 、 理 論研究 の進展を 模索 す る方 向が あ るの ではな い だろ うか。 以上 で あ る 。 さて 、 ここで 我 々は以 下 の主張 に 注 目し よう。 「科学 者 にと って ぱ ど の よ うな形 で あ れ実践 と接 触し てい る こ とこそ が 大 事 であ る。 そ の接 触を 失 った とき、 煩 瓊主義 が 生 じ て くる。 重 要 な のは、 事実 的な も のと か知 的 な も のが 融 合し てい ると わめ き たて るこ とにあ るの で はな く 、 両者を 冷 静に 分離 し てい くこ と‥ ‥ 価値 自由 の テ ーゼを 適用 する こ とであ る」30)。 こ の、 ポ パ ー の科学 観 に立 脚 する見 解 は我 々に重 要 な示 唆 を 与 え るで あろ う。 社 会科 学 の研 究者 とし て 、我 々ぱ こ うし た方 法 論に立 脚し た理 論 研究を 、具 体 的 な 事 例を 基に、 進 展 さ せる べ きであ る と主 張し た い31)。 そ の前提 とし て、 ま ず、 マ ー ケテ ィ ン グを 実践 す る総 ての組 織に 関 し、 合 理 性原 理 が 働 く経済主 体 とし て共 通 の議 論が な さ れる べ きだ と我 々は考 え る。少 な くと も、「近代 的 な」業 種 も中小 企業性 業 種 も同じ よ うに、「総 て のRM 実践 者 に 関し て、A なら ばB であ る」 とい う説 明 が で きなけ れば、 満足 な 説 明がRM に 関し て 提 出 さ れる こ とは ない のであ る。 確 かに 、実 務 家 は しば し ば、 い わゆる 「即 時 の決定 」を 行 う。 そ の頻 度 は 、 規模 の小 さい 事業 所 の方 が高い のであ るか もし れない 。 ただ し こ の行 為 は、当 事者 が「熟 慮 す るた め の十 分な 時 間を もた ない 」32)から とい うだけ の 理由 であ り、 と りわけ シ ーズ ン毎に 頻 繁に 新 製 品 開発 が 行わ れる業 界では 、即 時決 定 の 頻度 が よ り高 ま る可能性 が あ るとし て も、や は り原理 的 に は、 先 端産 業に 当 てぱ まる 新製 品開 発に おけ るRM に 関す る説 明 は 中小 企業 性業 種に も当 ては ま る、 とい うこと が言 えない 限 り 、RM を 我 々 の 分 野 の 新 し い 研 究 テ ーマ とし て加 え る意義 は 小 さい で あ ろ う。 注 1) 関 雅 美 、『 ポ パ ー の 科 学 論 と 社 会 論 』、 勁 草 書 房 、1990 年 、P.117 . 尚、 科 学 哲 学 あ る い は 科 学 論 の 哲 学 上 の 位 置 付 け に つ い て は 以 下 を 参 照 の こ と 。I.Lakatos&A.Musgrave(eds.),CriticismandtheGrowthofKnowledge( 森 博 監 訳 、『批 判 と 知 識 の成 長 』、 木 鐸 社 、1985 年 「 監 修 者 あ と が き 」)。2)S.D.Hunt,MarketingTheory −ConceptualFoundations0/ResearchinMarketing,GridInc.,1976 ・3)1982 年 の ア メ リ カ ・ マ ―ケ テ ィ ン グ 協 会 の 年 次 総 会 「マ ー ケ テ ィ ン グ 理 論 に つ い て の 特 別 会 議 」 の 会 報 、 す な わ ち 、R.F.BushandS.D.Hunt(eds.) 、MarketingTheory:Philosophy0/SciencePerspectives,AMA 、 及 び 、『 ジ ャ ー ナ ル ・ オ ブ ・ マ ー ケ テ ィ ン グ誌 』1983 年 秋 季 号 が1 つ の ピ ー ク で あ っ た。 そ の後 、 我 々 の 分 野 で 提 出 さ れ た 主 な 方 法 論 に 関 す る 業 績 は 以 下 の と お り で あ る。p.Anand ,M.B.HolbrookandD.Stephens,1988 /TheFormationofAffectiveJudgments:TheCognitive

−AffectiveModelVersustheIndependenceHypothesis ≒JournalofConsumerResearch ]5(December),pp.386

−391.P.AnandandM.B.Holbrook,1990 バReinterpretationofMereExposureorExposureofReinterpretation?",JournalofConsumerResearch,17(Sept.),pp.242 −244.P.F.Anderson

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リ ア ル タ イ ム・ マ ー ケ テ ィ ン グに 関 す る 方 法 論 的 一 考 察 101

andM ふRyan(eds. ),1984,ScientificMethodinMarketing,AMA.P.F.Anderson1986,"OnMethodinConsumerResearch:ACriticalRelativistPerspective ≒JournalofConsumerResearch,13(Sept. ),pp.155

−173.R.W.Belk,J.F.Sherry,Jr.,andM.Wallendorf,1988,ANaturalisticInquiryintoBuyerandSellerBehaviorataSwapMeet,Journal0/ConsumerResearch,14

(March ),pp.449 −470.L.G.Cooper,1987,"DoweNeedCriticalRelativism?Commentson'OnMethodinConsumerResearch へJournalojConsumerResearch,14

(June ),pp.126 −127.T.B.Heath,1990, “TheLogicofMereExposure:AReinterpretationofAnand,Holbrook,andStephens (1988 )",JournalofConsumerResearch,17

(Sept. ),pp.237 ∼241.S.D.Hunt,1989,"ReificationandRealisminMarketing",JournalofMacromarketing,9 (Fall ),pp.4 −10.S.D.Hunt,1992, “ForReasonandRealisminMarketing",JournalofMarketing,56

(April ),pp,76 −91.S.D.Hunt,1993,"ObjectivityinMarketingTheoryandResearc

にJournal0/Marketine.57 (Aoril )pd.76 −91.M.E.Levin,1991,TheReification −Realism −PositivismControversyinMacromarketing:APhilosopher'sView,JournalofMacromarketing,11

(Spring ),pp.57 −65.D.D.Monieson,1988,IntellectualizationinMacromarketing:AWorldDisenchanted,JournalofMacromarketing,8 (Fall ),pp.4-10.D.D.Monieson,1989,IntellectualizationinMacromarketingRevisited:AReplytoHunt,Journal0/Macro-marketing,9 (Fall ),pp.1ト16,J.P.Peter,1992,"RealismorRelativismforMarketingTheoryandResearch:CommentonHunt's'ScientificRealism'",JournalofMarketing,56(April) ,pp.72 −79,G.M.ZinkhanandR.Hirschheim,1992, “TruthinMarketingTheoryandResearch:AnAlternativePerspective ≒JournalofMarketing,56 (April ),pp.80-88.4 ) 小 河 原 誠 ,『 現 代 思 想 の 冒 険 者 た ち 第14 巻 ポ パ ー ; 批 判 的 合 理 主 義 』, 講 談 社 ,1997 年 ,P.92 レ51Ibid..DD.2 −3.6 )T.S.Kuhn,TheStructureofScientificRevolutions,TheUniversityofChicagoPress,1962 ( 中 山 茂 訳 『 科 学 革 命 の 構 造 』 み す ず 書 房 ,1971 年 )。7 )K.R,Popper,ObjectiveKnowledge ;AnEvolutionaryApproach,Oxford,ClarendonPress,1972 ( 森 博 訳 『 客 観 的 知 識 一 進 化 論 的 ア プ ロ ― チ 』 木 鐸 社 ,1974 年 ,p.244 )。8 ) 関 雅 美 〔 前 掲 書Jp.22 。9 ) こ の 「 満 足 の い く 説 明 」 と は , 一 般 に , 被 説 明 項 が 説 明 項 か ら 導 出 さ れ ね ぼ な ら な い と い う 要 請 , ま た 説 明 項 は 真 で あ る べ き だ と い う 要 請 , さ ら に , 説 明 項 は 被 説 明 項 を 論 理 的 帰 結 と し て 含 意 す る こ と に 加 え , 他 の 初 期 条 件 と 結 び 付 い て , 独 立 に テ ス ト 可 能 な 他 の 論 理 的 帰 結 ( 予 測 ) も 含 意 す る , と い う 要 請 を 満 た す 説 明 で あ る 。10 ) ポ パ ー は , 法 則 的 言 明 の 普 遍 性 に 関 し て ,「 数 的 な 普 遍 性 」 と [ 厳 密 な 普 遍 性 ] を 区 別 し た 。 す な わ ち 数 的 な 普 遍 性 と は ,「 十 分 な 時 間 が 与 え ら れ れ ば 枚 挙 可 能 な 全 要 素 に つ い て 言 わ れ う る 性 質 」( 小 河 原 誠 『 前 掲 書Jp.98 』 で あ り , 例 え ば ,「 総 て の 東 証1 部 上 場 製 造 業 に つ い て ,A な ら ば 必 ずB で あ る 」 と い う 言 明 は こ れ に あ た る 。11 )p.KotlerandG.Armstrong,Marketing:AnIntroduction,SecondEdition,Prentice −HallInc.,1990,pp.259 −261.12 ) 市 場 認 知 所 要 時 間(timetoacceptance) と は , 新 製 品 が 市 場 に 受 け 入 れ ら れ る ま で の 所 要 時 間 で あ る 。 「 迅 速 に 顧 客 を 獲 得 で き な い 製 品 は , す で に 顧 客 を 持 っ て い る 製 品 に は 太 刀 打 ち で き な い 」 の で あ り , 市

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場 認 知 所 要 時 間 の 改 善 のた め に は 「 開 発 の 段 階 で 、 で き る だ け 早 い 時 期 に 潜 在 顧 客 を 巻 き 込 む こ と が 必 要」 だ と い う考 え が 、 彼 のRM の根 幹 を な す ( ダ イ ヤ モ ン ド ・ ハ ー バ ー ド ・ ビ ジ ネ ス編 集 部 編 『 未 来 市 場 制 覇 の マ ー ケ テ ィ ン グ 戦 略 』、 ダ イ ヤ モ ン ド 社 、1996 年 、pp.5-6)o 尚 、RM 実 践 者 に は 次 の よ うな 発 想 の 転 換 が 必 要 と さ れ る 。 ① マ ー ケ テ ィ ン グを 長 い 間 支 配 し て き た [ 宣 伝 ・ 告 知 す る ] と い う 意 識を 捨 て 、 製 品 の 開 発 及 び 改 善 に 必 須 の行 為 と し て 、 顧 客 の 側 か ら 企 業 に 接 触 す る 機 会 を 提 供 し 、 顧 客 の 行 動 を 観 察 し 、 情 報 を フ ィ ー ド バ ッ ク す る 姿 勢 を 培 う。 ②顧 客 の ロ イ ヤ ル テ ィを つ か む た め に 必 要 な 顧 客 満 足 度 や 、 サ ポ ー ト ・ 助 力 ・ ガ イ ダ ン ス・ 情 報 の リ ア ル タ イ ムな 提 供 に 重 点 を 置 く。 ③ 情 報 技 術 に よ っ て 、 顧 客 の 行 動 と マ ー ケ テ ィ ン グ の両 方 が ど の よ うに 変 化 し て い る かを 進 ん で学 習 し 、 また 、 組 織 の 中 で の マ ー ケ テ ィ ン グ の新 し い 役 割 に つ い て 考 え る (『 同Jp.7 』。13 ) 『 同 上Jpp.4-5.14 』 『 同 上Jp 。6. こ の点 に 関 連 し て 次 の よ う な 説 明 も 付 さ れ た 。「 コ ス ト 節 約 のた め の オ ート メ ー シ ョ ン の 段 階 を 超 え て 進 む と 、 技 術 と マ ー ケ テ ィ ン グは い ま や 融 合 す る だ け で な く 、 互 い に フ ィ ― ド バ ッ タ し 始 め た … 。顧 客 を 会 社 に 統 合 さ せ る フ ィ ー ド バ ッ ク の 輪 が 生 ま れ 、 会 社 は 市 場 を わ が も の に で き 、 特 注 生 産 も 可 能 に な り、 双 方 の 対 話 が 生 ま れ 、 製 品 は サ ービ ス の方 向 へ 、 サ ー ビ ス は 製 品 へ と 変 質 す る 」(『 同 上 』p.199 )。15 )1983 年 の 論 文 で ハ ント は 「取 引 」 を マ ー ケ テ ィ ン グ論 に 固 有 の 研 究 対 象 「basicsubjectmatter ) と 見 な し た 上 で 、4 つ の群 の 『 基 本 的 被 説 明 項(fundamentalexplananda )』を 提 示 し た 。 す な わ ち 、 第1 群 ; 交 換 の 達 成 に 向 け ら れ る 買 い 手 の 行 動 、 第2 群 ; 交 換 の達 成 に 向 け ら れ る 売 り 手 の行 動 、 第3 群 ; 交 換 の 達 成 お よ び ( も し く は ) 促 進 に 向 け ら れ る 制 度 的 枠 組 み 、 第4 群 ; 交 換 の達 成 お よび ( もし く は ) 促 進 に 向け ら れ る 、 買 い 手 の 行 動 ・ 売 り 手 の 行 動 ・ 制 度 的 枠 組 み の社 会 に お け る 帰 結 と い う の が そ れ で あ る (S.D.Hunt,"GeneralTheoriesandFundamentalE χplanandaofMarketing",JournalofMarketing,Vol.47,Fall,1983,p.13 )。 こ の4 つ の 群 各 々に つ い て 、 マ ー ケ テ ィ ン グ の中 範 囲 の一 般 理 論 を 構 築 す る 場 合 、企 業 の 新 製 品 開 発 は 第2 群 に 含 ま れ る 。 ハ ン ト の 一 般 理 論 に つ い て 、 詳 し く は 以 下 を 参 照 さ れ た い 。 拙 稿 「S.D. ハ ン ト の『 メ タ マ ー ケ テ ィ ン グ 論 』 に お け る 内 的 矛 盾 と 方 法 論 的 問 題 点 」、 堀 田 一 善 編 著『 マ ー ケ テ ィ ン グ 研 究 の 方 法 論 』 中 央 経 済 社 、1991 年 、pp.93 −123.16 )K.R.Popper,ConjecturesandRefutations ;TheGrowthofScientificKnowledge,London,Routledge&KeganPaulLtd.,1963 ( 藤 本隆 志 ・ 石 垣 壽 郎 ・ 森 博 訳 『 叢 書 ウ ユ ベ ル シ タ ス95 推 測 と 反 駁 ; 科 学 的 知 識 の 発 展 』、 法 政 大 学 出 版 局 、1980 年 、pp.765-766.17) 「 強 化 さ れ た ド グ マ 主 義 」 に つ い て は 『 同 上 邦 訳 』 第15 章 第3 節 を 参 照 さ れ た い 。18) 『94 年 商 業 統 計 速 報 』 で は 、「か ぼ ん ・ 袋 物 専 門 店 」 は 、 販 売 額 に お い て 全 小 売 業 の中 で 最 高 の伸 び で あ る39 % 増 を 達 成 し て い る 。19 ) 『SHOES&BAG 流 通 会 社 年 鑑97 年 版 』、及 び『SHOES&BAG 有 力 企 業 名 鑑98 年 版 』ぜ ん し ん 。20 ) 『 需 要 動 向 調 査 報 告 書 ( 衣 生 活 関 連) か ば ん ・ 袋 物 編 』、 中 小 企 業 事業 団 調 査 ・ 国際 部 編 、 平 成8 年 度 、P.48.21 ) ( 同 上 報 告 書Jp 。56. こ れ を 種 類 毎 に 整 理 す る と 以 下 の よ う に な る。 まず 『 旅 行 か ば ん 』 を 購 入 し た き っ かけ は 、「使 う 機 会 が で きた 」 が 男 性47.1 % 女 性50.0 % 、「 店 頭 で 気 に 入 っ た も の を 見 つ け た 」 が 男 性30.0 % 女 性33.9 % 、「 今 ま で と 感 じ が 違 う も の が 欲 し く な っ た 」は 男 性25.7 % 女 性33.9 % で 、こ れ が 上 位3 項 目 で あ る 。 購 入 の 際 の 重 視 点 で は 「 大 き さ 」 が 男 性60.0 % 女 性62.9 % 、[ デ ザ イ ン ・ 形 状 ・ 色 ・ 柄 ]男 性

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リア ル タ イ ム ・ マ ーケ テ ィ ン グ に 関 す る 方 法 論 的 一 考 察 103 50.0 % 女 性59.7 % 、「使 い 勝 手 ・ 機 能 性 」 男 性64.3 % 女 性43.5 % と 、 男 女 の差 が 見 ら れ る。 次 に 、『 紳 士 ・ 書 類 か ば ん 』を 購 入 し た き っ かけ の上 位3 項 目 は 上 と 同 じ で あ り 、順 に 男 性30.7 % 女 性62.5 % 、男 性34.6 % 女 性25.0 % 、 男 性32.3 % 女 性25.0 % で あ り 、 女 性 の 社 会 進 出 の 一 般 化 に よ り 新 市 場 が 拡 大 し て い る こ と が 示 さ れ る 。 ち な み に 「 持 っ てい た も の が壊 れ た 」 は 男 性 で37.8 % と 高 い も の の 、女 性 で はO % で あ っ た 。購 入 の 際 の 重 視 点 で は 、「 デ ザ イ ン 等 」 が 特 に 女 性 で 圧 倒 的 に 高 く 男 性58.3 % 女 性87.5 % 、「機 能 性 」 は 男 性60.6 % 女 性50.0 % 、「大 き さ 」 は 男 性60.6 % 女 性37.5 % で あ っ た 。 次 に 、『 ス ポ ー ツ バ ッ グ 』 を 購 入 し た き っ か け は 、「店 頭 で 」 男 性31.9 % 女 性55.4 % 、「 使 う 機 会」 男 性48.6 % 女 性35.7 % 、「 今 ま で と 感 じ が 違 う も の 」 男 性26.4 % 女 性44.6 % で あ り 、 購 入 の際 の 重 視 点 で は 「デ ザ イ ン 等 」 が 圧 倒 的 に 高 く 男 性65.3 % 女 性75.0 % 、「 大 き さ 」 は 男 性55.6 % 女 性60.7 % 、「 機 能 性 」 男 性51.4 % 女 性58.9 % で あ る。 最 後 に 『 ハ ン ド バ ッ グ 』 を 購 人 し た き っ か け ( 女 性 の み ) は 、「 店 頭 で 」53.1 % と [ 今 ま で と 感 じ が 違 う も の]47.1 % が 圧 倒 的 に 高 い 比 率 で あ り、 購 入 の 際 の重 視 点 で は 「 デ ザ イ ン 等 」 が76.3 % と圧 倒 的 、「機 能 性 」57.1 % 、「 大 き さ 」48.1 % が や は り上 位3 項 目 であ る (『 同 上 報 告 書Jpp.64-79 』。22 ) 『 同 上 報 告 書Jpp.102-103.23 』 世 界1 は 物 的 世 界 ( 物 理 的 状 態 の 世 界 )、 世 界2 は 心 的 世 界 ( 心 的 状 態 の 世 界 )、 そ し て 世 界3 は 「知 性 に よ っ て 把 握 し う る も の の世 界 、 ま た は 客 観 的 意 味 に お け る 観 念 の 世 界 、 思 考 の 可 能 的 対 象 の 世 界 」 で あ り 、 世 界1 と2 、及 び 世 界2 と3 は 、相 互 作 用 が 可 能 で あ る 。つ ま り 世 界2 は 、「 他 の2 つ の 世 界 の そ れ ぞ れ と 相 互 作 用 す る 」 と さ れ る (K.R.Popperf 客 観 的 知 識 ( 前 掲 邦 訳 )Jpp.l76-177 )。 ま た 、 世 界3 の 知 識 は 、 世 界2 と は 独 立 に 存 在 し 、 自律 的 な 発 展 を と げ る さ れ る 。 尚 、「 数 学 者 な ど が 、 問 題 に 対 す る 解 答 を 発 見 し た な ら ば 、 彼 は そ れ を 書 き 下 ろ し 、 印 刷 さ せ る で あ ろ う ム 印 刷 機 は い う ま で も な く 、 世 界1 の 存 在 者 で あ る 。 … 。世 界3 が 世 界2 を 媒 介 に し て 世 界1 に 影 響 を お よぼ す 過 程 で あ る 。 世 界3 の存 在 者 と し て の 電 磁 気 学 の 理 論 は 、 他 の 理 論 と あ い ま っ て 、 世 界2 を 媒 介 に し て 世 界1 に 発 電 所 の よ う な 巨 大 建 造 物 を もた ら し た 」( 小 河 原 誠 ( 前 掲 書Jp 。278) と い う ふ う に 、 方 法 論 研 究 に お い て 世 界3 は 、 そ の 中 心 的 な 存 在 物 で あ る 科 学 的 な 生 産 物 を 意 味 す る 場 合 が 多 い け れ ど も 、 ポ パ ー の 主 張 に よる 世 界3 は 、 人 間 の広 範 な 文 化 活 動 の生 産 物 全 体 を さ す も の だ と 言 う こ と が で き る。 そ し て こ う 考 え る 時 に 、 あ ら ゆ る 業 種 の新 製 品 開 発 担 当 者 の 行 為 を 、 客 観 的 に 解 釈 す る こ と が 可 能 と な る と 思 わ れ る 。24 ) 日 本 袋 物 工 業 連 合 会 編 、『 袋 物 』、1994 年 、P.2L.,25 )r 同 上Jpp.22-24.26 』 『 前 掲 報 告 書 』 )p。186-187,236-237.27 ) 我 が 国 の か ば ん や 袋 物 の 業 界 の 流 通 経 路 全 体 に 関 し て は 、 基 本 的 に は 、 ア パ レ ル 業 界 のそ れ と 極 め て 類 似 し て い る。 最 近 に な っ て 、 フ ァ ッ シ ョ ン 産 業 と し て の 、 我 が 国 か ば ん ・ 袋 物 業 界 全 体 の ポ ジ シ ョ ニ ン グ の 明 確 化 が 必 要 な 段 階 に き て い る よ うに も 思 わ れ る が 、 当 該 業 界 の 製 造 業 者 の零 細 性 と い う 状 況 は 旧 来 か ら 変 わ っ て い な い 。 以 下 を 参 照 さ れ た い 。 拙 稿 「 我 が 国 か ば ん 業 界 に 見 る 中 小 企 業 性 製 品 の 産 地 の 現 状 と 課 題 」『 経 営 論 集 』42 号 、1996 年 、pp.13ト148.28 ) か ば ん 産 地 で あ る 兵 庫 県 豊 岡 市 の業 界 に 対 し て 我 々 が 提 出 し た 公 的 な 報 告 書 は 以 下 の と お り で あ る 。 斜 但 馬 地 域 地 場 産 業 振 興 セ ン タ ー発 行 『 豊 岡 か ば ん モ ニ タ ー 調 査 報 告 書 ; 豊 岡 か ば ん の マ ー ケ テ ィ ン グ 戦 略 に 向け て 』 平 成4 年3 月 。 同 セン タ ー 発 行 『 我 が 国 か ば ん 市 場 に お け る [ 製 品 輸 入 ] の動 向 と 豊 岡 か ば ん 産 地 』 平 成6 年3 月 。 同 セ ン タ ー発 行 『 新 興 か ば ん 輸 出 国 の 現 状 と 豊 岡 か ば ん 産 地 −ASEAN ・ 中 国 製 品 の 現 状 と 豊 岡 か ば ん 産 地 の 戦 略 の方 向 』 平 成7 年3 月 。 豊 岡 鞄 協 会 特 定 中 小 企 業 集 積 活 性 化 事 業 推 進 委 員

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会 発行 『豊 岡かば ん業 界人 有志に よる東 京 ・大 阪・福 岡 の[ かば ん・袋物 売 り場] の 市場 調査 報告 書; 新 製 品 ・新 技術 開発をめ ざし て』平成8 年3 月 。 同委員 会発 行 『豊 岡かば ん業 界人有 志に よる東 京の くかば ん・袋 物売 り場 〉 の市 場調査 報告 書』平成9 年3 月 。 こ れら報 告書 で「産地 問屋」 と産地 内 の 通称を 用い て記 し た 企業 のほと んど総 ては、新 製品 開発を 軽 視し 、安 易な 輸入を 拡大し たこ とに よりそ の活 路を 自ら 失い つ つあ る。 かつて その傘下 に置 かれ てい た零細 製 造業群 の多 く の業 績悪化 は言 うま でも ない こと 竹あ るが 、 しか し反面 、産地 では今 、大 都市 の企業 ( 本稿 で言 う メー カー) と直結 する 中小零 細 事業所 が急 増 して い る。 この新 しい取引 先に は、 人件費 の高 い国 産品 で 現実 に市場 拡大す るだけ の新製 品開 発力 を有 す る企 業 が含 まれ る。 こ うし た取引 に よ り、 技術力 のあ る産地 中 小零細製 造業に 新たな 活路 が拓 か れつつ あ る とい う現 状は、 消費低迷 の中に あ って必 然的 に、 当該業 界におけ る新製 品開 発の重 要性 が示 され た もの と見 て よい であろ う。29 ) フ ァ ッシ ョン業 界 で一般的 に用い ら れるセ レ クト・ シ ョップ とい う呼称は 、(論理的 に は ト ート ロ ジ ー で ある か もし れない が)地域 のフ ァ ッション ・ リ ーダ ーを顧 客 とす る店 とい う意味 であ る。我 が 国の 現在 の 最大 手は 、97年2 月 期売上 高が182億 円弱 であ る。30 ) 小河 原誠( 前掲書J )p。232-233.31) 詳し くは 以下を 参照 されたい 。 拙稿 「マ クロマ ーケ ティ ン グ論 序説 ;漸次的 社会工 学的 アプ ロ ーチに 基づ く研究 構 想」『三 田商学研 究』、32巻4 号、PP.43-57.32 )K.R.PopperT 客 観的知 識( 前掲邦 訳)Jp.258。 (1998 年1 月8 日 受 理 )

参照

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