• 検索結果がありません。

希少ウマ科動物の生息域外保全に向けた繁殖生理に関する内分泌学的研究

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "希少ウマ科動物の生息域外保全に向けた繁殖生理に関する内分泌学的研究"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

Title

希少ウマ科動物の生息域外保全に向けた繁殖生理に関する

内分泌学的研究( 内容と審査の要旨(Summary) )

Author(s)

MUREN

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(農学) 甲第633号

Issue Date

2014-09-24

Type

博士論文

Version

ETD

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/50390

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

(2)

[2] 氏 名(本(国)籍) MUREN(中華人民共和国) 学 位 の 種 類 博士(農学) 学 位 記 番 号 農博甲第633号 学 位 授 与 年 月 日 平成26年9月24日 学 位 授 与 の 要 件 学位規則第3条第1項該当 研 究 科 及 び 専 攻 連合農学研究科 生物生産科学専攻 研究指導を受けた大学 岐阜大学 学 位 論 文 題 目 希少ウマ科動物の生息域外保全に向けた繁殖生理に 関する内分泌学的研究 審 査 委 員 会 主査 岐阜大学 教 授 岩 澤 淳 副査 岐阜大学 教 授 土 井 守 副査 静岡大学 教 授 高 坂 哲 也

論 文 の 内 容 の 要 旨

希少動物の絶滅はその貴重な遺伝資源を失うばかりではなく、生態系全体に大きな影 響を及ぼす要因となる。現在、多くの希少動物は世界中の動物園や各種の保全施設で飼 育下繁殖が試みられ、個体数や遺伝的多様性の確保が行われている。本研究では、絶滅 の危機にある希少ウマ科動物の遺伝的多様性を保ちながら種を維持する生息域外保全 を最終的な目標として、絶滅の危機にある希少ウマ科動物を生息環境や個体数が回復す るまで動物園などの飼育下で繁殖させるための詳細な生理学的な知見を得るために行 われた研究内容である。一般的には、血中の性ステロイドホルモン濃度などの動態を調 査するが、ウマ科動物では継続的な採血は動物個体や採材者に危険が生じる可能性が高 いため困難である。そのため本研究では、糞中の性ステロイドホルモンやその代謝物の 含量の動態を詳細に解析することにより、本種の生息域外保全に有用な繁殖内分泌学的 な知見を明らかにした。 本研究で供試したウマ科希少種は、木曽馬(Equus. caballus)、モウコノウマ(E. przewalskii)、ソマリノロバ(E. africanus somaliensis)およびグレビーシマウマ(E.

grevyi)の4種である。それら4種の糞中プロジェステロン(P4)、エストラジオール

-17β(E2)、エストロン(E1)およびテストステロン含量については酵素免疫測定(EIA)

法により測定し、糞中の性ステロイドホルモン代謝物の同定については,高速液体クロ マトグラフィー(HPLC)と EIA 法の併用により定性分析を行った。

まず、木曽馬の糞中の性ステロイドホルモン代謝物含量における排泄後の経過時間に 伴う変化について明らかにした。その結果、木曽馬の糞中P4含量は採取後6 時間から

(3)

増加傾向を示し、糞中E2やE1含量は採取後約60 時間から増加し始めることが判明し た。また、卵巣周期が23.6±1.7 日間、繁殖季節が 5~11 月であることを明らかにした 上で、妊娠期の内分泌状態も糞中に排泄されるステロイドホルモン代謝物含量の動態か ら明確にすることができた。 次に、モウコノウマ、ソマリノロバおよびグレビーシマウマの繁殖内分泌学的な知見 を得るために、糞中の性ステロイドホルモン含量を長期間測定して各々の種の卵巣周期 や繁殖季節などの繁殖学的特性について明らかにした。さらに、飼育環境の違いなどか ら種の持つ繁殖学的な特性が変化することも認められたことから、生息域外保全を行う 上で必然的に飼育環境から受けるウマ科動物種への繁殖学的な影響についても多く解 明できた。 最後に、これまでのモニタリングの成果を受け、ウマ科希少種の特に妊娠期における 糞中に排泄される性ステロイドホルモン代謝物を HPLC により解明した。本研究では 便宜的に妊娠期を前期、中期、後期の3期に等分して、各々の時期における糞中の性ス テロイドホルモン代謝物を同定した結果、妊娠期のどの時期においても、P4代謝物と して主に5α-pregnane-3β-ol-20-one や 5α-pregnan-3,20-dione が検出され、P4自体 は排泄されていないことが判明した。またエストロジェンの場合には主に糞中から E2 やE1を同定した。 本研究の成果から、繁殖学的な特性や糞中に排泄される性ステロイドホルモン代謝物 の種類などについては調査した希少ウマ科動物種内で明確な違いが認められなかった ことから、糞に排泄されたこれらの代謝物を包括的に捉えることができる本法を用いれ ば、希少ウマ科動物種の繁殖内分泌動態を有効にモニタリングできることが判明した。 本研究の成果は、今後のウマ科希少種の生息域外保全とその対策の立案に大いに貢献で きるものと考えられた。

審 査 結 果 の 要 旨

本論文は、ウ マ科希少動物である木 曽馬(Equus. caballus)、モウコノウマ(E. przewalskii)、ソマリノロバ(E. africanus somaliensis)およびグレビーシマウマ(E. grevyi)の繁殖生理を明らかにするため、これらの種の春機発動機、発情周期、妊娠期中な どの糞中の性ステロイドホルモン代謝物の動態の詳細を明らかにし、さらに高速液体クロ マトグラフィーにより妊娠期の糞中のステロイドホルモン代謝物を解析した。これらの成 果は、希少で貴重な遺伝資源の保存計画を立案するために必須であり、それぞれの種の生 息域内外の保全を行うためには必要な情報となる。 先ず、ウマ科動物の糞中の性ステロイドホルモン代謝物含量における排泄後の経過時間 に伴う変化について明らかにするため、非妊娠期の木曽馬の直腸糞を採取して、採取後168 時間以内の糞中の性ステロイドホルモン代謝物含量の動態について検討した。その結果、 黄体期と非黄体期に採取した糞中プロジェステロン含量は採取後6 時間から増加傾向を示 し、また糞中エストラジオール-17βとエストロン含量については採取後約 60 時間から増 加し始めることが明らかとなった。これらの結果は、ウマ科動物の腸内細菌の作用などに

(4)

より、測定に使用した抗体と交叉反応する代謝物が時間の経過とともに増加することが 明らかとなった。このことから、排泄された糞中のステロイドホルモンやその代謝物の 含量を測定する場合には、これらの増加を必ず念頭に置いて結果を判定する必要があり、 また排泄後の糞サンプルの採取時間も一定でなければならないことを示した。さらに、 木曽馬の繁殖生理を明らかにするために、この結果を踏まえて一定の時間帯に糞を採取 し、糞中の性ステロイドホルモン含量を長期間にわたって測定した。その結果、卵巣周 期(±SD)が 23.6±1.7 日間であり、通常の繁殖季節が 5~11 月であることを明らか にした。またなかには、周年繁殖が可能と思われる個体も存在することが判明した。 次に、モウコノウマ、ソマリノロバおよびグレビーシマウマの繁殖内分泌学的知見を 木曽馬と同様の方法で明らかにした。その結果、これら3 種の卵巣周期はそれぞれ 26.8 ±1.1、22.7±2.9 および 26.2±2.0 日間であった。また、国内飼育下のモウコノウマの 通常の繁殖季節は3・4 月~翌年 1 月までであり,冬の約 2 ヶ月間のみ卵巣休止期が認 められたが、年によっては周年繁殖を示す個体も観察された。一方、国内飼育下のグレ ビーシマウマの非繁殖季節は12 月~翌年 4 月であったが、なかには周年繁殖の傾向を 示す個体も認められた。 最後に、ウマ科希少種の妊娠期の糞中の性ステロイドホルモン代謝物の同定を行った。 ステロイドホルモンは主に肝臓で代謝されてから体外に排出するため、妊娠の各時期で 糞中に排泄される性ステロイドホルモン代謝物が異なる可能性が考えられる。そこで、 各々の種で妊娠期間中の異なる時期に排泄される代謝物の種類の違いを明らかにする ため、プロジェステロン抗体を用いて高速液体クロマトグラフィーと酵素免疫測定法を 併用して検討した。その結果、本研究で供試したどのウマ科動物種においても、糞中か ら主に5α-pregnane-3β-ol-20-one と 5α-pregnan-3,20-dione が検出され、プロジェ ステロンはほとんど排泄されていないことが判明した。また、全ての種の妊娠期の糞中 にはエストラジオール-17βとエストロンが主に排泄されていることが同定できた。こ れらの結果から、糞中に排泄される性ステロイドホルモン代謝物には、調査した希少ウ マ科動物種内では明確な違いが認められなかったため、これらの代謝物を捉える測定法 により、ウマ科動物の各種の内分泌動態を正確にモニタリングできることを明らかにし た。これらの成果は、今後の国内外のウマ科希少種の生息域内外保全やその保全対策の 立案に大いに貢献するものと考えられた。 以上について,審査委員全員一致で本論文が岐阜大学大学院連合農学研究科の 学位論文として十分価値あるものと認めた。 基礎となる論文

1)Identification of Fecal Sex Steroid Metabolites and Evaluation of Ovarian Cycle and Pregnancy in Somali Wild Ass (Equus africanus somaliensis). Japanese Journal of Zoo and Wildlife Medicine, 19(2): 49~55, 2014.

2)糞中の性ホルモン動態からみた木曽馬とモウコノウマの卵巣周期および妊娠の比 較.日本野生動物医学会誌,印刷中,2014.

参照

関連したドキュメント

視することにしていろ。また,加工物内の捌套差が小

 彼の語る所によると,この商会に入社する時,経歴

断面が変化する個所には伸縮継目を設けるとともに、斜面部においては、継目部受け台とすべり止め

Instagram 等 Flickr 以外にも多くの画像共有サイトがあるにも 関わらず, Flickr を利用する研究が多いことには, 大きく分けて 2

ニホンイサザアミ 汽水域に生息するアミの仲間(エビの仲間

経済学研究科は、経済学の高等教育機関として研究者を

廃棄物の再生利用の促進︑処理施設の整備等の総合的施策を推進することにより︑廃棄物としての要最終処分械の減少等を図るととも

41 の 2―1 法第 4l 条の 2 第 1 項に規定する「貨物管理者」とは、外国貨物又 は輸出しようとする貨物に関する入庫、保管、出庫その他の貨物の管理を自