子どもの
自発的
学習活動を促進する授業展
開について
発問およびワークシートの工夫を通して 専 攻 高度学校教育実践 コース 教員養成特別コース 指 名 中 林 大 1 研究の動機 l年と半年間の実習を経験して,学習に対して 自発的でない児童への指導の難しさというもの がもの凄く強く感じられた。その分、自分の授業 では児童が自発的に学習に取り組むことができ るような授業を展開したいという思いが強くな った。しかし、学習の場面で児童に自発性を持た せたいという思いが強くなる一方、今の自分の授 業カでは、こんなにも理想とかけ離れた授業しか 実践できないのかという悔しい想いを感じた。そ して、もっと児童の自発性を引き出す学習内容を, 学習活動に取り入れた授業を実践したいという 煙、いから本研究課題を設定した。 自発性を高めるためには,児童に学習に対する 意欲を持たせることだと言われている。また奈須 は, “意欲には内発的意欲と外発的意欲があり, 内発的意欲のー要因として知的好奇心が関わっ ている"と述べている。扇田は“基礎概念を深め ると転移が容易になる"と創造的な学習の中核に 位置づけている。つまり創造的な学習とは先行経 験や既存知識から転移して、学習内容と繋がる新 しい知識を見つける学習のことだと述べている。 新しい知識の発見を通して、個性を発揮できるよ うになり,その経験から自尊心を高め、自発性を 実習責任教員 葛 上 秀 文 2.本研究の目的と方法 本 研 究 で は l年 半 年 間 の 実 習 の 中 で 実 践 し た 授業を,前述した3つの学習活動の観点から考察 することで,児童の自発的学習活動が促進される 授業展開について考察してし、く。 本研究の方法は以下の通りである。 (1)授業実践の時期を「実習 1年次後期Jr
実 習2年次前期Jr
実習 2年次後期Jの 3期に区 分する。 ( 2)各授業実践のねらいと課題を以下の3つの 視点から整理する。 1)授業の設計 2)一斉における学習支援(発問,板書) 3)個別における学習支援(ワークシート) (3) (2)の活動から明らかになった:各授業実践 の課題を、以下の3観点から考察し,自発的 学習活動についての考えを示す。 1)知的好奇心を高める学習活動 2)創造的な学習活動 3)学んだことが身についたと実感できる学習 活動 (4 )考察から明らかになったことを踏まえて、 今までの実践授業の改善を行う。 高めていくのであると示している。それに加え 3 実践授業のねらいと課題 自身の経験から学んだことが身についたとしづ 本研究で扱った授業実践は以下の 6実践であ 成長を確認する学習活動を通じて,自発的な学習 る。 が促進される 3観点としている。 4年 生 理科「ものの温度とかさJ(林崎小学校)4年生 国語「いろいろな意味を持つ漢字」 4年 生 国 語 「 漢 字 の 広 場1J
4
年 生 算 数 「 お よ そ の 数J(3
.
4
時間目) 4年 生 算 数 「 お よ そ の 数J(5時間目)4
年 生 理 科 「 も のの温度とかさJ(鳴門西小学 校) 以上の各6
実践のねらいと課題を, 1)授業の設計 2)一斉における学習支援(発問) 3)一斉における学習支援(板書) 4)個別における学習支援(ワークシート) の計4
つ観点において整理した。4
.
考察 均的好奇心を広める学童'1M
!I!/; 一期の反省から二年次の授業実践では、学習活 動において児童の知的好奇心を高める授業設計 がなされている。国語「漢字の広場」では地域マ ップと3
年生で習った漢字をまとめたワークシ ートを用意することで、児童は町の綴子を紹介す る文章の中に3
年生で習った漢字を使うことが できている。算数「およその数J (3. 4時間目) では概数の元の数の範囲を求める方法を探す活 動、 「およその数J (5
時間目では)大きな数を 概数にする理由を求める活動により、児童の知的 好奇心を高めるための学習活動が設計されてい る。また、理科「ものの温度とかさJ (鳴門西小 学校)の学習活動も、授業設計の段階では予想、に 必要な手掛かりを提示することによって児童の 知的好奇心を高める学習活動を用意していた。し かし、実際の授業実践では,教師の教材理解面で の問題,学習活動を提示する面での問題,授業進 度面での問題がそれぞれ明らかになった。しかし、 三期に実践した3
つの授業実践によって明らか になった問題から、それまであまり問題視できて なかった発問の重要性についても認知できるよ うになった。 発問の面では一期、二期、三期と時期を重ねる につれて知的好奇心を高める学習活動における 問題が明らかになってきた。その一つに教師が必 要以上に説明し過ぎるという問題がある。私は一 期の授業実践を通して,学習に対して蹟いている 児童に対しての支援を意識するようになった。し かし,意識をし過ぎているために情報が交錯し、 重要な発問や基軸となる学習の活動が児童に伝 わっていないということが明らかになった。特に 算数「およその数Jの授業実践では、児童が発表 した問題の解答をもう一度教師が説明するとい う場面が何回も見られる。この考察から発問を効 果的に児童に伝えるためには、必要以上に教師が 喋らないことが重要だということが明らかにな った。 一期の授業実践、理科「ものの温度とかさJ(林 崎小学校)では、ワークシートに書き写すという 活動のために提示されたものでしかなかった。そ の反省から2
期以降の授業実践ではワークシー トとは異なるものを板書するようになった。理科 「ものの温度とかさJ (鳴門西小学校)の実践で は、ワークシートを基盤としたが、始めから児童 の発表を板書するのではなく、文章の問にプラン クをつくることによって、自分で適切な言葉を埋 めるという知的好奇心を高めるための活動も取 り入れることができた。しかし、算数「およその 数」の授業実践では、計画通り板書を行うことが できないという問題が明らかになった。 国語「いろいろな意味をもっ言葉jの授業実践 のワークシートでは言葉の意味を記入する欄を6
っとワークシートによって指定してしまった ため、活動に制限をかけてしまい、児童の知的好 奇心を阻害してしまった。このことから国語「漠字の広場Jでは文章を記すスペースを十分に取る ことで、児童の知的好奇心を存分にワークシート に書き込めるような改良を加えた。しかし、算数 「およその数」の授業実践時に、メンターから学 校指定の学習教材もあるので、そっちも使用して 欲しいと言われた。学校指定の学習教材は、児童 の学習の証になるものでもあるので、私もそっち を優先した。自作ワークシートを作成することも 重要であるが、既存する教材を使って児室の知的 好奇心を高める工夫もできるということに気付 くことができた。 創 建fllJl:t学童i'ttf!fJザ 理科 fものの温度とかさJ(林崎小学校)の授 業実践では、水の性質という児童の先行経験や既 存知識を深める活動を行ってこなかったため、水 の性質に対する新じい知識の予怨への支援が不 十分であった。この授業実践を生かし、三期に実 践した理科「ものの温度とかさJ(鳴門西小学校) の授業実践では水に対する知識の確認を通して 実験の予想をたてるという授業設計をたてた。ま た、国語「漢字の広場Jの授業実践では三年生で 習った漢字という児童の先行経験や既存知識に あたるものをワークシートにまとめて配布した ことで、児童たちは三年生で習った漢字を使って、 自発的に文章を創造していく様子が見られた。し かし、算数「およその数J(5時間目)の授業実 践のように、先行経験や既存知識にあたるものが 概数の定義という自に見えないものであるとい う場合には、経験 ・知識を深めていくこと自体が 困難であり、創造的な学習活動を設計することが 難しくなるということが明らかにできた。 算数「およその数J(5時間目)の様に自に見 えないものを深めていくためには、言葉によって 先行経験や既存知識を確認していくことが殆ど になる。この算数の授業実践では発問があやふや であったため、経験・知識を深めていくことがで きなかった。この実践から創造的な学習活動のた めには、発問や教材が重要になるということがよ りはっきり分かつた。 国語「漢字の広場」では三年生で習った漢字を ワークシートにまとめて配布した。実際にこの授 業でのワークシートによる創造的な学習活動の 支援は効果的であり、児童の自発的な活動にも繋 がった。理科「ものの温度とかさJ(鳴門西小学 校)の授業実践では、児童から出てきた先行経験 や既存知識は黒板に板書するよう授業を設計し ていた。この 2つの用途の違いは学習活動の重点 をどこに置いているかで違った。国語では経験よ りも知識が優先される。しかし、理科知識よりも 経験が優先された。児童から出てくる経験とは予 知することが極めて困難であるため、授業の中で 確認していくことが望ましい。こういった授業の 中で確認していく学習活動が望ましい際にはワ ークシートではなく、板蓄を通して創造的な学習 活動を促した方が効果的だということが明らか になった。 学んだごとが身についたと葉原できる学
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身 児童に学びを実感させるために、教師は児童の 得た確信を学んだ内容なのだと意識化させてや れば良いのである。つまり授業のまとめを通して、 児童に学習内容の意識化してやれば良いのだが、 授業のまとめは今まで授業実践の中でも実践し てきている。このことから、今までのように授業 の最後にわかったことを書かせたり、教師が授業 内容をまとめて再確認するだけでは意識化が弱 いということが分かつた。また、学習したことを 言葉や印など視覚的に表すことで、強く意識化さ せることができる。言葉に記す際には、必ずでき なかったこととできるようになったことの両方を記すことで、できるようになったこと強く意識 は定義できないが、順序性があることが明らかに 化させることができる。これらの例のように、学 なった。 習した内容だけでなく、今までできなかったこと に焦点を当てることで、学んだことが身に付いた と実感できるのだということが明らかになった。 理科や算数だと予想が確信に変わった,求めら れないものが求められるようになった,と問題な どを通して具体的に自分の成長を見ることがで きる。しかし,国語の実践では新しい見方を知っ た,改めて知ることができたという学びであり, 具体的に自分の成長を見ることが難しい。偶然で はあるが,今回の国語の授業実践では,いずれの 授業でも学習した内容を具体物にまとめる活動 をしている。この実践のように学習した内容を具 体的に見ることが難しいのであれば,具体物にま とめるという活動を通すことで,学んだことが身 に付いたと強く意識化することができるという ことに気付けた。 El