滋 賀 大 学 教 育 学 部 紀 要 自 然 科 学 No。47, PP.41-46,1997
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ロ ジ ス テ ィ ッ ク モ デ ル に お け る信 頼 領 域
山
添
史
郎
Confidence Regions of L、ogistic Model
Shiro YAMAZOE
Abstract
Quantal response analysis is concerned with the relationship between dependent and re-sponse variables. Various algebraic forms have been proposed for the response relation-ship. In this paper we present the"exact"confidence regions for the logistic model with two parameters, The confidence region is constructed by the method which is applied by Sterne to the problem of determining confidence intervals for the proportion parameter in aBinomial Distribution. 1.は じ め に 本 論 文 に お い て は量 ・効 果 関 係 モ デ ル にお け る信 頼 領 域 を 作 る問 題 を 考 え る。 量4を 決 あ て 一 つ の反 応 を観 測 す る と き、 反 応 が お こ る確 率 を ρ(4)と す る。 η レベ ル 砥 碗 …,偽 で 反 応 を観 測 し、 そ の結 果 か ら反 応 曲線 ρ(4)ま た は ρ(の に 関 す るパ ラ メ ー タ につ いて の推 測 が 行 な わ れ る 。dを 薬 剤 の 投 与 量 、 ρ(の を そ の 投 与 量 で の 治 験 効 果 を生 ず る確 率 、 また は副 作 用 を 生 ず る 確 率 とす る と この反 応 曲線 ρ(の は 一 般 に は単 調 増 加 関 数 と み な さ れ 、 ふ ろ うS 字 曲 線 が モ デル と して使 わ れ る。 母数 を持 つ モ デ ル と し て は ロ ジ ス テ ィ ッ ク、 プ ロ ビ ッ ト、 ホ ッケ ー ス テ ィ ッ ク とい った もの が よ く使 わ れ る。 反 応 確 率 ρ(の を パ ラメ ト リッ クな数 式 モ デ ル と し て 推 測 す る の はLD,。 、 ED5。、 す な わ ち、 ρ(4)=0.5と な るd、 ま た は実 質 的安 全 量 、 す な わ ち、 εを10-6な ど とい った ご く小 さ い確 率 と し て ρ(4)=ε を み た す4を 推 測 した い た あ で あ る。 この よ うな量 を推 測 す る と き単 に点 推 定 と して で は な く信 頼 領 域 を求 あ る こ とが必 要 と な る。 量 ・効 果 モデ ル にお け る信 頼 領 域 は近 似 定 理 を 使 う こ と に よ って行 な わ れ て い る4)。上 記 に 示 した 例 な どで は観 測 個 数 はそ れ ほ ど大 き く は な い。 また設 定 され るモ デ ル に よ って信 頼 領 域 が 大 き く変 化 す る こ とが予 測 され る。 特 に実 質 的 安全 量 の 推 測 は外 挿 問題 で あ るの で モ デ ル に 大 き く依 存 す る。 従 って近 似 理 論 に よ って で は な く、 正 確 に計 られ た信 頼 領 域 が必 要 とな る。 二 項 分 布 の 信 頼 区 間 を 構 成 す る方 法 と して Sterneに よ る もの が あ る1)。そ の方 法 は信 頼 水 準 を正 確 に計 算 して作 って お り、 かつ 信 頼 区間 の 長 さ の 総 和 を 最 小 に す る と い う よ い性 質 を も って い る。 しか し この方 法 で も とめ られ た信 頼 区間 は単 一 の 区間 とは な らな い。 そ の点 を修 正 し た の がCrow z)、 Yamazoes)で あ る。 Sterne')に よ る方 法 は 確 率 を 正 確 に 計 算 す る こ と、 計 算 機 に よ る解 が 得 や す い こと の特 徴 を もつ 。Sterneの 方 法 は各 パ ラ メー タを とあ て 、 そ の分 布 の値 を大 き い方 か ら集 め て そ の和 が 信 頼 水 準 δま で 集 あ た もの か ら信 頼 領 域 を 構 成
42 山 添 史 郎 して い く。 この方 法 を以 下 で最 大 確 率 法 と よぶ こ とにす る。 2.ロ ジ ス テ ィ ッ ク モ デ ル 量dに 応 じて 反 応 す る確 率 ρ(の が ρ(4)=1/exp(a一,8d) で与 え られ る と き、 そ の量 ・効 果 モ デ ル を ロ ジ ス テ ィ ッ ク モ デ ル と い う。 量d.は 正 の み の 値 を と る場 合 が 多 い が 、 こ こで は そ の 対 数 値 を と った と考 え、 全 実 数値 を と る も の とす る。 ま た 量 ・効 果 モ デ ル はdに 関 し、 単 調 増 加 と仮 定 す る こ とが多 く、 こ こで β>0と す る。 本 論 文 の 目的 は α、 β の 同 時 信 頼 領 域 を 求 あ る こ と で あ る。 反 応 を み るdの レ ベ ル の 個 数 を 魏 と し、各 レ ベ ル を4置く42<… 臨 と す る。 各 φ に お い て η`個の 互 い に 独 立 な 実 験 を 行 な い、 そ れ ぞ れ 鳥 個 の反 応 を 観 測 し た と す る。 この 事 象 の 確 率 は ・一爵(琵:)p(d;)触(1-p(の)帖 で 与 え られ る 。 尤 度L=五(α,β)を κ=(々1,々 、, ・・、 々の の 関 数 と み て、 そ の 値 が 大 き い 方 か ら 順 に 加 え 、 そ の 和 が 信 頼 水 準 δ に 達 す る ま で の κ の 集 合 を 且(α,β)と す る 。 こ の 且(α,β) を 仮 説 検 定 の 用 語 を 流 用 して 許 容 域 と い う。 κ。 =(瑠 ,・・、 規)を 観 測 し た と き の 信 頼 水 準 δ の 信 頼 領 域 は β(κo)={(α,β);κ 。∈ 五(α,β)} で与 え られ る。 この最 大 確 率 法 に よ っ て得 られ た信 頼 領 域 の良 さの 一 つ は許 容 域 五(α,β)が 一 様 に κ=(島 ,・・、たの の 最 小 個 数 か ら成 り た っ て い る こ と で あ る。 従 っ てB(初 が 有 界 で あ る な らば Σ{β(紛 の 長 さ}が 最 小 で あ る 信 頼 領 域 を最 大 確 率 法 は与 え て い る。 こ の こ と は必 らず し も8(初 が 一 様 に最 小 の 信 頼 領 域 を与 えて い る こ とに はな らな いが 、 最 大 確 率 法 よ り も一 様 に小 さ い信 頼 領 域 の 存 在 しな い こ と を意 味 して い る。・ 最 大 確 率 法 の よ い点 は 離散 型 分 布 の 場 合 に は、 計 算 機 の助 けを か りて で は あ るが 、 正 確 に信 頼 水 準 δの 信 頼 領 域 を与 え る こ と が で き る こ と で あ る。 一 方 この方 法 の欠 点 は求 め られ た信 頼 領 域 が 必 らず しも単 一 の 閉 領 域 を与 え る わ け で は な い こ とで あ る。 この こ と は二 項 分 布 の場 合 に も指 適 され 、Sterneの 方 法 は 修 正 さ れ て、 同 じ最 小 性 を もち、 か っ 、 単 一 の区 間 か らな る 信 頼 区 間 を 持 つ よ う な 方 法 が 提 出 さ れ て い る島3)。 ロ ジス テ ィ ック モ デ ル に お け る α、β の最 尤 推 定 量 は対 数 尤 度 を 微 分 した Σ(島 一 ηの`)=0 ` Σ(ん`一np;)d;=0 ` を み た す α、 β を 求 め れ ば よ い 。 こ こ で A=メ 》(d;)=1ノ(1+exp(α 一 β(Z∫)) で あ る。 また情 報 行 列 をJと す る とそ の 各 成 分 は J11=Σ π`ρ`(1一 ρ ガ) JL2=J2L=一En;d;p;(1-p;) 」22=En,d;p,(1-p;) で 与 え ら れ る 。 π=En;が 大 き い と き は v冤{((名 β),一(α,β)'} が 近 似 的 に2次 元 正 規 分 布N((0,0)',J一`)に 分 布 す る4)。 よ っ て ノ ー((0,9)一(・ β))J((琴)一(琴)) は 自 由度2のx2分 布 に近 似 的 に従 う。 3.例 ロ ジ ス テ ィ ッ ク モ デ ル に 対 し最 大 値 法 で 信 頼 領 域 を 求 あ る に は パ ラ メ ー タ α、 β を 細 分 化 し、 か く α、 β に 対 して 与 え ら れ た ん=(島,鴨 ん。) が 許 容 域A(α,β)に 入 る か ど うか を 決 め れ ば よ い 。 ま ず 観 測 レ ベ ル は 刎=4と し、 各 レ ベ ル をd,=一1.5、42=一 〇.5、43=0.5、d,=1.5 と し、 観 測 個 数 は 一 定 のn,=4と し た 。 反 応
ロ ジ ステ ィ ッ クモ デ ル に お け る信 頼 領 域 43 Tan-1(β) 90 80 評 黙r繭 筑 出轟樽 融 一讃騰響 ぎ卿 磯 押r轡謬 闘 げ 一箪" 繍 傭 一 庸 洲酬野
醤 難 轟轟薯難 難 鋳
4 r 訓 ρ 螺 螺嚢 璽 …畿 一藷 慨 鋼 軒 癌ゆ 斑岬 峨{1選
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噸 羅 ・
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﹁ 31 一驚霧
4 魂 ■1 0 1 2 最 大 確 率 法 に よ る信 頼 領 域(掛 け線 部 分) 信 頼 水 準 観 測 レベ ル 一1.5-0。5 0.5 1.5 観 測 数 4 4 4 4 反 応 数 1 1 4 4 図2 10gisticモ デ ル の 信 頼 領 域 3 0.95 4 α 544 山 添 史 郎 Tan曹1(β) ●o ●o " ●o 60 翼 、。 80 10 一ノ
7
4 曝 一1 0 1 3 信 頼 水 準 0.95 実 線 最大 確 率 法 に よ る信 頼 領 域 鎖 線 近 似定 理 に よ る信 頼 領 域 × 印 最 尤 推 定 量 観 測 レベ ル 一1.5-0.5 0.5 1.5 観 測 数 10 10 10 10 反 応 数 0 3 7 10 図3 10gisticモ デ ル の 信 頼 領 域 4 α Tan一 箇(β) 90 oo 馳 、、 、 × " 60 50 30 20 is﹁
4 4 ,1 o , 2 信頼水 準 0.95 実 線 最大 確率法によ る信頼領域 鎖 線 近似定理 による信頼領域 × 印 最尤推定量 観測 レベル 一1.5-0.5 0.5 1.5 観測数 10 10 10 10 反応数 0 3 9 10 図410gisticモ デ ルの 信 頼 領 域 4 αロ ジ ス テ ィ ック モ デ ル に お け る信 頼 領 域 45 Tan曹 ●o 80 "
\こ.
⑩ go 20 ⑩ 4 4 (β) 4 4 -1 0 1 2 信 頼 水 準 0.95 実 線 最 大 確 率 法 に よ る信 頼 領域 鎖 線 近 似 定 理 に よ る信 頼 領 域 × 印 最 尤 推 定 量 観 測 レベ ル 一1.5-0.5 0.5 1.5 観 測 数 20 20 20 20 反 応 数 0 6 14 20 図510gisticモ デ ル の 信 頼 領 域 3 4 α 5 ♪(4) 2 4 6 図5の 最 大 確 率 法 か ら作 ったρ(4)の 信 頼 区 間 図6 反応確率の信頼領域 個 数 がk,=0、 々2=1、 々3=3、 ん4=4の 場 合 の 信 頼 水 準 δニ0,95の 信 頼 領 域 を 図1に 示 す 。 図1で 黒 い 点 を う っ て あ る領 域 が 信 頼 領 域 で あ る 。 母 数 β は ρ(4)=÷ で の 傾 き を 示 す た あ 図 で はTan一'(β)で 示 した 。 単 位 は 角 度 で あ る。 観 測 レベ ルが4=0に 対 称 、 か つ 反 応 値 も対 称 で あ るか ら信 頼 領 域 も α=0に 関 し対 称 に な っ て い る。 また この 例 の 場 合 も信 頼 領 域 は単 一 の 閉 領 域 に は な って いな い。 二 項 分 布 の場 合 もそ うで あ っ たが 、 得 られ た信 頼 領 域 は圧 倒 的大 部46 山 添 史 郎 分 を 占あ る一 つ の閉 な領 域 と少 しは な れ た ご く 小 さな 点 の 集 合 と な って い る。 最 大 確 率 法 で信 頼 領 域 を求 あ る場 合 最 大 の部 分 の み を求 め る こ とで ほぼ 十 分 と考 え られ る。 この部 分 の み を求 あ るた あ の プ ロ グ ラム実 行 時 間 は も との信 頼 領 域 を求 め る もの よ り もは るか に短 縮 で き る。 以 下 信 頼 領 域 を求 あ る場 合 最 大 部 分 の み を求 め表 示 す る。 同 じ条 件 の 下 で 反 応 個 数 が ゐ=(1,1, 4,4)の 信 頼 領 域 を図2に 示 す。 この 場 合 は非 対 称 で あ る。 図3は 最 大 確 率 法 と情 報 行 列 を 用 い て求 あ た 信 頼 領 域 を共 に示 した。 鎖 線 で示 した 領域 が情 報 行 列 を 用 い た もの で あ る。 この 領 域 は α、β の楕 円 とな る の で あ るが 、 β の方 をTan-1(β) で示 した た あ、 上 に つ ま った 形 に な って い る。 この 場 合 観 測 個 数 が 各 レベ ル で10個 ず っ と図 1の 場 合 よ り大 き く、信 頼 領 域 は小 さ くな って い る。 な お正 規 近 似 に よ って 求 め た 信 頼 領 域 は 最 大 値 法 に よ って求 あ た もの よ り小 さ くで が ち で あ る。 図4は 観 測 個 数 が 同 じ く10個 ず つ の 場 合 に 反 応 個 数 が ん篇(0,3,9,10)と 非 対 称 の 場 合 の信 頼 領 域 で あ る。 分 布 を決 め る母 数 α、β以 外 も分 布 の 信 頼 領 域 か ら求 あ る こ とが で き る。 例 え ば各 ρ(4)の 信 頼 区 間 を 図示 した のが 図6で あ る。 図5は も と の α、β の最 大 値 法 に よ る信 頼 領 域 を 示 した。 この信 頼 区 間 に"正 確 な"も ので な く信 頼 水 準 は δ;0.95よ り大 き くな っ て い る。 4.結 論 環 境 中 の化 学 物 質 や 医 薬 品 の安 全 性 を考 え る と き、 何 らか の モ デ ル を設 定 し得 られ た観 測 値 か らパ ラメ ー タを推 測 し、 外 挿 して実 質 的 な安 全 量 を推 定 す る こ とが行 な わ れ る。 この よ うな 場 合 、 推 定 は信 頼 区 間 に よ って行 な わ れ る こ と が望 ま しい。 この場 合 い くっ か の パ ラ メ ー タを 持 つ分 布 を仮 定 し、 デ ー タの個 数 が大 き い と き、 パ ラ メ ー タの信 頼 領 域 を 中心 極 限定 理 を利 用 し て求 あ る こ とが 多 い 。本 論文 で は分布 を正 確 に 計 算 し、 そ の 信 頼 領 域 を 与 え る新 しい 方 法 を試 み た。 この 方 法 で は得 られ た 信 頼 領 域 が 信 頼 水 準 を正 確 に計 算 し、 与 え た信 頼 領 域 も小 さ い も の で あ る こ とが 示 され る。 こ こで 与 え た の は2 つ の 母 数 を もつ ロ ジ ス テ ィ ック モ デル に限 った が 、 他 の モ デル に対 して も適 用 可 能 な もの で あ る。2つ の 母 数 を含 む た あ信 頼 領 域 を 求 あ る プ ロ グ ラム を 実 行 す る に は レベ ル 数 が4、5個 で そ れ ぞ れ の レベ ルで の観 測 個 数 が10か ら20あ た りで は10数 分 で 得 られ る もの で あ る。 そ の 意 味 で も最 大 確 率 法 は実 用 可 能 な手 法 とい え、 ま た他 の近 似 方 法 に対 す る規 準 を与 え る とい え よ う。 参 考 文 献
1) Sterne, T. E.(1954). Some remarks on con・ fidence or fiducial limits. Biometrika 41, 272-278.
2) Crow, E. L.(1956)。 Confidence intervals for proportion. Biometrika 43,423-435. 3) Yamazoe, S.(1993). Confidence belts.for the binomial parameter. J. Japan Statist. Soc.23,161-169.
4) Brand, R. J。, Pinnock, D。 E. and Jackson, L
(1973).Large Sample Confidence Bands
for the logistic response curve and its in。 verse. American Statistician.27,157-160.