３．「地域資源を活用した地域自らが担う良好な生活環境の維持･創出」（再生時間:４３分）

全文

(1)地域資源を活用した地域自らが担う良好な生活環境の維持・創出独立行政法人建築研究所岩田司.

(2) 日本の住宅 7.40% 41.06% 58.94%. 木造. RC・S造等. 92.60%. 木造. RC・S造等. • 住宅戸数. 44.65% 55.35%. 一戸建. 共同住宅等. – 49,614,800戸平成20年：土地住宅統計調査.

(3) 福島住宅 2.67%. 21.32%. 78.68%. 木造. RC・S造等. 木造. RC・S造等. • 住宅戸数. 26.67% 73.33%. 一戸建. 97.33%. 共同住宅等. – 699,500戸平成20年：土地住宅統計調査.

(4) 日本のまち＝自然素材のまち • 材料自然素材 – 木（構造材、壁、床、天井、家具、屋根） – 土（壁、床、舗装） – 竹（木舞、内装、簾） – 紙（障子、襖、壁紙） – 茅（屋根） – 砂利（舗装） – 石（土台、壁、舗装）.

(5) 日本のまち＝自然素材のまち • 材料地場産材 – 瓦（屋根） – タイル（壁、床） – レンガ（壁、床、塀）. • 構造 – 木造軸組工法.

(6) 大量生産工業化 • 新素材 • 新製品 • 新技術 – 品質向上と均一化 – 高断熱・高気密. • 人口気候による快適性の確保 • 自然素材の見直し. • 欠点 – 結露 • 材料、構造材の腐朽. – エネルギー消費の増大 • エアコン • 流通. – ハウスシック症候群 • 室内空気汚染. – 景観の画一化 – 地域経済の疲弊.

(7) ロスト・ワールド • 地域性の喪失 – – – – –. 地場産業地域固有の景観伝統文化地域経済コミュニティ. • 地域固有のシステム全体の喪失.

(8) 新しい時代のすまい・まちづくり • 低炭素社会の構築 • 地方分権 – 地域の活性化 – 地域自らの手による地域運営. • ストック活用 – 既存住宅の活用 – 市街化の抑制. • 二地域居住. • • • • •. 差別化と多様性本物志向健康志向少子高齢化人口減少. • 人に優しい • 地球に優しい • 地域に優しい.

(9) 建築研究と省エネルギー • これまでの研究 – 高断熱化 – 高気密化 • 閉じた空間（室内）の人工環境のコントロール. – 消費エネルギーの増大 • 全館冷暖房 – 冷暖房空間の増大 – 冷暖房期間の長期化. • シックハウス症候群 – 換気不足. • これからの研究 – 自然とのハイタッチ • 地域性 – 積雪・寒冷 – 多雨・温暖 – 多湿・蒸暑. • 地場産業 – 伝統・自然素材 » スローライフ – 地域企業 » 地域活性化. 9.

(10) 日本の気候特性積雪・寒冷. 多雨・温暖. 多湿・蒸暑.

(11) 地域別住宅エネルギー消費札幌. 60.7. 仙台. 22.8. 26.9. 25.2. 4.4. 3.8. 27.1. 33.3. 0.2 16.5. 新潟. 23.9. 3.6. 23.2. 3.9. 27.1. 0.9 東京. 15.9. 28.1. 2.6 名古屋. 16.6. 21.3. 3.4. 23.9. 4.3. 29.8. 1.1 京都. 13.6. 暖房冷房給湯調理照明他電力. 31.5. 1.7 16.5. 福岡. 15.7. 3.9. 31.7. 1.3 那覇. 5.4 0.8 0.0. 16.8. 5.2 20.0. 33.0 40.0. 60.0. 80.0. 100.0. 出典：財団法人建築環境・省エネルギー機構「自立循環型住宅への設計ガイドライン」. 120.0. 11.

(12) 地域性ー北海道旭川市.

(13) 蒸暑地域.

(14) 地形：傾斜地.

(15) 農山漁村.

(16) 地方都市.

(17) 都市住宅.

(18) 都市住宅.

(19) 三春町のまちづくりと場所性.

(20)

(21) 三春の町.

(22) 市街地現況.

(23) 道の景観.

(24) 高密居住 • 住環境と敷地・建物 – 住環境 – 建物形態. ：：. 建物形態敷地形状. • 地区区分と住環境 – ある地区 – ある地区 – ある地区. ：：：. 同じ建物形態同じ敷地形状同じ住環境.

(25) 高密居住 • 住環境の不調和 – 突然高い建物が建つ – 突然用途の違う建物が建つ. • 高密居住下では・・・ – 同じ形状を持つ建物を建てる – 敷地形状がほぼ一定. • 地区にあった建物の形態規制.

(26) 平入りと妻入りの街なみ.

(27) 隣棟と屋根.

(28) 場所と形.

(29)

(30) 地元の資源活用山形県金山町 • 昭和５８年度～ – まちづくり100年運動 – 地域にふさわしい家づくり、街並み形成の検討 • 金山杉の活用 • 雪国に適合した住宅仕様の検討 • 金山の街並みにふさわしい伝統的なデザインを継承した住宅仕様の検討 • 補助：50万円 • 1986～2008年度までの累計件数で1,３１２件、助成金の累計総額は約2億１千万円 • 総建築額：86億7129万円.

(31) 金山町の街並み.

(32) 金山杉住宅の仕様検討 • 差別化 – 健康住宅 • 木のよさを実感できる. – 自然素材 • 木の特質を生かす – 取り替えが可能 – 使い方を間違えない. – 地域性 • 気候 • 地形 • 場所性.

(33) 金山杉住宅の理念 • 高機能住宅 – 自立循環型住宅 • 暑い夏対応：大きな窓 • 評価書添付. – 長期優良住宅. • 産直方式. • ワンストップサービス – 山＋設計＋施工 • スピーディ • メーカー住宅にないもの +α：本格的設計. • メンテナンス – 継続性 – 家歴書. 33.

(34) 岩田邸.

(35) 岩田邸.

(36) 岩田邸.

(37) 岩田邸.

(38) すまいの形と通風 • 近代建築の形 – 軒の出のない現代住宅.

(39) すまいの形と通風 • 伝統建築の形 – 深い軒を持つ伝統住宅.

(40) 岩田邸.

(41) 岩田邸.

(42) 岩田邸.

(43)

(44)

(45) みんなが集まる本家のすまい・4LD＋土間型キッチンおじいとおばあのはなれ・ワンルーム. 熱々カップルのすまい・2LDK. なかよし家族のすまい・4LDK.

(46)

(47)

(48)

(49) 雨戸.

(50) ガラス.

(51) 鍵のかかる網戸.

(52) 全開.

(53)

(54)

(55)

(56) 東京岩田家 • 敷地面積：30.78㎡ • 用途地域 – – – – –. 第1種住居地域指定建蔽率： 60％指定容積率：300％準防火地域第3種高度地区. • 建築面積：19.94㎡ • 延床面積：58.35㎡ 56.

(57) 東京岩田家. 地下. 2F. １F. ロフト. 57.

(58) 東京岩田家. 58.

(59) 東京岩田家. 59.

(60) 東京岩田家. 60.

(61) 東京岩田家. 61.

(62) 地域性 • 気候 – – – –. 寒冷気候対策雪対策高温多湿気候対策風対策（台風、通風）. • 地場産材 – 自然素材 – 伝統的素材. • 地区の性格（用途・敷地形状） – – – – –. 中心商店街高密住宅地郊外団地農山村集落漁村. • 土地の傾斜.

(63) 人口減少・少子高齢化社会 • 人口減少 – 一人あたりの管理空間の増大 – 空地、空家の増加＝住環境の悪化. • 高齢化 – サービスの増大 – シルバー人材の活躍. • 市町村合併 – サービスが遠のく 63.

(64) 人口減少・少子高齢化社会 • 高齢化社会における住宅地の維持 • 公的空間管理 – 道路、公園、水路. ＋私的空間管理 – 高齢者の手助け • 各住宅の維持・管理 • 各敷地の維持・管理. ＋空き地、空き家管理 64.

(65) 会津坂下町塔寺地区. 65.

(66) 66.

(67) 会津坂下：塔寺 • 古い宿場町 – 農村集落 – 宿場町 – 門前町.

(68) 会津坂下町：塔寺 • 街空家 – 空地. • 農業中心 – 田畑 –山. • 土地の管理 • 土地 – 集落の存立基盤.

(69) 地元活動組織 •. 行政関連組織・役職 – – – – – – – –. •. 会津坂下町保健推進委員２名会津会津坂下町福祉委員２名坂下町環境美化推進員２名両沼地区保護司（坂下支部）１名会津坂下町消防団（塔寺班長）１名スポーツ指導委員４名会津坂下町民生委員２名町統計委員・公民館運営委員. 区の任意組織 – 塔寺区会（区長、塔寺区監査委員等役員） – 隣組合 – 納税組合 – 神社総代、寺総代 – 子ども見守隊. •. 広域団体関連組織・役職 – 会津みどり農業協同組合（総代）５名 – 会津農業共済組合（理事、共済部長２、総代）４名 – 宮川土地改良区（総代）１名 – 改良区水利委員(宮川水系)２名･(栗村水系)１名 – 資源保全委員会 – 塔寺婦人サークル（部長、副部長、他役員） – 塔寺青年団（団長、副団長、他役員） – 塔寺老人クラブ（［上・下］会長、副会長、他役員） – 地区ＰＴＡ役員（幼稚園、小・中学校） – 子ども育成会. 69.

(70) 資金 • 131世帯 572人 • 塔寺区費 • 行政組織からの資金. 役員：約70名 220万円. – 農地・水・環境保全向上対策事業 – その他報酬. • 除雪費 • 合計. 225万円 175万円. 180万円. 約800万円／年 70.

(71) 地域でできる公的活動 • 行政が行う公的サービスの把握 – 住民ができるものを事務分掌からチェック. • 地区運営活動の把握 – 住民ワークショップ. • 人に対するサービス – 公的サービス – 私的サービス. • 空間に対する活動 – 公的空間 – 私的空間. 71.

(72) 地域運営 • 地域の職場 – 地域の維持管理 • 大工 • 土木 • 造園. – 福祉 – 交通 – 企画、運営（核） • 土地の管理権 • 不動産. 核人材ボランティア. シルバー. 若者.

(73) 塔寺コミュニティ役場 • 職員：3人 – 経費：1000万円＋α • 人件費 • 維持、管理費. – 収入：800万円＋α • 手当 • コミュニティビジネス • 行政からの支援. • 仕事 • 役所業務代行 • 地域活動 – 行政関連 – 地域活動. • コミュニティビジネス – – – – –. 空家、空地管理農地、山林管理地域巡回：防犯防災福祉、交通サービス除雪、排雪：公共＋α 73.

(74) 除雪と不動産管理：大麻団地 • 計画人口：27,000人 • 面積：215ha. • 昭和40年代初期 – 少子高齢化、人口減少 – 建物老朽化 – 空家、空地. 旭川市江別市. 大麻中学校. 札幌市. 道営住宅. 函館市. 道営住宅扇町商店街大麻西小学校. UR 住宅銀座商店街. 道営大麻中住宅. 扇町商店街大麻西小. UR 住宅. 中町商店街. 東町商店街大麻東小学校. UR大麻小住宅道営住宅. 道営住宅. 道営住宅至札幌. 大麻小学校. 道営住宅. UR 住宅 UR 住宅. 国道 12 号線. 中町商店道営住宅. 東街. 銀座商店街. 街 JR 大麻駅. UR 住宅. 74大麻東至江別小.

(75) 大麻団地（北海道江別市） • 100坪前後の戸建て住宅：良好な環境維持大麻中学校. 道営住宅. 道営住宅扇町商店街大麻西小学校. UR 住宅銀座商店街. 道営大麻中住宅. 扇町商店街大麻西小. UR 住宅. 中町商店街. 東町商店街大麻東小学校. UR大麻小住宅道営住宅. 道営住宅. 道営住宅至札幌. 大麻小学校. 道営住宅. UR 住宅 UR 住宅. 国道 12 号線. JR. 中町商店街大麻駅道営住宅. 銀座商店街 UR 住宅. 大麻至江別小. 75 道営住宅.

(76) 人口・世帯の減少 (人口). (世帯数). 140,000. 123,877125,601 115,495. 120,000 100,000. 86,349 90,328. 60,000 40,000. 63,762. 50,425 42,856. 47,658. 28,513. 30,431. 30,000. 17,223 10,570 897 282. S40. 50,000 40,000. 34,421. 22,971. 44,510. 20,000 0. 60,000. 97,201. 77,624. 80,000. 70,000. 20,000. 17,849 21,829 20,416 19,087 16,954 15,381 13,655 13,088 10,000 5,723 5,796 5,983 6,385 6,251 5,903 5,017 6,345 0. S45. S50. S55. S60. H2. H7. H12. H17. 人口(江別市). 人口(大麻団地). 世帯数(江別市). 世帯数(大麻団地) 76.

(77) 急激な高齢化 30%. 25.9% 27.7%. 25%. 21.3%. 20%. 15.6% 18.4%. 15% 9.5%. 10% 5% 0%. 4.4%. 8.7%. 10.8%. 19.7%. 15.4%. 1 0 . 6 % 12.7%. 2.3% S40. S62. H02 H07 江別市全体. H12 H17 大麻団地. H19 77.

(78) 高齢化と担い手 0 0～4 5～9 10～14 15～19 20～24 25～29 30～34 35～39 40～44 45～49 50～54 55～59 60～64 65～69 70～74 75～79 80～84 85～89 90～94 95～99 100歳以上. 200. 400. 600. 800. 488 548 626 678 707 677 766 768 774. 25 1. 105. 274. 410. 733. 1000. 890. 898 956 967 921. 1200. まちづくりの担い手 1,079. 78.

(79) 高齢化と担い手まちづくりに関するボランティア活動. 8%. 55%. 29%. 8%. 地域福祉に関するボランティア活動. 8%. 56%. 29%. 7%. 0%. 参加したい. 20%. 40%. ある程度参加したい. 60%. 80%. 参加したくない. 100%. 不明 79.

(80) 住民の評価 0%. 25%. 緑など自然. 50%. 75%. 48%. 住宅地としての静かさ. 37%. 43%. 30%. 39%. 公共交通の利便性. 32%. 37%. 27%. 街並みや景観. 11% 5%1%5%. 17% 12%. 40%. 22%. 通勤の利便性. 8% 2% 1%4%. 35%. 広場、公園. 日常的な買い物. 100%. 40%. 29%. 31%. 6%1%6% 11% 4%5%. 13%. 13% 2%5%. 24%. 6%2%7%. 16%. 7% 2% 15%. 歩行者の通行や安全性. 11%. 36%. 28%. 13% 4% 7%. 教育・文化施設. 12%. 33%. 33%. 10% 4% 8%. 子どもの遊び場医療施設・福祉施設. 16% 10%. 防犯や安全性. 8%. 道路・歩道の除雪. 8%. 飲食店 2% 10%. 総合的な満足度. 満足. 27% 32%. 10% 3% 12%. 24%. 29%. 20%. 34%. 27% 38%. 25%. 15% 17%. やや不満. 4% 7% 16%. 28% 51%. どちらでもない. 7% 6%. 17%. 18%. 17%. やや満足. 32%. 不満. 5% 8%. 9% 2%5% 不明 80.

(81) 建て方のルールの必要性. 26%. 0%. 41%. 20%. 40%. 19%. 60%. 7%. 8%. 80%. 100%. 強制力がある地域のルールを定めた方が良い自主的に取り組む程度の地域のルールを定めた方が良い特に定める必要はないわからない不明 81.

(82) 除雪ビジネス • 江別市が大麻団地で支出する除雪経費【市全体額を団地世帯数で按分】. – 約7,300万円. • 戸建住宅居住者の消融雪で消費する燃料コスト【消融雪設置割合34％、平均64,221円：北総研ｱﾝｹｰﾄ】. – 約5,022万円. • 戸建住宅居住者が除排雪で業者に支払う金額【業者委託割合31％、平均34,769円：北総研ｱﾝｹｰﾄ】. – 約2,479万円. 団地内除排雪総コスト 1億4800万円. 82.

(83) コミュニティビジネスの可能性 • 高齢化 – 地域活動への参加意識の高い高齢者. • 良好な居住環境 – 居住環境を守る意識の高さ. • 空家、空地化 – 一部ミニ開発. • 除排雪への不満 • 高齢者サービスの必要性. • 住み替え – 住民の住み替えが見られる. • 近所での不動産取引 83.

(84) コミュティビジネスへ • 不動産 – 空家、空地の管理 • 一時利用：菜園 • 滞雪場 • 近隣関係者への販売. – リフォーム – 賃貸事業 – 住み替え支援. • 生活支援サービス – 福祉サービス – コミュニティサービス – 除排雪サービス. まちまかない会社 84.

(85) コミュニティビジネスと地域運営 • 制度インフラの整備 – 空家、空地の管理のための立入権 – 税制 • 不動産取得税 • 固定資産税 • 都市計画税. – 金融 • 融資. • 新規開発から既存ストック活用へ – 新規開発 • 新たなインフラの整備 • この公共投資を既存住宅地へ. • ボランティアを職場に. – 新築から既存住宅活用 – コミュニティビジネス 85.

(86) まちづくり不動産 • 都会. • 田舎. – 小規模住宅 • 防災・防火 – 内装：真壁木張り – 外装：防火. – 建替＋道路拡幅 • • • •. 防災性能向上若者用老夫婦用近、安・一戸建て. – 老夫婦用小規模 • 平家 • 2階建て. – 蔵付き → 大きな住宅は家族に – 集落単位で • 活性化住宅（建替・離れ） • UIJターン • ペンション 86.

(87) 普通に創る • 材料 – 素材感自然素材、伝統素材. • 形態 – 気候風土 – 伝統の形 – 隣との関係→場所性. • 場所 – 通りの性格（街） – 周辺の風景との関係 • 3次元的.

(88) 普通に創る • 普通のまちづくり – 木造のすまいが景観を造る – 普通に屋根をかけ、軒を出し、窓を大きくとる – 暑ければ窓を開け、寒ければ窓を閉める. • 地域運営 – すまいを管理する – まちを管理する • 人のために・・・・・・.

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