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顔の物理的な特徴,印象再認記憶の相互関係 [ PDF

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Academic year: 2021

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(1)顔の物理的特徴,印象,再認記憶の相互関係 キーワード:顔の物理的特徴,性格印象,個性印象,再認記憶,方向付け課題 行動システム専攻 小松 佐穂子 問題と目的. なるように正規化した上で計測を行った.. 私たちは,顔から得られる様々な情報を利用して顔を. 主成分得点の算出 63 指標の計測値を用いて主成分分. 記憶する.本研究では,印象と顔の物理的特徴を取りあ. 析を行い,第 5 主成分までを抽出した(説明率 62.3%).. げ,記憶を含めた 3 者の相互関係を問題とした.. 各主成分に高い負荷量を持つ指標より,第 1 主成分から. 印象については,これまで魅力,好ましさ印象の寄与. それぞれ順に, “顔の全体的な広さ, 大きさの特徴” , “鼻. が 報 告 さ れ て い る が (Mueller, Heesacker, & Ross,. を中心とした顔の縦の長さの特徴” , “目,眉に関わる特. 1984; Shepherd & Ellis ,1973),これらの印象の寄与に. 徴” , “口,唇,あごに関わる特徴” , “鼻の下の長さの特. は 顔 の 個 性 に よ る 特 異 性 効 果 ( 例 え ば Going &. 徴”と解釈した.各顔刺激について,これら 5 主成分の. Read ,1974)が媒介している可能性が示された.また,魅. 主成分得点を算出した.. 力,好ましさ印象以外にも,性格印象が,再認に利用さ. 印象評定実験:因子得点の算出. れる可能性 (Bruce & Young, 1986)が示唆されている.. 大学院生 108 名(男性 47 名女性 61 名). 被験者 大学生,. 物理的特徴については,口よりも目をマスキングした. 評定項目 性格特性,個性を表す形容詞対 17 項目.こ. 方が再認されにくいという研究結果から,目を中心とし. れらの項目は,先に行った同様の印象評定実験より得ら. た上部特徴の重要性が報告されている(McKelvie,1976).. れたデータに因子分析を施した結果,抽出された 4 因子. 以上のように印象と再認記憶,特徴と再認記憶それぞ. に高い因子負荷量を持つ項目の中から選ばれた.. れについては検討されているが,3 つをまとめて検討し. 手続き 被験者を男性顔と女性顔を評定する 2 群に分け. た研究は行われていない.特徴は印象形成にも寄与して. た.被験者は1枚ずつ呈示される顔刺激を観察し,17 項. いると考えられ,3 つをまとめて検討することで,特徴. 目(7 段階尺度)について SD 法による印象評定を行った.. が印象を形成する段階からの検討が可能になる. 従って,. 因子得点の算出 17 項目の評定値を用い因子分析(主因. 本研究では,特徴,印象,再認記憶の関係について総合. 子法・バリマックス回転)を行った結果,4 因子が抽出さ. 的に検討することを目的とした.また,印象として,本. れた(説明率 61.5%).各因子に負荷量の高い項目より,. 研究では性格印象を取りあげるが,性格印象に与える個. 因子をそれぞれ, “活動性” , “社会的望ましさ” , “知性” ,. 性の影響を考慮して,個性印象についても検討した.. “個性”と命名した.これより,性格印象と個性印象の 独立が示された. 各顔刺激について被験者の性別ごとに,. 研究 1 目的 顔の物理的特徴,印象,再認記憶の関係について総合 的に分析することを目的とした. 分析対象となる顔刺激 日本人男女の顔画像(真顔・正面向き・平均年齢 22.0. これら 4 因子の因子得点を算出した. 再認記憶実験:A プライム値の算出 被験者 大学生 80 名(男性 40 名,女性 40 名). 刺激 ターゲット,妨害刺激に,先に述べた男女の顔画 像各 60 枚を用いた.系列位置効果を除くためのダミー 刺激に,日本人大学生男女の顔画像各 18 枚を用いた.. 歳)各 60 枚を用いた.各顔画像は,肩から上を撮影した. 手続き 被験者を男性顔と女性顔を学習する 2 群に分け,. ものであり, 眼鏡やアクセサリーなどははずされていた.. 偶発学習条件下で実験を行った.被験者は,30 枚のター. 顔の物理的特徴の計測:主成分得点の算出. ゲット刺激にダミー刺激を学習リストの最初と最後に 9. 計測方法 顔画像上に任意の対応点を置き,点を選択す. 枚ずつ加えた計 48 枚の顔刺激を観察した.各顔刺激の. ることで,目,口,鼻などの顔の構成部分,部分間の特. 呈示時間は 10 秒間であった.呈示終了後 5 分間,干渉. 徴についての 63 指標(面積 14,距離 38,角度 4,曲率. 課題(計算問題)を行った.最後に再認テストとして,タ. 7)の計測を行った.面積,距離の計測値は,両目の中心. ーゲット刺激 30 枚と妨害刺激 30 枚計 60 枚に対し, “見. を結ぶ直線から口の中心におろした垂線の距離が 100 に. てない−見た”について確信度判断(6 段階尺度)を行った..

(2) A プライム値の算出 実験データから,被験者の性別ご とに各顔刺激のヒット率,フォールスアラーム率(以下,. 表 1 各因子得点とAプライム値との相関,偏相関係数. 主成分得点,因子得点,A プライム値を用いて,相関分. 活動性 社会的望ましさ 知性 個性 男性顔 男性Ss 0.023 -0.011 -0.024 0.386 * * (0.348) * * 女性Ss 0.251 0.007 0.039 0.421 * * (0.397) * * 女性顔 男性Ss 0.285 * -0.074 -0.127 0.400 * * 女性Ss 0.140 -0.106 -0.229 0.251 * p<.05 * * p<.01 ( )内は,第3主成分得点を統制したときの偏相関係数. 析(Pearson の積率相関),偏相関分析を行い,線形的な. 表2 各主成分得点と因子得点,Aプライム値との相関,偏相関係数. FA 率)を算出し,さらに A プライム値を算出した. 結果と考察 相関分析・偏相関分析 以上の計測, 実験から得られた,. 関係について検討した.分析は,顔刺激の性別,被験者 の性別ごとに行われた. 相関,偏相関分析の結果,主成分得点,因子得点,A プライム値の関係について,2 つの関係が得られた. 一つめは,主成分得点と因子得点の相関が有意であり, さらに,その主成分得点を一定にしたときの因子得点と A プライム値の偏相関が有意であるが,因子得点を一定 にしたときの主成分得点とA プライム値との偏相関は有 意ではないという関係であった.これを示したのは,男 性顔(男女被験者)においてであり, 目, 眉に関わる特徴(第 3 主成分)が個性印象に寄与し,さらに個性印象が再認記 憶に寄与するという関係が明らかになった(表 1,2 参照). 二つめは,主成分得点と因子得点の相関のみ有意であ. 主成分得点 活動性 社会的望ましさ 知性 個性 A’ 男性顔 男性Ss 第1主成分 0.269 * 0.292 * -0.050 0.125 0.137 第2主成分 -0.214 0.102 -0.126 0.077 -0.114 第3主成分 0.187 0.113 0.260 * 0.288 * 0.209 (-0.112) 第4主成分 0.039 0.078 -0.041 -0.114 0.107 第5主成分 0.071 -0.027 0.064 -0.044 -0.138 女性Ss 第1主成分 0.300 * 0.212 0.003 0.118 0.027 第2主成分 -0.093 0.126 -0.235 -0.030 -0.161 第3主成分 0.271 * 0.137 0.302 * 0.294 * 0.160 ( 0.042) 第4主成分 0.148 0.231 -0.066 -0.018 0.120 第5主成分 0.010 -0.002 0.243 -0.152 0.059 女性顔 男性Ss 第1主成分 0.202 0.170 第2主成分 -0.017 -0.150 第3主成分 0.139 0.106 第4主成分 0.029 0.345 ** 第5主成分 0.200 0.031 女性Ss 第1主成分 0.176 0.183 第2主成分 0.053 -0.163 第3主成分 0.134 0.126 第4主成分 0.051 0.374 ** 第5主成分 0.325 * 0.168 * p<.05 ** p<.01 ( )内は,個性因子得点を統制したときの偏相関係数. 0.152 0.105 -0.273 * 0.204 0.061 0.114 0.067 -0.116 0.080 0.205 0.123 0.041 -0.183 0.218 0.153 0.088 0.055 -0.083 0.131 0.168. 0.220 0.063 0.062 0.016 0.070 -0.251 0.081 -0.199 -0.019 -0.002. 次に,因子得点と A プライム値を分析した結果,男性. り, それ以外の相関は有意ではないという関係であった.. 顔(女性被験者)では,社会的望ましさの主効果が有意で. これを示したのは,主に活動性などの性格印象であり,. あり(F(2, 27)=5.243, p<.05),女性顔(女性被験者)では,. これらの印象に寄与する特徴は明らかになったが,再認. 知性の主効果が有意であった(F(2, 27)=4.179, p<.05).従. 記憶への寄与までは明らかにならなかった(表 2).. って,性格印象の記憶への寄与が明らかになった.. 分散分析 非線形的な関係についても検討するために,. 最後に,主成分得点と A プライム値を分析した結果,. 主成分得点と因子得点,因子得点と A プライム値,主成. 男性顔(男性被験者)において,口,唇,あごに関わる特. 分得点と A プライム値という独立変数(要因)と従属変数. 徴の主効果が有意であり(F(2,27)=3.463,p<.05),新たに. の組み合わせのそれぞれについて,1 要因分散分析を行. 特徴が再認記憶に寄与するという関係が明らかになった.. った.分析に用いたデータ(従属変数)は,独立変数とし. 口,唇,あごなど,顔の下部特徴の寄与が見られたのに. ての主成分得点,因子得点の低い方から顔画像 10 枚を. 対して,先行研究では目を中心とした上部特徴の重要性. “低”条件,中央値を含む前後 5 枚ずつの計 10 枚を“中”. が報告されていた(McKelvie,1976).この違いは,先行. 条件,高い方から 10 枚を“高”条件としたときの,そ. 研究では各特徴のマスキングが再認に与える影響につい. れぞれの顔画像が持つ因子得点, A プライム値であった.. て検討しているのに対し,本研究では,特徴の大きさや. 分析は,顔刺激の性別,被験者の性別ごとに行われた.. 長さなど量的な違いが与える影響について検討したこと. まず,主成分得点と因子得点を分析した結果,男性顔. によるものと考えられる.. (男女被験者),女性顔(男女被験者)ともに,社会的望まし. 以上の全分析結果をまとめると,特徴が印象を形成し. さに与える目,眉に関わる特徴の主効果が有意であり(順. 記憶に寄与する関係と,特徴が直接寄与する関係が明ら. に F(2, 27)=4.389, p<.05;F(2, 27)=6.749, p<.005; F(2,. かになった.しかし,印象に関して,男女の顔に共通し. 27)=5.769, p<.01; F(2, 27)=4.794, p<.05),社会的望まし. て寄与が見られたのは,個性印象のみであった.先行研. さ印象に寄与する特徴が明らかになった.また,女性顔. 究において,顔の符号化時に性格特性を判断するような. (男性被験者)において,個性に与える口,唇,あごに関. 方向付け課題を用いると,その顔の再認成績が上昇する. わる特徴の主効果が有意であり F(2, 27)=4.164, p<.05),. ことが報告されている(例えば,Bower & Karlin, 1974).. 再認記憶に寄与する個性印象を形成する特徴が,女性顔. 従って,男女の顔に共通しての性格印象の寄与が見られ. において新たに明らかになった.. なかったのは,顔を記憶する際に性格印象に関する方向 付け課題を行わなかったことがあると考えられる..

(3) 研究 2. 手続き 始めにターゲット 30 枚にダミー刺激を学習リ. 目的. ストの最初と最後に 8 枚ずつ加えた計 46 枚の顔刺激を. 方向付け課題が,各印象の再認記憶への寄与に与える 効果について検討することを目的とした. 予備実験(印象評定実験 2) :因子得点算出. 観察した. 課題あり条件の被験者は方向付け課題を行い, 課題なし条件の被験者は“普段,顔を見るような感じで 見て下さい”と教示され,顔を観察した.各顔刺激の呈. 研究 1 では,顔画像に含まれていた服装が,印象評定. 示時間は 10 秒間であった.呈示終了後 5 分間,干渉課. に影響を及ぼした可能性があった.また,個性を測るた. 題(計算問題)を行った.最後に再認テストとして,ター. めの評定項目が 2 項目と少なかった.以上の 2 点を改善. ゲット 30 枚と妨害刺激 30 枚,計 60 枚に対し“見てな. して,新たに印象評定を行い因子得点を算出した.. い−見た”についての確信度判断(6 段階尺度)を行った.. . 被験者 大学生 58 名(男性 16 名,女性 42 名). 結果と考察. 刺激 研究 1 で用いた顔画像の服装が見える部分を削除. “低” “中” “高” 方向付け課題の評定値の分析 顔刺激が. し,首から上の顔画像を用いた.. の条件通りに評定されたのか調べるため,課題あり条件. 評定項目 研究 1 で用いられた形容詞対 17 項目に,新. で行った課題の評定値を用い,被験者の性別ごとに印象. たに個性を表す形容詞対 3 項目を加えた計 20 項目.. 内の違い(3:低・中・高)の 1 要因分散分析を行った.. 手続き 研究 1 の印象評定実験に同じ.. 分析の結果,全ての印象において,男女被験者ともに,. 因子得点の算出 20 項目の評定値を用い因子分析(重み. 印象内の違いの主効果が有意であった(5%水準).多重比. なし最小二乗法・バリマックス回転)を行った結果, “活. 較(これ以降全て Ryan 法.5%水準)の結果,知性を除く. 動性” , “社会的望ましさ” , “知性” , “個性”の 4 因子が. 他の 3 つの印象では,低より中,中より高,低より高の. 抽出された(説明率 55.5%).各顔刺激について,これら 4. 方が有意に高く,条件通りに評定されていた.しかし,. 因子の因子得点を算出した.. 知性では,男女被験者ともに,低,中,高の 3 条件間全. 本実験:方向付け課題を用いた再認記憶実験. てには有意差は見られず, 条件通りに評定されなかった.. 要因計画 各印象(活動性・社会的望ましさ・知性・個性). A プライム値の分析 実験データから,条件ごとに被験. について,方向付け課題の有無(有・無:被験者間),印. 者のヒット率と FA 率を算出し,さらに A プライム値を. 象内の違い(低・中・高:被験者内)の 2×3 の 2 要因計画.. 算出した.A プライム値を用いて,各印象について,男. 被験者 大学生,大学院生 128 名(男性 64 名,女性 64. 女被験者ごとに方向付け課題の有無(2:あり・なし)×印. 名) .これらの被験者は,男性,女性被験者それぞれ,4. 象内の違い(3:低・中・高)の 2 要因分散分析を行った.. つの印象,さらに方向付け課題の有無の 4×2 の 8 条件. 活動性 分析の結果,男女被験者ともに印象内の違いの. に分けられ,それぞれ 8 名ずつ割り当てられた.. 主効果が有意であった(順に F(2, 28)=6.958, p<.005; F(2,. 刺激 予備実験の結果に基づき,印象ごとに男性顔画像. 28)=15.480, p<.001 ).男性被験者では低よりも高(図 1),. 60 枚,女性顔画像 60 枚からそれぞれ,因子得点の低い. 女性被験者では低よりも中,高の方が有意に高かった.. 10 枚を“低”条件,中央値を含む 10 枚を“中”条件,. 社会的望ましさ. 高い 10 枚を“高”条件として選び出した.さらに各 10. の 違 い の 交 互 作 用 が 有 意 で あ っ た (F(2, 28)=4.585,. 枚のうち,5 枚をターゲット刺激,残り 5 枚を妨害刺激. p<.05).下位検定の結果,課題あり条件のときに印象内. とした.また,系列位置効果を除くためダミー刺激とし. の 違 い の 単 純 主 効 果 が 有 意 で あ り (F(2,28)=8.339,. て,各印象においてターゲット,妨害刺激として選ばれ. p<.005),高よりも低,中の方が有意に高かった.女性被. なかった顔画像 16 枚(男性 8 枚,女性 8 枚)を用いた.. 験者では,印象内の違いの主効果が有意であり. 従って,刺激に男女両方の顔を含んだ.. (F(2,28)=4.634, p<.05),男性被験者同様,高よりも低,. 方向付け課題 印象評定課題を用いた.評定項目は,各. 中の方が有意に高かった(図 2).. 印象それぞれ“活動的でない‐活動的な” , “社会的に望. 知性 男女被験者ともに,各要因の主効果,交互作用い. ましくない‐社会的に望ましい” “知的でない‐知的な” , ,. ずれも有意ではなかった(5%水準).. “平凡な‐個性的な” という形容詞対 1 項目(7 段階尺度). 個性 男女被験者ともに,印象内の違いの主効果が有意. であった.実験を行う前に,形容詞対の意味について具. であった(F(2, 28)=13.219, p<.001; F(1,14)=6.204,. 体例(例, “社会的に望ましい”とは,例えば, 「親切な」. p<.05 ).低よりも中,高の方が有意に高かった.また,. 感じ, 「思いやりのある」感じなどを表す)を示し,この. 女性被験者では,課題の有無の主効果も有意であり(F(1,. 具体例には,予備実験で用いた形容詞対を用いた.. 14)=6.204,p<.05),課題あり条件の方が有意に高かった.. 男性被験者では課題の有無と印象内.

(4) 以上の結果から,活動性,社会的望ましさにおいて,. 1. 課題の有無に関係なく印象内の違いの効果が見られた. 象の再認記憶への寄与は見られなかったのだが,本実験 では, 課題を行わなかった群において, 寄与が見られた.. 0.9 Aプライム値. すなわち,課題を行わなかった研究 1 では,これらの印. Aプライム値. 0.95. 0.85 0.8 0.75 0.7 0.65. この理由について,刺激の選び方が考えられる.研究 1. 0.6 0.55. の再認記憶実験では刺激に選択基準はなかったが,本実. 0.5. 験では印象の因子得点に基づいて選択した.従って,課. 低. 中. 高. 活動性. 題なし群も印象の違いが手がかりとなり,再認成績に印. 図1 活動性がAプライム値に与える効果 (男性被験者). 象の効果が表れたと考えられる. 次に,各印象の寄与について述べると,個性印象につ 1. いては,個性的な印象を与える顔の方が再認成績は良い という結果が得られ,顔の特異性効果が見られた. 従って再認記憶の寄与が見られなかった.この理由とし て,方向付け課題の評定値の分析結果から,本実験で選. 0.9 0.85 Aプライム値. 知性印象については,印象内の違いの効果は見られず,. 0.8 0.75 0.7 0.65. ばれた顔刺激が, “低” “中” “高” という条件通りの印象. 0.6. を形成しなかったためと考えられる. そのため,知性印. 0.55. 象の違いが手がかりとなりにくく,再認記憶への寄与が. Aプライム値. 0.95. 0.5 低. 中. 最後に,活動性印象と社会的望ましさ印象については, 本実験の結果,再認記憶への寄与が見られ,活動的な印. 高. 社会的望ましさ. 見られなかったのだと考えられる.. 図2 社会的望ましさがAプライム値に与える効果 (女性被験者). 象を与える顔, 社会的に望ましくない印象を与える顔は,. ードが符号化されて,それぞれ再認に利用されるのか,. 再認されやすいという結果が得られた.これらの結果か. また,どのような条件のときにどちらのルートが利用さ. ら,研究 1 では明らかにならなかった男女の顔に共通し. れるのかなどということについては,本研究の結果のみ. た性格印象の寄与が明らかになった.. ではわからない.今後,この点について,さらなる検討. 全体的考察. が必要であると考えられる.. 本研究では,顔の物理的特徴,印象,再認記憶の相互 引用文献. 関係について総合的に検討を行った. その結果,各特徴が個性,また,性格印象である活動. Bower, G. H., & Karlin, M. B. 1974 Depth of processing pictures. 性,社会的望ましさ印象を形成して再認記憶に寄与する. of faces and recognition memory. Journal of Experimental. 関係と,口,あごなどの顔の下部特徴が直接,再認記憶. Psychology. 103, 751-757.. に寄与する関係が明らかになった. 本研究の結果から,物理的特徴は,直接,再認記憶に 寄与するだけでなく,印象を形成するという形でも寄与. Bruce, V., & Young, A.. 1986. Understanding face recognition.. British Journal of Psychology, 77, 302-327. Klatzky, R. L., Martin, G. L., & Kane, R. A.. 1982. Semantic. することが明らかになった.この結果は,顔を再認する. interpretation effects on memory for faces. Memory & Cognition,. 過程が,物理的特徴という一つの情報から,印象を形成. 10, 195-206.. して,その印象を再認に利用するルートと,直接,特徴 の情報を利用するルートの 2 つに分かれていることを示 していると言える. それぞれのルートにおいて,印象,特徴がどのような 形で符号化され,再認に利用されるのかについては, Klatsky, Martin, & Kane (1982) が提案した意味コー ド,物理コードの概念がその示唆を与える. しかし,なぜ,特徴という一つの情報から,2 つのコ. McKelvie, S. J. 1976 The role of eyes and mouth in the memory of a face. American Journal of Psychology, 89, 311-323. Mueller, J. H., Heesacker, M., & Ross, M. J. 1984 Likability of targets and distractors in facial recognition. American journal of. psychology, 97, 235-247. Shepherd, J. W., & Ellis, H. D. 1973 The effect of attractiveness on recognition memory for faces. American Journal of Psychology, 86, 627-633..

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