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児童養護施設入所児童の「未来展望」を支える「現在の自己のあり方」の検討 [ PDF

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Academic year: 2021

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(1)児童養護施設入所児童の「未来展望」を支える「現在の自己のあり方」の検討 キーワード:入所児童、時間的展望、未来展望、自尊感情、他者信頼感 人間共生システム専攻 飛永 第 1 章:問題と目的 Ⅰ.児童養護施設入所児童とは 施設に求められる援助. 佳代. これまで被虐待児のセラピー等では過去の事実やその捉 え方が強調された。しかし「過去」や「未来」が「現在の自己. 児童養護施設とは、児童福祉法に定められた「乳児を除. の在り方」に規定されるならば、現在の児童の体験や感じこ. いて保護者のいない児童、虐待されている児童その他環境. そ重要であろう。よって、本研究では、入所児童の「未来展. 上養護を要する児童を入所させて養護し、あわせて自立を. 望」を支える「 現在の自己のあり方」として現在の「 自尊感情」. 支援することを目的とする」施設であり、施設の役割として. 「 他者信頼感」 「 充実感」 に注目し、それがどのように「 未来展. 「自立支援」が明確化されている。入所児童は、義務教育終. 望」 に関わるかを実証的に検討する。さらに「 未来展望」 の内. 了後に退所し自立することが求められ、自立への援助が求. 容・構造を検討する。そして入所児童の「現在の在り方」と. められている。村井(2002)は「自立」とは「自分でやろうという. 「未来展望」の様相を捉えることで、今後の入所児童への援. 意欲を持つこと」と述べた。児童が未来に向かって「何かや. 助の在り方を考察することを目的とする。. ろう」という意欲を持てる援助の検討のため、「時間的展望」. 第 2 章:未来展望を支える現在の自己の在り方の実証的研究. という概念を用い研究を進める。. Ⅰ.第 2章の目的. Ⅱ.「未来展望」と「現在」の関わり. ・ 「未来展望」の内容と構造の検討. これまで心理学的な時間に関しては時間的展望、即ち. ・ 「未来展望」と「現在のあり方」との関連の検討. 「ある一定の時点における個人の心理学的過去及び未来に. ・ 入所児童の「未来展望」の様相とその援助の検討. ついての見解の総体(Lewin,1974)」という概念に基づいて. ・ 「未来展望」の発達的変化の検討. 研究が進められた。「未来展望」が強調される中、Lewin は. Ⅱ.方法. 1.対象児(1)家庭で養育を受ける児童. 「過去」「未来」は「現在の自己」が捉える心理学的な「過去」. 所属. や「未来」でありその意味で「現在の自己」が最も重要である. 学年. 5. 6. 1. 2. 1. 2. と指摘した。 飛永(2002)は入所児童の現在の自己評価が. 男児. 14. 15. 49. 45. 288. 401. 812. 未来への希望へ影響すると指摘した。また飛永(2003)は入. 女児. 24. 22. 43. 60. 354. 424. 927. 所児童に動作面接を行い「 現在」の「 不安」 を軽減することで. 総計. 38. 37. 92. 105. 642. 825. 1739. 未来への希望が上昇することを示した。即ち「現在の自己」 がどう自己を捉えるかが重要であり、「現在の自己」に働きか けることで「過去展望」や「未来展望」は変わりえると考える。 では、入所児童を考える際重要な「 未来展望」 とはどのような ものであろうか。本研究では、「 未来展望」 は「 希望」 と「 展望」 の二つの側面から構成されると想定した。「 希望」 とは夢や願 望を含む漠然とした未来に対する肯定的な意識を持つとい う側面である。一方、「 展望」 は見通しに近い「 こうするだろう」 という現実的で具体的な未来の側面である。「展望」は自分 の能力や環境等自分の「現実」と折り合いをつけながら形成 される(都筑、1998)。入所児童にとって、自分を取り巻く現 実は見えにくく不安定なものである。中高生で現実を受け止 め、未来を構想することは困難であると考えられる。本研究 では「 未来展望」を質の違う2 つの側面に分けて捉えること で、入所児童の「未来展望」の特徴を詳細に検討する。 Ⅲ.入所児童の「現在の自己の在り方」を援助すること. 小学校. 中学校. 高校生. 計. (2)児童養護施設入所児童 入所児童30名。(小5・6,中1・2,高1・2) 2.調査手続き 家庭養育児童はクラスごとに一斉配布 した。入所児童は筆者と 1 対1で質問紙施行した。 3.調査内容 ( 1) 過去・ 現在・ 未来イメージ. 都筑(1998)の時間的態. 度尺度を使用。15 項目の SD 法尺度で 7 段階評定。 (2)現在の「自尊感情」. Rosenberg(1965)の Self. Esteem Scale10 項目を使用し、4 件法で評定を求めた。 (3)現在の「他者信頼感」. 天貝(1997)の信頼感尺度の. 「他人への信頼感」因子を参考に 8 項目作成した。 ( 4) 現在の「 充実感」. 大野(1984)の充実感尺度を参. 考に9項目を「充実感尺度」として作成した。 (5) 「 未来展望」 : 「 希望」の内容の自由記述 「将来何にで もなれ、何でもできるとします。将来あなたがしたいこ と、なりたいものを教えて下さい」と教示した。.

(2) 子と判断した。7 項目合計得点を「充実感得点」とした。. (6)「未来展望」:「展望」の内容の自由記述 「タイムマシーンが完成したぞ。『高校卒業後の君』、 『25 歳の君』まで案内しよう。将来の自分を見てきて、 その様子を教えてくれ。」と図を用いて教示した。 4.「希望」・「展望」の内容面の分析カテゴリー 山田(1989)を参考に35の分析カテゴリーを設定した。 B.身体的側面 (健康、容姿、 運動能力) P.心的側面 (才能、性格、 対人態度、価値観) S.社会的側面 (家族・友人・ 異性関係・不特定他者関係) L.生活的側面 (日常生活、生活態度、金銭) A行動的側面 (勤勉・遊び・運動) T.時間的側面(過去・未来) J.職業 (援助職、スポーツ 選手、芸能関係、技術職、バイ ト、一般職、サービス業) ST.社会地位 C. 特定の集団への所属 (学校・会社) F.空想的 D.分からない. 長生き、きれいな人、足が速くなる. 現在の「充実感」因子分析結果 私は生きがいある人生を送っている 私はやりたいことをやっていると思う 私にはやっていて楽しいことがある 私には熱中できるものがある 私の生活にははりがある 生活の中で楽しいこともある 私は自分の生活に退屈している(*) 累積寄与率. 第Ⅰ因子(α=.85) .73 .71 .68 .67 .65 .63 .59. 共通性 .43 .48 .50 .59 .56 .55 .58 45.31%. (2)各尺度の関わりー「未来イメージ」には何が関わるのか. 頭よくなる、穏やかな人 人に優しい人、何事もあきらめない 幸せな家族、仲間とずっと一緒 好きな人のお嫁さん 一人暮らし、のんびり暮らす 金持ち 家を買う 勉強する、仕事する、遊んで暮らす 旅行 昔を悔いる・将来について考える 看護師、福祉職、プロ野球選手 女優、ダンサー、自動車整備士 会社員、スチュワーデス 有名人、偉い人 東京の大学、**専門学校 トヨタに入社 魔法を使う 分からない、想像できない. 「過去・現在・未来イメージ得点」・現在の「自尊感情得点」 「他者信頼感得点」「充実感得点」の相関 過去 現在 未来 自尊感 他者信頼 現在イメージ .54* * 未来イメージ .45* * .53* * 自尊感情 .53* * .54* * .42* * 他者信頼感 .46* * .51* * .42* * .49* * 充実感 .47* * .64* * .41* * .57* * .54* * * p<.001 未来イメージ. .16. 他者信頼感. .42. .26. 現在イメージ .19. -.4. .89. .37. .48. 過去イメージ. パ. ス. .44 自尊感情. 5.「展望」の態度の分析カテゴリー. 相関分析を行った所、すべての組合せにおいて、有意な相. 「展望」 に対する態度を分析するカテゴリーを設定した。. 関が見られ、 「過去」 「現在」 「未来」 の時間的イメージは. カテゴリー. 具体例. N. 中性的評価. 仕事している. +. 積極的評価. 頑張っている. −. 消極的評価. ± 積極的評価消極的評価の葛藤. 相互に関連することが示された。 また、 パス解析からは、 「未来イメージ」には「現在のイメージ」が最も強く影. 充実している. つまらない生活. 響することが示され、 「未来」には「過去」よりも「現在. 楽しいでも人生きつい. の在り方」が強く反映することが示された。さらに、 「現. Ⅲ.家庭養育児童を含めた結果と考察. 1.量的分析. 1)各尺度の整理 ①過去・現在・未来イメージ 共通性の低い1項目を除き 14項目の合計得点を未来イ メージ得点・現在イメージ得点・未来イメージ得点とし た。得点が高いとイメージが肯定的であると見なした。 楽しい‐さびしい,大切な‐大切でない、満足した-むなしい 大きい‐小さい,美しい-みにくい,良い-悪い,明るい‐暗い 魅力ある‐魅力ない,変化のある―つまらない,積極的‐受身 あたたかい‐冷たい,開かれた― 閉じられた 生き生き‐活気ない 希望ある― 希望ない. は「自尊感情」 「他者信頼感」 「充実感」に影響を受けて. (3) 「 時間的イメージ」 「 現在の自己の在り方」 の発達的変化 各得点の学年間の差の検討のため、分散分析を行った。. 自尊感情:小5・小6・中2>中2・高1・高2**. 子と判断した。6 項目の合計を「他者信頼感得点」とした。 .83. の捉え方を規定すると示された。さらに「現在の捉え方」. 未来イメージ:小6>中2 **. ③現在の「他者信頼感」 因子分析(最尤法)から1因. 私には信頼できる人がいる. メージ:現在を肯定的に捉えること」が「未来」 「過去」. 現在イメージ:小6・中1>中2・高1・高2**. 自分に満足している、だめな人間だと思うことがよくある、よ いところがたくさんある、役に立たない人間だ、 自慢できるところがない、自分を前向きに認めている 普通の人と同じくらいにやっていく力がある、 他の人たちと同じくらいに価値のある人間だ、人生の失敗者. 第1因子(α=8.6). に高く、 時間の各側面は相互に関連しながらも、 「現在イ. ら未来を肯定的に構想することに繋がると考えられる。. 「自尊感情得点」とした。. 「他者信頼感」因子分析結果. 在イメージ」から「過去イメージ」へのパス係数が非常. いる。これらに「現在のイメージ」が支えられ、そこか. ②現在の「自尊感情」 9 項目(α=.85)の合計得点を. 共通性. 他者信頼感:小6>中2・高2 F(5,1762)=3.13** 充実感:小5・小6・中1>中2・高1・高2** 中 2 では「過去イメージ」以外のすべての項目が有意に. .45. 低いことから、中学 1 年から 2 年の間に自他の捉え方が. 私のことを分かってくれる人がいる. .79. .62. 変容されていくと考えられる。中2以降、高校生が「充. 一緒にいてほっとできる人がいる. .74. .54. 実感」 「自尊感情」 「現在イメージ」が低下していく時期. 困った時には誰かが助けてくれる. .67. .37. この先も信頼できる人と出会える. .66. .69. 私は一人ぼっちだと思う(*). .61. 累積寄与率. .44 52.37%. ④現在の「 充実感」 因子分析(最小 2 乗法)から、一因. 図. (GIF=.968). 充実感. であることが示された。 2 .質的分析結果:「希望」「展望」のカテゴリー分析 各学年 40 名ずつ、入所群 30 名を含め 270 名の希望・展.

(3) 望の自由記述をカテゴリーに分類した。展望に関しては. されなかった。これは飛永(2002)に合致するものであ. 態度(評価的側面)もカテゴリーに分類し分析した。. る。被虐待児は自尊感情等の低さが指摘されるが、施設. (1)「希望」と「展望」の内容の比較 「希望」「展望」の内. 内で職員との信頼関係で自尊感情等を獲得した可能性が. 容出現カテゴリー数にΧ2検定を行い、 残差分析を行った。. 示唆された。施設で育つか家庭で育つかが絶対的な問題. 希望に多く出現したカテゴリー F:ファンタジー J:職業 L4:所有 ST:社会的地位 P:心理的側面 B:身体的側面 展望に多出したカテゴリー D:分からない A:行動 C:特定集団への所属 J6:一般職 L2:生活感情 L1:生活習慣 T:時間的展望 * * p<.01,* p<.05 合計. 「希望」出現数 8* * 278* * 44* * 14* 46* * 10. 「展望」出現数 0* * 90* * 6* * 3* 5* * 6. 19* * 40* * 5* * 1* * 21* * 16* * 0* * 528. 32* 147* * 52* * 16* * 31* * 30* * 11* * 445. ではなく、そこでどういう人間関係を積み、どう信頼関 係を形成するかが重要であると示された。 2.入所児童の各得点の発達的変化. 各学年で各得. 点に対し分散分析を行った。その結果、全得点において 学年間の有意な差は見られなかった。飛永(2002)に合 致し、入所児童の諸変数の発達的な変化は生活年齢とい う基準では捉えられないことが示された。 3.入所児童の質的分析. (1)入所群と家庭群の「希望」. 「展望」の比較(X2検定) 入所児童に多く出現したもの. 内容面の差異から「未来展望」は「希望」 「展望」という. 「希望」:遊び(X2=3.14**)容姿(X2=5.65). 質の違う側面で構成されていることが示された。 「希望」. 「展望」:分からない(X2=4.25*)、能力(X2=3.43*). は「ファンタジー」等非現実な内容や「社会的地位」等. 「展望」の態度:±:積極的評価と消極的評価の葛藤*. 豊かさを望む内容が多く抽象的な「未来」の側面である. 入所児童が 「展望」 を持つことが難しいことが示された。. と考えられる。 「展望」 は行動や特定集団への所属といっ. さらに、展望の態度として「頑張っているがきつい人生」. た具体的で現実的な側面である。わからないという回答. 等将来の自分として「葛藤する」自分を想起している。. も多く、 「展望」とは、具体的に描けるか、分からないか. 入所児童は未来を見る際、 「見えない」か、見えても葛藤. という非常に極端な構造になっている。. する自分を想起することが示された。. (2)「希望」と「展望」:発達的変化 学年で X2検定. (2)入所児童の「希望」「展望」の発達的変化 X2検定. 小学生: 「希望」として「ファンタジー(X2=6.56**)」 「ス. 各年代のカテゴリー数において X2検定を行った。その結. ポーツ選手」などが多く、 「展望」は「頑張っている」と. 果、家庭児童で見られた学年間の差は示されなかった。. いう積極評価が多く、「特定集団への所属」が少ない。. 入所児童は一般的な年代の特徴を反映しにくいことが示. 中学生: 「希望」として「ファンタジー」が少なく、 「生. された。入所児童一人一人の発達を丁寧に見て、その個. 活感情 (のんびり) 」 など心の豊かさを求める内容が多い。. 人内の変化を捉えていくことが重要であると考えられる。. 高校生: 「希望」 「展望」ともに「わからない」が増加す. (3)入所児童の「希望」「展望」の有無に何が影響するのか. ること(X2=11.28**)から「未来展望」の表出できなさが. 入所児童の希望・展望の有無に判別分析(同時投入法). 示された。 「展望」として「特定集団への所属」という具. を行った。その結果、判別要因は示されなかった。入所. 体的内容のみが増加した(X2=15.92**)。. 児童の「希望」や「展望」を判別する要因は、家庭群の. (3)希望・展望の有無を判別する要因 希望・展望の. ように「未来イメージ」 「充実感」のみでなく、他の変数. 有無で判別分析を行った所、どちらも「未来イメージ」. の存在が推測される。入所児童の「展望」の有無に関わ. と 「充実感」 がその有無を判別する要因として示された。. る変数の検討は今後の課題である。. 未来イメージが肯定的で「やりたいことをやっている」. (4)入所児童の未来イメージには何が影響するのか. という充実感が「希望」 「展望」を生むことが示された。. パス解析を行った。入所群において、 「未来イメージ」に. 一方、 「展望」として「つまらない生活」等消極的な評価. は「現在のイメージ」のみが影響することが示された。. を伴う人に対し判別分析を行った結果、「自尊感情の低. 未来イメージ .80. さ」が判別要因として示された。 「展望」の有無には「充. 現在イメージ. 実感」が重要でさらに「生き生きした展望」を持つため. .60. には、 「自分はできる」 自尊感情が重要であると示された。 過去イメージ. Ⅳ.入所児童の結果と考察 1.量的データの家庭群と入所群の差異. 入所児童と. 他者信頼感 .19 .31. . 充実感. .38. GIF=.904 .69. 自尊感情. 「現在イメージ」は「自尊感情」 「充実感」 「他者信頼感」. 家庭児童間の比較をするため、各得点に対しT検定を行. から形成され、それが「未来」 「過去」の捉え方に影響し. った。その結果、すべての得点において、有意な差は示. ている。入所児童の「現在」に注目し、彼らが現在の生.

(4) 活で自他への信頼感を形成していくことが彼らの「過去. 首と膝の裏が硬いね>と指摘すると「そうそう。痛かっ. イメージ」や「未来イメージ」に繋がることが示された。. たもん」 と答えていた。 足首を弛める課題では 「痛いー!」. 本研究の結果から、入所児童は「展望」が持ちにくく、. と連発しながらも自分から痛い所を弛めようとする様子. さらに「展望」として葛藤する自分を想起する傾向が示. が見られた。#2 背中を反らせる課題の時も下半身の痛み. された。児童の現在の「自尊感情」や「他者信頼感」を. を訴えた。<もう感じたくない痛さ?何とかしたい感. 援助し、さらに児童が「現在」に「充実感」を持って生. じ?>と問うと「何とかしたい」と答え下半身を弛める. 活できるよう援助することが重要であり、それが肯定的. ことを求めてきた。<痛くないと所を探そう>と働きか. な「未来」を見る力に繋がることが示された。. けるが、K は「わー痛いー!!」と叫び自分でどんどん. 第三章:児童養護施設入所児童の「未来展望」を支える. 足を動かしていった。 #3 上体を捻る課題を行うとすっ. 「現在の自己の在り方」の事例的理解. すっと上手に力を抜いていった。<どう?>「よくわか. Ⅰ.第3章の目的. 入所児童に援助的関りを持ち、質問. らん」とピンと来ない様子。<背中は力抜くの上手ね>. 紙では捉えきらなかった「現在の自己の在り方」が実際. 「でも足が問題」と膝裏を弛める課題を求めてきた。膝. の対人交流場面でどう表現されるか検討することを目的. 裏を弛める課題では「痛いー」と叫びつつ、自分で動か. とする。 援助的関りとして動作法による面接を設定した。. していった。<頑張り屋さんやね>「そう」<どんな痛. 成瀬(1988)は「体験の仕方」の変容こそが重要であると. さ?>「つんつん」 「ぐわんぐわん」と表現した。<ぐわ. 指摘したが、本研究でも動作面接での「体験の仕方」を. んぐわん?>「はーて感じ」と表現した。. 詳細に検討することで、児童の「現在の自己の在り方」. 6.動作面接からの理解. について検討を行う。. ず、硬くて痛みを伴う方ばかりに目が向く様子が見られ. Ⅱ.方法 1.対象児. 筆者に面接を希望した入所. 児童 4 名(中1男 1 名、中1女2名、高1女1名)。 2.手続き. 3 回の面接を設けた。面接時間は 1 時間. 弛みやすい所には注意が向か. た。さらに「痛くないように」コントロールするのでは なく、 「痛み」を伴うように動かす様子が見られた。痛み 以外の感覚は 「ぐわんぐわん」 「つんつん」 と表現された。. と設定し、その中で各対象児と話し合いながら動作法を. 7.事例 K の「 現在の自己の在り方」の理解. 導入し行った。動作面接後は動作法での身体・動作に関. 望したが、何がしたいか言語的に表現できなかった。動. する感じ方である自体感を測定するため自体感質問紙. 作場面では「痛み」以外は表現が難しく「今ここで何を. (井上、2003)を行った。. 感じているのか」という自己確信感や「ここにいる感じ」. Ⅲ.事例 K( 高1女子) 1.事例の概要. 身体的虐待、放. 面接を希. の自己存在感の不確かさが感じられた。そのため本児に. 任虐待等で本児5歳児に入所となった。. 最も確かに感じられる「痛み」を媒介に筆者とやりとり. 2.生活の様子 幼少期から問題行動が多発していた。現在. を持とうとしたのではと推測された。自己存在感の不確. も施設内で問題行動が多く見られる。. かさが様々な問題行動に繋がっていると推測された。. 3.質問紙施行時の様子. Ⅳ.総合考察. 質問紙には意欲的に取り組み、. 第 2 章から「現在の自己の在り方」を援. 感想欄には「楽しかった。将来のことが考えられてよか. 助することが重要と示された。第 3 章では「現在の自己. った」と記入した。面接希望者票に面接の希望を記入し. の在り方」 が対人交流場面でどう表現されるか検討した。. た。質問紙は全て平均点近くのプロフィールであった。. その結果彼らの「現在の在り方」は生活場面では問題行. 4.動作面接への導入(<>筆者「」K の発言). 動として現れることが多く直接取り扱うのは困難である. 面接には「行く!」と意欲的だったが心理室に移動す. が、日常の現実から距離が置け、具体的な活動の面接場. ると緊張し立ちすくんだ。<どういうことがしたい?>. 面では、彼らの「自己のあり方」を援助者が理解し易か. と問うが答えることができなかった。<ゲームとか色々. った。今後は、 「現在の自己の在り方」を理解し援助して. できるが>と働きかけると応じオセロをした。終始緊張. いくことが重要だと示唆された。. した様子で終わった。次週、来室するが立ちすくむ様子. Ⅴ.主要参考文献. が見られた。筆者が<身体を楽にする方法もあるけど>. 飛永佳代. と言うと「やってみたい」と積極的な様子が見られ動作. に向けた動作法の適用 リハビリテイション心理学研究. 面接に導入した。. 30-2. 5.動作面接の様子. #1 上半身は弛みやすく、すっすっ. 2003. 児童養護施設入所児童の心的安定化. 飛永佳代 2002 児童養護施設入所児童の「将来展望」. と力を抜いた。<どう?>と聞くと、 「はーという感じ。. と「現在の自己の在り方」との関連 九州大学今日言う. よくわからん」と答えた。膝裏と足首が硬く筆者が<足. 学部卒業論文.

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