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区間ゲームとその解概念についての展望

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Academic year: 2022

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(1)

Abstract

A characteristic function form game is a standard representation in cooperative game theory in which the amount of payoff that a coalition can obtain by its own is uniquely specified as a real number by the characteristic function. In an interval game, regarded as a generalization of the characteristic function form games, its characteristic function assigns a closed interval, instead of a real number, to each coalition. An interval game considers a situation in which players face an uncertainty regarding outcomes allocated to players. While interval games are highly generalized models in the cooperative game theory, investigations on interval games – especially introduction of appropriate solution concepts and application of them to specific games – have not been sufficiently carried out. We in this study examine which conditions should be imposed on solution concepts applied to interval games, after reviewing basic structures and ingredients of interval games. We also propose a solution concept satisfying these conditions and discuss some issues and questions

for further researches on interval games.

 協力ゲーム理論の代表的な表現形式である特性関数形ゲームにおいては,それぞれの提 携が独力で獲得できる利得が,特性関数により実数値として一意に定められる.特性関数 形ゲームの一般化として,特性関数が一意な実数値を定めるのではなく,実数値の閉区間 を定める区間ゲームがある.区間ゲームはプレイヤー間の利得配分を巡る事前交渉におい て,最終的に実現する利得に不確実性がある状況を定式化したものであり,従来の特性関 数形ゲームは区間ゲームの特殊ケースとみなすことができる.このように,区間ゲームは 協力ゲーム理論分析の枠組みとして高い一般性を有するが,区間ゲームの分析―特に適切 な解概念の導入やそうした解概念の具体的な区間ゲームへの適用―がこれまで十分に進め

論 文

区間ゲームとその解概念についての展望

Interval Games and its Solution Concepts: Some Observations and Projections

石原 慎一・篠 潤之介

・山内 森平

         

責任著者(早稲田大学国際教養学部専任講師),[email protected]

(2)

1 はじめに

 協力ゲーム理論の表現形式としてもっとも代表的なのは,von Neunmann and

Morgenstern[12]によって提示された特性関数形ゲーム(提携形ゲームとも呼ぶ)

である.特性関数形ゲームを用いた分析では,プレイヤー間に相互依存関係のあ るゲーム的状況を,まず特性関数として記述する.特性関数は,提携ごとにその 提携が自らで獲得できる実数値(提携値と呼ぶ)を一意に定める.そして,特性 関数で表現される協力ゲームに対し,ある特定の見方や条件を満足する解概念

(「特定の見方や条件」とは,例えば,「規範的であるべきか記述的であるべきか」

「1点であるべきか集合であるべきか」「ある公理(系)を満たすべきかどうか」

など)を適用して分析を行う.特性関数形ゲームに適用される代表的な解概念と して,配分,コア,安定集合,シャープレイ値,仁などがある.特性関数(vと する)とプレイヤーの集合(Nとする)によって定義される協力ゲーム(Nv) を特性関数形ゲームと呼ぶ(特性関数形ゲームを詳述した文献としては,Peleg and Sudholter [9],鈴木・武藤[13],中山ほか[15] を参照).

 標準的な協力ゲーム,あるいは特性関数形ゲームの重要な一般化として,不 確実性の導入が挙げられる.協力ゲームによる分析の対象となる社会・経済的 状況が直面しうる多様な不確実性のうち,〈提携形成に関する不確実性〉をモデ ル化したものとして,ファジーゲーム(fuzzy game)がある(Aubin[1]).一方,

各提携が獲得できる値が,事前には一意に定まらないという〈提携値に関する不 確実性〉を扱った分析は,提携形成に関する不確実性と同等かあるいはそれ以上 に重要かつ適用範囲が広いと思われるにもかかわらず,協力ゲームにおける主要 な研究分野となっているとは言い難い.〈提携値に関する不確実性〉を導入する られてきたとは言い難い.本稿では,区間ゲームの構造を概観したのち,区間ゲーム上で 定義される解概念がいかなる条件を満たすべきかについて考察を行う.そのうえで,そう した条件を満たす解概念の定式化を試み,今後の区間ゲーム分析の展望を示す.

         

1 不確実性を取り入れる方向での協力ゲームの拡張については,Branzei et al. [6] のサーベイを参照.

(3)

ための数少ないアプローチの1つとして,区間ゲーム(interval game)を用いた分 析がある.

 区間ゲームも,特性関数形ゲーム同様に,特性関数とプレイヤー集合によって 定義される.しかし,区間ゲームにおける特性関数(特性関数形ゲームにおける 特性関数vと区別するためにwとする)は,各提携 S に対し,提携Sが自ら獲得 できる実数値を一意に定めるのではなく, S が自力で獲得できると予想される一 定の範囲(実数の閉区間)を一意に定める.したがって,区間ゲームは特性関数 形ゲームを一般化したもの(あるいは,従来の特性関数形ゲームは,区間ゲーム の特殊ケース)とみることができる.

 特性関数形ゲーム同様,区間ゲームが扱う本質的な問題は,(1)︿提携形成﹀=プ レイヤー間でどのような提携が形成されるか,と(2)〈利得分配﹀=所与の提携形 成のもとで,利得がどのようにプレイヤー間で分配されるか,の2点である.

 特性関数形ゲームでは,「交わらない相異なる2つの提携は,それぞれ独自に 行動するよりも,共同して行動した方が獲得できる利得は大きい」という優加 法性を仮定することで,(1)に対しては全体提携の実現を自明なこととし,その もとで全体提携がもたらす提携値 v(N)を全員にどう分配するか,という観点か ら,多様な解概念が提示されてきた(中山ほか[15]).

 区間ゲームにおいても,後述するように全体提携が実現されることが予見され る優加法性を定義することができる.しかし,区間ゲームの分析においては,優 加法性を満たす場合であっても,何をもって「解」とみなすかについて,区間 ゲームに固有の問題が存在する.区間ゲームにおける解を定める1つのアプロー チとしては,特性関数形ゲーム同様,1つの分配案(すなわち n 次元利得ベクト ル)あるいは複数の分配案(n次元利得ベクトルの集合)を解とするものである.

実際,これまでの区間ゲームの分析では,こうした方向性に基づいて定義された 解概念が,主な分析の対象とされてきた(Alparslan Gök et al.[5],Alparslan Gök

[2],鶴見ほか[14]など).しかしながら,区間ゲームとして表現されているも ともとの社会的・経済的状況にまで遡って考えると,こうした利得ベクトル(あ          

2 厳密には「大きい」ではなく「少なくとも小さくない」である.

(4)

るいはその集合)を直接的に解とするのは,必ずしも適切とは言い切れない面が あるように思われる.前述の通り,区間ゲームにおいては,プレイヤーは提携値 に関する不確実性に直面している.しかし,最終的に提携値(優加法性が満たさ るのであれば全体提携値)が各プレイヤーに分配されるタイミングでは,そうし た不確実性を伴う全体提携値のうちどれか1つが実現しているはずである.だと すれば,区間ゲームにおける解とは,単なる利得ベクトルあるいはその集合で はなく,全体提携の実現値それぞれに対して,その実現値に応じた利得ベクトル

(あるいはその集合)を提示する写像として定義されるべきである.

 こうした区間ゲームにおける解としての好ましい性質を満たす数少ない(恐ら く唯一の)ものとして,Alparslan Gök et al.[5]が提示したψα value が挙げら れる.本稿では,区間ゲームおよびψα value について概観したのち,具体例 を用いてψα value が内包しているいくつかの改善点を示し,今後のさらなる 研究の方向性を展望することを目的とする.

2  n 人特性関数形ゲームと n 人区間ゲーム

 本節では協力ゲームの代表的な表現形式である特性関数形ゲーム(または提携 形ゲーム)と,不確実性を組み入れて特性関数形ゲームを一般化した区間ゲーム について概観する.

 まず,特性関数形ゲームを概観する.n人特性関数形ゲームは,プレイヤーの 集合 N = {1, 2, ..., n}と特性関数 v :2N R の組(N, v)によって表現される.v S ∈2N v(S)を与える実数値関数であり,v(ϕ) = 0を満たす.v(S)は提携 S に含 まれるプレイヤーが協力したときに提携 S が全体として獲得できる利得の値と解 釈できる.S ∈2Nを提携,Nを全体提携と呼ぶ.

 特性関数形ゲーム(N, v)が以下の条件を満たすとき,(N, v)は優加法性を満 たす,あるいは優加法的であると呼ぶ.

S T = ϕなる S, T ∈2Nについて,v(S T ) ≥ v(S) + v(T)

 特性関数形ゲームが優加法的であれば,交わらない異なる2つの提携 S T

(5)

は,互いに独立に行動するよりも,両者が共同して提携 S T として行動した 方が,利得は大きくなる(厳密には減少しない).このため,優加法性のもとで は最終的に全体提携が形成されると考えられる.

 特性関数形ゲームに適用する解概念には多様なものがあるが,ここではその代 表的なものとしてコアとシャープレイ値を挙げておく.コアは配分および支配の 概念を通じて定義される.

 特性関数形ゲーム(N, v)において,n 次元利得ベクトル x = (x1, x2, ..., xn)が以 下の2つの条件を満たすとき,x を配分と呼ぶ.(N, v)における配分全体の集合 を I (v)で表す.

  • xi ≥ v({i})∀i N.(個人合理性)

  •

Σ

i N xi = v(N).(全体合理性)

 相異なる n 次元利得ベクトル xy および提携 S N が以下の条件を満たすと き,x は提携 S を通じて y を支配すると呼ぶ.また,以下の条件を満たす S が少 なくとも1つ存在するとき,x y を支配すると呼ぶ.

  • xi > yi i S   •

Σ

i s xi≤ v(S)

x が提携 S を通じて y を支配しているとき,提携 S は,そのメンバー全員が y よ り x を強く好み,かつそうした x は自らの力で獲得可能である.したがって,全 てのプレイヤー間で利得ベクトルに関する交渉が行われる場合に,利得ベクトル y は提携 S によって拒否されると考えられる.

 特性関数形ゲーム(N, v)において,いかなる配分からも支配されない配分の 集合をコアと呼ぶ.(N, v)におけるコアを C (v)で表す.(N, v)が優加法的であ る場合,コアは以下の配分集合と一致する.

 次にShapley[10]によって与えられたシャープレイ値の定義を記す.n人のプ レイヤーを並べた順列をπ = (π(1), π(2), ..., π(n))とし,π全体からなる集合を

(6)

Πとする.Πの要素数は n!である.順列πにおいて i N k 番目のプレイヤー π(k )であるとき,j < k なるプレイヤーπ( j )をプレイヤー i の先行者と呼び,i の先行者全体の集合を Pπ,iで表わす.特性関数形ゲーム(N, v)において,以下 で表現される n 次元利得ベクトルϕ(v) = 1(v), ..., ϕn(v))をシャープレイ値と呼ぶ.

 特性関数形ゲームにおけるコア,シャープレイ値以外の代表的な解概念として は,安定集合,仁などがある.本稿の以下の分析との関係において重要な点は,

特性関数形ゲームにおける解概念は,いずれもプレイヤーの n 次元利得ベクトル あるいはその集合として定義されるという点である.

 次に,区間ゲームを概観する.n 人区間ゲームは,特性関数形ゲーム同様,プ レイヤーの集合N = {1, 2, ..., n}と特性関数 w の組(N, w)によって表現される.

ただし,w は各提携 S ∈2Nに対し,1つの実数値を与えるのではなく,1つの 閉区間 w(S)を与える関数である.厳密には,I (R)を全ての閉区間の集合とした とき,w : 2N I (R)は各提携 S ∈2Nに閉区間 w(S)∈ I (R)を与える写像であり,

w(ϕ) = [0, 0]を満たす.n 人区間ゲーム全体の集合を IGNとする.プレイヤー集 合 N が明らかなとき,区間ゲーム(N, w)を単に w で表す.異なる2つの n 人区 間ゲーム w, w′∈ IGNに対し,区間ゲーム w + w′は,(w + w′)(S) = w(S) + w′(S)

S ∈2Nによって定義される.ただし,ab を2つの閉区間としたときに,a + b

= {s1 + s2|s1 a, s2 b}である.

 各 S ∈2Nに対して,w(S)を提携 S の価値集合(worth set,または価値区間)と 呼び,w(S) = w(S), w(S)]と表記する.なお,区間ゲーム(N, w)において,もし 全ての S ∈2Nに対して w(S) = w(S)であれば,(N, w)は v(S) = w(S) = w(S)なる特 性関数形ゲーム(N, v)と同値であるとみなせる.

 相異なる2つの区間ゲーム w, w′∈ IGNと提携 S ∈2Nに対し,w′(S) < w(S)か つ w(S) < w′(S)であるとき,w(S)⊂ w′(S)と記す.

 (N, w)を区間ゲームとする.今,各提携から実数への関数 v : 2N R を考え る.もし v が各S ∈2Nに対して v(S)∈ w(S)を満たすとき,v w の1つのセレク

(7)

ションと呼ぶ.w のセレクションの集合を sel (w)で表す.v sel (w)である(N, v)は1つの特性関数形ゲームを形成する.

 区間ゲーム(N, w)における配分集合 I (w)とコア集合 C (w)を以下で定義する.

I (w) = ∪{I (v)|v sel (w)}

C (w) = ∪{C (v)|v sel (w)}

I (v)および C (v)は特性関数形ゲーム(N, v)上で定義した配分全体の集合および コアである.

 次に,区間ゲームのバランス性について定義する.まず,提携 S ∈2N n 次 元特性ベクトル eSを以下で定義する:

また,写像λ:2N-→ R+が以下の条件を満たすとき,λをバランス写像と呼 ぶ

 区間ゲーム(N, w)が以下の条件を満たすとき,(N, w)は強くバランスしている

(strongly balanced)と呼ぶ.

全てのバランス写像λに対して,

強くバランスしている n 人区間ゲームの集合を SBIGNとおく.後述するように,

区間ゲームのランス性は,優加法性と密接な関係性を有する.

3 2人区間ゲーム

 以下では2人区間ゲームに絞って分析を進める.表記の簡単化のため,w({1}),

w({2}),w({1, 2})をそれぞれ w(1),w(2),w(1, 2)と表記する. < N. w >を二人          

3 Balanced map のこと(Alparslan Gök et al. [5]).「バランス」は「平衡」とも訳出される.

(8)

区間ゲームとすると, N = {1, 2}, w(1) = w(1), w(1)], w(2) = w(2), w(2)], w(1, 2) =

w(1, 2), w(1, 2)]である.二人区間ゲーム全体の集合を IG {1,2}とする.強くバラ ンスしている二人区間ゲーム全体の集合を SBIG {1,2}とする.

 < N, w >が2人区間ゲームであれば,以下の条件が満たされるとき,かつその

ときに限り,< N, w >は強くバランスしている.

w(1)=w(2) ≤ w(1,2) (1)

 次に,優加法性(superadditivity)を定義する.2つの閉区間 A B に対し,任 意の a A b Bに対して a ≤ b が成り立つとき,A B の左方に位置すると呼 び,A B と記す.2人区間ゲーム< Nw >が以下の条件を満たすとき,ゲーム は優加法的である呼ぶ.

w(1)=w(2) ≤ w(1, 2)

ただし w(1) + w(2) = {s1 + s2|s1 w(1),s2 w(2)} である.

 二人区間ゲーム< Nw >が優加法的であるのは,< Nw >が強くバランスし ているとき,かつそのときに限る(Alparslan Gök et al.[5]).

 式(1)から明らかなように,2人区間ゲームが優加法的であるとき,個々人が 独力で獲得できる最大値(w(1)および w(2))の合計より,2人で協力したときの 最小値の方が大きい.したがって,2人区間ゲームにおいて,ゲームの優加法性 は,全体提携 N = {1, 2}が形成されるための十分条件であると考えられる

         

4 一方で,区間ゲームにおいては, ゲームが優加法的でなくても,全体提携が形成される可 能性がある(優加法性は全体提携形成の十分条件ではあっても必要条件ではない).この 点についての1つのポイントはプレイヤーのリスク態度 (特に,独力で行動したときに得 られる将来利得に対する予測スタンス) である.例えば, w(1) + w(2) > w(1, 2)(すなわち優 加法的でない)であるが w(1) + w(2) < w(1, 2) であるとき, もしプレイヤー i が独力で行動 したときに実現するであろう利得を w(i) と保守的に見積もるのであれば,全体提携が形成 されることが予想される.一方で,独力で得られる利得を w(i) と楽観的に見積もるのであ れば,全体提携の形成は見込みがたいであろう.

(9)

4 2人区間ゲームにおける既存の解概念とその改善案について

4.1 利得ベクトルの集合としての解

 以上の2人区間ゲーム< N, w >に対し,Alparslan Gök et al.[5] は以下のプレ配

分集合 I(w),配分集合 I (w),ミニコア集合 MC (w),コア集合 C (w)を定義した.

式(3)および(5)から直ちにわかるように,2人区間ゲームにおいては配分集合 とコア集合は同値である(Alparslan Gök et al.[5]).また,区間ゲームが強く バランスしているならば,ミニコア集合は非空でありかつコア集合の部分集合と なる.

 以上の解概念は,2次元(より一般的には n 次元)実数ベクトルの集合として 定義されている(式(2),(3),(4),(5)のいずれについても x R2に条件を付 加する形で定義されている).また,Alparslan Gök et al.[5]以降の区間ゲームに おける解概念の分析では,2次元あるいは n 次元実数ベクトルの集合の代わり に,2次元ないし n 次元閉区間ベクトルの集合を解として用いることが主流に なっている(Alparslan[2],Alparslan et al.[3][4],Branzei et al.[7]).具体的 には I (R) N n 次元閉区間ベクトル全体の集合としたとき,以下の式(6)で定義 される閉区間プレ配分集合 II(w) を定義し,II(w) に追加的な条件を課すかた ちで区間コアや区間安定集合,区間シャープレイ値といった解概念を定義してい

(2)

(3)

(4)

(5)

         

5 ここで n 次元閉区間ベクトルとは,n 個のベクトルの要素が実数ではなく閉区間であるベ クトルのこと.

6 なお,ここでは区間ゲーム分析における様々な解概念の提示を企図した既存研究を挙げ たが,その他, 区間ゲーム分析の戦略形ゲームへの適用可能性を考察した分析として,

Carpente et al. [8] がある.

(10)

くというアプローチである(II(w)はAlparslan Gök et al.[5]におけるプレ配分集 合 I(w)に対応する概念である).

(6)

 もっとも,区間ゲームが本来想定している不確実性の存在を踏まえると,こう した実数ベクトル集合ないしは閉区間ベクトル集合を解とするアプローチとは異 なるアプローチを考えることができる.すなわち,区間ゲームは,プレイヤー間 の利得配分を巡る事前交渉において,最終的に実現する利得に不確実性が存在す る状況をモデル化したものである.しかし,事前交渉を終え,交渉の結果に基づ いて,最終的に提携値が各プレイヤーに分配されるタイミングでは,そうした不 確実性を伴う提携値のうちどれか1つが実現しているはずである.だとすれば,

区間ゲームにおける解とは,単に n 次元実数ベクトルの集合,あるいは n 次元閉 区間ベクトルの集合を指定するのではなく,提携(特にゲームが強くバランスし ているもとでは全体提携)の実現値それぞれに対して,その実現値に応じた利得 ベクトル(あるいはその集合)を提示する写像として定義されるべきである.

 実は,Alparslan Gök et al.[5]では,上で挙げた解概念とは別に,まさにこう した考えに沿った写像としての解概念(ψα value)が提案されている.しかし ながら,Alparslan Gök et al.[5]以降,写像としての解概念の分析はまったく進 んでいない.そこで,次にψα value の定義を概観したのち,具体例を用いて

ψα value の問題点とその改善の方向性について検討する.

4.2 写像としての解:既存の解写像ψα の考察と新たな解写像σI の提示  Alparslan Gök et al.[5]は,2人区間ゲームにおける解概念として,写像として の解ψα(ψα valueとも呼ぶ)を提案した.まず,準備段階として,α = (α1, α2)∈

[0, 1]×[0, 1]を最適化ベクトルと呼び,αと w IG {1,2}に対して以下の sα11(w) sα22(w)を定義する.

 ここで解として提示するのは,ある閉区間[a, b]に含まれる各々の実現値に

(11)

対して2次元実数ベクトルを与えるような関数κ:[a, b]→ R2である.そのよ うな関数κ全体の集合を K (R2)とおく.

 写像 F : IG {1,2} K (R2)は,各区間ゲーム w IG{1,2}に対して1つの写像 F (W )∈ K (R2)を与える.F (W )∈ K (R2)の定義域が[w(1,2), w(1,2)]のとき,すな わち F (w) : [w(1,2), w(1,2)]→R2のとき,写像 F を2人区間ゲームにおける解,

あるいは解写像と呼ぶ.F は各区間ゲーム w IG {1,2}とその実現値 t ∈[w(1, 2), w(1, 2)]に対し,プレイヤー間の利得ベクトルを定める写像である.

 Alparslan Gök et al.[5]は,具体的な解写像として,以下のψα : IG {1,2} K (R2) を考察した.w IG {1,2} t ∈[w(1, 2)w(1, 2)に対して, ψαは以下で定義される.

(7)

 ただし である.以下の考察のために,式(7)のβ にこのβの表現を代入した,ψαの別表現を示しておく.

(8)

 ψαは,不確実性があるもとで,事後的な全体提携の実現値 t ∈[w(1, 2), w(1, 2)]

それぞれに対して2次元利得ベクトルを解として提示する.ψαは,各実現値に 応じて利得ベクトル=配分案を提示しており,n 次元利得ベクトルないしは n 次 元閉区間ベクトルの集合を直接解として定義する区間コアや区間シャープレイ値 などと比べ, 不確実性に直面した状況下でのプレイヤー間の事前交渉と各実現 値ごとの割り当てルールといった要素をより明示的に考慮した解概念とみなすこ とができる.また,ψαは全体合理性などのいくつかの公理を満たす(Alparslan Gök et al.[5]).

 一方で,ψα value には,いくつかの改善すべき点があるようにも見受けら れる.

 1点目は,α = (α1, α2)の位置づけおよびその解釈についてである.ψα value のもとでは,所与のα = (α1, α2)に基づいて,各プレイヤーの取り分 sαii(w)をまず 決め,そのあとに実現値t ∈[w(1, 2), w(1, 2)]の残りを二人で折半する構造となっ

(12)

ている.すなわち,2人のプレイヤーに与えられる利得の差をもたらすのはα であり,これはプレイヤー間の利得配分に関する交渉力の違いを反映したものと 考えられる.しかし,区間ゲームにおける配分を巡る交渉力の源泉は,「交渉が 決裂して単独で行動しても獲得できる利得」すなわち w(i) なのではないだろう

か.ψα value の枠組みでは,w(i)とは別途,αiという変数が導入され,かつ

αi w(i)と独立に動く(すなわちαは外生的).このため,w t が決まっても,

それぞれのαに応じて利得ベクトルが決まるだけで,所与の特性関数 w と実現 値 t のもとで1つの利得ベクトルを定めるには至っていない.

 2点目は,区間ゲームが強くバランスしている,したがって優加法的である場 合の個人合理性である(ここで個人合理性とは,(x1, x2)を利得ベクトルとした

ときに,x1 x2 ≥ w(i)を満たすことを意味する).区間ゲームが強くバランス

している,すなわち

w(1) + w(2) ≤ w(1, 2).

を満たす場合に,ψαによって与えられるプレイヤー i(ここでは1とする.2に ついても同様)の利得の性質を考える.式(8)から出発して,以下の不等号が導 ける.

すなわち,もし2人区間ゲーム(N, v)が強くバランスしていれば,ψαは常に ( t がとりうる 下限 = w(1, 2))

(∵ゲームは

強くバランス)

(∵とりうる最小の sα11(w)と最大の sα22(w))

         

7 なお,ここでは,ψα について,︿まず事前交渉で sαii(w)が決まり,残りは事前交渉とは 独立に折半される﹀ という解釈を提示しているわけではない.正確には, ︿「どんな実現値 に対しても,まずは sαii(w) を配分し, 残りを折半する」という配分ルール全体がプレイヤー 間の事前交渉で合意されている﹀ という解釈を示している.なお, Alparslan Gök et al. [5]

は,こうした ψα の定義と整合的な解釈について論じられていない.

(13)

w(i)(i {1,2})以上の値を与える.しかしながら,(N, v)が強くバランスして いても,ψαは常に w(i)以上の値を与えるとは限らない.もし w(i)以上が与えら れなければ,全体提携が形成されるかどうかは必ずしも自明ではない.

 以上の2点についてさらに考察を進めるために,以下の具体例を考える.

例4.1

 これはAlparslan Gök et al.[5]で用いられた例を一部修正したものであり,

w(1)+w(2) = 30+5090 = w(1, 2)なのでゲームは強くバランスしている.今,仮 にα = (α1, α2) = (0, 1)とすると, sα11(w)= w(1)=10, sα22(w)=w(2)=50なので

ψα(w)(t) = (10 +β, 50 +β) where β=

1

-2(t -60)

となる.実現値が t = 90であれば,両者に配分される利得はψα(w)(90) = (25, 65) である.

 前述の通り,αはプレイヤー間の相対的な交渉力の違いを反映したものと考え らえれる.ここで仮定したα = (0, 1)はプレイヤー1の交渉力が低い状況を描写し たものであり,プレイヤー1への配分比率が低い(25, 65)という利得ベクトルは 解としてもっともらしいとみることもできる.しかし,ゲームが優加法的である こと,あるいは強くバランスしていることが意味するのは,「各々が最大限(max)

の力を出しても,協力した場合に得られる最小値(minimum)の値には届かない」

という状況である.このような場合,全体提携が形成されることは明らかである が,その場合の利得の配分方法としては,「まず各々で努力したときに最大限得ら れる値を与え, それ以上のシナジーで得られる部分を交渉力に応じて配分する」

という考えが自然であると考えられる.だとすれば,プレイヤー1に w(1) = 30 未満の値しか与えない(25, 65)は解として妥当性を欠くようにも見える.すなわ ち,上で見たように,ゲームが強くバランスしているのであれば,ψαが与える 利得ベクトルは sαii(w) +β ≥ w(i)を満たすが,本来の解写像は sαii(w) +β ≥ w(i) も満たさなければならないのではないだろうか.

( t がとりうる 下限 = w(1, 2))

(∵ゲームは

強くバランス)

(∵とりうる最小の sα11(w)と最大の sα22(w))

(14)

 ここで,新たに以下の配分方法を考えてみる.

 STEP1 プレイヤー1に w(1) = 30,プレイヤー2に w(1) = 50を与える.

 STEP2 残りの t -(50 + 30) を2人で折半し,STEP 1の利得ベクトルに加 えたものを配分する.

 t = 90のとき,この配分方法が指定する利得ベクトル((x1 , x2)とする)は

(35, 55)となる.

 ここで重要な点は,この配分方法は,先に指摘したψα value が抱える2つ の問題点が解決されているということである.まず,この配分方法は,ψα

value におけるαに対応するパラメータを経由せずに,配分される利得ベクトル

を1つ定めている.前段では,(1)ψα value におけるαはプレイヤー間の交 渉力の違いを反映したものと考えられること,しかしながら(2)そうした交渉力 のそもそもの源泉は w(i) であること,を指摘した.ここで示した配分方法は,α に相当する概念を用いることなく,w(i) に含まれる情報(この配分方法ではそ のうちの上限 w(i))を両者の利得の差をもたらすもの,すなわち交渉力の源泉と して直接的に用いている.次に,閉区間である w(i)のうち,その上限値 w(i)を

STEP 1 で各プレイヤーに割り当てることにより,個人合理性 xi ≥ w(i)が満たさ

れている.実際,後段で示すように,区間ゲームが強くバランスしているとき,

この配分方法で決まる利得ベクトルは,つねに個人合理性を満たす.

 以上の考察を踏まえ,Alparslan Gök et al.[5]が提示したψαと代替的な以下の 解概念σIを定義する8

定義4.1 各区間ゲーム w IG {1,2}と実現値 t ∈[w (1, 2) , w (1, 2)]に対し,σI

(9)

         

8 I は Individual の頭文字で,STEP1 でまず個人の w(i) に基づいて利得を割り当て,その

あとにシナジー分を折半するという意味である.後述するシナジー分から確定する後段

の σS も参照.

(15)

と定義する.σI は各区間ゲームとその実現値に対し,プレイヤー間の利得配分 を定める写像である.

 ψαにおける式(8)と同様に,式(9)におけるσI の式の右辺にβの表現を代 入すると,σI(w)(t)は以下でも表現される.

(10)

 σIの定義より,σI についての以下の性質がただちに導ける.

性質4.1 σIは常に全体合理性を満たす.

(証明)式(10) の2つのベクトル要素の合計は常に実現値 t と一致する. 性質4.2 区間ゲームが強くバランスしてるとき,σI は常に個人合理性を満

たす.

(証明)プレイヤー1について証明する(2についても同様).式 (10) の右辺の 表現からスタートする.

性質4.3 σI(w)(t) = ψ(1,1)(w)(t).

(証明)α = (1, 1)なので,式(8)においてsα11(w)とsα22(w)にそれぞれ w(1)と w(2) を代入すると,

となり,これはσI(w)(t)である(式(10) 参照)

 すなわち,σIは数学的にはψαにおいてα = (1, 1)としたものと一致する.ゆえ に,Alparslan Gök et al.[5]の分析に沿って述べれば,本分析で我々はα = (1, 1) のときのψαを解として採用していることを意味する.もっとも,これまでの分 析から,我々はあくまでαという概念を経由せず,直接w(i)の情報を用いて利得 (∵ t がとりうる下限 = w(1, 2))

  (∵強くバランス     している)

(16)

ベクトルを定めることを企図してσIの定式化に至った点は,ここで強調してお く.

5 区間ゲームとその解概念の分析:今後の展望

 以上,本稿では,提携値に不確実性がある状況をモデル化した区間ゲームにつ いて概観したのち,区間ゲーム分析において適用される解概念は,各実現値に応 じてプレイヤー間の利得ベクトルを提示する写像であるべきことを述べてきた.

さらに,そうした写像としての唯一の既存の解概念であるψαを取り上げ,ψα が内包しているいくつかの改善点を示した.そのうえで,改善点を克服する新た な解概念として,解写像σIを提示した.

 区間ゲームはその高い一般性にも関わらず,これまで,多くのゲーム理論研究 者によって十分な研究が進められきたわけではない.また,区間ゲームの既存研 究は,(1)特性関数形ゲームにおける解概念コアやシャープレイ値などを,

区間ゲームに適用可能な形で実数ベクトルの集合や閉区間ベクトルの集合とし て定義しなおし,(2)そうした解概念の存在性や性質を考察するといった分析に 偏っている.一方で,各実現値に応じてプレイヤー間の利得ベクトルを提示する 写像としての解(解写像)は,不確実性に直面した状況下での利得配分をめぐる プレイヤー間の事前交渉や,各実現値ごとの割り当てといった要素をより明示的 に考慮している.解写像を用いた区間ゲーム分析は,Alparslan Gök et al.[5] に よって提示された後,まったく進められてこなかっただけに,今後の分析の余地 は大きいと考えられる.以下では,そうした観点から,解写像を用いた区間ゲー ム分析で扱われるべき論点を指摘して,本稿の結びとする

         

9 以下,本文では区間ゲームにおいて解写像を用いて分析を進めるうえでの今後の論点を述 べるが,これとは別に,区間ゲームを用いること自体の妥当性についても,以下(1)およ び(2)の観点からのさらなる検討が必要であるといえよう.

 (1)区間ゲームは,提携 S が独力で獲得することのできる提携値に関わる不確実性を,

閉区間 w(S) として表現するが,標準的な経済学では,不確実性やリスクは,確率空間上 の(加法的もしくは非加法的な)確率測度で定式化される.区間ゲームは,特定の分布を

(17)

解写像σI の公理化

 1点目は本稿で提示した解写像σIの公理化である.本稿では,すでに,σI が全体提携を満たすことと,ゲームが優加法的であれば個人合理性を満たすこと を示した.しかし,σIに対する必要十分な公理系(すなわち,σIがある公理 系を満たし,またその公理系を満たすような解写像はσI のみである,そのよう な公理系)を提示したわけではない.筆者らは,ある種の対称性と,ナッシュ交 渉解(Nash[11])の公理系における無関係な案からの独立性に対応する公理を 加えることで,必要十分な公理系が導き出されることを予測しているが,正式な 公理系の提示と必要十分性の証明は今後の課題としておく.

 また,公理化に関するほかの論点としては,今回取り上げた個人合理性 xi w(i)を代替しうる個人合理性についての検討や10,ゲームが強くバランスしてい ない場合に満たされるべき公理系を指摘しておく.

10 本稿で取り上げた個人合理性は.自らが独力で獲得できる「最大値」=w(i)を基準にする という点で.優加法性の定義と密接にかかわっており.その意味で自然な公理と捉えるこ とができる.一方で.「最小値」=w(i)を基準とした個人合理性や優加法性の定義も可能で ある.しかし.この場合には.本文でも触れたように全体提携が形成される蓋然性を別途 検討する必要がある.いずれについても.今後研究が進められるべき論点である.          

事前に一切仮定しないという点で,そこから得られる結果は高い一般性を有するとみなす ことができるが(本論文も,この考えに暗黙的に依拠して分析を進めてきた),一方で,

経済学の標準的定式化に基づけば,可能な実現値に関する確率分布を導入することが自然 であり,そのことでより具体的な結果を導出することができるという立場もありうる.

 (2)区間ゲームでは,各プレーヤのリスク態度が明示的に表現されているわけではない

(脚注4も参照).いわば,本論で論じた区間ゲーム分析は,「特定のリスク態度を仮定しな いでも得られる望ましい配分方法」について掘り下げていくアプローチであるが,一方で,

標準的経済学に従い,プレイヤーのリスク態度を von Neumann-Morgenstern 型効用関数で 表現するアプローチも存在する.後者の立場からは, 区間ゲームは, 提携値に関する不確実 性が区間で与えられるに過ぎないため,主体のリスク態度に関する議論ができないという 議論が成立する.また,不確実性を閉区間として表現するのではなく,一般的な特性関数 形ゲームに確率分布を導入することで,特性関数をその確率分布に基づく期待効用として 定式化できるかもしれない.例えば,特性関数形ゲームとして定式化される市場ゲームに,

確率分布を導入して市場ゲームを再定式化すると,リスクが存在するもとでの市場取引が 定式化されたことになる.その上で, 個々の特性関数形市場ゲームが生じる分布を用いて,

再定式化された市場ゲームにおける提携値に関する閉区間を導出し,その区間を「区間ゲー ム」として用いることができれば,主体のリスク態度を適切に定式化できる可能性がある.

(18)

特性関数形ゲームとの関連性

 これまで繰り返し述べてきたように,区間ゲームは特性関数形ゲームの一般化 であり,特性関数形ゲームは区間ゲームのいわば「特殊ケース」としてとらえる ことができる.したがって,人区間ゲーム上で定義されたψαやσIは,2人特 性関数形ゲームに適用することが可能である.このとき,すでに特性関数形ゲー ムで定義されている既存の解概念と一致するかどうか,あるいは,なんらかの関 係性がないか,といった点を分析することで,解写像の妥当性を検討することが できる.

解写像σI と代替的な解写像の提示

 本稿で提示したσI が定める配分方法を振り返ると,︿まずSTEP 1 で各プレイ ヤーに w(i)を与え,次にSTEP 2 で提携の効果,すなわち「シナジー分」を t - (w(1) + w(2))と定め,これを折半する﹀ という順序になっている.したがって,

ここでは w(1, 2)の実現値 t ∈[w(1, 2),w(1, 2)]のみが重要なのであって,配分方 法を定める過程で w(1, 2)自体の情報を直接用いているわけではない.一方で,

これとは逆に,まず w(1, 2)の情報も用いて「シナジー分」を確定し,それを折 半したあとで,残りを w(i)で示される各プレイヤーの交渉力に応じて分配する,

という配分方法が考えられる:

STEP 1’ 全体提携によってもたらされる「シナジー分」を確定し,これを2

人で折半する.

STEP 2’ 実現値 t ∈[w(1, 2), w(1, 2)]から「シナジー分」を除いた分を,w(i) に応じて分配する.

この配分方法を定式化するにあたっては,(1)STEP 1’における「シナジー分」

をどう確定するか(2), STEP 2’ で w(i)をどのように用いるか,が問題となる.

 例えば(1)について,例4.1においては,w(1, 2)-[w(1) + w(2)] = w(1, 2)-

w(1) + w(2)] = 50,すなわち,w で示されるそれぞれの閉区間の(1)最小値ベー スで比較したシナジー分と,(2)最大値ベースで比較したシナジー分が一致して いるため,この50 をシナジー分として折半することが考えられる.しかし,一

(19)

般的には w(1, 2) -[w(1) + w(2)]≠ w(1, 2)-[w(1) + w(2)]であるため,シナ ジー分の算出が問題となる.ここで,上記STEP1’,STEP2’に従う配分案をσS とし,このうちシナジー分を w(1, 2)-[w(1) + w(2)]とする配分方法をσSmin, シナジー分を w(1, 2)-[w(1) + w(2)]とする配分方法をσSmaxとすれば,それ ぞれについて,さらに(2)の問題,すなわちプレイヤーの交渉力の源泉である w(i)をどのように「実現値-シナジー分」の分配に活用するか,という問いが 生じる.さらに,シナジー分を w(1, 2)-[w(1) + w(2)]とする配分方法―いわば

σSminmaxと呼べる―を定義することも可能である.

 このように,本稿で提示した解写像σIを起点として,様々な代替的な解写像 を分析することができる.もちろん,その妥当性を測るうえでは,σIと同様に,

必要十分な公理系の導出や特性関数形ゲームとの関連性が重要なポイントとなる であろう.

参考文献

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参照

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