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鹿児島県におけるジャガイモそうか病の原因菌と防 除に関する研究

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Academic year: 2022

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(1)鹿児島県におけるジャガイモそうか病の原因菌と防 除に関する研究 著者 ファイル(説明). 学位授与番号 URL. 西 八束 博士論文要約 博士論文要旨(English) 博士論文要旨(日本語) 最終試験結果の要旨 論文審査の要旨 17701甲連研第821号 http://hdl.handle.net/10232/21538.

(2) 博士論文要約 (Summary) 平成23年入学 連合農学研究科農水圏資源環境科学専攻 氏. タイトル. 名. 西. 八束. 鹿児島県におけるジャガイモそうか病の原因菌と防除に関する研究. キーワード(ジャガイモ)(そうか病菌)(定量)(動態)(鹿児島・長崎)(低 pH) (種いも) (Streptomyces scabiei)(S. turgidiscabies)(S. acidiscabies) 鹿児島は全国で有数のジャガイモ産地であるが、産地ではそうか病の発生が生産上の大 きな問題となっている。そうか病は放線菌である Streptomyces spp.により引き起こされる病 害であるが、本菌の生態については未だに不明の部分が多い。本菌は若い塊茎の皮目等か ら侵入し、種いも伝染や土壌伝染することが知られているものの、土壌中での挙動につい ては、本菌の検出・定量が困難であったことから、解明が不十分である。一方、そうか病 の防除については、これまで燻蒸剤による土壌消毒、輪作、抵抗性品種等の技術が開発さ れている。しかし、いずれの防除法も、コスト、労力または市場価値等の面から利用場面 が限られ、現地でのそうか病防除は土壌 pH 制御に頼ってきた。そのため、現在、鹿児島 県の産地においても土壌が極端に酸性化し、ジャガイモ収量の減少だけでなく、ジャガイ モ収穫後に作付けされるサツマイモ等に生理障害が生じるなど新たな問題が発生してい る。そこで本研究は、本県におけるジャガイモそうか病の原因菌を明らかにし、その主な 病原菌の検出・定量法を確立することで、病原菌の環境での動態を解明し、その知見に応 じた効果的な防除法について開発を行った。 1. 鹿児島県および長崎県におけるジャガイモそうか病を引き起こす Streptomyces 属菌の分布 全国有数のジャガイモ産地である鹿児島県および長崎県のそうか病菌の菌種と病原性お よびその遺伝子的特徴を明らかにした.鹿児島県は S. turgidiscabies、S. scabiei の 2 種がそ うか病菌の主体であったが、長崎県は S. scabiei が多数を占め、両県とも S. acidiscabies の 発生は一部であった.また、分離株の病原性と Pathogenicity island (PAI)の関連を調査 したところ、病原性を示した菌は S. scabiei、S. turgidiscabies、S. acidiscabies のいずれかの 菌種となり、すべての菌株がサクストミン合成遺伝子(txtAB)を保有していた.ほとんど の菌株は txtAB、 トマチナーゼ遺伝子 (tomA)と necrosis-inducing protein 遺伝子 (nec1) を保有していたが、長崎県および佐賀県から分離された S. acidiscabies 菌株については txtAB のみで、tomA と nec1 を欠いていた.また、病原性 S. scabiei については 16S-23S rRNA internal transcribed spacer (ITS)領域で大きく 2 つの遺伝子型(T タイプと JK タイプ)に分 けられた.また、一部の菌株ではこれら 2 つの ITS を保有するタイプ(B)が存在するこ とが明らかとなった.特に、S. scabiei のメラニン非産生株はすべて T タイプに属していた.. 1.

(3) さらに、菌種ごとに菌の形態と生理学的性質を調査した結果、いずれの菌種も基準菌株 およびこれまで報告された菌株とほぼ一致した. 2. そうか病菌の定量法と低 pH 土壌での動態に関する研究 ジャガイモそうか病は Streptomyces spp.により引き起こされる病害である.これまで、そ うか病菌の定量には PAI 遺伝子を標的としたリアルタイム PCR 法が開発されているが、そ うか病菌は菌種により性質が異なり、特に、低 pH 耐性はそうか病の防除に直結する.効 率的な防除対策のためには、菌種ごとの定量技術を開発することが必要である.そこで、 国内で主要な菌種である S. scabiei と S. turgidiscabies について、16S-23S rRNA ITS 領域を 標的としたリアルタイム PCR 法(SYBR Green) による定量技術を開発した.本定量法は S. scabiei の JK タイプ(Ssj)および S. turgidiscabies( St)に特異的であり、両菌種とも 200fg から 20ng までの DNA 濃度の対数値と Ct 値との間に高い直線回帰が認められた(Ssj:R2 = 0.9985、St:R2 = 0.9988).また、両種が混在した状態の植物や土壌からも特異的に両菌種 の定量が可能であった. さらに、無底ポット内の黒ボク土壌の異なる pH 条件下(植え付け時の pH4.4~5.2)で のジャガイモ栽培を行い、S. turgidiscabies 単独接種区、S. scabiei 単独接種区、および両菌 混合接種区を設けた.収穫時を中心に両菌の菌量およびサクストミン毒素(txtAB)量によ りそうか病原菌量を調査した結果、S. turgidiscabies は S. scabiei よりも低い pH4.7 以上で土 壌中の菌量が高くなった. また、両菌を接種した条件下では、土壌、根および病斑のすべてで S. turgidiscabies が優 先していた. 3. ジ ャ ガ イ モ そ う か 病 菌 の 種 い も 伝 染 と 種いも消毒処理の防除効果に関する動態 解析 そうか病菌の種いも伝染について、txtAB を標的としたリアルタイム PCR により定量的 な調査を行った.最初に、種いもでのそうか病菌量と新生いもでの発病の関係について調 査した結果、明確な相関関係は認められなかった.これは、菌密度測定用のサンプリング 位置の誤差の影響が強いと考えられたが、病斑 1 個(約直径 1cm)の種いもを使用すると、 種いも間のそうか病の菌量と発病度の偏差が比較的小さく、今後の種いも消毒試験等に活 用できるものと考えられた.また、そうか病発病圃場から採取した塊茎は見かけ上健全で あっても平均で 4.8×104 fg/cm2 、病斑のある種いもでは 108 fg/cm2 以上の txtAB 定量値が 検出された. 次に、そうか病の基本防除技術である種いも消毒処理について、地下部組織および土壌 の txtAB 定量値を調査した.植え付け 15 日後の土壌では、無処理で約 10 4 fg/g、ストレプ トマイシン剤処理とフルアジナム剤処理は 104 fg/g 以下であったが、70 日後には発病度の 高かった無処理区およびストレプトマイシン剤処理では 107 fg/g 以上となり、植物の生育 に伴い txtAB 定量値が大幅に増加した. 一方、発病度の低かったフルアジナム剤処理では 56 日後までは概ね 104 fg/g 以下であり、 2.

(4) そうか病菌の感染しやすい塊茎肥大期の菌密度が低かった.これは、種いも消毒剤の効果 として、種いもおよびその周辺のそうか病菌密を長期に抑制する能力が重要であると考え られた. また、3 種のそうか病菌種の最小生育阻止濃度(MIC)を調査した結果、フルアジナム の MIC は S. scabiei で 0.63μg/ml、S. turgidiscabies で 2.5μg/ml、S. acidiscabies では 70%の菌 株が 5μg/ml であったが、一部の菌株で 40μg/ml となった.ストレプトマイシンの MIC は S. scabiei で 10μg/ml、S. acidiscabies で 40μg/ml、 S. turgidiscabies では約 87%の菌株が 1.25μg/ml であったが、一部の菌株は 125μg/ml となり、他の株の 100 倍の耐性を示した. 銅の MIC は S. scabiei で 156.3μg/ml、S. turgidiscabies で 312.5μg/ml、S. acidiscabies で 156.3μg/ml となり、菌種間に差はなかった. 4. ジャガイモそうか病に対する温湯処理による種いも消毒の防除効果 そうか病菌 3 種の死滅温度条件について検討した結果、S.scabiei は、50℃では 48 時間で すべての菌が死滅したが、45℃では 72 時間でも死滅しなかった.S.turgidiscabies は、50℃ では 24 時間、45℃では 72 時間ですべての菌が死滅した.S.acidiscabies は、50℃では 6 時 間、45℃では 72 時間ですべての菌が死滅したことから、菌種により死滅温度条件に差が認 められるものの、そうか病菌の死滅には、50℃で 24 時間以上、45℃で 48 時間以上の処理 が必要であることが判明した. 実際にそうか病菌に感染した種いもを使用し、温湯処理を行った結果、48℃の 60 分間処 理では、萌芽・出芽遅延および大幅な収量の減少が認められた.また、 48℃の 30 分また は 60 分間のいずれの処理においても、無処理よりも発病度が高くなったことから、種いも の温湯消毒によるそうか病の防除効果は低いと考えられた.この原因として、塊茎表面の そうか病菌と競合する細菌数が、温湯処理により大幅に減少することが一因と考えられた. そこで、温湯消毒によるそうか病の防除効果の改善を行うため、水の pH を 4.0、あるい はバチルス製剤を利用した結果、温湯水の pH を低くしても防除効果の向上は認められな かった.一方、種いものバチルス剤 100 倍浸漬処理だけでは防除効果は認められなかった が、種いもの 48℃の 30 分間温湯処理後にバチルス剤 100 倍浸漬処理を併用した場合、対 照薬剤のフルアジナム剤と比較し防除効果は劣るものの、無処理と比較すると高い防除効 果が認められた. 5. メチルイソシアネート・D-D 油剤の土壌消毒によるジャガイモそうか病の防除効果 ジャガイモそうか病に対して、ディ・トラペックス油剤(ジャガイモでは未登録)につ いて効果的な使用法について検討を行った結果、本剤 1~1.3ml を 15~20cm間隔で深さ 15cmに灌注処理(処理後被覆条件)することで、従来の処理量(40L/10a)を増やすこと なく、クロルピクリン剤と同等の高い防除効果が得られた. また、ディ・トラペックス油剤の無被覆での処理について検討した結果、20cm 条間、15cm の間隔で深さ 15cm に、1.3ml/穴を点注処理をすることで、そうか病が少発生の圃場におい は比較的高い防除効果が認められた. 3.

(5) 6. 太陽熱土壌消毒処理と米ぬか土壌混和処理の併用によるジャガイモそうか病の防除 化学農薬の代替法として、太陽熱処理による土壌消毒法の検討を行った結果、太陽熱処 理と米ぬか 300kg/10a の土壌混和処理の併用は、クロルピクリンくん蒸剤とほぼ同等の高 い防除効果を示した.また、太陽熱処理は、8 月中旬までに 10~20 日間程度被覆し、定植 前に米ぬかを施用すると、安定した高い防除効果が得られた.さらに、従来の太陽熱処理 と植え付け前の米ぬか土壌混和処理に加えて、太陽熱処理の被覆前に石灰窒素を施用する ことで、防除効果の向上が図られた.本試験圃場はそうか病が甚発生の圃場であったが、 太陽熱 20 日間処理区+米ぬか処理と併用で防除価 86、また、太陽熱 30 日間処理区+米ぬ か処理と併用で防除価 92 といずれも高い防除効果を示した.また、その防除効果は太陽熱 処理期間が長いほど高くなる傾向が認められた. 7. そうか病抵抗性品種と肥料の組み合わせによる防除効果 硫酸アンモニウム区では、施肥後(20~40 日後)には植え付け時の pH から 1 程度の低 下が認められたが、「ニシユタカ」で約 45%の発病の低減が認められた.一方、「春あか り」では肥料の種類に関係なく発病が低く、「ニシユタカ」の発病度が 35 程度までの発病 条件であれば、「春あかり」を植え付けることで、そうか病の発病を十分に抑制すること が可能と考えられた.特に、そうか病の発生圃場では、「ニシユタカ」よりも無病徴の塊 茎の収量が多いことから、今後のそうか病発病圃場での対策には、重要な手段となるもの と考えられた. 以上のように、本研究では、鹿児島県のそうか病菌の原因菌を特定でき、長崎県との違 いについても明らかにできた.さらに、そうか病菌の定量も概ね可能となった. 今後は、そうか病菌の定量に基づき、そうか病の防除技術を評価することが可能となり、 より効果的で安定的な防除法の開発やそうか病菌の菌種と密度を定量することで、総合的 な防除体系の構築に数値的な根拠を付加できるもの考えられる. 防除については、pH 制御や既存の化学的防除法に替わる、環境負荷の少ない太陽熱消毒 や米ぬか利用などを組み合わせた総合的な防除体系を提案できたものと考える. また、本研究の成果は、同じ環境下にある九州、四国、中国などの他県のジャガイモ栽 培地にも寄与するものと考える.. 4.

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参照

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