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fMRI による音象徴現象時の脳活動計測に向けた検討

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Academic year: 2022

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人間科学研究 Vol. 29, Supplement(2016)

修士論文要旨

fMRI による音象徴現象時の脳活動計測に向けた検討

A preliminary study on brain activity analysis

associated with sound-symbolic stimulation measured by functional MRI

江田 康太郎(Kotaro Eda)  指導:菊池 英明

1.はじめに

 語音と意味が有縁的に結びついて感じられる現象を音象 徴と呼ぶ.この音象徴に関して,なぜこの現象が引き起こ されるのかという根本的な問題に対する明確な回答は未だ 得られてはいない.そこで,本研究では,抽象度の高い無 意味な語音と図形の連想関係を機械的に出力し,小規模な fMRI実験を行った.音象徴現象を理解している時のヒトの 脳の活動をfMRIによって観察することで,音象徴がどのよ うに脳内で処理されているのか,そのメカニズムの検討を 行うことが可能である.

2.刺激作成

 本研究では,コンピュータを用いて機械的に視覚刺激と 聴覚刺激を出力し,実験刺激の選定を行った.なお,今回 想起させる連想関係は,ブーバとキキのような曲面性と鋭 角性のみに集約させ,この2つの特性のみを重点的に付与 するアルゴリズムを作成した.

 視覚刺激の作成には,processingと呼ばれるプログラミ ング言語を使用し,図形の特徴を数学的に記述した.アル ゴリズムには,図形の3要素[1],交点を作らないこと,一 筆書きであることの3点を制限として反映した.これによ り,我々が普段目にしている図形のような,自然な形態の 描写が可能になった.

 聴覚刺激の作成には,randomforestと呼ばれる機械学 習法を用いて,文字の持つ意味をコンピュータに学習させ た.分類器の作成にあたっては,10人の調査参加者に,無 意味語の印象を曲面性と鋭角性で判断させた.刺激には,3 モーラでアクセント型が頭高型の無意味語を300語使用し た.分類器作成後,先行研究[2]を参考に,曲面性や鋭角 性が強く付与された無意味語の作成を行った.

3.心理実験

 作成した視覚刺激と聴覚刺激のどのような組み合わせが,

曲面性と鋭角性に強く影響を与えるのかを調査するため,

心理実験を行った.実験参加者は20代の男女各10名で,先 のアルゴリズムにより作成した視覚刺激と聴覚刺激を3つ の水準で変化させて提示し,それぞれの組み合わせがどの 程度合っていると感じるかを,1-5の5段階で評価させ た.実験刺激を出力するためのパラメータは連続値である が,実験の際には水準を設定し,離散値としてデータを収

集した.離散化した水準の組み合わせが最適の組み合わせ であるとは限らないので,応答曲面法により実験範囲にお ける現象の近似を行った.fMRI実験では,この応答曲面を 基に得られたパラメータから,印象が合っていると評価さ れる傾向にある組み合わせと,そうでない組み合わせをそ れぞれ出力し,刺激として実験参加者に提示した.

4.fMRI実験

 音象徴がどのように脳内で表象されているのかを検討す るために,fMRI実験によりこの現象が処理される際の脳活 動を測定した.実験には,音象徴現象についての知識を持 たない,健康な20代の女子大学生1名が参加した.実験刺 激は,印象が合っていると評価された図形と語音の組み合 わせと,そうでない組み合わせ,さらにコントロール条件 として星などの単語と図形の結びつきが非常に強い図形と,

ただ語を重畳させた組み合わせを設定した.実験は1ブ ロック6試行で,課題と安静を各16秒ずつ9回繰り返すブ ロックデザインとし,計3セッション実施した.

 実験条件において特徴的に活動していたのは,先行研究

[3]によって抽象的な処理に関係していると指摘されてい たTPOと呼ばれる部位の右半球部分であった.

5.おわりに

 本研究では,特定の音象徴的意味合いを付与した図形と 語音を機械的に出力し,fMRIによって音象徴が処理される 際の脳内活動の予備的な観測を行った.今後は実験参加者 を増やし,これがヒト全般に共通して見られる結果である のかどうか,検討を行っていく予定である.

参考文献

[1] T. Oyama, H. Yamada, H. Iwasawa, “Synesthetic tendencies as the basis of sensory symbolism a review of a series of experiments by means of semantic differential," Psychologia, Vol.41, pp.203-215, 1998.

[2] 三浦智, 村田真樹, 保田祥, 宮部真衣, 荒牧英治, “音象 徴の機械学習による再現," 言語処理学会第18回年次大会発 表論文集,pp.65-68, 2012.

[3]V.S. Ramachandran, E.M. Hubbard, “Synaesthesia-a window into perception, thought and language,"

Journal of Consciousness Studies, Vol.8, pp.3-34, 2001.

参照

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