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献呈の辞

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Academic year: 2022

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献呈の辞

著者 水野 隆一

雑誌名 関西学院大学キリスト教と文化研究 = Kwansei

Gakuin University journal of studies on Christianity and culture

号 15

ページ 1‑2

発行年 2014‑03‑31

URL http://hdl.handle.net/10236/12009

(2)

1

 『キリスト教と文化研究』第15号は、樋口進 キリスト教と文化研究センター 教授・副長の定年退職を記念するものです。

 先生は、2005年本学に着任以来、本センターの運営に副長として関わり、こ とに、本センターの研究の推進に大きな貢献をなさいました。

 着任直後からは共同研究プロジェクト「聖典と今日の課題」の代表者となり、

その研究をリードされました。この研究は、『クルアーン』や『聖書』を原理主 義的に解釈し、排他的な主張、ときにはテロすら容認する解釈が行われる中、

今日、宗教の聖典を読むことにどのような意義があるのかを問うもので、聖書 のみならず、仏教や新宗教における聖典の解釈をも視野に収めた幅広い研究となっ ています。このプロジェクトの研究成果は、『聖書の解釈と正典 開かれた「読み」

を目指して』(キリスト新聞社、2007年)、『聖典と現代社会の諸問題 聖典の現 代的解釈と提言』(キリスト新聞社、2011年)として発表されています。

 2011〜12年度は、共同研究プロジェクト「自然の問題と聖典」の代表者とな られました。これは、2011年に起きた東日本大震災を受けて、自然と人間との 関わり、とくに、自然災害に対する宗教の理解を問うもので、しばしばキリス ト教で行われてきたように人間そのものだけを対象とするのでなく、疾病や食 糧といった、人間を取り巻く状況にも視野を広げ、さらには、環境問題や動物 をもとらえ直すという、意欲的な研究となりました。この成果は、『自然の問題 と聖典 人間と自然とのよりよい関係を求めて』(キリスト新聞社、2013年)と して発表されています。

献呈の辞

キリスト教と文化研究センター長 

水 野 隆 一

(3)

2

 また、2013年度は、共同研究プロジェクト「関西学院におけるキリスト教主 義教育の展開」の代表を務めておられます。キリスト教主義教育を行う関西学 院においてその建学の精神を不断に検証し、どのように内実化するかをさぐる ことは、本センターの設立目的の一つであり、その意味では、このプロジェク トは、本センターの生命線でもあります。

 これらの共同研究プロジェクトをリードする傍ら、先生は、ご自身の研究課 題である、ヘブライ語聖書の預言者研究も精力的に進められ、その成果は、本 センターの紀要『キリスト教と文化研究』において明らかにされてきました。

 2013年9月には、本紀要に掲載された論文を中心に1つの著作としてまとめられ、

『古代イスラエル預言者の特質 伝承史的・社会史的研究(関西学院大学研究叢 書162編)』(新教出版社)を上梓されました。これは、先生のライフワークである、

ヘブライ語聖書の預言者研究をまとめたもので、これまでの伝承史的視点に社 会史の視点を加え、預言者の言葉を聞き、保存し、伝承した「ヤハウェ主義者」

の役割を論じたものとして、高く評価されています。

 先生は、同時に、関西学院宗教センター宗教主事として、関西学院全体のキ リスト教行事、宗教活動の計画・立案と実行にも責任を負ってこられました。チャ ペルでの講話をまとめた『最も大切なもの 若い人たちへのチャペル・メッセー ジ集』(新教出版社、2013年)も上梓しておられます。

 多岐にわたる宗教センターの業務をまとめ、キリスト教主義教育の根幹であ るチャペルや数々の行事をリードすることは、並大抵のご苦労ではなかったと 思います。そこには、ご自身の研究、本センターにおける共同研究と、実務的 な働きとが一致したお働きを見ることができます。

 先生は、長年キリスト教会の牧師として働かれた経験を持ち、温厚な人柄で 教職員や学生に親しまれました。また、穏健な学風をもって研究と教育に当た られました。関西学院における先生のお働きに感謝し、本『キリスト教と文化 研究』第15号を献呈いたします。

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