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家族内の関係性を考慮した家庭内節電協調行動

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Academic year: 2022

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家族内の関係性を考慮した家庭内節電協調行動

山崎 友絵

1

・北詰 恵一

2

1非会員 会社員 株式会社建設技術研究所(〒541-0045 大阪府大阪市中央区道修町1-6-7)

E-mail: [email protected]

2正会員 関西大学教授 環境都市工学部都市システム工学科(〒564-8680 大阪府吹田市山手町3-3-35)

E-mail:[email protected]

電気をこまめに消したり,同じ部屋で過ごしたりする家庭内の節電協調行動は,家族内の関係性が影響 するとの仮説に基づき,その効果を分析した.全国の6都市を対象に行った「環境政策意識調査」に関する webアンケート調査の結果をもとに,家族内の関係性を代表制か対等制か,共生を目指すか共感を伴うか の2軸で4分類し,ここに家庭内節電協調行動が異なるかどうかを検討した.すべてにわたって違いが見 いだせたわけではないが,いくつかの点で違いがみられ,これを街区群の地区特性に応じて関係性の異な る世帯の構成比率を求め,街区別の環境行動効果を推計した.家族内の関係性を意識した政策を実施する ことで,より効果的な環境政策の実施に向けた有用な情報となると考えられる.

Key Words : Environmental Policy, Cooperative Activity, Electric Power Saving

1. 背景と目的

将来,環境に関わる諸問題が深刻化し,世界的なレベ ルでの人口問題もそれに拍車をかけるといわれている.

それと同時に日本をはじめとする先進国では,少子高齢 化も進んでいく.これらの問題を総合的に解決するには,

低炭素社会の実現は重要な課題となっている.日本では 国家戦略プロジェクトとして「環境未来都市」構想を掲 げ,都市の地産地消を目指した持続可能な社会の実現を 重要視しており,環境未来都市を代表するスマートシテ ィのモデル都市においても各地で実証実験を行っている.

しかし,個人レベルでの環境配慮行動に関する研究は多 く蓄積されているが,各世帯における家庭内での協調行 動に関しての行動分析はまだ研究に緒がついたばかりで ある.

より効率的な環境政策を考えるならば,これからはど の地域にも同様の政策を適用させるのではなく,その地 区の特性に応じて政策を適用させていくべきである.そ のとき,人々の生活行動に即した地区単位としての街区 が政策単位として重要であるとともに,それに直接関係 する家庭という単位も併せて重要視する必要がある.

本研究では,家庭内の協調行動の中でも節電に関して,

ファミリーシップに着目し,6都市を対象にアンケート 調査を行い,ファミリーシップはどの属性に関係してい るか,政策効果はどの程度あるのかを明らかにする.

2. 家庭内でのエネルギー消費

家庭内でのエネルギーに関して,下田ら1)の「都市エ ネルギーシステム入門」から述べていく.家庭のエネル ギー消費は,①世帯の大きさや構成内容(人数,年齢,

属性など),②住宅が戸建住宅か集合住宅か,その広さ の程度,③断熱気密性などの住宅の熱性能の程度,④住 宅内に存在する機器の種類,数,エネルギー消費効率,

⑤居住者の生活行動(省エネルギーに対する意識)とそ れともなう機器の操作などによって大きく変わる.下田 らは,上のうち①~③についての分布を考慮し,都市内 の家庭部門のエネルギー消費を都市内に存在する一つ一 つの積み上げで評価する「都市家庭部門エネルギー最終 モデル」を開発している.なお,このとき上記④⑤の要 因に関しては,都市全体を見るときには分布が平均化す ると考えて,都市全体の平均値で一定としている.

3. 環境政策への影響を与える家庭内の行動

本稿では,上記に示したうちの⑤居住者の生活行動,

特に家庭内の行動に焦点を当てる.家庭内の行動をター ゲットにした環境政策に対する家族の反応はファミリー シップによって変わる.ファミリーシップは,アンケー トによって知ることができるが,最終的に環境政策を広 い地域に展開することを考えるとより外形的な特徴で知

(2)

2 る必要がある.

ファミリーシップには図-1のような特性があると仮定 し,その要因について分析していきたいと考えている.

縦に共生―共感軸(自己を尊重する傾向か相手に共感す る傾向か),横に代表―対等軸(誰かによりリードされ るか対等な関係にあるか)をとり,各象限を①無関心,

②対等協力,③教育的指導,④指導的立場によるリード と呼ぶこととした.

図-1 ファミリーシップの特性

4. アンケート調査

(1) アンケート調査概要

アンケート調査は,対象地区 6 市(千葉市・春日井 市・生駒市・新潟市・帯広市・八戸市)を対象に株式会 社マクロミルによる Web アンケート形式で行った.有効 回答数は 1035 であった.

アンケート調査の質問内容は表1に示す.本研究で利 用した内容は Q1-Q16,Q23-25,Q29-Q32 である.

(2) アンケート集計結果

ファミリーシップの割合は図-2のようになった.全体 的に①共生―対等制と④共生―代表制に割合が偏り,③ 共感―代表制の割合が5%以下になった.つまり,共生 的な家庭内行動をとる割合が多いと考えられる.この傾 向は,各都市で大きく変わるものではない.図-3の子供 の有無によりファミリーシップの割合については,子供 があるケースで④共生―代表制の割合が高く①共生―対 等制が低くなる傾向が見られた.子供の有無によりファ ミリーシップの違いがあると考えられる.図-4に示すよ うに,近所つきあいに関する質問に対しても変化が認め られている.また,図-5に示すように住宅タイプ(戸建 住宅/集合住宅)ではファミリーシップに影響がないこ とが分かった.

図-2 対象地域別のファミリーシップ特性

図-3 子供の有無によるファミリーシップ特性

図-4 近所付き合いによるファミリーシップの特性

表-1 アンケート調査の質問項目

質問№ 質問内容

Q1, Q7-Q10

個人属性(郵便番号,消費電力,世帯収 入,主な行き先/交通手段)

Q2-Q6 建物属性(住宅タイプ,所有形態,床面 積,築年数,構造)

Q11-Q16 家族構成(人数,続柄,性別,年齢,職 業,主な交通手段)

Q17-Q28 電化製品の使用時間,日常の行動,節電 行動,心がけ

Q29-Q32 地域コミュニティ(地区の活動,ソーシ ャルキャピタルとの関係)

Q33-Q44 環境政策に関する行動意向(カーシェア リング,蓄電池,クールスポット)

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図-5 住宅タイプによるファミリーシップの特性

5. 節電協力行動による節電効果推計

アンケートをもとに,ファミリーシップのタイプ別に 節電の協力について検討した.その結果,図-6 に示す ように,②対等協力(共感―対等制),④指導的立場に よるリード(共生―代表制)で変化が見られた.「あな たの家庭で次にあげる行動の頻度をお応えください」と いう問に対して,④指導的立場によるリードというグル ープの,日頃から電気のつけっぱなしがない方あるいは ないという回答比率が低かった.なお,③に関してはサ ンプル数が少ないので,今回は検討対象にしないものと した.

図-6 節電に対する日頃の行動

この他の結果も踏まえると,ファミリーシップの違い による家庭内の節電行動の違いが,消費電力にも影響す るものと考えられる.図-7は,使用料金で見たファミリ ーシップ別の違いである.これは,最も日頃の行動とし て節電努力が乏しい①無関心の家庭と比較して,他のフ ァミリーシップが,協力の仕方は異なるものの,それぞ れの特性に応じて節電協調行動を実施した結果と見るこ ととする.

0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000 8000 9000 10000

使

FS別の消費電力

図-7 ファミリーシップ別消費電力

これらの特徴を踏まえ,街区群分類別に環境政策効果 を推計した.対象を神戸市東灘区とし,同区の全町丁目 別に分類特性を同定した.その上で,アンケート結果か ら街区群特性と家族構成の関係を捉え,地区特性,ファ ミリーシップタイプ,単独/非単独世帯別に1日の電気 使用量を既存研究から推計し,その効果を集計した.特 に,ファミリーシップの観点からは,①無関心(共生・

対等)が最も節電効果が無いのに対し,②対等協力(共 感・対等)が0.91,③教育的指導(共感・代表)が0.79,

④指導的立場によるリード(共生・代表)が 0.96の効 果が期待できることがわかり,これを用いた.この結果,

これらのファミリーシップに配慮した節電行動を誘引す る環境政策効果により東灘区全体で 4.1%の削減効果が 見込めることがわかった.

6. まとめ

ファミリーシップは子供の有無によって変わり,近所 での付き合い方,自治会・町内会の活動への参加など子 供によって左右する部分もあるソーシャルキャピタルも,

ファミリーシップに関係しているといることがわかった.

それに基づき街区単位で集計したのち,例えば東灘区と いった行政区単位で集計すると,ファミリーシップの違 いを考慮した家庭内節電行動の誘導政策による電力消費 量削減効果を計算することができた.

なお,本研究は,環境省環境研究総合推進費(1E-1202) の一環として行った.ここに記して謝意を表したい.

参考文献

(1) 下田吉之:都市エネルギーシステム入門,学芸出版 社,2014.

(2015. 4. 24 受付)

参照

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