プレキャストセグメント構造沈埋トンネルの応答変位法による地震時の検討
鹿島 土木設計本部 正会員 ○福地 隆史 正会員 太皷地 敏夫 早稲田大学理工学部 フェロー会員 清宮 理
運輸省港湾技術研究所 正会員 横田 弘
1.はじめに
プレキャストセグメント構造沈埋函は、矩形セグメントを長手方法に連結してPC鋼材で一体化した 構造の沈埋函である。工費低減・工期短縮が期待できる構造形式として海外において施工実績が増えて いるが、国内の実績はほとんどない。今回、我が国での適用性を検討する目的で、本構造沈埋函の試設 計を行ったので報告する。
図−1に本構造沈埋函の製作方法を示す。
2. プレキャストセグメント構造沈埋函
沈埋函の構造を図−2に示す。鉄筋コンクリート製 の標準セグメント(長さ 5.0m)19 個、端部セグメント
(長さ 2.5m)2個で構成され、1函体の長さは 100m である。各セグメント間にはせん断キーが設けられ、
セグメント同士はPCケーブルで連結している。セグ メント接合部には、シールドトンネル同様に止水ゴム を二段に装填し止水性を確保する(図−3)。
キーワード:沈埋函、沈埋トンネル、プレキャストセグメント構造、耐震設計、応答変位法 連絡先 :〒107‑8502 東京都港区赤坂 6‑5‑30 Tel 03‑5561‑2196 Fax 03‑5561‑2152
バ ル ク ヘ ッ ド 取 付 S T E P 1
S T E P 2
S T E P 3
プ レ ス ト レ ス 導 入
N E W O L D
セ グ メ ン ト を 移 動 セ グ メ ン ト 製 作 ・ 移 動
セ グ メ ン ト の 一 体 化 及 び 艤 装
ド ッ ク 内 注 水 ・ 函 体 浮 上 中 間 ゲ ー ト 取 付
S T E P 4 ゲ ー ト 撤 去 ・ 函 体 引 出 し
製 作 ( マ ッ チ キ ャ ス ト 方 式 )
図−1 造船ドックを用いた組立・進水方法
地 震 時 施 工 時
( 製 作 , 進 水 , 浮 遊 , 沈 設 時 ) 常 時
( 地 盤 沈 下 時 ) ト ン ネ ル 軸 方 向 の 検 討
設 計 条 件 の 設 定
( 線 形 、 断 面 形 状 、 地 盤 条 件 、 施 工 条 件 )
函 割 り の 設 定 S T A R T
セ グ メ ン ト 間 継 手 構 造 の 設 定
( P C 鋼 材 、 止 水 ゴ ム ) 函 体 間 継 手 構 造 の 設 定
( 可 撓 性 継 手 、 剛 継 手 )
YES コ ン ク リ ー ト の NO ひ び 割 れ (止 水 性 )の 照 査
( 乾 燥 収 縮 、 温 度 応 力 ) セ グ メ ン ト 長 の 設 定
E N D NO
NO
YES コンクリート応力度 セグメント間目開き量、目違い量
及びPC鋼材応力度の照査
YES 函 体 間 継 手 構 造 の 照 査
図−4 設計フロー
端部セグメント
(鉄筋コンクリート)
標準セグメント
(鉄筋コンクリート)
セグメント間継手
35.4m 8.5m
100m
PCケーブル
図−2 構造概要図
土木学会第55回年次学術講演会(平成12年9月) Ⅵ-232
3.応答変位法による耐震設計(軸方向)
(1)等価剛性
耐震設計フローを図−4に示す。沈埋トンネルの軸方向につい て、等価剛性を持った梁として応答変位法により検討する。等価 剛性は、軸圧縮に対してはコンクリートの剛性、軸引張りに対し てはセグメントならびにPC鋼材を直列ばねとして評価する。曲 げ剛性は、接合面において圧縮側はコンクリートで、引張り側は PCケーブルで抵抗するものとして評価する(図−5)。
(2)設計地震力
地盤変位を計算する速度スペクトルは下水道施設の耐震基準(案)を基に、レベル1でSv=0.24 cm/sec 、レベル2でSv=80cm/sec とする(図−
6)。
(3)安全性照査 PC鋼材として SWPR7B 12 φ 15.2 を 188 本配置
した断面に対しての応答変位法による断面力の算 定結果を表−1、安全性照査結果を表−2に示す。
安全性照査は今回、許容応力度法によった。目開き 量は既製の止水ゴムよりセグメントにはレベル1、
レベル2ともひび割れの発生はない。コンクリート
圧縮応力度、PC鋼材引張力及び目開き量とも許容値を満足できた。
表−2 耐震安全性の照査
計 算結 果 ( レベ ル 1) 計 算結 果( レベ ル 2)
軸 力分 曲 げ分 計 軸 力分 曲 げ分 計 許 容値 判 定
圧 縮σ’c(kgf/cm2) 36 25 61 52 84 136 210 * 1 OK セ グメ ン ト
応 力度 引 張σ’t(kgf/cm2) 23 ‑11 12 11 ‑36 ‑25 − OK
PC ケ ーブ ル
引 張力 P(tf) 31 36 67 103 119 222 223 * 2 OK
継 手部 の
目 開き 量 δ(mm) 0.00 1.08 1.08 0.00 3.59 3.59 5.00 OK
( 注 ) 上 表 中 応 力 度 及 び 目 開 き は 、 プ レ ス ト レ ス 29kg/cm2 を 考 慮 し た 値
* 1 コ ン ク リ ー ト f 'ck= 400 kg/cm2 * 2 P C ケ ー ブ ル SWPR7B 12S15.2( 自 由 長 1.0m)
5.まとめ
プ レ キ ャ ス ト セ グ メ ン ト 構 造 沈 埋 函 の 試 設 計 を 実 施 し 、 耐 力 及 び 止 水 性 と も に 安 全 性 が 確 保 で き る こ と を 確 認 し た 。 現 在 、 動 的 応 答 解 析 を 実 施 す る と と も に 、 継 手 構 造 の 耐 力 及 び 止 水 性 に つ い て 実 証 実 験 を 行 っ て お り 、 順 次 報 告 し た い 。 な お 、 本 研 究 は 鹿 島 、 早 稲 田 大 学 及 び 運 輸 省 港 湾 技 術 研 究 所 の 共 同 研 究 と し て 実 施 し た も の で あ る 。
参考文献 1)川島一彦他,鉄筋コンクリート製シールドトンネルの耐震設計法に関する研究、土木研究所報告第 188 号‑
1,1992.12
図−3 セグメント継手構造図
1.1
下水道施設の耐震対策指針と解説
(日本下水道協会1997年)
80cm/sec
図−6 設計用速度応答スペクトル(レベル2)
M N N M
継手(PCケーブル) 函体
XN
中立軸
図−5 等価曲げ剛性の考え方1)
表−1 設計用断面力 レベル1 レベル2 圧縮 7,315 24,384 軸力
(tf) 引張 5,820 19,401 水平面内 101,140 337,132 曲げモーメント
(tf・m) 鉛直面内 21,907 73,022
土木学会第55回年次学術講演会(平成12年9月) Ⅵ-232