米麹を添加した芋焼酎粕飲料の機能性に関する研究
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(2) 米麹を添加した芋焼酎粕飲料の機能性に関する研究. 池. 田. 浩. 2012. 二.
(3) 略語. AA: α-Am yl ase AC: Koji acidity AG: α-Glucosidase BG: β-Glucosidase CAP: Activity of caffeic acid production DPPH: 1,1Diphenyl -2-picr ylh ydraza yl E L IS A : E n z y m e - l i n k e d i m m u n o S o r b e n t a s s a y GA: Glucoam yl ase GABA: 4-Aminobutanoic acid LDH: Lactate dehydrogenase M T T : 3 - ( 4 , 5 - D i m e t h y l t h i a z o l - 2 - y l ) - 2 , 5 - d i p h e n yl t e t r a z o l i u m b r o m i d e NK cell: Natural killer cell PBS: Phosphate buffered saline RSD: Raw starch digestion SDR: Sweetpotato shochu-distilled residue T PA : 1 2 - O - t e t r a d e c a n o y l p h o r b o l - 1 3 - a c e t a t e. 1.
(4) 目次. 略語. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1. 目次. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2. 緒論 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6 第1章. 芋 焼 酎 粕 に 米 麹 を 添 加 す る 新 飲 料 の 製 造 方 法 の 確 立 ・・・9. 第1節. 序章・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9. 第2節. 実験方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10. 第1項. 試薬・試料の調製・・・・・・・・・・・・・・・・10. 第2項. 酵素反応の条件・・・・・・・・・・・・・・・・・10. 第3項. 分離速度確認試験・・・・・・・・・・・・・・・・12. 第4項. 固形分可溶化試験・・・・・・・・・・・・・・・・12. 第5項. HP LC に よ る 糖 分 析 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 1 2. 第6項. 呈味性試験・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13. 第7項. 実スケールにおける固液分離試験. 第8項. 飲料の成分分析・・・・・・・・・・・・・・・・・14. 第3節. ・・・・・・・・1 3. 結果と考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14. 第1項. セ ル ラ ー ゼ 系 酵 素 の 選 択 試 験( 一 次 ス ク リ ー ニ ン グ )1 4. 第2項. セ ル ラ ー ゼ 系 酵 素 の 選 択 試 験( 二 次 ス ク リ ー ニ ン グ )1 6. 第3項. 呈 味 性 試 験( 三 次 ス ク リ ー ニ ン グ )・・・・・・・・ 2 0. 第4項. 実 ス ケ ー ル に お け る 固 液 分 離 試 験・・・・・・・・・2 1. 第5項. 芋焼酎粕飲料の成分・・・・・・・・・・・・・・・25. 第4節. 小括・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29 2.
(5) 第2章. 新飲料の脂質代謝・血糖値に及ぼす効果 ・・・・・・・30 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30. 第1節. 序章. 第2節. 実験方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30. 第1項. 新飲料の製造方法・・・・・・・・・・・・・・・・30. 第2項. ポリフェノール含有量・・・・・・・・・・・・・・31. 第3項. DPPH ラ ジ カ ル 消 去 活 性 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 3 1. 第4項. 脂質代謝評価試験における実験動物と飼料の調製と飼育. 条件 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32 第5項. 飼育期間におけ る測定項目・・・・・・・・・・・・32. 第6項. 血清成分の測定方法・・・・・・・・・・・・・・・32. 第7項. 高血糖に対する評価試験・・・・・・・・・・・・・33. 第3節. 実験結果と考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・34. 第1項. 新 飲 料 の ポ リ フ ェ ノ ー ル 含 有 量 と ラ ジ カ ル 消 去 活 性・3 4. 第2項. 脂 質 代 謝 評 価 試 験 中 の 飼 育 時 の 摂 食 量 及 び 各 種 重 量・3 6. 第3項. 血清中性脂質濃度の変化・・・・・・・・・・・・・39. 第4項. 血 清 コ レ ス テ ロ ー ル 濃 度 の 変 化・・・・・・・・・・4 1. 第5項. 高血糖抑制効果・・・・・・・・・・・・・・・・・44. 第4節. 第3章. 小括・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・46. 新飲料の免疫亢進効果 ・・・・・・・・・・・・・・・47. 第1節. 序章・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・47. 第2節. 実験方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・48. 3.
(6) 第1項. 新飲料の製造方法・・・・・・・・・・・・・・・・48. 第2項. マ ウ ス へ の ガ ン 投 与 お よ び 飼 育 条 件・・・・・・・・4 8. 第3項. 腫 瘍 重 量 の 測 定 と NK 細 胞 と YAC-1 細 胞 の 調 製 ・ ・ 4 9. 第4項. NK 活 性 の 測 定 方 法 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 5 0. 第3節. 実験結果と考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・52. 第1項. 飼料摂食量と増体量・・・・・・・・・・・・・・・52. 第2項. 脾臓重量の変動・・・・・・・・・・・・・・・・・52. 第3項. サ ル コ ー マ 脾 臓 組 織 重 量 の 変 化・・・・・・・・・・5 2. 第4項. 担 ガ ン マ ウ ス 脾 臓 中 の NK 活 性 の 変 化 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 5 6. 第4節. 第4章. 小括・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・59. 新飲料のガン培養細胞への影響 ・・・・・・・・・・・60. 第1節. 序章・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・60. 第2節. 実験方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・60. 第1項. 新飲料の製造方法・・・・・・・・・・・・・・・・60. 第2項. ヒ ア ル ロ ン 酸 の 分 解 抑 制 に よ る 抗 酸 化 活 性 ・・・・・ 6 1. 第3項. MTT ア ッ セ イ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 6 2. 第4項. 細胞ガン化培養方法・・・・・・・・・・・・・・・63. 第3節. 結果と考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・65. 第1項. 抗酸化活性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・65. 第2項. ガン細胞増殖抑制作用・・・・・・・・・・・・・・67. 第3項. 細胞ガン化抑制作用・・・・・・・・・・・・・・・70. 第4節. 小括・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・72 4.
(7) 第5章. 各種麹菌の米麹 によるカフェ酸生 成活性 ・・・・・・・73. 第1節. 序章・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・73. 第2節. 実験方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・75. 第1項. 試験菌株・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・75. 第2項. 培養培地および製麹条件・・・・・・・・・・・・・75. 第3項. 原料米とその前処理・・・・・・・・・・・・・・・76. 第4項. 製麹方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・76. 第5項. 分析方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・78. 第3節. 結果と考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・81. 第1項. 製麹の再現性試験・・・・・・・・・・・・・・・・81. 第2項. Aspergillus 属 の 標 準 菌 株 に よ る 米 麹 の CAP と 酵 素 活. 性 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・83 第3項. 市 販 種 麹 に よ る 米 麹 の CAP と 酵 素 活 性 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 8 6. 第4項. 酵 素 活 性 等 の 偏 差 で 示 し た レ ー ダ ー チ ャ ー ト ・・・・ 8 8. 第5項. CAP と 酵 素 活 性 等 と の 相 関 行 列 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 9 1. 第6項. 製 麹 期 間 中 の CAP と 酵 素 活 性 の モ ニ タ リ ン グ ・・・ 9 3. 第4節. 小括・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・94. 総括. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・95. 謝辞. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・100. 参考文献. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・101. 5.
(8) 緒論. サツマイモや米麹を原料にアルコール発酵を終えた芋焼酎もろみは 蒸留工程によりエチルアルコールやその他の香気成分等の揮発性成分 は芋焼酎として製造され,副産物として芋焼酎粕が得られる。常圧蒸 留 の 場 合 ,焼 酎 粕 の 量 は 芋 焼 酎 の 約 1.9 倍 に な る 。芋 焼 酎 粕 に は ,原 料 のサツマイモ及び米に由来する繊維類,非発酵性糖類,タンパク質, 脂肪,無機塩類その他の原料成分の一部と,麹菌,酵母などの菌体, 有機酸,ビタミン類及びポリフェノール等発酵生産物の中,蒸留で除 1,2). 去されなかった成分が含まれている される焼酎ブーム. 3). 。 平 成 14 年 度 か ら 始 ま っ た と. に よ る 焼 酎 製 造 数 量 の 増 加 に 伴 い ,熊 本 国 税 局 し ょ. う ち ゅ う 調 査 書 に よ る と 平 成 18 酒 造 年 度 の 焼 酎 粕 排 出 量 は 787,065kL と 平 成 14 酒 造 年 度 の 1.7 倍 量 ま で 急 激 に 増 加 し て い る 。 そ の 処 理 方 法 と 比 率 は メ タ ン 発 酵 3 2 . 2 % ,加 熱 乾 燥 1 5 . 5 % ,海 洋 投 入 1 3 . 0 % ,焼 却 1 0 . 2 % と な っ て お り ,陸 上 処 理 が 約 8 7 % に な っ て い る. 4). 。焼 酎 粕 の 成 分 や 機 能. 性に注目した有効利用法として泡盛蒸留廃液や黒糖焼酎粕のもろみ酢 について抗酸化作用などの報告. 5.6). があり,また,米元ら. 7). は芋焼酎粕. と乳成分を利用した乳酸菌飲料についてアレルギー抑制効果や腸内細 菌叢の改善を報告している。また,森村ら. 8~ 10). は各種焼酎粕から醸造. 酢 を 製 造 し 抗 腫 瘍 活 性 効 果 や A C E 阻 害 活 性 な ど を 報 告 し て い る 。ま た , 麦焼酎粕の肝障害抑制 制作用の報告. 13). 11 ). や脂肪肝抑制. 12). ,泡盛についても脂質代謝抑. がある。一方,麹菌は日本国の国菌とされ,我が国の. 食生活に密着している。代表的な食品として日本酒や味噌,納豆,醤 6.
(9) 油 ,食 酢 な ど が あ り ,抗 酸 化 作 用 や 抗 ア レ ル ギ ー 作 用 ,血 圧 降 下 作 用 , 脂質代謝改善効果などの機能性が数多く報告 一方,厚生労働省が発表. 15). 14). されている。. し た 我 が 国 の 平 均 寿 命 は 男 性 79.64 歳 ,. 女 性 8 6 . 3 9 歳( 平 成 2 2 年 )と そ れ ぞ れ 世 界 で 4 位 と 1 位 で あ る 。ま た , 6 5 歳 以 上 の 高 齢 者 人 口 比 は 2 3 % を 占 め る ほ ど に な っ て い る 。そ の た め , 現在の医療保険制度の維持が難しくなりつつある。日本人の 3 大死因 は 悪 性 新 生 物 ( ガ ン ), 心 疾 患 , 脳 血 管 疾 患 で あ る と さ れ , 厚 生 労 働 省 に よ る と 平 成 22 年 度 の 日 本 人 の 死 因 の 割 合 は そ れ ぞ れ 29.5%, 15.8%, 10.3%と 発 表. 16). し て い る 。こ の う ち ,脳 血 管 疾 患 や 心 疾 患 は い ず れ も 生. 活習慣病と密接に関係していることから,食事による予防が可能にな ることが考えられ,これまでの研究で「食品による予防効果」が明ら かになりつつある。 先 に も 述 べ た 通 り ,芋 焼 酎 粕 の 中 に は 原 料 や 麹 菌 ,酵 母 が 生 成 し た ク エ ン 酸 な ど の 有 機 酸 や 必 須 ア ミ ノ 酸 及 び ビ タ ミ ン E, ポ リ フ ェ ノ ー ル , 食物繊維,酵母菌体などの食品成分が多量に含まれている。これらの 成分は現代社会の様々な生活習慣病の原因とされる中性脂肪やコレス テロール,活性酸素の低下などの効果が期待される。有用な成分を含 む芋焼酎粕は健康維持や増進機能を有する飲料として活用することで, 付加価値の高い原料と成り得ることが考えられる。 しかし,芋焼酎粕は固形分が多く粘性も高いことが知られており. 1). ,. そのままの状態で飲料にすることは難しい。また,固液分離も困難で あるために,食品へ利用されていない。そこで,芋焼酎粕を飲料とし て利用するための固液分離性を向上させる技術の開発が必要である。 7.
(10) また,芋焼酎粕には異臭(発酵臭)があり,味も酸味はあるものの甘 味はなく酸っぱいだけである。飲みやすく,かつ,大量に飲用できる 香味改善が必要である。 そこで,このような芋焼酎粕を有効利用しやすくするために研究を 開始した。すなわち,芋焼酎粕にクエン酸を生成する麹菌による米麹 と繊維分解酵素を添加することにより固液分離性の向上や米麹に含ま れるデンプンを糖化することによる天然の甘味と麹菌が生成したクエ ン酸の付与による香味改善を試みた。この研究の先行する成果として, 芋焼酎粕に米麹を添加する工程によりポリフェノールが増えること, 抗酸化作用が増すことやポリフェノールからカフェ酸が生成されるこ とを見出し,既に報告している. 17, 18). 。. 本研究論文では,産業廃棄物として排出されている芋焼酎粕から製 造した飲料が健康増進飲料と成り得るのか研究した内容について,第 1章では芋焼酎粕に米麹を添加する飲料の製造方法の確立について, 第2章では芋焼酎粕に米麹を添加してできた飲料の脂質代謝・血糖値 に及ぼす作用に関する研究について,第3章では新飲料のマウスの免 疫亢進効果に及ぼす影響に関する研究について,第4章では新飲料の ガン培養細胞への影響に関する研究について,第5章では芋焼酎粕に 麹菌を作用させるとカフェ酸が生成されることを先に見出したことか ら,各種麹菌のクロロゲン酸からのカフェ酸生成活性について研究を 行った。 以下に本論に得られたこれらの次第を論述する。. 8.
(11) 第1章. 芋焼酎粕に米麹を添加する新飲料の製造方法の確立. 第1節. 序章. 本 格 芋 焼 酎 は 米 と サ ツ マ イ モ を 原 料 に 用 い ,そ れ を 発 酵 ,蒸 留 し て 焼 酎ができる。蒸留と同時に副産物の芋焼酎粕が排出され,その量は年 間 約 470,000t ( 平 成 18 年 度 ) に の ぼ り , そ の 約 17%が 海 洋 投 入 処 分 されている. 4). 。. 芋焼酎粕の中には,麹菌や酵母が生成したクエン酸などの有機酸や 必 須 ア ミ ノ 酸 及 び ビ タ ミ ン E ,ポ リ フ ェ ノ ー ル ,食 物 繊 維 ,酵 母 菌 体 な どの健康増進能を持つ食品成分が多量に含まれている. 1). 。こ れ ら の 成 分. は現代社会の様々な生活習慣病の原因とされる中性脂肪やコレステロ ール,活性酸素の低下や便秘などに効果が期待されている。このよう に有用な成分を含んでいる芋焼酎粕は健康維持や増進機能を有する飲 料として活用することで,高い付加価値のある原料と成り得る。しか し,芋焼酎粕は固形分が多く粘性も高いため,そのままの状態で飲料 にすることは難しい。また,固液分離も困難であるため食品への利用 も遅れている。そこで,芋焼酎粕を飲料として利用するための固液分 離性を向上させる技術開発が必要である。また,焼酎粕は発酵臭があ り酸味が際立つためそのままでは飲料に適さない。そこで,発酵臭を 抑え,飲みやすくすることを目的に,芋焼酎粕に米麹を加えて再発酵 することでクエン酸濃度増加による酸味と,米麹デンプンを糖化させ ることによる天然の甘味を付与し,香味改善の検討を行った。このよ うにして得られた飲料には芋焼酎粕に由来する抗酸化性物質や米麹か 9.
(12) らのクエン酸などを含む飲料となることが期待される。 本章では芋焼酎粕の固液分離性,酵素反応液のろ過性,固形分の減 量化に注目した各種セルラーゼ系酵素剤の選抜することならびに米麹 添加により,芋焼酎粕から新飲料を製造する技術の開発を目的とした。. 第2節 第1項. 実験方法 試薬・試料の調製. 麹 歩 合 20%, 汲 み 水 歩 合 65%の も ろ み を 常 圧 蒸 留 し て 得 ら れ た 芋 焼 酎粕を各試験に用いた。酵素選抜試験に使用する芋焼酎粕は,予め標 準 ふ る い ( 6.5mesh) で 粗 大 固 形 分 を 除 去 し た 。 セ ル ラ ー ゼ 系 酵 素 は HBI, 天 野 エ ン ザ イ ム , キ ッ コ ー マ ン , 協 和 エ ン ザイム,新日本化学工業,大和化成,ナガセケムテックス,ノボザイ ム ズ , ヤ ク ル ト 薬 品 工 業 の 9 社 よ り 3 4 種 類 を 提 供 い た だ い た ( Ta b l e 1 ‐ 1 )。. 第2項. 酵素反応の条件. 芋 焼 酎 粕 200 mL を 300 mL 容 三 角 フ ラ ス コ に 分 注 後 , 各 種 酵 素 剤 を 芋 焼 酎 粕 の 0.1% ( W/V)添 加 し ,50℃ ,24 時 間 酵 素 反 応 さ せ た 。酵 素 反 応 は ,イ ン キ ュ ベ ー タ ー( A S O N E 製 ー カ ー ( TA I T E C 製. IC V- 7 5 0 )内 で ロ ー タ リ ー シ ェ. RT- 5 0 ) に 反 応 液 を 入 れ た 三 角 フ ラ ス コ を セ ッ ト. し , 回 転 速 度 45 rpm で 行 っ た 。. 10.
(13) Ta b l e 1 ‐ 1 L i s t o f c e l l u l o l y t i c e n z y m e s o b t a i n e d c o m m e r c i a l l y No.. Enzyme. Enzyme Type. Origin. Company. 1. Cellulosin AC40. cellulase. Aspergillus niger. 2. Cellulosin AL. cellulase. Aspergillus niger. 3. Ccellulosin T2. cellulase. Trichoderma viride. 4. Cellulosin HC100. xylanase. Aspergillus niger. 5. Cellulosin HC. xylanase. Aspergillus niger. 6. Cellulosin TPL. xylanase. Trichoderma viride. 7. Cellulosin GM5. mannanase. Aspergillus niger. 8. Cellulosin PE60. pectinase. Aspergillus niger. 9. Cellulase A「 Amano」 3. cellulase. Aspergillus niger. 10. Cellulase T「 Amano」 4. cellulase. Amano Enzym e Inc.. 11. Pectolyase G「 Amano」. pectinase. Trichoderma viride Aspergillus pulverulentus. 12. Pectolyase. pectinase. Aspergillus japonicus. 13. Cellulase AC20. cellulase. Aspergillus niger. KIKKOMAN CORPORATION. 14. Multifect B. cellulase. Trichoderma reesei. 15. Driselase KSM. cellulase. Irpex lacteus. 16. Sumizyme AC. cellulase. Aspergillus niger. 17. Sumizyme C. cellulase. Trichoderma sp.. 18. Sumizyme AP-2. cellulase. Aspergillus niger. 19. Sumizyme SPC. pectinase. Aspergillus niger. 20. Sumizyme PMAC. pectinase. Aspergillus sp.. 21. Cellulase DAIWA. cellulase. Trichoderma sp.. 22. Cellulase Nagase. cellulase. Aspergillus niger. 23. Cellulase XL-531. cellulase. Aspergillus niger. 24. Cellulase XP-425. cellulase. Trichoderma viride. 25. Pectolyase Nagase. pectinase. Aspergillus niger. 26. Pectolyase XP-534. pectinase. Bacillus subtilis. 27. Celluclast. cellulase. Trichoderma reesei. 28. VISCIZYME. cellulase. Aspergillus aculeatus. 29. CELLULASE”ONOZUKA“3S. cellulase. Trichoderma viride. 30. Cellulase Y-NC. 31. Macerozyme A. 32. Pectolyase SS. cellulase Aspergillus niger Collapse enzyme Rhizopus sp. of the plant tissue pectinase Aspergillus niger. 33. Pectolyase 3S. pectinase. Aspergillus sp.. 34. Pectolyase HL. pectinase. Aspergillus sp.. 11. HBI Enzymes Inc.. Kyowa-Enzymes Co.,Ltd. SHIN NIHON CHEMIC AL CO., LTD.. Daiwa Fine Chemicals Co., Ltd.. Nagase Chemtex Corporation. Novozymes A/S. YAKULT PHARMACEU TIC AL INDUSTRY CO.,LTD.
(14) 第3項. 分離速度確認試験. 分離速度確認試験は永浜らの方法を参考にした. 20). 。すなわち,酵素. 反 応 後 の 焼 酎 粕 を 100 mL 採 取 し , ろ 紙 No.5A に よ る 60 分 間 の ろ 液 量 を 測 定 し , 濁 度 は 分 光 光 度 計 ( 日 立 製 作 所 製 , U2000) で 660 nm の 吸 光度を測定した。. 第4項. 固形分可溶化試験. 固 形 分 の 可 溶 化 は 酵 素 反 応 終 了 後 , 室 温 ま で 冷 却 し た 反 応 液 50 mL を 遠 心 分 離 ( 4500 rpm, 10 分 間 ) し て 得 ら れ た 上 清 量 を 測 定 し た 。 ま た,上清の濁度は第3項の方法で測定した。反応液中の固形分含有量 は ,反 応 液 5 m L を 採 取 し ,A D VA N T E C 製 ガ ラ ス 繊 維 ろ 紙 G A - 1 0 0( 1 µ m ) で ろ 過 し , 11 0 ℃ 乾 燥 法 で 測 定 し た 。. 第5項. HP LC に よ る 糖 分 析. 第 3 項 の 分 離 速 度 確 認 試 験 で 得 ら れ た ろ 液 を 純 水 で 20~ 50 倍 希 釈 し , Waters 社 製 Sep-Pak Plus C18 カ ラ ム を 用 い て 疎 水 性 化 合 物 を 除 去 し , メ ン ブ ラ ン フ ィ ル タ ー 0.45 µm で 前 処 理 し た サ ン プ ル 50 µ L を HP LC に供した。 糖 分 析 は 島 津 製 作 所 製 高 速 液 体 ク ロ マ ト グ ラ フ LC -VP 還 元 糖 分 析 シ ス テ ム を 用 い た 。カ ラ ム は S h i m - P a k IS A - 0 7 / S 2 5 0 4( 2 5 0 m m L × 4 . 0 m m I . D . ) を 使 用 し , 移 動 相 は A 液 [ 0.1M ほ う 酸 カ リ ウ ム 緩 衝 液 ( pH8) ] と B 液 [ 0.4M ほ う 酸 カ リ ウ ム 緩 衝 液 ( pH9) ] を 用 い て , A/B=100/0→0/100 へ と 切 替 え る 直 線 グ ラ ジ ェ ン ト で 行 っ た 。 移 動 相 流 量 は 0.6 m L/min, 12.
(15) カ ラ ム 温 度 は 65℃ と し た 。 ま た , 検 出 条 件 は 反 応 液 と し て 1% L-ア ル ギ ニ ン を 含 む 3 % ホ ウ 酸 水 溶 液 を 使 用 し ,反 応 液 流 量 は 0 . 5 m L / m i n と し た 。検 出 器 は 分 光 蛍 光 検 出 器 RF-10AXL を 使 用 し ,励 起 波 長 320 nm,測 定 波 長 430 nm で 行 っ た 。. 第6項. 呈味性試験. 芋 焼 酎 粕 1 5 0 0 m L に 選 抜 し た 酵 素 0 . 1 %( W / V )添 加 し て 糖 化( 5 0 ℃ , 15 時 間 ) し た 液 部 の pH, 酸 度 , Brix の 測 定 と 官 能 検 査 を 行 っ た 。 pH は 堀 場 製 作 所 社 製 F-12 を 用 い た 。 酸 度 は 国 税 庁 所 定 分 析 法 注 解 の 方 法 21). に 従 い ,焼 酎 粕 液 1 0 m L に B . T. B , N . R . 混 合 指 示 薬 を 2 ~ 3 滴 加 え 1 / 1 0 N. NaOH で 淡 緑 色 に な る ま で 中 和 滴 定 し た 。 また,芋焼酎粕だけでは発酵臭や酸味が目立つため,香味改善を目 的に米麹の添加量を変えて常法通りの酵素反応を行った。なお,米麹 に は 黒 麹 を 使 用 し , そ の 添 加 量 は 5, 10, 15, 20, 25, 30%の 6 区 分 で 行った。. 第7項. 実スケールにおける固液分離試験. 試 験 室 ス ケ ー ル で 選 抜 し た 酵 素 を 用 い て 50 L 規 模 の 圧 搾 試 験 を 行 っ た 。 す な わ ち , 芋 焼 酎 粕 40 L に 米 麹 8 kg と 酵 素 0.1%添 加 し , 55℃ , 15 時 間 反 応 さ せ た 。 反 応 中 は 攪 拌 機 を 用 い て 均 一 に な る よ う に 撹 拌 し た 。反 応 終 了 液 を 酒 袋 に 入 れ ,手 動 式 圧 搾 機( 東 洋 商 会 製 : C 型 4 8 0 L ) に て 一 昼 夜 圧 搾 ろ 過 を 行 い ,ろ 液 の 分 離 量( 搾 汁 率 ),懸 濁 物 質 濃 度( S S ), 透明度,圧搾粕量を測定した。 13.
(16) 透明度は第3項の濁度,懸濁物質濃度は第4項と同じ方法で行った。. 第8項. 飲料の成分分析. 新飲料の分析を外部分析機関である(財)日本食品分析センターに 依頼した。測定項目は,栄養成分(水分,カロリー,タンパク質,脂 質,灰分,炭水化物,食物繊維)のほか,ミネラル,有機酸,アミノ 酸 , γ-ア ミ ノ 酪 酸 ( GABA) と し た 。. 第3節 第1項. 結果と考察 セルラーゼ系酵素の選択試験(一次スクリーニング). 芋 焼 酎 粕 に 酵 素 剤 0.1%を 添 加 し た 反 応 液 100 mL を 用 い て 分 離 速 度 確 認 試 験 を 行 っ た 。 ろ 過 を 開 始 し て 60 分 後 の ろ 液 量 は 酵 素 処 理 に よ り 芋 焼 酎 粕 そ の も の を ろ 過 す る よ り 最 大 で 1 . 6 倍 に 増 加 し た 。ろ 液 の 濁 度 は 芋 焼 酎 粕 の ろ 液 よ り 低 い も の や 2~ 3 倍 と 高 い 値 な ど が 散 見 さ れ た が , 酵 素 剤 の 起 源 に よ り 差 は 見 ら れ な か っ た 。酵 素 の 起 源 別 で は Tr i c o d e r m a 属 起 源 の 酵 素 剤 が A s p e rg i l l u s 属 起 源 の も の よ り も ろ 液 量 が 多 く な る 傾 向がみられた。 こ れ ら の 結 果 か ら , 酵 素 剤 34 種 類 の う ち 最 終 ろ 液 の 量 が Blank で あ る 芋 焼 酎 粕 ろ 液 量 よ り も 1 . 4 倍( 6 0 m L )以 上 で あ り ,ろ 液 濁 度 が B l a n k と ほ ぼ 同 じ 値 か 低 い 値 で あ る 酵 素 剤 1 3 種 類 を 選 抜 し た ( Ta b l e 1 ‐ 2 )。. 14.
(17) Ta b l e 1 ‐ 2 E f f e c t o f v a r i o u s c e l l u l o l y t i c e n z y m e s o n f i l t r a t i o n p e r f o r m a n c e of SDR. No.. Enzyme. Origin. Amount of filtrate per 60 min(mL). -. 44.0. 0.49. Turbidity. 0. Blank. 1. Cellulosin AC40. Aspergillus niger. 64.5. 0.37. 2. Cellulosin T2. Tricoderma viride. 69.5. 0.10. 3. Cellulosin GM5. Aspergillus niger. 67.0. 0.23. 4. Cellulase AC20. Aspergillus niger. 60.5. 0.58. 5. Multifect B. Tricoderma reesei. 66.0. 0.41. 6. Sumizyme AC. Aspergillus niger. 61.5. 0.55. 7. Sumizyme C. Tricoderma sp.. 63.0. 0.22. 8. Sumizyme PMAC. Aspergillus sp.. 63.0. 0.32. 9. Cellulase DAIWA. Tricoderma sp.. 65.0. 0.18. 10. Cellulase XP-425. Tricoderma viride. 63.5. 0.32. 11. Celluclast. Tricoderma reesei. 64.0. 0.34. 12. CELLULASE”ONOZUKA“3S. Tricoderma viride. 61.0. 0.58. 13. Cellulase Y-NC. Aspergillus niger. 63.5. 0.46. 15.
(18) 第2項. セルラーゼ系酵素の選択試験 (二次スクリーニング). 第1項で選抜した酵素剤を用いた酵素反応液を固形分可溶化試験に 供し,二次スクリーニングを行った。 液 部 割 合 は Tr i c o d e r m a 属 起 源 の 方 が A s p e rg i l l u s 属 起 源 の 酵 素 剤 よ り 多 く な り , 第 1 項 と 同 様 の 傾 向 が 見 ら れ た 。 液 部 の 濁 度 は Tr i c o d e r m a 属 起 源 の 酵 素 剤 が 高 く ,A s p e rg i l l u s 属 起 源 の 酵 素 剤 は B l a n k と ほ ぼ 変 わ ら な か っ た 。 こ れ は Tr i c o d e r m a 属 起 源 の 酵 素 剤 が 遠 心 分 離 で は 沈 降 し な い 大 き さ に 繊 維 が 細 か く 分 断 さ れ る こ と が 考 え ら れ る ( Ta b l e 1 ‐ 3 ) 。 酵 素 処 理 後 の 固 形 分 の 減 少 度 割 合 は , セ ル ロ シ ン T2 が 最 も 大 き く , 次 い で Multifect B, セ ル ラ ー ゼ ダ イ ワ , セ ル ラ ー ゼ XP-425, セ ル ク ラ ス ト の 4 種 類 で あ っ た 。 こ れ ら は い ず れ も Tr i c o d e r m a 属 起 源 の 酵 素 剤 で あ っ た (Fig. 1‐ 1)。 分 離 液 を H P L C で 糖 分 析 し た と こ ろ ,酵 素 剤 の 種 類 に よ り 生 成 さ れ る 糖 の 組 成 が 異 な っ て い た 。Tr i c o d e r m a 属 起 源 の 酵 素 剤 は セ ロ ビ オ ー ス , マ ル ト ー ス ,キ シ ロ ー ス が 増 え る 傾 向 に あ り ,A s p e rg i l l u s 属 起 源 の 酵 素 剤 は , ガ ラ ク ト ー ス が 増 え る 傾 向 が 見 ら れ た ( Ta b l e 1 ‐ 4 )。 グ ル コ ー ス の 生 成 量 が 最 も 多 か っ た の は セ ル ロ シ ン T2, セ ロ ビ オ ー ス が 最 も 多 い の は Mutifect B で あ っ た 。 以 上 の 結 果 か ら ,液 分 離 量 が 多 く 固 形 分 の 減 量 化 と 糖 分 析 試 験 で 特 徴 的 で あ る と 認 め ら れ た 酵 素 剤 2 種 類( セ ル ロ シ ン T2,Mutifect B)を 選 抜した。. 16.
(19) Ta b l e 1 ‐ 3 E ff e c t o f v a r i o u s c e l l u l o l y t i c e n z y m e s o n c e n t r i f u g a t i o n performance of SDR. Enzyme Blank. Origin. Percentage of supernatant (%). Turbidity. -. 66. 0.06. Cellulosin T2. Tricoderma viride. 83. 0.87. Multifect B. Tricoderma reesei. 83. 0.75. Sumizyme C. Tricoderma sp.. 80. 0.73. Cellulase DAIWA. Tricoderma sp.. 82. 0.77. Cellulase XP-425. Tricoderma viride. 80. 0.56. Celluclast. Tricoderma reesei. 83. 0.86. CELLULASE”ONOZUKA“3S. Aspergillus niger. 75. 0.56. Cellulosin AC40. Tricoderma viride. 78. 0.06. Cellulosin GM5. Aspergillus niger. 80. 0.06. Cellulase AC20. Aspergillus niger. 76. 0.10. Sumizyme AC. Aspergillus niger. 76. 0.15. Sumizyme PMAC. Aspergillus sp.. 75. 0.03. Cellulase Y-NC. Aspergillus niger. 73. 0.10. 17.
(20) 18 Cellulosin GM5. Cellulosin AC40. Cellulase Y-NC. Sumizyme PMAC. Tricoderma sp.. Cellulase AC20. Sumizyme AC. CELLULASE”ONOZUKA“3S. Celluclast. Cellulase XP-425. Cellulase DAIWA. 15000. Sumizyme C. Multifect B. Cellulosin T2. Blank. Suspended Solid(mg/L). 40000. 35000. 30000. 25000. 20000. Aspergillus sp.. 10000. 5000. 0. Figure 1‐ 1 Suspended solid in the supernatants after treatment of SDR by various cellulol ytic enz ymes..
(21) Ta b l e 1 ‐ 4 S u g a r s i n t h e s u p e r n a t a n t f r o m t h e e n z y m e - t r e a t e d S D R . Product Enzyme. Blank. Origin. Cellobiose Maltose Galactose Xylose Glucose. -. 0.0. 0.0. 0.7. 0.0. 0.4. Cellulosin T2. Tricoderma viride. 0.1. 0.2. 0.9. 0.1. 5.8. Multifect B. Tricoderma reesei. 2.2. 0.2. 0.8. 0.1. 2.9. Sumizyme C. Tricoderma sp.. 0.3. 0.4. 0.9. 0.1. 4.9. Cellulase DAIWA. Tricoderma sp.. 1.1. 0.2. 0.8. 0.1. 3.6. Cellulase XP-425. Tricoderma viride. 0.4. 0.4. 0.9. 0.0. 4.5. Celluclast. Tricoderma viride. 1.9. 0.2. 0.7. 0.1. 2.9. CELLULASE”ONOZUKA“3S. Tricoderma reesei. 0.7. 0.4. 0.7. 0.1. 3.0. Sumizyme AC. Aspergillus niger. 0.0. 0.0. 1.0. 0.0. 5.6. Cellulase AC20. Aspergillus niger. 0.0. 0.0. 1.2. 0.0. 5.0. Sumizyme PMAC. Aspergillus sp.. 0.1. 0.0. 1.6. 0.0. 4.4. Cellulase Y-NC. Aspergillus niger. 0.0. 0.0. 0.9. 0.1. 5.6. Cellulosin AC40. Aspergillus niger. 0.0. 0.0. 1.4. 0.0. 4.9. Cellulosin GM5. Aspergillus niger. 0.0. 0.0. 1.6. 0.0. 5.3. 19.
(22) 第3項. 呈味性試験 (三次スクリーニング). 芋 焼 酎 粕 1500 mL に 第 2 項 で 選 抜 し た 酵 素 を 0.1%添 加 し , 第 2 項 と 同様の反応条件で得られた糖化液の分析と官能検査を行った。その結 果 ,酸 度 ,p H ,B r i x に 大 差 は 認 め ら れ な か っ た 。官 能 検 査 で は M u l t i f e c t B に や や エ グ ミ が , セ ル ロ シ ン T2 に は ス ッ キ リ 感 が 感 じ ら れ た 。 飲 み や す い 飲 料 に す る た め に 清 涼 感 が 感 じ ら れ た セ ル ロ シ ン T2 を 使 用 す る こ と に し た ( Ta b l e 1 ‐ 5 )。 芋焼酎粕は原料中のデンプン質がアルコール発酵により殆ど残って いない。そのため,甘味がなく,クエン酸とアミノ酸に由来する酸味 と旨味だけが目立つ飲料である。そこで,まず,黒麹菌で製麹した米 麹の添加量を変えて水に添加し,糖化により酸味と甘味の付与の確認 を行った。黒麹菌による米麹のクエン酸の影響から,添加量の増加と と も に 酸 度 は 上 昇 し , 酸 味 も 強 く な っ た 。 麹 添 加 量 が 25%以 上 で は 甘 味 と 酸 味 が 強 く な り す ぎ た こ と か ら , 米 麹 は 20%添 加 が 適 量 と 判 断 し た ( Ta b l e 1 ‐ 6 )。. Ta b l e 1 ‐ 5 S o m e p r o p e r t i e s o f t h e e n z y m e - t r e a t e d S D R . Enzyme Cellulosin T2. Multifect B. Acidity(10ml). 6.05. 6.25. pH. 3.2. 3.2. Brix. 3.2. 3.2. Turbidity. 0.107. 0.081. Ta s t e. Clear. Bitter. 20.
(23) Ta b l e 1 ‐ 6 E ff e c t o f t h e t r e a t m e n t m o d i f i e d b y r i c e - k o j i . Amount of rice-koji (%) 5. 10. 15. 20. 25. 30. Acidity. 2.4. 4.4. 6.3. 8.2. 9.7. 11 .0. pH. 3.38. 3.36. 3.33. 3.29. 3.29. 3.28. Brix. 2.8. 6.0. 9.0. 12.0. 14.0. 16.6. Sensory test. We a k s o u r Thin taste. We a k s o u r. We a k s o u r. 第4項. Good balance of A little strong sweetness and sweet and sour sour. Strong sour. 実スケールにおける固液分離試験. 芋焼酎粕を酒袋に入れて圧搾機に並べた後に均一に重みが伝わるよ うに重石をのせた。圧搾開始後,間もなく濁った液 (荒走り) が出 て き た 。 そ の 後 30 分 前 後 で 透 明 な 液 が 得 ら れ る よ う に な り , 加 圧 ( 0.5MPa) を 開 始 し , 芋 焼 酎 粕 自 体 の 荒 走 り を 含 む 圧 搾 液 の 回 収 率 は 7 7 . 5 % , 圧 搾 固 形 分 の 水 分 含 有 量 は 8 0 . 9 % で あ っ た ( Ta b l e 1 ‐ 7 )。 試 験 室 ス ケ ー ル で 選 抜 し た 酵 素 剤 を 用 い て 50 L 規 模 の 圧 搾 試 験 を 行 っ た 。 米 麹 無 添 加 で は 回 収 率 が 82.8%, 圧 搾 液 の 懸 濁 物 質 [ suspended s o l i d ( S S )] は 2 3 9 0 m g / L と 非 常 に 高 く , と て も 圧 搾 で き た と は 言 え ない結果であった。次に,酵素反応後に米麹を添加して糖化反応させ て 圧 搾 を 試 み た と こ ろ , 分 離 液 の 回 収 率 は 72%, 圧 搾 固 形 分 の 水 分 が 67%と 芋 焼 酎 粕 そ の も の を 圧 搾 す る よ り も 回 収 率 は 低 い が , 分 離 液 の S S が 6 2 7 m g / L と 透 明 な 液 が 得 ら れ た 。米 麹 を 添 加 す る こ と で ,圧 搾 で. 21.
(24) きなかった酵素反応液の圧搾性を向上させることが出来た。 そこで,酵素剤と米麹による酵素反応と麹の糖化を同時に行った。 そ の 結 果 ,分 離 液 の SS は 酵 素 反 応 後 に 米 麹 を 添 加 し た 方 法 と ほ ぼ 同 程 度 の 圧 搾 液 が 得 ら れ た 。 分 離 液 の 回 収 率 は 約 84%と 高 く , 圧 搾 に よ り 分 離 し た 固 形 部 分 の 水 分 は 73%ま で 低 下 し , 各 試 験 区 の 中 で 最 も 良 い 結果が得られた。 こ れ ら の 結 果 は ,米 麹 の 添 加 に よ り セ ル ラ ー ゼ 処 理 さ れ た 芋 焼 酎 粕 の 固液分離を容易にすることが出来ることを実証した。芋焼酎粕だけを 固液分離する場合,芋焼酎粕中の繊維はろ過助剤の役目を果たすが, 酵素剤を添加することで繊維が分断し,微細化して酒袋から漏れたと 考えられた。この反応液に米麹を加えることで,米麹由来の固形部が ろ過助剤の役目を果たし,圧搾が可能になったと推察している。 圧 搾 液 の う ち ,米 麹 を 10%,20%,30%添 加 し た 区 分 の 遊 離 糖 類 を 分 析 し た( Ta b l e 1 ‐ 8 )。米 麹 添 加 に よ り ,グ ル コ ー ス 濃 度 が 最 も 増 加 し , 次いでキシロース であった。アラビノース,ガラクトースもキシロー スほどではないものの増加していた。 次 に , 芋 焼 酎 粕 に 米 麹 と セ ル ロ シ ン T2 を 加 え 反 応 さ せ た 溶 液 を 糖 分 析 し た 結 果 ,最 も 多 い グ ル コ ー ス 量 は 酵 素 添 加 に よ る 差 異 は 認 め ら れ な か っ た 。細 胞 壁 に 由 来 す る セ ロ ビ オ ー ス や ア ラ ビ ノ ー ス な ど が 増 え て い る 理 由 と し て ,セ ル ラ ー ゼ 系 酵 素 の 効 果 に よ る も の と 考 え ら れ た。. 22.
(25) Ta b l e 1 ‐ 7 Te s t p l a n t o f m a k i n g t h e n e w b e v e r a g e f r o m S D R . Liquid Tr e a t m e n t o f S D R. None. sample. SS (mg/l). Arabasiri (liquid without compression). 1713. Compressed liquid. Enzyme. Addition of rice-koji after enzyme treatment of SDR Enzyme +rice-koji Simultaneous addition of enzyme and rice-koji. Turbidity. 0.10. Arabasiri (liquid without compression). 5170. 2.72. Compressed liquid. 2390. 2.18. Arabasiri (liquid without compression). 254. 0.93. Compressed liquid. 627. 1.13. 2000. 2.18. Compressed liquid. 654. ※ SDR : Seetpotato Shochu-Distilled Residue. 23. Recovery rate (%). Moisture content (%). 77.5. 80.9. 82.8. 87.0. 72.0. 67.0. 83.8. 73.1. 2.07. 560. Arabasiri (liquid without compression). Solid. 0.35.
(26) Ta b l e 1 ‐ 8 S u g a r c o m p o s i t i o n i n n e w b e v e r a g e . (g/L) Enzyme. Wi t h o u t e n z y me. Cellulosin T2. Added amount of koji (%). Cellobiose. Maltose. Arabinose Galactose. Xylose. Glucose. 10. 0. 0.0. 0.4. 0.3. 2.4. 61.4. 20. 0. 0.1. 0.8. 0.6. 4.6. 93.7. 30. 0.1. 0.2. 1.0. 0.9. 6.9. 123.2. 10. 0.2. 0.0. 1.2. 0.9. 1.7. 60.4. 20. 0.2. 0.2. 1.3. 1.2. 4.9. 96.8. 30. 0.3. 0.1. 1.8. 1.4. 4.9. 119.8. 24.
(27) 第5項. 芋焼酎粕飲料の成分. 芋 焼 酎 粕 に 米 麹 を 添 加 し て 得 ら れ た 圧 搾 液[ 芋 焼 酎 粕 飲 料( 新 飲 料 )] の 栄 養 成 分 は , 100 mL 当 た り の カ ロ リ ー が 63 kcal, 糖 質 が 15.2 g, 食 物 繊 維 は 0 . 3 g で あ り , 脂 質 は 0 . 1 g 以 下 で あ っ た ( Ta b l e 1 ‐ 9 )。 総 有 機 酸 量 は 1080 mg と 豊 富 で そ の 約 85%は ク エ ン 酸 で あ り 920 mg 含 ま れ ていた。その他はコハク酸,リンゴ酸,酢酸,乳酸,ピログルタミン 酸 で あ っ た 。 遊 離 ア ミ ノ 酸 は 18 種 類 が 確 認 さ れ , 100mL 当 た り に 総 量 と し て 1111 m g 含 ま れ て い た 。 こ の う ち , 必 須 ア ミ ノ 酸 は 4 0 6 m g で あ った。ミネラルではカリウムが,ビタミン類ではパントテン酸,ナイ ア シ ン ,ビ オ チ ン ,ビ タ ミ ン B 2 ,葉 酸 な ど が 比 較 的 多 く 含 ま れ て お り , こ の 他 に も ポ リ フ ェ ノ ー ル や GABA が 含 ま れ て い た 。 新 飲 料 に 含 ま れ る ク エ ン 酸 は , 用 い た 麹 菌 に 由 来 し , そ の 量 は 920 m g / 1 0 0 m L で あ り ,こ の 数 値 は ,通 常 ,芋 焼 酎 製 造 時 に 産 生 す る 焼 酎 粕 中 の 含 有 量 488 mg/100 m L1 )に 比 べ て 約 2 倍 の 高 い 値 を 示 し た 。 新 飲 料 の製造方法では,米麹を再度添加し再発酵させているため,他の有機 酸を含めてクエン酸量が増強されたものと考えられる。クエン酸には 疲労回復効果などが知られており. 22). ,この点で,今回開発した再発酵. 法を用いることで,新飲料のクエン酸含有量が高くなり,健康維持機 能も高いと言える。 ま た , ア ミ ノ 酸 に つ い て も 興 味 あ る 知 見 が 得 ら れ た 。 新 飲 料 100 mL 当 た り , 必 須 ア ミ ノ 酸 の 含 有 量 は 406 mg で あ っ た 。 運 動 時 の エ ネ ル ギ ー 源 と な る 分 岐 鎖 ア ミ ノ 酸 ( Va l , L e u , Il e ) 2 3 ) は 1 8 0 m g 含 ま れ て い た 。 通常の食生活では概ね必要なタンパク質は食事で摂取できるとされて 25.
(28) いるが,食欲低下など食事摂取量が少ない場合には摂取したタンパク 質がエネルギーに利用され,タンパク質必要量は多くなる. 24). 。新飲料. は 約 1%の ア ミ ノ 酸 を 含 む た め , 不 足 す る ア ミ ノ 酸 を 容 易 に 補 完 す る こ とに役立つものと考えられる。 ミ ネ ラ ル の 中 で 特 異 的 に 多 か っ た カ リ ウ ム は 新 飲 料 に 185 mg/100 m L 含 ま れ て い た が ,サ ツ マ イ モ に カ リ ウ ム は 4 7 0 m g / 1 0 0 g 含 ま れ て い る. 25). ことから,原料のサツマイモに由来するものといえる。カリウム. は体内のナトリウム排出作用などが知られている。なお,ナトリウム は 4.8 mg/100 mL と 殆 ど 含 ま れ て い な か っ た 。 ビ タ ミ ン 類 は パ ン ト テ ン 酸 が 新 飲 料 100 kcal 当 た り 0.86 mg 含 ま れ て お り , 健 康 増 進 法 第 31 条 第 1 項 に 基 づ く 栄 養 表 示 基 準 制 度 の 豊 富 に 含 む 旨 の 表 示 が 可 能 に な る 基 準 値 ( 0.55 mg) を 超 え る 含 有 量 で あ っ た 。 ま た ,ナ イ ア シ ン ,ビ オ チ ン お よ び ビ タ ミ ン B 2 お よ び 葉 酸 に 関 し て も , 強化された旨の表示が可能な基準値以上含まれていた。厚生労働省所 管の栄養機能食品の規格基準では,パントテン酸,ナイアシン,ビオ チ ン , ビ タ ミ ン B2 は 皮 膚 や 粘 膜 の 健 康 維 持 を 助 け る 栄 養 素 , 葉 酸 は 赤 血球の形成を助ける栄養素であるとされている。以上のことから,新 飲料には各種ビタミン類が含まれ,健康維持機能に役立つものと考え られる。 血圧降下作用などが報告. 27). さ れ て い る GABA は 13 mg/100 mL 含 ま れ. て い た 。一 日 の 目 安 摂 取 量 は 2 0 m g 2 7 ) と さ れ て い る が ,新 飲 料 を 一 日 に 100 m L/日 摂 取 す る こ と で 一 日 必 要 量 の 半 分 を 満 た す と 考 え ら れ る 。 原料の芋焼酎粕と米麹のロットによる差異があると新飲料の品質に 26.
(29) 影響することが考えられる。したがって,安定した品質の新飲料を得 るための条件として,同一品種のサツマイモと精白度を一定にした原 料米を用いて,製麹条件や製造工程を同一とし,酸度などの規格値を 設けた焼酎麹やもろみ管理を実施することが考えられる。また,仕込 配合(原料や水の配合割合)や蒸留条件も一定にする必要がある。こ れらを遵守することで蒸留粕,米麹ならびに新飲料の品質が安定する ことになる。 なお,製造に用いる焼酎麹の規格としてクエン酸量と酵素力価が考 えられる。クエン酸量は新飲料中の含有量に直接影響することから出 麹酸度の規格が必要になるが,酵素力価は麹酸度が十分であれば糖化 系酵素量を特に管理する必要はない。 以上のことに留意して 6 回製造した新飲料はカリウム,クエン酸, ア ミ ノ 酸 な ど の 栄 養 成 分 の 含 有 量 の バ ラ ツ キ が ±10%以 下 で あ る こ と を 確 認 し た (未 発 表 )。. 27.
(30) Ta b l e 1 ‐ 9 S o m e c h e m i c a l a n a l ys i s o f N e w b e v e r a g e . (Japan Food Reseach Laboratories Report : NO.403010059- 004). Nutritional value. Content/100ml. Moisture. 89.1g. Citric acid. 0.92g. Arg. 82mg. Calorie. 67kcal. Succinic acid. 0.06g. Lys*. 62mg. Protein. 1.6g. Acetic acid. 0.02g. His*. 31mg. < 0.1g. Lactic acid. 0.02g. Phe*. 47mg. Pyroglutamic acid. 0.02g. Tyr. 50mg. Malic acid. 0.04g. Leu*. 71mg. Ile*. 47mg. Met*. 19mg. Val*. 62mg. Content/100ml. Ala. 70mg. Lipid Ash. 0.4g. Carbohydrate. 15.2g. Dietary fiber. 0.3g. Mineral. Content/100ml. Organic acids Content/100ml. Vitamins. Amino acids Content/100ml. Fe. 0.27mg. B1. 0.03mg. Gly. 70mg. Na. 4.8mg. B2. 0.05mg. Pro. 66mg. Ca. 8.7mg. Inositol. 22mg. Glu. 161mg. K. 185mg. Niacin. 0.61mg. Ser. 58mg. Mg. 10.7mg. Pantothenic acid. 0.58mg. Thy*. 53mg. Biotin. 3.0µg. Asp. 122mg. Folic acid. 10µg. Trp*. 14mg. Cys. 26mg. * Essential amino acid GABA 13mg(Japan Food Reseach Laboratories Report : NO.404020081- 008). 28.
(31) 第4節. 小括. 芋焼酎粕の有用成分に着目して,食品への利用を目的に固液分離性 改善のためにセルラーゼ系酵素と米麹を添加した独自の方法により検 討した結果,次のことが明らかになった。 ( 1) セ ル ラ ー ゼ 系 酵 素 剤 34 種 類 の 中 か ら , ろ 過 速 度 や 固 形 分 の 減 量 化,官能検査,糖分析結果などを検討して実用試験に用いる酵素剤を 選抜した。酵素剤の種類により,ろ過速度や最終ろ液量などに差異が 見られた。ろ液を糖分析した結果からは,酵素剤により遊離してくる 糖に違いのあることがわかった。 ( 2) 実 用 ス ケ ー ル で 芋 焼 酎 粕 を 圧 搾 し た と こ ろ , 酵 素 剤 だ け の 添 加 で は 圧 搾 液 の SS は 非 常 に 高 い が ,反 応 液 に 米 麹 を 添 加 し て 圧 搾 す る こ と で清澄な液が得られるようになった。また,セルラーゼ系酵素剤と米 麹を同時に添加すると,圧搾液の量が増えて圧搾粕の水分含有量も少 なくなるなど圧搾性が向上した。 ( 3) 新 飲 料 に は ク エ ン 酸 , ア ミ ノ 酸 が そ れ ぞ れ 約 1%, ミ ネ ラ ル で は カリウムが多く,ビタミン類ではナイアシン,パントテン酸,ビオチ ン , ビ タ ミ ン B2, 葉 酸 な ど が 比 較 的 多 く 含 ま れ て い た 。 ポ リ フ ェ ノ ー ル は 約 0.1%, 食 物 繊 維 は 0.3%, GABA も 含 ま れ て お り , 様 々 な 成 分 に よる相乗効果が期待される栄養豊富な飲料であることが考えられた。. 29.
(32) 第2章. 第1節. 新飲料の脂質代謝・血糖値に及ぼす効果. 序章. 芋焼酎粕に米麹とセルラーゼ系酵素剤を添加して,一定時間再発酵 させた後,固液分離して得られた芋焼酎粕飲料(新飲料)には,前章 でも述べた通り,原料に由来する食物繊維,ポリフェノール,ビタミ ン E ,麹 菌 や 酵 母 が 生 成 し た ク エ ン 酸 な ど の 有 機 酸 や ア ミ ノ 酸 及 び 酵 母 菌体などの健康増進能を持つ食品成分が多量に含まれている。これら の成分は現代社会で問題となっている生活習慣病の1つである脂質異 常症,すなわち,中性脂肪や総コレステロール値の低減や活性酸素の 除去,便秘の改善作用などに様々な生理作用を示すことが知られてい る. 1, 2, 28, 29). 。. 今回はその新飲料の脂質代謝改善効果,血糖値上昇抑制効果などの 生理機能について検討した。. 第2節 第1項. 実験方法 新飲料の製造方法. 試験に用いた飲料の製造方法は前章と同様の方法で行った。すなわ ち , 河 内 菌 白 麹 を 散 布 し て 米 麹 を 造 っ た 。 そ れ を 芋 焼 酎 粕 の 20%相 当 量 芋 焼 酎 粕 に 加 え , ま た , Tr i c h o d e r m a v i r i d e 由 来 の セ ル ラ ー ゼ [ 商 品 名 セ ル ロ シ ン T 2 ( H B I 社 製 )] を 芋 焼 酎 粕 の 0 . 1 % 量 ( w / v ) 添 加 し , そ の 後 , 55℃ で 15 時 間 再 発 酵 さ せ , 芋 焼 酎 粕 と 米 麹 を 可 溶 化 し た 。 な お , 芋焼酎粕ならびに芋焼酎粕に添加した米麹は田苑酒造㈱で製造したも 30.
(33) のを使用した。 芋 焼 酎 粕 の 可 溶 化 液 は 清 酒 用 酒 袋 に 入 れ ,圧 搾 ろ 過 機( 東 洋 商 会 製 : C 型 4 8 0 L )で 圧 搾 ろ 過 に よ り 固 液 分 離 し た 。分 離 液 は S F フ ィ ル タ ー M × 1 型 ( 0.3 µm, ㈱ 山 中 技 研 製 ) で 清 澄 ろ 過 し , 加 熱 殺 菌 を 行 っ た 。. 第2項. ポリフェノール含有量. 新飲料のポリフェノール含有量はフォーリン・チオカルト法により 測 定 し た 。 す な わ ち , サ ン プ ル 25µL に 10 倍 希 釈 し た フ ェ ノ ー ル 試 薬 1 2 5 µ L 添 加 し ,3 分 間 撹 拌 し た 後 に 1 0 % 炭 酸 ナ ト リ ウ ム を 1 2 5 µ L 加 え , 25℃ , 15 分 静 置 後 , マ イ ク ロ プ レ ー ト リ ー ダ ー で 660nm の 吸 光 度 を 測 定 し , 飲 料 100mL あ た り の ク ロ ロ ゲ ン 酸 相 当 量 と し て 算 出 し た 。. 第3項. DPPH ラ ジ カ ル 消 去 活 性. ラ ジ カ ル 消 去 活 性 は 安 定 ラ ジ カ ル で あ る DPPHを 用 い て 測 定 し た 30)。96 ウ ェ ル マ イ ク ロ プ レ ー ト に サ ン プ ル 7 5 µ L を 採 取 し ,5 0 % E t O H を 含 む 0 . 1 M MES溶 液 ( pH6.0) 150 µ L, 0.4mM DPPH溶 液 ( 50%EtOH含 有 ) 75 µLを 添 加 し て よ く 振 盪 し , 室 温 で 2分 間 保 持 後 , 520 nmで の 吸 光 度 を 測 定 し た 。 そ の 活 性 は IC 5 0 ( D P P H の 吸 光 度 を 5 0 % に 減 少 さ せ る に 必 要 な 試 料 の 量 ) でトロロックス換算により示した。. 31.
(34) 第4項. 脂質代謝評価試験における実験動物と飼料の調製と飼育. 条件 Wi s t a r ラ ッ ト [ 雄 5 週 齢 , 1 群 6 匹 ( 計 2 群 )] を 日 本 S L C ㈱ よ り 購 入 し ,個 別 ケ ー ジ で 約 1 週 間 予 備 飼 育 し た 。そ の 間 の 飼 料 は Ta b l e 2 ‐ 1 に 示 す A I N 9 3 G に 準 じ て 調 製 し ,こ れ を 水 で 練 っ て 成 形 後 凍 結 乾 燥 し た 標準飼料をすべての群に与えた。 予 備 飼 育 後 , 実 験 飼 料 に よ る 飼 育 を 30 日 間 行 っ た 。 実 験 飼 料 は 水 ( コ ン ト ロ ー ル 区 ) あ る い は 新 飲 料 ( 試 験 区 ) 3.5 mL を 上 記 標 準 飼 料 粉末 7 g に加え,良く混練した後,凍結保存した。これを日々解凍し, 1 個 /日 /匹 を 午 前 中 に 投 与 し た 。 な お , 投 与 し た 実 験 飼 料 は 直 ち に 完 全 に摂食することを確認した。標準飼料は自由摂取とし,飲水も自由と した。 飼 育 条 件 は 24℃ ±2℃ , 12 時 間 明 暗 条 件 ( 明 ,7: 00~ 19: 00) 下 で 行 った。. 第5項. 飼育期間における測定項目. 飼 育 期 間 中 は 1 週 間 ~ 10 日 毎 に 体 重 測 定 し 飼 料 の 摂 食 量 は 3 日 毎 に 測定した。飼育実験終了時に各ラットの体重を測定し,エーテル麻酔 下 で 心 臓 採 血 し , 血 清 を 得 た 。 各 臓 器 (肝 臓 , 脾 臓 , 盲 腸 , 腎 臓 , 腎 周 辺 脂 肪 組 織 お よ び 副 睾 丸 周 辺 脂 肪 組 織 )を 得 て , 重 量 を 測 定 し た 。. 第6項. 血清成分の測定方法. 血 清 は 測 定 時 ま で 凍 結 保 存 し , 総 コ レ ス テ ロ ー ル , HDL コ レ ス テ ロ 32.
(35) ール,中性脂質(トリグリセライド)は,それぞれの試験項目用のカ イノスキット(㈱カイノス,東京)を用いて測定した。. 第7項. 高血糖に対する評価試験. 高血糖に対する影響を調べるため,ヒトインスリン非依存性Ⅱ型糖 尿 病 モ デ ル マ ウ ス で あ る KK-Ay の 5 週 齢 , 雄 1 群 9 匹 ( 計 2 群 18 匹 ) を 日 本 ク レ ア ㈱( 愛 知 )か ら 購 入 し た 。標 準 飼 料 5 g に 芋 焼 酎 粕 飲 料 1 0 % 添加し,飼育条件は脂質代謝に関する飼育試験と同様の方法で 2 ケ月 間行った。血糖値は1週間毎にマウスの尾静脈より採血し,簡易血糖 測 定 器( A C C U - C H E K C o m p a c t:R o c h e 社 製 )の 酵 素 電 極 法 で 測 定 し た 。 実験終了時にエーテル麻酔下で心臓採血し,全血を採り,糖化ヘモグ ロ ビ ン ( Hb-A1c) 濃 度 (%)を 測 定 し た 。 そ の 定 量 は 鹿 児 島 市 医 師 会 臨 床 検査センターに委託した。. Ta b l e 2 ‐ 1 S t a n d a r d f e e d ( A I N 9 3 G ) Ingredients. Composition. Corn starch Casein. 47% 25%. Cellose. 7%. Sucrose. 10%. Corn oil. 6%. Vitamin mixture* 1% Mineral mixture** 3.5% Choline chloride 0.2% DL-Methionine 0.3% TOTAL 100% * The vitamin contents were according to the AIN-93 formura and supplied from Nihon Nosan Co.,LTD ** The mineral contents were according to the AIN-93 formura and supplied from Nihon Nosan Co.,LTD. 33.
(36) 第3節 第1項. 実験結果と考察 新飲料のポリフェノール含有量とラジカル消去活性. 新 飲 料 の ポ リ フ ェ ノ ー ル 含 有 量 の 結 果 を Ta b l e 2 ‐ 2 に 示 し た 。 米 麹 を 添 加 す る 前 の 芋 焼 酎 粕 の ポ リ フ ェ ノ ー ル 含 有 量 は 77 mg/100 mL で あ り ,新 飲 料 に は 1 3 4 m g / 1 0 0 m L と 高 い 含 有 量 で 存 在 し て い た 。こ れ ら は 原料の米とサツマイモに由来するが,米麹添加によりポリフェノール が 増 え て い た 。 一 方 , 芋 焼 酎 粕 及 び 新 飲 料 の ラ ジ カ ル 消 去 活 性 ( IC 5 0 ) は そ れ ぞ れ 3.9, 4.3 で あ り , ポ リ フ ェ ノ ー ル 含 有 量 の 増 加 ほ ど で は な い も の の 新 飲 料 の 方 が 高 い 値 を 示 し た (Fig. 2‐ 1)。ま た ,機 能 性 が 高 い とされている市販醸造酢と比較しても遜色ないことが確認された。. Ta b l e 2 ‐ 2 P o l y p h e n o l c o n t e n t o f c o m m e r c i a l l y v i n e g a r, s w e e t p o t a o s h o c h u d i s t i l l e d r e s i d u e a n d new beverage. Vi n e g a r t y p e. Polyphenol content. Sweetpotato distilled residue. 77. New beverage. 134. Rice vinegar. 141. Unpolished rice vinegar. 265. Barley vinegar. 269. (mg/100mL-vinegar). 34.
(37) Weakness. Strength. Sweetpotato distilled residue New beverage Rice vinegar Unpolished rice vinegar Barley vinegar. 0. 1. 2. 3. 4. 5. 6. Radical scavenging activity (IC50 µmoleTrolox substantial amount/ml-vinegar). Figure 2‐ 1 Radical scavenging activity of commercially sweetpotao shochu distilled residue and new beverage.. 35. v i n e g a r,.
(38) 第2項. 脂質代謝評価試験中の飼育時の摂食量及び各種重量. 飼育実験の期間中 3 日間隔で摂食量を計測したところ,新飲料区が 全 期 間 を 通 じ て 高 い 値 を 示 し た 。 従 っ て , 総 摂 食 量 も 対 照 区 で 738.5 g で あ っ た の に 対 し ,新 飲 料 区 で は 7 8 9 . 9 g と 対 照 区 と 比 べ て 5 1 . 4 g ( 約 7%) 多 く な っ た 。 飼料の投与法は新飲料の一定量を標準飼料に添加し混練した形で投 与し,それ以外は標準飼料を自由摂取している。実験区で標準飼料を 多く摂食しているのは,新飲料投与によってラットの体調が改善され, 食欲増進したためと考えられる。 また,コントロール区および新飲料区の体重は双方とも順調に増加 したが,実験の後半において新飲料区の体重は少し多めに推移する傾 向 が 認 め ら れ た ( F i g . 2 ‐ 2 )。 そ の 理 由 と し て , 上 述 し た よ う に , 新 飲 料区では飼料の摂食量が増えたために,体重の増加傾向になったと考 えられる。 飼 育 実 験 終 了 時 の ラ ッ ト の 各 種 臓 器 重 量 を Fig. 2‐ 3 に 示 し た 。 肝 臓 重量は新飲料区の方が少し重い傾向を示し,これは摂食量の増加によ り,肝臓脂肪含有量の増加のためと考えられる。副睾丸脂肪組織でも 新飲料区が重い傾向があった。腎周辺脂肪組織では新飲料区が少し軽 い傾向が見られたが,これらのデータから,新飲料区では脂肪組織重 量の低下傾向は認められなかった。新飲料摂食により摂食量が増え, その結果,体重が増加し,脂肪組織重量も増えたことを示唆している と考えられた。. 36.
(39) 350. Rat weight (g). 300. 250. 200. 150. 100 0 0. 5. 10. 15. 20. 25. 30. Feeding period (days). Figure 2‐ 2 Body weight gain of rat during ingestion of new beverage. S ymbols: ○, Control feed: ● , New beverage. 37.
(40) 14. 12. Organ Weight (g). 10. 8. 6. 4. 2. 0. Liver. Spleen. Cecum. Kidney. Kidney Epididymis fat cicumference fat. F i g u r e 2 ‐ 3 Va r i o u s o r g a n s ’ w e i g h t s o f r a t s f e d w i t h n e w b e v e r a g e . S ymbols: ,Control: , New beverage. 38.
(41) 第3項. 血清中性脂質濃度の変化. 実 験 終 了 時 の 血 清 に つ い て , 中 性 脂 質 を 測 定 し た 結 果 を Fig. 2‐ 4 に 示 し た 。 血 清 中 性 脂 質 濃 度 は コ ン ト ロ ー ル 区 で 59.7 mg/100 mL で あ っ た が , 新 飲 料 区 で 34.0 mg/100 mL と 約 57%に 大 幅 に 低 下 し , こ の 差 は 1%水 準 で 有 意 で あ り , 強 い 中 性 脂 質 抑 制 効 果 が 認 め ら れ た 。 血清中性脂質は肝臓で合成される中性脂質が脂肪組織に運ばれてい るものであり,これが低下すると当然脂肪組織量も減少するはずであ る。しかし,上述のとおり,腎周辺脂肪組織重量は新飲料区が少し軽 い値を示すものの,副睾丸脂肪組織重量は新飲料投与区で増加傾向が あ り ,血 清 中 性 脂 質 濃 度 と 矛 盾 す る 。こ の 理 由 と し て 考 え ら れ る の が , 新飲料投与区で飼料摂取量の増加があったため,これが体重増加,即 ち,脂肪重量の増加となったと考えられる。 即ち,新飲料には本来ダイエット効果があるが,体調改善効果が強 く現れたため,摂食過多であっても顕著な体重増がないことから,ダ イエット効果があると考えられる。この推測を実証するには,今後, ペアフィーデング法を用いて摂食量を同一にして試験を行う必要があ ろう。. 39.
(42) Blood serum neutral lipid(mg/dl). 80. 70. 60. 50 ** 40. 30. 20. 10. 0. Control. New bevarage. Figure 2‐ 4 Neutral lipid content in serum of rats fed with new beverage (n=6). ** Significantly different by new beverage ingestion. (p:<0.01). 40.
(43) 第4項. 血清コレステロール濃度の変化. Fig. 2‐ 5 に 示 す よ う に , 総 コ レ ス テ ロ ー ル 含 有 量 は コ ン ト ロ ー ル 区 で 11 5 . 2 m g / 1 0 0 m L で あ っ た が ,新 飲 料 区 で 7 7 . 8 m g / 1 0 0 m L と 約 6 7 . 6 % に 大 幅 に 低 下 し , 有 意 差 1%と 強 い 総 コ レ ス テ ロ ー ル 抑 制 効 果 が 認 め ら れ た 。 ま た , 総 コ レ ス テ ロ ー ル の 組 成 を 検 討 す る と , LDL コ レ ス テ ロ ー ル は コ ン ト ロ ー ル 区 の 50.8 mg/100 mL と 比 べ , 新 飲 料 区 で は 17.0 mg/100 mL と 約 33.4%に 低 下 し , 有 意 差 1%を 示 し た 。 一 方 , HDL コ レ ス テ ロ ー ル は コ ン ト ロ ー ル 区 が 59.0 mg/100 mL で あ っ た が , 新 飲 料 区 で は 6 0 . 9 m g / 1 0 0 m L と ほ と ん ど 変 わ ら な い 値 を 示 し た ( F i g . 2 ‐ 6 )。 以上のように,新飲料摂取により血中の総コレステロール含有量は 大 幅 に 抑 制 さ れ ,さ ら に 健 康 に と っ て 悪 玉 と い わ れ る LDL コ レ ス テ ロ ー ル 濃 度 の み が 大 幅 に 低 下 し , 善 玉 で あ る HDL コ レ ス テ ロ ー ル 濃 度 は 変 化しないことが明らかとなり,新飲料の健康維持効果が強く認められ た。 コレステロール低下作用が認められた例として,酒粕 維. 33). ,ウーロン茶. 34). 31,32). や食物繊. などのポリフェノールなどの報告がある。新飲料. は芋焼酎粕の固形分が除かれているため,食物繊維は可溶性であり, そ の 含 有 量 は 0 . 3 g / 1 0 0 m L と 低 か っ た ( Ta b l e 1 ‐ 9 ) 。 し た が っ て , 新 飲 料の脂質代謝改善効果は食物繊維だけに起因するとは考えにくい。ビ タミン類,アミノ酸など各種成分の相互作用によることが考えられる。. 41.
(44) The amount of cholesterol (mg/dl). 140. 120. 100. ** 80. 60. 40. 20. 0. Control. New bevarage. F i g u r e 2 ‐ 5 To t a l c h o l e s t e r o l c o n t e n t i n s e r u m o f r a t s f e d w i t h n e w beverage (n=6). **. Significantly different by new beverage ingestion. (p:<0.01). 42.
(45) 140. The amount of cholesterol (mg/dL). 120. LDL-cholesterol. 100. ** 80. 60 HDL-cholesterol. 40. 20. 0. Control. New bevarage. Figure 2‐ 6 HDL- and LDL-cholesterol contents in serum of rats fed with new beverage (n=6). ** Significantly different by new beverage ingestion. (p:<0.01). 43.
(46) 第5項. 高血糖抑制効果. 高 血 糖 抑 制 効 果 に つ い て , Fig. 2‐ 7 に 結 果 を 示 し た 。 飼 育 に 伴 っ て コントロール区,新飲料区ともに血中グルコース濃度がほぼ同様に上 昇 し た が , こ れ は KK-Ay マ ウ ス 固 有 の 性 質 で あ り , 一 般 的 に 認 め ら れ るものである。飼育実験開始 4 週目以降,コントロール区は血糖値が 5 0 0 m g / 1 0 0 m L 以 上 の 値 を 維 持 し た の に 対 し ,新 飲 料 投 与 区 で は そ れ よ り も 1 0 0 m g / 1 0 0 m L ほ ど 低 い 血 糖 値 で 推 移 し ,7 週 目 で は 有 意 差 を 示 し た( ρ < 0 . 0 5 )。実 験 終 了 時 の 血 中 の H b A 1 c 濃 度 は コ ン ト ロ ー ル 区 が 7 . 5 % で あ る の に 対 し , 新 飲 料 区 で 7.2%と 低 い 値 を 示 し た 。 新 飲 料 区 で 長 期 間に亘って血糖値が低めに推移したことを示している。. 44.
(47) 700. Blood sugar level (mg/dL). 600. *. 500. 400. 300. 200. 100. 0 0. 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. weeks. Figure 2‐ 7 Blood sugar level in serum of KK-Ay mice fed with new beverage. S ymbols: ( ), Control: ( ), New beverage *Significantly different by new beverage ingestion. (p:<0.05). 45.
(48) 第4節. 小括. 芋焼酎粕の有用成分に着目し,米麹を添加した独自の香味改善と機 能性の増強を目的とした製造方法で得られた芋焼酎粕飲料(新飲料) の 生 理 作 用 に つ い て 検 討 し た 。そ の 結 果 ,次 の こ と が 明 ら か に な っ た 。 ( 1) 動 物 試 験 に お い て , 新 飲 料 は そ の 嗜 好 性 か ら 飼 料 摂 食 量 が 増 え た が,体重増に有意差が見られず新飲料摂食により代謝が高まることが 考えられた。なお,臓器重量には有意差はみられなかった。 ( 2) 新 飲 料 摂 食 試 験 の 結 果 , 強 い 血 清 中 性 脂 質 抑 制 効 果 , 総 コ レ ス テ ロ ー ル 抑 制 効 果 , 特 に 悪 玉 で あ る LDL コ レ ス テ ロ ー ル を 大 幅 に 有 意 に 減 少 さ せ , 善 玉 で あ る HDL コ レ ス テ ロ ー ル は 減 少 さ せ な い 結 果 が 得 ら れ,さらに,血糖値を抑制する効果が明らかになった。 以上のように,芋焼酎粕を原料とした新飲料の脂質代謝改善作用, 高血糖抑制効果などの生理作用や食品機能を明らかにできたことから, 生活習慣病やメタボリックシンドロームなどの予防や改善効果をもた らす優れた飲料であると考えられる。. 46.
(49) 第3章. 新飲料の免疫亢進効果. 第1節. 序章. 芋焼酎粕には,焼酎製造に関与する微生物(麹菌,酵母など)によ り生成されたクエン酸,タンパク質,アミノ酸や原料に由来するサツ マ イ モ ポ リ フ ェ ノ ー ル ,繊 維 分 ,ミ ネ ラ ル な ど 不 揮 発 の 栄 養 素 を 含 み 2). ,様 々 な 機 能 性. て は ,大 森 ら. 28, 29, 35). 11 , 36). 1,. が 報 告 さ れ て い る 。麦 焼 酎 粕 の 機 能 性 に 関 し. は 繊 維 分 に 脂 肪 肝 抑 制 効 果 ,肝 機 能 改 善 効 果 に つ い. て,望月ら. 12). は上清画分に肝障害抑制物質の存在を報告している。ま. た,廣瀬ら. 37). は麦,米,芋焼酎粕の水溶性画分が種々の培養ガン細胞. に 対 す る in vitro で の 細 胞 増 殖 抑 制 効 果 と 正 常 ラ ッ ト に 対 し て 毒 性 が な く安全であることを報告している。 前章において,芋焼酎粕を原料とし,焼酎用麹菌で製麹した米麹を 芋 焼 酎 粕 に 添 加 し て 得 ら れ た 芋 焼 酎 粕 飲 料 ( 以 下 , 「新 飲 料 」) の 抗 酸 化能や脂質代謝改善効果,血糖値上昇抑制作用に関する報告を行った。 食品の免疫調節作用に関する報告はいくつかなされており,茶ポリ フェノール. 38). や ,フ コ イ ダ ン. 39). ,シ ソ エ キ ス. 40). などの抗アレルギー効. 果 や NK 活 性 亢 進 作 用 な ど が あ る 。 また,発酵物中に 抗腫瘍能があるこ とは既に奥田. 41). の酒粕や上野. 42). らの黒酢に関する報告があるが,それに用いるのは黄麹菌であり,芋 焼酎製造に用いられているクエン酸生成能のある黒麹菌または白麹菌 ではない。本章では,クエン酸生成能を持つ麹菌を用いた新飲料の免 疫亢進効果について検討した。 47.
(50) 第2節. 実験方法. 第1項. 新飲料の製造方法. 麹 歩 合 20%, 汲 み 水 歩 合 65%の も ろ み を 常 圧 蒸 留 し て 得 ら れ た 芋 焼 酎粕に,河内菌白麹菌を用いて製麹した米麹とセルラーゼ[セルロシ ン T 2 ( H B I 社 製 )] を 芋 焼 酎 粕 の そ れ ぞ れ 2 0 % ( w / v ) 相 当 量 お よ び 1/1000(w/v)相 当 量 添 加 し , 55℃ で 15 時 間 糖 化 し て , 圧 搾 ろ 過 し た 液 部 を使用した。. 第2項. マウスへのガン投与および飼育条件. マ ウ ス の 腹 水 ガ ン 細 胞( サ ル コ ー マ 1 8 0 )は 東 北 大 学 医 学 部 附 属 細 胞 研 究 所 よ り 入 手 し , リ ン 酸 緩 衝 液 生 理 食 塩 水 (PBS)で 洗 浄 後 , マ ウ ス ( Balb/c, 雄 , 5 週 齢 , 日 本 S LC㈱ , 静 岡 県 ) の 腹 腔 に 注 入 し , 約 2 週 間増殖させた。なお,動物実験は鹿児島大学動物実験指針に従って行 った。 増 殖 し た サ ル コ ー マ 180 を 腹 水 ご と 抜 き 取 っ て 集 め , 低 張 緩 衝 液 中 で 赤 血 球 を 除 去 し ,サ ル コ ー マ 1 8 0 の 細 胞 数 を 計 測 し た 。マ ウ ス( B a l b / c , 雄 ,5 週 齢 ,n=5)を 室 温 23℃ ±2℃ ,12 時 間 毎 に 明 暗 サ イ ク ル( 明 ,7:00 ~ 19:00) の 飼 育 環 境 で 1 週 間 予 備 飼 育 し た 後 に , 上 記 の よ う に 得 た サ ル コ ー マ 1 8 0( 5 ✕ 1 0 6 個 / 0 . 5 m L 生 理 食 塩 水 / マ ウ ス ) を 腰 部 に 皮 下 投 与 し た 。 当 日 よ り 凍 結 乾 燥 し た 新 飲 料 を 標 準 飼 料 ( Ta b l e 3 ‐ 1 ) に 5 % 含 む よ う に 調 製 し た 実 験 飼 料 で 約 20 日 間 飼 育 し た 。 飼 料 と 水 は 自 由 摂 取 させた。. 48.
(51) 第3項. 腫 瘍 重 量 の 測 定 と NK 細 胞 と YAC-1 細 胞 の 調 製. 飼育終了時,頸椎脱臼させたマウス より,皮下投与したサルコーマ 180 に よ っ て 形 成 さ れ た 腫 瘍 組 織 と 脾 臓 を 採 取 し , 重 量 を 測 定 し た 。 脾 臓 を ハ ン ク ス 液 で 洗 浄 し , R P M I1 6 4 0 培 地 ( ニ ッ ス イ 製 薬 ) を 加 え て ナ イ ロ ン メ ッ シ ュ を 2 重 に 通 し て 組 織 片 を 除 き ,脾 臓 浮 遊 細 胞 を 得 た 。そ の 後 ,遠 心 分 離( 1 5 0 × g ,5 分 間 )し て 脾 臓 浮 遊 細 胞 を 集 め ,0 . 1 4 4 M N H 4 C l , 0 . 0 0 1 7 M Tr i s - H C l b u ff e r ( p H 7 . 2 ) 2 m L 中 で 赤 血 球 を 溶 血 除 去 し , 1500 rpm, 2 分 間 遠 心 分 離 し て , 白 血 球 を 得 た 。 こ の 白 血 球 を R P M I1 6 4 0 培 地 ( 1 0 m L ) に 加 え て 洗 浄 し , 細 胞 数 を 測 定 し た 。 得 ら れ た 白 血 球 を R P M I1 6 4 0 培 地 で 5 × 1 0 6 個 / m L と し , 6 c m デ ィ ッ シ ュ に 4 mL ず つ 分 注 し , 37℃ , 5%炭 酸 ガ ス で 3 時 間 培 養 に よ り 接 着 性 の マ ク ロ フ ァ ー ジ を 除 去 し た 。 得 ら れ た 浮 遊 細 胞 を , NK 細 胞 を 含 む 非 接 着 性 脾 浮 遊 細 胞( NK 細 胞 )と し た 。以 後 の 操 作 で は ,NK 細 胞 をエフェクター細胞として使用した。 な お , N K 細 胞 の 調 製 に は R P M I1 6 4 0 培 地 を 使 用 し た 。 す な わ ち , L グ ル タ ミ ン 0.3 mg/m L, ペ ニ シ リ ン 1 00 U/m L, ス ト レ プ ト マ イ シ ン 100 µg/mL を 加 え , 10% NaHCO3 で pH7.4 に 調 製 し た 。 ま た , N K 細 胞 の タ ー ゲ ッ ト と な る YA C - 1 細 胞( リ ン パ 腫 細 胞 )は 東 北 大 学 医 学 部 附 属 細 胞 研 究 所 よ り 入 手 し , 10% 子 牛 血 清 添 加 R P M I1 6 4 0 培 地 で 培 養 し た 。 YA C - 1 細 胞 を R P M I1 6 4 0 培 地 で 培 養 し , 細 胞 数 を 1×105/mL に 調 製 し 培 養 3 日 後 の 細 胞 を NK 細 胞 の タ ー ゲ ッ ト 細胞として以下の試験に使用した。. 49.
(52) 第4項. NK 活 性 の 測 定 方 法. N K 活 性 の 測 定 は タ ー ゲ ッ ト で あ る YA C - 1 細 胞 に 対 す る 細 胞 毒 性 に よ っ て , 障 害 を 受 け た 細 胞 の 放 出 す る L a c t a t e D e h y d r o g e n a s e( L D H ) を マ ー カ ー と す る 細 胞 障 害 性 ア ッ セ イ シ ス テ ム ( C yt o To x 9 6 Ⓡ , P r o m e g a 43). 社 ) に よ り , Promega 社 の テ キ ス ト. に従って行った。なお,以上の. 操 作 は 全 て 無 菌 的 に 行 っ た 。 す な わ ち , 96 穴 プ レ ー ト ( 岩 城 硝 子 ) に エ フ ェ ク タ ー 細 胞 ( E) と し て NK 細 胞 100 µL を 分 注 し , こ れ に , 5% 子 牛 血 清 を 含 む R P M I1 6 4 0 培 地 に 浮 遊 さ せ た タ ー ゲ ッ ト 細 胞 ( T ) で あ る YA C - 1 ( リ ン パ 腫 細 胞 ) 1 × 1 0 5 / m L を 1 0 0 µ L ず つ 分 注 し , 5 % 炭 酸 ガ ス イ ン キ ュ ベ ー タ ー ( 37℃ ) で 4 時 間 培 養 し た 。 こ の 際 に あ ら か じ め マ イ ク ロ プ レ ー ト 用 の 遠 心 機 で 遠 心 分 離 ( 250×g, 4 分 間 ) し , 細 胞 を 互 い に 密 着 さ せ ,細 胞 障 害 反 応 を 生 じ さ せ や す く し た 。4 時 間 の 反 応 後 , 再 び 遠 心 分 離 ( 250×g, 4 分 間 ) し , 細 胞 を 沈 殿 さ せ , 各 上 清 50 µL を 別 の 96 穴 プ レ ー ト に 取 り , 基 質 混 合 液 を 50µL ず つ 添 加 し , 遮 光 し て 室 温 で 静 置 し た( E : T r a t i o = 1 0 : 1 )。3 0 分 後 ,反 応 停 止 液 5 0 µ L を 加 え , 直 ち に 9 6 マ イ ク ロ プ レ ー ト リ ー ダ ー( ア マ シ ャ ム バ イ オ サ イ エ ン ス ㈱ ) で 4 9 2 n m の 吸 光 度 を 測 定 し ,L D H 放 出 量 を 算 出 し た 。な お ,L D H は 子 牛血清中にも含まれるので,それによるコンタミを抑えるために添加 する子牛血清濃度を低濃度とした。 NK 活 性 は タ ー ゲ ッ ト 細 胞 に 対 す る エ フ ェ ク タ ー 細 胞 の 障 害 作 用 と し て 測 定 し た 。 す な わ ち , タ ー ゲ ッ ト 細 胞 か ら 放 出 さ れ る 最 大 の LDH 活 性 を 1 0 0 % と し ,エ フ ェ ク タ ー 細 胞 添 加 に よ り 得 ら れ た L D H 活 性 を 最 大 L D H 活 性 に 対 す る 割 合 で 表 し た 。な お ,そ れ ぞ れ の L D H 活 性 は 培 地 50.
(53) の LDH 活 性 ( バ ッ ク グ ラ ウ ン ド ) を 差 引 い て 算 出 し た 。. 実 験 LDH 放 出 量 - E- T. NK 活 性 (%)=. ×100 最大放出量-T. E: エ フ ェ ク タ ー 細 胞 か ら 自 然 放 出 さ れ る LDH 量 T: タ ー ゲ ッ ト 細 胞 か ら 自 然 放 出 さ れ る LDH 量 最 大 放 出 量 : タ ー ゲ ッ ト 細 胞 中 に 存 在 す る 全 LDH 量. Ta b l e 3 ‐ 1 S t a n d a r d f e e d ( A I N 9 3 G ) Ingredients. Composition. Corn starch. 47%. Casein. 25%. Cellose. 7%. Sucrose. 10%. Corn oil. 6%. Vitamin mixture*. 1%. Mineral mixture**. 3.5%. Choline chloride. 0.2%. DL-Methionine. 0.3%. TOTAL 100% The vitamin contents were according to the AIN-93 formura and supplied from Nihon Nosan Co.,LTD ** The mineral contents were according to the AIN-93 formura and supplied from Nihon Nosan Co.,LTD *. 51.
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