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小児の汎発性膿庖性乾癬の1例

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(甕晶晶19第50巻昭籍1覇)

小児の汎発性膿庖性乾癬の1例

東京女子医科大学第二病院皮膚科学教室(主任:平野京子教授)

  安田和正・教授平野京子

  ヤス  ダ  カズ  マサ         ヒラ  ノ  キヨウ  コ

(受付 昭和55年8月1日)

ACase of Juvenile Generalized Pustular Psoriasis

  Kazumasa YASUDA and Kyoko田RANO

Dcpartment of Dermatology(Director:Pro£KHIRANO)

  Tokyo Women,s Medical College Second Hosp量tal

  Acase of juvenile generalized pustular psoriasis in a 4−year old male child was reported. His brother and sister had atopic dermatitis. On the scalp, trunk and extremities, there was a dif穂se scaling, erythematous eruption. Eight days諭er admission the patient started to develop tempera−

ture elevations up to 39〜C. All lesions became more edematous and pustllles appeared.

  Abiopsy貸om a pustular lesion was interpreted as pustular psorisia. Analysis of the serum lipids,

alkaline phosphatase and IgE showed high titer.

  The mechanism of the disease ip this case was speculated.

        1・はじめに

 小児の乾癬はめずらしく,特に膿野性乾癬はま れとされる.われわれも本症の1例を経験したの で,その症例を報告し,若干の文献的考察を加え て報告する.

        皿・症  例  患者:A.K.4歳,男児.

 家族歴=兄,姉にアトピー性皮膚炎をみとめる.

 既往歴=特記すべきことなし.

 現病歴:生後2ヵ月頃より右肩と両下腿に鱗屑付着し た紅斑が出現し,1歳頃までにはほぼ全身に拡大し近医 にてビタミンB6,抗ヒスタミン剤の内服およびステロ イド外用剤のODT療法にて治療してきたが軽快せず 昭和51年3月31日当科を受診し直ちに入院となる.

 入院時現症および経過

 被髪頭部は痂皮および黄白色の厚い鱗屑でおお われ,顔面,耳介,躯幹および四肢には紅斑が播 種状にみられ,表面には白色枇糠様鱗屑を付着し

ていた.入院8日目突然39℃の発熱と咽頭痛を訴 え,扁桃は発赤が著明で膿苔を付着し,急性扁桃 炎の所見を呈するとともに,胸部,両下肢の紅斑 局面が浮腫状を呈し,その上に粟粒大の小声痕が 群生し,一部は環状又は蛇行状配列をなした.入 院10日目には小判疸はほぼ全身にみられるように なり,一部は四海を形成するものや乾固するもの が混在し,陰茎および亀頭部にも同様所見がみら れた(写真1).それ以外に小膿庖は舌および口 腔粘膜にも存在したが手掌,足底および爪甲には みとめられなかった.膿庖出現時抗生剤添加ステ ロイド軟膏の全身塗布と,AB・PC,インドメサシ ン投与により3日後には解熱し,咽頭発赤も認め られず,膿庖の新生はもはやみられなかった.そ の後はステロイド軟膏と高脂血症の改善のために パンチチン内服などにより入院1ヵ月後には全身 に散在する紅斑局面と一部色素沈着を残し,また 一1017一

(2)

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写真1 入院10日目の臨床像

.総鍵

写真2 H.E.染色 小膿庖部組織弱拡大像

写真3 H.E.染色 写真2の強拡大像

高脂血症も改善され退院した.

 膿庖出現時検査所見:白血球増多,血沈元進,

CRP(什)の他,生化学ではALP 20・OK・A・U・と 軽度上昇を認め,内分泌では17KS O・27mg/day,

170HCs O.44mg/dayとともに低下し,血清脂質

では総脂質833mg/dl,中性脂肪200mg/dl,リン脂 質342mg/dl,β一リボ蛋白652mg!d1,総コレステロー ル361mg/d1と異常高値を示し,免疫学的検索で はDNCB感作成立, IgG, IgA, IgM, IgD,β1 c/A−G,BIE−G,補体価は正常であったが, IgE 1,1501・U・/mlと高値を示した.また血道よりの 細菌培養は陰性であった.

 組織学的所見:右下腿のやや乾固した小膿血よ り生検した.表皮は角質増殖,有棘層の肥厚,表 皮突起の延長が棍棒状にみられ,角層より有棘層 上部にかけ膿庖がみられる.膿曲部の海綿状を呈 する細胞間には好中球の浸潤があり,いわゆる Kogojの海綿無知庖がみられる.真皮では乳頭層 は浮腫状で,毛細血管の拡張と好中球,リンパ球 の浸潤がみられる(写真2,写真3).

       m.考  按

 汎発性膿庖性乾癬は1910年Zumbusch1)が

osoriasis und pustu163es Fxanthem,,として乾癬 の1変異型であると記載し,典型的乾癬病巣を有 する患者が突然重篤な全身症状を伴い,全身に細 泡を形成し,これを繰り返すといった特徴があ

り,病理組織ではいわゆるKogojの海綿状膿庖 が特徴的変化と考えられており,自験例はGordon ら2,の分類におけるZumbusch typeに相当する ものであると考えられた.本症の膿血化の誘因と して安田ら3)は感染,局所療法,ストレス,内分 泌障害,日光照射,脂漏およびステロイドの全身 投与などをあげており,自験例では脂漏性皮膚炎 を乳児期より認め,また長期のステロイド外用剤 を使用しており,入院という一つのストレスと急 性扁桃炎の合併などこれらの誘因が相乗的に作用 しあい膿痕化をきたしたと考えられる.次に本 症の特徴的な検査所見として従来よりALPの上 昇,血清Caの低下,低蛋白血症などが報告され ているが,自験例ではこの中でALPの上昇のみ 認められるが,逆に自験例においては血清脂質と IgEが高値を示しており,これらの点においては 宮地ら4)がIgEの高値例を報告しているにすぎず 今後これらの検査成績の蓄積も本症の発症機構の 解明とともに治療上重要と考えている.

一1018一

(3)

 (本症例は日本皮膚科学会静岡地方会第2回例会にお いて発表した.)

       文  献

 1)Zumbuscb, L.R.=Arch Derm Syph 99335

      93

  (1910)

2)G①rdon, M. et a1.3 Dermatologica耳3865  (1969)

3)安田利顕:臨皮31425(1977)

4)宮地良樹・他・:臨皮34395(1980)

}王019一

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